JPH09286109A - インクジェットプリンタ - Google Patents
インクジェットプリンタInfo
- Publication number
- JPH09286109A JPH09286109A JP10093296A JP10093296A JPH09286109A JP H09286109 A JPH09286109 A JP H09286109A JP 10093296 A JP10093296 A JP 10093296A JP 10093296 A JP10093296 A JP 10093296A JP H09286109 A JPH09286109 A JP H09286109A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrode
- ink
- control
- voltage
- conductive ink
- Prior art date
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- Pending
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- Ink Jet (AREA)
- Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 対向電極間の導電性インクに流れる通電電流
の変化を充分に抑制することにより沸騰開始時間の変化
を充分に抑制することが可能なインクジェットプリンタ
を提供することを目的とする。 【解決手段】 複数の対向電極5a、5bと、対向電極
5a、5bを介して導電性インク1に交流電圧を通電し
て沸騰気泡12を発生させるインク沸騰室2と、対向電
極5a、5bに対応し、沸騰気泡12により導電性イン
ク1を吐出するインク吐出孔3と、対向電極5a、5b
にパルス電圧を通電する電極駆動装置10と、電極駆動
装置10の共通アースに対する導電性インク1の電位を
制御する電位制御手段15、15aとを有することによ
り、対向電極間の導電性インクに流れる通電電流の変化
を充分に抑制することにより沸騰開始時間の変化を充分
に抑制することが可能なインクジェットプリンタが得ら
れる。
の変化を充分に抑制することにより沸騰開始時間の変化
を充分に抑制することが可能なインクジェットプリンタ
を提供することを目的とする。 【解決手段】 複数の対向電極5a、5bと、対向電極
5a、5bを介して導電性インク1に交流電圧を通電し
て沸騰気泡12を発生させるインク沸騰室2と、対向電
極5a、5bに対応し、沸騰気泡12により導電性イン
ク1を吐出するインク吐出孔3と、対向電極5a、5b
にパルス電圧を通電する電極駆動装置10と、電極駆動
装置10の共通アースに対する導電性インク1の電位を
制御する電位制御手段15、15aとを有することによ
り、対向電極間の導電性インクに流れる通電電流の変化
を充分に抑制することにより沸騰開始時間の変化を充分
に抑制することが可能なインクジェットプリンタが得ら
れる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性インクに交
流電流を通電し、その通電電流により導電性インクを沸
騰させ、そのときに生じる気泡の圧力によりノズルから
導電性インクを吐出させる通電インクジェット方式のイ
ンクジェットプリンタに関する。
流電流を通電し、その通電電流により導電性インクを沸
騰させ、そのときに生じる気泡の圧力によりノズルから
導電性インクを吐出させる通電インクジェット方式のイ
ンクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インクジェットプリンタは、記録
時に静粛であり、高速記録が可能で、カラー化が容易で
あるといった点から、家庭用やオフィス用のコンピュー
タの出力プリンタとして広く利用されるようになってき
た。このようなインクジェットプリンタはインクを小滴
化して飛翔させ、記録紙に付着させて記録を行うもの
で、小滴の発生法や飛翔方向の制御法によって、コンテ
ィニアス方式とオンデマンド方式とに大別される。コン
ティニアス方式は、静電吸引により連続的に発生させた
インクの小滴を記録信号に応じて選択的に記録紙上に付
着させるもので、この方式においては高品質の印字が得
られるのであるが、小滴の発生に高電圧を必要とし、マ
ルチノズル化が困難であるなどの欠点を有する。
時に静粛であり、高速記録が可能で、カラー化が容易で
あるといった点から、家庭用やオフィス用のコンピュー
タの出力プリンタとして広く利用されるようになってき
た。このようなインクジェットプリンタはインクを小滴
化して飛翔させ、記録紙に付着させて記録を行うもの
で、小滴の発生法や飛翔方向の制御法によって、コンテ
ィニアス方式とオンデマンド方式とに大別される。コン
ティニアス方式は、静電吸引により連続的に発生させた
インクの小滴を記録信号に応じて選択的に記録紙上に付
着させるもので、この方式においては高品質の印字が得
られるのであるが、小滴の発生に高電圧を必要とし、マ
ルチノズル化が困難であるなどの欠点を有する。
【0003】オンデマンド方式は、小滴を吐出するノズ
ル孔を有する記録ヘッドに付設されているピエゾ振動素
子や発熱低抗体等に電気記録信号を印加し、機械的振動
や気泡の発生等によりノズル孔より小滴を吐出させて記
録紙に付着させることで記録を行うものである。このオ
ンデマンド方式では、インクをノズル孔より吐出して記
録を行うため、シンプルな構成が可能であり、マルチノ
ズル化が行われているが、印字ドットの大きさを可変と
することが困難なため、印字品質の向上には限界がある
と推定される。このようなオンデマンド方式の一つとし
て、導電性インクに交流電流を通電し、その通電電流に
より導電性インクを沸騰させ、その時に生じる気泡の圧
力によりノズルから導電性インクを吐出する通電インク
ジェット方式が提案されている。この通電インクジェッ
ト方式によれば、導電性インクの通電電流値を変えるこ
とにより印字ドットの大きさを変えることが可能である
ため、印字階調が豊富になり、高品質の印字が得られ
る。
ル孔を有する記録ヘッドに付設されているピエゾ振動素
子や発熱低抗体等に電気記録信号を印加し、機械的振動
や気泡の発生等によりノズル孔より小滴を吐出させて記
録紙に付着させることで記録を行うものである。このオ
ンデマンド方式では、インクをノズル孔より吐出して記
録を行うため、シンプルな構成が可能であり、マルチノ
ズル化が行われているが、印字ドットの大きさを可変と
することが困難なため、印字品質の向上には限界がある
と推定される。このようなオンデマンド方式の一つとし
て、導電性インクに交流電流を通電し、その通電電流に
より導電性インクを沸騰させ、その時に生じる気泡の圧
力によりノズルから導電性インクを吐出する通電インク
ジェット方式が提案されている。この通電インクジェッ
ト方式によれば、導電性インクの通電電流値を変えるこ
とにより印字ドットの大きさを変えることが可能である
ため、印字階調が豊富になり、高品質の印字が得られ
る。
【0004】以下、通電インクジェット方式について説
明する。図11は、通電インクジェット方式のインクジ
ェットプリンタのインク吐出装置を示す断面図である。
図11において、導電性インク1は交流電流の通電によ
り沸騰し、インク沸騰室2は導電性インク1で満たされ
ており、ノズル孔(インク吐出孔)3は導電性インク1
を吐出し、ノズルプレート4は複数のノズル孔3を有
し、ノズル孔3に対応する一対の対向電極5a、5bは
インク沸騰室2内に導電性インク1に接するように配置
され、インクタンク6は導電性インク1を収容し、ガラ
ス基板7は複数の対向電極5a、5bを載置し、共通イ
ンク室8は複数のインク沸騰室2に導電性インクを供給
し、インク流路9はインクタンク6から共通インク室8
へ導電性インクを供給し、電極駆動装置10は対向電極
5a、5bに電圧を印加し、電極駆動装置10内のドラ
イバ10a、10bは対向電極5a、5bを駆動するも
のであり、導体部11は電極駆動装置10と対向電極5
a、5bとを接続し、沸騰気泡12は交流電流を導電性
インク1に通電することによりインク沸騰室2内に発生
し、インク滴13は沸騰気泡12の発生に伴いノズル孔
3から吐出され、記録媒体14は導電性インク1の付着
により印字ドットが形成される。
明する。図11は、通電インクジェット方式のインクジ
ェットプリンタのインク吐出装置を示す断面図である。
図11において、導電性インク1は交流電流の通電によ
り沸騰し、インク沸騰室2は導電性インク1で満たされ
ており、ノズル孔(インク吐出孔)3は導電性インク1
を吐出し、ノズルプレート4は複数のノズル孔3を有
し、ノズル孔3に対応する一対の対向電極5a、5bは
インク沸騰室2内に導電性インク1に接するように配置
され、インクタンク6は導電性インク1を収容し、ガラ
ス基板7は複数の対向電極5a、5bを載置し、共通イ
ンク室8は複数のインク沸騰室2に導電性インクを供給
し、インク流路9はインクタンク6から共通インク室8
へ導電性インクを供給し、電極駆動装置10は対向電極
5a、5bに電圧を印加し、電極駆動装置10内のドラ
イバ10a、10bは対向電極5a、5bを駆動するも
のであり、導体部11は電極駆動装置10と対向電極5
a、5bとを接続し、沸騰気泡12は交流電流を導電性
インク1に通電することによりインク沸騰室2内に発生
し、インク滴13は沸騰気泡12の発生に伴いノズル孔
3から吐出され、記録媒体14は導電性インク1の付着
