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JPH10249278A - 静電アクチュエータ装置 - Google Patents

静電アクチュエータ装置

Info

Publication number
JPH10249278A
JPH10249278A JP7268897A JP7268897A JPH10249278A JP H10249278 A JPH10249278 A JP H10249278A JP 7268897 A JP7268897 A JP 7268897A JP 7268897 A JP7268897 A JP 7268897A JP H10249278 A JPH10249278 A JP H10249278A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass plate
film
light control
electrostatic actuator
actuator device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP7268897A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Konno
信次 今野
Hisashi Fukuyama
尚志 福山
Rei Sakai
玲 酒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kasei Optonix Ltd
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Kasei Optonix Ltd
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kasei Optonix Ltd, Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Kasei Optonix Ltd
Priority to JP7268897A priority Critical patent/JPH10249278A/ja
Publication of JPH10249278A publication Critical patent/JPH10249278A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明度に優れた採光ガラスの調光装置を簡単
な施工により構成することが出来る静電アクチュエータ
装置を提供する。 【解決手段】 静電アクチュエータ装置である複層ガラ
ス(2)の調光装置は、所定のピッチ間隔で配列された
多相の帯状電極を有する調光フィルム(1)を移動子と
し、所定の抵抗率を有するガラス板(2A)を固定子と
して構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静電アクチュエー
タ装置に関し、詳しくは、ガラス板を固定子とすること
により、施工が簡単であり且つ透明度に優れた採光ガラ
スの調光装置を構成することが出来る静電アクチュエー
タ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、静電アクチュエータ装置として
は、所定のピッチ間隔で配列された多相の帯状電極を有
するフィルム状の固定子と、多相の帯状電極と直交する
方向に固定子の基端部と先端部との間で固定子上を往復
駆動されるフィルム状の移動子とを備えた装置が知られ
ている(特開平2−285978号公報など参照)。こ
の静電アクチュエータ装置は、例えば、固定子を採光ガ
ラス面に貼着される透明フィルムとし、移動子を調光フ
ィルムとすることにより、採光ガラスの調光装置として
利用可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の静電
アクチュエータ装置を利用した採光ガラスの調光装置に
おいては、フィルム状の固定子を採光ガラスに貼着する
必要があり、固定子の貼着作業および故障時の取換え作
業など、その施工が面倒である。また、固定子が貼着さ
れることにより、採光ガラスの透明度が低下すると共
