JPH10324961A - 軟磁気特性に優れた鉄基非晶質合金薄帯およびその製造方法 - Google Patents
軟磁気特性に優れた鉄基非晶質合金薄帯およびその製造方法Info
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- JPH10324961A JPH10324961A JP9134951A JP13495197A JPH10324961A JP H10324961 A JPH10324961 A JP H10324961A JP 9134951 A JP9134951 A JP 9134951A JP 13495197 A JP13495197 A JP 13495197A JP H10324961 A JPH10324961 A JP H10324961A
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Abstract
(57)【要約】
【解決手段】 Fe−B−Si系鉄基非晶質合金薄帯の製造
に際し、第4成分として、Mn, Co, NiおよびCrのうちか
ら選んだ1種または2種以上の遷移金属を少量含有させ
ると共に、急冷凝固後、常法に従う磁場中高温焼鈍に先
立ち、結晶化温度よりも 300〜400 ℃低い温度で構造緩
和のための低温熱処理を施す。 【効果】 従来に比べ、軟磁気特性を格段に向上させる
ことができる。
に際し、第4成分として、Mn, Co, NiおよびCrのうちか
ら選んだ1種または2種以上の遷移金属を少量含有させ
ると共に、急冷凝固後、常法に従う磁場中高温焼鈍に先
立ち、結晶化温度よりも 300〜400 ℃低い温度で構造緩
和のための低温熱処理を施す。 【効果】 従来に比べ、軟磁気特性を格段に向上させる
ことができる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、軟磁気特性に優
れた鉄基非晶質合金薄帯およびその製造方法に関するも
のである。
れた鉄基非晶質合金薄帯およびその製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】鉄基非晶質合金の製造方法としては、例
えば特公平2-11662号公報に、Fe−Si−B溶湯を液体急
冷法により非晶質リボンとしたのち、磁場中にて 340〜
440 ℃の温度で焼鈍する方法が提案されている。
えば特公平2-11662号公報に、Fe−Si−B溶湯を液体急
冷法により非晶質リボンとしたのち、磁場中にて 340〜
440 ℃の温度で焼鈍する方法が提案されている。
【0003】また、特開平5-78796号公報には、Snを0.
01〜1.0 wt%添加し、非晶質合金薄帯の表面層にSnを濃
化させて表面層の結晶化耐性を高めたもの、およびかよ
うなSn偏析層を形成させるために 100〜300 ℃の温度に
0.5〜1000時間保持する方法が提案されている。
01〜1.0 wt%添加し、非晶質合金薄帯の表面層にSnを濃
化させて表面層の結晶化耐性を高めたもの、およびかよ
うなSn偏析層を形成させるために 100〜300 ℃の温度に
0.5〜1000時間保持する方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たような従来の非晶質合金薄帯は、それなりに鉄損は改
善されるものの、まだ十分とはいえないところに問題を
残していた。また、Snの添加については、主成分となる
鉄との融点の差が1000℃以上と大きいため、溶湯での添
加が難しいという問題もあった。この発明は、上記の問
題を有利に解決するもので、従来よりも軟磁気特性を一
層改善した鉄基非晶質金属薄帯を、その有利な製造方法
と共に提案することを目的とする。
たような従来の非晶質合金薄帯は、それなりに鉄損は改
善されるものの、まだ十分とはいえないところに問題を
残していた。また、Snの添加については、主成分となる
鉄との融点の差が1000℃以上と大きいため、溶湯での添
加が難しいという問題もあった。この発明は、上記の問
題を有利に解決するもので、従来よりも軟磁気特性を一
層改善した鉄基非晶質金属薄帯を、その有利な製造方法
と共に提案することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、上記
の目的を達成すべく、鋭意研究を重ねた結果、Fe−B−
Si系非晶質合金において、Mn,Co,Ni,Crといった原子
番号が鉄に近い遷移金属を少量含有させた上で、結晶化
温度より 300〜400 ℃低い比較的低温での構造緩和を導
入することによって、非晶質状態をより軟磁気特性に有
利な状態とすることができ、かくして軟磁気特性の有利
な改善が実現されることの知見を得た。この発明は、上
