以下の説明では、提示された実施形態の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が説明される。開示された実施形態は、これらの具体的な詳細の一部またはすべてがなくても実施され得る。他の例では、開示された実施形態を不必要に分かりにくくしないために、周知のプロセス動作は詳細に説明されていない。開示された実施形態は特定の実施形態と共に説明されるが、開示された実施形態を限定することを意図していないことが理解されるであろう。
1.エレクトロクロミックデバイスの概要
開示された実施形態はエレクトロクロミック窓(スマートウィンドウとも呼ばれる)に焦点を当てているが、本明細書に開示された概念は、他の種類の色合い調節可能な窓にも適用し得ることを理解されたい。例えば、エレクトロクロミックデバイスの代わりに、液晶デバイスまたは懸濁粒子デバイスを組み込んだ色合い調節可能な窓を、開示された実施形態のいずれにも組み込むことができる。
本明細書に開示されているシステム、窓コントローラ、および方法の実施形態に読者を順応させるために、エレクトロクロミックデバイスの簡単な説明を提供する。エレクトロクロミックデバイスのこの最初の論議は背景のためだけに提供され、続いて記載されるシステム、窓コントローラ、および方法の実施形態は、この最初の論議の特定の特徴および製造プロセスに限定されない。
本明細書に記載の実施形態を例示するために、エレクトロクロミックライトの特定の実施例が図1A〜1Cを参照して説明される。図1Aは、ガラス板105から開始し製造されるエレクトロクロミックライト100の断面図(図1Cの断面カットX'−X'参照)である。図1Bは、エレクトロクロミックライト100の端面図(図1Cの観察視点Y−Y'参照)を示し、図1Cは、エレクトロクロミックライト100のトップダウン図を示す。図1Aは、ライトの外周の周りに領域140を生成するために端縁が除去された、ガラス板105上での製造後のエレクトロクロミックライトを示す。エレクトロクロミックライトもレーザースクライブ加工され、バスバーが取り付けられている。ガラスライト105は、拡散障壁110と、拡散障壁上の第1の透明導電酸化物層(TCO)115とを有する。この実施例では、端縁除去プロセスはTCO115および拡散障壁110の両方を除去するが、他の実施形態ではTCOのみが除去され、拡散障壁はそのまま残される。TCO115は、ガラス板上に製造されたエレクトロクロミックデバイスの電極を形成するために使用される2つの導電層のうちの第1導電層である。この実施例では、ガラス板は、下層のガラスと拡散障壁層とを含む。したがって、この実施例では、拡散障壁が形成され、次いで、第1のTCO、(例えば、エレクトロクロミック層、イオン伝導体層、および対電極層を有する)エレクトロクロミックスタック125、および第2のTCO130が形成される。一実施形態では、エレクトロクロミックデバイス(エレクトロクロミックスタックおよび第2のTCO)は統合蒸着システム内で製造され、ガラス板は、スタックの製造中のどの時間においても統合蒸着システムを離れない。一実施形態では、第1のTCOもまた、統合蒸着システムを使用して形成され、ガラス板は、エレクトロクロミックスタックおよび(第2の)TCO層の蒸着中、統合蒸着システムを離れない。一実施形態では、層(拡散障壁、第1のTCO、エレクトロクロミックスタック、および第2のTCO)のすべてが統合蒸着システム内で蒸着され、ガラス板は、蒸着中、統合蒸着システムを離れない。この実施例では、エレクトロクロミックスタック125の蒸着前に、分離トレンチ120がTCO115および拡散障壁110を貫通して切断される。トレンチ120は、製造が完了した後にバスバー1の下に存在するTCO115の領域を電気的に絶縁することを考慮して作られる(図1A参照)。これは、望ましくない可能性がある、バスバーの下のエレクトロクロミックデバイスの電荷の蓄積および着色を回避するために行われる。
エレクトロクロミックデバイス形成後、端縁除去プロセスおよび追加のレーザースクライブ加工が行われる。図1Aは、この実施例では、レーザースクライブトレンチ150、155、160、および165を囲む外周領域からデバイスが除去された領域140を示す。トレンチ150、160、および165は、エレクトロクロミックスタックを貫通し、さらに第1のTCOおよび拡散障壁をも貫通する。トレンチ155は、第2のTCO130およびエレクトロクロミックスタックを貫通するが、第1のTCO115は貫通しない。レーザースクライブトレンチ150、155、160、および165は、動作可能なエレクトロクロミックデバイスからの端縁除去プロセス中に損傷を受ける可能性があった、エレクトロクロミックデバイスの部分135、145、170、および175を分離するために作られる。この実施例では、レーザースクライブトレンチ150、160、および165は、デバイスの分離に役立つように、第1のTCOを貫通している(レーザースクライブトレンチ155は第1のTCOを貫通していないが、そうでないと、トレンチが、第1のTCOとの、およびしたがってエレクトロクロミックスタックとのバスバー2の電気的なつながりを遮断してしまう)。レーザースクライブプロセスに使用される1つまたは複数のレーザーは、通常、パルス型レーザー、例えばダイオード励起固体レーザーであるが、必ずしもこれに限らない。例えば、レーザースクライブプロセスは、IPG Photonics(マサチューセッツ州オックスフォード)またはEkspla(リトアニア、ビリニュス)の適切なレーザーを使用して実施することができる。スクライブ加工はまた、例えば、先端にダイヤモンドが付いたスクライブによって機械的に行うこともできる。当業者は、エレクトロクロミックデバイスの外周の周りの連続した経路の間で、複数のレーザースクライビングプロセスを異なる深さで実施し得ること、および/またはレーザー切込み深さを変えて、または変えないで単一のプロセスを実行し得ること、を理解するであろう。一実施形態では、端部の除去が、第1のTCOの深さまで行われる。
レーザースクライブ加工完了後、バスバーが取り付けられる。非貫通バスバー1が、第2のTCOに適用される。非貫通バスバー2は、デバイスが蒸着されなかった領域(例えば、デバイス蒸着から第1のTCOを保護するマスクから)に第1のTCOと接触して、もしくは、この実施例では、第1のTCOまで材料を除去するために端縁除去プロセス(例えば、XYまたはXYZ検流計を有する装置を使用するレーザーアブレーション)が使用された領域に適用される。この実施例では、バスバー1およびとバスバー2の両方が非貫通バスバーである。貫通バスバーは、通常、エレクトロクロミックスタック内に押し込まれて貫通し、スタックの底部でTCOと接触するバスバーである。非貫通バスバーは、エレクトロクロミックスタック層を貫通しないが、むしろ、例えばTCOなどの導電層の表面に電気的および物理的接触するバスバーである。
TCO層は、非従来型バスバー、例えば、スクリーンパターニング法およびリソグラフィパターニング法を用いて製造されたバスバーを使用して、電気的に接続され得る。一実施形態では、導電性インクをシルクスクリーニングし(または別のパターニング方法を使用し)、続いてインクを熱硬化または焼結することによって、デバイスの透明導電層との電気的なつながりが確立される。上述のデバイス構成を使用することの利点として、例えば、貫通バスバーを使用する従来の技術よりも簡単な製造、およびより少ないレーザースクライブ加工が挙げられる。
バスバーが接続された後、デバイスは、例えば、バスバーの配線などを含む絶縁ガラスユニット(IGU)に統合される。いくつかの実施形態では、バスバーの一方または両方が完成したIGUの内側にあるが、一実施形態では、一方のバスバーがIGUのシールの外側にあり、他方のバスバーがIGUの内側にある。前者の実施形態では、領域140は、IGUを形成するために使用されるスペーサの一面とのシールを作るために使用される。したがって、バスバーとのワイヤまたは他の接続部は、スペーサとガラスとの間に延びる。多くのスペーサが、導電性のステンレス鋼などの金属でできているので、バスバーおよびそれへのコネクタと金属スペーサとの間の電気的なつながりによる短絡を回避するための措置を講じることが望ましい。
上述のように、バスバーが接続された後、エレクトロクロミックライトは、例えばバスバーの配線などを含むIGUに統合される。本明細書に記載の実施形態では、バスバーの両方が、完成したIGUの一次シールの内側にある。
図2Aは、IGU200に統合された、図1A〜1Cに関連して説明されるエレクトロクロミック窓の断面概略図を示す。スペーサ205は、エレクトロクロミックライトを第2のライト210から分離するために使用される。IGU200内の第2のライト210は、非エレクトロクロミックライトであるが、本明細書に開示される実施形態はそれに限定されない。例えば、ライト210は、その上にエレクトロクロミックデバイス、および/または低Eコーティングなどの1つ以上のコーティングを有することができる。ライト201はまた、図2Bに示されるように合わせガラスであってもよい(ライト201は、樹脂235を介して補強窓ガラス230に積層される)。スペーサ205とエレクトロクロミックライトの第1のTCO層との間には、一次シール材215がある。この一次シール材は、スペーサ205と第2のガラスライト210との間にもある。スペーサ205の外周の周りには、二次シール220がある。バスバーの配線/リード線が、コントローラへの接続のためにシールを横切る。二次シール220は、描かれているよりはるかに厚くてもよい。これらのシールは、水分がIGUの内部空間225に入らないようにするのに役立つ。それらはまた、IGUの内部のアルゴンまたは他のガスが漏れるのを防止するのに役立つ。
図3Aは、エレクトロクロミックデバイス300の断面を概略的に示したものである。エレクトロクロミックデバイス300は、基板302、第1の導電層(CL)304、エレクトロクロミック層(EC)306、イオン伝導層(IC)308、対電極層(CE)310、および第2の導電層(CL)314を含む。層304、306、308、310、および314は、集合的にエレクトロクロミックスタック320と呼ばれる。エレクトロクロミックスタック320全体に電位を印加するように動作可能な電圧源316は、例えば、色あせた状態から着色状態(図示)へのエレクトロクロミックデバイスの移行をもたらす。層の順序は、基板に対して逆にすることができる。
上記のように異なる層を有するエレクトロクロミックデバイスは、低欠陥性を有する全固体デバイスおよび/または全無機デバイスとして製造することができる。そのようなデバイスおよびそれらを製造する方法が、2009年12月22日に出願され、発明者としてMark Kozlowskiらの名前が挙げられた、「Fabrication of Low−Defectivity Electrochromic Devices」と題する米国特許出願第12/645,111号、および2009年12月22日に出願され、発明者としてZhongchun Wangらの名前が挙げられた、「Electrochromic Devices」と題する米国特許出願第12/645,159号により詳細に記載されており、これらはいずれも、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。ただし、スタック内の層のうちの任意の1つ以上が、何らかの量の有機材料を含み得ることを理解されたい。同じことが、1つ以上の層中に少量存在し得る液体についても言える。固体材料は、蒸着され得るか、あるいはそうでなければ、ゾル−ゲルまたは化学蒸着を利用する特定のプロセスなどの、液体成分を利用する方法によって形成され得ることも理解されたい。
さらに、色あせた状態と着色状態との間の移行への言及は非限定的であり、実施され得るエレクトロクロミック移行の、多くの例の中の一例のみを示唆していることを理解されたい。(前述の論議を含む)本明細書で特に明記しない限り、色あせ−着色移行への言及がされるときは常に、対応するデバイスまたはプロセスは、非反射−反射、透明−不透明などの他の光学状態の移行を包含する。さらに、用語「色あせた」は、例えば、無着色、透明、または半透明などの光学的に中立な状態を指す。なおさらに、本明細書中で別段の定めがない限り、エレクトロクロミック移行の「色」は、任意の特定の波長または波長範囲に限定されない。当業者に理解されるように、適切なエレクトロクロミック材料および対電極材料の選択が、関連する光学的移行を左右する。
本明細書に記載の実施形態では、エレクトロクロミックデバイスは、色あせた状態と着色状態との間を可逆的に循環する。場合によっては、デバイスが色あせた状態にあるとき、スタック内の利用可能なイオンが主に対電極310内に存在するように、エレクトロクロミックスタック320に電位が印加される。エレクトロクロミックスタックの電位が反転すると、イオンがイオン伝導層308を横切ってエレクトロクロミック材料306に輸送され、材料を着色状態に移行させる。同様に、本明細書に記載の実施形態のエレクトロクロミックデバイスは、異なる色合いレベル(例えば、色あせた状態、最も暗い着色状態、および色あせた状態と最も暗い着色状態との間の中間レベル)の間で可逆的に循環され得る。
再び図3Aを参照すると、電圧源316は、放射センサーおよび他の環境センサーと共に動作するように構成されてもよい。本明細書に記載されるように、電圧源316は、デバイスコントローラ(この図には示されていない)とインターフェースを取る。さらに、電圧源316は、季節、時刻、および測定された環境条件などの様々な基準に従って、エレクトロクロミックデバイスを制御するエネルギー管理システムとインターフェースを取ることができる。そのようなエネルギー管理システムは、大面積エレクトロクロミックデバイス(例えば、エレクトロクロミック窓)と連動して、建物のエネルギー消費を劇的に低減することができる。
好適な光学的、電気的、熱的、および機械的特性を有する任意の材料を基板302として使用することができる。そのような基板として、例えば、ガラス、プラスチック、および鏡材が挙げられる。好適なガラスとして、ソーダ石灰フロートガラスを含む、透明または着色ソーダ石灰ガラスが挙げられる。ガラスは強化されていてもいなくてもよい。
多くの場合、基板は、住宅用窓の用途に合わせた大きさのガラス板である。そのようなガラス板の大きさは、住宅の特定のニーズに応じて大きく変わり得る。他の場合、基板は建築用ガラスである。建築用ガラスは、通常商業用の建物に使用されるが、住宅用の建物にも使用され得、通常屋内環境を屋外環境から分離するが、必ずしもこれに限定されない。特定の実施形態では、建築用ガラスは、少なくとも20インチ×20インチであり、はるかに大きくても、例えば、約80インチ×120インチの大きさであってもよい。建築用ガラスは、通常少なくとも約2mmの厚さ、通常約3mm〜約6mmの間の厚さである。もちろん、エレクトロクロミックデバイスは、建築用ガラスよりも小さいまたは大きい基板に拡大縮小可能である。さらに、エレクトロクロミックデバイスは、任意のサイズおよび形状の鏡の上に設けることができる。
基板302の上部に導電層304がある。特定の実施形態では、導電層304および314のうちの一方または両方は、無機および/または固体である。導電層304および314は、導電性酸化物、薄い金属被覆、導電性金属窒化物、および複合導体を含む、いくつかの異なる材料から作られてもよい。通常、導電層304および314は、少なくとも、エレクトロクロミズムがエレクトロクロミック層によって示される波長範囲において透明である。透明導電酸化物は、金属酸化物、および1つ以上の金属でドープされた金属酸化物を含む。このような金属酸化物およびドープ金属酸化物の例として、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、ドープ酸化インジウム、酸化スズ、ドープ酸化スズ、酸化亜鉛、アルミニウム酸化亜鉛、ドープ酸化亜鉛、酸化ルテニウム、ドープ酸化ルテニウムなどが挙げられる。多くの場合これらの層に酸化物が使用されるので、それらは「透明導電酸化物」(TCO)層と呼ばれることがある。実質的に透明である薄い金属被覆もまた使用され得、TCOと金属被覆との組み合わせも使用され得る。
導電層の機能は、電圧源316によって提供される電位を、比較的小さなオーミック電位降下で、エレクトロクロミックスタック320の表面全体にわたってスタックの内部領域に拡散させることである。電位は、導電層への電気的接続にかかわらず、導電層に伝達される。いくつかの実施形態では、1つが導電層304と接触し、1つが導電層314と接触しているバスバーが、電圧源316と導電層304および314との間の電気的接続を提供する。導電層304および314はまた、他の従来の手段で、電圧源316に接続されてもよい。
導電層304をエレクトロクロミック層306が覆っている。いくつかの実施形態では、エレクトロクロミック層306は無機および/または固体である。エレクトロクロミック層は、金属酸化物を含む多数の異なるエレクトロクロミック材料のうちの任意の1つ以上を含有し得る。このような金属酸化物として、酸化タングステン(WO3)、酸化モリブデン(MoO3)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化チタン(TiO2)、酸化銅(CuO)、酸化イリジウム(Ir2O3)、酸化クロム(Cr2O3)、酸化マンガン(Mn2O3)、酸化バナジウム(V2O5)、酸化ニッケル(Ni2O3)、酸化コバルト(Co2O3)などが挙げられる。動作中に、エレクトロクロミック層306は、対電極層310にイオンを移動させ、対電極層310からイオンを受け取って光学遷移を引き起こす。
一般に、エレクトロクロミック材料の着色(または任意の光学的性質、例えば、吸光度、反射率、および透過率の変化)は、材料への可逆的イオン挿入(例えば、インターカレーション)および対応する電荷平衡電子の注入によって引き起こされる。典型的には、光学遷移の原因となるイオンの一部は、エレクトロクロミック材料内に不可逆的に束縛されている。不可逆的に束縛されたイオンの一部または全部は、材料中の「隠れ電荷」を補償するために使用される。ほとんどのエレクトロクロミック材料では、好適なイオンとして、リチウムイオン(Li+)および水素イオン(H+)(すなわちプロトン)が挙げられる。しかしながら、場合によっては、他のイオンが好適になる。様々な実施形態において、エレクトロクロミック現象を生じさせるためにリチウムイオンが使用される。リチウムイオンの酸化タングステン(WO3−y(0<y≦約0.3))へのインターカレーションが、酸化タングステンを透明(色あせた状態)から青(着色状態)に変化させる。
再び図3Aを参照すると、エレクトロクロミックスタック320において、イオン伝導層308は、エレクトロクロミック層306と対電極層310との間に挟まれている。いくつかの実施形態では、対電極層310は無機および/または固体である。対電極層は、エレクトロクロミックデバイスが色あせた状態にあるときにイオン溜としての機能を果たす多くの異なる材料のうちの1つ以上を含み得る。例えば、適切な電位の印加によって開始されるエレクトロクロミック移行中、対電極層は、自身が保持するイオンの一部または全部をエレクトロクロミック層に移動させ、エレクトロクロミック層を着色状態に変化させる。同時に、NiWOの場合、対電極層はイオンの損失と共に着色する。
いくつかの実施形態では、WO3と補完的な対電極用の好適な材料として、酸化ニッケル(NiO)、酸化ニッケルタングステン(NiWO)、酸化ニッケルバナジウム、酸化ニッケルクロム、酸化ニッケルアルミニウム、酸化ニッケルマンガン、酸化ニッケルマグネシウム、酸化クロム(Cr2O3)、酸化マンガン(MnO2)、およびプルシアンブルーが挙げられる。
酸化ニッケルタングステンからなる対電極310から電荷が除去される(すなわち、対電極310からエレクトロクロミック層306にイオンが輸送される)と、対電極層は、透明状態から着色状態に移行する。
図示のエレクトロクロミックデバイスでは、エレクトロクロミック層306と対電極層310との間にイオン伝導層308がある。イオン伝導層308は、エレクトロクロミックデバイスが色あせた状態と着色状態との間を移行するときにイオンが(電解質のように)中を通って輸送される媒体としての機能を果たす。好ましくは、イオン伝導層308は、エレクトロクロミック層および対電極層に関連するイオンに対して高度に伝導性であるが、ごくわずかな電子移動が通常の動作中に起こる、十分に低い電子伝導性を有する。高いイオン伝導率を有する薄いイオン伝導層は、高速イオン伝導、したがって高性能エレクトロクロミックデバイスのための高速スイッチングを可能にする。特定の実施形態では、イオン伝導層308は無機および/または固体である。
(異なるIC層を有するエレクトロクロミックデバイスのための)好適なイオン伝導層の例として、ケイ酸塩、酸化ケイ素、酸化タングステン、酸化タンタル、酸化ニオブ、およびホウ酸塩が挙げられる。これらの材料は、リチウムを含む様々なドーパントでドープすることができる。リチウムドープ酸化ケイ素には、酸化リチウムシリコンアルミニウムが含まれる。いくつかの実施形態では、イオン伝導層はケイ酸塩系構造体を含む。いくつかの実施形態では、酸化ケイ素アルミニウム(SiAlO)がイオン伝導層308に使用される。
エレクトロクロミックデバイス300は、1つ以上の不動態層などの、1つ以上の追加の層(図示せず)を含んでもよい。特定の光学特性を改善するために使用される不動態層が、エレクトロクロミックデバイス300に含まれてもよい。耐湿性または耐ひっかき性を提供するための不動態層も、エレクトロクロミックデバイス300に含まれてもよい。例えば、導電層を、反射防止または保護酸化物または窒化物層で処理してもよい。他の不動態層は、エレクトロクロミックデバイス300を密閉する機能を果たし得る。
図3Bは、色あせた状態(または色あせた状態へ移行中)のエレクトロクロミックデバイスの概略断面図である。特定の実施形態では、エレクトロクロミックデバイス400は、酸化タングステンエレクトロクロミック層(EC)406および酸化ニッケルタングステン対電極層(CE)410を含む。エレクトロクロミックデバイス400は、基板402、導電層(CL)404、イオン伝導層(IC)408、および導電層(CL)414も含む。
電源416は、導電層404および414への適切な接続(たとえばバスバー)を通してエレクトロクロミックスタック420に電位および/または電流を印加するように構成されている。いくつかの実施形態では、電圧源は、ある光学状態から別の光学状態へのデバイスの移行を駆動するために、数ボルトの電位を印加するように構成されている。図3Aに示されるような電位の極性は、イオン(この実施例ではリチウムイオン)が、(破線の矢印で示されるように)主に酸化ニッケル−タングステン対電極層410内に存在するようなものである。
図3Cは、図3Bに示されるが、着色状態(または着色状態への移行中)のエレクトロクロミックデバイス400の概略断面図である。図3Cでは、電圧源416の極性が反転されて、エレクトロクロミック層がより負になって追加のリチウムイオンを受け入れ、それによって着色状態に移行する。破線の矢印で示されるように、リチウムイオンは、イオン伝導層408を横切って酸化タングステンエレクトロクロミック層406に輸送される。酸化タングステンエレクトロクロミック層406は着色状態で示されている。酸化ニッケルタングステン対電極410もまた着色状態で示されている。説明したように、酸化ニッケルタングステンは、リチウムイオンを放棄する(デインターカレートする)につれて次第により不透明になる。この実施例では、両方の層406およびと410の着色状態への移行が、スタックおよび基板を通って透過する光の量を減らす方向に付加的であるという相乗効果がある。
上述のように、エレクトロクロミックデバイスは、イオンに対して高伝導性であり、電子に対して高抵抗性であるイオン伝導性(IC)層によって分離されたエレクトロクロミック(EC)電極層および対電極(CE)層を含み得る。したがって、従来理解されているように、イオン伝導層は、エレクトロクロミック層と対電極層との間の短絡を防止する。イオン伝導層は、エレクトロクロミック電極および対電極が電荷を保持し、それによってそれらの色あせた状態または着色状態を維持することを可能にする。異なる層を有するエレクトロクロミックデバイスでは、構成要素が、エレクトロクロミック電極層と対電極層との間に挟まれたイオン伝導層を含むスタックを形成する。これら3つのスタック構成要素間の境界は、組成および/または微細構造の急激な変化によって画定される。したがって、デバイスは、2つの急激な界面を有する3つの異なる層を有する。
特定の実施形態では、対電極およびエレクトロクロミック電極は、イオン伝導層を独立に蒸着させることなく、互いに直接隣接して、時には直接接触して形成される。いくつかの実施形態では、別個のIC層ではなく、界面領域を有するエレクトロクロミックデバイスが使用される。そのような装置およびそれらを製造する方法が、2010年4月30日に出願された米国特許第8,300,298号および米国特許出願第12/772,075号、ならびに2010年6月11日に出願された米国特許出願第12/814,277号および第12/814,279号に記載されており、これら3つの特許出願および特許の各々は「Electrochromic Devices」と題され、各々は、発明者としてZhongchun Wangらの名前を挙げており、そして各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
II.窓コントローラ
窓コントローラは、エレクトロクロミック窓のエレクトロクロミックデバイスの色合いレベルを制御するために使用される。いくつかの実施形態では、窓コントローラは、色あせた状態および着色状態の2つの色合い状態(レベル)の間で、エレクトロクロミック窓を移行させることができる。他の実施形態では、コントローラは、(例えば、単一のエレクトロクロミックデバイスを有する)エレクトロクロミック窓を中間の色合いレベルにさらに移行させることができる。いくつかの開示された実施形態では、窓コントローラは、エレクトロクロミック窓を4つ以上の色合いレベルに移行させることができる。特定のエレクトロクロミック窓は、各ライトが2状態ライトである単一のIGU内の2つ(またはそれ以上)のエレクトロクロミックライトを使用することによって、中間の色合いレベルを可能にする。これについては、このセクションにおいて、図2Aおよび2Bを参照して説明される。