に、採光ガラスを通した外の景色などに歪みが生じる虞
がある。
【0004】本発明は、前記の実情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、透明度に優れた採光ガラスの調
光装置を簡単な施工により構成することが出来る静電ア
クチュエータ装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成する手
段として、本発明による静電アクチュエータ装置は、所
定のピッチ間隔で配列された多相の帯状電極を有するフ
ィルムを移動子とし、所定の抵抗率を有するガラス板を
固定子として構成されていることを基本的な特徴とす
る。
【0006】本発明において、前記ガラス板は、109
〜1012Ω・mの範囲の体積固有抵抗率または1013
〜1015Ω/□の範囲の表面固有抵抗率を有するのが好
ましい。また、ガラス板上を摺動するフィルムの表面に
は、滑動面をなす導電性ビーズ層を設けるのが好まし
い。なお、前記フィルムの表面には、導電性ビーズ層に
代えて潤滑剤層を設け、あるいは、導電性ビーズ層に加
えて潤滑剤層を設けることが出来る。
【0007】さらに、前記フィルムは、巻取機構に移動
方向の一端側が連結されて巻回され、かつ、ガラス板に
沿って巻取機構から繰出し可能に構成することが出来
る。また、前記フィルムは調光フィルムとし、前記ガラ
ス板は透明ガラス板とすることが出来る。
【0008】より具体的には、本発明の静電アクチュエ
ータ装置は、所定のピッチ間隔で配列された多相の帯状
電極を有し且つ厚さが10〜100μmの範囲に設定さ
れた調光フィルムを移動子とし、109 〜1012Ω・m
の範囲の体積固有抵抗率または1013 〜1015Ω/□
の範囲の表面固有抵抗率を有する透明ガラス板から成る
複層ガラスの片側のガラス板を固定子として構成された
静電アクチュエータ装置であって、前記調光フィルム
が、複層ガラスのサッシ部に形成された開閉蓋付きの収
容室にロール状に巻回して気密に収容され、かつ、前記
片側のガラス板の内面に添って収容室から繰出し可能に
構成されていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る静電アクチュ
エータ装置を添付の図面を参照して具体的に説明する。
図1は本発明の静電アクチュエータ装置が採光装置とし
て組込まれた複層ガラスの全体構造を一部破断して示す
斜視図、図2は同複層ガラスの下部を示す部分縦断面
図、図3は調光フィルムの層構造を示す部分縦断面図、
図4の(a)〜(d)は調光フィルムの異なる熱処理形
状を示す斜視図、図5はコントローラのブロック構成
図、図6は電極電圧のパルス波形図である。
【0010】本発明の静電アクチュエータ装置は、所定
のピッチ間隔で配列された多相の帯状電極を有するフィ
ルムを移動子とし、所定の抵抗率を有するガラス板を固
定子として構成されている。この静電アクチュエータ装
置は、例えば、採光ガラスとして建物の窓に嵌込まれる
複層ガラスの調光装置として具体的に構成される。
【0011】図1に示す様に、本発明の静電アクチュエ
ータ装置は、所定のピッチ間隔で配列された多相の帯状
電極を有し且つ厚さが10〜100μmの範囲に設定さ
れた調光フィルム(1)を移動子とし、109 〜1012
Ω・mの範囲の体積固有抵抗率または1013 〜1015
Ω/□の範囲の表面固有抵抗率を有する透明ガラス板か
ら成る複層ガラス(2)の片側のガラス板(2A)を固
定子とすることにより、複層ガラスの調光装置として構
成される。そして、図2に示す様に、移動子である調光
フィルム(1)は、複層ガラス(2)のサッシ部(3)
に形成された開閉蓋(3A)付きの収納室(3B)にロ
ール状に巻回して気密に収容され、かつ、固定子である
片側のガラス板(2A)の内面に添って収容室(3B)
から繰出し可能に構成されている。
【0012】移動子である調光フィルム(1)は、複層
ガラス(2)に対応した縦長の長方形であり、図3に示
す様に、基材としての絶縁フィルム(1A)の片側表面
に透明な3相の帯状電極(1B)が複数組形成され、そ
の表面は透明絶縁保護層(1C)により被覆されてい
る。
【0013】絶縁フィルム(1A)は、遮光性を発揮す