により印字ドットが形成される。
【0005】図12は、通電インクジェット方式のイン
クジェットプリンタのインク吐出装置を示す部分破断図
である。図12において、導電性インク27は図11の
導電性インク1に対応し、ノズル孔28はノズル孔3に
対応し、ノズルプレート29はノズルプレート4に対応
し、対向電極30a、30bは対向電極5a、5bに対
応し、インク沸騰室31はインク沸騰室2に対応し、共
通インク室32は共通インク室8に対応し、ガラス基板
33はガラス基板7に対応し、インク滴34はインク滴
13に対応する。対向電極30a、30bは各々のイン
ク沸騰室31内に充填された導電性インク27に接して
おり、この導電性インク27は共通インク室32から連
続的に供給される構造となっている。ここで各ノズル孔
3は一枚のノズルプレート29に形成され、このノズル
プレート29は、対向電極30a、30bが形成された
ガラス基板33への接着によって一体化されている。こ
のような構成において、一対の対向電極30a、30b
に数十ミリ秒の期間で交流電圧を印加すると、導電性イ
ンク27に電流が流れ、そのジュール熱で対向電極30
a、30bの先端間の導電性インク27が沸騰し、沸騰
気泡が発生する。この沸騰気泡の圧力によってノズル孔
28から導電性インク27のインク滴34が吐出され、
記録媒体14(図11)に印字ドットが形成される。ガ
ラス基板33上には、複数のインク滴を吐出することが
可能となるように、対向電極30a、30b、ノズル孔
28、インク沸騰室31が複数設けられ、電極駆動装置
10(図11)により複数のノズル孔28から選択的に
インク滴34が吐出され、記録媒体14に所望の文字が
形成されるようになっている。
クジェットプリンタのインク吐出装置を示す部分破断図
である。図12において、導電性インク27は図11の
導電性インク1に対応し、ノズル孔28はノズル孔3に
対応し、ノズルプレート29はノズルプレート4に対応
し、対向電極30a、30bは対向電極5a、5bに対
応し、インク沸騰室31はインク沸騰室2に対応し、共
通インク室32は共通インク室8に対応し、ガラス基板
33はガラス基板7に対応し、インク滴34はインク滴
13に対応する。対向電極30a、30bは各々のイン
ク沸騰室31内に充填された導電性インク27に接して
おり、この導電性インク27は共通インク室32から連
続的に供給される構造となっている。ここで各ノズル孔
3は一枚のノズルプレート29に形成され、このノズル
プレート29は、対向電極30a、30bが形成された
ガラス基板33への接着によって一体化されている。こ
のような構成において、一対の対向電極30a、30b
に数十ミリ秒の期間で交流電圧を印加すると、導電性イ
ンク27に電流が流れ、そのジュール熱で対向電極30
a、30bの先端間の導電性インク27が沸騰し、沸騰
気泡が発生する。この沸騰気泡の圧力によってノズル孔
28から導電性インク27のインク滴34が吐出され、
記録媒体14(図11)に印字ドットが形成される。ガ
ラス基板33上には、複数のインク滴を吐出することが
可能となるように、対向電極30a、30b、ノズル孔
28、インク沸騰室31が複数設けられ、電極駆動装置
10(図11)により複数のノズル孔28から選択的に
インク滴34が吐出され、記録媒体14に所望の文字が
形成されるようになっている。
【0006】次に、通電インクジェット方式において、
インク滴を吐出させる際の駆動信号について説明する。
図11のように構成されたインク吐出装置において、ノ
ズル孔3からインクを吐出させる時の動作を図10
(a)〜(e)を用いて説明する。図10(a)はドラ
イバ10aの制御端子に印加される駆動許可信号Hza
を示すタイミング図、図10(b)はドライバ10bの
制御端子に印加される駆動許可信号Hzbを示すタイミ
ング図、図10(c)はドライバ10aに入力されるパ
ルス信号PLSaを示すタイミング図、図10(d)は
ドライバ10bに入力されるパルス信号PLSbを示す
タイミング図、図10(e)は対向電極5a、5b間を
流れる交流電流Iabを示すタイミング図である。電極
駆動装置10はドライバ10a、10bに対して、図1
0(a)、(b)に示すように駆動許可信号Hza、H
zbを「L」レベルから「H」レベルにすると共に、位
相のみ180度ずれたパルス信号PLSa、PLSbを
入力する。これにより、パルス信号PLSaが「H」レ
ベル、PLSbが「L」レベルの期間では、電極駆動装
置10の共通アースに対してドライバ10aの出力電圧
は25ボルト、ドライバ10bの出力電圧は0ボルトと
なり、対向電極5aから対向電極5bに向かって導電性
インク1に交流電流Iabが流れる。また、パルス信号
PLSaが「L」レベル、PLSbが「H」レベルの期
間では、電極駆動装置10の共通アースに対してドライ
バ10aの出力電圧は0ボルト、ドライバ10bの出力
電圧は25ボルトとなり、前期間とは逆に対向電極5b
から対向電極5aに向かって導電性インク1に交流電流
Iabが流れる。この交流電流Iabは、図10(e)
に示すように、初期の電流値は低く、交流電流が連続的
に流れるに伴って導電性インク1の温度が上昇し、温度
上昇により導電性インク1の抵抗値は下がり、その通電
電流値は増加する。そして、ドライバ10a、10bに
より対向電極5a、5b間にパルス電圧を印加してか
ら、すなわち交流電流Iabが発生してから、T1−
(1)の時間が経過した時点で、対向電極5a、5b間
に沸騰気泡12が発生し、その沸騰気泡12によりノズ
ル孔3からインク滴13が吐出する。その後、交流電流
Iabは沸騰気泡12により電流路を遮断され、急激に
減少する。ここで、対向電極5a、5b間にパルス電圧
を印加してから沸騰開始までの時間を総称して沸騰開始
時間T1と呼び、1回目の沸騰開始時間をT1−
(1)、2回目の沸騰開始時間をT1−(2)、n回目
の沸騰開始時間をT1−(n)で表す。この沸騰開始時
間T1はインク滴の吐出量と結び付きが深い重要なパラ
メータである。ここで、図10のTdは、パルス電圧印
加直前に一対の対向電極5a、5bを初期化するために
電極駆動装置10の共通アースに対向電極5a、5bを
接続する時間を示している。
インク滴を吐出させる際の駆動信号について説明する。
図11のように構成されたインク吐出装置において、ノ
ズル孔3からインクを吐出させる時の動作を図10
(a)〜(e)を用いて説明する。図10(a)はドラ
イバ10aの制御端子に印加される駆動許可信号Hza
を示すタイミング図、図10(b)はドライバ10bの
制御端子に印加される駆動許可信号Hzbを示すタイミ
ング図、図10(c)はドライバ10aに入力されるパ
ルス信号PLSaを示すタイミング図、図10(d)は
ドライバ10bに入力されるパルス信号PLSbを示す
タイミング図、図10(e)は対向電極5a、5b間を
流れる交流電流Iabを示すタイミング図である。電極
駆動装置10はドライバ10a、10bに対して、図1
0(a)、(b)に示すように駆動許可信号Hza、H
zbを「L」レベルから「H」レベルにすると共に、位
相のみ180度ずれたパルス信号PLSa、PLSbを
入力する。これにより、パルス信号PLSaが「H」レ
ベル、PLSbが「L」レベルの期間では、電極駆動装
置10の共通アースに対してドライバ10aの出力電圧
は25ボルト、ドライバ10bの出力電圧は0ボルトと
なり、対向電極5aから対向電極5bに向かって導電性
インク1に交流電流Iabが流れる。また、パルス信号
PLSaが「L」レベル、PLSbが「H」レベルの期
間では、電極駆動装置10の共通アースに対してドライ
バ10aの出力電圧は0ボルト、ドライバ10bの出力
電圧は25ボルトとなり、前期間とは逆に対向電極5b
から対向電極5aに向かって導電性インク1に交流電流
Iabが流れる。この交流電流Iabは、図10(e)
に示すように、初期の電流値は低く、交流電流が連続的
に流れるに伴って導電性インク1の温度が上昇し、温度
上昇により導電性インク1の抵抗値は下がり、その通電
電流値は増加する。そして、ドライバ10a、10bに
より対向電極5a、5b間にパルス電圧を印加してか
ら、すなわち交流電流Iabが発生してから、T1−
(1)の時間が経過した時点で、対向電極5a、5b間
に沸騰気泡12が発生し、その沸騰気泡12によりノズ
ル孔3からインク滴13が吐出する。その後、交流電流
Iabは沸騰気泡12により電流路を遮断され、急激に
減少する。ここで、対向電極5a、5b間にパルス電圧
を印加してから沸騰開始までの時間を総称して沸騰開始
時間T1と呼び、1回目の沸騰開始時間をT1−
(1)、2回目の沸騰開始時間をT1−(2)、n回目
の沸騰開始時間をT1−(n)で表す。この沸騰開始時
間T1はインク滴の吐出量と結び付きが深い重要なパラ
メータである。ここで、図10のTdは、パルス電圧印
加直前に一対の対向電極5a、5bを初期化するために
電極駆動装置10の共通アースに対向電極5a、5bを
接続する時間を示している。
【0007】次に、導電性インク1に流れる電流につい
て図13を用いて説明する。図13(a)〜(e)は交
流電流Iabの値を算出するためのヘッド等価回路を示
す回路図であり、図13(a)は初期状態を示すヘッド
等価回路図、図13(b)はドライバ10aの出力電圧
が25ボルトでドライバ10bの出力電圧が0ボルトの
ときのヘッド等価回路図、図13(c)はドライバ10
aの出力電圧が0ボルトでドライバ10bの出力電圧が
25ボルトのときのヘッド等価回路図、図14(a)は
インク吐出後のヘッド等価回路図、図14(b)は図1
