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JPH10252688A - 遠心圧縮機装置及びその運転方法 - Google Patents

遠心圧縮機装置及びその運転方法

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Publication number
JPH10252688A
JPH10252688A JP6043097A JP6043097A JPH10252688A JP H10252688 A JPH10252688 A JP H10252688A JP 6043097 A JP6043097 A JP 6043097A JP 6043097 A JP6043097 A JP 6043097A JP H10252688 A JPH10252688 A JP H10252688A
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JP
Japan
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shaft sealing
oil
centrifugal compressor
shaft
sealing oil
Prior art date
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Application number
JP6043097A
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Atsushi Ito
篤志 伊藤
Hiroyasu Sakashita
博康 坂下
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】多段遠心圧縮機に用いられるオイルフィルムシ
ール型の軸封装置の小型化と高信頼性化を達成する。 【解決手段】遠心圧縮機本体17の両端部には、作動ガ
スの漏洩を防止する軸封装置31が設けられている。こ
の軸封装置31へは、オイルリザーバタンク16から軸
封油が調節弁4により流量調整されて送られる。軸封装
置31はシールオイルヘッドタンク13の上部と連結さ
れており、一方、タンク13の下部は遮蔽弁12を介し
て調節弁4の出口側と配管18で連結されている。軸封
装置31から排出される排油の温度がしきい値を超えた
ときヘッドタンク13内の軸封油のヘッドを利用して作
動ガスを押し戻し、圧縮機本体17からの作動ガスの漏
洩を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は遠心圧縮機装置及び
その運転方法に係り、特に多段の遠心圧縮機装置及びそ
の運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】発火性を有するガスまたは有害なガスを
取り扱う遠心圧縮機装置では、ケーシングの外部にガス
の漏洩を防止するシールリングを軸封機構として使用し
ている。この軸封機構は、大気側のシールリングとガス
側のシールリングを備えており、それぞれのリングとス
リーブのすき間に油を供給してガスが外部に漏れるのを
防止している。この油の供給用として給油装置を備えて
いる。
【0003】この一般に用いられている遠心圧縮機装置
の軸封機構に用いられる給油方式の一例がエー・ピー・
アイ スタンダード 614(API Standard 614, " Lu
bri-cation, Shaft-Sealing, and Control-Oil Systems
for Special-Purpose Appl-ications" , Third Editio
n, August 1992, American Petroleum Institute)の第
42及び49頁に記載されている。この従来技術におい
ては、オイルポンプで昇圧された油はオイルクーラおよ
びオイルフィルタを経て、調節弁で油量が調節された後
シールリングに必要な量だけ供給されている。また、シ
ールオイルヘッドタンクに所定量の油を蓄えるととも
に、取扱ガスの配管をヘッドタンクの上部に接続してタ
ンク内部の圧力が常にガス圧と等しくなるように、この
タンクを遠心圧縮機の軸封機構より垂直方向に高い適切