図2Aおよび2Bに関して上述したように、いくつかの実施形態では、エレクトロクロミック窓は、IGU200の一方のライト上にエレクトロクロミックデバイス400と、IGU200の他方のライト上に別のエレクトロクロミックデバイス400とを含むことができる。窓コントローラが各エレクトロクロミックデバイスを、色あせた状態および着色状態の2つの状態の間で移行させることができる場合、エレクトロクロミック窓は、両方のエレクトロクロミックデバイスが着色されている着色状態、一方のエレクトロクロミックデバイスが着色されている第1の中間状態、他方のエレクトロクロミックデバイスが着色されている第2の中間状態、および両方のエレクトロクロミックデバイスが色あせている色あせた状態の4つの異なる状態(色合いレベル)を達成することができる。マルチペインエレクトロクロミック窓の実施形態がさらに、「MULTI−PANE ELECTROCHROMIC WINDOWS」と題し、発明者としてRobin Friedmanらの名前が挙げられている米国特許第8,270,059号に記載されており、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、窓コントローラは、2つ以上の色合いレベルの間で移行することが可能なエレクトロクロミックデバイスを有するエレクトロクロミック窓を移行させることができる。例えば、窓コントローラは、エレクトロクロミック窓を色あせた状態、1つ以上の中間レベル、および着色状態に移行させることが可能であり得る。いくつかの他の実施形態では、窓コントローラは、エレクトロクロミックデバイスを組み込んだエレクトロクロミック窓を、色あせた状態と着色状態との間の任意の数の色合いレベルの間で移行させることができる。エレクトロクロミック窓を1つまたは複数の中間の色合いレベルに移行させるための方法およびコントローラの実施形態がさらに、「CONTROLLING TRANSITIONS IN OPTICALLY SWITCHABLE DEVICES」と題し、発明者としてDisha Mehtaniらの名前が挙げられている米国特許第8,254,013号に記載されており、これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、窓コントローラは、エレクトロクロミック窓内の1つ以上のエレクトロクロミックデバイスに給電することができる。通常、窓コントローラのこの機能は、以下でさらに詳細に説明される1つ以上の他の機能で増強される。本明細書に記載の窓コントローラは、制御の目的のために関連付けられているエレクトロクロミックデバイスに給電する機能を有するものに限定されない。すなわち、エレクトロクロミック窓用の電源は窓コントローラとは別にすることができ、この場合、コントローラは、自身の電源を有し、窓電源からの電力の印加を窓に指向する。しかしながら、窓コントローラに電源を含め、窓に直接給電するようにコントローラを構成すると、エレクトロクロミック窓に給電するための別個の配線が必要なくなるので、便利である。
さらに、このセクションで説明される窓コントローラは、窓コントローラを建物制御ネットワークまたは建物管理システム(BMS)に統合することなく、単一の窓または複数のエレクトロクロミック窓の機能を制御するように構成され得るスタンドアロンコントローラとして説明される。とはいえ、窓コントローラは、本開示の建物管理システムのセクションでさらに説明されるように、建物制御ネットワークまたはBMSに統合されてもよい。
図4は、開示された実施形態の窓コントローラ450のいくつかの構成要素、および窓コントローラシステムの他の構成要素のブロック図を示す。図4は窓コントローラの簡略ブロック図であり、窓コントローラに関するより詳細は、いずれも2012年4月17日に出願され、いずれも「CONTROLLER FOR OPTICALLY−SWITCHABLE WINDOWS」と題され、いずれも発明者としてStephen Brownの名前が挙げられた米国特許出願第13/449,248号および第13/449,251号、ならびに2012年4月17日に出願され、発明者としてStephen Brownらの名前が挙げられ、「CONTROLLING TRANSITIONS IN OPTICALLY SWITCHABLE DEVICES」と題された米国特許第13/449,235号に見出すことができ、これらはすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図4において、窓コントローラ450の図示された構成要素は、マイクロプロセッサ455または他のプロセッサと、パルス幅変調器460と、信号調整モジュール465と、構成ファイル475を有するコンピュータ可読媒体(例えばメモリ)と、を有する窓コントローラ450を含む。窓コントローラ450は、1つ以上のエレクトロクロミックデバイス400に命令を送信するために、ネットワーク480(有線または無線)を介してエレクトロクロミック窓内の1つ以上のエレクトロクロミックデバイス400と電子的に通信する。いくつかの実施形態では、窓コントローラ450は、ネットワーク(有線または無線)を介してマスター窓コントローラと通信するローカル窓コントローラであり得る。
開示された実施形態では、建物は、建物の外部と内部との間にエレクトロクロミック窓を有する少なくとも1つの部屋を有することがある。1つ以上のセンサーを建物の外部および/または部屋の内部に位置付けてもよい。実施形態では、1つ以上のセンサーからの出力は、窓コントローラ450の信号調整モジュール465に入力することができる。場合によっては、建物管理システムのセクションでさらに説明されるように、1つ以上のセンサーからの出力をBMSに入力することができる。図示の実施形態のセンサーは建物の外側垂直壁に位置付けられたものとして示されているが、これは単純化のためであり、センサーは、部屋の内側、または外側に対する他の表面上などの他の位置にあってもよい。場合によっては、2つ以上のセンサーを使用して同じ入力を測定してもよく、これにより、1つのセンサーが故障する、またはそうでなければ誤った測定値を有する場合に、冗長性を提供することができる。
図5は、少なくとも1つのエレクトロクロミックデバイスを有するエレクトロクロミック窓505を有する部屋500の概略図(側面図)を示す。エレクトロクロミック窓505は、部屋500を含む建物の外部と内部との間に位置付けられている。部屋500はまた、エレクトロクロミック窓505に接続され、エレクトロクロミック窓505の色合いレベルを制御するように構成された窓コントローラ450を含む。外部センサー510が、建物の外部の垂直面に位置付けられている。他の実施形態では、部屋500内の周囲光を測定するために、内部センサーも使用され得る。さらに他の実施形態では、占有者がいつ部屋500内にいるかを判断するために、占有者センサーも使用され得る。
外部センサー510は、太陽などの光源から、または表面、大気中の粒子、雲などからセンサーに反射される光から流れる、デバイスに入射する放射光を検出することができる光センサーなどのデバイスである。外部センサー510は、光電効果から生じる電流の形態の信号を生成してもよく、この信号は、センサー510に入射する光の関数であってもよい。場合によっては、デバイスは、ワット/m2の単位、または他の同様な単位の放射照度に換算して放射光を検出することができる。他の場合、デバイスは、フートキャンドルの単位または同様な単位で、可視波長範囲の光を検出することができる。多くの場合、これらの放射照度値と可視光との間には線形関係がある。
いくつかの実施形態では、外部センサー510は、赤外光を測定するように構成されている。いくつかの実施形態では、外部光センサーは、赤外光および/または可視光を測定するように構成される。いくつかの実施形態では、外部光センサー510はまた、温度および/または湿度データを測定するためのセンサーを含み得る。いくつかの実施形態では、インテリジェンスロジックが、外部センサーを使用して決定された、または外部ネットワーク(例えば、気象観測所)から受信された1つ以上のパラメータ(例えば、可視光データ、赤外線データ、湿度データ、および温度データ)を使用して、妨害する雲の存在を判断する、ならびに/もしくは雲によって引き起こされる妨害を定量化することができる。赤外線センサーを使用して雲を検出する様々な方法が、米国を指定し、その全体が本明細書に組み込まれる、2017年10月6日に出願され「INFRARED CLOUD DETECTOR SYSTEMS AND METHODS」と題された国際特許出願第PCT/US17/55631号に記載されている。
日光が地表に当たる角度が変化するので、日光からの放射照度値は、時刻および季節に基づいて予測することができる。外部センサー510は、建物に起因する反射光および妨害された光、天候の変化(例えば、雲)などを考慮した放射光をリアルタイムで検出することができる。例えば、曇った日には日光が雲によって遮られて、外部センサー510によって検出される放射光は、晴れ渡った日よりも低いであろう。
いくつかの実施形態では、単一のエレクトロクロミック窓505に関連付けられた1つ以上の外部センサー510が存在し得る。1つ以上の外部センサー510からの出力を互いに比較して、例えば、外部センサー510のうちの1つが、外部センサー510に留まった鳥などの物体によって遮られているかどうかを判定することができる。場合によっては、いくつかのセンサーが信頼できないおよび/または高価である可能性があるため、建物内で比較的少数のセンサーを使用することが望ましい場合がある。特定の実装例では、単一のセンサーまたは少数のセンサーを使用して、建物またはおそらく建物の片側に当たる、太陽からの放射光の現在のレベルを決定することができる。雲が太陽の前を通過する、または建設用車両が沈みかけた太陽の前に駐車することがあり得る。これらは、通常建物に当たると計算される、太陽からの放射光の量からの偏差をもたらすであろう。
外部センサー510は一種の光センサーであってもよい。例えば、外部センサー510は、電荷結合素子(CCD)、フォトダイオード、フォトレジスタ、または光電池であってもよい。当業者は、光センサーおよび他のセンサー技術における将来の進展もまた、光強度を測定し、光レベルを表す電気出力を提供するので、使えることを理解するであろう。
いくつかの実施形態では、外部センサー510からの出力を信号調整モジュール465に入力することができる。入力は、信号調整モジュール465への電圧信号の形態であってもよい。信号調整モジュール465は、出力信号を窓コントローラ450に渡す。窓コントローラ450は、構成ファイル475からの様々な情報、信号調整モジュール465からの出力、オーバーライド値に基づいて、エレクトロクロミック窓505の色合いレベルを決定する。次いで、窓コントローラ450は、所望の色合いレベルに移行させるために、エレクトロクロミック窓505に電圧および/または電流を印加するよう、PWM460に命令する。
開示の実施形態では、4つ以上の異なる色合いレベルのうちの任意の1つにエレクトロクロミック窓505を移行させるために、エレクトロクロミック窓450に電圧および/または電流を印加するよう、PWM460に命令することができる。開示された実施形態では、エレクトロクロミック窓505は、0(最も明るい)、5、10、15、20、25、30、および35(最も暗い)として記載される少なくとも8つの異なる色合いレベルに移行され得る。色合いレベルは、エレクトロクロミック窓505を通して透過される光の可視透過率値および太陽熱利得係数(SHGC)値に線形に対応し得る。例えば、上記の8つの色合いレベルを使用すると、0の最も明るい色合いレベルは0.80のSHGC値に対応し得、5の色合いレベルは0.70のSHGC値に対応し得、10の色合いレベルは0.60のSHGC値に対応し得、15の色合いレベルは0.50のSHGC値に対応し得、20の色合いレベルは0.40のSHGC値に対応し得、25の色合いレベルは0.30のSHGC値に対応し得、30の色合いレベルは0.20のSHGC値に対応し得、35(最も暗い)の色合いレベルは0.10のSHGC値に対応し得る。
窓コントローラ450、または窓コントローラ450と通信するマスターコントローラは、任意の1つ以上の予測制御ロジック構成要素を利用して、外部センサー510からの信号および/または他の入力に基づいて所望の色合いレベルを決定することができる。窓コントローラ450は、エレクトロクロミック窓505を所望の色合いレベルに移行させるために、エレクトロクロミック窓505に電圧および/または電流を印加するよう、PWM460に命令することができる。
III.予測制御ロジックの一実施例
開示された実施形態では、占有者の快適さおよび/またはエネルギー節約の考慮事項を考慮して、エレクトロクロミック窓505または他の色合い調節可能な窓の所望の色合いレベルを決定および制御する方法を実施するために、予測制御ロジックが使用される。この予測制御ロジックは、1つ以上のロジックモジュールを利用することができる。図6A〜図6Cは、開示された実施形態の例示的な制御ロジックの3つのロジックモジュールA、B、およびCの各々によって収集されたいくつかの情報を示す図である。
図6Aは、部屋500を含む建物の外部と内部との間のエレクトロクロミック窓505を通して部屋500内へ入射する直射日光の侵入深さを示す。侵入深さは、直射日光がどれだけ遠く部屋500内に侵入するかの尺度である。示されるように、侵入深さは、窓505の敷居(底部)から離れる水平方向に測定される。一般に、窓は、直射日光に対する受光角を提供する開口を画定する。侵入深さは、窓の幾何学的形状(例えば窓の寸法)、部屋内での窓の位置および向き、窓の外側の任意のフィンまたは他の外部日よけ、および太陽の位置(例えば、特定の時刻および日付の直射日光の角度)に基づいて計算される。エレクトロクロミック窓505に対する外部日よけは、張り出し、フィンなどのような、窓を遮蔽し得る任意の種類の構造体に起因し得る。図6Aでは、部屋500に入射する直射日光の一部分を遮って侵入深さを短くする、エレクトロクロミック窓505の上方の張り出し520がある。部屋500はまた、エレクトロクロミック窓505に接続され、エレクトロクロミック窓505の色合いレベルを制御するように構成されているローカル窓コントローラ450を含む。外部センサー510が、建物の外部の垂直面に位置付けられている。
モジュールAを使用して、エレクトロクロミック窓505を通って占有者または彼らの活動領域に当たる直射日光から、占有者の快適さを考慮した色合いレベルを決定することができる。色合いレベルは、特定の瞬間における、部屋内に入射する直射日光の計算侵入深さ、および部屋内の空間タイプ(例えば、窓際の机、ロビーなど)に基づいて決定される。場合によっては、色合いレベルは、部屋内に十分な自然採光を提供することに基づいてもよい。多くの場合、侵入深さは、ガラスの移行時間(例えば、所望の色合いレベルの80%、90%または100%に窓が色合い付くのに要する時間)を考慮して計算された、将来の時刻における値である。モジュールAで扱われる問題は、机または部屋内の他の作業面で作業している占有者に直接当たるように、直射日光が部屋500内の奥深くに侵入し得ることである。公開されているプログラムが、太陽の位置の計算を提供し、侵入深さの容易な計算を可能し得る。
図6Aはまた、活動領域(すなわち机)および活動領域の位置(すなわち机の位置)に関連付けられた空間タイプの例として、部屋500内の机を示す。各空間タイプは、占有者の快適さのためのさまざまな色合いレベルに関連付けられている。例えば、活動が、机またはコンピュータで行われる、オフィス内での作業などの重要な活動であり、机が窓の近くにある場合には、所望の色合いレベルは、机が窓からより遠く離れている場合よりも高くなることがある。別の例として、ロビーでの活動など、活動が重要ではない場合、望ましい色合いレベルは、机を有する同じ空間よりも低くなることがある。
図6Bは、エレクトロクロミック窓505を通って部屋500内に入射する、晴天条件下での直射日光および放射を示す。放射は、大気中の分子および粒子によって散乱された日光からであってもよい。モジュールBは、検討中のエレクトロクロミック窓505を通って流れる、晴天条件下での放射照度の予測値に基づいて色合いレベルを決定する。オープンソースのRADIANCEプログラムなどのさまざまなソフトウェアを使用して、特定の緯度、経度、季節、および時刻における、および所与の窓の向きに対する晴天放射照度を予測することができる。
図6Cは、晴天予測では考慮されない、建物または気象条件(例えば雲)などの物体によって妨害される、または反射される可能性がある光を考慮するために、外部センサー510によってリアルタイムに測定される、空からの放射光を示す。モジュールCによって決定される色合いレベルは、外部センサー510によって採取された測定値に基づくリアルタイムの放射照度に基づいている。
予測制御ロジックは、建物内の各エレクトロクロミック窓505に対して、ロジックモジュールA、B、およびCのうちの1つ以上を別々に実施することができる。各エレクトロクロミック窓505は、一意のセットの寸法、向き(例えば、垂直、水平、ある角度で傾斜)、位置、関連付けられた空間タイプなどを有することができる。この情報および他の情報を有する構成ファイルを、各エレクトロクロミック窓505のために維持することができる。構成ファイル475(図4参照)は、エレクトロクロミック窓505のローカル窓コントローラ450のコンピュータ可読媒体470に、または本開示で後述する建物管理システム(「BMS」)に格納することができる。構成ファイル475は、窓の構成、占有率ルックアップテーブル、関連付けられた基準ガラスに関する情報、および/または予測制御ロジックによって使用される他のデータなどの情報を含むことができる。窓の構成は、エレクトロクロミック窓505の寸法、エレクトロクロミック窓505の向き、エレクトロクロミック窓505の位置などの情報を含むことができる。
ルックアップテーブルは、特定の空間タイプおよび侵入深さに対して占有者の快適さを提供する色合いレベルを記載する。すなわち、占有率ルックアップテーブル内の色合いレベルは、部屋500内にいる可能性がある占有者(複数可)に、占有者(複数可)または彼らの作業空間に当たる直射日光から快適さを提供するように設計されている。占有率ルックアップテーブルの一例を図10に示す。
空間タイプは、所与の侵入深さに対して占有者の快適さの問題に対処するためにどれほどの色合い調節が必要かを判断し、および/または室内に快適な自然採光を提供するための尺度である。空間タイプパラメータは、多くの要因を考慮に入れることができる。これらの要因の中には、特定の部屋内で行われている仕事または他の活動の種類、および活動の位置がある。細心の注意を要する詳細な研究に関連する細かい作業が1つの空間タイプでなされ得る一方、ラウンジまたは会議室は、異なる空間タイプを有し得る。さらに、窓に対する部屋内の机または他の作業面の位置は、空間タイプを定義する際の考慮事項である。例えば、空間タイプが、エレクトロクロミック窓505の近くに位置付けられた机または他の作業空間を有する、一人の占有者のオフィスと関連付けられる場合がある。別の例として、空間タイプがロビーである場合がある。
特定の実施形態では、予測制御ロジックの1つ以上のモジュールが、占有者の快適さに加えてエネルギー節約を考慮しながら、所望の色合いレベルを決定することができる。これらのモジュールは、特定の色合いレベルにおけるエレクトロクロミック窓505の性能を基準ガラスまたは他の標準的な基準窓と比較することによって、その特定の色合いレベルに関連付けられた省エネルギーを決定することができる。この基準窓を使用する目的は、予測制御ロジックが、地方自治体の建築基準の要件、または建物の場所で使用される基準窓に対する他の要件に準拠していることを確実にすることであり得る。多くの場合、自治体は、建物内の空調負荷の量を制御するために、従来の低放射ガラスを使用する基準窓を定義している。基準窓505がどのように予測制御ロジックに適合するかの例として、所与のエレクトロクロミック窓505を通って入ってくる放射照度が、それぞれの自治体によって指定される基準窓を通って入ってくる最大放射照度よりも大きくならないように、ロジックを設計することができる。開示された実施形態では、予測制御ロジックは、特定の色合いレベルにおけるエレクトロクロミック窓505の太陽熱利得係数(SHGC)値および基準窓のSHGCを使用して、その合いレベルを使用することによる省エネルギーを決定することができる。一般に、SHGCの値は、窓を透過した全波長の入射光の割合である。基準ガラスが多くの実施形態に記載されているが、他の標準的な基準窓を使用してもよい。一般に、基準窓(例えば基準ガラス)のSHGCは、地理的位置および窓の向きが異なると変わり得る変数であり、それぞれの自治体によって指定された基準の要件に基づいている。
一般に、建物は、任意の所与の場合に必要とされる最大予想暖房および/または空調負荷を満たす容量を有する暖房、換気および空調システム(「HVAC」)を有するように設計されている。必要とされる容量の計算は、建物が建設されている特定の場所の建物に必要な基準ガラスまたは基準窓を考慮に入れることができる。したがって、建物の設計者が、どの程度多くのHVAC容量を特定の建物に入れるべきかを確信を持って決定することを可能にするために、予測制御ロジックが、基準ガラスの機能要件を満たすかまたは超えることが重要である。予測制御ロジックを使用して窓の色合いを調節し、基準ガラスを超える追加の省エネルギーを提供することができるので、予測制御ロジックは、建物設計者が、条例および基準によって指定された基準ガラスを使用して必要とされるよりも低いHVAC容量を有することを可能にする上で有用であり得る。
本明細書に記載の特定の実施形態は、建物内の空調負荷を低減することによってエネルギー節約が達成されると仮定する。したがって、実装例の多くは、検討中の窓を有する部屋内の占有者の快適さレベルおよびおそらく照明負荷を考慮しながら、最大可能な色合い調節を達成することを試みる。しかしながら、極北における気候および南部の緯度に対する気候などいくつかの気候では、空調よりも暖房の方が大きな問題であり得る。したがって、建物の暖房負荷が低減されることを確実にするために、あまり色合い調節が起こらないように予測制御ロジックを修正すること、具体的にはいくつかの状況で道路を反転させることができる。
特定の実装例では、予測制御ロジックは、占有者(エンドユーザー)、建物設計者、または建物運営者によって制御され得る2つの独立変数のみを有する。これらは、所与の窓に対する空間タイプ、および所与の窓に関連付けられた基準ガラスである。多くの場合、基準ガラスは、所与の建物に対して予測制御ロジックが実施されるときに指定される。空間タイプは変化し得るが、通常は変化しない。特定の実装例では、空間タイプは、建物によって維持されているか、またはローカル窓コントローラ450に格納されている構成ファイルの一部であり得る。場合によっては、建物内のさまざまな変更を考慮して、構成ファイルが更新されることがある。例えば、建物内の空間タイプに変更(例えば、オフィス内への机の移動、机の追加、ロビーのオフィスエリアへの変更、壁の移動など)がある場合、修正された占有率ルックアップテーブルを有する更新された構成ファイルが、コンピュータ可読媒体470に格納され得る。別の例として、占有者がマニュアルオーバーライドを繰り返し押している場合、マニュアルオーバーライドを反映するように構成ファイルが更新され得る。
図7は、実施形態による、建物内の1つ以上のエレクトロクロミック窓505を制御する方法のための予測制御ロジックを示すフローチャートである。予測制御ロジックは、モジュールA、B、およびCのうちの1つ以上を使用して窓(複数可)の色合いレベルを計算し、窓(複数可)を移行させる命令を送信する。ステップ610において、制御ロジック内の計算が、タイマーによって計時される間隔で1〜n回実行される。例えば、色合いレベルは、モジュールA、B、およびCのうちの1つ以上によって1〜n回再計算され、時間ti=t1、t2...tn内のインスタンスについて計算され得る。nは実行される再計算の数で、nは少なくとも1であり得る。場合によっては、論理計算を一定の時間間隔で行うことができる。場合によっては、論理計算を2〜5分毎に行ってもよい。しかしながら、大きなエレクトロクロミックガラス(例えば、6フィート×10フィートまで)の色合い移行は、最大30分以上かかることがある。これらの大きな窓では、計算は、30分ごとなど、より低頻度で行ってもよい。
ステップ620で、ロジックモジュールA、B、およびCは、計算を実行して、単一の瞬間tiにおける各エレクトロクロミック窓505の色合いレベルを決定する。これらの計算は、窓コントローラ450によって実行され得る。特定の実施形態では、予測制御ロジックは、実際の移行に先立って、窓がどんな具合に移行すべきかを予測計算する。これらの場合、モジュールA、B、およびCの計算は、移行が完了する頃または移行完了後の将来の時刻に基づいて行うことができる。これらの場合、計算に使用される将来の時刻は、色合い命令を受信した後に移行が完了することを可能にするのに十分な将来の時刻であり得る。これらの場合、コントローラは、実際の移行に先立って、現時刻に色合い命令を送信することができる。移行が完了するまでに、窓は、その時刻の所望の色合いレベルに移行しているであろう。
ステップ630で、予測制御ロジックは、モジュールA、B、およびCにおけるアルゴリズムを解除し、何らかの他の考慮事項に基づいて、ステップ640でオーバーライド色合いレベルを定義する、特定の種類のオーバーライドを可能にする。1つの種類のオーバーライドが、マニュアルオーバーライドである。これは、部屋を占有しているエンドユーザーによって実施されるオーバーライドで、特定の色合いレベル(オーバーライド値)が望ましいと判断する。ユーザーのマニュアルオーバーライド自体がオーバーライドされる状況があり得る。オーバーライドの一例が高需要(またはピーク負荷)オーバーライドで、これは、建物内のエネルギー消費を削減するというユーティリティの要件と関連付けられている。例えば、大都市圏の特に暑い日には、自治体のエネルギー生成および流通システムに過度に重い負担をかけないように、自治体全体のエネルギー消費を削減する必要がある場合がある。そのような場合、建物は、すべての窓が特に高レベルの色合いを有することを確実にするために、本明細書に記載の予測制御ロジックからの色合いレベルをオーバーライドすることができる。オーバーライドの別の例が、部屋に占有者がいない場合、例示的週末、罪、商業用オフィスビルであり得る。これらの場合、建物は、占有者の快適さに関連する1つ以上のモジュールを解除してもよく、すべての窓は、寒冷な気候では高レベルの色合い、温暖な気候では低レベルの色合いを有してもよい。
ステップ650で、色合いレベルが、建物の1つ以上のエレクトロクロミック窓505内のエレクトロクロミックデバイス(複数可)に、ネットワークを介して送信される。特定の実施形態では、建物のすべての窓への色合いレベルの送信は、効率を考慮して実施され得る。例えば、色合いレベルの再計算により、現在の色合いレベルからの色合いの変更は必要ないことが示唆された場合、更新された色合いレベルを有する命令の送信はない。別の例として、建物が、窓の大きさに基づいて、ゾーンに分割されてもよい。予測制御ロジックは、より小さな窓を有するゾーンについては、より大きな窓を有するゾーンよりも頻繁に色合いレベルを再計算するルールことがある。
いくつかの実施形態では、建物全体の複数のエレクトロクロミック窓505の制御方法を実施するための図7のロジックは、例えば、単一のマスター窓コントローラのような単一のデバイスに関するものであってもよい。このデバイスは、建物内の一つ一つの色合い調節可能な窓について計算を実行することができ、また、例えば、マルチゾーン窓の個々のエレクトロクロミック窓505内の、または絶縁ガラスユニットの複数のECライト上の1つ以上のエレクトロクロミックデバイスに色合いレベルを送信するためのインターフェースも提供する。マルチゾーン窓のいくつかの例は、「MULTI−ZONE EC WINDOWS」と題されたPCT出願第PCT/US14/71314号に見出すことができ、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
また、実施形態の予測制御ロジックの特定の適応構成要素があってもよい。例えば、予測制御ロジックは、エンドユーザー(例えば、占有者)がどのように、特定の時刻においてアルゴリズムをオーバーライドしようと試みるかを決定することができ、この情報をより予測的な方式で利用して、所望の色合いレベルを決定する。ある場合には、エンドユーザーが、毎日特定の時刻に予測ロジックによって提供される色合いレベルをあるオーバーライド値にオーバーライドするために、壁スイッチを使用していることがある。予測制御ロジックは、これらのインスタンスに関する情報を受信し、その時刻に色合いレベルをオーバーライド値に変更するように、予測制御ロジックを変更することができる。
