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JPH10317123A - 結晶配向性硬質被覆部材 - Google Patents

結晶配向性硬質被覆部材

Info

Publication number
JPH10317123A
JPH10317123A JP14348397A JP14348397A JPH10317123A JP H10317123 A JPH10317123 A JP H10317123A JP 14348397 A JP14348397 A JP 14348397A JP 14348397 A JP14348397 A JP 14348397A JP H10317123 A JPH10317123 A JP H10317123A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
film
crystal
resistance
coated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP14348397A
Other languages
English (en)
Inventor
Mamoru Kobata
護 木幡
Toshiyuki Watanabe
敏行 渡辺
Katsuhiko Seki
克彦 関
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tungaloy Corp
Original Assignee
Toshiba Tungaloy Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Tungaloy Co Ltd filed Critical Toshiba Tungaloy Co Ltd
Priority to JP14348397A priority Critical patent/JPH10317123A/ja
Publication of JPH10317123A publication Critical patent/JPH10317123A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (TiAl)化合物の被膜を被覆した従来の
被覆部材は、X線回折した場合に(111)結晶面が最
大のピークとなる(111)結晶面に配向されているた
めに、破壊靭性値が低下すること、特に高速切削用切削
工具として用いると、高温による被膜の酸化,急激な摩
耗の進行,熱衝撃性による劣化および被削材との溶着に
より短寿命になるという課題がある。また、結晶配向さ
せたTi化合物の被膜を被覆した従来の被覆部材は、膜
自体が脆性なために切削用工具のような苛酷な用途では
剥離またはチッピングを生じ易くて短寿命になるという
課題がある。 【解決手段】 基材の上に、チタンとアルミニウムとの
窒化物,炭窒化物,窒酸化物,炭酸化物,炭窒酸化物の
中の1種の単層または2種以上の多層からなる被膜を被
覆した被覆部材において、該被膜は、X線回折により求
めた結晶面のピーク強度が(200)結晶面に最大高さ
を有することを特徴とする結晶配向性硬質被覆部材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属、合金または
セラミックス焼結体の基材上に(200)結晶面を成長
させたチタンとアルミニウムとの窒化物,炭窒化物,窒
酸化物,炭酸化物,炭窒酸化物でなる(TiAl)化合
物の被膜を被覆した結晶配向性硬質被覆部材に関し、具
体的には、金属、合金またはセラミックス焼結体の基材
上に耐剥離性に優れた高硬度、高靭性の(TiAl)化
合物の被膜を被覆して、例えば旋削工具,フライス工
具,ドリル,エンドミルに代表される切削用工具、スリ
ッタ−などの切断刃,裁断刃とダイス,パンチなどの型
工具とノズルなどの耐腐食耐摩耗部材に代表される耐摩
耗用工具、トンネル掘削用ビット,建築工具に代表され
る土木建設用工具として最適な結晶配向性硬質被覆部材
に関する。
【0002】
【従来の技術】金属、合金およびセラミックスの基材上
に厚さが20μm以下のセラミックスの被膜を被覆し、
基材と被膜とのそれぞれの特性を有効に引き出して、長
寿命を達成しようとした被覆部材が多数提案されてい
る。この被覆部材に被膜を被覆する方法は、大別すると
化学蒸着法(CVD法)と物理蒸着法(PVD法)があ
る。これらのうち、特にPVD法により被覆された被膜
は、基材の強度を劣化させることなく耐摩耗性を高める
利点がある。そのために、一般に強度,耐欠損性を重要