な位置に設置している。
【0004】遠心圧縮機装置の軸封機構の他の例が、特
開平5−195987号公報に記載されている。この公
報に記載のものは、上記した軸封機構にさらに大気側シ
ールリングを冷却するための給油ラインおよび排油ライ
ンを設け、大気側フロートリングに冷却用の油を供給し
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の多段遠心圧
縮機装置に用いられる軸封機構においては、ガス側に配
設したシールリングに供給される軸封油と作動ガスの差
圧を所定圧力に保つため、シール用のオイルヘッドタン
クを遠心圧縮機装置の軸封機構よりも垂直方向に高い適
当な位置に設置している。これにより、タンク内部の液
面が一定位置に保たれ、所定差圧を発生する。その結
果、シールリングを流れる油量は作動ガスの圧力が変動
してもほぼ一定に制御される。
【0006】ところで、大気側のシールリングには軸封
油の圧力と大気圧との差圧が加わるので、作動ガスの圧
力が変動するとそれに伴って供給軸封油の圧力も変化
し、大気側のシールリングを流れる油量が大きく変化す
る。軸封油の圧力(供給圧力)に対する大気側シールリ
ングの排油温度及び油の流量との関係は、図3にその一
例を示すように表される。図3から明らかなように、軸
封油の供給圧力が低いと排油温度が高くなり、逆に供給
圧力が高いと排油温度が下がるが油量は増加する。
【0007】作動ガスの圧力の変動幅が大きい遠心圧縮
機装置において、大気側シールリングとスリーブ間のす
き間を小さくすると、作動ガスの圧力が低くなったとき
に排油温度が高くなり、シールリングの焼損限界値T1
を越える恐れを生じる。逆に、上記すき間を大きくする
と、作動ガスの圧力が大きくなった時に油量がQ2で表
される量まで大きくなり、オイルポンプやタンクのサイ
ズを大きくする必要が生じる。このため、作動ガスの圧
力変動が大きい遠心圧縮機装置に、オイルフィルムシー
ルを適用するのは困難であった。
【0008】そこで、圧力変動が大きい遠心圧縮機装置
にオイルフィルムシールを適用可能にするため、例えば
特開平5−195987号公報に記載のものにおいて
は、大気側フロートリングの排油ラインに温度コントロ
ーラを取付け、排油温度が限界値を越えたときに、大気
側フロートリングを冷却する給油ラインおよび排油ライ
ンを新たに設けている。そして、この両ラインに調節弁
を取り付け、この調節弁に温度コントローラから排油温
度を下げる信号を送っている。しかしながら、この公報
に記載のものは、新たに給油ラインと排油ラインを設け
る必要がある上、遠心圧縮機装置のシールハウジング内
部にも冷却用の内部配管を装備する必要があり、遠心圧
縮機装置及び給油装置の構造が複雑になっている。
【0009】本発明の目的は、簡単な構造で作動ガスの
シールが可能な軸封システムを備えた遠心圧縮機装置及
びその運転方法を提供することにある。本発明の他の目
的は、作動ガスのシールの信頼性を高めた軸封システム
を備えた遠心圧縮機装置及びその運転方法を提供するこ
とにある。本発明のさらに他の目的は、遠心圧縮機装置
の軸封システムを構成する給油ポンプやタンク等の構成
機器を小型化した遠心圧縮機装置及びその運転方法を提
供することにある。本発明の他の目的は、遠心圧縮機装
置の軸封システムに用いられるシールリングの焼損を防
止することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の第1の態様は、少なくとも1枚の遠心羽根車
を有する遠心圧縮機本体と、この遠心圧縮機本体に設け
た吸込口から吸い込まれ吐出口から吐出される作動ガス
の遠心圧縮機本体からの漏洩を防止する軸封手段とを備
えた遠心圧縮機装置において、この軸封手段に給油する
給油手段と、この軸封手段から排出される油の温度を検
出する検出手段と、給油手段中を流通する油を加圧する
加圧手段と、検出手段の出力に基づいて給油手段中を流
れる油の流量及び圧力を制御する制御手段とを設けもの
である。
【0011】上記目的を達成するための本発明の第2の
態様は、回転軸と、この回転軸に取り付けられた少なく
とも1枚の遠心羽根車と、この回転軸を支持し回転軸の
両端部に設けられた軸受手段と、前記遠心羽根車を囲む
ケーシングと、を有する遠心圧縮機本体と、この遠心圧
縮機本体が圧縮する作動ガスが遠心圧縮機本体から漏洩