0の期間Tdにおけるヘッド等価回路図である。図13
(a)〜(c)、図14(a),(b)において、対向
電極5a、5bは図11と同様のものであり、導電性イ
ンク抵抗体22aは対向電極5a、5b間の導電性イン
ク1の等価抵抗Raの抵抗体を示し、導電性インクイン
ピーダンス体23aはインク沸騰室2から共通インク室
8を経由してインクタンク6までの導電性インク1の等
価抵抗Rb、Rcを示す抵抗体およびインクタンク6と
共通アースとの間の等価容量Ccを示す容量体を示す。
また、Ca、Cbは対向電極5a、5b間の酸化膜と導
電性インク1との界面に形成されている等価容量、D
a、Dbは対向電極5a、5bに形成される酸化膜と導
電性インク1との界面の整流作用を等価的に示すダイオ
ードである。ここで、電極材料としては例えばチタンを
用いている。図13(b)、(c)に示すように、ドラ
イバ10aまたは10bからの出力電圧が25ボルトの
とき、各対向電極5a、5bの等価容量Ca、Cbには
図13(b)、(c)の太線で示す電流Iabの電流経
路でドライバ10aまたは10bに接続されている電極
側に正電荷が帯電していく。そして、インク吐出後、駆
動許可信号Hza、Hzbを「H」レベルから「L」レ
ベルにし、各ドライバ出力を高抵抗状態(オープン状
態)にして一連の動作を終了するため、各対向電極5
a、5bの等価容量Ca、Cbには、ドライバ10a、
10bに接続されている電極側に正電荷が帯電したまま
となり、次に吐出する際、図13(a)に示す状態とは
異なった電位状態となって、導電性インク1の抵抗Ra
に印加される印加電圧は、等価容量Ca、Cbに発生す
る電圧Va、Vb分だけ小さくなる。よって、図10
(e)に示すように、2回目吐出時に要する沸騰気泡1
2発生までの時間T1−(2)は、1回目吐出時に要す
る時間T1−(1)以上の時間を要し、沸騰開始時間が
1回目と2回目とで異なることになる。このような沸騰
開始時間の変化はインク吐出を行う周期Tに依存し、周
期Tが異なれば沸騰開始時間T1は異なる値を示す。
て図13を用いて説明する。図13(a)〜(e)は交
流電流Iabの値を算出するためのヘッド等価回路を示
す回路図であり、図13(a)は初期状態を示すヘッド
等価回路図、図13(b)はドライバ10aの出力電圧
が25ボルトでドライバ10bの出力電圧が0ボルトの
ときのヘッド等価回路図、図13(c)はドライバ10
aの出力電圧が0ボルトでドライバ10bの出力電圧が
25ボルトのときのヘッド等価回路図、図14(a)は
インク吐出後のヘッド等価回路図、図14(b)は図1
0の期間Tdにおけるヘッド等価回路図である。図13
(a)〜(c)、図14(a),(b)において、対向
電極5a、5bは図11と同様のものであり、導電性イ
ンク抵抗体22aは対向電極5a、5b間の導電性イン
ク1の等価抵抗Raの抵抗体を示し、導電性インクイン
ピーダンス体23aはインク沸騰室2から共通インク室
8を経由してインクタンク6までの導電性インク1の等
価抵抗Rb、Rcを示す抵抗体およびインクタンク6と
共通アースとの間の等価容量Ccを示す容量体を示す。
また、Ca、Cbは対向電極5a、5b間の酸化膜と導
電性インク1との界面に形成されている等価容量、D
a、Dbは対向電極5a、5bに形成される酸化膜と導
電性インク1との界面の整流作用を等価的に示すダイオ
ードである。ここで、電極材料としては例えばチタンを
用いている。図13(b)、(c)に示すように、ドラ
イバ10aまたは10bからの出力電圧が25ボルトの
とき、各対向電極5a、5bの等価容量Ca、Cbには
図13(b)、(c)の太線で示す電流Iabの電流経
路でドライバ10aまたは10bに接続されている電極
側に正電荷が帯電していく。そして、インク吐出後、駆
動許可信号Hza、Hzbを「H」レベルから「L」レ
ベルにし、各ドライバ出力を高抵抗状態(オープン状
態)にして一連の動作を終了するため、各対向電極5
a、5bの等価容量Ca、Cbには、ドライバ10a、
10bに接続されている電極側に正電荷が帯電したまま
となり、次に吐出する際、図13(a)に示す状態とは
異なった電位状態となって、導電性インク1の抵抗Ra
に印加される印加電圧は、等価容量Ca、Cbに発生す
る電圧Va、Vb分だけ小さくなる。よって、図10
(e)に示すように、2回目吐出時に要する沸騰気泡1
2発生までの時間T1−(2)は、1回目吐出時に要す
る時間T1−(1)以上の時間を要し、沸騰開始時間が
1回目と2回目とで異なることになる。このような沸騰
開始時間の変化はインク吐出を行う周期Tに依存し、周
期Tが異なれば沸騰開始時間T1は異なる値を示す。
【0008】次に、沸騰開始時間T1とインク滴の吐出
量との関係について説明する。通電開始から沸騰開始ま
での間、対向電極5a、5b間の導電性インク1には対
向電極5a、5b間の電圧分布に応じた通電電流が流
れ、この通電電流によるジュール熱によって導電性イン
ク1は徐々に加熱され、インク温度が上昇する。そし
て、導電性インク1中の最高温度が沸騰開始温度に達す
ると気泡が発生し(以下、このような気泡を「沸騰気
泡」という)、沸騰気泡周辺の加熱された導電性インク
1の潜熱を吸収しながら急激に成長していく。成長した
沸騰気泡は、気泡周辺のインク温度の低下に伴い、ある
時点より収縮し始め、最後に消滅する。沸騰気泡の最大
気泡体積、最大気泡内圧力は沸騰開始時点の沸騰気泡周
辺のインク温度に強く依存し、沸騰開始時のインク沸騰
室2内の導電性インク1の温度が高いほど沸騰気泡の最
大気泡体積、最大気泡内圧力は大きくなり、インク滴の
吐出量も増加する。
量との関係について説明する。通電開始から沸騰開始ま
での間、対向電極5a、5b間の導電性インク1には対
向電極5a、5b間の電圧分布に応じた通電電流が流
れ、この通電電流によるジュール熱によって導電性イン
ク1は徐々に加熱され、インク温度が上昇する。そし
て、導電性インク1中の最高温度が沸騰開始温度に達す
ると気泡が発生し(以下、このような気泡を「沸騰気
泡」という)、沸騰気泡周辺の加熱された導電性インク
1の潜熱を吸収しながら急激に成長していく。成長した
沸騰気泡は、気泡周辺のインク温度の低下に伴い、ある
時点より収縮し始め、最後に消滅する。沸騰気泡の最大
気泡体積、最大気泡内圧力は沸騰開始時点の沸騰気泡周
辺のインク温度に強く依存し、沸騰開始時のインク沸騰
室2内の導電性インク1の温度が高いほど沸騰気泡の最
大気泡体積、最大気泡内圧力は大きくなり、インク滴の
吐出量も増加する。
【0009】対向電極5a、5b間の導電性インク1へ
の通電を開始してから沸騰開始までの間に導電性インク
1に投入されるエネルギーをE0とし、沸騰が開始した
時点でのインク沸騰室2内の導電性インク1の温度をT
0とした場合、投入エネルギーE0は、通電開始後の対
向電極5a、5b間の導電性インク1に流れる電流値I
(t)、対向電極5a、5b間で導電性インク1に印加
される印加電圧V(t)、沸騰開始時間T1によって次
の式(数1)で決まる。
の通電を開始してから沸騰開始までの間に導電性インク
1に投入されるエネルギーをE0とし、沸騰が開始した
時点でのインク沸騰室2内の導電性インク1の温度をT
0とした場合、投入エネルギーE0は、通電開始後の対
向電極5a、5b間の導電性インク1に流れる電流値I
(t)、対向電極5a、5b間で導電性インク1に印加
される印加電圧V(t)、沸騰開始時間T1によって次
の式(数1)で決まる。
【0010】
【数1】
【0011】ここでT1は対向電極5a、5b間のイン
ピーダンスRおよび対向電極5a、5b間で導電性イン
ク1に印加される印加電圧V(t)とによって決まる値
である。例えば駆動電圧一定の場合、対向電極5a、5
b間のインピーダンスRが大きければ、対向電極5a、
5b間の導電性インク1に流れる電流値が小さくなり、
導電性インク1が緩やかに加熱され、合わせて導電性イ
ンク1の熱拡散の影響でインク沸騰室2内のインク温度
は平均化されるため、導電性インク1中の最高温度が沸
騰開始温度に達するまでの時間T1は大きくなる。この
場合、沸騰開始までに投入されたエネルギーE0の多く
はインク沸騰室2内全体のインク温度を上昇することに
費やされ、結果としてインク滴の吐出量は増加する。逆
に、対向電極5a、5b間のインピーダンスRが小さけ
れば、対向電極5a、5b間の導電性インク1に流れる
電流値が大きくなり、導電性インク1はインクの熱拡散
の影響を殆ど受けない間に局部的に急激に加熱されるた
め、沸騰開始時間T1は小さくなり、かつ沸騰開始時の
インク沸騰室2内のインク温度は低くなるため、インク
滴の吐出量は小さくなる。このように沸騰開始時間T1
とインク滴の吐出量との間には密接な関係があり、沸騰
開始時間T1が大きければインク滴の吐出量は大きくな
り、沸騰開始時間T1が小さければインク滴の吐出量は
小さくなる。
ピーダンスRおよび対向電極5a、5b間で導電性イン
ク1に印加される印加電圧V(t)とによって決まる値
である。例えば駆動電圧一定の場合、対向電極5a、5
b間のインピーダンスRが大きければ、対向電極5a、
5b間の導電性インク1に流れる電流値が小さくなり、
導電性インク1が緩やかに加熱され、合わせて導電性イ
ンク1の熱拡散の影響でインク沸騰室2内のインク温度
は平均化されるため、導電性インク1中の最高温度が沸
騰開始温度に達するまでの時間T1は大きくなる。この
場合、沸騰開始までに投入されたエネルギーE0の多く
はインク沸騰室2内全体のインク温度を上昇することに
費やされ、結果としてインク滴の吐出量は増加する。逆
