JPH0140360Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案はサイレントチエーンに関し、更に詳細
には、動作開始初期における弾性変形能を従来の
サイレントチエーンのそれより大きくすることに
より振動を吸収し易くし、騒音の軽減を図つたサ
イレントチエーンに関する。

(ロ) 従来技術 通常サイレントチエーンは、第５図に示される
ように、スプロケツトの歯とかみ合う一対の歯ｂ
およびその歯と対応する位置に一対の穴ｃが形成
されたリンクプレートａを横方向に複数並べると
ともに穴ｃ内に挿通される連結ピンｄにより長手
方向に無端状に連結し、横列の両端（又は中央）
には一列間隔で駆動歯を有しないガイド・リンク
プレートｅを配設して構成されている。そして連
結ピンｄはガイド・リンクプレートｅに固定され
そのガイド・リンクプレートｅおよびそれと同じ
横列のリンクプレートに関して相対回転できない
ようになつている。このようなサイレントチエー
ンに第６図に示されるように張力Ｆが作用する
と、連結ピンｄとガイド・リンクプレートｅのな
い横列のリンクプレートとは、二つの穴ｃの中心
を通る線Ｏ−Ｏと穴の内周とが交わる位置であつ
てリンクプレートの端部側の位置ｈで接触してい
る。このためサイレントチエーンの弾性変形能は
ガイド・リンクプレート、リンクプレート、連結
ピンの形状、材質、チエーンのサイズにより一義
的に決定され、弾性伸び曲線は第７図に示される
ようにほぼ直線となる。

また、サイレントチエーンの摩耗は、主として
張力Ｆが加わつたサイレントチエーンがスプロケ
ツトに巻き付くときに連結ピンｄとリンクプレー
トａとが位置ｈ近傍で滑り接触することにより発
生するものであるが、リンクプレートは小角度の
範囲において連結ピンに対して回動するだけなの
で高速運転領域でリンクプレートと連結ピンとの
焼付きを起し易い問題がある。

このような問題を解決する方法として、第８図
に示されるように穴の中に互いにころがり接触す
る円弧状断面のピンｉとロツカｊとを挿入してリ
ンクプレートａを長手方向に連結し、ロツカｊを
ガイド・リンクプレートｋに固定した構造のもの
もあるが、この構造では同じ穴断面積に対してピ
ン或はロツカの強度が低下して破断強度が低下
し、またコスト高になる問題がある。

(ハ) 考案が解決しようとする問題点 本考案が解決しようとする問題は、連結ピンの
断面形状を改良することにより破断強度を低下さ
せることなく耐摩耗性を向上するとともに動作開
始初期におけるサイレントチエーンの弾性変形能
を大くして騒音を軽減することである。

(ニ) 問題点を解決するための手段 上記問題を解決するため、本考案は、スプロケ
ツトの歯と係合する一対の駆動歯および一対の穴
が形成された複数のリンクプレートを該穴内に挿
入した連結部材により互いに連結してなるサイレ
ントチエーンにおいて、該穴の形状を円形とし、
該連結部材を該連結された複数のリンクプレート
のうち一つ置きのリンクプレートに関して相対回
転不能とし、該連結部材の外周のうち該相対回転
不能となつているリンクプレートの中央に向く部
分を部分的に切り欠いて、該連結部材が該連結部
材に関して相対回転可能なリンクプレートと該切
り欠いた部分の両側の二箇所で接触するように構
成されている。

(ホ) 作用 上記構成において、サイレントチエーンに張力
が加えられると、連結部材はその連結部材に相対
回転可能になつているリンクプレートと、切り欠
いた部分の両側の二箇所で接触するため接触位置
の負担荷重が分担されてリンクプレートおよび連
結部材の摩耗が減少する。

(ヘ) 実施例 以下図面を参照して本考案の実施例について説
明する。

第１図において本実施例のサイレントチエーン
１の一部が示されている。同図において２は一対
の駆動歯３およびその駆動歯３に対応した位置の
一対の穴４が形成されたリンクプレート、１０は
穴４内に挿通されていてリンクプレート２を長手
方向に互いに連結する連結部材すなわち連結ピ
ン、６はガイド・リンクプレートである。

リンクプレート２は第５図の従来のサイレント
チエーンと同様に複数枚横方向に並べられるとと
もに連結ピン１０により長手方向に連結され、ガ
イド・リンクプレート６はリンクプレート２横列
の両側でしかも横一列置きに配置されている。リ
ンクプレート２の穴４は平面形状が円形になつて
いる。