するのを防止し軸受手段近傍に設けられた軸封手段とを
備えた遠心圧縮機装置において、軸封手段に軸封油を供
給する軸封油供給手段と、この軸封油の油量を制御する
制御弁と、軸封油供給手段が供給する軸封油を加圧する
ために軸封油供給手段中に開閉弁を介して配設されたヘ
ッドタンクと、軸封手段から排出される軸封油の温度を
検出する温度検出手段と、この温度検出手段が検出した
温度に基づいて制御弁を制御する制御手段とを設けたも
のである。
【0012】そして好ましくは、制御装置は、温度検出
手段が検出した温度が上昇したときに軸封油の流量を増
加させるように制御弁を制御するか、または制御装置
は、温度検出手段が検出した温度が設定値を超えたとき
に開閉弁を開くように制御するものである。
【0013】上記目的を達成するための本発明の第3の
態様は、回転軸と、この回転軸に取り付けられた少なく
とも1枚の遠心羽根車と、前記遠心羽根車を囲むケーシ
ングと、を有する遠心圧縮機本体と、この遠心圧縮機本
体が圧縮する作動ガスが遠心圧縮機本体から漏洩するの
を防止し回転軸の端部に配設された軸封手段とを備えた
遠心圧縮機装置において、軸封手段に軸封油を供給する
軸封油供給手段と、この軸封油の油量を制御する制御弁
と、軸封油供給手段が供給する軸封油を加圧し軸封油供
給手段中に弁を介して配設されたヘッドタンクと、軸封
手段から排出される軸封油の温度を検出する軸封油温度
検出手段とを設け、ヘッドタンクをこのヘッドタンク内
に収容される軸封油の液面を軸封手段の位置より高くで
きる位置に配設したものである。
【0014】上記目的を達成するための本発明の第4の
態様は、遠心圧縮機装置の有する軸封手段を用いて作動
ガスが圧縮機本体から漏洩するのを防止する遠心圧縮機
装置の運転方法において、軸封手段で軸封に用いられた
軸封油の温度が設定値以下のときに軸封油の流量を軸封
油温度に基づいて制御する第1のモードと、温度が設定
値を超えたときにこの軸封油を加圧する第2のモードと
を備えたものである。
【0015】そして好ましくは、第2のモードにおいて
は軸封油の流量をほぼ一定値に保持するか、または第2
のモードにおいて、遠心圧縮機本体から吐出される作動
ガスの圧力が所定圧力に達したら第1のモードに復帰す
るものである。
【0016】上記目的を達成するための本発明の第5の
態様は、遠心圧縮機装置の有する軸封手段を用いて作動
ガスが圧縮機本体から漏洩するのを防止する遠心圧縮機
装置の運転方法において、作動ガスの吐出圧力に基づい
て制御する第1のモードと、この吐出圧力が設定値を超
えたら軸封手段に流通する軸封油を加圧する第2のモー
ドとを備えたものである。
【0017】上記目的を達成するための本発明の第6の
態様は、回転軸と、この回転軸に取り付けられた少なく
とも1枚の遠心羽根車と、遠心羽根車を囲むケーシング
と、を有する遠心圧縮機本体と、この遠心圧縮機本体が
圧縮する作動ガスが遠心圧縮機本体から漏洩するのを防
止し回転軸の端部に配設された軸封手段とを備えた遠心
圧縮機装置において、軸封手段に軸封油を供給する軸封
油供給手段と、この軸封油の油量を制御する制御弁と、
軸封油供給手段が供給する軸封油を加圧し軸封油供給手
段中に弁を介して配設されたヘッドタンクと、軸封手段
から排出される軸封油の温度を検出する軸封油温度検出
手段とを設け、前記ヘッドタンク内に収容される軸封油
の設定液面が前記軸封手段の位置より5ないし10mの
範囲内で高くなっているものである。
【0018】換言すれば、大気側シールリングの排油ラ
インに温度コントローラを取付け、排油温度が限界値に
近づいたならば、シールオイルヘッドタンクへの給油を
遮断し、給油量の制御をシールオイルヘッドタンクの液
面一定制御から大気側フロートリングの排油温度一定制
御に切替え、ガス圧とは無関係に温度コントローラの信
号により給油量調節弁の開度を開方向に大きくする。そ
して好ましくは、モードの切り替え時に用いる給油圧の
急変を防止するバンプレス切り替えモードを備えるか、
または、大気側シールリング部から排出される軸封油の
温度が上昇したら、遠心圧縮機の回転数に応じて軸封油
の供給圧力を制御するようにしたものである。
【0019】また、ガス圧力が低下した時、大気側シー
ルリングに加わる差圧は小さくなり、大気側シールリン
グを流れる油の量が減少するため、排油温度が上昇し、