視するドリル、エンドミル、フライス用スロ−アウェイ
チップに代表される被覆切削工具の被膜は、PVD法に
より被覆されているのが現状である。
【0003】従来から耐摩耗性を向上させるために窒化
チタンを代表とするTi化合物の被膜を被覆することは
よく知られている。しかしながら、窒化チタンを代表と
する金属窒化物は高温で酸化されやすく、耐摩耗性が著
しく劣化するという問題がある。この窒化チタン被膜の
酸化の問題を改善しょうとして1980年代中頃から提
案されたものに、(TiAl)化合物の被膜に代表され
る被覆部材に関するものがあり、その代表的なものとし
て特開昭62−56565号公報,特開平6−2105
02号公報,特開平6−210511号公報および特開
平7−197235号公報がある。
【0004】一方、基材の表面に被覆する被膜を結晶配
向させて、被膜の付着性を高めることが提案されてお
り、その代表的なものとして特開昭56−156767
号公報,特開平2−159363号公報,特開平5−2
87322号公報,特開平5−287323号公報およ
び特開平5−295517号公報がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】(TiAl)化合物の
被膜に関する先行技術としての特開昭62−56565
号公報,特開平6−210502号公報,特開平6−2
10511号公報および特開平7−197235号公報
には、基材の表面に(TiAl)の炭化物,窒化物およ
び炭窒化物のうちの1種の単層または2種以上の多層で
なる硬質被膜層を形成した耐摩耗性に優れた表面被覆硬
質部材について開示されている。
【0006】これらの公報に開示の表面被覆硬質部材に
代表される従来の(TiAl)化合物の被膜は、開発当
初の通りにTi化合物の被膜に比べて耐酸化性および耐
摩耗性の向上した被膜ではあるが、(111)結晶面が
成長した(TiAl)化合物の被膜であって、被膜と基
材との密着性が劣ること、被膜自体の機械的性質が劣化
しやすいことから、工具、特に苛酷な条件で用いられる
切削工具へ適用した場合に切削性能が低下するという問
題がある。つまり、同公報に記載の表面被覆硬質部材
は、被膜中にAlを含有させることにより、Ti化合物
の被膜に比較して被膜表面における化学的性質の向上を
達成した反面、基材と被膜との界面における結晶構造的
な配慮がされていないことから、被膜の耐剥離性および
強度が劣り、表面被覆硬質部材の破壊靭性値および耐欠
損性が低下すること、特に高速切削用工具として用いる
と、高温による被膜の酸化,急激な摩耗の進行,熱衝撃
性による劣化および被削材との溶着により短寿命になる
という問題がある。
【0007】一方、結晶配向された被膜に関する先行技
術としての特開昭56−156767号公報,特開平2
−159363号公報,特開平5−287322号公
報,特開平5−287323号公報および特開平5−2
95517号公報には、窒化チタン,炭化チタン,炭窒
化チタンでなるTi化合物の被膜を結晶配向して基材の
表面に被覆した被覆硬質部材について開示されている。
【0008】これらの結晶配向に関する公報に開示され
ている被覆硬質部材は、被膜の結晶面を配向することに
より、被膜と基材との密着性が向上してはいるものの、
被膜中にAlが含有されていないTi化合物の被膜であ
ることから、被膜自体の機械的性質が低く、被膜の強
度,硬度,耐摩耗性,耐熱性および耐酸化性に未だ満足
できないという問題がある。
【0009】本発明は、上述のような問題点を解決した
もので、具体的には、低温領域から高温領域に至るまで
の広い領域において、高靭性,高硬度性,耐摩耗性,耐
酸化性,耐熱衝撃性,耐欠損性,耐溶着性のある被膜お
よび耐剥離性の被膜を被覆することにより一層長寿命と
なる結晶配向性硬質被覆部材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】本発明者らは、超硬合金の基材上に(Ti
Al)化合物の被膜を被覆した被覆部材が、低温領域で
使用すると割合に優れた効果を発揮するのに対し、高温
領域で使用するとその効果が低減されるという問題を検
討していたところ、詳細な理由は明確ではないが、基材
上に被覆される従来の(TiAl)化合物の被膜は(1
11)結晶面を成長させた被覆膜であること、この(1
11)結晶面を成長させた(TiAl)化合物の被膜に
対比して、(200)結晶面を成長させた(TiAl)
化合物の被膜の方が少々高硬度の傾向となること、耐剥
離性,耐酸化性,耐熱衝撃性にすぐれること、また低温
から高温の領域に至るまで耐摩耗性の低減が生じないこ