記の知見に立脚するものである。
の目的を達成すべく、鋭意研究を重ねた結果、Fe−B−
Si系非晶質合金において、Mn,Co,Ni,Crといった原子
番号が鉄に近い遷移金属を少量含有させた上で、結晶化
温度より 300〜400 ℃低い比較的低温での構造緩和を導
入することによって、非晶質状態をより軟磁気特性に有
利な状態とすることができ、かくして軟磁気特性の有利
な改善が実現されることの知見を得た。この発明は、上
記の知見に立脚するものである。
【0006】すなわち、この発明は、 化学式:Fex By Siz Ma ここで M:Mn, Co, NiおよびCrのうちから選んだ1種
または2種以上 x:77〜82(at%) y:9〜17(at%) z:5〜14(at%) a:0.2 〜1.0 (at%) で示される組成になる非晶質合金薄帯であって、該非晶
質合金薄帯の結晶化温度より 300〜400 ℃低い温度での
構造緩和を進めたことを特徴とする軟磁気特性に優れた
鉄基非晶質合金薄帯である。
または2種以上 x:77〜82(at%) y:9〜17(at%) z:5〜14(at%) a:0.2 〜1.0 (at%) で示される組成になる非晶質合金薄帯であって、該非晶
質合金薄帯の結晶化温度より 300〜400 ℃低い温度での
構造緩和を進めたことを特徴とする軟磁気特性に優れた
鉄基非晶質合金薄帯である。
【0007】また、この発明は、 化学式:Fex By Siz Ma ここで M:Mn, Co, NiおよびCrのうちから選んだ1種
または2種以上 x:77〜82(at%) y:9〜17(at%) z:5〜14(at%) a:0.2 〜1.0 (at%) で示される組成になる合金溶湯を、急冷凝固して非晶質
合金薄帯とし、ついで該非晶質合金薄帯に、その結晶化
温度より 300〜400 ℃低い温度で6時間以上の低温熱処
理を施したのち、常法に従い磁場中高温焼鈍を施すこと
を特徴とする軟磁気特性に優れた鉄基非晶質合金薄帯の
製造方法である。
または2種以上 x:77〜82(at%) y:9〜17(at%) z:5〜14(at%) a:0.2 〜1.0 (at%) で示される組成になる合金溶湯を、急冷凝固して非晶質
合金薄帯とし、ついで該非晶質合金薄帯に、その結晶化
温度より 300〜400 ℃低い温度で6時間以上の低温熱処
理を施したのち、常法に従い磁場中高温焼鈍を施すこと
を特徴とする軟磁気特性に優れた鉄基非晶質合金薄帯の
製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、この発明を具体的に説明す
る。まず、この発明において、合金の成分組成を上記の
範囲に限定した理由について説明する。 Fe:77〜82at% Fe量が77at%に満たないと磁束密度の低下を招いて実用
的でなく、一方82at%を超えると鉄損が増加するだけで
なく、熱的安定性が劣化するので、Fe含有量は77〜82at
%の範囲に限定した。
る。まず、この発明において、合金の成分組成を上記の
範囲に限定した理由について説明する。 Fe:77〜82at% Fe量が77at%に満たないと磁束密度の低下を招いて実用
的でなく、一方82at%を超えると鉄損が増加するだけで
なく、熱的安定性が劣化するので、Fe含有量は77〜82at
%の範囲に限定した。
【0009】B:9〜17at% B量が9at%未満ではアモルファス化しにくくなり、一
方17at%を超えるとキュリー温度が低くなりすぎるの
で、B含有量は9〜17at%の範囲に限定した。
方17at%を超えるとキュリー温度が低くなりすぎるの
で、B含有量は9〜17at%の範囲に限定した。
【0010】Si:5〜14at% Si量が5at%未満ではキュリー温度が低くなりすぎ、一
方14at%を超えると鉄損が増大するだけでなく、磁束密
度が低下するので、Si含有量は5〜14at%の範囲に限定
した。
方14at%を超えると鉄損が増大するだけでなく、磁束密
度が低下するので、Si含有量は5〜14at%の範囲に限定
した。
【0011】M:0.2 〜1.0 at% ここで、Mとは、Mn, Co, NiおよびCrのうちから選んだ
1種または2種以上のことである。これらMn,Co,Ni,
Cr量の下限を 0.2at%としたのは、これ以上添加しない
と低温での構造緩和による軟磁気特性の改善というこの
発明の効果が現れないからであり、また上限を 1.0at%
としたのは、それ以上でもやはりこの発明の効果が現れ
ないためである。より好ましくは 0.3〜0.6 at%であ
る。
1種または2種以上のことである。これらMn,Co,Ni,
Cr量の下限を 0.2at%としたのは、これ以上添加しない
と低温での構造緩和による軟磁気特性の改善というこの