シールリングの焼損限界値に近づく。排油温度が限界値
に近づき、予め設定したしきい値を越えたならば給油ラ
インとシールオイルヘッドタンクとの間の遮断弁を全閉
とし、同時に調節弁を開として軸封油の供給圧を上昇さ
せ大気側シールリングへの油の供給量を増加し、排油温
度を限界値以下の一定温度となるようにする。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明のいくつかの実施例
を図1ないし図6により説明する。図1に、本発明の第
1の実施例に係る遠心圧縮機本体17の縦断面図と、こ
の遠心圧縮機本体17に用いられる軸封システムの各機
器の接続関係を模式的に示す。遠心圧縮機本体17は、
多段の遠心圧縮機からなる。シャフト9には、多段の
(図1では5枚の)遠心羽根車21が、取り付けられて
おり、各段の羽根車21の上流側には吸込流路22が、
下流側には羽根付きまたは羽根なしディフューザ23が
形成されている。最終段を除く各段のディフューザ23
のさらに下流には戻り流路24が形成されており、次段
への作動ガスの円滑な流入を可能にしている。最終段の
ディフューザ23の下流には需要元へこの遠心圧縮機本
体17で圧縮された作動ガスを導くためにスクロール部
25が形成されている。吸込流路22、羽根車21、デ
ィフューザ23、戻り流路24、およびスクロール部2
5の回りを囲んでケーシング26が配設されている。シ
ャフト9の端部には、このシャフト9を回転支持するた
めラジアル軸受27a、27bおよびスラスト軸受28が
取り付けられており、これら軸受は後述する軸封装置3
1に取り付けられた軸受箱32a、32bに保持される。
このように構成した多段の遠心圧縮機本体17では、図
示しない駆動機に接続されたシャフト9が回転駆動され
ると、吸込口29から吸い込まれた作動ガスは各段の羽
根車21によりエネルギーを付与されて圧縮され、各段
を経る毎に順次高圧となり、最終的に吐出口30より所
定圧力(0.3Mpa〜20Mpa)で吐出される。
【0021】ところで、作動ガスの一部は羽根車21の
回転運動を円滑にするために遠心圧縮機本体17の内部
に形成された隙間を通して遠心圧縮機本体17の外部へ
漏れようとする漏れ流れとなる。すなわち、羽根車21
のマウスリング部33や羽根車出口部34から漏れる高
圧の作動ガスは、この作動ガスの流れを防止するために
ケーシング26やシャフト9に取り付けられたラビリン
スシール35、36等へ流入し、そこで降圧される。し
かし、降圧されてもなお漏れガスの圧力が雰囲気圧力よ
り高いと、作動ガスはシャフト9端部に設けられた軸封
装置31へと流入する。
【0022】この軸封装置31の詳細を図2に示す。水
素ガスや炭化水素系ガス等の発火性のガスまたは硫化水
素等の有害ガスからの腐食や損傷を防止するために、シ
ャフト9はステンレス鋼製のスリーブ10で覆われてい
る。下流側から漏れてきた発火性または有害ガスは、回
転するシャフト9を覆うスリーブ10とシールリングホ
ルダ8の内周面側との間に形成される隙間から遠心圧縮
機本体17の外部へ漏れようとする。この漏れ流れを阻
止するために、軸受27a、27b、28等を潤滑する潤
滑油の一部を軸封装置31に導き漏れ流れに対抗させて
いる。なお、軸受潤滑油と軸封油は圧力レベル等を考慮
して別に供給されてもよい。
【0023】シールリングホルダ8に保持されたガス側
シールリング5と、シールリングホルダ7に保持された
大気側シールリング6との2個のシールリングを、スリ
ーブ10との間に隙間をもたせてほぼ並行に配置する。
この2つのシールリング5、6間には圧縮バネが設けら
れており、このバネが各シールリング5、6をそれぞれ
のホルダ7、8に押しつけている。シールリングホルダ
ー8には、ガス側シールリング5の背面に形成した溝
部、このガス側シールリング5の外周部複数箇所に設け
た軸方向スリット、2つのシールリング5、6間隙間、
各シールリング5、6とスリーブ10間の隙間を順次軸
封油が流れるように流路が形成されている。
【0024】次に上述した軸封装置31への給油系を図
1を用いて説明する。オイルリザーバタンク16に保有
された軸封油はオイルポンプ1により昇圧され、給油配
管へと導かれる。オイルポンプ1を出た軸封油はオイル
クーラ2で冷却水と熱交換して冷却され、オイルフィル
タ3でごみ等を除かれた後、調節弁4へと導かれる。そ