に、対向電極5a、5b間のインピーダンスRが小さけ
れば、対向電極5a、5b間の導電性インク1に流れる
電流値が大きくなり、導電性インク1はインクの熱拡散
の影響を殆ど受けない間に局部的に急激に加熱されるた
め、沸騰開始時間T1は小さくなり、かつ沸騰開始時の
インク沸騰室2内のインク温度は低くなるため、インク
滴の吐出量は小さくなる。このように沸騰開始時間T1
とインク滴の吐出量との間には密接な関係があり、沸騰
開始時間T1が大きければインク滴の吐出量は大きくな
り、沸騰開始時間T1が小さければインク滴の吐出量は
小さくなる。
【0012】上述した通電インクジェット方式のインク
ジェットプリンタにおける対向電極5a、5bの材料と
しては、Ti族金属(Ti、Zr、Hf)、白金族金属
(Pt、Ru、Rh、Pd、Os、Ir)、高融点金属
(W、Ta、Mo)、V、Cr、Fe、Co、Ni、N
b、Au、Ag、Al等の単金属またはこられの合金
(Ni−Fe、NiCr、TiCr等)が使用できる。
また、これらの酸化物(酸化チタン、酸化ハフニウム、
酸化錫、酸化インジウム等)、窒化物(窒化チタン、窒
化クロム等)、炭化物(炭化チタン、炭化タングステン
等)、硼化物も使用できる。また、導電性インク1は水
溶性、油溶性どちらでも良く、導電性インクの主成分と
しては、着色材としての染料やそれを溶解させるための
溶媒体、乾燥防止剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、p
H調整剤、分散剤、発泡剤、酸化防止剤、防腐剤などに
加えて、電解質としてアルカリ金属化物塩の無機塩類等
が用いられる。
ジェットプリンタにおける対向電極5a、5bの材料と
しては、Ti族金属(Ti、Zr、Hf)、白金族金属
(Pt、Ru、Rh、Pd、Os、Ir)、高融点金属
(W、Ta、Mo)、V、Cr、Fe、Co、Ni、N
b、Au、Ag、Al等の単金属またはこられの合金
(Ni−Fe、NiCr、TiCr等)が使用できる。
また、これらの酸化物(酸化チタン、酸化ハフニウム、
酸化錫、酸化インジウム等)、窒化物(窒化チタン、窒
化クロム等)、炭化物(炭化チタン、炭化タングステン
等)、硼化物も使用できる。また、導電性インク1は水
溶性、油溶性どちらでも良く、導電性インクの主成分と
しては、着色材としての染料やそれを溶解させるための
溶媒体、乾燥防止剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、p
H調整剤、分散剤、発泡剤、酸化防止剤、防腐剤などに
加えて、電解質としてアルカリ金属化物塩の無機塩類等
が用いられる。
【0013】このような通電インクジェット方式のイン
クジェットプリンタでは、インク沸騰に要する沸騰開始
時間T1が変化するために吐出が不安定となり、その結
果、印字品質が安定しないという不具合があった。この
沸騰開始時間T1の変化には次の3点が関与している。
クジェットプリンタでは、インク沸騰に要する沸騰開始
時間T1が変化するために吐出が不安定となり、その結
果、印字品質が安定しないという不具合があった。この
沸騰開始時間T1の変化には次の3点が関与している。
【0014】第1点として、吐出を行う周期Tが変化す
る場合、吐出を繰り返す毎に電極表面の酸化膜と導電性
インクとの界面等に帯電する電荷量が変化し、対向電極
5a、5b間で導電性インクに印加される実質的な印加
電圧の変動により通電電流が変動することに起因する現
象がある。第2点として、長時間に亘って連続吐出を繰
り返し行う場合、対向電極5a、5bが気泡圧力等によ
り損耗を受け、その電極表面に帯電する電荷量や対向電
極5a、5b間のインピーダンスが変化し、導電性イン
ク1の通電電流が変動することに起因する現象がある。
第3点として、黒色や赤色等のように導電性インク1の
種類が異なる場合、対向電極5a、5b間のインピーダ
ンスが必ずしも同じにならず、また、その電極表面の酸
化膜と導電性インク1との界面等に帯電する電荷量に差
が生じ、特定の電極駆動装置により一定の駆動電圧を印
加しても導電性インク1の通電電流が異なってくること
に起因する現象がある。
る場合、吐出を繰り返す毎に電極表面の酸化膜と導電性
インクとの界面等に帯電する電荷量が変化し、対向電極
5a、5b間で導電性インクに印加される実質的な印加
電圧の変動により通電電流が変動することに起因する現
象がある。第2点として、長時間に亘って連続吐出を繰
り返し行う場合、対向電極5a、5bが気泡圧力等によ
り損耗を受け、その電極表面に帯電する電荷量や対向電
極5a、5b間のインピーダンスが変化し、導電性イン
ク1の通電電流が変動することに起因する現象がある。
第3点として、黒色や赤色等のように導電性インク1の
種類が異なる場合、対向電極5a、5b間のインピーダ
ンスが必ずしも同じにならず、また、その電極表面の酸
化膜と導電性インク1との界面等に帯電する電荷量に差
が生じ、特定の電極駆動装置により一定の駆動電圧を印
加しても導電性インク1の通電電流が異なってくること
に起因する現象がある。
【0015】上記3点のいずれの場合も、導電性インク
1に流れる通電電流が変化するために沸騰開始時間T1
が変化することによりインク滴の吐出が不安定となり、
印字品質が安定しないという結果をもたらすものと考え
られる。
1に流れる通電電流が変化するために沸騰開始時間T1
が変化することによりインク滴の吐出が不安定となり、
印字品質が安定しないという結果をもたらすものと考え
られる。
【0016】上記通電電流の不安定さを改善することを
目的として、対向電極の電極表面に帯電した電荷を接地
により放電させる試みを例えば特開平7−016332
号公報で提案している。この公報では、対向電極の電極
表面に帯電した電荷を放電する手段を備えたインクジェ
ットプリンタを提案している。
目的として、対向電極の電極表面に帯電した電荷を接地
により放電させる試みを例えば特開平7−016332
号公報で提案している。この公報では、対向電極の電極
表面に帯電した電荷を放電する手段を備えたインクジェ
ットプリンタを提案している。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記放
電手段では、対向電極表面に帯電した電荷の放電の程度
(電荷放電量)を制御することができないため、対向電
極間の導電性インクに流れる通電電流の変化に起因する
沸騰開始時間T1の変化を充分に抑制することができな
いという問題点を有していた。
電手段では、対向電極表面に帯電した電荷の放電の程度
(電荷放電量)を制御することができないため、対向電
極間の導電性インクに流れる通電電流の変化に起因する
沸騰開始時間T1の変化を充分に抑制することができな
いという問題点を有していた。
【0018】このインクジェットプリンタでは、対向電
極間の導電性インクに流れる通電電流の変化を充分に抑
制することにより沸騰開始時間T1の変化を充分に抑制
することが要請されている。
極間の導電性インクに流れる通電電流の変化を充分に抑
制することにより沸騰開始時間T1の変化を充分に抑制
することが要請されている。
【0019】本発明は、対向電極間の導電性インクに流
れる通電電流の変化を充分に抑制することにより沸騰開
始時間の変化を充分に抑制することが可能なインクジェ
ットプリンタを提供することを目的とする。
れる通電電流の変化を充分に抑制することにより沸騰開
始時間の変化を充分に抑制することが可能なインクジェ
ットプリンタを提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明のインクジェットプリンタは、複数の対向電極
と、対向電極を介して導電性インクに交流電圧を通電し
て気泡を発生させるインク沸騰室と、対向電極に対応
し、気泡により導電性インクを吐出するインク吐出孔
と、対向電極にパルス電圧を通電する電極駆動装置と、
電極駆動装置の共通アースに対する導電性インクの電位
を制御する電位制御手段とを有するように構成したもの
である。
に本発明のインクジェットプリンタは、複数の対向電極
と、対向電極を介して導電性インクに交流電圧を通電し
て気泡を発生させるインク沸騰室と、対向電極に対応
し、気泡により導電性インクを吐出するインク吐出孔
と、対向電極にパルス電圧を通電する電極駆動装置と、
電極駆動装置の共通アースに対する導電性インクの電位
を制御する電位制御手段とを有するように構成したもの
である。
【0021】これにより、対向電極間の導電性インクに
流れる通電電流の変化を充分に抑制することにより沸騰
開始時間の変化を充分に抑制することが可能なインクジ
ェットプリンタが得られる。
流れる通電電流の変化を充分に抑制することにより沸騰
開始時間の変化を充分に抑制することが可能なインクジ
ェットプリンタが得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、複数の対向電極と、対向電極を介して導電性インク
に交流電圧を通電して気泡を発生させるインク沸騰室
と、対向電極に対応し、気泡により導電性インクを吐出
するインク吐出孔と、対向電極にパルス電圧を通電する
電極駆動装置と、電極駆動装置の共通アースに対する導
電性インクの電位を制御する電位制御手段とを有するこ
ととしたものであり、導電性インクの電位が制御される
ことにより沸騰開始時間が制御されるという作用を有す
る。
は、複数の対向電極と、対向電極を介して導電性インク
に交流電圧を通電して気泡を発生させるインク沸騰室
と、対向電極に対応し、気泡により導電性インクを吐出