図8は、図7のブロック620の特定の実装例を示す図である。この図は、3つのモジュールA、B、およびCのすべてを順次実行して、単一の瞬間tiに対する特定のエレクトロクロミック窓505の最終的な色合いレベルを計算する方法を示す。最終的な色合いレベルは、検討中の窓の最大許容透過率であってもよい。図8はまた、モジュールA、B、およびCのいくつかの例示的な入力および出力を含む。モジュールA、B、およびCにおける計算は、実施形態において、ローカル窓コントローラ450内の窓コントローラ450によって実行される。他の実施形態では、モジュールの1つ以上が、別のプロセッサによって実行され得る。例示の実施形態は、3つのモジュールA、B、およびCのすべてが使用されていることを示しているが、他の実施形態は、モジュールA、B、およびCのうちの1つ以上を使用し得る、または追加のモジュールを使用し得る。
ステップ700で、窓コントローラ450は、モジュールAを使用して、占有者の快適さのための色合いレベルを決定し、日光による直射グレアが部屋500に侵入するのを防止する。窓コントローラ450は、モジュールAを使用して、空における太陽の位置および構成ファイルからの窓の構成に基づいて、部屋500に入射する直射日光の侵入深さを計算する。太陽の位置は、建物の緯度および経度、ならびに時刻および日付に基づいて計算される。占有率ルックアップテーブルおよび空間タイプは、特定の窓に対する構成ファイルから入力される。モジュールAは、Aからの色合いレベルをモジュールBに出力する。
モジュールAの目的は、直射日光やグレアが、占有者、または占有者の作業空間に当たらないことを確実にすることである。モジュールAからの色合いレベルは、この目的を達成するように決定される。その後のモジュールBおよびCでの色合いレベルの計算は、エネルギー消費を低減することができ、さらに大きな色合いを必要とする可能性がある。しかしながら、その後のエネルギー消費に基づく色合いレベルの計算が、占有者への妨害を回避するのに必要とされるよりも少ない色合いを示唆する場合、予測ロジックは、占有者の快適さを確実にするために、計算されたより大きいレベルの透過率が実行されるのを防止する。
ステップ800で、モジュールAで計算された色合いレベルがモジュールBに入力される。色合いレベルは、晴天条件下での放射照度(晴天放射照度)の予測に基づいて計算される。窓コントローラ450は、モジュールBを使用して、構成ファイルからの窓の向きに基づいて、および建物の緯度および経度に基づいて、エレクトロクロミック窓505に対する晴天放射照度を予測する。これらの予測も、時刻および日付に基づく。オープンソースプログラムであるRADIANCEプログラムなどの公開されているソフトウェアは、晴天放射照度を予測するための計算を提供し得る。いくつかの実装例では、晴天放射照度は、時刻および日付情報が検索される、またはRADIANCEへの制御入力として提供されると、RADIANCEによってリアルタイムで予測される。基準ガラスのSHGCも、構成ファイルからモジュールBに入力される。窓コントローラ450は、モジュールBを使用して、Aでの色合いレベルよりも暗く、基準ガラスが最大晴天放射照度下で透過すると予測されるよりも少ない熱を伝える色合いレベルを決定する。最大晴天放射照度は、晴天条件について予測された、すべての時刻に対する最高レベルの放射照度である。
ステップ900で、Bからの色合いレベルおよび予測された晴天放射照度が、モジュールCに入力される。リアルタイム放射照度値が、外部センサー510からの測定値に基づいて、モジュールCに入力される。窓コントローラ450は、モジュールCを使用して、窓が、晴天条件下でモジュールBからの色合いレベルに色合い調節された場合の、部屋内に透過される放射照度を計算する。窓コントローラ450は、モジュールCを使用して、この色合いレベルを有する窓を通る実際の放射照度が、モジュールBからの色合いレベルを有する窓を通る放射照度以下である適切な色合いレベルを見つける。
予測制御ロジックに入力される情報の多くは、緯度および経度、時刻ならびに日付に関する固定情報から決定される。この情報は、太陽が建物に対して、より具体的には、予測制御ロジックが実施されている窓に対して、どこにあるのかを記述する。窓に対する太陽の位置は、窓に支援されて室内へ入射する直射日光の侵入深さなどの情報を提供する。窓に対する太陽の位置はまた、最大放射照度、または窓を通って入ってくる太陽放射エネルギー束の示度も提供する。この計算された放射照度レベルは、最大量の放射照度からの減少があることを示す可能性があるセンサー入力によって修正することができる。この場合もやはり、そのような減少は、窓と太陽との間の雲または他の妨害物によって引き起こされ得る。
図9は、図8のステップ700の詳細を示すフローチャートである。ステップ705で、モジュールAが開始する。ステップ710で、窓コントローラ450は、モジュールAを使用して、建物の緯度および経度座標、ならびに特定の瞬間tiの日付および時刻に対する太陽の位置を計算する。緯度および経度座標は、構成ファイルから入力され得る。日付および時刻は、タイマーによって提供される現在時刻に基づいてもよい。太陽位置は、場合によっては将来であり得る、特定の瞬間tiにおいて計算される。他の実施形態では、太陽の位置は、予測制御ロジックの別の構成要素(例えばモジュール)内で計算される。
ステップ720で、窓コントローラ450は、モジュールAを使用して、ステップ710で使用された特定の瞬間における部屋500内へ入射する直射日光の侵入深さを計算する。モジュールAは、計算された太陽の位置、ならびに窓の位置、窓の寸法、窓の向き(つまり、面している方向)、および任意の外部日よけの詳細を含む窓構成情報に基づいて、侵入深さを計算する。窓構成情報は、エレクトロクロミック窓505に関連付けられた構成ファイルから入力される。例えば、モジュールAを使用して、特定の瞬間において計算された太陽の位置に基づいて、直射日光の角度θを最初に計算することによって、図6Aに示された垂直窓の侵入深さを計算することができる。侵入深さは、計算された角度θおよびまぐさ(窓の頂部)の位置に基づいて決定することができる。
ステップ730で、ステップ720で計算された侵入深さに対する、占有者の快適さを提供する色合いレベルが決定される。窓に関連付けられた空間タイプに対する、計算された侵入深さに対する、および窓の受光角に対する所望の色合いレベルを見つけるために、占有率ルックアップテーブルが使用される。空間タイプおよび占有率ルックアップテーブルは、特定の窓に対する構成ファイルからの入力として提供される。
占有率ルックアップテーブルの一例が、図10に提供されている。テーブル内の値は、色合いレベル、および括弧内の関連するSHGC値に関する。図10は、計算された侵入深さ値と空間タイプとの異なる組み合わせに対する異なる色合いレベル(SHGC値)を示す。このテーブルは、0(最も明るい)、5、10、15、20、25、30、および35(最も明るい)を含む8つの色合いレベルに基づいている。0の最も明るい色合いレベルは0.80のSHGC値に対応し、5の色合いレベルは0.70のSHGC値に対応し、10の色合いレベルは0.60のSHGC値に対応し、15の色合いレベルは0.50のSHGC値に対応し、20の色合いレベルは0.40のSHGC値に対応し、25の色合いレベルは0.30のSHGC値に対応し、30の色合いレベルは0.20のSHGC値に対応し、35(最も暗い)の色合いレベルは0.10のSHGC値に対応する。示された例は、机1、机2、およびロビーの3つの空間タイプ、ならびに6つの侵入深さを含む。図11Aは、部屋500内の机1の位置を示す。図11Bは、部屋500内の机2の位置を示す。図10の占有率ルックアップテーブルに示されるように、机が窓により近いときのグレアを防ぐために、窓に近い机1に対する色合いレベルは、窓から遠い机2に対する色合いレベルよりも高い。他の実施形態では、他の値を有する占有率ルックアップテーブルが使用され得る。例えば、1つの他の占有率ルックアップテーブルは、侵入値に関連付けられた4つの色合いレベルのみを含み得る。4つの侵入深さに関連付けられた4つの色合いレベルを有する占有率テーブルの別の例が、図20に示されている。
図12は、図8のステップ800のさらなる詳細を示す図である。ステップ805で、モジュールBが開始する。ステップ810で、モジュールBを使用して、tiにおける晴天条件下での窓における放射照度を予測することができる。tiにおけるこの晴天放射照度は、建物の緯度および経度座標、ならびに窓の向き(すなわち窓が面している方向)に基づいて予測される。ステップ820で、窓に常時入射する最大晴天放射照度が予測される。これらの晴天放射照度の予測値は、Radianceなどのオープンソースソフトウェアを使用して計算され得る。以下により詳細に説明されるように、最大晴天放射照度は、コンピュータ可読媒体に格納された照射ファイルに格納/照射ファイルから検索することができる。
ステップ830で、窓コントローラ450は、モジュールBを使用して、その時刻に基準ガラスを通って部屋500内に透過されるであろう最大放射照度を決定する(すなわち、最大基準内側放射照度を決定する)。ステップ820からの計算された最大晴天放射照度および構成ファイルからの基準ガラスSHGC値を使用して、方程式:最大基準内側放射照度=基準ガラスSHGC×最大晴天放射照度、を用いて空間内の最大放射照度を計算することができる。
ステップ840で、窓コントローラ450は、モジュールBを使用して、方程式に基づいて、現在の色合いレベルを有する窓を有する部屋500内へ入射する内側放射照度を決定する。ステップ810からの計算された晴天放射照度および現在の色合いレベルに関連付けられたSHGC値を使用して、方程式:色合いレベル放射照度=色合いレベルSHGC×晴天放射照度、を用いて内側放射照度の値を計算することができる。いくつかの実装例では、晴天放射照度は、照射ファイルから検索された照射値である。照射値は、本明細書に開示されたいくつかの技法を使用して、例えば、モジュールB'を使用して、更新または修正されていることがある。
一実施形態では、1つ以上のステップ705、810、および820が、モジュールAおよびBとは別の太陽位置計算機によって実行され得る。太陽位置計算機は、特定の将来の時刻における太陽の位置を決定し、その将来の時刻における太陽の位置に基づいて予測決定を行う(例えば、晴天放射照度を予測する)ロジックを指す。太陽位置計算機は、本明細書に開示された方法の1つ以上のステップを実行することができる。太陽位置計算機は、マスター窓コントローラ(例えば、図17に示されたマスター窓コントローラ1402)の構成要素のうちの1つ以上によって実行される予測制御ロジックの一部分であってもよい。例えば、太陽位置計算機は、(図17に示された)窓コントローラ1410によって実施される、図18に示された予測制御ロジックの一部分であってもよい。
ステップ850で、窓コントローラ450は、モジュールBを使用して、現在の色合いレベルに基づく内側放射照度が最大基準内側放射照度以下であり、その色合いレベルが、Aからの色合いレベルよりも暗いかどうかを判定する。判定がいいえの場合、ステップ860で、現在の色合いレベルが増分的に増加され(暗くされ)、ステップ840で、内側放射照度が再計算される。ステップ850で判定がはいの場合、モジュールBは終了する。
図13は、図8のステップ900のさらなる詳細を示す図である。ステップ905で、モジュールCが開始する。Bからの色合いレベルおよび瞬間tiにおける予測晴天放射照度が、モジュールBから入力される。リアルタイム放射照度値が、外部センサー510からの測定値に基づいて、モジュールCに入力される。
ステップ910で、窓コントローラ450は、モジュールCを使用して、晴天条件下で、Bからの色合いレベルに色合い調節されたエレクトロクロミック窓505を通って部屋内に透過される放射照度を計算する。この計算された内側放射照度は、方程式:計算された内側放射照度=Bからの色合いレベルのSHGC×Bからの予測晴天放射照度、を使用して決定され得る。
ステップ920で、窓コントローラ450は、モジュールCを使用して、この色合いレベルを有する窓を通る実際の放射照度が、Bからの色合いレベルを有する窓を通る放射照度以下(すなわち、実際の内側放射照度≦計算された内側放射照度)である適切な色合いレベルを見つける。実際の放射照度は、太陽放射照度(SR)または外側放射照度と色合いレベルSHGCとの積として測定される。場合によっては、モジュールロジックは、Bからの色合いレベルで開始し、実際の内側放射照度≦計算された内側放射照度となるまで、色合いレベルを増分的に増加させる。モジュールCで決定された色合いレベルが最終色合いレベルである。この最終色合いレベルは、色合い命令に含まれて、ネットワークを介して、エレクトロクロミック窓505内のエレクトロクロミックデバイス(複数可)に送信され得る。
図14は、図7のブロック620の別の実装例を含む図である。この図は、実施形態のモジュールA、B、およびCを実行する方法を示す。この方法では、太陽の位置は、単一の瞬間tiについて、建物の緯度および経度座標に基づいて計算される。侵入深さは、窓の位置、窓の寸法、窓の向き、および任意の外部日よけに関する情報を含む窓の構成に基づいて、モジュールAで計算される。モジュールAは、ルックアップテーブルを使用して、計算された侵入深さおよび空間タイプに基づいて、Aからの色合いレベルを決定する。次いで、Aからの色合いレベルがモジュールBに入力される。
オープンソースプログラムRadianceなどのプログラムを使用して、単一の瞬間tiおよび全時刻の最大値の両方について、窓の向きおよび建物の緯度および経度座標に基づいて晴天日射照度を決定する。基準ガラスのSHGCおよび計算された最大晴天放射照度が、モジュールBに入力される。モジュールBは、モジュールAで計算された色合いレベルを段階的に増加させて、内側放射が基準内側放射照度以下である色合いレベルを選び、ここで、内側放射照度=色合いレベルSHGC×晴天放射照度、および基準内側放射照度=基準SHGC×最大晴天放射照度である。ただし、モジュールAがガラスの最大の色合いを計算するとき、モジュールBは、色合いを変えてより明るくすることはしない。次いで、Bで計算された色合いレベルが、モジュールCに入力される。予測晴天放射照度も、モジュールCに入力される。
モジュールCは、方程式:計算された内側放射照度=Bからの色合いレベルのSHGC×Bからの予測晴天放射照度、を用いて、Bからの色合いレベルを有するエレクトロクロミック窓505を有する部室内の内側放射照度を計算する。次に、モジュールCは、実際の内側放射照度が、計算された内側放射照度以下であるという条件を満たす適切な色合いレベルを見つける。実際の内側放射照度は、方程式:実際の内側放射照度=SR×色合いレベルSHGC、を使用して決定される。モジュールCによって決定された色合いレベルは、エレクトロクロミック窓505に送信される色合い命令内の最終色合いレベルである。
IV.建物管理システム(BMS)
本明細書に記載の窓コントローラは、BMSとの統合にも適している。BMSは、換気装置、照明、電力システム、エレベータ、防火システム、およびセキュリティシステムなどの建物の機械および電気設備を監視および制御する、建物内に設置されたコンピュータベースの制御システムである。BMSは、1つまたは複数のコンピュータへの通信チャネルによる相互接続を含むハードウェア、ならびに占有者および/または建物の管理者によって設定される好みに従って、建物内の条件を維持するための関連ソフトウェアからなる。例えば、BMSは、イーサネット(登録商標)などのローカルエリアネットワークを使用して実装され得る。ソフトウェアは、例えば、インターネットプロトコルおよび/またはオープンスタンダードに基づいてもよい。一例が、Tridium,Inc.(バージニア州リッチモンド)のソフトウェアである。BMSで一般的に使用される1つの通信プロトコルが、BACnet(建物自動化および制御ネットワーク)である。
BMSは、大型の建物では最も一般的であり、通常、少なくとも建物内の環境を制御するように機能する。たとえば、BMSは、建物内の温度、二酸化炭素レベル、および湿度を制御することができる。通常、ヒーター、エアコン、送風機、通気口などの、BMSによって制御される多くの機械装置がある。建物環境を制御するために、BMSは、定義された条件下でこれらの様々なデバイスをオンおよびオフにすることができる。典型的な最新のBMSのコア機能は、冷暖房のコスト/需要を最小化しながら、建物の占有者にとって快適な環境を維持することである。したがって、最新のBMSは、監視および制御を行うためだけでなく、様々なシステム間の相乗効果を最適化する、例えば、エネルギーを節約し、建物の運用コストを低減するためにも使用される。
いくつかの実施形態では、窓コントローラはBMSと統合され、窓コントローラは1つ以上のエレクトロクロミック窓505または他の色合い調節可能な窓を制御するように構成されている。一実施形態では、1つ以上のエレクトロクロミック窓は、少なくとも1つの全固体型および無機エレクトロクロミックデバイスを含むが、例えば、IGUの各ライトまたはペインが色合い調節可能である場合、複数のエレクトロクロミックデバイスを含み得る。一実施形態では、1つ以上のエレクトロクロミック窓は、全固体型および無機エレクトロクロミックデバイスのみを含む。一実施形態では、エレクトロクロミック窓は、2010年8月5日に出願され、「Multipane Electrochromic Windows」と題された米国特許出願第12/851,514号に記載されているような多状態エレクトロクロミック窓である。
図15は、セキュリティシステム、暖房/換気/空調(HVAC)、建物の照明、電力システム、エレベータ、消防システムなどを含む、建物1101の多くのシステムを管理するBMS1100の一実施形態の概略図である。セキュリティシステムは、磁気カードアクセス、回転ドア、ソレノイド駆動ドアロック、監視カメラ、盗難警報機、金属探知機などを含み得る。消防システムは、火災警報器、および給水配管制御を含む火災抑制システムを含み得る。照明システムは、屋内照明、屋外照明、緊急警報灯、避難誘導灯、および非常口照明を含み得る。電力システムは、主電源、バックアップ発電機、および無停電電源(UPS)グリッドを含み得る。
また、BMS1100は、マスター窓コントローラ1102を管理する。この実施例では、マスター窓コントローラ1102は、マスターネットワークコントローラ1103、中間ネットワークコントローラ1105aおよび1105b、ならびにエンドまたはリーフコントローラ1110を含む、窓コントローラの分散型ネットワークとして示されている。エンドまたはリーフコントローラ1110は、図4に関して説明された窓コントローラ450と同様であってもよい。例えば、マスターネットワークコントローラ1103はBMS1100に近接していてもよく、建物1101の各階は、1つ以上の中間ネットワークコントローラ1105aおよび1105bを有していてもよく、建物の各窓は、自身のエンドコントローラ1110を有していてもよい。この実施例では、コントローラ1110の各々は、建物1101の特定のエレクトロクロミック窓を制御する。
コントローラ1110の各々は、各々が制御するエレクトロクロミック窓から離れた位置にあるか、またはエレクトロクロミック窓に統合されていてもよい。簡単にするために、建物1101の10個のエレクトロクロミック窓だけが、マスター窓コントローラ1102によって制御されるように描かれている。典型的な設定では、マスター窓コントローラ1102によって制御される、建物内の多数のエレクトロクロミック窓がある場合がある。マスター窓コントローラ1102は、窓コントローラの分散型ネットワークである必要はない。例えば、単一のエレクトロクロミック窓の機能を制御する単一のエンドコントローラも、上述のように、本明細書に開示されている実施形態の範囲内に含まれる。本明細書に記載のエレクトロクロミック窓コントローラをBMSに組み込む利点および特徴が、必要に応じて、図15に関連してより詳細に以下に説明される。
開示された実施形態の一態様が、本明細書に記載されるような多目的エレクトロクロミック窓コントローラを含むBMSである。エレクトロクロミック窓コントローラからのフィードバックを取り入れることによって、エレクトロクロミック窓が自動的に制御され得るため、BMSは、例えば、強化された1)環境制御、2)省エネルギー、3)セキュリティ、4)制御オプションの柔軟性、5)他のシステムへのより少ない依存性、したがってそのより少ない保守による、他のシステムの改善された信頼性および改善された耐用期間、6)情報の可用性および診断、7)スタッフの効率的な使用、およびスタッフからのより高い生産性、ならびにこれらの様々な組み合わせを提供することができる。いくつかの実施形態では、BMSが存在しない場合があるか、またはBMSは存在し得るが、マスターネットワークコントローラと通信しない、もしくはマスターネットワークコントローラと高レベルで通信しない場合がある。特定の実施形態では、BMSの保守は、エレクトロクロミック窓の制御を妨げない。
図16は、建物のための建物ネットワーク1200の一実施形態のブロック図を示す。上述のように、ネットワーク1200は、BACnetを含む、任意の数の異なる通信プロトコルを利用することができる。示されるように、建物ネットワーク1200は、マスターネットワークコントローラ1205、照明制御パネル1210、建物管理システム(BMS)1215、セキュリティ制御システム1220、およびユーザーコンソール1225を含む。建物内のこれらの異なるコントローラおよびシステムを使用して、建物のHVACシステム1230、照明1235、防犯センサー1240、ドアロック1245、カメラ1250、および色合い調節可能な窓1255からの入力を受信し、および/またはそれらを制御することができる。
マスターネットワークコントローラ1205は、図15に関して説明されたマスターネットワークコントローラ1103と同様に機能し得る。照明制御パネル1210は、屋内照明、屋外照明、緊急警報灯、避難誘導表示、および非常口照明を制御するための回路を含んでもよい。照明制御パネル1210はまた、建物の部屋内に占有センサーを含んでもよい。BMS1215は、ネットワーク1200の他のシステムおよびコントローラからデータを受信し、それらへコマンドを発行するコンピュータサーバを含んでもよい。例えば、BMS1215は、マスターネットワークコントローラ1205、照明制御パネル1210、およびセキュリティ制御システム1220の各々からデータを受信し、各々にコマンドを発行することができる。セキュリティ制御システム1220は、磁気カードアクセス、回転ドア、ソレノイド駆動ドアロック、監視カメラ、盗難警報機、金属探知機などを含んでもよい。ユーザーコンソール1225は、建物の様々なシステムの動作のスケジュールを立て、建物の様々なシステムを制御、監視、最適化およびトラブルシューティングするために、建物の管理者によって使用され得るコンピュータ端末であってもよい。Tridium, Inc.のソフトウェアは、ユーザーコンソール1225のために異なるシステムからのデータの視覚的表現を生成することができる。
異なる制御の各々は、個々のデバイス/装置を制御することができる。マスターネットワークコントローラ1205は、窓1255を制御する。照明制御パネル1210は、照明1235を制御する。BMS1215は、HVAC1230を制御することができる。セキュリティ制御システム1220は、防犯センサー1240、ドアロック1245、およびカメラ1250を制御する。データは、建物ネットワーク1200の一部である、異なるデバイス/装置およびコントローラのすべての間で交換および/または共有され得る。
場合によっては、BMS1100または建物ネットワーク1200のシステムは、日ごと、月ごと、四半期ごと、または年ごとのスケジュールに従って動作してもよい。例えば、照明制御システム、窓制御システム、HVAC、およびセキュリティシステムは、人が就業日内のいつ建物内にいるかを考慮した24時間スケジュールで動作してもよい。夜間、建物は省エネルギーモードに入ってもよく、日中、システムは、占有者に快適さを提供しながら建物のエネルギー消費を最小化するように動作してもよい。別の例として、システムは、休暇期間中停止するか、または省エネルギーモードに入ってもよい。
スケジューリング情報は、地理的情報と組み合わされてもよい。地理的情報は、建物の緯度および経度を含んでもよい。地理的情報はまた、建物の各側が面している方向に関する情報を含んでもよい。そのような情報を使用して、建物の異なる側の異なる部屋を異なる方法で制御することができる。例えば、冬には、建物の東向きの部屋に対して、窓コントローラは、部屋内に差し込む日光によって部屋が暖まるように、午前中は色合いを持たないよう窓に命令することができ、照明制御パネルは、日光による採光のために、弱くなるようランプに命令することができる。西向きの窓は、西側の窓の色合いは省エネルギーに影響を及ぼさない可能性があるので、午前中は部屋の占有者によって制御可能であり得る。しかしながら、東向きの窓および西向きの窓の動作モードが夕方に切り替わることがある(例えば、日が沈みかけているとき、西向きの窓は、熱および照明の両方のために日光が入ることを可能にするように、色合い調節されない)。
建物ネットワークまたはBMS、建物の外部窓のための色合い調節可能な窓(すなわち、建物の外部から建物の内部を分離する窓)、および多くの異なるセンサーを含む、例えば、図15の建物1101のような建物の一例が以下に記載される。建物の外部窓からの光は、一般に、窓から約20フィートまたは約30フィートの建物内の屋内照明に影響を及ぼす。すなわち、より多いあの、外部窓から約20フィートまたは約30フィートである建物内の空間は、外部窓からほとんど光を受けない。建物内の外部窓から離れたそのような空間は、建物の照明システムによって照らされる。
さらに、建物内の温度は、外光および/または外気温の影響を受ける可能性がある。例えば、寒い日に建物が暖房システムによって暖房されているとき、ドアおよび/または窓に近い部屋は、建物の内部領域よりも早く熱を失い、内部領域と比べてより冷たくなる。
外部センサーに関して、建物は、建物の屋根上に外部センサーを含んでもよい。あるいは、建物は、(例えば、図5の部屋500に関して説明されたように)各外部窓に関連付けられた外部センサー、または建物の各側面上の外部センサーを含んでもよい。建物の各側面上の外部センサーは、太陽が1日を通して位置を変えるときに、建物の1つの側面上の放射照度を追跡できる。
図7、8、9、12、13、および14に関して説明された方法に関して、窓コントローラが建物ネットワークまたはBMSに統合されると、外部センサー510からの出力は、BMSのネットワークに入力され、ローカル窓コントローラ450への入力として提供され得る。例えば、いくつかの実施形態では、任意の2つ以上のセンサーからの出力信号が受信される。いくつかの実施形態では、ただ1つの出力信号が受信され、いくつかの他の実施形態では、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の出力が受信される。これらの出力信号は、建物ネットワークまたはBMSを介して受信され得る。
いくつかの実施形態では、受信された出力信号は、建物内の暖房システム、冷房システム、および/または照明によるエネルギーまたは電力消費を示す信号を含む。例えば、建物の暖房システム、冷房システム、および/または照明のエネルギーまたは電力消費を監視して、エネルギーまたは電力消費を示す信号を提供することができる。この監視を可能にするために、デバイスは、建物の回路および/または配線とインターフェースが取られてもよく、またはそれに取り付けられてもよい。あるいは、建物内の電力システムは、建物内の個々の部屋または建物内の部屋のグループのための暖房システム、冷房システム、および/または照明によって消費される電力が監視され得るように設置されてもよい。