して、調節弁4で軸封装置で必要な流量に流量制御され
た軸封油は、多段の遠心圧縮機本体17の両端部近傍に
設けられた軸封装置31に導かれる。軸封装置31で作
動ガスをシールした軸封油オイルリザーバタンク16に
戻される。そして、以後この経路を循環する。
【0025】ところで、調節弁4の下流には分岐部が設
けられており、一方は上述した軸封装置31へ導かれる
が、他方は遮断弁12を介してシールオイルヘッドタン
ク13の底部に導かれている。シールオイルヘッドタン
ク13には所定量の軸封油が蓄えられるとともに、シー
ルオイルヘッドタンク13を軸封装置31よりも高い位
置に設けている。この高さは、作動ガスの圧力にも依存
するが、好ましくは、5ないし10m、より好ましくは
7ないし8mの高さにシ−ルオイルヘッドタンク13内
の液面がなるように設定する。なお、ヘッドタンク13
そのものの高さは2m程度である。つまり、遮断弁12
を開くことにより、シールオイルヘッドタンク13に貯
蔵された軸封油のヘッドが軸封装置31に流入する軸封
油に働き、作動ガスの外部への漏洩を防止する。シール
オイルヘッドタンク13の上部は、外部へ漏洩しようと
する作動ガスが流入する軸封装置31と配管18により
連結されており、作動ガスの漏れ流れの圧力はシールオ
イルヘッドタンク13の内圧に等しくなる。すなわち、
軸封油と作動ガスの漏れ流れの間にはシールオイルヘッ
ドタンク14内の軸封油のヘッド分の差圧がある。
【0026】したがって、シールオイルヘッドタンク1
3が軸封装置13の位置よりも垂直方向に高い位置に設
置されているので、このシールオイルヘッドタンク13
の内部の液面を一定位置に制御すればガス側シールリン
グ5部の軸封油と作動ガスとの差圧を一定にすることが
できる。
【0027】なお、軸封油の圧力と温度を制御するため
に、本発明に係る多段の遠心圧縮機装置では、シールオ
イルヘッドタンク13内の油面位置を検出するレベルコ
ントローラ(LIC)14がシールオイルヘッドタンク13
に付設されている。また、軸封装置31からオイルリザ
ーバタンク16への戻り流路中には温度コントローラ
(TIC)11が、シールオイルヘッドタンク16の上部と軸
封装置31の作動ガス流入部とを連結する配管18中に
は圧力コントローラ(PIC)がそれぞれ設けられ、これら
の検出値を用いて制御装置40が調節弁4Oおよび遮断弁
12を制御する。
【0028】次にこのように構成した本発明に係る多段
の遠心圧縮機の動作について、図4のタイムチャートに
沿って説明する。
【0029】(I)液面レベル制御モード 圧縮機本体17内のガス圧力Pが高いと、大気側シール
リング6と大気圧との差圧が大きくなり、大気側シール
リング6をを流れる油量Qが増える。この結果、オイル
リザーバタンク16に戻る排油の温度Tは低くなる。プ
ロセスの変化によりガス圧力Pが低下すると、上記差圧
も減少して大気側シールリング6を流れる油量が減少
し、排油の温度Tは上昇する。そこで、排油の温度が予
め設定したしきい値T0を越える前に、シールオイルヘ
ッドタンク13の液面が一定になるよう、このシールオ
イルヘッドタンク13に付設した液面レベルコントロー
ラ14の信号を用いて調節弁4の開度を制御装置40が
調整する。
【0030】(II)制御モード切替え(チェンジオーバ
ー) 温度コントローラ11が検出した排油温度Tがしきい値
T0を越えた時には、それまで調節弁4の開度制御に用
いられていた液面レベルコントローラ14の信号を無視
し、代わりに大気側シールリング6から排油される排油
の温度を検出する温度コントローラ11の信号を用いて
調節弁4の開度を制御装置40が制御する。それととも
にシールオイルヘッドタンク13の給油ラインに設置し
た遮断弁12を全開から全閉に切り換え、シールオイル
ヘッドタンク13への軸封油の供給を停止する。
【0031】なお、シールオイルヘッドタンク13の液
面制御から排油温度制御への切り換えを、漏れガスの圧
力を基準として圧力コントローラ15を用いて行うこと
も可能である。この場合、排油温度コントローラ11を
節減できる効果がある。
【0032】(III)排油温度制御モードA ステップ(II)で排油温度制御モードに切り換えた後に、
排油温度Tを目標値T3に近づける過渡的なモードであ
る。排油温度の目標値T3はしきい値T0よりも低いの
で調節弁4は制御装置40により開方向に制御され、油