と、これらが複合されて長寿命になるという知見を得
て、本発明を完成するに至ったものである。
【0011】本発明の硬質被覆部材は、基材の上に、チ
タンとアルミニウムとの窒化物,炭窒化物,窒酸化物,
炭酸化物,炭窒酸化物の中の1種の単層または2種以上
の多層からなる被膜を被覆した被覆部材であって、X線
回折により求めた該被膜の結晶面のピーク強度が(20
0)結晶面に最大高さを有することを特徴とするもので
ある。
【0012】
【発明の実施の態様】本発明の硬質被覆部材における基
材は、材質的には、特に制限されることがなく、被膜を
被覆するときに加熱する温度に耐えることができる材
質、例えば金属部材,焼結合金またはセラミックス焼結
体ならば問題がなく、具体的には、例えばステンレス
鋼,耐熱合金,高速度鋼,ダイス鋼,Ti合金,Al合
金に代表される金属部材、超硬合金,サ−メット,粉末
ハイスに代表される焼結合金、Al23系焼結体,Si
34系焼結体,サイアロン系焼結体,ZrO2系焼結体
に代表されるセラミックス焼結体を挙げることができ
る。これらのうち、切削用工具または耐摩耗用工具とし
て用いるときには、超硬合金,窒素含有TiC系サ−メ
ットもしくはセラミックス焼結体の基材が好ましい。
【0013】この基材上に被覆される被膜の組成成分
は、具体的には、例えば(Ti,Al)N、(Ti,A
l)CN、(Ti,Al)NO、(Ti,Al)CO、
(Ti,Al)CNOの中の1種の単層または2種以上
の多層を挙げることができる。この被膜は、被膜中に含
有する金属元素であるTi元素対Al元素の原子比率が
48〜75:52〜25であると、高硬度になること、
耐剥離性,耐酸化性,耐熱衝撃性にすぐれること、長寿
命になることから好ましいことである。この被膜は、化
学量論組成または非化学量論組成からなる場合でもよ
い。
【0014】また、被膜表面からX線回折した場合に、
従来の(TiAl)化合物の被膜は、(111)結晶面
が最大の強度ピークとなる(111)面に結晶配向され
た被膜であるのに対し、本発明の硬質被覆部材における
被膜は、(200)結晶面が最大の強度ピークとなる
(200)面に結晶配向された被膜である。別の表現を
すると、この本発明の硬質被覆部材における被膜は、X
線回折における(200)結晶面と(111)結晶面に
よるそれぞれの強度ピークの高さをh(200),h
(111)としたときに、h(200)>h(111)
の関係にあればよく、後述する効果を高めるために、
(111)結晶面に対する(200)結晶面の強度比が
2〜100の関係にあることが好ましいことである。す
なわち、X線回折における(200)結晶面と(11
1)結晶面により求めた、それぞれの強度ピークの高さ
がh(200)/h(111)=2〜100の関係にあ
ることが好ましいことである。この被膜は、用途または
形状により被膜厚さを選定する必要があり、工具として
の用途では、0.1〜10μmでなる膜厚さでなること
が好ましく、特に過酷な用途であるドリル,エンドミ
ル,リーマに代表される回転切削工具の場合には、膜厚
さが0.5〜5μmであることが好ましいことである。
【0015】本発明の硬質被覆部材は、結晶配向された
被膜により前述の基材との密着性が向上するという効果
があるが、熱膨張係数に代表される問題から基材の材質
によっては密着性に対する効果がほとんどなくなる場合
がある。この場合には、基材と被膜との間に中間層を介
在させることも好ましいことである。中間層としては、
基材と被膜との中間の熱膨張係数を有する物質,傾斜組
成成分,などにより形成することができる。また、結晶
配向された被膜の表面に最上層を形成することも好まし
いことである。
【0016】この中間層は、具体的には、例えばTi
C,ZrC,HfC,TaC,NbC,VC,WC,M
2C,Cr32,TiN,ZrN,HfN,TaN,
CrN,Ti(CN),(TiW)C,(TiTa)
C,(TiTa)CN,(TiTa)Nを挙げることが
できる。これらの中間層は、1種の単層または2種以上
の多層として形成することができる。また、中間層と基
材との間に、基材との親和性の高い下地層、例えばT
i,TiAl,Ti3Al,TiAl3,W,に代表され
る金属または合金,WC,Mo2C,Cr2N,TaN,
VB2,NbB2,TaB2,W25,MoB2,CrB2
の六方晶結晶構造でなるセラミックスの中から選ばれた
1種の単層または2種以上の複層でなる下地層を形成す
ることも好ましいことである。この中間層の膜厚さは、
中間層の表面に被覆される硬質膜が密着性を高めること
ができる膜厚さであればよく、具体的には、例えば0.