る不透明な着色フィルムまたは透明フィルムから成り、
透明フィルムから成る場合には、不透明なプリント層、
赤外線または紫外線の反射、吸収膜が裏面に形成され
る。
【0014】絶縁フィルム(1A)としては、例えば、
ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポ
リアクリレート、ポリイミド等のプラスチックフイル
ム、発泡ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリプ
ロピレン系合成樹脂、不織布などを使用することが出来
る。この絶縁フィルム(1A)としては、容易にロール
状に巻くことが出来る点で、ヤング率の小さい腰の弱い
フィルムが好ましい。
【0015】3相の帯状電極(1B)は、調光フィルム
(1)の横方向に直線状に延びる平行電極またはジグザ
ク状(連続する山形状)に延びるスキュー電極として形
成され、そのピッチ間隔は0.1〜2mmの範囲に設定
される。帯状電極(1B)が平行電極の場合、移動子で
ある調光フィルム(1)にはその移動方向と直交する横
方向に拘束力が作用せず、外乱に対して横ずれが生じ易
ため、調光フィルム(1)を縦方向にロール状に巻取る
際に、所謂、タケノコ巻きとなる虞がある。これに対
し、帯状電極(1B)がスキュー電極の場合には、調光
フィルム(1)の横方向に拘束力が作用して横ずれが生
じ難いため、タケノコ巻きとなる虞がない。このため、
本実施形態においては、帯状電極(1B)はスキュー電
極として形成されている。
【0016】斯かる帯状電極(1B)は、例えば、フォ
トレジスト材料を利用したリソグラフィー技術により、
絶縁フィルム(1A)の表面に形成された透明導電性材
料(例えば、酸化インジウム−酸化錫(ITO)、酸化
アンチモン−酸化錫(ATO)など)の薄膜をパターン
化する方法により形成される。なお、この帯状電極(1
B)は、透明導電性粒子を分散させたバインダー樹脂を
使用するグラビア印刷法やスクリーン印刷法などによっ
ても形成することも出来、グラビア印刷法がコスト的に
有利である。
【0017】グラビア印刷法によって絶縁フィルム(1
A)上に帯状電極(1B)を形成する場合、印刷ロール
の直径が小さいことを考慮すると、印刷方向は絶縁フィ
ルム(1A)の横方向とするのが継ぎ目の無い帯状電極
(1B)を得る上で好ましい。しかし、平行電極を絶縁
フィルム(1A)の横方向に印刷する際には、ブレード
がグラビア版の溝に入って振動し、インクの滲みにより
電極間が短絡する虞がある。これに対し、スキュー電極
を絶縁フィルム(1A)の横方向に印刷する際には、こ
のような虞はなく、この点からも帯状電極(1B)とし
てはスキュー電極が好ましい。
【0018】透明絶縁保護層(1C)は、絶縁性ペース
トや絶縁性セラミックスの塗布膜または蒸着膜によって
形成される。絶縁性セラミックスは、絶縁耐圧が高いた
め、その上面に前記3相の各帯状電極(1B)の集合電
極を形成することが出来る。
【0019】透明絶縁保護層(1C)の表面には、複層
ガラス(2)の片側のガラス板(2A)に対する滑り特
性を向上させるため、多数の導電性ビーズ(1D)をバ
インダ樹脂に分散させた透明な導電性ビーズ層(1E)
が塗布されている。この導電性ビーズ層(1E)は、移
動子である調光フィルム(1)と固定子である複層ガラ
ス(2)の片側のガラス板(2A)との間の摩擦帯電お
よび調光フィルム(1)とガラス板(2A)間の空気層
での気中放電による帯電を低減することにより、調光フ
ィルム(1)の駆動性能の低下を防止する機能を有す
る。
【0020】導電性ビーズ(1D)としては、通常、カ
ーボンビーズが使用されるが、ガラスビーズやプラスチ
ックビーズ等の非導電性ビーズに金などの導電性材料を
コーティングしたものも使用することが出来る。導電性
ビーズ(1D)の直径は、1〜50μm程度が好まし
い。また、導電性ビーズ(1D)の分散密度は、10〜
10,000個/cm2 、好ましくは、50〜1,00
0個/cm2 とする。
【0021】導電性ビーズ(1D)のバインダ樹脂には
潤滑性のある樹脂が採用され、これにより導電性ビーズ
層(1E)が潤滑剤層として機能する様に構成されてい
る。なお、この潤滑剤層は、導電性ビーズ層(1E)の