色合い命令を提供して、色合い調節可能な窓の色合いを、決定された色合いレベルに変更することができる。例えば、図15を参照すると、このことは、マスターネットワークコントローラ1103が1つ以上の中間ネットワークコントローラ1105aおよび1105bにコマンドを発行し、これらの中間ネットワークコントローラが同様に、建物の各窓を制御するエンドコントローラ1110にコマンドを発行することを含んでもよい。エンドコントローラ1100は、命令に従って色合いの変化を生じさせるために、窓に電圧および/または電流を印加することができる。
いくつかの実施形態では、エレクトロクロミック窓およびBMSを含む建物は、建物に電力を供給している1つまたは複数のユーティリティによって実行されるデマンドレスポンスプログラムに登録されるか、またはそれに参加してもよい。このプログラムは、ピーク負荷の発生が予想されるときに、建物のエネルギー消費が低減されるプログラムであってもよい。ユーティリティは、予想されるピーク負荷が発生する前に、警告信号を送出することができる。例えば、警告は、予想されるピーク負荷発生の前日、朝、または約1時間前に送信してもよい。ピーク負荷の発生は、例えば、冷房システム/空調機がユーティリティから大量の電力を取っている暑い夏の日に起こると予想され得る。警告信号は、建物のBMSによって、または建物内のエレクトロクロミック窓を制御するように構成された窓コントローラによって受信され得る。この警告信号は、図7に示されるように、モジュールA、B、およびCを解除するオーバーライド機構であってもよい。次いで、BMSは、ピーク負荷が予想されるときに、エレクトロクロミック窓505内の適切なエレクトロクロミックデバイスを、建物内の冷房システムの消費電力を低減する際の暗い色合いレベル支援に移行させるよう、窓コントローラ(複数可)に命令することができる。
いくつかの実施形態では、建物の外部窓用の色合い調節可能な窓(すなわち、建物の内部を建物の外部から分離する窓)は、ゾーンにグループ化して、ゾーン内の色合い調節可能な窓に同様に命令するようにしてもよい。例えば、建物の異なる階または建物の異なる側面のエレクトロクロミック窓のグループは、異なるゾーンにあってもよい。例えば、建物の1階で、東向きのエレクトロクロミック窓のすべてがゾーン1にあってもよく、南向きのエレクトロクロミック窓のすべてがゾーン2にあってもよく、西向きのエレクトロクロミック窓のすべてがゾーン3にあってもよく、北向きのエレクトロクロミック窓のすべてがゾーン4にあってもよい。別の例として、建物の1階のエレクトロクロミック窓のすべてがゾーン1にあってもよく、2階のエレクトロクロミック窓のすべてがゾーン2にあってもよく、3階のエレクトロクロミック窓のすべてがゾーン3にあってもよい。さらに別の例として、東向きのエレクトロクロミック窓のすべてがゾーン1にあってもよく、南向きのエレクトロクロミック窓のすべてがゾーン2にあってもよく、西向きのエレクトロクロミック窓のすべてがゾーン3にあってもよく、北向きのエレクトロクロミック窓のすべてがゾーン4にあってもよい。さらに別の例として、1つの階の東向きのエレクトロクロミック窓が、異なるゾーンに分割され得る。建物の同じ側面および/または異なる側面および/または異なる階の任意の数の色合い調節可能な窓が、1つのゾーンに割り当てられてもよい。個々の色合い調節可能な窓が、独立に制御可能なゾーンを有する実施形態では、色合い調節ゾーンは、個々の窓のゾーンの組み合わせを使用して建物の1つの表面上に設けてもよく、例えば、個々の窓は、そのゾーンのすべてが色合い調節されてもよい、またはされなくてもよい。
いくつかの実施形態では、ゾーン内のエレクトロクロミック窓は、同じ窓コントローラによって制御されてもよい。いくつかの他の実施形態では、ゾーン内のエレクトロクロミック窓は、異なる窓コントローラによって制御され得るが、これらの窓コントローラはすべて、センサーから同じ出力信号を受信し、同じ機能またはルックアップテーブルを使用して、ゾーン内の窓の色合いのレベルを決定し得る。
いくつかの実施形態では、ゾーン内のエレクトロクロミック窓は、透過率センサーからの出力信号を受信する1つまたは複数の窓コントローラによって制御されてもよい。いくつかの実施形態では、透過率センサーは、ゾーン内の窓に近接して取り付けられてもよい。例えば、透過率センサーは、ゾーンに含まれるIGUを含むフレームの中または上に取り付け(例えば、マリオン、フレームの水平サッシの中または上に取り付け)てもよい。いくつかの他の実施形態では、建物の片側の窓を含むゾーン内のエレクトロクロミック窓は、透過率センサーからの出力信号を受信する1つの窓コントローラまたは複数のコントローラによって制御され得る。
いくつかの実施形態では、センサー(たとえば光センサー)は、第1のゾーン(たとえばマスター制御ゾーン)のエレクトロクロミック窓505を制御するために、窓コントローラに出力信号を提供することができる。窓コントローラも、第1のゾーンと同じ方法で、第2のゾーン(例えば、スレーブ制御ゾーン)内のエレクトロクロミック窓505を制御することができる。いくつかの他の実施形態では、別の窓コントローラが、第1のゾーンと同じ方法で、第2のゾーンのエレクトロクロミック窓505を制御することができる。
いくつかの実施形態では、建物の管理者、第2のゾーンの部屋の占有者、または他の人が、手動で(例えば、色合いまたは透明コマンド、もしくはBMSのユーザーコンソールからのコマンドを使用して)第2のゾーン(すなわち、スレーブ制御ゾーン)のエレクトロクロミック窓に、着色状態(レベル)または透明状態などの色合いレベルに入るよう命令することができる。いくつかの実施形態では、第2のゾーンの窓の色合いレベルがそのような手動コマンドでオーバーライドされると、第1のゾーン(すなわちマスター制御ゾーン)のエレクトロクロミック窓は、透過率センサーからの出力を受信する窓コントローラの制御下に留まる。第2のゾーンは、一定期間手動コマンドモードに留まり、その後、透過率センサーからの出力を受信する窓コントローラの制御下に戻ることができる。例えば、第2のゾーンは、オーバーライドコマンドを受信した後1時間手動モードに留まり、その後、透過率センサーからの出力を受信する窓コントローラの制御下に戻ることができる。
いくつかの実施形態では、建物の管理者、第1のゾーンの部屋の占有者、または他の人が、手動で(例えば、色合いコマンドまたはBMSのユーザーコンソールからのコマンドを使用して)第1のゾーン(すなわち、マスター制御ゾーン)の窓に、着色状態または透明状態などの色合いレベルに入るよう命令することができる。いくつかの実施形態では、第1のゾーンの窓の色合いレベルがそのような手動コマンドでオーバーライドされると、第2のゾーン(すなわちスレーブ制御ゾーン)のエレクトロクロミック窓は、外部センサーからの出力を受信する窓コントローラの制御下に留まる。第1のゾーンは、一定期間手動コマンドモードに留まり、その後、透過率センサーからの出力を受信する窓コントローラの制御下に戻ることができる。例えば、第1のゾーンは、オーバーライドコマンドを受信した後1時間手動モードに留まり、その後、透過率センサーからの出力を受信する窓コントローラの制御下に戻ることができる。いくつかの他の実施形態では、第2のゾーンのエレクトロクロミック窓は、第1のゾーンのマニュアルオーバーライドが受信されたときにその窓があった色合いレベルに留まることができる。第1のゾーンは、一定期間手動コマンドモードに留まり、その後、第1のゾーンおよび第2のゾーンの両方が、透過率センサーからの出力を受信する窓コントローラの制御下に戻ることができる。
窓コントローラがスタンドアロン窓コントローラであるのか、それとも建物ネットワークとインターフェース接続されているのかに関わりなく、本明細書に記載の色合い調節可能な窓の制御の方法のいずれも、使用済みの制御、色合い調節可能な窓の色合いであり得る。
無線または有線通信
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の窓コントローラは、窓コントローラと、センサーと、別個の通信ノードとの間の有線または無線通信のための構成要素を含む。無線または有線通信は、窓コントローラと直接インターフェースを取る通信インターフェースを用いて達成され得る。そのようなインターフェースは、マイクロプロセッサに固有であっても、これらの機能を可能にする追加の回路を介して提供されてもよい。
無線通信用の別個の通信ノードは、例えば、別の無線窓コントローラ、エンド窓コントローラ、中間窓コントローラ、またはマスター窓コントローラ、遠隔制御デバイス、またはBMSであり得る。無線通信は、以下の動作:エレクトロクロミック窓505のプログラミングおよび/または操作、本明細書に記載の様々なセンサーおよびプロトコルからのEC窓505からのデータの収集、および無線通信のための中継点としてのエレクトロクロミック窓505の使用、のうちの少なくとも1つのために窓コントローラ内で使用される。エレクトロクロミック窓505から収集されたデータはまた、ECデバイスが起動された回数などのカウントデータ、経時的なECデバイスの効率など含んでもよい。これらの無線通信機能が以下により詳細に説明される。
一実施形態では、無線通信は、例えば赤外線(IR)および/または無線周波(RF)信号を介して、関連付けられたエレクトロクロミック窓505を操作するために使用される。特定の実施形態では、コントローラは、Bluetooth(登録商標)、EnOcean、WiFi、Zigbee(登録商標)などの無線プロトコルチップを含むであろう。窓コントローラは、ネットワークを介する無線通信を有してもよい。窓コントローラへの入力は、直接または無線通信を介して、エンドユーザーによって壁スイッチで手動で入力することができる、あるいは、入力は、エレクトロクロミック窓が構成要素である建物のBMSからであってもよい。
一実施形態では、窓コントローラが、コントローラの分散型ネットワークの一部である場合、各々が無線通信コンポーネントを有するコントローラの分散型ネットワークを介して、データを複数のエレクトロクロミック窓の各々へ、および各々から転送するために、無線通信が使用される。例えば、図15を再び参照すると、マスターネットワークコントローラ1103は、中間ネットワークコントローラ1105aおよび1105bの各々と無線で通信し、これらの中間ネットワークコントローラは同様に、各々がエレクトロクロミック窓に関連付けられているエンドコントローラ1110と無線で通信する。マスターネットワークコントローラ1103はまた、BMS1100と無線で通信することができる。一実施形態では、窓コントローラ内の少なくとも1つのレベルの通信は無線で実行される。
いくつかの実施形態では、複数のモードの無線通信が、窓コントローラ分散型ネットワーク内で使用される。例えば、マスター窓コントローラが、WiFiまたはZigbeeを介して中間コントローラと無線通信する一方、中間コントローラは、Bluetooth、Zigbee、EnOcean、または他のプロトコルを介してエンドコントローラと通信する。別の実施例では、窓コントローラは、無線通信のためのエンドユーザーの選択肢での柔軟性のために、冗長な無線通信システムを有する。
例えば、マスターおよび/または中間窓コントローラとエンド窓コントローラとの間の無線通信は、ハード通信線の設置を不要にする利点を提供する。このことは、窓コントローラとBMSとの間の無線通信にも当てはまる。一態様では、これらの役割での無線通信は、窓を操作して、例えば、建物内の環境および省エネルギーを最適化するためにBMSにデータを提供するための、エレクトロクロミック窓への、およびエレクトロクロミック窓からのデータ転送に有用である。窓位置データならびにセンサーからのフィードバックは、そのような最適化のために相乗的に作用する。例えば、建物の様々な環境を最適化するために、詳細なレベル(窓ごと)の微気候情報がBMSに供給される。
VI.色合い調節可能な窓の機能を制御するためのシステムの実施例
図17は、実施形態による、建物(例えば、図15に示された建物1101)の1つ以上の色合い調節可能な窓の機能(例えば、異なる色合いレベルへの移行)を制御するためのシステム1400の構成要素のブロック図である。システム1400は、BMSによって管理されるシステムのうちの1つ(たとえば、図15に示されるBMS1100)であってもよく、あるいはBMSとは無関係に動作してもよい。
システム1400は、色合い調節可能な窓の機能を制御するために色合い調節可能な窓に制御信号を送ることができるマスター窓コントローラ1402を含む。システム1400はまた、マスター窓コントローラ1402と電子通信するネットワーク1410を含む。予測制御ロジック、他の制御ロジック、および色合い調節可能な窓(複数可)の機能を制御するための命令、および/またはセンサーデータは、ネットワーク1410を介してマスター窓コントローラ1402に通信され得る。ネットワーク1410は、有線または無線ネットワーク(例えばクラウドネットワーク)であってもよい。一実施形態では、ネットワーク1410は、BMSと通信して、BMSが、色合い調節可能な窓(複数可)を制御するための命令を、ネットワーク1410を介して建物内の色合い調節可能な窓(複数可)に送信することを可能にすることができる。
システム1400はまた、色合い調整可能な窓(図示せず)のECデバイス400および壁スイッチ1490を含み、これらの両方が、マスター窓コントローラ1402と電子通信する。この例示された実施例では、マスター窓コントローラ1402は、ECデバイス(複数可)400を有する色合い調整可能な窓の色合いレベルを制御するために、ECデバイス(複数可)400に制御信号を送信することができる。各壁スイッチ1490もまた、ECデバイス(複数可)400およびマスター窓コントローラ1402と通信する。エンドユーザー(例えば、色合い調節可能な窓を有する部屋の占有者)は、壁スイッチ1490を使用して、ECデバイス(複数可)400を有する色合い調節可能な窓の色合いレベルおよび他の機能を制御することができる。
図17では、マスター窓コントローラ1402は、マスターネットワークコントローラ1403、マスターネットワークコントローラ1403と通信する複数の中間ネットワークコントローラ1405、および各複数のエンドまたはリーフ窓コントローラ1410を含む、窓コントローラの分散型ネットワークとして示されている。各複数のエンドまたはリーフ窓コントローラ1410は、単一の中間ネットワークコントローラ1405と通信する。マスター窓コントローラ1402は、窓コントローラの分散型ネットワークとして示されているが、他の実施形態では、マスター窓コントローラ1402は、単一の色合い調節可能な窓の機能を制御する単一の窓コントローラでもあってもよい。図17のシステム1400の構成要素は、いくつかの点で、図15に関して説明された構成要素と類似であってもよい。例えば、マスターネットワークコントローラ1403は、マスターネットワークコントローラ1103と類似であってもよく、中間ネットワークコントローラ1405は、中間ネットワークコントローラ1105と類似であってもよい。図17の分散型ネットワーク内の窓コントローラの各々は、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)およびプロセッサと電気通信するコンピュータ可読媒体を含んでもよい。
図17では、各リーフまたはエンド窓コントローラ1410は、単一の色合い調節可能な窓のECデバイス(複数可)400と通信して、建物内のその色合い調節可能な窓の色合いレベルを制御する。IGUの場合、リーフまたはエンド窓コントローラ1410は、IGU制御IGUの色合いレベルの複数のライト上のECデバイス400と通信することができる。他の実施形態では、各リーフまたはエンド窓コントローラ1410は、複数の色合い調節可能な窓と通信することができる。リーフまたはエンド窓コントローラ1410は、色合い調節可能な窓に統合されてもよく、またはリーフまたはエンド窓コントローラ1410が制御する色合い調節可能な窓と別個であってもよい。図17のリーフおよびエンド窓コントローラ1410は、図15のエンドまたはリーフコントローラ1110と類似であってもよく、および/または図4に関して説明された窓コントローラ450と類似であってもよい。
各壁スイッチ1490は、壁スイッチ1490と通信する色合い調節可能な窓の色合いレベルおよび他の機能を制御するために、エンドユーザー(例えば、部屋の占有者)によって操作され得る。エンドユーザーは、壁スイッチ1490を操作して、制御信号を、関連付けられた色合い調節可能な窓内のECデバイス400に通信することができる。場合によっては、壁スイッチ1490からのこれらの信号は、マスター窓コントローラ1402からの信号をオーバーライドすることができる。他の場合(例えば、高需要の場合)、マスター窓コントローラ1402からの制御信号は、壁スイッチ1490からの制御信号をオーバーライドすることができる。各壁スイッチ1490はまた、リーフまたはエンド窓コントローラ1410と通信して、壁スイッチ1490から送信された制御信号に関する情報(例えば、時刻、日付、要求された色合いレベルなど)をマスター窓コントローラ1402に返送する。場合によっては、壁スイッチ1490は手動で操作されてもよい。他の場合、壁スイッチ1490は、例えば、赤外線(IR)および/または無線周波(RF)信号を使用して、制御信号を有する無線通信を送信する遠隔装置(例えば、携帯電話、タブレットなど)を使用して、エンドユーザーによって無線で制御され得る。場合によっては、壁スイッチ1490は、Bluetooth、EnOcean、WiFi、Zigbeeなどの無線プロトコルチップを含んでもよい。図17に示される壁スイッチ1490は壁(複数可)に位置付けられているが、システム1400の他の実施形態は、部屋内のどこか他の場所に位置付けられたスイッチを有してもよい。
VII.予測制御ロジックの別の実施例
図18は、実施形態による、建物の異なるゾーン内の1つ以上の色合い調節可能な窓(例えば、エレクトロクロミック窓)の色合いレベルを制御する方法のための予測制御ロジックを示すブロック図である。このロジックは、色合い調節可能な窓内のECデバイス400の移行時間を考慮した、将来のある時刻における予測決定を行う。この予測制御ロジックは、図17に関して説明されたシステム1400の構成要素によって、または他の開示された実施形態のシステムの構成要素によって、利用され得る。例示された実施例では、予測制御ロジックの一部分は窓コントローラ1410によって実行され、別の部分はネットワークコントローラ1408によって実行され、モジュール1 1406のロジックは窓コントローラ1410およびネットワークコントローラ1408とは別個の構成要素によって実行される。あるいは、モジュール1 1406は、窓コントローラ1410にロードされてもされなくてもよい別個のロジックであってもよい。
図18では、窓コントローラ1410およびモジュール1 1406によって利用される、予測制御ロジックの部分はBMS1407によって管理される。BMS1407は、図15に関して説明されたBMS1100と類似であってもよい。BMS1407は、BACnetインターフェース1408を介して窓コントローラ1410と電子通信する。他の実施形態では、他の通信プロトコルが使用され得る。図18には示されていないが、モジュール1 1406も、BACnetインターフェース1408を介してBMS1407と通信する。他の実施形態では、図18に示された予測制御ロジックは、BMSとは無関係に動作することができる。
ネットワークコントローラ1408は、1つ以上のセンサー(たとえば、外部光センサー)からセンサーの読み取り値を受信し、そのセンサーの読み取り値をW/m2の単位に変換することもできる。ネットワークコントローラ1408は、CANbusまたはCANOpenプロトコルのいずれかを介して窓コントローラ1410と電子通信する。ネットワークコントローラ1408は、変換されたセンサーの読み取り値を窓コントローラ1410に通信する。ネットワークコントローラ1408は、図17の中間ネットワークコントローラ1405またはマスターネットワークコントローラ1403のいずれかと類似であってもよい。
図18では、窓コントローラ1410によって利用される予測制御ロジックの一部分は、マスタースケジューラ1502を含む。マスタースケジューラ1502は、ユーザー(例えば、建物の管理者)が、異なる時刻および/または日付において異なる種類の制御プログラムを使用することができるスケジュールを作成することを可能にするロジックを含む。制御プログラムの各々は、1つ以上の独立変数に基づいて色合いレベルを決定するためのロジックを含む。1つの種類の制御プログラムは、単に純粋状態である。純粋状態は、他の条件とは無関係に、特定の期間中に固定される特定のレベルの色合い(例えば、透過率=40%)を指す。例えば、建物の管理者は、毎日午後3時以降に窓が透明であることを指定することができる。別の例として、建物の管理者は、毎日午後8時から午前6時の間の期間に対する純粋状態を指定することができる。他の時刻に、異なる種類の制御プログラム、例えば、はるかに高いレベルの洗練さを採用した制御プログラムを使用してもよい。高レベルの洗練さを提供する1つの種類の制御プログラム。例えば、この種の高度に洗練された制御プログラムは、図18を参照して説明された予測制御ロジックを含み、モジュール1 1406のロジックモジュールA、B、およびCのうちの1つ以上の実装を含んでもよい。別の例として、この種の別の高度に洗練された制御プログラムは、図18を参照して説明された予測制御ロジックを含み、モジュール1 1406のロジックモジュールA、B、およびC、ならびに本明細書のセクションVIIで後程説明されるモジュールDのうちの1つ以上の実装を含んでもよい。別の例として、この種の別の高度に洗練された制御プログラムは、図7を参照して説明された予測制御論理であり、図8、9および12を参照して説明されたロジックモジュールA、B、およびCの完全なマルチモジュール実装を含む。本実施例では、予測制御ロジックは、モジュールCのセンサーフィードバックと、モジュールAおよびBの太陽情報とを使用する。高度に洗練された制御プログラムの別の例が、図8、9および12に関して説明されたロジックモジュールA、BおよびCのうちの1つまたは2つの部分的ロジックモジュール実装を伴う、図7に関して説明された予測制御ロジックである。別の種類の制御プログラムは、1つ以上のセンサー(例えば、光センサー)からのフィードバックに依存し、それに応じて、太陽の位置に関係なく色合いレベルを調整するしきい値制御プログラムである。マスタースケジューラ1502を使用する技術的利点の1つが、ユーザーが、色合いレベルを決定するために使用されている制御プログラム(方法)を選択してスケジュールに入れることができることである。
マスタースケジューラ1502は、日付および24時間制に基づく時刻に換算した時間に従って、スケジュール内の制御プログラムを実行する。マスタースケジューラ1502は、暦日および/または平日5日(月曜日〜金曜日)および週末2日(土曜日および日曜日)を有する週7日に基づく曜日に換算した日付を決定する。マスタースケジューラ1502はまた、特定の日が休日であるかどうかも決定することができる。マスタースケジューラ1502は、サイトデータ1506によって決定される、色合い調節可能な窓の位置に基づいて、サマータイムの時刻を自動的に調整することができる。
一実施形態では、マスタースケジューラ1502は、別個の休日スケジュールを使用することができる。ユーザーは、どの制御プログラム(複数可)を休日スケジュール中に使用するかを決定していてもよい。ユーザーは、どの日が休日スケジュールに含まれるかを決定することができる。マスタースケジューラ1502は、ユーザーによって設定された基本スケジュールをコピーし、ユーザーが休日スケジュール内の休日に対して修正を設定することを可能にすることができる。
マスタースケジューラ1502によって利用されるスケジュールを作成するとき、ユーザーは、選択されたプログラム(複数可)が利用される、建物の1つまたは複数のゾーンを選択することができる(ゾーン選択)。各ゾーンには、1つ以上の色合い調節可能な窓を含む。場合によっては、ゾーンは、空間タイプ(例えば、特定の位置に机を有するオフィス、会議室など)に関連付けられた領域であってもよく、あるいは複数の空間タイプに関連付けられてもよい。例えば、ユーザーは、オフィスを有するゾーン1を、1)月曜日〜金曜日には朝の午前8時に70度に暖房し、午後3時に空調をオンしてオフィス内の温度を80度に維持し、次いで平日の午後5時にすべての空調および暖房をオフにし、そして、2)(土曜日および日曜日には)暖房および空調をオフにするように選択することができる。別の例として、ユーザーは、会議室を有するゾーン2を、ロジックモジュールA、B、およびCのすべてを使用する、モジュール1の完全モジュール実装を含む図18の予測制御ロジックを実行するように設定することができる。別の例では、ユーザーは、会議室を有するゾーン1を、午前8時から午後3時まではモジュール1を実行し、午後3時以降は閾値プログラムまたは純粋状態を実行するように選択することができる。他の場合、ゾーンは建物全体であってもよく、あるいは建物内の1つ以上の窓であってもよい。
センサー入力を使用し得るプログラムを用いてスケジュールを作成するとき、ユーザーが、そのプログラムで使用される1つまたは複数のセンサーを選択することが可能であってもよい。例えば、ユーザーは、屋根の上に位置付けられたセンサー、または色合い調節可能な窓の近く、もしくは色合い調節可能な窓に位置付けられたセンサーを選択することができる。別の例として、ユーザーは、特定のセンサーのID値を選択することができる。
窓コントローラ1410によって利用される予測制御ロジックの一部分はまた、マスタースケジューラ1502と電子通信するユーザーインターフェース1504を含む。ユーザーインターフェース1504はまた、サイトデータ1506、ゾーン/グループデータ1508、および検知ロジック1516と通信する。ユーザーは、ユーザーインターフェース1504を使用して自分のスケジュール情報を入力してスケジュールを作成する(新しいスケジュールを生成する、または既存のスケジュールを修正する)ことができる。ユーザーインターフェース1504は、例えば、キーパッド、タッチパッド、キーボードなどの入力デバイスを含み得る。ユーザーインターフェース1504はまた、スケジュールに関する情報を出力し、スケジュールを設定するための選択可能なオプションを提供するためのディスプレイを含み得る。ユーザーインターフェース1504は、コンピュータ可読媒体(CRM)と電子通信するプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)と電子通信する。プロセッサおよびCRMの両方が、窓コントローラ1410の構成要素である。マスタースケジューラ1502内のロジックおよび予測制御ロジックの他の構成要素は、窓コントローラ1410のコンピュータ可読媒体上に格納されてもよい。
ユーザーは、ユーザーインターフェース1504を使用して、自分のサイトデータ1506およびゾーン/グループデータ1508を入力することができる。サイトデータ1506は、建物の位置に対する緯度、経度、およびGMTオフセットを含む。ゾーン/グループデータは、建物の各ゾーン内の1つ以上の色合い調節可能な窓についての位置、寸法(例えば、窓幅、窓の高さ、敷居幅など)、向き(例えば、窓の傾き)、外部日よけ(例えば、張り出しの深さ、窓上の張り出しの位置、側面に対する左/右フィンの寸法、左/右フィンの深さなど)、基準ガラスのSHGC、および占有率ルックアップテーブルを含む。図18では、サイトデータ1506およびゾーン/グループデータ1508は、静的情報(すなわち、予測制御ロジックの構成要素によって変更されない情報)である。他の実施形態では、このデータはその場で生成され得る。サイトデータ1506およびゾーン/グループデータ1508は、窓コントローラ1410のコンピュータ可読媒体に格納することができる。