の供給量Qが増加する。供給される油量の増加に伴い大
気側シールリング6部から排油される排油の温度Tが低
下し、目標値T3に近づく。
【0033】(IV)排油温度制御モードB 排油温度Tがほぼ目標値に達したときのモードであり、
遮断弁12は全閉のままで、温度コントローラ11で検
出された排油温度Tが目標値T3(一定値)となるよう
に、制御装置40が調節弁4の開度を制御する。
【0034】(V)制御モード切替え(チェンジオーバ
ー) 圧縮機のガス圧力Pがしきい値P0にまで上昇して排油
温度制御モード(IV)を用いなくてもよいときには、配
管18中に設けた圧力コントローラ15が検出した圧力
を用いて再び制御方式を排油温度制御からシールオイル
ヘッドタンク13の液面レベル制御に切り換える。すな
わち、シールオイルヘッドタンク13のレベルコントロ
ーラ14の信号を温度コントローラ11の信号に優先さ
せる。そして、制御装置40がレベルコントローラ11
の出力に基づき、調節弁4の開度を決定するとともに、
遮断弁12を全閉から全開に切り換える。
【0035】(VI)液面レベル制御モード ステップ(V)で液面レベル制御モードに切り換えた後
に、ガス圧力が復帰したときの制御モードである。シー
ルオイルヘッドタンク13の液面レベルが一定になるよ
うに、調節弁4の開度を制御装置40が制御する。これ
とともに制御装置40が遮断弁12を全開に制御する。
【0036】上記のいずれのステップにおいてもシール
オイルヘッドタンク13の液面レベルが危険レベル以下
に低下した場合には、遮断弁12を全開にして圧縮機を
停止させる。これにより、給油系の故障等に起因するガ
スの漏洩を防止できる。また、シールオイルヘッドタン
ク13の液面が必要以上に上昇し、オーバーフローレベ
ルに近づいたときに、制御装置40が遮断弁12を全開
にすることも可能である。この場合、給油系の異常等に
起因してシールオイルヘッドタンク13から配管18に
軸封油が侵入するのを防止できる。
【0037】図5及び図6を用いて、本発明の第2の実
施例及び第3の実施例を説明する。図5では、上記実施
例と異なり、流量調節弁4を軸封油供給ラインから分岐
したバイパスライン中に設けている。この場合、流量調
整弁の開閉動作は上記第1の実施例とは逆になるが、上
記実施例と同様の効果が得られる。
【0038】また、図6に示した第3の実施例では軸封
油の排油温度に基づく制御を省略している。つまり、排
油温度コントローラを省略し代わりにシールオイルヘッ
ドタンク13と軸封装置31とを結ぶ配管から分岐した
所に設けられた圧力コントローラ15を用いて制御モー
ドを切り換えるようにしている。大気側シールリング6
部の軸封に使用された軸封油の排油温度は作動ガスの圧
力とは相関関係がある。したがって、圧力コントローラ
15で検出した圧力値を用いても、モード切り替えが可
能である。本実施例によれば、排油温度の検出が不要と
なり、装置が簡便になる。
【0039】さらに、大気側シールリング6部の軸封に
使用された排油の温度は、作動ガス圧力と共に遠心圧縮
機の回転速度にも依存する。つまり、低回転速度では軸
封部の焼損限界温度が高くなるので、給油圧力の制御時
に遠心圧縮機の回転数を考慮すればより高精度に軸封を
制御でき遠心圧縮機装置の信頼性が向上する。
【0040】ところで、上述したいずれの実施例におい
ても制御モードを切り換えるときに調節弁の開度を大幅
に変更する必要が生じると、切り替えの瞬間に弁の開度
が急変し調節弁のハンチングや油量の急変という不具合
を生じる恐れがある。これらを防止するために、制御モ
ードの切り替え後は所定速度で調節弁の開度を変更する
バンプレス切替えを用いれば、遠心圧縮機装置を安定に
運転できる。
【0041】上記各実施例では、軸封油系統をを潤滑油
系統と別に設けているが、これらの系統をまとめて1つ
にすることも可能である。ただし、作動ガス側の軸封油
中には、作動ガスの混入が避けられないので、軸封装置
を経た作動ガス側の軸封油については加熱及び窒素バブ
リング処理による脱ガス処理を施している。しかし、炭
素量の多いガス(炭素原子が4個以上含まれるもの)を
扱う場合には、完全には脱ガスできないので、作動ガス
側の軸封油を再循環させることは困難である。
【0042】また、上記各実施例は多段型の遠心圧縮機
を例に挙げているが、単段型の遠心圧縮機でもよいし、