発明の効果が現れないからであり、また上限を 1.0at%
としたのは、それ以上でもやはりこの発明の効果が現れ
ないためである。より好ましくは 0.3〜0.6 at%であ
る。
【0012】次に、この発明の製造工程について説明す
る。さて、この発明では、急冷凝固後、常法に従う磁場
中高温焼鈍に先立って、結晶化温度よりも 300〜400 ℃
低い温度で熱処理を施すが、この低温熱処理がこの発明
の最大の特徴であり、かかる低温熱処理を施すことによ
って、非晶質合金薄帯の構造緩和を促進し、もって軟磁
気特性の改善を図るのである。ここに、急冷凝固後の熱
処理温度を、結晶化温度より 300〜400 ℃低い温度範囲
に限定したのは、その範囲未満の温度でも、その範囲を
超える温度でも、上記したこの発明の効果が十分には発
現しないからである。
る。さて、この発明では、急冷凝固後、常法に従う磁場
中高温焼鈍に先立って、結晶化温度よりも 300〜400 ℃
低い温度で熱処理を施すが、この低温熱処理がこの発明
の最大の特徴であり、かかる低温熱処理を施すことによ
って、非晶質合金薄帯の構造緩和を促進し、もって軟磁
気特性の改善を図るのである。ここに、急冷凝固後の熱
処理温度を、結晶化温度より 300〜400 ℃低い温度範囲
に限定したのは、その範囲未満の温度でも、その範囲を
超える温度でも、上記したこの発明の効果が十分には発
現しないからである。
【0013】図1に、Fe79B12Si8.5Mn0.5の組成になる
非晶質合金薄帯(結晶化温度TX :535 ℃)を、急冷凝
固後、種々の温度で熱処理したのち、常法に従う磁場中
高温焼鈍を施した場合における、熱処理温度と鉄損W
13/50 との関係について調べた結果を示す。同図から明
らかなように、鉄損の低減効果は、熱処理温度を結晶化
温度TX よりも 300〜400 ℃低くした場合に顕著に発現
している。
非晶質合金薄帯(結晶化温度TX :535 ℃)を、急冷凝
固後、種々の温度で熱処理したのち、常法に従う磁場中
高温焼鈍を施した場合における、熱処理温度と鉄損W
13/50 との関係について調べた結果を示す。同図から明
らかなように、鉄損の低減効果は、熱処理温度を結晶化
温度TX よりも 300〜400 ℃低くした場合に顕著に発現
している。
【0014】また、熱処理時間を6時間以上としたの
は、このような低温での構造緩和には、処理時間が6時
間未満では十分とはいえず、この発明で所期したほど良
好な効果が得られないからである。図2に、同じくFe79
B12Si8.5Mn0.5の組成になる非晶質合金薄帯を、熱処理
温度は 150℃(結晶化温度よりも 385℃低い温度)の一
定とし、種々の時間保持した場合における処理時間と鉄
損W13/50 との関係について調べた結果を示す。同図に
示したとおり、処理時間を6時間以上とすることによっ
て、鉄損特性の著しい改善が達成されている。なお、24
0 時間まで調べた限りでは、鉄損の変化はほとんど観察
されなかった。
は、このような低温での構造緩和には、処理時間が6時
間未満では十分とはいえず、この発明で所期したほど良
好な効果が得られないからである。図2に、同じくFe79
B12Si8.5Mn0.5の組成になる非晶質合金薄帯を、熱処理
温度は 150℃(結晶化温度よりも 385℃低い温度)の一
定とし、種々の時間保持した場合における処理時間と鉄
損W13/50 との関係について調べた結果を示す。同図に
示したとおり、処理時間を6時間以上とすることによっ
て、鉄損特性の著しい改善が達成されている。なお、24
0 時間まで調べた限りでは、鉄損の変化はほとんど観察
されなかった。
【0015】上記の低温熱処理後、常法に従い、高温で
磁場中焼鈍を施すが、かかる焼鈍における印加磁場の強
さは 10 Oe以上とするのが好ましい。また、焼鈍温度
は、 350〜450 ℃程度とするのが好ましい。というの
は、焼鈍温度が 350℃に満たないと薄帯中に存在する歪
を十分に除去できないため、満足いくほどの磁気特性が
得られず、一方 450℃を超えると結晶化温度に近づき、
磁気特性が悪化するからである。
磁場中焼鈍を施すが、かかる焼鈍における印加磁場の強
さは 10 Oe以上とするのが好ましい。また、焼鈍温度
は、 350〜450 ℃程度とするのが好ましい。というの
は、焼鈍温度が 350℃に満たないと薄帯中に存在する歪
を十分に除去できないため、満足いくほどの磁気特性が
得られず、一方 450℃を超えると結晶化温度に近づき、
磁気特性が悪化するからである。
【0016】
【実施例】表1に示す種々の成分組成になる合金溶湯
を、高速で回転するCu合金製ロールの表面に射出し、急
冷凝固して、厚み:25μm 、幅:20mmの非晶質合金薄帯