代わりに透明絶縁保護層(1C)上に形成してもよく、
導電性ビーズ層(1E)の上に重ねて形成してもよい。
また、調光フィルム(1)が摺動する複層ガラス(2)
の片側のガラス板(2A)の内面側に潤滑剤層を形成し
てもよい。
【0022】潤滑剤層は、通常、溶媒に潤滑剤を溶解ま
たは分散させた後、ディップ法、スピンコート法、グラ
ビア法、ナイフコート法、ロールコート法などの従来公
知の塗布方法により塗布されるが、蒸着法やスパッタリ
ング法により形成してもよい。潤滑剤層の膜厚は、通常
1〜40nmの範囲、好ましくは2〜10nmの範囲に
設定される。使用される潤滑剤は、シリコーン樹脂、フ
ッ素樹脂などが代表的であるが、特開平4−31757
2号公報に示されている常温で固体状態または液体状態
の何れの潤滑剤も使用可能である。
【0023】固体潤滑剤としては、例えば、ステアリン
酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン
酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩、ステアリン酸トリグ
リセライド、パルミチン酸トリグリセライド等の油脂、
ステアリルアルコール、ヘキサデカノール等の高級アル
コール、コレステロール、シトステロール等のステロイ
ド化合物などの他、テフロン、二硫化モリブデン、グラ
ファイト等も使用可能である。
【0024】液体潤滑剤としては、マシン油やエンジン
オイル等の炭化水素鉱油系潤滑油の他に、ジメチルポリ
シロキサン等のシリコンオイル、パーフルオロポリエー
テル等のフッ化オイル、リン酸エステルなどを使用する
ことが出来る。
【0025】一方、複層ガラス(2)は、図1に示す様
に、例えば、縦2,000mm、横900mm、厚さ6
mmの一対のガラス板(2A)、(2B)の周縁がサッ
シ部(3)に形成された一対のチャンネル部(3C)、
(3C)にシール材を介して気密に把持された構造を有
し、一対のガラス板(2A)、(2B)の間には、例え
ば、12mmの厚さの空気層(A)が形成されている。
【0026】サッシ部(3)の下辺には、図2に示す様
に、前述した開閉蓋(3A)付きの収容室(3B)が形
成され、その下方には乾燥剤(4)の収納室(3D)が
連続して形成されている。そして、収容室(3B)がチ
ャンネル部(3C)、(3C)の間の隙間(3E)を介
してガラス板(2A)、(2B)間の空気層(A)に連
通することにより、空気層(A)は露点温度がマイナス
30°C以下の乾燥状態に保持されている。なお、開閉
蓋(3A)は複層ガラス(2)の外面側となるサッシ部
(3)の外面側に配置されている。また、乾燥剤(4)
はサッシ部(3)の全周に亘って収納されており、斯か
るサッシ部(3)はホルダ部材(5)を介して窓枠サッ
シ(6)に装着されている。
【0027】本発明の静電アクチュエータ装置におい
て、前述した片側のガラス板(2A)は、アルカリ成分
を含有したソーダ石灰ガラスから成る。そして、このガ
ラス板(2A)の内面は、露点温度がマイナス30°C
以下の乾燥状態に保持された空気層(A)に面すること
により、109 〜1012Ω・mの範囲の体積固有抵抗率
または1013 〜1015Ω/□の範囲の表面固有抵抗率
を呈する。
【0028】なお、建築材料として一般に使用されるソ
ーダ石灰ガラスは、アルカリイオンを多量に含んでお
り、イオン導電性が高い。このため、自然状態の湿度下
でガラス表面に水分が吸着すると、水分による導電性に
加えて、アルカリイオンがガラス表面に析出することに
より、ガラスの表面固有抵抗率は前記の範囲以下の値と
なる虞がある。従って、一般のソーダ石灰ガラスを自然
状態の湿度下で固定子として使用する場合には、ガラス
表面にテフロン等のフッ素系の撥水剤をコーティングす
るのが好ましく、また、ソーダ石灰ガラスのアルカリ成
分は低い方が好ましい。
【0029】前述した調光フィルム(1)は、図4の
(a)に示す様に、直線状のリーダ部分を残してロール
状に巻かれた形状に予め熱処理されており、図2に示す
様に、リーダ部分が一対のチャンネル部(3C)、(3
C)の間の隙間(3E)を通して片側のガラス板(2
A)の内面に接合している。斯かる調光フィルム(1)
は、開閉蓋(3A)がシール材を介して収容室(3B)