また遠心型以外のターボ圧縮機であってもよい。
【0043】以上述べたように本発明の各実施例によれ
ば、大気側シールリングの排油温度をモニタしているの
で、シールリングの焼損を防止できる、大気側シールリ
ングとスリーブの隙間を最適にできるので余分な隙間を
必要とせず、給油系が備えるポンプやタンク等の機器の
小型化が可能となる、等の効果がある。
【0044】さらに、シールオイルヘッドタンクへの油
の供給ラインに遮断弁を設けたので、ヘッドタンクの液
面が異常に上昇しても、軸封油の供給を停止可能であ
り、軸封油の作動ガスへの侵入を防止できる。
【0045】なお、本発明は多段の遠心圧縮機装置にお
いて、作動ガスが発火性ガスや有害ガスであるときに、
この作動ガスの圧縮機装置外部への漏れを防止し、かつ
信頼性の高い軸封装置を提供するものであって、本発明
は上記実施例に限るものではなく、本発明の範囲は特許
請求の範囲の記載によって示されており、それらの記載
の意味の中に入る全ての変形例は本発明に含まれるもの
である。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、軸封装置から排出され
る排油の温度が上昇したときに、大気側シールリングと
スリーブの間を流れる軸封油の量を増やすことにより、
排油温度を焼損限界値以下に保つことができ、簡単な構
造で信頼性の高い作動ガスのシールが可能な軸封システ
ムを備えた遠心圧縮機装置及びその運転方法を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る遠心圧縮機装置の一実施例を示す
図で、軸封油を給油する軸封システムの詳細を示す図で
ある。
【図2】油膜式の軸封機構の詳細を示す縦断面図であ
る。
【図3】シールリングの特性を示す図である。
【図4】本発明に係る軸封油を給油する装置の一実施例
のタイムチャートである。
【図5】本発明に係る遠心圧縮機装置の他の実施例を示
す図であり、特に軸封油を給油する軸封システムの詳細
を示す図である。
【図6】本発明に係る遠心圧縮機装置のさらに他の実施
例を示す図であり、特に軸封油を給油する軸封システム
の詳細を示す図である。
【符号の説明】
1…オイルポンプ、2…オイルクーラ、3…オイルフィ
ルタ、4…調節弁、5…ガス側シールリング、6…大気
側シールリング、7…シールリングホルダ、8…シール
リングホルダ、9…シャフト、10…スリーブ、11…
温度コントローラ、12…遮断弁、13…シールオイル
ヘッドタンク、14…レベルコントローラ、15…圧力
コントローラ、16…オイルリザーバタンク、17…遠
心圧縮機本体、18…配管、31…軸封装置、40…制
御装置。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1枚の遠心羽根車を有する遠心
    圧縮機本体と、この遠心圧縮機本体に設けた吸込口から
    吸い込まれ吐出口から吐出される作動ガスの遠心圧縮機
    本体からの漏洩を防止する軸封手段とを備えた遠心圧縮
    機装置において、 この軸封手段に給油する給油手段と、この軸封手段から
    排出される油の温度を検出する検出手段と、前記給油手
    段中を流通する油を加圧する加圧手段と、前記検出手段
    の出力に基づいて前記給油手段中を流れる油の流量及び
    圧力を制御する制御手段とを設けたことを特徴とする遠
    心圧縮機装置。
  2. 【請求項2】回転軸と、この回転軸に取り付けられた少
    なくとも1枚の遠心羽根車と、この回転軸を支持し回転
    軸の両端部に設けられた軸受手段と、前記遠心羽根車を
    囲むケーシングと、を有する遠心圧縮機本体と、この遠
    心圧縮機本体が圧縮する作動ガスが遠心圧縮機本体から
    漏洩するのを防止し前記軸受手段近傍に設けられた軸封
    手段とを備えた遠心圧縮機装置において、 前記軸封手段に軸封油を供給する軸封油供給手段と、こ
    の軸封油の油量を制御する制御弁と、前記軸封油供給手
    段が供給する軸封油を加圧するために軸封油供給手段中
    に開閉弁を介して配設されたヘッドタンクと、前記軸封
    手段から排出される軸封油の温度を検出する温度検出手
    段と、この温度検出手段が検出した温度に基づいて前記
    制御弁を制御する制御手段とを設けたことを特徴とする