スケジュールを作成(または修正)するとき、ユーザーは、マスタースケジューラ1502が建物のゾーンの各々で異なる期間に実行する制御プログラムを選択する。場合によっては、ユーザーが、複数の制御プログラムから選択することが可能であってもよい。そのような場合、ユーザーは、ユーザーインターフェース1405上に表示されたすべての制御プログラムのリスト(例えばメニュー)から制御プログラムを選択することによって、スケジュールを作成することができる。他の場合、ユーザーは、すべての制御プログラムのリストから、自分が利用可能なオプションを制限し得た可能性がある。例えば、ユーザーが、2つの制御プログラムの使用に対してのみ支払いをしている場合がある。この例では、ユーザーは、ユーザーによって支払われた2つの制御プログラムのうちの一方だけを選択することができるであろう。
ユーザーインターフェース1405の一実施例を図19に示す。この例示された実施例では、ユーザーインターフェース1405は、マスタースケジューラ1502によって利用されるスケジュールを生成または変更するために使用されるスケジュール情報を入力するためのテーブルの形態になっている。例えば、ユーザーは、開始時刻および停止時刻を入力することによって、期間をテーブルに入力することができる。ユーザーは、プログラムによって使用されるセンサーを選択することもできる。ユーザーはまた、サイトデータ1506およびゾーン/グループデータ1508を入力することもできる。ユーザーは、「Sun Penetration Lookup」を選択することによって、使用する占有率ルックアップテーブルを選択することもできる。
図18に戻ると、窓コントローラ1410によって利用される予測制御ロジックの部分はまた、時刻(ルックアヘッド)ロジック1510を含む。時刻(ルックアヘッド)ロジック1510は、予測決定を行うために予測制御ロジックによって使用される将来の時刻を決定する。この将来の時刻は、色合い調節可能な窓内のECデバイス400の色合いレベルを移行させるのに必要な時間を考慮したものである。移行時間を考慮した時刻を使用することによって、予測制御ロジックは、制御信号を受信した後にECデバイス400が色合いレベルに移行するための時間を有していることになる将来の時刻に対する適切な色合いレベルを予測することができる。時刻部分1510は、ゾーン/グループデータからの代表的な窓に関する情報(例えば、窓の寸法など)に基づいて、代表的な窓内のECデバイス(複数可)の移行時間を推定することができる。次に、時刻ロジック1510は、移行時間と現在の時刻とに基づいて、将来の時刻を決定することができる。例えば、将来の時刻は、移行時間に加算された現在の時刻以上であってもよい。
ゾーン/グループデータは、各ゾーンの代表的な窓に関する情報を含む。ある場合、代表的な窓は、ゾーン内の窓のうちの1つであり得る。別の場合、代表的な窓は、そのゾーン内のすべての窓からのすべての特性を平均することに基づく平均特性(たとえば、平均寸法)を有する窓であり得る。
窓コントローラ1410によって利用される予測制御ロジックは、太陽位置計算機1512も含む。太陽位置計算機1512は、時間内のあるインスタンスにおける太陽の位置、太陽の方位、および太陽の高度を決定するロジックを含む。図18では、太陽位置計算機1512は、時刻ロジック1510から受信した将来の時間内のインスタンスに基づいて決定を行う。太陽位置計算機1512は、時刻部分1510およびサイトデータ1506と通信して、将来の時刻、建物の緯度および経度座標、ならびに太陽位置計算などの計算(複数可)を行うために必要とされ得る他の情報を受信する。太陽位置計算機1512はまた、計算された太陽位置に基づいて、1つ以上の決定を実行することができる。一実施形態では、太陽位置計算機1512は、モジュール1 1406のモジュールA、B、およびCから晴天放射照度を計算するか、または他の決定を行うことができる。
窓コントローラ1410によって利用される制御ロジックは、検知ロジック1516、ユーザーインターフェース1405、太陽位置計算機1512、およびモジュール1 1406と通信するスケジュールロジック1518も含む。スケジュールロジック1518は、モジュール1 1406からインテリジェンスロジック1520を通って渡される色合いレベルを使用するか、それとも他の考慮事項に基づいて別の色合いレベルを使用するか、を決定するロジックを含む。例えば、日の出および日没の時刻が一年中変化するので、ユーザーは、これらの変化を考慮して、スケジュールを再プログラムすることを望まない可能性がある。スケジュールロジック1518は、太陽位置計算機1512からの日の出および日没の時刻を使用して、ユーザーが、これらの変化する時刻のために、スケジュールを再プログラムすることを要することなく、日の出前および日没後の適切な色合いレベルを設定することができる。例えば、スケジュールロジック1508は、太陽位置計算機1512から受信した日の出時刻に従って、太陽が昇っていないこと、およびモジュール1 1406から渡された色合いレベルの代わりに日の出前の色合いレベルを使用すべきこと、を決定するとことができる。スケジュールロジック1518によって決定された色合いレベルは、検知ロジック1516に渡される。
検知ロジック1516は、オーバーライドロジック1514、スケジュールロジック1518、およびユーザーインターフェース1405と通信する。検知ロジック1516は、スケジュールロジック1516から渡された色合いレベルを使用するか、それとも1つ以上のセンサーからBACnetインターフェース1408を介して受信されたセンサーデータに基づいて、別の色合いレベルを使用するか、を決定するロジックを含む。上記段落の例を使用して、スケジュールロジック1518が、それ太陽が昇ってないと判断して日の出前の色合いレベルを渡し、センサーデータが、太陽が実際に昇ったことを示す場合、検知ロジック1516は、モジュール1 1406からスケジュールロジック1518を通って渡される色合いレベルを使用するであろう。検知ロジック1516によって決定された色味レベルが、オーバーライドロジック1514に渡される。
BMS1407およびネットワークコントローラ1408はまた、デマンドレスポンス(例えば、ユーティリティ会社)と電子通信し、高需要(またはピーク負荷)オーバーライドの必要性を通信する信号を受信する。デマンドレスポンスからのこれらの信号の受信に応じて、BMS1407および/またはネットワークコントローラ1408は、デマンドレスポンスからのオーバーライド情報を処理するオーバーライドロジック1514に命令を、BACnetインターフェース1408を介して送信することができる。オーバーライドロジック1514は、BACnetインターフェース1408を介してBMS1407およびネットワークコントローラ1408と通信し、さらに検知ロジック1516とも通信する。
オーバーライドロジック1514は、特定の種類のオーバーライドが、予測制御ロジックを解除し、他の考慮事項に基づいたオーバーライド色合いレベルを使用することを可能にする。予測制御ロジックを解除し得るオーバーライドの種類のいくつかの例として、高需要(またはピーク負荷)オーバーライド、マニュアルオーバーライド、空室オーバーライドなどがある。高需要(またはピーク負荷)オーバーライドは、デマンドレスポンスからの色合いレベルを定義する。マニュアルオーバーライドに関して、エンドユーザーは、手動でまたは遠隔装置を介してのいずれかで、壁スイッチ1490(図17に示す)でオーバーライド値を入力することができる。空室オーバーライドは、空室(つまり、部屋に占有者がいない)に基づいてオーバーライド値を定義する。この場合、検知ロジック1516は、部屋が空いていることを示す、センサー(例えば、運動センサー)からのセンサーデータを受信することができ、検知ロジック1516は、オーバーライド値を決定して、そのオーバーライド値をオーバーライドロジック1514に中継することができる。オーバーライドロジック1514は、オーバーライド値を受信し、そのオーバーライド値を使用するか、それともより高い優先度を有するソース(すなわち、デマンドレスポンス)から受信された別のオーバーライド値などの別の値を使用するかを決定することができる。場合によっては、オーバーライドロジック1514は、図7に関して説明されたオーバーライドステップ630、640、および650と同様のステップによって動作することができる。
窓コントローラ1410によって利用される制御ロジックはまた、モジュールA1550、B1558およびC1560のうちの1つ以上を遮断することができるインテリジェンスロジック1520を含む。ある場合には、インテリジェンスロジック1520は、1つ以上のモジュールを、ユーザーがそれらのモジュールに対する支払いをしていない場合に、遮断するために使用され得る。インテリジェンスロジック1520は、モジュールAで行われる侵入深さ計算のような特定のより洗練された機能の使用を妨げる可能性がある。そのような場合、太陽計算機の情報を「短絡」し、おそらく1つ以上のセンサーの支援を受けて、その情報を使用して色合いレベルを計算する基本ロジックが使用される。基本ロジックからのこの色合いレベルは、スケジュールロジック1518に通信される。
インテリジェンスロジック1520は、窓コントローラ1410とモジュール1 1406との間の特定の通信をそらせることによって、モジュール(モジュールA1550、モジュールB1558、およびモジュールC1560)のうちの1つ以上を遮断することができる。例えば、太陽位置計算機1512とモジュールA1550との間の通信は、インテリジェンスロジック1520を通って進んでおり、インテリジェンスロジック1520によってスケジュールロジック1518にそらされて、モジュールA1550、モジュールB1558およびモジュールC1560を遮断し得る。別の例として、1552におけるモジュールAからの色合いレベルの1554での晴天放射照度計算への通信は、インテリジェンスロジック1520を通って進んでおり、代わりにスケジュールロジック1518にそらされて、モジュールB1558およびモジュールC1560を遮断し得る。さらに別の例では、1558におけるモジュールBからの色合いレベルのモジュールC1560への通信は、インテリジェンスロジック1520を通って進んでおり、スケジュールロジック1518にそらされて、モジュールC1560を遮断し得る。
モジュール1 1406は、色合いレベルを決定して、窓コントローラ1410のスケジュールロジック1518に返すロジックを含む。このロジックは、時刻部分1510によって提供される将来の時刻に適切である色合いレベルを予測する。色合いレベルは、スケジュール内のゾーンの各々に関連付けられている代表的な色合い調節可能な窓に対して決定される。
図18では、モジュール1 1406は、図8、9、12、および13に関して説明されたモジュールA、B、およびCで実行されるステップといくつかの点で類似するいくつかのステップを有し得るモジュールA1550、モジュールB1558、およびモジュールC1560を含む。別の実施形態では、モジュール1 1406は、図8、9、12、および13に関して説明されたモジュールA、B、およびCからなってもよい。さらに別の実施形態では、モジュール1 1406は、図14に関して説明されたモジュールA、B、およびCからなってもよい。
図18では、モジュールA1550は、代表的な色合い調節可能な窓を通る侵入深さを決定する。モジュールA1550によって予測される侵入深さは、将来の時刻おけるものである。モジュールA1550は、太陽位置計算機1512から受信した、決定された太陽の位置(すなわち、太陽方位および太陽高度)に基づいて、ならびにゾーン/グループデータ1508から検索された、代表的な色合い調節可能な窓の位置、受光角、窓の寸法、窓の向き(すなわち、面している方向)、および任意の外部日よけの詳細に基づいて、侵入深さを計算する。
次いで、モジュールA1550は、計算された侵入深さに対する、占有者の快適さを提供する色合いレベルを決定する。モジュールA1550は、ゾーン/グループデータ1508から検索された占有率ルックアップテーブルを使用して、代表的な色合い調節可能な窓に関連付けられた空間タイプに対する、計算された侵入深さに対する、および窓の受光角に対する、所望の色合いレベルを決定する。モジュールA1550は、ステップ1552で色合いレベルを出力する。
代表的な色合い調節可能な窓に入射する最大晴天放射照度は、ロジック1554で常時に予測される。将来の時刻における晴天放射照度もまた、サイドデータ1506およびゾーン/グループデータ1508からの建物の緯度および経度座標ならびに代表的な窓の向き(すなわち、窓が面している方向)に基づいて予測される。他の実施形態では、これらの晴天放射照度の計算は、太陽位置計算機1512によって実行され得る。
次に、モジュールB1556が、色合いレベルを増分的に増加させることによって、新しい色合いレベルを計算する。これらの増分的ステップの各々において、新しい色合いレベルに基づく部屋内の放射照度が、方程式:内側放射照度=色合いレベルSHGC×晴天放射照度、を使用して決定される。モジュールBは、内側放射照度が基準内側放射照度(基準SHGC×最大晴天放射照度)以下であり、色合いレベルが、Aからの色合いレベルよりも明るくない色合いレベルを選択する。モジュールB1556は、Bからの選択された色合いレベルを出力する。Bからの色合いレベルから、ロジック1558が、外側放射照度および計算天窓放射照度を計算する。
モジュールC1560は、センサーの放射照度読み取り値が晴天放射照度未満であるかどうかの判定を行う。判定結果がはいとなった場合、値が、Bからの基準内側放射照度を超えないが、センサー読み取り値×色合いレベルSHGCとして計算される色合いレベルと一致するかそれ未満となるまで、計算中の色合いレベルが増分的に明るく(より透明に)される。判定結果がいいえとなった場合、モジュールB1556で行われるように、計算中の色合いが増分的に段階的により暗くされる。モジュールCが色合いレベルを出力する。ロジック1562は、モジュールCからの色合いレベルが最終色合いレベルであると決定し、この最終色合いレベル(モジュールCからの色合いレベル)を窓コントローラ1410のスケジュールロジック1518に返す。
一態様では、モジュール1 1406はまた、ゾーン内の色合い調節可能な窓を通る日光の強度および方向に対する周囲環境の影響を予測することができる第4のモジュールDを含み得る。例えば、隣接する建物または他の構造物が建物を遮り、何らかの光が窓を通過するのを妨げることがある。別の例として、隣接する建物の反射面(例えば、雪、水などを有する面)または建物を囲む環境内の他の面が、光を色合い調節可能な窓に反射することがある。この反射光が、色合い調節可能な窓に入射する光の強度を増大させ、占有者の空間にグレアを引き起こすことがある。モジュールDによって予測された日光の強度および方向の値に応じて、モジュールDは、モジュールA、B、およびCからの決定された色合いレベルを修正することができる、または、例えば、ゾーン/グループデータ内の侵入深さ計算値または代表的な窓の受光角などの、モジュールA、B、およびCからの特定の決定を修正することができる。
場合によっては、現地調査を行って建物の周囲の環境を決定してもよく、および/または1つ以上のセンサーを使用して周囲環境の影響を決定してもよい。現地調査からの情報は、ある期間(例えば、1年)の間の反射率および遮蔽(包囲)効果の予測に基づく静的情報であってもよく、または定期的または他の時限ベースで更新され得る動的情報であってもよい。ある場合には、モジュールDは、現場調査を用いて、ゾーン/グループデータから検索された各ゾーンの代表的な窓の(図20に示された)標準的な受光角ならびに関連付けられたθ1およびθ2を修正することができる。モジュールDは、予測制御ロジックの代表的な窓他のモジュールに関するこの修正された情報を通信することができる。周囲環境の影響を判定するためにモジュールDによって利用される1つ以上のセンサーは、他のモジュールによって(たとえばモジュールCによって)使用されるものと同じセンサーであってもよい、または異なるセンサーであってもよい。これらのセンサーは、モジュールDのために周囲環境の影響を判定するように特別に設計されてもよい。
図18に示される予測制御ロジックを操作するために、ユーザーはまず、時刻および日付、ゾーン、センサー、および使用されるプログラムの詳細を有するスケジュールを作成する。あるいは、デフォルトのスケジュールを提供してもよい。スケジュールが設定される(格納される)と、特定の時間間隔(1分、5分、10分ごとなど)で、時刻部分1510が、現在の時刻と、スケジュール内の代表的な窓または各ゾーン内のECデバイス(複数可)400の移行時間とに基づいて、将来の時刻を決定する。ゾーン/グループデータ1508およびサイトデータ1506を使用して、太陽位置計算機1512が、スケジュール内の各ゾーンの各代表的な窓に対する将来(ルックアヘッド)の時刻における太陽位置を決定する。ユーザーによって作成されたスケジュールに基づいて、インテリジェンスロジック1520を使用して、スケジュール内の各ゾーンについて、どのプログラムを利用するかが決定される。各ゾーンについて、スケジュールに入れられたプログラムが利用されて、その将来の時刻に適切な色合いレベルを予測する。オーバーライドが設定されている場合、オーバーライドが使用される。オーバーライドが設定されていない場合、プログラムによって決定された色合いレベルが使用される。各ゾーンについて、窓コントローラ1410は、スケジュールに入れられたプログラムによって決定されたゾーン固有の色合いレベルを有する制御信号を、関連付けられたECデバイス(複数可)400に送信して、そのゾーン内の色合い調節可能な窓(複数可)の色合いレベルを、将来の時刻までに移行させる。
VIII.占有率ルックアップテーブルの実施例
図20は、占有率ルックアップテーブルの一実施例を含む図である。テーブル内の色合いレベルは、Tvis(可視透過率)に関する。テーブルは、特定の空間タイプについての、および太陽の角度θSunがθ1=30度とθ2=120度との間の窓の受光角の間にあるときの、計算された侵入深さ値(2フィート、4フィート、8フィート、および15フィート)の異なる組み合わせに対する異なる色合いレベル(Tvis値)を含む。このテーブルは、4%(最も明るい)、20%、40%、および63%の4つの色合いレベルに基づいている。図20はまた、窓の近くの机、およびθ1の角度とθ2の角度との間の角度θSunを有する日光に対する窓の受光角の図を示す。この図は、太陽の角度θSunと机の位置との間の関係を示す。太陽の角度θSunがθ1とθ2との間の受光角の間にあるとき、日光は机の表面に当たることができる。太陽の角度θSunがθ1とθ2との間の受光角の間にあり(θ1<θSun<θ2の場合)、かつ侵入深さが、窓を色合い調節するための基準を満足する場合、占有率ルックアップテーブルによって決定されたその色合いのレベルが窓コントローラに送信され、窓コントローラが制御信号を窓内のECデバイスに送信して、窓を、決定された色合いレベルに移行させる。これらの2つの角度、θ1およびθ2は、各窓について計算または測定し、そのゾーンに対する他の窓パラメータと共に、ゾーン/グループデータ1508内に格納することができる。
図21A、図21B、および図21Cは、実施形態による、建物2100の一部分の平面図である。建物2100は、いくつかの点で図15の建物1101と類似であってもよく、建物2100内の部屋は、いくつかの点で図5、6A、6B、および6Cで説明された部屋500と類似であってもよい。建物2100のこの部分は、オフィス内の机、1グループのキュービクル、および建物2100内の会議室を含む3つの異なる空間タイプを含む。図21A、21B、および21Cは、異なる角度θSunの太陽を示す。これらの図はまた、建物2100内の異なる種類の窓の異なる受光角も示す。例えば、最も大きい窓を有する会議室は、部屋内への最も多くの光の入射を可能にする最大の受光角を有するであろう。この例では、関連付けられた占有率ルックアップテーブル内のTvis値は、会議室に対しては比較的低く(低透過率)でもよい。しかしながら、同じ受光角を有する同様の窓が、代わりにサンルームにあった場合、関連付けられた占有率ルックアップテーブル内のTvis値は、より多くの日光が部屋に入ることを可能にするために、より高い値(より高い透過率)である可能性がある。
IX.サブシステム
図22は、実施形態による、色合いレベルまたはより色合い調節可能な窓を制御するために使用される窓コントローラに存在し得るサブシステムのブロック図である。例えば、図17に示された窓コントローラは、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)およびプロセッサと電子通信するコンピュータ可読媒体を有し得る。
他のセクションの図に示された様々な構成要素は、本明細書に記載の機能を容易にするために、本セクションのサブシステムの1つ以上を使用して動作することができる。図中の構成要素のいずれも、本明細書に記載の機能を容易にするために、任意の好適な数のサブシステムを使用することができる。そのようなサブシステムおよび/または構成要素の例が図22に示されている。図22に示されたサブシステムは、システムバス2625を介して相互接続されている。プリンタ2630、キーボード2632、固定ディスク2634(またはコンピュータ可読媒体を含む他のメモリ)、ディスプレイアダプタ2638に結合されたディスプレイ2430、およびその他などの追加のサブシステムが示されている。I/Oコントローラ2640に結合された周辺機器および入出力(I/O)デバイスは、シリアルポート2642などの当技術分野で知られている任意の数の手段によってコンピュータシステムに接続され得る。例えば、シリアルポート2642または外部インターフェース2644を使用して、コンピュータ装置をインターネットなどの広域ネットワーク、マウス入力デバイス、またはスキャナに接続することができる。システムバスを介する相互接続により、プロセッサ2410は、各サブシステムと通信して、システムメモリ2646または固定ディスク2634からの命令の実行、ならびにサブシステム間の情報の交換を制御することができる。システムメモリ2646および/または固定ディスク2634は、コンピュータ可読媒体を具現化し得る。これらの要素のうちの任意のものが、前述の機能内に存在し得る。
いくつかの実施形態では、1つ以上のシステムのプリンタ2630またはディスプレイ2430などの出力装置は、様々な形態のデータを出力することができる。例えば、システム1400は、ユーザーに対して、ディスプレイ上にスケジュール情報を出力することができる。
X.急激に変化する条件に基づいて色合い調節決定を行うためのフィルタ(複数可)
いくつかのシステムでは、色合い調節可能な窓を特定の最終状態に色合い調節するための決定がなされると、その窓は、その最終状態に到達するまで、移行を完了することに専念する。このようなシステムは、移行中に最終色合い状態を調整することができず、移行が完了するまで待つことしかできない。これらのシステムによって不適切な最終色合い状態が選択された場合、窓は、移行サイクルの間、およびさらには窓をより適切な色合いレベルに移行させるのにかかる任意の時間の間、この不適切な色合いレベルに専念する。例えば、色合い付け/透明化時間は5〜30分かかるので、不適切な選択は、相当な期間にわたって不適切な色合いレベルに窓を拘束することになり得、それにより状況が、占有者に不快なものになる可能性がある。
急激に変化する条件(例えば、晴れた日の断続的な雲、来たり去ったりする霧堤、霧が消えて差す日差しなどの天候の変化)が長い移行時間と組み合わさって、いくつかの制御方法が、最終色合い状態の間を「跳ねる」ことになる可能性がある。さらに、そのような制御方法は、方法が移行に取り組んだ直後に変化する条件に基づいて最終色合いレベルを決定する可能性があり、この場合、窓は、移行が完了するまで、不適切な色合いレベルに拘束される。例えば、斑雲のある、ほとんど晴れの日を考える。制御方法は、雲が通り過ぎるときの照度値の低下に反応する可能性があり、値が跳ね上がったときに、グレア条件が存在することがある。雲が急速に過ぎ去っても、窓は、少なくとも移行イクルの間、不適切な低い最終色合い状態への移行に専念する。この時間中、太陽放射が部屋に入り、これにより部屋が占有者にとって不快なほど暖かくなる可能性がある。
急速に変化する気象条件の一例が、消散して日が差すようになる朝霧である。図23は、霧で始まって、その日の遅くに急速に消散して日差しが差すようになる1日に採取された、センサーの照度読み取り値のグラフである。特定の制御システムは、朝霧の間の低い照度読み取り値に基づいて、1日の初めに低い色合いレベルを決定するであろう。この低い色合いレベルは、霧が消散した後に天気が急速に晴天に移行する期間に対しては、不適切に低いであろう。この例では、晴天に対してより適切なより高い色合いレベルは、かなりの期間(例えば、霧が消散した後35〜45分間)にわたって決定されない可能性がある。急速に変化する条件の別の例が、例えば、駐車している車または隣接する建物の窓のような物体からの反射の到来である。
本明細書に記載の特定の実施形態は、急速に変化する条件に対応する色合い調整の決定を行うために、複数のフィルタを使用する窓制御方法を含む。場合によっては、これらのフィルタを使用して、現在の移行サイクルの間により適切な最終色合い状態を決定して、窓の色合いレベルを現在の条件に適切なレベルに調整することができる。1つの種類のフィルタが、複数のセンサーの経時的にサンプリングされた照度値読み取り値を使用するボックスカーフィルタ(スライディングウィンドウフィルタと呼ばれることもある)である。ボックスカー値は、多数(n個)の連続するセンサーサンプル(経時的に測定された照度値読み取り値)の計算された中心傾向(例えば、代表値、平均値、または中央値)である。通常、センサーサンプルは、(例えば建物の外側に位置付けられたセンサーによる)外部放射の測定値である。場合によっては、単一のセンサーを使用して、建物の特定のゾーン内の窓などの複数の窓について、センサーサンプルを採取することができる。センサーは一般に、サンプリングレートに基づいて、一定の頻度で定期的に読み取りを行う。例えば、センサーは、約30秒ごとに1つのサンプル〜20分ごとに1つのサンプルの範囲のサンプリングレートで、サンプルを採取することができる。一実施形態では、センサーは、毎分1つのサンプルの割合でサンプルを採取する。場合によっては、1つ以上のタイマーが制御方法によって使用されて、ボックスカー値を使用して決定された現在の設定に色合いを維持することもできる。
特定の態様では、制御方法は、短期ボックスカーおよび1つ以上の長期ボックスカー(フィルタ)を使用して、色合い調節の決定を行う。短いボックスカー(例えば、10分間、20分間、5分間などにわたって取得されたサンプル値を利用するボックスカー)は、長いボックスカー(例えば、1時間、2時間などにわたって取得されたサンプル値を利用するボックスカー)のより多い数のセンサーサンプル(例えば、n=10、20、30、40など)に比べて、より少ない数のセンサーサンプル(例えば、n=1、2、3、...、10など)に基づいている。ボックスカー(照度)値は、ボックスカー内のサンプル値の平均値、代表値、中央値、または他の代表的な値に基づいてもよい。ある場合、短いボックスカー値は、センサーサンプルの中央値であり、長いボックスカー値は、センサーサンプルの代表値である。短いボックスカー値はより少ない数のセンサーサンプルに基づいているため、短いボックスカー値は、長いボックスカー値よりも現在のセンサー読み取り値により密接に追従する。したがって、短いボックスカー値は、長いボックスカー値よりも、急速に変化する条件により迅速に、およびより大きな程度で応答する。計算された短いおよび長いボックスカー値の両方がセンサー読み取り値よりも遅れるが、短いボックスカー値は、長いボックスカー値よりも少ない程度で遅れる。