01〜5μm厚さ、特に0.01〜1μm厚さでなるこ
とが好ましい。
【0017】結晶配向された被膜の表面に被覆する最上
層は、より耐熱性,耐酸化性を高める目的、表面の着
色,使用前後の判別等のために形成し、具体的には、例
えばAl23,(AlSi)ON,(TiAlSi)
N,(TiAlSi)ON,TiC,ZrC,HfC,
TaC,NbC,VC,WC,Mo2C,Cr32,T
iN,ZrN,HfN,TaN,CrN,Ti(C
N),(TiW)C,(TiTa)C,(TiTa)C
N,(TiTa)Nの中の1種の単層または2種以上の
多層でなる場合を挙げることができる。この最上層の膜
厚さは、目的により異なるが、具体的には、例えば0.
1〜5μm厚さでなることが好ましい。
【0018】本発明の硬質被覆部材を作製する場合に、
まず基材は、従来から市販されているステンレス鋼,耐
熱合金,高速度鋼,ダイス鋼,Ti合金,Al合金に代
表される金属部材、超硬合金,サ−メット,粉末ハイス
の焼結合金、Al23系焼結体,Si34系焼結体,サ
イアロン系焼結体,ZrO2系焼結体のセラミックス焼
結体を基材とし、好ましくはJIS規格B4053の超
硬合金の使用選択基準の中で分類されているP20〜P
40,M20〜40およびK10〜K20相当の超硬合
金材質、特に好ましくはP30,M20,M30,K1
0相当の超硬合金材質でなる基材を用いればよい。この
基材の表面を、必要に応じて研磨し、超音波,有機溶剤
などによる洗浄処理を行った後、従来から行われている
物理蒸着法(PVD法),化学蒸着法(CVD法)また
はプラズマCVD法により基材上に被膜を被覆すること
により作製することができる。
【0019】基材上に被膜を被覆する場合は、必要に応
じて被覆する下地層や中間層を含めて、それぞれの膜質
に応じてPVD法,CVD法,またはプラズマCVD法
を使い分けることもできる。これらのうち、製造工程上
から全ての被膜を、イオンプレ−ティング法またはスパ
ッタリング法に代表されるPVD法で行うことが好まし
く、この中でもイオンプレ−ティング法、特にア−クイ
オンプレ−ティング法で被覆処理することが好ましい。
【0020】本発明の高強度被覆部材における被膜をイ
オンプレ−ティング法で作製する場合について、さらに
詳述すると、蒸発源としては金属チタン、金属アルミニ
ウムの2種類を独立して用いてもよく、Ti−Al合
金,TiAl金属間化合物を使用してもよい。金属のイ
オン化の方法もア−ク放電の他、グロ−放電または高周
波加熱などのいずれでもよい。イオンプレ−ティング法
で使用するガスは、窒化物を生成するためのガス、すな
わち窒素ガスの他、窒素を含んだアンモニアなどの窒素
源ガスを用いてもよい。この反応ガスを炉内に導入し、
蒸発源としての金属,合金,金属間化合物をイオン化
し、基材に負のバイアスを印加すると膜の結晶配向が容
易となることから好ましい。特に、(200)結晶面の
含有率を高めて結晶配向した(TiAl)化合物の被膜
を形成するためには、被膜形成前の基材表面を洗浄する
ためのボンバード条件と被膜形成時における窒素ガスお
よび/または窒素源ガスの分圧,基材へのバイアス電圧
の調整が重要である。
【0021】
【作用】本発明の硬質被覆部材は、(200)結晶面に
配向された(Ti,Al)化合物の被膜が被膜硬さを高
め、膜全体の破壊靭性値および耐摩耗性を向上させる作