を密閉していることにより、静電気による塵埃の付着防
止対策および高電圧による感電防止対策が図られてい
る。
【0030】なお、調光フィルム(1)は、平面状に引
伸ばすことが出来る限り、図4の(b)に示すU字状、
(c)に示す屈曲形状、(d)に示すタペストリー状な
どの形状に熱処理して収容室(3B)に収容してもよ
い。この場合、各調光フィルム(1)には直線状のリー
ダ部分を形成するが、このリーダ部分の長さは、調光フ
ィルム(1)の駆動力を向上させることにより極めて小
さくすることが出来る。
【0031】また、調光フィルム(1)は、前述の様に
ロール状に熱処理することなく、巻取機構としての図示
省略した巻取りロールに巻回して収容室(3B)に収容
してもよい。この巻取りロールは、サッシ部(3)に回
転自在に支持され、かつ、巻バネによって一方向に回動
付勢されたものであり、調光フィルム(1)の下端を係
止してこれをロール状に巻取る様に構成される。この場
合、調光フィルム(1)は、停電などの際には自動的に
巻取りロールに巻き取られる。
【0032】図5に示す様に、調光フィルム(1)の3
相の各帯状電極(1B)は、図示省略した3本の集合電
極を介してコントローラ(7)の駆動回路(7A)に接
続されている。そして、図6に示す様に、120°の位
相差を有するU相、V相、W相の3相の電極電圧が駆動
回路(7A)から印加されることにより、各帯状電極
(1B)には正負の電荷が付与され、これに対応して片
側のガラス板(2A)の内面には正負が反転した逆電荷
が誘導される様に構成されている。
【0033】コントローラ(7)は、室内や室外に設置
された光センサ(8)の検出信号、または、リモコン操
作スイッチ(9)の指令信号に応じた制御信号を出力す
る入力演算処理回路(7B)を備えている。そして、入
力演算処理回路(7B)の制御信号に応じて駆動回路
(7A)がU相、V相、W相の電極電圧を3本の集合電
極を介して調光フィルム(1)の各帯状電極(1B)に
印加する様に構成されている。なお、光センサ(8)
は、赤外線を検出する赤外線センサや、紫外線を検出す
る紫外線センサとしてもよい。
【0034】前記駆動回路(7A)は、調光フィルム
(1)をガラス板(2A)に添って駆動する際には極性
がパルス状に変化する駆動用のU相、V相、W相の3相
の電極電圧を印加し、調光フィルム(1)をガラス板
(2A)に吸着させる際には極性が変化しない保持用の
3相の電極電圧を印加する。この場合、調光フィルム
(1)の各帯状電極(1B)に保持用の電極電圧が長時
間印加されると、ガラス板(2A)の内面および調光フ
ィルム(1)の表面に帯電現象が生じる不都合が懸念さ
れるため、保持用の電極電圧は、駆動用の電極電圧の1
/2〜1/3の範囲とするのが好ましい。なお、駆動用
および保持用の電極電圧は、最大値が±100〜1,0
00Vの範囲に設定される。
【0035】次に、以上の様に複層ガラス(2)の調光
装置として構成された本発明の静電アクチュエータ装置
の使用例を説明する。先ず、図1に示す様に、移動子で
ある調光フィルム(1)が固定子であるガラス板(2
A)の下半分の領域に重なっている状態では、複層ガラ
ス(2)の下半分の領域が遮光され、上半分の領域から
採光される。この場合、調光フィルム(1)の各帯状電
極(1B)には、コントローラ(7)の駆動回路(7
A)から極性の変化しない保持用の正負の電極電荷が付
与され、これに対面するガラス板(2A)の内面には、
正負が反転した逆電荷が誘導されるため、調光フィルム
(1)は片側のガラス板(2A)の内面に均一に吸着さ
れる。
【0036】ここで、リモコン操作スイッチ(9)の操
作または光センサ(8)の検出信号により複層ガラス
(2)の全面遮光が指示されると、コントローラ(7)
の入力演算処理回路(7B)が駆動回路(7A)に所定
の制御信号を出力し、駆動回路(7A)が図6に示した
駆動用のU相、V相、W相の電極電圧をこの順序で調光
フィルム(1)の各帯状電極(1B)に印加する。これ
に伴い、調光フィルム(1)の各帯状電極(1B)に
は、正負の電荷が順次交互に並んで付与され、ガラス板
(2A)の内面には正負が反転した逆電荷が誘導され
る。そして、調光フィルム(1)とガラス板(2A)と