するインク吐出孔と、対向電極にパルス電圧を通電する
電極駆動装置と、電極駆動装置の共通アースに対する導
電性インクの電位を制御する電位制御手段とを有するこ
ととしたものであり、導電性インクの電位が制御される
ことにより沸騰開始時間が制御されるという作用を有す
る。
【0023】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、電位制御手段が、導電性インクと電気
的に接する制御電極と、制御電極で観測される導電性イ
ンクの電位を制御する制御回路部とを有することとした
ものであり、制御電極の印加電圧を制御することにより
導電性インクの電位が制御されるという作用を有する。
の発明において、電位制御手段が、導電性インクと電気
的に接する制御電極と、制御電極で観測される導電性イ
ンクの電位を制御する制御回路部とを有することとした
ものであり、制御電極の印加電圧を制御することにより
導電性インクの電位が制御されるという作用を有する。
【0024】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の発明において、制御電極がインクタンク内又は共通イ
ンク室に配置されていることとしたものであり、インク
タンク内又は共通インク室の導電性インクの電位が制御
されるという作用を有する。
の発明において、制御電極がインクタンク内又は共通イ
ンク室に配置されていることとしたものであり、インク
タンク内又は共通インク室の導電性インクの電位が制御
されるという作用を有する。
【0025】請求項4に記載の発明は、請求項2に記載
の発明において、制御電極が対向電極と同一の基板上に
配設されていることとしたものであり、制御電極への印
加が対向電極と同一の基板上でなされるという作用を有
する。
の発明において、制御電極が対向電極と同一の基板上に
配設されていることとしたものであり、制御電極への印
加が対向電極と同一の基板上でなされるという作用を有
する。
【0026】請求項5に記載の発明は、請求項2、3又
は4に記載の発明において、制御電極が、少なくとも表
面が金、白金、ロジウム、チタン、タンタル又はカーボ
ンから成る電極であることとしたものであり、制御電極
が溶解されることもなく安定して導電性インクの電位が
制御されるという作用を有する。
は4に記載の発明において、制御電極が、少なくとも表
面が金、白金、ロジウム、チタン、タンタル又はカーボ
ンから成る電極であることとしたものであり、制御電極
が溶解されることもなく安定して導電性インクの電位が
制御されるという作用を有する。
【0027】請求項6に記載の発明は、請求項2に記載
の発明において、制御回路部が、制御電極から導電性イ
ンクの方向へのみ電流を流す整流器と、整流器と電極駆
動装置の共通アースとの間に配設された可変抵抗器とを
有することとしたものであり、可変抵抗器の抵抗値を変
えれば制御電極の印加電圧つまり導電性インクの電位が
変化するという作用を有する。
の発明において、制御回路部が、制御電極から導電性イ
ンクの方向へのみ電流を流す整流器と、整流器と電極駆
動装置の共通アースとの間に配設された可変抵抗器とを
有することとしたものであり、可変抵抗器の抵抗値を変
えれば制御電極の印加電圧つまり導電性インクの電位が
変化するという作用を有する。
【0028】請求項7に記載の発明は、請求項2に記載
の発明において、制御回路部が、制御電極から導電性イ
ンクの方向へのみ電流を流す整流器と、電極駆動装置の
共通アースに対して直流もしくは交流の制御電圧を発生
して制御電圧を整流器を介して制御電極に印加する制御
電圧印加用電源とを有することとしたものであり、上記
直流もしくは交流の制御電圧値を変えれば制御電極の印
加電圧つまり導電性インクの電位が変化するという作用
を有する。
の発明において、制御回路部が、制御電極から導電性イ
ンクの方向へのみ電流を流す整流器と、電極駆動装置の
共通アースに対して直流もしくは交流の制御電圧を発生
して制御電圧を整流器を介して制御電極に印加する制御
電圧印加用電源とを有することとしたものであり、上記
直流もしくは交流の制御電圧値を変えれば制御電極の印
加電圧つまり導電性インクの電位が変化するという作用
を有する。
【0029】請求項8に記載の発明は、請求項2に記載
の発明において、制御回路部が、制御電極から導電性イ
ンクの方向へのみ電流を流す第1整流器と、導電性イン
クから制御電極の方向へのみ電流を流す第2整流器と、
電極駆動装置の共通アースに対して負となる制御電圧を
発生してその負となる制御電圧を第1整流器を介して制
御電極に印加する第1制御電圧印加用電源と、電極駆動
装置の共通アースに対して正となる制御電圧を発生して
その正となる制御電圧を第2整流器を介して制御電極に
印加する第2制御電圧印加用電源とを有することとした
ものであり、上記負又は正となる制御電圧値を変えれば
制御電極の印加電圧つまり導電性インクの電位が変化す
るという作用を有する。
の発明において、制御回路部が、制御電極から導電性イ
ンクの方向へのみ電流を流す第1整流器と、導電性イン
クから制御電極の方向へのみ電流を流す第2整流器と、
電極駆動装置の共通アースに対して負となる制御電圧を
発生してその負となる制御電圧を第1整流器を介して制
御電極に印加する第1制御電圧印加用電源と、電極駆動
装置の共通アースに対して正となる制御電圧を発生して
その正となる制御電圧を第2整流器を介して制御電極に
印加する第2制御電圧印加用電源とを有することとした
ものであり、上記負又は正となる制御電圧値を変えれば
制御電極の印加電圧つまり導電性インクの電位が変化す
るという作用を有する。
【0030】請求項9に記載の発明は、請求項2に記載
の発明において、制御回路部が、導電性インクと制御電
極との間に発生する酸素過電圧よりも僅かに高い電位に
導電性インク電位を制御する制御手段を有することとし
たものであり、制御電極の溶解が防止されるという作用
を有する。
の発明において、制御回路部が、導電性インクと制御電
極との間に発生する酸素過電圧よりも僅かに高い電位に
導電性インク電位を制御する制御手段を有することとし
たものであり、制御電極の溶解が防止されるという作用
を有する。
【0031】請求項10に記載の発明は、請求項1又は
2に記載の発明において、電極駆動装置が、導電性イン
ク吐出のために対向電極間に通電を行う通電期間とは別
の期間において対向電極を負電位に接続する接続手段を
有することとしたものであり、通電状態が安定化し、気
泡発生が安定化するという作用を有する。
2に記載の発明において、電極駆動装置が、導電性イン
ク吐出のために対向電極間に通電を行う通電期間とは別
の期間において対向電極を負電位に接続する接続手段を
有することとしたものであり、通電状態が安定化し、気
泡発生が安定化するという作用を有する。
【0032】請求項11に記載の発明は、請求項1又は
2に記載の発明において、電極駆動装置が、導電性イン
ク吐出のために対向電極間に通電を行う通電期間とは別
の期間において対向電極を共通アースまたは負電位に接
続すると共に、接続のタイミングおよび時間を制御する
制御手段を有することとしたものであり、制御電極印加
電圧値の変動つまり沸騰開始時間の変動が抑制されると
いう作用を有する。
2に記載の発明において、電極駆動装置が、導電性イン
ク吐出のために対向電極間に通電を行う通電期間とは別
の期間において対向電極を共通アースまたは負電位に接
続すると共に、接続のタイミングおよび時間を制御する
制御手段を有することとしたものであり、制御電極印加
電圧値の変動つまり沸騰開始時間の変動が抑制されると
いう作用を有する。
【0033】請求項12に記載の発明は、請求項1又は
2に記載の発明において、電極駆動装置が、導電性イン
ク吐出のために対向電極間に通電を行う通電期間とは別
の期間において対向電極を共通アースまたは負電位に接
続すると共に、接続のタイミングおよび時間を印字周期
に応じて変える制御手段を有することとしたものであ
り、印字周期の変動に伴う制御電極印加電圧値の変動つ
まり沸騰開始時間の変動が抑制されるという作用を有す
る。
2に記載の発明において、電極駆動装置が、導電性イン
ク吐出のために対向電極間に通電を行う通電期間とは別
の期間において対向電極を共通アースまたは負電位に接
続すると共に、接続のタイミングおよび時間を印字周期
に応じて変える制御手段を有することとしたものであ
り、印字周期の変動に伴う制御電極印加電圧値の変動つ
まり沸騰開始時間の変動が抑制されるという作用を有す
る。
【0034】請求項13に記載の発明は、請求項2に記
載の発明において、制御回路部が、制御電極から導電性
インクの方向へのみ電流を流す整流器と、電極駆動装置
の出力を利用する電圧制御回路とを有することとしたも
のであり、電極駆動装置の出力の一部が利用されるとい
う作用を有する。
載の発明において、制御回路部が、制御電極から導電性
インクの方向へのみ電流を流す整流器と、電極駆動装置
の出力を利用する電圧制御回路とを有することとしたも
のであり、電極駆動装置の出力の一部が利用されるとい
う作用を有する。
【0035】請求項14に記載の発明は、請求項2に記
載の発明において、制御回路部が、制御電極から導電性
インクの方向へのみ電流を流す整流器と、電極駆動装置
の信号および出力電圧を利用して制御電極に印加する制
御電圧を発生する電圧制御回路とを有することとしたも
のであり、電極駆動装置の出力電圧の一部が制御電極に
印加する制御電圧となるという作用を有する。
載の発明において、制御回路部が、制御電極から導電性