を製造した。ついで、得られた薄帯を 150〜200 ℃の温
度で12時間、不活性雰囲気中で熱処理したのち、 350〜
410 ℃で長手方向に 20 Oeの磁場を印加しつつ、不活性
雰囲気中で磁場中焼鈍した。かくして得られた薄帯の鉄
損および磁束密度の測定結果を表1に併記する。また比
較のため、 150〜200 ℃における熱処理を省略して得ら
れた薄帯の磁気特性について調査した結果も併せて示
す。
を、高速で回転するCu合金製ロールの表面に射出し、急
冷凝固して、厚み:25μm 、幅:20mmの非晶質合金薄帯
を製造した。ついで、得られた薄帯を 150〜200 ℃の温
度で12時間、不活性雰囲気中で熱処理したのち、 350〜
410 ℃で長手方向に 20 Oeの磁場を印加しつつ、不活性
雰囲気中で磁場中焼鈍した。かくして得られた薄帯の鉄
損および磁束密度の測定結果を表1に併記する。また比
較のため、 150〜200 ℃における熱処理を省略して得ら
れた薄帯の磁気特性について調査した結果も併せて示
す。
【0017】
【表1】
【0018】表1に示したように、急冷凝固後、常法に
従う磁場中高温焼鈍に先立ち、 150〜200 ℃の低温で熱
処理を施すことによって、薄帯の磁気特性とくに鉄損特
性が著しく改善されている。
従う磁場中高温焼鈍に先立ち、 150〜200 ℃の低温で熱
処理を施すことによって、薄帯の磁気特性とくに鉄損特
性が著しく改善されている。
【0019】図3に、低温での熱処理(150℃, 6時間)
により、非晶質薄帯に生じた熱的状態の変化をDSC
(示差走査型熱量計)による比熱測定の結果で示す。ま
た、同図には、比較のため、鋳造ままの薄帯、 375℃で
2時間、不活性ガス中で磁場中焼鈍した薄帯についての
測定結果も併せて示す。なお、横軸は測定温度、縦軸は
比熱を表しており、室温から 600℃まで40℃/min の昇
温スピードで加熱しながら比熱を測定したものである。
同図に示したとおり、 150℃処理材の比熱カーブは、鋳
造ままの材料のそれと殆ど一致しているが、測定温度が
150℃からおよそ 250℃の範囲で 150℃処理材の方の比
熱が大きくなっている。これは、鋳造ままの状態より 1
50℃で処理した状態の方が同じアモルファス状態の中で
も、構造緩和が進んだ状態になっていることを示してい
る。
により、非晶質薄帯に生じた熱的状態の変化をDSC
(示差走査型熱量計)による比熱測定の結果で示す。ま
た、同図には、比較のため、鋳造ままの薄帯、 375℃で
2時間、不活性ガス中で磁場中焼鈍した薄帯についての
測定結果も併せて示す。なお、横軸は測定温度、縦軸は
比熱を表しており、室温から 600℃まで40℃/min の昇
温スピードで加熱しながら比熱を測定したものである。
同図に示したとおり、 150℃処理材の比熱カーブは、鋳
造ままの材料のそれと殆ど一致しているが、測定温度が
150℃からおよそ 250℃の範囲で 150℃処理材の方の比
熱が大きくなっている。これは、鋳造ままの状態より 1
50℃で処理した状態の方が同じアモルファス状態の中で
も、構造緩和が進んだ状態になっていることを示してい
る。
【0020】また、 375℃処理と 150℃処理材の結果を
比較すると、 200℃程度から 510℃までの範囲で 375℃
処理材の方が比熱が大きくなっているが、 510℃以上の
温度では再び同じ比熱になっており、材料自体からの結
晶化による発熱のために比熱が急激に下がっている。鋳
造ままからの微視的構造の変化が 375℃処理ではより大
きくなっていることが判る。しかし、 150℃から 200℃
にかけては、 150℃処理材の方が 375℃処理材よりも比
熱が大きくなっており、この変化は 150℃処理の後に 3
75℃処理を行っても消失せず残ることが判っている。す
なわち、低温熱処理で生じている変化は高温熱処理で生
じている変化に比較するとわずかではあるが、高温熱処
理後もその履歴が残り、結果として磁気特性が改善され
る。これは、鉄原子と遷移金属原子間の短距離秩序が低
温処理により変化し、その変化はその後の高温処理でも
保持される結果、磁気特性が改善されるものと推察され
る。
比較すると、 200℃程度から 510℃までの範囲で 375℃
処理材の方が比熱が大きくなっているが、 510℃以上の
温度では再び同じ比熱になっており、材料自体からの結
晶化による発熱のために比熱が急激に下がっている。鋳
造ままからの微視的構造の変化が 375℃処理ではより大
きくなっていることが判る。しかし、 150℃から 200℃
にかけては、 150℃処理材の方が 375℃処理材よりも比
熱が大きくなっており、この変化は 150℃処理の後に 3
75℃処理を行っても消失せず残ることが判っている。す
なわち、低温熱処理で生じている変化は高温熱処理で生