多くの場合、短いボックスカー値は、長いボックスカー値よりも迅速に、現在の条件に反応する。これに基づいて、長いボックスカーフィルタは、頻繁な短期の気象変動に対する窓コントローラの応答を平滑化するために使用することができる一方、短いボックスカーは、同様に平滑化は行わないが、急速で著しい気象変化により迅速に応答する。通過する雲の条件の場合、長いボックスカー値のみを使用する制御アルゴリズムは、現在の通過する雲の条件に迅速に反応しないであろう。この場合、長いボックスカー値は、適切な高い色合いレベルを決定するための色合い調節の決定に使用されるべきである。霧が消散する条件の場合、色合い調節の決定に短期ボックスカー値を使用することがより適切であり得る。この場合、短期ボックスカーは、霧が消散した後の新たな日当たりの良い状態に、より迅速に反応する。短期ボックスカー値を使用して色合い調節の決定を行うことにより、色合い調節可能な窓は、霧が急速に消散したときに、日差しの良い条件に迅速に調整して占有者を快適に保つ。
特定の態様では、制御方法は、短期ボックスカー値と長期ボックスカー値との間の差を評価して、どちらのボックスカー値を色合い調節の決定に使用するかを決定する。例えば、差(短期ボックスカー値−長期ボックスカー値)が正であり、かつ第1の(正の)閾値(例えば、20W/m2)を超える場合、短期ボックスカーの値を使用して色合いレベル(状態)を計算することができる。正の値は通常、明るくなる(すなわち、窓の外側の放射強度が増加する)方への移行に対応する。いくつかの実装例では、正の閾値を超えたときに第1のタイマーが設定され、その場合、現在計算されている色合いレベルが、第1のタイマーの所定の時間にわたって維持される。第1のタイマーを使用すると、窓をより色合いが付いた状態に保持して、占有者を煩わせる可能性のある過度に頻繁な移行を防止することにより、グレア制御に有利である。一方、短いカー値と長いカー値との間の差が第1の正の閾値未満であるか、または負である場合、長期ボックス値が使用されて、次の色合い状態を計算する。そして、差が負であり、かつ第2の負の閾値よりもさらに負である場合、第2のタイマーが設定され得る。場合によっては、正の閾値は、約1ワット/m2〜200ワット/m2の範囲にあり、負の閾値は、約−200ワット/m2〜−1ワット/m2の範囲にある。長いボックスカーに基づいて計算された色合い値は、第2のタイマーの所定の時間の間維持される。制御方法がどちらのボックスカー値を使用するかを決定すると、方法は、ボックスカー値が上限を上回っているか、下限を下回っているか、あるいは上限と下限との間にあるかに基づいて、色合い調節の決定を行うであろう。上限を上回る場合、モジュールAおよびB(場合によってはBのみ)が使用されて、色合いレベルの変更を決定する。下限を上回り、かつ上限を下回る場合、モジュールA、B、およびC(場合によってはBおよびCのみ)が使用されて、色合いの変更を決定する。下限を下回る場合、定義された色合いレベルが適用される(たとえば、公称透明)。場合によっては、下限は、5ワット/m2〜200ワット/m2の範囲内にあり得、上限は、50ワット/m2〜400ワット/m2の範囲内にあり得る。
図24Aは、図7に示された制御ロジックの特定の実装例を示すフローチャート3600である。ステップ3610で、制御方法は、現在の時刻が日の出から日没の間にあるかどうかを判定する。ステップ3610において現在の時刻が日の出前または日没後のいずれかである場合、制御方法は、色合い調節可能な窓内の色合いを透明にし、ステップ3920に進んで、オーバーライドがあるかどうかを判定する。ステップ3610において現在の時刻が日の出と日没との間にあると判定された場合、制御方法は、太陽の方位が臨界角の間にあるかどうかを判定する(ステップ3620)。特定の制御方法が単一の色合い調節可能な窓に関して説明されているが、これらの制御方法は、1つ以上の色合い調節可能な窓、または1つ以上の色合い調節可能な窓のゾーンを制御するために使用され得ることが理解されるであろう。
図25Bは、机を有する部屋、および部屋の色合い調節可能な窓を通って照る太陽の臨界角を示す。太陽の方位が臨界角内にある場合、太陽のグレアは、机に向かって座っている占有者によって画定される占有領域を照らしている。図25Bでは、太陽の方位は、図示の臨界角の外側に示されている。
図24Aのフローチャートに戻ると、ステップ3620において、太陽方位が臨界角の外側にあると判定された場合、モジュールAは使用されず、モジュールBがステップ3800で使用される。太陽方位が臨界角の間にあると判定された場合、モジュールAがステップ3700で使用され、次にモジュールBがステップ3800で使用される。ステップ3820で、制御方法は、センサー値が閾値1を下回っているか、それとも閾値2を上回っているかを判定する。センサー値が閾値1を下回っている、または閾値2を上回っている場合、モジュールC(ステップ3900)は使用されない。センサー値が閾値1を上回っており、かつ閾値2を下回っている場合、モジュールCが使用される。いずれの場合も、制御方法はステップ3920に進み、オーバーライドが設定されているかどうかを判定する。
図24Bは、早朝は曇り(例えば、霧)でその日の遅くに日が照る(晴天)の1日の間に採取された、センサーからの照度読み取り値のグラフである。示されるように、照度読み取り値は午前7時前に下限を下回っており、下限を上回って次いで上限を上回って上昇し、その後午前10時以降に雲が消えるにつれて、その日の遅くに照度読み取り値がはるかに高くなる。センサーが午前7時前に下限(例えば、10ワット/m2)未満の照度レベルを読み取る間、色合い調節可能な窓を通る放射の量は、占有者の快適さに影響を及ぼすのに十分なほど多くはない。この場合、色合いレベルの再評価は行う必要はなく、定義済みの色合いレベル(例えば最大窓透過率)が適用される。午前7時を過ぎて午前10時までセンサーが下限と上限(例えば、100ワット/m2)との間を読み取る間、モジュールA、B、およびCが使用されて、最終色合い状態を計算する。午前10時以降センサーが上限(例えば、100ワット/m2)を上回って読み取りを行う間、モジュールAおよびBが使用されて、最終色合い状態を計算する。
図25Aは、いくつかの実施形態による、短いボックスカー値および長いボックスカー値を使用して色合い調節の決定を行う制御方法のフローチャート4000である。このフローチャートは、1つの短期ボックスカー値および1つの長期ボックスカー値を使用して示されているが、他の実施形態は、例えば、第2の長期ボックスカー値などの1つ以上のボックスカー値を含み得る。例示の制御方法は、照度値のセンサー読み取り値を定期的に受信して、長期および短期ボックスカー値を更新する。タイマーが設定されている場合、現在の色合いレベルは、現在の色合い設定に維持される。この方法は、短期ボックスカー値と長期ボックスカー値との間の差を評価して、どちらのボックスカー値を、色合い調節の決定における照度値として使用するかを決定する。これらの値の間の差が閾値よりも大きい場合、短期ボックスカー値が使用され、第1のタイマーが設定されて、その間現在の色合い設定が維持される。これらの値の差が閾値よりも小さい場合、長期ボックスカー値が使用され、(差の大きさに応じて)別のタイマーが設定され得る。方法は、以前に決定されたボックスカー値を照度値として使用して、照度値が下限を下回っているかどうかを判定し、下回っている場合、所定の色合いレベル(例えば、公称透明)が適用される。照度値が上限を上回っている場合、方法は、太陽が臨界角の外側にあるかどうかを判定する。
図25Bは、机を有する部屋、および机に向かって座っている占有者によって画定される占有領域内に太陽からのグレアが照っている部屋の臨界角を示す。図では、太陽は臨界角の外側にある。方法が、太陽が臨界角の外側にあると判定した場合、モジュールBのみが使用されて、色合いレベルを決定する。臨界角内にある場合、モジュールAおよびBが使用されて、色合いレベルを決定する。照度値が下限を上回り、かつ上限を下回る場合、方法は、太陽が臨界角の外側にあるかどうかを判定する。臨界角の外側にある場合、モジュールBおよびCが使用されて、色合いレベルを決定する。臨界角内にある場合、モジュールA、B、およびCが使用されて、色合いレベルを決定する。
より具体的には、図25Aを再び参照すると、ステップ4010において、照度値のセンサー読み取り値(例えば、外部放射の読み取り値)がセンサーによって送信され、プロセッサによって受信される。一般に、センサーは一定の速度で定期的にサンプルを採取する(例えば、毎分1つのサンプルを採取する)。ステップ4012で、長期および短期ボックスカー照度値が、受信されたセンサー読み取り値で更新される。言い換えれば、ボックスカーフィルタ内の最も古い読み取り値が最も新しい読み取り値に置き換えられ、新しいボックスカー照度値が、通常、ボックスカー内の読み取りの中心傾向として計算される。
ステップ4020で、タイマーが設定されているかどうかが判定される。タイマーが設定されている場合、ステップ4022で現在の色合い設定が維持され、プロセスはステップ4010に戻る。言い換えれば、プロセスは新しい色合いレベルを計算しない。タイマーが設定されていない場合、短期ボックスカー照度値と長期ボックスカー照度値との間の差(Δ)の大きさおよび符号が、ステップ4030で決定される。すなわち、Δ=短期ボックスカー値−長期ボックスカー値。
ステップ4040で、Δが正であり、かつ第1の正の閾値よりも大きいかどうかが判定される。Δが正であり、かつ第1の閾値よりも大きい場合、システムの照度値は短期ボックスカー照度値に設定され、第1のタイマーがステップ4042で設定され、方法はステップ4050に進む。Δが正であるが、第1の正の閾値より大きくない場合、ステップ4044で、システムの照度値が長期ボックスカー照度値に設定される。ステップ4046で、Δが第2の負のしきい値よりもさらに負であるかどうかが判定される。Δが第2の負の閾値よりもさらに負である場合、4048で第2のタイマーが設定され、方法はステップ4050に進む。そうでない場合、方法は直接ステップ4050に進む。
ステップ4050で、システムの設定照度値が下限未満であるかどうかが判定される。システムの設定照度値が下限未満である場合、ステップ4052で所定の色合いレベル(例えば、公称透明)が適用され、プロセスはステップ4010に戻る。システムの設定照度値が下限よりも大きい場合、ステップ4060で、システムの設定照度値が上限よりも大きいかどうかが判定される。システムの設定照度値が上限よりも大きいと判定された場合、4070で、太陽方位が臨界角の外側にあるかどうかが判定される。太陽が臨界角の外側にない場合、モジュールAおよびBが使用されて、色合い調整可能な窓に適用される最終色合いレベルを決定し、プロセスはステップ4010に戻る。太陽が臨界角の外側にある場合、ステップ4074でモジュールBだけが使用されて、最終色合い状態を決定し、プロセスはステップ4010に戻る。ステップ4060で、システムの設定照度値が上限よりも大きくないと判定された場合、4080で、太陽が臨界角の外側にあるかどうかが判定される。太陽が臨界角の外側にない場合、ステップ4082でモジュールA、B、およびCが使用されて、色合い調節可能な窓に適用される最終色合いレベルを計算し、プロセスはステップ4010に戻る。太陽が臨界角の外側にある場合、ステップ4090でモジュールBおよびCのみが使用されて、色合い調節可能な窓に適用される最終色合いレベルを計算し、プロセスはステップ4010に戻る。
図26Aは、普通の1日の間のセンサー読み取り値、および図25Aを参照して説明された制御方法によって決定される関連付けられた色合い状態に関連する2つのグラフを示す。下側のグラフは、参考のために、時間tにわたる晴天照度値の鐘形の曲線を含む。この特定の鐘形の曲線は、90度(東)〜270度(西)の臨界角を有する南向きの窓(すなわち、鐘が、夜明けから夕暮れまでの時間スケールでほぼ中央に置かれているため)で測定された値の例であろう。下側のグラフはまた、天気が定期的に晴天からそれる1日の間に、時間tにわたって採取されたセンサー読み取り値の曲線も含む。センサー読み取り値は通常、外部放射の測定値である。下側のグラフはまた、時刻tにおいて計算された、更新された短いボックスカー値および長いボックスカー値の曲線も含む。これらの値は通常、時刻tにおいて更新されたボックスカー内のサンプルの中心傾向として計算される。センサー読み取り値の曲線は、4つの雲1、2、3、および4の通過時における照度の低下、およびその後雲の各々が通過した後に日照に戻ることも示している。短いボックスカーの曲線は、センサー読み取り値の曲線に追従し、4つの雲による照度の低下に迅速に反応する。長いボックスカー値は、照度のセンサー読み取り値の低下に遅れを取り、雲による照度のこれらの低下に、短いボックスカー値と同程度には反応しない。上側のグラフは、時間tにおける、制御方法によって決定された、色合い調節可能な窓を通る色合い状態の透過率(Tvis)を示す。事象0の直前まで、短期ボックスカー値と長期ボックスカー値との間の正の差は、第1の(正の)閾値(例えば、20ワット/m2)未満であり、照度値は、更新された長いボックスカー値に設定される。照度値が下限を下回っているので、60%のTvisに関連付けられた定義済みの色合いレベル(公称透明状態)が適用される。示されるように、制御方法は、短期ボックスカー値と長期ボックスカー値との間の正の差が第1の正の閾値(例えば、20ワット/m2)より大きくなるまで60%のTvisを適用し、その後照度値が、短いボックスカー値に設定される(事象0)。このとき、タイマー1が設定され、事象0で計算された色合い状態が、雲1が通過する直後にタイマー1が時間切れになるまで維持される。(短いボックスカー値に基づく)照度値が下限より大きくかつ上限未満であり、かつ太陽が臨界角内にあるので、モジュールA、B、およびCが使用されて、20%のTvisに対応する事象0における色合いレベルを決定する。その後、短期ボックスカーの値が上側のレベルを通過し、モジュールAおよびBのみに基づく計算をトリガする。ただし、タイマー1が設定されているため、色合いレベルに変化は起こらない。雲1が通過する時刻の直後に、タイマー1が時間切れになる。このときから雲3の直前まで、短期ボックスカー値と長期ボックスカー値との間の正の差は第1の正の閾値よりも大きく、照度値は、更新された短期ボックスカー値に設定される。この間、(更新された短期ボックスカー値に基づく)照度値は上限を上回ったままであり、太陽は臨界角内に留まるため、色合いレベルを決定するためにモジュールAおよびBが使用されて、これらのモジュールが、4%のTvisに対応する色合いレベルを計算する。雲3では、長いボックスカー値が短いボックスカー値よりも大きく、差が今度は負であるため、照度値は、長いボックスカー値に設定される。差が第2の負の閾値よりもさらに負ではないので、タイマーは設定されない。照度値が上限よりも大きく、かつ太陽が臨界角の外側にあるので、4%のTvisに対応する色合いレベルを決定するために色合いレベルを決定するために、モジュールAおよびBが再び使用される。雲4では、長いボックスカー値が再び、短いボックスカー値よりも大きく、差が、負の閾値よりもさらに負ではない。このとき、照度値は、更新された長いボックスカー値に設定されるが、タイマーは設定されない。照度値が下限より大きくかつ上限未満であり、太陽が臨界角内にあるので、色合いレベルを決定するためにモジュールA、B、およびCが使用され、これらのモジュールが、4%のTvisに対応する色合いレベルを計算する。
図26Bは、間欠的な急上昇を伴う曇った1日の間のセンサー読み取り値と、図25Aを参照して説明された制御方法によって決定された、関連付けられた色合い状態とに関連する2つのグラフを示す。下側のグラフは、曇った1日にわたる、時間tにおけるセンサー読み取り値を示す。下側のグラフはまた、参考のために、時間tにわたる晴天照度値の鐘形の曲線を含む。下側のグラフはまた、時刻tにおいて計算された、更新された短いボックスカー値および長いボックスカー値の曲線も含む。センサー読み取り値の曲線は、状況が、午前中はポイント3まで曇りであり、ポイント3で短期間、2つの低下を伴って日当たりがよくなった後に、ポイント4で再び曇ることを示している。上側のグラフは、時間tにおいて制御方法によって計算された、色合い調節可能な窓を通る色合い状態の透過率Tvisを示す。ポイント1の前では、短期ボックスカー値と長期ボックスカー値との間の正の差が第1の正の閾値未満であり、照度値は、長いボックスカー値に設定される。照度値が下限を下回っているので、60%のTvisに関連付けられた所定の色合いレベル(例えば、公称透明)が適用される。ポイント1において、短期ボックスカー値と長期ボックスカー値との間の差が正であり、かつ第1の正の閾値未満であり、照度値は、更新された長いボックスカー値に設定される。この場合、照度値は下限と上限の間にあり、早朝で太陽が臨界角の外側にあるため、モジュールAを使用して部屋内へのグレアの入射を判断する必要はない。この場合、モジュールBおよびCのみが使用され、これらのモジュールが、窓を暗くするために、40%のTvisで色合いレベルを計算する。ポイント2では、短期ボックスカー値と長期ボックスカー値との間の差が正であり、かつ第1の正の閾値未満であり、照度値は、更新された長いボックスカー値に設定される。このポイントでは、まだ早朝であり、太陽は、臨界角の外側にある。照度値は、ポイント1におけるよりは高いが、なお上限と下限との間にあり、モジュールBおよびCが、窓をさらに暗くするために、20%のTvisで色合いレベルを決定する。ポイント3では、短期ボックスカー値と長期ボックスカー値との間の差が正であり、かつ閾値よりも大きいので、照度値は、更新された短いボックスカー値に設定され、タイマー1が設定される。照度値が上限を上回っており、かつ太陽が臨界角内にあるので、モジュールAおよびBが使用されて、4%のTvisに対応する色合いレベルまで色合いを増加させることを決定する。タイマーの長さの間、色合い状態は維持される。ポイント4の直前で、タイマー1が時間切れになる。ポイント4では、短期ボックスカー値と長期ボックスカー値との間の正の差が第1の正の閾値よりも大きく、照度値は、更新された短いボックスカー値に設定される。照度値が上限を上回っており、かつ太陽が、この時刻において臨界角の外側にあるので、モジュールBのみが使用されて、40%のTvisに対応する色合いレベルを決定する。ポイント5では、短期ボックスカー値と長期ボックスカー値との間の正の差が第1の閾値未満であり、照度値は、更新された長いボックスカー値に設定される。タイマーは設定されない。この1日の遅いポイントでは、照度値が下限を下回っており、かつ太陽が臨界角の外側にあるので、モジュールBおよびCが使用されて、60%のTvisに対応する色合いレベルを決定する。
図27Aは、1日の間の時刻tにおいて決定された、センサー読み取り値、短いボックスカー値、および長いボックスカー値を含む照度値のプロットである。図27Bは、図27Aのセンサー読み取り値、ならびに1日の間の関連付けられた、モュールBによって決定された色合いレベル、およびモジュールCによって決定された色合いレベルのプロットである。
いくつかの態様では、長いボックスカー値は、センサー読み取り値で更新され、当日中は絶対にリセットされない。センサーの測定値が1日の間に大幅に変化する場合(例えば、暴風雨前線が到着した場合)、これらの長いボックスカー値は、センサー読み取り値の急激な変化に大幅に遅れを取り、急激な変化を反映しないであろう。たとえば、長いボックスカー値は、外部照度の大幅な低下後のセンサー読み取り値よりも大幅に高くなる。これらの高い、長いボックスカー値が使用されて色合いレベルが計算される場合、長いボックスカーがより最新のセンサー読み取り値をロードする時間を有するまで、窓が過大に色合い調節される可能性がある。特定の態様では、制御方法は、長いボックスカーがより最新のセンサー読み取り値をロードされ得るように、照度の急激な変化後に長いボックスカーをリセットする。図28Aおよび28Bは、長いボックスカーのローディングをリセットする制御方法の図である。他の態様では、制御方法は、照度条件の著しい変化で開始される第2の長いボックスカーを使用する。図29Aおよび29Bは、第2の長いボックスカーを有する制御方法の図である。これらの場合、制御方法は、現在のセンサー読み取り値により近い長いボックスカー値を使用することができ、照度の急激な低下後に窓を過大に色合い調節することを回避し得る。
図28Aは、実施形態による、長いボックスカーのローディングをリセットする制御方法のフローチャート5000である。センサー読み取り値の急激な低下後に、長いボックスカーはリセットされ、現在のセンサー読み取り値の再ローディングを開始する。短いボックスカー値と長いボックスカー値との間の負の差が第2の負の閾値よりもさらに負であるとき、長いボックスカーがリセットされる。すなわち、負の閾値よりもさらに負である負の差は、センサー読み取り値の急激な変化を示す。同時に、制御方法は第2のタイマーを起動する。制御方法は、リセットされた長いボックスカー値を使用して、第2のタイマーの間維持される色合いレベルを計算する。条件が急激に変化すると、長いボックスカーが新しいセンサー読み取り値で再ロードを開始するので、長いボックスカーの値は、しばらくの間、センサー読み取り値に密接に追従し、制御方法は、急激な変化後に現在変化しているセンサー読み取り値に密接に対応する色合いレベルを決定するであろう。
より具体的には、図28Aを参照すると、ステップ5010で、センサー読み取り値がセンサーによって送信され、プロセッサによって受信される。ステップ5012で、長期および短期ボックスカー照度値が、受信されたより最新のセンサー読み取り値で更新される。ステップ5020でタイマーが設定されていると判定された場合、ステップ5022で現在の色合い設定が維持されて、プロセスはステップ5010に戻る。ステップ5020でタイマーが設定されていないと判定された場合、短期および長期ボックスカー照度値間の差(Δ)の大きさおよび符号が、ステップ5030で判定される。すなわち、Δ=短期ボックスカー値−長期ボックスカー値。ステップ5030で、Δが正であり、かつ第1の正の閾値よりも大きいと判定された場合、照度値は短期ボックスカー照度値に設定され、第1のタイマーがステップ5042で設定され、方法はステップ5050に進む。ステップ5030で、Δが正でありかつ正の閾値未満である、または負の値であると判定された場合、ステップ5044で、照度値が、長期ボックスカー照度値に設定される。ステップ5046で、Δが第2の負の閾値よりもさらに負であるかどうかが判定される。Δが第2の閾値よりもさらに負である場合、照度の著しい低下を示している。この場合、ステップ5048で、第2のタイマーが設定され、長いボックスカーがリセットされて(値が取り出されて空になり)再びローディングを開始し、方法はステップ5050に進む。Δが第2の負の閾値よりもさらに負ではない場合、方法は直接ステップ5050に進む。ステップ5050で、設定照度値が下限未満であるかどうかが判定される。下限未満である場合、ステップ5052で、定義済みの色合いレベル(例えば、公称透明)が適用され、プロセスはステップ5010に戻る。システムの設定照度値が下限よりも大きい場合、ステップ5060で、システムの設定照度値が上限よりも大きいかどうかが判定される。システムの設定照度値が上限よりも大きいと判定された場合、5070で、太陽方位が臨界角の外側にあるかどうかが判定される。太陽が臨界角内にある場合、モジュールAおよびBが使用されて、色合い調節可能な窓に適用される最終色合いレベルを決定し、プロセスはステップ5010に戻る。太陽が臨界角の外側にある場合、ステップ5074でモジュールBだけが使用されて、最終色合い状態を決定し、プロセスはステップ5010に戻る。ステップ5060で、システムの設定照度値が上限よりも大きくないと判定された場合、5080で、太陽が臨界角の外側にあるかどうかが判定される。太陽が臨界角内にある場合、ステップ5082でモジュールA、B、およびCが使用されて、色合い調節可能な窓に適用される最終色合いレベルを決定し、プロセスはステップ5010に戻る。太陽が臨界角の外側にある場合、ステップ5090で、モジュールBおよびCのみが使用されて、色合い調節可能な窓に適用される最終色合いレベルを計算し、プロセスはステップ5010に戻る。
図28Bは、1日の一部分の間の時間tの間のセンサーの読み取り値およびボックスカー値のシナリオを示す。このシナリオは正午に明るく晴れる日(500W/m2)を想定しており、ボックスカーの曲線は、計算が5分ごとに継続する中で、この時刻の大部分にわたって、ほとんど同じ軌道を共に進んでいる。第1の垂直な点線の黒いライン(5分間隔の定期的な計算)では、センサー読み取り値の若干の低下があり、短期ボックスカー値は、センサー読み取り値に遅れを取る長期ボックスカー値よりも若干高くなっている。短期値と長期値との間の負の差は負の閾値よりもさらに負であるので、長期ボックスカー値が使用されて、色合いレベルを決定する。すぐ次の計算では、センサー読み取り値が外部照度の大幅な低下を示している(例えば、暴風雨前線が到着した)。負の差が負の閾値よりもさらに負であり、制御方法は、1時間タイマーをトリガし(変化する条件がこの事象を引き起こし、Δを、タイマーをトリガするのに十分なものにした)、長いボックスカーがリセットされる。制御方法が、照度値を、リセットされた長いボックスカー値に設定して、タイマーの期間中に使用する色合いレベルを決定する。長期ボックスカー値が上限を上回っており、かつ太陽が臨界角内にあるので、モジュールAおよびBが使用されて、リセットされた長いボックスカー値に基づいて色合いレベルを決定する。第2のタイマーの期間の終わりにおいて、短いボックスカー値と長いボックスカー値との間の負の差が負の閾値よりもさらに負であるので、照度値は、リセット以後に採取された読み取り値を有する長期ボックスカー値に設定される。
第2のタイマーの期間の終わりにおいて、ロジックが長いボックスカーをリセットしなかった場合、第2のタイマーが再び実施されて、その期間中長いボックスカー値が(以前のように)使用されたであろう。お分かりのように、現在のセンサー読み取り値(および関連付けられた短いボックスカー値)は、どんよりとした日であり、長いボックスカー値が示すと思われるほど高く窓を色合い調節する必要はないことを示すので、これにより、窓が不適切に過大に色合い調節されたであろう。このシナリオでは、長期ボックスカーは、タイマーの開始期間にリセットされる。言い換えれば、いったんタイマーがトリガされると、長いボックスカーのリセットが同時にトリガされて、新しいセンサーデータでローディングが開始する。このリセットロジックを使用して、第2のタイマーの終わりに短期ボックスカー値が、リセットされた長いボックスカー値と比較され、Δが、現在のセンサー読み取り値をより厳密に反映するであろう。
図29Aは、センサー読み取り値に急激な変化があるときに第2の長いボックスカーを開始する制御方法のフローチャート6000である。新たに開始された第2の長いボックスカーの値は、急激な変化の間、より厳密にセンサー読み取り値を追跡する。第1の長いボックスカーは、センサー読み取り値に後れを取る。