インクの方向へのみ電流を流す整流器と、電極駆動装置
の信号および出力電圧を利用して制御電極に印加する制
御電圧を発生する電圧制御回路とを有することとしたも
のであり、電極駆動装置の出力電圧の一部が制御電極に
印加する制御電圧となるという作用を有する。
【0036】請求項15に記載の発明は、請求項2に記
載の発明において、制御回路部が、制御電極から導電性
インクの方向へのみ電流を流す整流器と、電極駆動装置
の信号および出力電圧を利用して制御電極に印加する制
御電圧を発生すると共に印加する制御電圧の印加時間を
制御する電圧制御回路とを有することとしたものであ
り、制御電極への印加電圧つまり導電性インクの電位が
印加時間により制御されるという作用を有する。
載の発明において、制御回路部が、制御電極から導電性
インクの方向へのみ電流を流す整流器と、電極駆動装置
の信号および出力電圧を利用して制御電極に印加する制
御電圧を発生すると共に印加する制御電圧の印加時間を
制御する電圧制御回路とを有することとしたものであ
り、制御電極への印加電圧つまり導電性インクの電位が
印加時間により制御されるという作用を有する。
【0037】請求項16に記載の発明は、請求項2に記
載の発明において、制御回路部が、制御電極から導電性
インクの方向へのみ電流を流す整流器と、電極駆動装置
内の信号および出力電圧を利用して制御電極に印加する
制御電圧を発生すると共に印加する制御電圧の印加時間
を印加周期に応じて変える電圧制御回路とを有すること
としたものであり、制御電極への印加電圧つまり導電性
インクの電位に対する印加周期の影響が抑制されるとい
う作用を有する。
載の発明において、制御回路部が、制御電極から導電性
インクの方向へのみ電流を流す整流器と、電極駆動装置
内の信号および出力電圧を利用して制御電極に印加する
制御電圧を発生すると共に印加する制御電圧の印加時間
を印加周期に応じて変える電圧制御回路とを有すること
としたものであり、制御電極への印加電圧つまり導電性
インクの電位に対する印加周期の影響が抑制されるとい
う作用を有する。
【0038】請求項17に記載の発明は、請求項13、
14、15又は16に記載の発明において、電圧制御回
路が電極駆動装置の出力電圧をそのまま制御電極に印加
することとしたものであり、電極駆動装置により制御電
極印加電圧つまり導電性インク電位が制御されるという
作用を有する。
14、15又は16に記載の発明において、電圧制御回
路が電極駆動装置の出力電圧をそのまま制御電極に印加
することとしたものであり、電極駆動装置により制御電
極印加電圧つまり導電性インク電位が制御されるという
作用を有する。
【0039】以下、本発明の実施の形態について、図1
〜図10を用いて説明する。 (実施の形態1)図1は、本発明の各実施の形態に共通
するインクジェットプリンタのインク吐出装置を示す概
略断面図である。図1において、導電性インク1、イン
ク沸騰室2、インク吐出孔(ノズル孔)3、ノズルプレ
ート(ノズル板材)4、対向電極5a、5b、インクタ
ンク6、ガラス基板7、共通インク室8、インク流路
9、電極駆動装置10、ドライバ10a、10b、導体
部11、沸騰気泡12、インク滴13、記録媒体14は
図11と同様のものなので、説明は省略する。制御電極
15は導電性インク1の電位を制御するためのものであ
り、制御回路部15aは制御電極15の電位を制御す
る。
〜図10を用いて説明する。 (実施の形態1)図1は、本発明の各実施の形態に共通
するインクジェットプリンタのインク吐出装置を示す概
略断面図である。図1において、導電性インク1、イン
ク沸騰室2、インク吐出孔(ノズル孔)3、ノズルプレ
ート(ノズル板材)4、対向電極5a、5b、インクタ
ンク6、ガラス基板7、共通インク室8、インク流路
9、電極駆動装置10、ドライバ10a、10b、導体
部11、沸騰気泡12、インク滴13、記録媒体14は
図11と同様のものなので、説明は省略する。制御電極
15は導電性インク1の電位を制御するためのものであ
り、制御回路部15aは制御電極15の電位を制御す
る。
【0040】図2は、本発明の一実施の形態によるイン
クジェットプリンタの制御回路部15aを示す回路図で
ある。図2において、整流器16は例えばダイオードで
1方向の電流のみを通し、共通アース18に接続された
可変抵抗器17は導電性インク1の電位を制御する。制
御回路部15aは、導電性インク1と接する制御電極1
5に接続され、制御電極15に整流器16を介して接続
された可変抵抗器17の抵抗値を変化させることにより
制御電極15の電位制御すなわち導電性インク1の電位
制御を行い、一対の対向電極5a、5b間で安定した通
電状態を形成し、安定した沸騰気泡12の発生を維持す
る。電極駆動装置10により対向電極5a、5bを共通
アース18に接地した時の導電性インク1と共通アース
18との間の電位差をインク電位と呼び、このインク電
位を制御電極15と共通アース18との間の電位差(共
通アース18に対する制御電極15の電位)で定義す
る。この場合、制御電極15と各々の対向電極5a、5
bとは共に導電性インク1と接しており、これらを同時
に共通アース18へ接続したときには制御電極15と対
向電極5a、5bとの間に電位差は発生しないと考えら
れるが、実際には通電を行った後の対向電極5a、5b
と制御電極15との間には電位差が発生する。この理由
は、通電により対向電極5a、5bの表面には酸化等に
よる高抵抗の変質層が生じており、この高抵抗層および
高抵抗層と導電性インク1との界面に発生する電気二重
層が電位差を生じていると考えられる。この電気二重層
については本実施の形態の効果の説明で詳述する。
クジェットプリンタの制御回路部15aを示す回路図で
ある。図2において、整流器16は例えばダイオードで
1方向の電流のみを通し、共通アース18に接続された
可変抵抗器17は導電性インク1の電位を制御する。制
御回路部15aは、導電性インク1と接する制御電極1
5に接続され、制御電極15に整流器16を介して接続
された可変抵抗器17の抵抗値を変化させることにより
制御電極15の電位制御すなわち導電性インク1の電位
制御を行い、一対の対向電極5a、5b間で安定した通
電状態を形成し、安定した沸騰気泡12の発生を維持す
る。電極駆動装置10により対向電極5a、5bを共通
アース18に接地した時の導電性インク1と共通アース
18との間の電位差をインク電位と呼び、このインク電
位を制御電極15と共通アース18との間の電位差(共
通アース18に対する制御電極15の電位)で定義す
る。この場合、制御電極15と各々の対向電極5a、5
bとは共に導電性インク1と接しており、これらを同時
に共通アース18へ接続したときには制御電極15と対
向電極5a、5bとの間に電位差は発生しないと考えら
れるが、実際には通電を行った後の対向電極5a、5b
と制御電極15との間には電位差が発生する。この理由
は、通電により対向電極5a、5bの表面には酸化等に
よる高抵抗の変質層が生じており、この高抵抗層および
高抵抗層と導電性インク1との界面に発生する電気二重
層が電位差を生じていると考えられる。この電気二重層
については本実施の形態の効果の説明で詳述する。
【0041】以上のような構成・機能を有するインク吐
出装置の動作を図3を用いて説明する。図3(a)〜
(c)は電極駆動装置10により対向電極5a、5b間
に印加される交流電圧と対向電極5a、5b間の通電電
流との変化を示すタイミング図であり、図3(d)は上
述したインク電位(制御電極15の電位として観測され
る電位)Viの変化を示すタイミング図である。また、
図3(a)はドライバ10aに入力されるパルス信号P
LSaを示すタイミング図、図3(b)はドライバ10
bに入力されるパルス信号PLSbを示すタイミング
図、図3(c)は対向電極5a、5b間を流れる交流電
流Iabを示すタイミング図である。一対の対向電極5
a、5bの駆動条件としては、交流の電極駆動電圧周波
数が3MHz、電極駆動周期Tが200μ秒の連続通電
であり、一方の電極に「H」レベルを印加するときには
他方の電極は共通アース18へと接続されて「L」レベ
ルとなり、このような交流電圧印加時以外には対向電極
5a、5bはいずれも高抵抗状態になっている。
出装置の動作を図3を用いて説明する。図3(a)〜
(c)は電極駆動装置10により対向電極5a、5b間
に印加される交流電圧と対向電極5a、5b間の通電電
流との変化を示すタイミング図であり、図3(d)は上
述したインク電位(制御電極15の電位として観測され
る電位)Viの変化を示すタイミング図である。また、
図3(a)はドライバ10aに入力されるパルス信号P
LSaを示すタイミング図、図3(b)はドライバ10
bに入力されるパルス信号PLSbを示すタイミング
図、図3(c)は対向電極5a、5b間を流れる交流電
流Iabを示すタイミング図である。一対の対向電極5
a、5bの駆動条件としては、交流の電極駆動電圧周波
数が3MHz、電極駆動周期Tが200μ秒の連続通電
であり、一方の電極に「H」レベルを印加するときには
他方の電極は共通アース18へと接続されて「L」レベ
ルとなり、このような交流電圧印加時以外には対向電極
5a、5bはいずれも高抵抗状態になっている。
【0042】図3(c)の通電電流Iabの波形はイン
ク沸騰室2での気泡の発生と密接に関係しており、電流
波形上で気泡発生点が通電後の経過時間T1(図3
(d))で示され、このT1が前述した沸騰開始時間で
ある。沸騰開始時間T1が10μ秒未満というように短