の間の静電気の吸引、反発力によって調光フィルム
(1)はガラス板(2A)に対して上方に駆動される。
【0037】上方に駆動された調光フィルム(1)は、
収容室(3B)内にロール状に巻かれた部分が順次隙間
(3E)を通して上方に繰出されることにより、ガラス
板(2A)の内面に添って上方に移動する。その際、調
光フィルム(1)の各帯状電極(1B)はスキュー電極
として形成されているため、調光フィルム(1)は直進
性よく上方に移動する。そして、調光フィルム(1)が
ガラス板(2A)の全面に重なる位置まで上方に移動す
ることにより、複層ガラス(2)の全面が遮光される。
【0038】一方、リモコン操作スイッチ(9)の操作
または光センサ(8)の検出信号により複層ガラス
(2)の全面採光が指示されると、コントローラ(7)
の入力演算処理回路(7B)が駆動回路(7A)に所定
の制御信号を出力し、駆動回路(7A)が図6に示した
駆動用のU相、V相、W相の電極電圧を逆の順序で調光
フィルム(1)の各帯状電極(1B)に印加する。これ
に伴い、調光フィルム(1)は、前述と反対にガラス板
(2A)に対して下方に駆動される。
【0039】下方に駆動された調光フィルム(1)は、
収容室(3B)内に臨む下端部が順次ロール状の初期状
態に巻かれつつ、ガラス板(2A)の内面に添って直進
性よく下方に移動する。そして、調光フィルム(1)の
上部のリーダ部がガラス板(2A)の下部に接合する位
置まで移動することにより、複層ガラス(2)の略全面
が採光領域となる。
【0040】本発明の静電アクチュエータ装置により構
成される複層ガラス(2)の調光装置は、ガラス板(2
A)、(2B)に従来の様なフィルム状の固定子が貼着
されていないため、複層ガラス(2)の採光領域におけ
る透明度を向上させることが出来、外の景色に歪みが生
じる問題も解消することが出来る。
【0041】調光フィルム(1)は、複層ガラス(2)
のサッシ部(3)に形成された開閉蓋(3A)付きの収
容室(3B)にロール状に巻かれて収容されるため、極
薄型の調光装置を構成することが出来、移動子である調
光フィルム(1)の取換えも簡単に行うことが出来る。
【0042】複層ガラス(2)の全面遮光状態では、調
光フィルム(1)がガラス板(2A)の内面に接合して
一対のガラス板(2A)、(2B)間の空気層(A)内
に介在するため、複層ガラス(2)の断熱性能が向上す
る。
【0043】なお、前述した複層ガラス(2)の調光装
置において、調光フィルム(1)は、サッシ部(3)の
上部から下方に繰出される構成としてもよく、また、サ
ッシ部(3)の上部および下部からそれぞれ独立して繰
出される構成としてもよい。
【0044】また、本発明の静電アクチュエータ装置
は、前述した建物の窓に嵌込まれる複層ガラス(2)の
調光装置に限らず、室内用パーティションの採光ガラス
や自動車のウィンドウガラスの調光装置としても構成す
ることが出来る。これらの場合、固定子としての採光ガ
ラスまたはウィンドウガラスには、潤滑機能を有するテ
フロン等の撥水剤を塗布しておくのが好ましい。
【0045】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明によれば、所
定ピッチで配列された多相の帯状電極を有するフィルム
を移動子とし、所定の抵抗率を有するガラス板を固定子
として静電アクチュエータ装置が構成されるため、前記
フィルムを調光フィルムとし、ガラス板を透明な採光ガ
ラス板とすることにより、透明度に優れた採光ガラスの
調光装置を構成することが出来る。その際、従来の様に
フィルム状の固定子を採光ガラスに貼着する必要がない
ので、施工が簡単である。
【0046】また、調光フィルムを移動子とし、複層ガ
ラスの片側のガラス板を固定子として構成される静電ア
クチュエータ装置においては、複層ガラスのサッシ部に
形成された開閉蓋付きの収容室に調光フィルムをロール
状に巻回して気密に収容し、かつ、片側のガラス板の内
面に添って調光フィルムを収容室から繰出し可能に構成
することにより、極薄型の調光装置を構成することが出
来、調光フィルムの取換えも簡単に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の静電アクチュエータ装置が採光装置と