用をし、かつ基材と被膜との界面近傍に残留する応力を
緩和する作用をし、特に超硬合金でなる基材の場合に
は、被膜中への残留圧縮応力を高めて、基材との密着性
を高める作用をしているものである。
【0022】
【実施例1】市販されている形状SNGA120408
の超硬合金(JIS規格B4053のK10相当材質)
を基材とし、この基材表面を有機溶剤で洗浄した後、ア
ーク放電プラズマPVD装置のチャンバー内に設置し、
(逃げ面とすくい面へ同時に被覆できる治具を用いて設
置)、チャンバー内の初期条件を、温度:600℃,圧
力:1×10-4Torrの真空とし、60分間保持し
た。次いで、圧力:1×10-3Torrの真空とし,ア
ーク電流:60A,基材バイアス:−600Vとし、表
1に示した保持時間によりボンバード処理を施した。そ
の後、TiAl金属間化合物含有の蒸発源を用いて表1
に併記した圧力,アーク電流,基材バイアス,窒素流
量,保持時間により処理して、基材表面に被膜を被覆
し、本発明品1〜16を得た。
【0023】比較として、ボンバード処理条件を、圧
力:1×10-5Torrの真空とし,アーク電流:10
0A,基材バイアス:−800Vとした以外は、表1に
併記した条件により処理し、他は本発明品1とほぼ同様
として比較品1を得た。こうして得た本発明品1〜16
と比較品1に、市販されている(TiAl)Nの被覆膜
が被覆されている比較品2,3を追加して、それぞれの
被膜を、X線回折して、被膜の組成と結晶面の強度比を
調査し、被膜が全て(TiAl)Nの組成からなってい
ること、被膜の結晶面の強度比が表2に示した結果であ
ることを確認した。また、X線回折装置およびグロー放
電発光分析装置を用いて、本発明品1〜16および比較
品1の被膜中に存在するTi元素とAl元素の原子比率
を求めた結果、ほぼTi:Al=60〜62:40〜3
8の範囲からなる(TiAl)Nの被膜であった。
【0024】次いで、走査型電子顕微鏡,ビッカース硬
度測定機,引っ掻き摩耗試験機に相当する被膜剥離試験
機を用いて、本発明品1〜16および比較品1〜3の被
膜厚さ,被膜硬さの測定、ならびに被膜の耐剥離性とし
て、被膜が剥離されるまでの臨界剥離荷重を求めるスク
ラッチ強度を測定し、それぞれの被膜厚さが約3.0μ
mであること、被膜硬さ,被膜のスクラッチ強度が表2
に示した結果であることを確認した。
【0025】次に、本発明品1〜16および比較品1〜
3を用いて被削材:S48C(HB205〜223)、
切削速度150m/min、送り:0.3mm/re
v、切込み:1.5mm、チップ形状:SNGA120
408,乾式切削試験による切削条件により旋削試験を
行い、被膜の剥離,チッピングまたは平均逃げ面摩耗幅
が0.1mmに達したときを寿命とし、寿命までの切削
時間を求めて表2に併記した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【実施例2】被膜の被覆条件を、表3に示した条件で行
った以外は、チャンバ内の初期条件.およびボンバード
条件を実施例1の本発明品3の条件とほぼ同様に処理を
して、被膜厚さの異なる本発明品17〜22を得た。ま
た、実施例1と同様にして、これらの本発明品17〜2
2の被膜の組成と結晶面の強度比を調査し、被膜が全て
(TiAl)Nの組成からなっていること、被膜の結晶
面の強度比であるh(200)/h(111)が約5.