すぎると駆動中に複数回の気泡発生を繰り返し、また、
50μ秒を越えるというように長すぎると電極駆動中に
気泡発生が得られなくなるため、沸騰開始時間T1は所
定の範囲内に収めておく必要がある。また、沸騰開始時
間T1が大きければインク滴の吐出量が大きくなり、沸
騰開始時間T1が小さければインク滴の吐出量は小さく
なるため、インク滴の吐出量を安定させるためには沸騰
開始時間T1を一定に保つことが必要である。図3
(d)の最大気泡形成時間T2は、通電開始から、沸騰
開始時間T1で気泡の核が発生して最大気泡が形成され
るまでの時間を示す。
ク沸騰室2での気泡の発生と密接に関係しており、電流
波形上で気泡発生点が通電後の経過時間T1(図3
(d))で示され、このT1が前述した沸騰開始時間で
ある。沸騰開始時間T1が10μ秒未満というように短
すぎると駆動中に複数回の気泡発生を繰り返し、また、
50μ秒を越えるというように長すぎると電極駆動中に
気泡発生が得られなくなるため、沸騰開始時間T1は所
定の範囲内に収めておく必要がある。また、沸騰開始時
間T1が大きければインク滴の吐出量が大きくなり、沸
騰開始時間T1が小さければインク滴の吐出量は小さく
なるため、インク滴の吐出量を安定させるためには沸騰
開始時間T1を一定に保つことが必要である。図3
(d)の最大気泡形成時間T2は、通電開始から、沸騰
開始時間T1で気泡の核が発生して最大気泡が形成され
るまでの時間を示す。
【0043】次に、図3(d)のインク電位波形につい
て説明する。制御電極15において観察されるインク電
位は、対向電極5a、5bが共通アース18に接続され
ている状態での導電性インク1と共通アース8との間の
電位差V1と、電極駆動装置10により対向電極5a、
5b間に交流電圧を印加している状態での導電性インク
1と共通アース間18との電位差V2とに大別される。
このインク電位V1、V2、共通的に言い換えればイン
ク電位V1は通電直前の導電性インク1のベース電位と
なっており、このインク電位V1に対して対向電極5
a、5b間に電極駆動装置10より電圧が印加され、イ
ンク電位V2は、制御電極15に表れる対向電極5a、
5b間の有効電圧を示している。また、インク電位V
1、V2は印加電圧、印加周期Tによって異なり、さら
に、対向電極5a、5bの表面状態および導電性インク
1の組成によっても左右されることにより、通電の初期
と通電を繰り返し行ったときとではインク電位は異な
り、沸騰開始時間T1にもばらつきが生じる。従って、
インク電位Viを制御することにより沸騰開始時間T1
を制御することが可能になる。
て説明する。制御電極15において観察されるインク電
位は、対向電極5a、5bが共通アース18に接続され
ている状態での導電性インク1と共通アース8との間の
電位差V1と、電極駆動装置10により対向電極5a、
5b間に交流電圧を印加している状態での導電性インク
1と共通アース間18との電位差V2とに大別される。
このインク電位V1、V2、共通的に言い換えればイン
ク電位V1は通電直前の導電性インク1のベース電位と
なっており、このインク電位V1に対して対向電極5
a、5b間に電極駆動装置10より電圧が印加され、イ
ンク電位V2は、制御電極15に表れる対向電極5a、
5b間の有効電圧を示している。また、インク電位V
1、V2は印加電圧、印加周期Tによって異なり、さら
に、対向電極5a、5bの表面状態および導電性インク
1の組成によっても左右されることにより、通電の初期
と通電を繰り返し行ったときとではインク電位は異な
り、沸騰開始時間T1にもばらつきが生じる。従って、
インク電位Viを制御することにより沸騰開始時間T1
を制御することが可能になる。
【0044】インクジェットプリンタでモノクロ印字お
よびカラー印字を行う場合、通常、ブラック(BK)、
イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色
のインクを使用する。各色の導電性インクの比抵抗は通
常等しくなるように調整されるが、等しい比抵抗を有す
る導電性インクを用いて特定の対向電極で通電を行った
場合でもインク電位Viが異なる値を示し、沸騰開始時
間T1にも差が生じることがわかった。この理由は、導
電性インクの種類によって、対向電極5a、5bの表面
の酸化等による高抵抗の変質層もしくはこの変質層と導
電性インクとの界面における電気二重層の状態がばらつ
くためと考えられる。
よびカラー印字を行う場合、通常、ブラック(BK)、
イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色
のインクを使用する。各色の導電性インクの比抵抗は通
常等しくなるように調整されるが、等しい比抵抗を有す
る導電性インクを用いて特定の対向電極で通電を行った
場合でもインク電位Viが異なる値を示し、沸騰開始時
間T1にも差が生じることがわかった。この理由は、導
電性インクの種類によって、対向電極5a、5bの表面
の酸化等による高抵抗の変質層もしくはこの変質層と導
電性インクとの界面における電気二重層の状態がばらつ
くためと考えられる。
【0045】図4はインク電位V1(図3(d))と図
2の可変抵抗器17の抵抗値との関係を示すグラフ図、
図5は沸騰開始時間T1と図2の可変抵抗器17の抵抗
値との関係を示すグラフ図である。図4において、RB
はブラックの最適抵抗値(インク電位V1を最適インク
電位とするための抵抗値)、RMはマゼンタの最適抵抗
値、RYはイエローの最適抵抗値、RCはシアンの最適
抵抗値である。また、図5において、RBはブラックの
最適抵抗値(沸騰開始時間T1を最適沸騰開始時間とす
るための抵抗値)、RMはマゼンタの最適抵抗値、RY
はイエローの最適抵抗値、RCはシアンの最適抵抗値で
ある。なお、図4において最適インク電位は約−5ボル
ト、図5において制御目標値TXすなわち最適沸騰開始
時間は25μ秒である。
2の可変抵抗器17の抵抗値との関係を示すグラフ図、
図5は沸騰開始時間T1と図2の可変抵抗器17の抵抗
値との関係を示すグラフ図である。図4において、RB
はブラックの最適抵抗値(インク電位V1を最適インク
電位とするための抵抗値)、RMはマゼンタの最適抵抗
値、RYはイエローの最適抵抗値、RCはシアンの最適
抵抗値である。また、図5において、RBはブラックの
最適抵抗値(沸騰開始時間T1を最適沸騰開始時間とす
るための抵抗値)、RMはマゼンタの最適抵抗値、RY
はイエローの最適抵抗値、RCはシアンの最適抵抗値で
ある。なお、図4において最適インク電位は約−5ボル
ト、図5において制御目標値TXすなわち最適沸騰開始
時間は25μ秒である。
【0046】本実施の形態においては、対向電極5a、
5bは厚さ2μm、幅30μm、対向距離4μmのTi
電極を用い、導電性インク1は各色の比抵抗がすべて2
0Ω・cm(3MHz時)となるように調整したものを
用いた。また、対向電極5a、5bを共通アース18に
接地するタイミングは通電開始前であって、通電開始タ
イミングとは別のタイミングで、接地する時間幅Td
(図3(d))を5μ秒とした。さらに、制御電極15
は金電極を用い、インクタンク6内に配置した。さら
に、複数の対向電極5a、5bは56個の同一なものよ
り構成され、各々の接地の時間およびタイミングは等し
くした。各色に対するインク電位V1と沸騰開始時間T
1を(表1)に示す。
5bは厚さ2μm、幅30μm、対向距離4μmのTi
電極を用い、導電性インク1は各色の比抵抗がすべて2
0Ω・cm(3MHz時)となるように調整したものを
用いた。また、対向電極5a、5bを共通アース18に
接地するタイミングは通電開始前であって、通電開始タ
イミングとは別のタイミングで、接地する時間幅Td
(図3(d))を5μ秒とした。さらに、制御電極15
は金電極を用い、インクタンク6内に配置した。さら
に、複数の対向電極5a、5bは56個の同一なものよ
り構成され、各々の接地の時間およびタイミングは等し
くした。各色に対するインク電位V1と沸騰開始時間T
1を(表1)に示す。
【0047】
【表1】
【0048】(表1)は制御電極15を用いない場合の
比較例と可変抵抗器17の抵抗値を最適に設定した場合
の実施例とを示す。(表1)における沸騰開始時間T1
の値は56個の対向電極5a、5bにおける沸騰開始時
間の平均値である。(表1)から明らかなように、制御
電極15を用いない比較例の場合の沸騰開始時間T1は
インク種によって20μ秒から42μ秒まで15μ秒の
幅のばらつきが生じているが、実施例では24.9μ秒
から26.5μ秒まで僅か1.6μ秒の幅のばらつきに
収まっている。この実験結果は、制御電極15に接続さ
れた可変抵抗器17によるインク電位V1の制御により
対向電極5a、5bにおける電流波形すなわち沸騰開始
時間T1の制御が可能であり、沸騰開始時間T1のばら
つきを抑制できることを示している。(表1)の実施例
においては、制御電極15に接続された可変抵抗器17
により、通電中に対向電極5a、5bの表面に蓄積され
た電荷の放電の時定数を可変とすることにより放電の程
度を制御してインク電位V1を制御し、インク種により
生じる沸騰開始時間T1の差を低減している。
比較例と可変抵抗器17の抵抗値を最適に設定した場合
の実施例とを示す。(表1)における沸騰開始時間T1
の値は56個の対向電極5a、5bにおける沸騰開始時
間の平均値である。(表1)から明らかなように、制御
電極15を用いない比較例の場合の沸騰開始時間T1は
インク種によって20μ秒から42μ秒まで15μ秒の
幅のばらつきが生じているが、実施例では24.9μ秒