図29Aを再び参照すると、ステップ6010において、照度値のセンサー読み取り値が、センサーによって送信され、プロセッサによって受信される。ステップ6012で、ボックスカー照度値が、受信されたセンサー読み取り値で更新される。タイマーが設定されているとステップ6020で判定された場合、ステップ6022で現在の色合い設定が維持され(すなわち、新しい色合いレベルの計算が行われない)、プロセスはステップ6010に戻る。タイマーが設定されていないとステップ6020で判定された場合、ステップ6024で、第2の長いボックスカーが開始されたかどうかが判定される。第2の長いボックスカーが開始されることがステップ6024で決定された場合、値1は、短いボックスカー照度値および第1の長いボックスカー照度明値のうちの大きい方に設定され、値2は、第2のボックスカー照度値に設定される。第2の長いボックスカーが開始されていない場合、値1は短いボックスカー照度値に設定され、値2は、第2の長いボックスカー照度値に設定される。ステップ6030で、値1と値2との間の差(Δ)の大きさおよび符号が判定される。ステップ6030で、Δが正であり、かつ第1の正の閾値よりも大きいと判定された場合、ステップ6042で、照度値が値1に設定され、第1のタイマーが設定され、次いで、方法はステップ6050に進む。ステップ6030で、Δが正でありかつ第1の正の閾値未満である、またはΔが負の値であると判定された場合、ステップ6044で照度値が値2に設定される。ステップ6046で、Δが第2の負の閾値よりもさらに負であるかどうかが判定される。Δが第2の負の閾値よりもさらに負である場合、照度の著しい低下がある。この場合、ステップ6048で、第2のタイマーが設定され、第2の長いボックスカーが開始され、照度値が第2の長いボックスカーの初期値に設定され、方法はステップ6050に進む。Δが第2の閾値よりもさらに負ではない場合、方法は直接ステップ6050に進む。ステップ6050で、設定照度値が下限未満であるかどうかが判定される。下限未満である場合、ステップ6052で、定義済みの色合いレベル(例えば、公称透明)が適用され、プロセスはステップ6010に戻る。システムの設定照度値が下限よりも大きい場合、ステップ6060で、システムの設定照度値が上限よりも大きいかどうかが判定される。システムの設定照度値が上限よりも大きいと判定された場合、6070で、太陽方位が臨界角の外側にあるかどうかが判定される。太陽が臨界角の外側にない場合、モジュールAおよびBが使用されて、色合い調整可能な窓に適用される最終色合いレベルを決定し、プロセスはステップ6010に戻る。太陽が臨界角の外側にある場合、ステップ6074でモジュールBだけが使用されて、最終色合い状態を決定し、プロセスはステップ6010に戻る。ステップ6060で、システムの設定照度値が上限よりも大きくないと判定された場合、6080で、太陽が臨界角の外側にあるかどうかが判定される。太陽が臨界角の外側にない場合、ステップ6082で、モジュールA、B、およびCが使用されて、色合い調節可能な窓に適用される最終色合いレベルを計算し、プロセスはステップ6010に戻る。太陽が臨界角の外側にある場合、ステップ6090でモジュールBおよびCのみが使用されて、色合い調節可能な窓に適用される最終色合いレベルを計算し、プロセスはステップ6010に戻る。
図29Bは、1日の一部分の間の時間tの間のセンサー読み取り値およびボックスカー値のシナリオを示す。このシナリオは正午に明るく晴れる日(500W/m2)を想定しており、ボックスカーの曲線は、計算が5分ごとに継続する中で、この時刻の大部分にわたって、ほとんど同じ軌道を共に進んでいる。第1の垂直な黒いライン(5分間隔の定期的な計算)では、センサー読み取り値の若干の低下があり、短期ボックスカー値は、センサー読み取り値に遅れを取る最初の長期ボックスカー値よりも若干高くなっている。短いボックスカー値と第1の長いボックスカー値との間の負の差が閾値未満であるので、第1の長いボックスカー値が使用されて、色合いレベルを決定する。すぐ次の計算では、センサー読み取り値が外部照度の大幅な低下を示している。この場合、負の差が負の閾値よりもさらに負であり、制御方法は、1時間タイマーをトリガし(変化する条件がこの事象を引き起こし、Δを、タイマーをトリガするのに十分なものにした)、第2の長いボックスカーが開始される。さらに、照度値が、初期の、第2の長いボックスカー値に設定される。この初期の、第2の長期ボックスカー値が上限を上回っており、かつ太陽が臨界角内にあるので、モジュールAおよびBが使用されて、初期の、第2の長いボックスカー値に基づいて色合いレベルを決定する。第2のタイマーの期間の終わりにおいて、第1の長いボックスカー値は短いボックスカー値よりも大きく、第2の長いボックスカー値と第1の長いボックスカー値との間の正の差は、第1の閾値を下回っている。制御方法は、第1の長いボックスカー照度値を使用して、第1のタイマーの間使用される色合いレベルを決定する。
特定の実施形態では、窓を通る太陽放射の計算された方向が、その窓を有する部屋の占有領域のグレアシナリオに関連付けられた臨界受光角内にある場合、モジュールAは、窓の色合いを増加させることができる。太陽放射の方向は、太陽方位および/または太陽高度に基づいて計算される。例えば、図25Bは、部屋内の机に関連付けられた臨界受光角Z1およびZ2を示す。この例では、太陽が、臨界受光角Z1およびZ2内の方位角で太陽放射を提供する位置に位置付けられているとき、太陽放射は、机によって占有された領域にグレアを発生している。それに応じて、モジュールAは、グレアではなく快適さを提供するために、窓の色合い状態を増加させる制御信号を送信することができる。臨界受光角Z1およびZ2の外側では、太陽放射の直接平行光線は机の領域に入射せず、モジュールAは、「透明な色合い状態」の制御コマンドを返すことができる。太陽方位に関連付けられた1つのセットの臨界受光角θ1およびθ2が図20に示されている。場合によっては、それぞれ太陽方位および太陽高度と別個に関連付けられた2つのセットの臨界角が使用されてもよい。これらの場合、計算された太陽方位が第1のセットの臨界角内にあり、太陽高度が第2のセットの臨界角内にある場合、モジュールAがオンになって色合い状態を増加させることができる。
X1.光の3次元投影に基づくモジュールA
特定の実施形態では、モジュールAは、1つ以上の開口(例えば、色合い調節可能な窓)から部屋を通る光の3次元投影を使用することによって、グレアが占有領域上にあるかどうかを判定する。光の3次元投影は、外光が部屋の中に直接侵入する部屋内の光の量であると考えることができる。例えば、3次元投影は、窓を通る太陽からの平行光線によって画定され得る。部屋内への3次元投影の方向は、太陽方位および/または太陽高度に基づく。光の3次元投影を使用して、部屋内の1つ以上の平面の交点における2次元光投影(P画像)を決定することができる。開口からのP画像のサイズおよび形状は、開口の寸法および向き、ならびに太陽方位および/または太陽高度に基づいて計算された太陽放射の方向ベクトルに基づく。P画像は、太陽が開口から無限の距離において平行光線を生成するという仮定に基づいて決定される。この仮定では、水平に配向された開口は、実際の開口と同じ形状およびサイズを有する、水平面上への2次元光投影を提供する。
場合によっては、モジュールAは、P画像オフセットを計算することによって、特定の関心平面におけるP画像を決定する。P画像オフセットは、投影画像の幾何学的中心と開口の幾何学的中心での垂直軸との間の特定の平面におけるオフセット距離を指すことがある。P画像オフセットは、開口の寸法、太陽の方位および高度、ならびに開口の平面と関心平面との間の法線距離に基づいて決定することができる。P画像オフセットを用いて、モジュールAは、P画像オフセットの周りに投影された開口領域を構築することによって、投影画像を決定することができる。
モジュールAが特定の平面で光投影を決定すると、モジュールAは、光投影、または光投影に関連付けられたグレア領域が占有領域(すなわち、部屋内で占有されている領域)と重複する量を決定する。占有領域は、3次元光投影またはグレア領域によって交差されるときに、グレアシナリオを暗示する空間内の境界を画定する、関心平面(例えば、机の平面)における領域を指すことがある。場合によっては、占有領域は、おそらく机の上面を含む、占有者の頭の前の領域などの2次元表面(例えば、机の上面)または体積のすべてもしくは一部であり得る。光投影またはグレア領域が占有領域の外側にあると判定された場合、グレアシナリオは存在しないと判定される。
場合によっては、モジュールAは、1つ以上の開口を通して投射された光に基づいて、関心平面におけるグレア領域を計算することができる。グレア領域は、1つ以上の開口を通して投影された光が入射する関心平面における領域を指すことがある。場合によっては、モジュールAは、実効開口の幾何学的中心での垂直軸と関心平面におけるP画像の外側境界との間の領域としてグレア領域を定義する。ある場合、開口の幾何学的中心は、開口の形状の図心または質量中心を指し得る。グレア領域は、例えば、矩形、円形、または環状の形状などの異なる形状を有するように定義されてもよく、直交座標または極座標内にあってもよい。1つ以上の開口からグレア領域を決定した後、モジュールAは、グレア領域が占有領域と重複する場合に、グレアシナリオが存在すると決定することができる。
場合によっては、モジュールAは、光投影またはグレア領域と占有領域との計算された重複量に基づいて、色合いレベルを決定する。例えば、光投影が占有領域と任意の重複を有する場合、モジュールAが起動して、グレアシナリオに対処するために、色合い状態を増加させることができる。光投影が占有領域と重複しない場合、モジュールAは、「透明な色合い状態」コマンドを返すことができる。
図30は、一実施形態による、天井に天窓の形態の単一の水平かつ円形の開口7010を有する部屋の側面図の概略図である。部屋は、部屋内に占有領域を画定する机7030を有する。円形開口7010は、whの直径を有する。開口7010は、α1の窓方位にある。円形開口7010の幾何学的中心は、wh/2における円形開口7010の中心である。開口7010の幾何学的中心7011における垂直軸7012が示されている。太陽からの太陽放射は、床に投影される光線の3次元円柱として示されている。太陽放射は、θの太陽高度を有するように示されている。この図では、開口7010の光投影(P画像)7020は、dzにおける机7030の平面での投影の近似として、床の平面で決定される。他の例では、開口7010は、机7030の上面における平面などの他の平面に投影されてもよい。モジュールAのいくつかの実施形態では、P画像オフセットは、開口7010の幾何学的中心を、太陽の方位および高度に関連付けられた方向ベクトル7013に沿って、床の平面または他の関心平面に投影することによって決定され得る。場合によっては、開口7010の光投影(P画像)7022は、P画像オフセットの周りに開口7010を「構築する」ことによって決定される。図30では、P画像7020は、床において、P画像オフセットの距離だけ垂直軸7012から横方向にオフセットされて示されている。この例では、モジュールAは、床の平面における投影画像7020の外縁によって、グレア領域を画定する。
図31は、一実施形態による、天窓の形態の単一の水平な円形開口7010を有する、図30に示された部屋の側面図(上側)および断面図(下側)の概略図である。この例では、部屋は占有領域を画定する机7031を有し、光投影(P画像)7022は、dzのz位置での机7031の平面において決定される。この例では、P画像オフセットは、開口7010の幾何学的中心を、太陽の方位および高度に関連付けられた方向ベクトル7013に沿って、机7031における平面に投影することによって決定される。開口7010の光投影(P画像)7022は、P画像オフセットの周りに開口を「構築する」ことによって決定されてもよい。他の場合、例えば、図30に示されるように、光投影は、床での平面において決定され得る。図31では、P画像7022は、P画像オフセットの距離だけ、開口7010の幾何学的中心における垂直軸7012から横にオフセットされて示されている。
図31において、下側の図は、z=dzにおける部屋の断面図である。この図では、占有領域7030は、dzのz位置での机7031における関心平面において、dxおよびdyだけ垂直軸7012からオフセットされた図心を有する。図31に示されるように、計算されたグレア領域は、関心平面において机7031によって画定される占有領域7030と、重複領域7040だけ部分的に重複する。グレア領域が(寸法もしくは、および/またはその領域による)所定の閾値を超えると、モジュールAは、グレアを減少させるために色合いを変化させることができる。占有領域7030は、矩形の開口の図において寸法Ox×Oyを有するか、または円の直径、多角形のファセット長、三角形、台形、または開口に適切な他の座標として指定され得る。他の例では、占有領域は、机7031によって画定される領域と、机7031に向かった占有者によって画定される領域7032との両方を含み得る。他の例では、複数の占有者に関連付けられた複数の占有領域があり得る。P画像の位置は、太陽の方位および高度によって決定される方向ベクトル7013に追従して時刻とともに変化し、1日の間に占有領域のうちの1つ以上を照らす。重複が所定の閾値を超えると、モジュールAは、その占有領域および時刻に対する所定の値に窓を色合い調節するであろう。
図32は、一実施形態による、2つのフロアと、天窓の形態の水平な円形開口7060とを有する部屋の側面図(上側)および断面図(下側)の概略図である。この例では、第1のフロアは机7090を有し、第2のフロアは机7090を有する。開口7060は幾何学的中心7061を有する。P画像オフセットは、幾何学的中心7061を、太陽の方位および高度に関連付けられた方向ベクトル7063に沿って、関心平面に投影することによって決定され得、この場合、関心平面は、例えば、dzでの机の平面における投影の近似としての、第1のフロアの床における平面である。開口7060の光投影(P画像)7070は、関心平面でのP画像オフセットにおいて開口を構築することによって決定される。開口7060の光投影(P画像)7070は、関心平面に提供されて示されており、P画像オフセットの距離だけ、幾何学的中心7061における垂直軸7062から横にオフセットされて示されている。この図では、机7090の占有領域7091は、机7090の平面において、dx2およびdy2だけ垂直軸7062からオフセットされた図心を有し、机7080の占有領域7081は、机7080の平面において、dx1およびdy1だけ垂直軸7062からオフセットされた図心を有する。図32に示されるように、光投影7070の計算されたグレア領域は、重複領域7095において、机7080によって画定される占有領域7081と部分的に重複する。示されるように、光投影は、第2のフロアの机7090上にグレアを提供しない。
図33は、一実施形態による、机7150、第1の開口7110、および第2の開口7112を有する部屋の側面図の概略図である。第1の開口7110の幅はwh1であり、第2の開口7112の幅はwh2である。第1の開口7110は水平からα1の角度にあり、この場合、この角度は135度である。2つの開口7110および7112は、図心7121を有する実効開口7120を有する。第1の開口7110は水平からα1の角度にある。第2の開口7112は、水平からα2の角度にある。P画像オフセットは、実効開口7120の幾何学的中心を、太陽の方位および高度に関連付けられた方向ベクトル7141に沿って、床における平面に投影することによって決定することができる。実効開口7120の光投影(P画像)7130は、例えば、dzでの机の平面における投影の近似として、床の平面において提供される。P画像7130は、P画像オフセットの距離だけ、実効開口7120の幾何学的中心における垂直軸7140から横にオフセットされて示されている。P画像7130のグレア領域は、机7150によって画定される占有領域と部分的に重複する。
図34は、一実施形態による、第1の開口7210と第2の開口7212とを含む多面天窓を有し、机7250を有する部屋の側面図の概略図を示す。第1の開口7210の幅はwh1であり、第2の開口7212の幅はwh2である。第1の開口7210は、水平からα1の角度にある。第2の開口7212は、水平からα2の角度にある。2つの開口7210および7212は、幾何学的中心7221を有する実効開口7220を有する。画像P画像オフセットは、実効開口7220の幾何学的中心を、太陽の方位および高度に関連付けられた方向ベクトル7241に沿って、この場合床の平面である関心平面に投影することによって、例えば、dzでの机の平面における投影の近似として、決定することができる。有効開口7220の光投影(P画像)7230は、床の平面において提供される。P画像7230は、P画像オフセットの距離だけ、実効開口7220の幾何学的中心における垂直軸7240から横にオフセットされて示されている。P画像7230のグレア領域は、机7250によって画定される占有領域と部分的に重複する。
図35は、一実施形態による、第1の開口7310と、第2の開口7312と、開口のないファセット7314とを含む多面天窓を有する部屋の側面図の概略図である。部屋は机7350も有する。2つの開口7310および7312はそれぞれ、幾何学的中心7341および7342を有する。第1の開口7310の幅はwh1であり、第2の開口7312の幅はwh2である。第1の開口7310は水平からα1の角度にあり、この場合、この角度は90度である。第2の開口7212は水平からα2の角度にあり、この場合、この角度は270度である。この図では、第1の開口7310の光投影(P画像)7330は、dzでの机の平面における投影の近似として、床の平面において提供される。この場合、開口のないファセット7314は、太陽放射の方向に応じて、第1および/または第2の開口7312からの光を遮断し得る。すなわち、太陽高度θが第2の開口7321の角度α2未満の場合、ファセット7314が遮っているので、太陽放射は、第2の開口7321に直接入射しない。図では、太陽高度θが角度α2未満なので、第2の開口7312は太陽放射を受けない。この場合、実効開口は第1の開口7310のみに基づいており、第1の開口7310の幾何学的中心が使用されて、P画像オフセットおよび投影を決定する。P画像オフセットは、開口7310の幾何学的中心を、太陽の方位および高度に関連付けられた方向ベクトル7341に沿って、床に投影することによって決定され得る。第1の開口7312のP画像7330は、P画像オフセットの距離だけ、第1の開口7310および第2の開口7312の両方の幾何学的中心における垂直軸7340から、横にオフセットされて示されている。P画像7330のグレア領域は、机7350によって画定される占有領域と部分的に重複する。
場合によっては、占有領域とP画像のグレア領域との重複の量をモジュールAで使用して、適切な色合い状態を決定することができる。これらの場合、モジュールAは、より高いレベルの重複に対してより高い色合い状態を決定することができる。場合によっては、色合い状態は、重複の量に基づいて決定される。他の場合には、色合い状態は、使用される占有領域の量に対する重複のパーセンテージに基づいて決定される。図36は、一実施形態による、開口8010を有する天窓と、机8012とを有する部屋の概略図である。垂直軸8020は、開口8010の幾何学的中心を通って示されている。この図では、太陽は5つの太陽高度で示されており、5つの方向ベクトルに関連付けられた5つの太陽高度に対応して、5つのグレア領域の縁が示されている。概略図はまた、異なる重複に対して適切な色合い状態を決定する方法も示す。机8010によって画定される占有領域に重複するグレア領域の増大に伴って、色合いレベルがT1からT5に増大する。
図37は、実施形態による、3次元光投影を使用するモジュールAを有する、図8のステップ700の詳細を示すフローチャートである。ステップ1905で、モジュールAが開始する。ステップ1910で、窓コントローラ450は、モジュールAを使用して、建物の緯度および経度座標、ならびに特定の瞬間tiの日付および時刻に対する太陽の位置を計算する。緯度および経度座標は、構成ファイルから入力され得る。日付および時刻は、タイマーによって提供される現在時刻に基づいてもよい。太陽位置は、場合によっては将来であり得る、特定の瞬間tiにおいて計算される。他の実施形態では、太陽の位置は、予測制御ロジックの別の構成要素(例えばモジュール)内で計算される。太陽の位置は、太陽方位および/または太陽高度で計算される。
ステップ1920で、窓コントローラ450は、モジュールAを使用して、部屋内に入射するグレアの量、またはステップ1910で使用される特定の瞬間にグレアがあるかどうかを計算する。モジュールAは、太陽の方位および高度によって決定される方向ベクトルに基づいて、1つ以上の遮られていない開口(例えば、窓)から部屋を通る光線の3次元投影を使用して、グレアの量を計算する。モジュールAは、方向ベクトルおよび構成情報を使用して、1つ以上の遮られていない開口のP画像(複数可)を決定する。構成情報は、1つ以上の開口(例えば、エレクトロクロミック窓)の位置のうちの1つ以上、1つ以上の開口の寸法、開口が遮られているかいないか、1つ以上の開口の各々の向き、部屋の寸法、および太陽放射が1つ以上の開口に入るのを妨げている可能性のある外部日よけまたはその他の構造物に関する任意の詳細を含むことができる。窓の構成情報は、エレクトロクロミック窓505に関連付けられた構成ファイルから入力される。モジュールAは、遮られていない開口のP画像と、特定の関心平面における占有領域との交点に基づいて、部屋内のグレアの量、またはグレアの決定を決定する。場合によっては、モジュールAは、1つ以上の開口のうちのどれが遮られていないか、すなわち、太陽放射を受けているかを判断する。例えば、図35では、270度に配向された第2の開口7342は、図中の太陽放射を受けることを妨げられている。特定の関心平面における遮られていない開口のP画像(複数可)を決定するために、モジュールAはまず、1つ以上の遮られていない開口の幾何学的中心を決定する。場合によっては、幾何学的中心は、開口の形状の合成図心であり得る。次に、モジュールAは、1つ以上の遮られていない開口の幾何学的中心を、太陽の方位および高度に基づく光の3次元投影の方向ベクトルの方向に、関心平面へ投影することによって、P画像オフセットを決定する。光の3次元投影の方向ベクトルは、ステップ1910で特定の瞬間に計算された太陽方位および太陽高度に基づく。モジュールAは、1つ以上の遮られていない開口の幾何学的中心と、太陽の方位および高度に関連付けられた方向ベクトルと、1つ以上の開口と関心平面との間の法線距離とに基づいて、P画像オフセットを決定する。次に、モジュールAは、関心平面において、1つ以上の遮られていない開口の投影された幾何学的中心の周りに実効開口領域を生成することによって、P画像を「構築」する。場合によっては、モジュールAは、関心平面におけるP画像の外側境界に基づいて、グレア領域を決定する。異なる開口配置に対して決定されたグレア領域の図が、図31〜37に示されている。
ステップ1930で、ステップ1920において決定された、遮られていない開口のP画像(複数可)からのグレアの量から、占有者の快適さを提供する色合いレベルが決定される。ステップ1930で、モジュールAは、占有領域と、遮られていない開口のp画像(複数可)との間の重複の量を決定する。重複の量に基づいて、モジュールAは、決定された重複の量に対する、占有率ルックアップテーブル内の所望の色合いレベルを決定する。占有率ルックアップテーブルは、特定の開口の構成ファイルからの入力として提供される。場合によっては、重複領域の量または侵入のパーセンテージ(すなわち、占有領域の重複領域のパーセンテージ)を使用して、最終色合い状態を決定することができる。例えば、重複領域がごくわずかあるいは全くない場合(例えば、机の小さな角部)、モジュールAは色合い状態を増加させないことがある。より大きなパーセンテージ量の重複領域(例えば、机の50%超)は、より高い色合い状態をもたらし得る。
図38は、実施形態による、グレアを有する表面の一部分を交差する光の3次元投影の概略図である。
本開示の範囲から逸脱することなく、上述の予測制御ロジック、他の制御ロジック、およびそれらに関連する制御方法(例えば、図18に関して説明されたロジック、図7、8、9、12および13に関して説明されたロジック、ならびに図14に関して説明されたロジック)のいずれかに修正、追加、または省略を行うことができる。上記のロジックのいずれも、本開示の範囲から逸脱することなく、より多くのロジック構成要素、より少ないロジック構成要素、または他のロジック構成要素を含んでもよい。さらに、説明されたロジックのステップは、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の好適な順序で実行され得る。
また、本開示の範囲から逸脱することなく、上述のシステム(例えば、図17に関して説明されたシステム)またはシステムの構成要素に対して修正、追加、もしくは省略を行うことができる。その の構成要素は、特定のニーズに応じて統合または分離されてもよい。例えば、マスターネットワークコントローラ1403と中間ネットワークコントローラ1405とは単一の窓コントローラに統合されてもよい。さらに、システムの動作は、より多い構成要素、より少ない構成要素、または他の構成要素によって実行されてもよい。さらに、システムの動作は、ソフトウェア、ハードウェア、他のロジック、またはこれらの任意の好適な組合せを含む任意の好適なロジックを使用して実行されてもよい。
いくつかの実装例では、上記のように、モジュールBへのアプローチは、太陽高度角およびサイトの位置ならびに標高の関数としての、晴れ渡った空の下で窓によって受け取られる太陽放射照度を予測する「晴天」モデルを使用することである。窓に入る放射は、本明細書では晴天放射照度と呼ばれる。いくつかの実装例では、太陽光線が窓を通って建物内に直接侵入しない場合であっても、特定の晴天放射照度条件で窓を色合い調節することが、モジュールBの役割であり得る。例えば、午後の東向きの窓では、成層圏からの太陽の反射のために、モジュールBを利用して窓を暗くすることが望ましい場合がある。
いくつかの実施形態では、Radianceなどの晴天モデリングソフトウェアを使用して、特定の日時について、窓の任意の経度、緯度、および向きを考慮して窓を通る太陽束を計算または推定するために、モジュールBが実装される。晴天モデリングソフトウェアは、識別可能な日時における太陽の高度および方位を決定することによって、窓によって受け取られる予測太陽束を計算することができる。場合によっては、インテリジェンスロジックで使用するために、テーブルまたは放射照度ファイルを生成することができ、このテーブルは、特定の日時における太陽束の推定値を含む。いくつかの他の実装例では、テーブルを事前に生成するのではなく、Radianceなどのプログラムを使用して、所与の日付/時刻にリアルタイムで色合い決定を行うことができる。
モジュールBを使用して、窓を通る推定された太陽束に基づいて窓の色合い状態を制御することができる一方、推定された太陽束が、窓によって受け取られる実際の太陽束と大幅に異なり得る事象または状況がある。これらの事象により、建物内のユーザーの快適さにはあまり適さない様式で、窓が制御されることになる可能性がある。例えば、使用されるモジュールBおよび他のインテリジェンスモジュールが、建物の外部の物体が窓の上に影を落としたり、または追加の光を窓の方に反射させたりする事象を考慮しないことがある。場合によっては、モジュールBは、気象条件またはユーザーの好みの変化を考慮できないこともある。本開示の精神および範囲と整合する変形例では、上述の実装例および実施例のうちのいくつかの中のモジュールBが、そのような事象を画定する制約を識別するために、追加の入力を利用することができるモジュールB'によって置き換えられる、または増強される。モジュールB'は、モジュールBの晴天モデルに置き換わる、または晴天モデルと連動して作動する事象ベースのモデルを内蔵している。このモジュールB'の事象ベースのモデルは、事象を識別し、事象の検出または予知に基づいて、1つ以上の影響を受けた窓を、調整された色合い状態に移行させるための命令を提供する。場合によっては、事象が一時的で、例えば、何分間または数時間しか持続せず、場合によっては、事象が、予測可能な再発事象であることがある。事象が終了した判定されると、色合い制御の管理は、その事象が起こる前に使用されていた予測制御ロジックに返すことができる。