0でなることを確認した。同様にX線回折装置およびグ
ロー放電発光分析装置を用いて、本発明品17〜22の
被膜中に存在するTi元素とAl元素の原子比率を求め
た結果、ほぼTi:Al=60〜62:40〜38の範
囲からなる(TiAl)Nの被膜であった。次いで、実
施例1と同様にして、これらの本発明品17〜22の被
膜厚さ,被膜硬度,被膜のスクラッチ強度および寿命ま
での切削時間を求めて、その結果を表4に示した。
【0029】
【表3】
【0030】
【表4】
【0031】
【実施例3】被膜の被覆条件における使用ターゲットお
よびその他を、表5に示した条件で行った以外は、チャ
ンバ内の初期条件およびボンバード条件を実施例1の本
発明品3の条件とほぼ同様に処理をして、被膜中のTi
元素とAl元素の原子比率の異なる本発明品23〜31
を得た。また、実施例1と同様にして、これらの本発明
品23〜31の被膜の組成と結晶面の強度比を調査し、
被膜が全て(TiAl)Nの組成からなっていること、
被膜の結晶面の強度比h(200)/h(111)が約
5.0でなることを確認した。同様にX線回折装置およ
びグロー放電発光分析装置を用いて、本発明品23〜3
1の被膜中に存在するTi元素とAl元素の原子比率を
求めて、その結果を表6に示した。次いで、実施例1と
同様にして、これらの本発明品23〜31の被膜厚さ,
被膜硬度,被膜のスクラッチ強度および寿命までの切削
時間を求めて、その結果を表6に併記した。
【0032】
【表5】
【0033】
【表6】
【0034】
【実施例4】被膜の被覆時に窒素ガスを導入したのに対
し、アンモニアガスとメタンガスとの混合ガスを使用し
た以外は、実施例1の本発明品3の条件とほぼ同様にし
て、本発明品32を得た。また、被膜の被覆時に窒素ガ
スを導入したのに対し、アンモニアガスと一酸化炭素と
の混合ガスを使用した以外は、実施例1の本発明品3の
条件とほぼ同様にして、本発明品33を得た。さらに、
被膜の被覆時に窒素ガスを導入したのに対し、アンモニ
アガスとメタンガスと一酸化炭素との混合ガスを使用し
た以外は、実施例1の本発明品3の条件とほぼ同様にし
て、本発明品34を得た。
【0035】こうして得た本発明品32〜34の被膜
を、実施例1と同様にして調べたところ、本発明品32
の被膜は、(TiAl)NCの組成であり、本発明品3
3の被膜は、(TiAl)NOの組成であり、本発明品
34の被膜は、(TiAl)NCOの組成であった。こ
の本発明品32〜33について、実施例1と同様に被膜
のスクラッチ強度および寿命までの切削時間をそれぞれ
調べた結果、ほぼ本発明品3と同様の傾向を示した。
【0036】
【発明の効果】本発明の硬質被覆部材は、従来の(11
1)結晶面に配向した(TiAl)Nの被膜を被覆した
比較品に対比して、被膜の耐剥離性が優れており、かつ
被膜自体が高硬度,高靭性,耐摩耗性,耐酸化性,耐熱
衝撃性,耐欠損性,耐溶着性を有していることから、こ
の分野での中速切削領域から高速切削領域に相当する領
域において、長寿命になるという効果がある。したがっ
て、本発明の硬質被覆部材は、従来の被覆部材の領域で
ある低速切削領域から高速切削領域に至るまで広い領域
で長寿命を達成できるという優れた効果があること、従
来の比較品に対比して、特にフライス用切削工具,エン
ドミルおよびドリルとしての回転切削工具として長寿命
が期待されること、また高靭性および高硬度な被膜を被
覆した被覆部材であることから、軽切削領域から重切削
領域においても優れた効果を発揮できるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C23C 30/00 C23C 30/00 C // B23B 27/14 B23B 27/14 A

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の上に、チタンとアルミニウムとの
    窒化物,炭窒化物,窒酸化物,炭酸化物,炭窒酸化物の
    中の1種の単層または2種以上の多層からなる被膜を被
    覆した被覆部材において、該被膜は、X線回折により求
    めた結晶面のピーク強度が(200)結晶面に最大高さ
    を有することを特徴とする結晶配向性硬質被覆部材。
  2. 【請求項2】 上記基材は、超硬合金またはサーメット
    の焼結合金からなることを特徴とする請求項1記載の結
    晶配向性硬質被覆部材。
  3. 【請求項3】 上記被膜は、X線回折により求めた(1
    11)結晶面に対する(200)結晶面の強度比が2〜
    100であることを特徴とする請求項1または2記載の
    結晶配向性硬質被覆部材。
  4. 【請求項4】 上記被膜は、膜厚さが0.5μm〜5μ
    mであることを特徴とする請求項1,2または3記載の
    結晶配向性硬質被覆部材。
  5. 【請求項5】 上記被膜は、該被膜中に含有する金属元
    素であるTi元素対Al元素の原子比率が、48〜7
    5:52〜25であることを特徴とする請求項1,2,
    3または4記載の結晶配向性硬質被覆部材。
  6. 【請求項6】 上記硬質被覆部材は、回転切削工具とし
    て用いられることを特徴とする請求項1,2,3,4ま
    たは5記載の結晶配向性硬質被覆部材。
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