じている変化に比較するとわずかではあるが、高温熱処
理後もその履歴が残り、結果として磁気特性が改善され
る。これは、鉄原子と遷移金属原子間の短距離秩序が低
温処理により変化し、その変化はその後の高温処理でも
保持される結果、磁気特性が改善されるものと推察され
る。
【0021】
【発明の効果】かくして、この発明によれば、Fe−B−
Si系鉄基非晶合金薄帯について、その軟磁気特性を従来
に比べて格段に向上させることができる。
Si系鉄基非晶合金薄帯について、その軟磁気特性を従来
に比べて格段に向上させることができる。
【図1】Fe79B12Si8.5Mn0.5の組成になる非晶質合金薄
帯の熱処理温度と鉄損W13/50との関係を示したグラフ
である。
帯の熱処理温度と鉄損W13/50との関係を示したグラフ
である。
【図2】Fe79B12Si8.5Mn0.5の組成になる非晶質合金薄
帯の熱処理時間と鉄損W13/50との関係を示したグラフ
である。
帯の熱処理時間と鉄損W13/50との関係を示したグラフ
である。
【図3】Fe79B12Si8.5Mn0.5の組成になる非晶質合金薄
帯の熱処理による比熱の変化を示したグラフである。
帯の熱処理による比熱の変化を示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 691 C22F 1/00 691C H01F 1/153 C22C 33/02 Z // C22C 33/02 H01F 1/14 C
Claims (2)
- 【請求項1】化学式:Fex By Siz Ma ここで M:Mn, Co, NiおよびCrのうちから選んだ1種
または2種以上 x:77〜82(at%) y:9〜17(at%) z:5〜14(at%) a:0.2 〜1.0 (at%) で示される組成になる非晶質合金薄帯であって、該非晶
質合金薄帯の結晶化温度より 300〜400 ℃低い温度での
構造緩和を進めたことを特徴とする軟磁気特性に優れた
鉄基非晶質合金薄帯。 - 【請求項2】化学式:Fex By Siz Ma ここで M:Mn, Co, NiおよびCrのうちから選んだ1種
または2種以上 x:77〜82(at%) y:9〜17(at%) z:5〜14(at%) a:0.2 〜1.0 (at%) で示される組成になる合金溶湯を、急冷凝固して非晶質
合金薄帯とし、ついで該非晶質合金薄帯に、その結晶化
温度より 300〜400 ℃低い温度で6時間以上の低温熱処
理を施したのち、常法に従い磁場中高温焼鈍を施すこと
を特徴とする軟磁気特性に優れた鉄基非晶質合金薄帯の
製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9134951A JPH10324961A (ja) | 1997-05-26 | 1997-05-26 | 軟磁気特性に優れた鉄基非晶質合金薄帯およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9134951A JPH10324961A (ja) | 1997-05-26 | 1997-05-26 | 軟磁気特性に優れた鉄基非晶質合金薄帯およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10324961A true JPH10324961A (ja) | 1998-12-08 |
Family
ID=15140388
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9134951A Withdrawn JPH10324961A (ja) | 1997-05-26 | 1997-05-26 | 軟磁気特性に優れた鉄基非晶質合金薄帯およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10324961A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2003066925A3 (en) * | 2002-02-08 | 2004-04-29 | Honeywell Int Inc | Fe-based amorphous metal alloy having a linear bh loop |
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CN103589828A (zh) * | 2013-11-14 | 2014-02-19 | 青岛云路新能源科技有限公司 | 非晶合金铁芯的热处理装置和方法 |
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