モジュールB'によってモデル化または考慮され得る事象の非限定的な例として、建物の周囲または建物自体の特徴によって少なくとも部分的に引き起こされる反射および/または影が挙げられる。例えば、モジュールBは、その日のある部分の間は窓を陰で覆い、別の部分の間は反射光をもたらす隣接する建物を考慮しないことがある。場合によっては、事象は、少なくとも部分的に時刻または季節によって画定され得る。例えば、建物に離接する落葉樹が落葉すると、増大した太陽放射が、1つ以上の窓で受け取られる可能性がある。場合によっては、事象は、建物の一人以上の占有者の好みによって、少なくとも部分的に画定され得る。事象を、事象の発生を決定するためにモジュールB'によって使用される制約の文脈で、以下さらに説明する。
モジュールB'によって考慮され得る第1の制約入力は、空における太陽の位置を考慮する。前述のように、太陽の位置または角度は、部屋内に入射する直射日光の深さを計算するためにモジュールAによって、もしくは窓で受け取られる太陽放射照度の量を推定するためにモジュールBによって、使用され得る。モジュールB'は、事象に対応する許容される太陽の高度値および/または方位値の範囲を識別するように構成され得、事象が識別または予測されたときに、他の色合い調節モジュールによって提供される色合い調節制御をオーバーラドし得る。
図39Aおよび39Bは、事象を画定するための制約として、太陽の位置をどのように使用することができるかの例を示す。図39Aは、円形内面の建物3910および同心外面の建物3930の空中トップダウンビューであり、環状の中庭領域3920が、内面の建物と外面の建物との間に位置付けられていることを提供する。外面の建物は、内面に面するガラス3932を有し、このガラスは、太陽の位置に応じて、内面の建物のガラス3912の上に日光を反射させ、内側の建物の窓に増大した放射照度を受け取らせることになる。例えば、建物が北半球に位置付けられている場合、これらの窓では直射日光が予想されないため、インテリジェンスロジックは通常、内面の建物の窓をわずかに色合いが付いた状態のままにし、内面の建物の占有者が不快および/またはグレアを感じることになる可能性がある。建物の幾何学的形状を考慮することによって、グレアを生じる可能性がある方位値の範囲3940に対して太陽計算機を使用することができる。
図39Bは、図39Aに示された同心の内面の建物および外面の建物の部分断面図を提供する。両方の建物の幾何学的形状を考慮することによって、内面の建物でグレアまたは増大した放射照度を引き起こす太陽高度角の範囲3950を決定することができる。この範囲は、例えば、光線図を作成し、最小高度角3952に対応する光線と最大高度角3954に対応する光線の両方を識別することによって決定され得る。この例を使用して、モジュールB'は、太陽の方位3940および太陽の高度3950を画定する制約が両方満たされるときに、暗い色合い状態を出力するように構成され得る。場合によっては、この手順は、建物の各窓について行うことができ、場合によっては、この手順は、窓のゾーンについて行うことができ、そのゾーンの全ての窓がまとめて制御される。グレアを引き起こす事象に対する太陽の制約を決定するためのプロセスが説明されたが、影を引き起こす事象に対する太陽の制約、例えば、1つの建物がいつ他の建物に影を落とすか、を決定するために同様のプロセスを行うことができる。
モジュールB'によって考慮され得る別の制約が、時刻または曜日である。場合によっては、事象の発生は、スケジュールに入れることができる、および/または再発する可能性のある人間の活動に依存することがある。人間の活動に基づいて再発する事象の一例が、隣接する駐車場内のフロントガラスから反射される光のために、窓でグレアが観察される場合である。この事象が発生するための第1の要件または制約は、車が駐車場内に存在しなければならないことである。駐車されている車の存在が、例えば、企業の営業時間、および/またはその日が平日、週末、または休日であるかどうかに依存することがある。グレアの事象は、車が存在することに加えて、太陽光がフロントガラスから窓に向かって反射される、特定の範囲の太陽の位置によっても画定されるであろう。したがって、特定の色合いレベルをいつ窓に適用するかの決定は、多くの場合、現在の日付および時刻の関数であることに加えて、太陽の高度および方位の関数であり得る。
場合によっては、制約が季節ごとに画定されることがある。前述のように、秋季および冬季に窓が、通常は日光を遮るはずの葉がないために、増大した量の日光を受け取ることがある。別の例では、雪に反射される光のために、窓が追加の採光を受け取ることがある。場合によっては、モジュールB'が、実際の事象の存否にかかわらず、季節を特定の事象と関連付ける可能性がある。例えば、冬月の間、降雪がありそうな日および時刻にはより多くの反射がありそうだという細心の慎重さから、窓が色合い調節されることがある。
場合によっては、モジュールB'が、受信した気象データを、事象を定義する制約として使用する可能性がある。例えば、モジュールB'は、曇量指数、温度、および/または湿度情報などの情報を示す、気象観測所からの現在の、および予測された気象情報を受信するように構成され得る。受信した気象情報に基づいて、モジュールB'は、特定の事象が存在するか否かを判断することができる。例えば、雲っている、または霞がかかっている場合、晴れた日に通常は建物の占有者にグレアをもたらす太陽の位置があまりグレアをもたらさず、より明るい色合い状態がより好ましくなることがある。対照的な例として、晴天条件下で窓における影に通常関連付けられる太陽位置が、曇りの日により多くの光を受け取る可能性があり、それをより好ましいより暗い色合いにする。通信ネットワークを介して1つ以上の気象サービス(または他のデータソース)から気象供給データを受信することに基づく、色合い調節可能な窓の色合いを制御する方法が、米国を指定し、その全体が本明細書に組み込まれる、2016年7月7日に出願された「CONTROL METHOD FOR TINTABLE WINDOWS」と題するPCT特許出願第PCT/US16/41344号に記載されている。
いくつかの実施形態では、モジュールB'は、窓ネットワークを介してセンサーデータを受信するように構成され得る。例えば、事象は、温度センサーからの温度情報、占有センサーからの占有情報、および/または光センサーからの採光情報によって部分的に定義され得る。いくつかの実施形態では、モジュールB'は、事象を定義するためにそれが使用され得る建物管理システム(BMS)から情報を受信するように構成されてもよい。例えば、空調システムが故障し、および/または他の制約(例えば、太陽の位置および気象情報)が存在して、内部温度が許容温度を超えて上昇する可能性があることを示す場合、モジュールB'は、その事象が続く間太陽の熱を低減するために、増大した色合いレベルを提供することがある。
いくつかの実施形態では、事象ベースのモデルは、1つ以上のユーザーの好みを事象に対する制約と見なすことができる。ユーザーAは、異なる採光ニーズを有し、異なる時刻に部屋を占有する可能性があるユーザーBとは異なるように、事象が定義されることを望むかもしれない。例えば、ユーザーAおよびユーザーBが、採光の変化をもたらす事象によって同様には影響されない、部屋内の異なる作業場所または占有領域を有することがある。別の例では、コンピュータで作業している占有者は、コンピュータ画面を使用していないユーザーよりも、グレアをもたらす事象によってより大きな影響を受ける可能性がある。いくつかの実装例では、モジュールB'の事象ベースのモデルは、反射または影の考慮とは無関係な、ユーザー指定の条件に応じてに対して、特定の色合いレベルを出力するように構成される。例えば、時刻が2017年1月17日午前10時00分に達することが発生したときに、色合いレベル3を窓に適用させるように、ルールが構成され得る。
場合によっては、事象を定義する基準は、窓ネットワークの設計段階または試運転プロセス中に決定されてもよい。例えば、窓設置者は、起こり得る特定の採光事象について設置場所を評価するように訓練されてもよい。例えば、設置者は、測定ツールを使用して、望ましくない採光条件をもたらすことになる太陽位置の範囲を識別することができる。場合によっては、設置者は、他の採光モジュール(例えば、モジュールA、B、またはC)によってまだ補償されていない事象を識別することだけに関心を持つかもしれない。例えば、設置者は、窓の外側の落葉樹を識別した後、窓が直射日光を受けると予想される月の間、窓が暗い色合い状態に調整される季節的な事象を定義するかもしれない。
場合によっては、特定の時刻に、例えばジープまたはサービストラックなどのより垂直なフロントガラスを持つ車(最悪のケース)、または例えばコンパクトセダンなどのあまり垂直に傾斜していない(より勾配のある)フロントガラスを持つ車(最善のケース)で満車になり得る隣接駐車場を有するオフィスビルなどのサイトにおいて、反射の最善のケースおよび最悪のケースのシナリオを使用するモデル化および実験を通して、事象を定義する制約を外挿することができる。さらに、モジュールB'を実装するために開示された技術は、反射および/または影を含むシナリオに限定されない。
場合によっては、光学的に切り替え可能な窓の色合い状態を制御するためにも使用されるアプリケーションを使用して、事象を定義することができる。例えば、色合い調節可能な窓を制御しているユーザーが、動作中の予測制御アルゴリズムが適していない事象に気付いたとき、ユーザーは、1つ以上の制約を使用して事象を定義することができ、これらの制約が次に使用済みモジュールB'になり得て、将来の発生その事象を決定または予測する。事象を識別するとき、アプリケーションは、事象が発生したときに窓に適用されることになる色合いレベルまたは他の色合い調整を、ユーザーが選択することを可能にし得る。例えば、ユーザーは、色合い状態を色合い状態4に調整すること、または色合いが単に1つの色合い状態ずつ増分的に暗くされることを選択することができる。例示的な一例として、ユーザーが、4月1日の午前9時5分と午前9時20分との間に近くの建物に反射される望ましくないグレアを観察することがある。窓を制御するためのアプリケーション内で、ユーザーは次に、新しい事象を定義するために使用される特徴を選択することができる。ある場合、ユーザーは、事象が4月1日の午前9時5分と午前9時20分との間に起こったこと、および同様な採光条件下では暗い色合いを適用すべきことをただ示すだけでもよい。この情報を入力すると、アプリケーションは、太陽計算機を使用して、事象が、ユーザーによって示された期間に対応する特定の範囲の太陽高度および/または方位の制約に分類されることを示唆することができる。場合によっては、アプリケーションはまた、事象が観察された時間に対応する他の制約を特定し、ユーザーが、その事象を定義するための追加の制約を選択または提供することを示唆する。例えば、アプリケーションは、観察された事象が発生したときの特定のユーザー、気象条件、または屋内温度条件を識別し、事象を定義するために何らかの制約が必要な場合に、どれであるかをユーザーに尋ねることができる。
場合によっては、窓ネットワークを制御または設計するためのアプリケーションは、事象を定義する制約を識別するために、3次元建築モデルを使用することができる。例えば、3次元建築モデルを使用して、特定の反射または遮蔽事象に関連付けられることになる太陽高度および/または方位値の範囲を自動的に提供するように、アプリケーションを構成することができる。場合によっては、遮蔽または反射を引き起こす可能性のある物体を、建物モデルに簡単に追加することができる。図40は、建物モデルの選択された窓4020でグレアをもたらす、太陽の高度および/または方位値の範囲を提供する3次元建物モデル4010を使用することができるアプリケーションのためのグラフィカルユーザーインターフェースを示す。ユーザーは、建物モデル4010に隣接する駐車場オブジェクト4030を容易に作成することができるであろう。場合によっては、オブジェクトは、オブジェクトのライブラリから建物モデルファイルにインポートされ得る。場合によっては、駐車場オブジェクトは、例えば、フロントガラスが光を反射する角度の共通的な範囲を含む反射情報を含んでもよい。建物モデルからの寸法情報および駐車場オブジェクト4030に関連付けられた反射情報を使用して、アプリケーションを、事象が定義され得る建物モデル上の選択された窓4020に対する制約4022を出力するように構成することができる。3次元建築モデルを使用して、光学的に切り替え可能な窓を制御および設計するためのアプリケーションの追加の例が、2017年11月20日に出願された「AUTOMATED COMMISSIONING OF CONTROLLERS IN A WINDOW NETWORK」と題するPCT特許出願第PCT/US17/62634号に提供されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
いくつかの実装例では、太陽が所与の日付/時刻に高度および方位の制約を満たすとき、時間ベースのスケジュールが、ある範囲の照射で設定される。したがって、上述のモジュールBのいくつかの実装例と併せて使用される場合、高度および方位が満たされると、1000ワット/m2などの照射値がデータベースによって返される。次いで、この照射がモジュールBによって使用されて、対応する色合い状態が決定される。したがって、図41の例では、色合い状態の列9016は、照射値が所望の色合い状態に対応する、日付/時刻ならびに高度および方位値の許容範囲に関連付けて格納された照射値の列と置き換えることができる。照射値を得るために、第1の検索が、この修正されたスケジュールを格納したデータベースで実行され、次いで、窓に適用される特定の色合いレベルを得るために、第2の検索が、照射値または値の範囲に対応する色合い状態を格納したテーブルで実行される。
モジュールB'のいくつかの実装例では、事象が発生したとして識別されたとき、またはそのような事象の組合せが発生したとき、事象ベースのモデルは、その事象(複数可)に対応する指定された色合い状態を窓に適用することによって事象(複数可)を補償するように構成される。例えば、時間ベースのスケジュールは、特定の基準が、太陽の位置に関連付けられた特定の制約を満たす場合、スケジュールで識別されたユーザー指定の色合い状態が窓に適用されるべきことを指定することができる。場合によっては、スケジュールは、例えば、ルールの特定の条件が満たされたときなど、所与の事象に適切と思われる色合いレベルを指定するために維持され得るデータベースまたはテーブルの形態であってもよい。
図41は、いくつかの実施形態による、色合いレベルを窓に適用させることになる事象が発生したかどうかを判定するための太陽の高度および方位の制約を提供する時間ベースのスケジュール9000を表すテーブルである。図41では、所与の日付および時刻に窓に適用されるべき特定の色合いレベルをトリガするために、所望の範囲の太陽の高度および方位の値が決定されている。スケジュール9000は、列9004に示されるように、行が、所与の暦年の1月1日に始まり、12月31日まで続く、6分の増分で定義された年間モデルである。各行について、太陽高度値の許容範囲が制約列9008で特定され、太陽方位値の許容範囲が、同様に制約列9012で特定される。検出された太陽高度および太陽方位が列9008および9012の制約内にあるときに窓に適用されるべき対応する色合い状態が、列9016で特定される。図41の例では、各行は、所与の日付および時刻における現在の太陽の高度および/または方位に適用されるべきルールを表す。
例として、図41では、列9004の行18で識別された日付および時刻において、80度の最小方位および280度の最大方位が、列9012の方位の制約を画定する。同様に、6度の最小高度および32度の最大高度が、列9008の高度の制約を画定する。したがって、検出された太陽方位が80〜280の範囲内にあり、検出された太陽高度が6〜32の範囲内にあるとき、列9016で識別されるような色味レベル3が、窓を色合い調節するために返される。太陽の現在の高度および方位は、上述のように計算機を使用して検出することができ、あるいはそうでなければ、監視することができる。いくつかの実装例では、現在の高度および方位値は、図41の列9004のすぐ右の2つの列に示されるように記録される。スケジュール9000の行18に戻ると、2016年1月1日の時刻1時36分において、検出された太陽高度は6〜32度内になく、監視された太陽方位は80〜280度内にないので、これらの制約に関連付けられた事象は発生しておらず、列9016から色合いレベルは返されない。
図41の時間ベースのスケジュール9000は、暦年の各日の太陽の高度および方位の範囲に対する所望の色合いレベルを、6分間隔または列9004に指定される何らかの他の間隔で、決定および記録することによって作成される。前述のように、様々な要因がこれらの決定に寄与し得、それらの要因は、遮断および反射の事象、選択されたユーザーの好み、気象情報、および窓ネットワークを介して提供されるセンサー情報を含むが、これらに限定されない。
いくつかの他の実装例では、上述のように、時間ベースのスケジュールは、特定の日付/時刻に対応する、色合い状態ではなく、照射値の列を有している。そのような実装例では、現在の日付/時刻を使用して検索が実行されると、1000ワット/m2などの照射値が返される。次いで、返された照射値に対する色合い状態を決定するための方法が実行され得る。したがって、いくつかの実施形態では、テーブルまたはデータベースを使用して、特定の事象の事象を識別するために使用されるルールの枠組みを使用してスケジュールを実施することができる。例えば、平日の午後3時00分において、テーブルの行内に提供されたユーザーの好みによって、窓の色合い状態が、例えば1〜5のスケール上の色合いレベル4であるべきことを命令することができる。この例では、平日の午後3時00分に発生するのは、モジュールB'の事象ベースのモデルを駆動する事象である。
モジュールBの晴天モデルがモジュールB'の事象ベースのモデルとともに使用されるいくつかの実装例では、予測された太陽束が、特定の日付および時刻の環境または他の事象駆動型情報を考慮することによって、オーバーライドされ得る。したがって、いくつかの実装例では、所与の日付および時刻についてRadianceによって計算された太陽束の値が、例えば、上述のように指定された制約を有する事象ベースのルールが満たされるときなど、その日付および時刻における識別可能な事象にリンクされた置換値によってオーバーライドされることがある。所与の日付/時刻に事象が識別されない場合、Radianceの値を使用することができる。いくつかの実装例では、太陽束の値の年次計算が行われた後に、太陽束の値を使用して色合いレベルが決定される。
いくつかの実装例では、モジュールB'は、1つ以上の制約が満たされているかどうかに応じて、複数の色合い状態レベルを出力として提供するように構成することができる。例示的な一例として、第1の制約または第2の制約のみが満たされる場合、モジュールはレベル2の色合い状態を出力し得るが、両方のうちの第1および第2の制約が満たされ、モジュールは、レベル3の色合い状態を出力するように構成され得る。場合によっては、モジュールB'は、「if」、「else」、または「while」ステートメント含む従来のプログラミングループを使用して、さまざまな制約を評価するように構成されてもよい。例えば、場合によっては、特定のユーザーが光学的に切り替え可能な窓を制御している間に第1の制約が満たされた場合にのみ、特定の色合いレベルが出力し得る。事象を定義する制約の実施がスケジューリングテーブルの形態で説明されてきたが、当業者は、制約がコンピュータ可読媒体内に格納、またはコンピュータ可読媒体内で評価され得る複数のフォーマットがあることを理解するであろう。
場合によっては、優先順位が特定の制約に、他のものに優先して与えられる重み付きスケールで、制約が評価されてもよい。場合によっては、入力値が、最終色合い状態を決定する際の重み係数として使用されてもよい。例示的な一例として、窓を通してグレアが見られる原因となる事象が、曇量指数に基づいて、それほど深刻ではないと見なされることがある。したがって、晴れた日には物事の状態がレベル1からレベル4に調整される得る一方、曇った日には、窓の色合いレベルは、色合い状態レベル3にのみ調整され得る。
モジュールB'の事象ベースのモデルの事象が反射および/または影に関連するいくつかの実装例では、予備処理ステージを、すなわち、モジュールA、B'、およびCのインテリジェンスロジックが実行される前に、実行することができる。非限定的な例では、建物の前/後ろ/横の駐車場に駐車されている車など、建物の外側に位置付けられた反射性の物体を考慮して、特定の色合いレベルが適用されるべき太陽の高度および方位の範囲を決定することができる。場合によっては、太陽高度の制約および太陽方位の制約であって、太陽が車に反射する可能性のある識別可能な値の範囲を提供する、制約を、実験データを通じて導き出すことができる。場合によっては、実験データは、窓ネットワークを設計および/または制御するために使用され得る3次元建築モデルに関連付けられた物体内に保存することができる。いくつかの実施形態では、太陽計算機を使用して、(図41に示されるような)年間スケジュールを、コンピュータ可読媒体に格納され、インテリジェンスロジックが実行されたときにアクセスされるように生成することができる。スケジュールについてデータベースの検索を実行して、窓の色合い調整を引き起こすためのルールの条件が満たされているかどうかを判断することができる。この目的で、スケジュールに日付および時刻のインデックスを付けることができる。したがって、例えば、太陽が、指定された高度および方位値の範囲内にある12月15日の午後2時5分において、スケジュールは、所与の窓に色合いレベル2を適用するよう命令することができる。いくつかの実装例では、太陽が高度および方位の制約を満たすときに所与の日付/時刻に適用される特定の色合い状態は、実験を通じてユーザーによって決定され得る。いくつかの他の実装例では、色合い状態は自動的に識別または導出される。
図42は、いくつかの実施形態による、モジュールB'の詳細を示すフローチャートである。図42では、処理は9104で開始する。図41のスケジュール9000のようなデータベーステーブルにインデックスを付けるための基準は、図42の9108で検索されるか、そうでなければ受け取られる。例えば、現在の日付および時刻は、タイマー、システムクロック、または他の一般に利用可能なコンピューティング資源によって提供され得る。現在の日付、時刻、または色合いレベルのいずれも、図41のスケジュール9000、または同様の情報を格納する他のデータベーステーブルにインデックスを付けるための基準として機能し得る。例えば、図42の9112において、現在の日付および時刻が2つの基準であり、それらを使用してスケジュール9000の列9004にインデックスを付けることによって、データベースの検索を実行することができる。現在の日付および時刻がスケジュール9000の行18のものと一致するとき、例として、図42の9116において、行18に対する列9008内に識別された高度の制約を得ることができ、同様に列9012の方位の制約を得ることができる。
したがって、図42の9120で、現在の太陽の高度および方位が、図41のスケジュール9000の列9008および9012の制約内にあるかどうかを判断することができる。現在の太陽高度および太陽方位は、上述のように、太陽位置計算機を使用して計算することができる。当業者は、いくつかの実装例では、列9016で識別される色合い状態を出力する前に、高度および方位の両方の制約が満たされなければならないことを理解されたい。いくつかの他の実装例では、太陽高度の制約または太陽方位の制約のいずれかが満たされると、列9016の対応する色合い状態が出力されることになる。
図42の9120で1つ以上の制約が満たされると、9124において、列9016で識別された対応する色合い状態が、窓に適用されるべき出力として返された後に、9128で任意の追加の処理が続けられる。9120に戻って、1つ以上の制約が満たされないとき、色合い状態が返されない、または「エラー」状態が返された後に、9128に示されるように、追加の処理が続けられる。
上記のような技術は、コンピュータソフトウェアをモジュール式または統合方式で使用する制御ロジックの形態で実施することが可能であることを理解されたい。本明細書で提供される開示および教示に基づいて、当業者は、ハードウェア、およびハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用して開示された技術を実施するための他の手段および/または方法を知り、理解するであろう。
本出願に記載されるソフトウェアコンポーネントまたは機能のうちのいずれも、例えば、従来のもしくはオブジェクト指向の技術を使用する、例えば、Java(登録商標)、C++、またはPythonなどの任意の好適なコンピュータ言語を使用して、プロセッサによって実行されるソフトウェアコードとして実装され得る。ソフトウェアコードは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)などのコンピュータ可読媒体、ハードドライブまたフロッピーディスクなどの磁気媒体、もしくはCD−ROMなどの光媒体上に、一連の命令またはコマンドとして格納されてもよい。任意のそのようなコンピュータ可読媒体は、単一の計算装置上または中に存在してもよく、システムまたはネットワーク内の異なる計算装置上または中に存在してもよい。
前述の開示された実施形態は、理解を容易にするためにある程度詳細に記載されているが、記載された実施形態は例示的であり、限定的ではないと考えられるべきである。特定の変更および修正が、添付の特許請求の範囲内で実施され得ることが、当業者には明らかであろう。
窓または建物の内部を通って受けられる採光を制御するための前述の開示された実施形態は、エレクトロクロミック窓のような光学的に切り替え可能な窓との関連で記載されてきたが、当業者は、本明細書に記載の方法が、窓用日よけ、窓用カーテン、窓用ブラインド、または光が建物の内部空間に達するのを制限または遮断するように調整され得る他のデバイスの位置を調整するための適切なコントローラ上でどのように実施され得るかを理解できる。場合によっては、本明細書に記載の方法を使用して、1つ以上の光学的に切り替え可能な窓の色合い、および窓用日よけ装置の位置の両方を制御することができる。全てのそのような組み合わせが本開示の範囲内に入ることを意図している。
本開示の範囲から逸脱することなく、任意の実施形態からの1つ以上の特徴を任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせることができる。さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の実施形態に対して修正、追加、または省略を行うことができる。任意の実施形態の構成要素は、本開示の範囲から逸脱することなく、特定の必要性に従って統合または分離することができる。