連結ピン１０は、円筒状の外周の一部を全長に
わたつて平面１１で切り欠かれている。ガイド・
リンクプレート６には連結ピンの平面１１と接す
る平面８および円弧状面９で限定される穴７が形
成されている。平面８は二つの穴７の中心を通る
線Ｘ−Ｘにほぼ直角でしかもガイド・リンクプレ
ートの中央Ｙ−Ｙ側になるように位置決めされて
いる。したがつて多数のリンクプレート２を第５
図Ａに示されるように連結ピン１０で連結すると
ともにガイド・リンクプレート６を連結ピン１０
の両端に締り嵌めすると、連結ピン１０の平面１
１とガイド・リンクプレートの穴７の平面８の作
用により、連結ピン１０はガイド・リンクプレー
ト６に関して相対的に回動不能になる。また、こ
れによりガイド・リンクプレートと同じ横列のリ
ンクプレート２に対しても連結ピン１０は相対的
に回動不能となる。すなわちガイド・リンクプレ
ート６とそのガイド・リンクプレートと同じ横列
のリンクプレート２とはそれらの穴７又は４に通
される一対の連結ピン１０により一体的に連結さ
れる。

これに対し、ガイド・リンクプレート６のある
横列に隣接する横列（ガイド・リンクプレートが
配置されていない）のリンクプレート２は連結ピ
ン１０に関して相対的に回動可能になつている。
そしてサイレントチエーンに長手方向の張力が加
えられたとき、連結ピン１０は平面１１の両側の
二箇所１３，１４においてリンクプレート２の穴
４の内面と接し、これらの接触面で動力の伝達を
行なう。

穴４（又は連結ピン１０）の中心と接触箇所１
３，１４とを結ぶ二つの線の成す角αは、一枚の
リンクプレートが負担する張力Ｆとその接触箇所
に作用する力F₁，F₂との釣合から120゜以下が良
い。

上記構成のサイレントチエーンにおいて、サイ
レントチエーンが動作し始めて張力Ｆ（リンクプ
レート１枚当について考える）が作用すると、連
結ピン１０は二箇所１３，１４でガイド・リンク
プレート６のない横列のリンクプレート２と接触
し、張力が互いに向きの違う力F₁，F₂に分けら
れ、各力F₁又はF₂は角αが小さい場合には張力
Ｆより小さくなる。しかも二箇所１３と１４の間
の陥隙１５には潤滑油が流入し接触位置１３，１
４への潤滑が容易に行なわれる。そしてサイレン
トチエーンがスプロケツト（図示せず）に巻き付
くときガイド・リンクプレートのない横列のリン
クプレート２は二箇所１３，１４で連結ピン１０
と接触しながら連結ピンの回りで回動する。

また、リンクプレート２に作用する力F₁，F₂
はリンクプレートを押し広げる方向に働いている
ため、リンクプレートが初期的にばねとして作用
し、チエーンの弾性伸びが第４図に示されるよう
に大きくなり、これによりチエーンが加振された
場合振動を吸収し易くなり、サイレントチエーン
の騒音を軽減できる。

なお、連結ピンの切欠き部を形成する方法とし
ては前記実施例のように平面にせずに、第２図に
示されるように円弧面１１ａとしてもよい。この
実施例の他の部分の構造、作用は前記実施例と同
じであるから詳細な説明は省略する。

(ト) 効果 本考案のサイレントチエーンでは次のような効
果を奏することができる。

リンクプレートと連結ピンとの接触位置での
荷重をリンクプレートの負担張力よりも小さく
できるのでリンクプレートの耐摩耗性を向上で
きる。

リンクプレートと連結ピンとの間の潤滑を円
滑にできるので前記の効果に加えて耐摩耗性
を相乗的に向上できる。

サイレントチエーンの動作開始初期の弾性変
形能を大きくでき騒音を軽減できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるサイレントチエーンの一
実施例の一部分の断面図、第２図は本考案による
サイレントチエーンの変形例を示す図、第３図は
連結ピンの斜視図、第４図は第１の実施例のサイ
レントチエーンの荷重対伸びの関係を示す図、第
５図は従来のサイレントチエーンの一部を示す
図、第６図は従来のサイレントチエーンの一部の
拡大部分断面図、第７図は従来のサイレントチエ
ーンの荷重対伸びを示す図、第８図は従来の他の
サイレントチエーンを示す図である。 １：サイレントチエーン、２：リンクプレー
ト、３：駆動歯、４：穴、１０：連結部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スプロケツトの歯と係合する一対の駆動歯およ
   び一対の穴が形成された複数のリンクプレートを
   該穴内に挿入した連結部材により互いに連結して
   なるサイレントチエーンにおいて、該穴の形状を
   円形とし、該連結部材を該連結された複数のリン
   クプレートのうち一つ置きのリンクプレートに関
   して相対回転不能とし、該連結部材の外周のうち
   該相対回転不能となつているリンクプレートの中
   央に向く部分を部分的に切り欠いて、該連結部材
   が該連結部材に関して相対回転可能なリンクプレ
   ートと該切り欠いた部分の両側の二箇所で接触す
   るように構成したことを特徴とするサイレントチ
   エーン。