    遠心圧縮機装置。
  3. 【請求項3】回転軸と、この回転軸に取り付けられた少
    なくとも1枚の遠心羽根車と、前記遠心羽根車を囲むケ
    ーシングと、を有する遠心圧縮機本体と、この遠心圧縮
    機本体が圧縮する作動ガスが遠心圧縮機本体から漏洩す
    るのを防止し前記回転軸の端部に配設された軸封手段と
    を備えた遠心圧縮機装置において、 前記軸封手段に軸封油を供給する軸封油供給手段と、こ
    の軸封油の油量を制御する制御弁と、前記軸封油供給手
    段が供給する軸封油を加圧し軸封油供給手段中に弁を介
    して配設されたヘッドタンクと、前記軸封手段から排出
    される軸封油の温度を検出する軸封油温度検出手段とを
    設け、前記ヘッドタンク内に収容される軸封油の設定液
    面が前記軸封手段の位置より5ないし10mの範囲内で
    高くなっていることを特徴とする遠心圧縮機装置。
  4. 【請求項4】前記制御装置は、前記温度検出手段が検出
    した温度が上昇したときに軸封油の流量を増加させるよ
    うに制御弁を制御することを特徴とする請求項2に記載
    の遠心圧縮機装置。
  5. 【請求項5】前記制御装置は、前記温度検出手段が検出
    した温度が設定値を超えたときに前記開閉弁を開くよう
    に制御することを特徴とする請求項2に記載の遠心圧縮
    機装置。
  6. 【請求項6】遠心圧縮機装置の有する軸封手段を用いて
    作動ガスが圧縮機本体から漏洩するのを防止する遠心圧
    縮機装置の運転方法において、 前記軸封手段で軸封に用いられた軸封油の温度が設定値
    以下のときに軸封油の流量を軸封油温度に基づいて制御
    する第1のモードと、前記温度が設定値を超えたときに
    この軸封油を加圧する第2のモードとを備えたことを特
    徴とする遠心圧縮機装置の運転方法。
  7. 【請求項7】前記第2のモードにおいて、軸封油の流量
    をほぼ一定値に保持することを特徴とする請求項6に記
    載の遠心圧縮機装置の運転方法。
  8. 【請求項8】前記第2のモードにおいて、前記遠心圧縮
    機本体から吐出される作動ガスの圧力が所定圧力に達し
    たら前記第1のモードに復帰することを特徴とする請求
    項6に記載の遠心圧縮機装置の運転方法。
  9. 【請求項9】遠心圧縮機装置の有する軸封手段を用いて
    作動ガスが圧縮機本体から漏洩するのを防止する遠心圧
    縮機装置の運転方法において、 作動ガスの吐出圧力に基づいて制御する第1のモード
    と、この吐出圧力が設定値を超えたら前記軸封手段に流
    通する軸封油を加圧する第2のモードとを備えたことを
    特徴とする遠心圧縮機装置の運転方法。
  10. 【請求項10】前記モードの切り替え時に用いる給油圧
    の急変を防止するバンプレス切り替えモードを備えたこ
    とを特徴とする請求項9に記載の遠心圧縮機装置の運転
    方法。
  11. 【請求項11】大気側シールリング部から排出される軸
    封油の温度が上昇したら、遠心圧縮機の回転数に応じて
    軸封油の供給圧力を制御することを特徴とする請求項9
    に記載の遠心圧縮機装置の運転方法。
  12. 【請求項12】回転軸と、この回転軸に取り付けられた
    少なくとも1枚の遠心羽根車と、前記遠心羽根車を囲む
    ケーシングと、を有する遠心圧縮機本体と、この遠心圧
    縮機本体が圧縮する作動ガスが遠心圧縮機本体から漏洩
    するのを防止し前記回転軸の端部に配設された軸封手段
    とを備えた遠心圧縮機装置において、 前記軸封手段に軸封油を供給する軸封油供給手段と、こ
    の軸封油の油量を制御する制御弁と、前記軸封油供給手
    段が供給する軸封油を加圧し軸封油供給手段中に弁を介
    して配設されたヘッドタンクと、前記軸封手段から排出
    される軸封油の温度を検出する軸封油温度検出手段とを
    設け、前記ヘッドタンクはこのヘッドタンク内に収容さ
    れる軸封油の液面を前記軸封手段の位置より高くできる
    位置に配設されていることを特徴とする遠心圧縮機装
    置。
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