して組込まれた複層ガラスの全体構造を一部破断して示
す斜視図である。
【図2】同複層ガラスの下部を示す部分縦断面図であ
る。
【図3】調光フィルムの層構造を示す部分縦断面図であ
る。
【図4】(a)ないし(d)は、調光フィルムの異なる
熱処理形状を示す斜視図である。
【図5】コントローラのブロック構成図である。
【図6】電極電圧のパルス波形図である。
【符号の説明】
1 :調光フィルム 1A:絶縁フィルム 1B:帯状電極(1B) 1C:透明絶縁保護層 1D:導電性ビーズ 1E:導電性ビーズ層 2 :複層ガラス 2A:片側のガラス板 2B:他側のガラス板 3 :サッシ部 3A:開閉蓋 3B:収容室 3C:チャンネル部 3D:収納室 3E:隙間 4 :乾燥剤 5 :ホルダ部材 6 :窓枠サッシ 7 :コントローラ 7A:駆動回路 7B:入力演算処理回路 8 :光センサ 9 :リモコン操作スイッチ A :空気層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒井 玲 東京都港区芝公園一丁目8番12号 化成オ プトニクス株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定のピッチ間隔で配列された多相の帯
    状電極を有するフィルムを移動子とし、所定の抵抗率を
    有するガラス板を固定子として構成されていることを特
    徴とする静電アクチュエータ装置。
  2. 【請求項2】 前記ガラス板は、109 〜1012Ω・m
    の範囲の体積固有抵抗率を有する請求項1に記載の静電
    アクチュエータ装置。
  3. 【請求項3】 前記ガラス板は、1013 〜1015Ω/
    □の範囲の表面固有抵抗率を有する請求項1に記載の静
    電アクチュエータ装置。
  4. 【請求項4】 前記ガラス板上を摺動する前記フィルム
    の表面には、滑動面をなす導電性ビーズ層が設けられて
    いる請求項1〜3の何れかに記載の静電アクチュエータ
    装置。
  5. 【請求項5】 前記ガラス板上を摺動する前記フィルム
    の表面には、滑動面をなす潤滑剤層が設けられている請
    求項1〜4の何れかに記載の静電アクチュエータ装置。
  6. 【請求項6】 前記フィルムは、巻取機構に移動方向の
    一端側が連結されて巻回され、かつ、前記ガラス板に添
    って巻取機構から繰出し可能に構成されている請求項1
    〜5の何れかに記載の静電アクチュエータ装置。
  7. 【請求項7】 前記フィルムが調光フィルムであり、前
    記ガラス板が透明ガラス板である請求項1〜6の何れか
    に記載の静電アクチュエータ装置。
  8. 【請求項8】所定のピッチ間隔で配列された多相の帯状
    電極を有し且つ厚さが10〜100μmの範囲に設定さ
    れた調光フィルムを移動子とし、109 〜1012Ω・m
    の範囲の体積固有抵抗率を有する透明ガラス板から成る
    複層ガラスの片側のガラス板を固定子として構成された
    静電アクチュエータ装置であって、前記調光フィルム
    が、複層ガラスのサッシ部に形成された開閉蓋付きの収
    容室にロール状に巻回して気密に収容され、かつ、前記
    片側のガラス板の内面に添って収容室から繰出し可能に
    構成されていることを特徴とする静電アクチュエータ装
    置。
  9. 【請求項9】所定のピッチ間隔で配列された多相の帯状
    電極を有し且つ厚さが10〜100μmの範囲に設定さ
    れた調光フィルムを移動子とし、1013 〜1015Ω/
    □の範囲の表面固有抵抗率を有する透明ガラス板から成
    る複層ガラスの片側のガラス板を固定子として構成され
    た静電アクチュエータ装置であって、前記調光フィルム
    が、複層ガラスのサッシ部に形成された開閉蓋付きの収
    容室にロール状に巻回して気密に収容され、かつ、前記
    片側のガラス板の内面に添って収容室から繰出し可能に
    構成されていることを特徴とする静電アクチュエータ装
    置。
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