から26.5μ秒まで僅か1.6μ秒の幅のばらつきに
収まっている。この実験結果は、制御電極15に接続さ
れた可変抵抗器17によるインク電位V1の制御により
対向電極5a、5bにおける電流波形すなわち沸騰開始
時間T1の制御が可能であり、沸騰開始時間T1のばら
つきを抑制できることを示している。(表1)の実施例
においては、制御電極15に接続された可変抵抗器17
により、通電中に対向電極5a、5bの表面に蓄積され
た電荷の放電の時定数を可変とすることにより放電の程
度を制御してインク電位V1を制御し、インク種により
生じる沸騰開始時間T1の差を低減している。
【0049】本実施の形態において整流器16を用いる
理由は、整流器16を用いずに制御電極15を抵抗器1
7を介して接地した場合、対向電極5a、5b間に導電
性インク吐出用交流電圧を印加する際に、本来対向電極
5a、5b間のみに流すべき電流が制御電極15を介し
て共通アース18に一部流出し、その結果、沸騰開始時
間T1が増大するなどの不具合が生じるためである。ま
た、本実施の形態による制御回路部15aは整流器16
と可変抵抗器17とから構成されるため、特に制御電極
15用の電源や駆動制御部を用いる必要はなく、構成が
極めて簡単でかつ安価であるという特徴を有する。ま
た、本実施の形態では制御電極15をインクタンク6内
に配置したが、制御電極15を対向電極5a、5bと同
一の基板上に配置しても同様の効果が得られる。
理由は、整流器16を用いずに制御電極15を抵抗器1
7を介して接地した場合、対向電極5a、5b間に導電
性インク吐出用交流電圧を印加する際に、本来対向電極
5a、5b間のみに流すべき電流が制御電極15を介し
て共通アース18に一部流出し、その結果、沸騰開始時
間T1が増大するなどの不具合が生じるためである。ま
た、本実施の形態による制御回路部15aは整流器16
と可変抵抗器17とから構成されるため、特に制御電極
15用の電源や駆動制御部を用いる必要はなく、構成が
極めて簡単でかつ安価であるという特徴を有する。ま
た、本実施の形態では制御電極15をインクタンク6内
に配置したが、制御電極15を対向電極5a、5bと同
一の基板上に配置しても同様の効果が得られる。
【0050】以上のように本実施の形態によれば、導電
性インク1中に設けた制御電極15に整流器16を介し
て接続されると共に共通アース18に接続された可変抵
抗器17の抵抗値を変化させることにより簡便かつ安価
な構成でインク電位V1の制御が可能となり、これによ
って通電電流Iab(図3(c))の波形を制御できる
のである。このインク電位V1と通電電流Iabの波形
との関係は不明確ではあるが、対向電極5a、5bと導
電性インク1との界面に生じる表面吸着層もしくは電気
二重層により電極表面が容量成分を有し、ここにおける
電荷の蓄積量もしくは電圧損失量が通電電流Iabの波
形に影響を与えているため、インク電位V1の制御によ
り通電電流Iabの波形が可変できるのではないかと考
える。また、制御電極15に印加する制御電圧は対向電
極5a、5bおよびインクタンク6の形状や材質等によ
り最適値を異にするため、一概に規定できない。しか
し、一定のインク吐出装置であれば、制御電極15と可
変抵抗器17とを有する本実施の形態において可変抵抗
器17を適正な値に設定することによってインク電位V
1の制御に基づく安定した通電電流Iabの波形が得ら
れ、沸騰開始時間T1を所定の範囲内に制御することが
できるのである。
性インク1中に設けた制御電極15に整流器16を介し
て接続されると共に共通アース18に接続された可変抵
抗器17の抵抗値を変化させることにより簡便かつ安価
な構成でインク電位V1の制御が可能となり、これによ
って通電電流Iab(図3(c))の波形を制御できる
のである。このインク電位V1と通電電流Iabの波形
との関係は不明確ではあるが、対向電極5a、5bと導
電性インク1との界面に生じる表面吸着層もしくは電気
二重層により電極表面が容量成分を有し、ここにおける
電荷の蓄積量もしくは電圧損失量が通電電流Iabの波
形に影響を与えているため、インク電位V1の制御によ
り通電電流Iabの波形が可変できるのではないかと考
える。また、制御電極15に印加する制御電圧は対向電
極5a、5bおよびインクタンク6の形状や材質等によ
り最適値を異にするため、一概に規定できない。しか
し、一定のインク吐出装置であれば、制御電極15と可
変抵抗器17とを有する本実施の形態において可変抵抗
器17を適正な値に設定することによってインク電位V
1の制御に基づく安定した通電電流Iabの波形が得ら
れ、沸騰開始時間T1を所定の範囲内に制御することが
できるのである。
【0051】(実施の形態2)本発明の第2の実施の形
態によるインクジェットプリンタのインク吐出装置の構
成は図1と同様の構成であり、第1の実施の形態とは制
御回路部15aの構成が異なる。
態によるインクジェットプリンタのインク吐出装置の構
成は図1と同様の構成であり、第1の実施の形態とは制
御回路部15aの構成が異なる。
【0052】図6は、本発明の第2の実施の形態による
インクジェットプリンタの制御回路部15aを示す回路
図である。図6において、整流器19は例えばダイオー
ドで1方向の電流のみを通し、共通アース21に接続さ
れた制御電圧印加用電源(制御手段)20は制御電極1
5の電位すなわち導電性インク1の電位を制御する。制
御回路部15aは、導電性インク1と接する制御電極1
5に接続され、制御電極15に整流器19を介して接続
された制御電圧印加用電源20の電圧値を変化させるこ
とにより導電性インク1の電位制御を行い、一対の対向
電極5a、5b間で安定した通電状態を形成し、安定し
た沸騰気泡12の発生を維持する。電極駆動装置10に
より対向電極5a、5bを共通アース21に接地した時
の導電性インク1と共通アース21との間の電位差をイ
ンク電位と呼び、このインク電位を制御電極15と共通
アース21との間の電位差(共通アース21に対する制
御電極15の電位)で定義する。この場合、制御電極1
5と各々の対向電極5a、5bとは共に導電性インク1
と接しており、これらを同時に共通アース21へ接続し
たときには制御電極15と対向電極5a、5bとの間に
電位差は発生しないと考えられるが、実際には通電を行
った後の対向電極5a、5bと制御電極15との間には
電位差が発生する。この理由は、通電により対向電極5
a、5bの表面には酸化等による高抵抗の変質層が生じ
ており、この高抵抗層および高抵抗層と導電性インク1
との界面に発生する電気二重層が電位差を生じていると
考えられる。
インクジェットプリンタの制御回路部15aを示す回路
図である。図6において、整流器19は例えばダイオー
ドで1方向の電流のみを通し、共通アース21に接続さ
れた制御電圧印加用電源(制御手段)20は制御電極1
5の電位すなわち導電性インク1の電位を制御する。制
御回路部15aは、導電性インク1と接する制御電極1
5に接続され、制御電極15に整流器19を介して接続
された制御電圧印加用電源20の電圧値を変化させるこ
とにより導電性インク1の電位制御を行い、一対の対向
電極5a、5b間で安定した通電状態を形成し、安定し
た沸騰気泡12の発生を維持する。電極駆動装置10に
より対向電極5a、5bを共通アース21に接地した時
の導電性インク1と共通アース21との間の電位差をイ
ンク電位と呼び、このインク電位を制御電極15と共通
アース21との間の電位差(共通アース21に対する制
御電極15の電位)で定義する。この場合、制御電極1
5と各々の対向電極5a、5bとは共に導電性インク1
と接しており、これらを同時に共通アース21へ接続し
たときには制御電極15と対向電極5a、5bとの間に
電位差は発生しないと考えられるが、実際には通電を行
った後の対向電極5a、5bと制御電極15との間には
電位差が発生する。この理由は、通電により対向電極5
a、5bの表面には酸化等による高抵抗の変質層が生じ
ており、この高抵抗層および高抵抗層と導電性インク1
との界面に発生する電気二重層が電位差を生じていると
考えられる。
【0053】以上のような構成・機能を有するインク吐
出装置について、その動作を説明する。このインク吐出
装置において、導電性インク1に制御電極15を挿入
し、整流器19を介して制御電圧印加用電源20からの
直流電圧による制御電圧を印加する。制御電圧の印加に
関しては交流電圧を用いてもよい。また、制御電極15
の材料は金線を用いた。制御電極15の材料について
は、印加する電圧つまり導電性インク1と制御電極15
との電位差において導電性インク1に溶解しない導電性
材料すなわちカーボン、白金からなる不溶性の電極が望
ましいが、上記電位差において、表面に強固な酸化膜を
形成する金属材料であるチタン、タンタル等の耐食性の
高い金属も用いられる。この状態において電極駆動装置
10により対向電極5a、5bのそれぞれに位相が18
0度ずれた高周波のパルス電圧を印加することにより、
対向電極5a、5b間に交流電圧を印加する。このとき
対向電極5a、5b間に流れる電流波形を図3(c)に
示し、制御電極15で観察される導電性インク1の電位
波形を図3(d)に示す。一対の対向電極5a、5bの
駆動条件は、交流の電極駆動電圧周波数が3MHz、電
極駆動周期Tが200μ秒(5kHz)、印加時間が1
対の対向電極5a、5bについて40μ秒とし、印加時
間以外すなわち待機時間中は高抵抗状態とし、対向電極
5a、5b間に交流電圧を印加する直前の数μ秒のあい
だ対向電極5a、5bを導体部(接続手段)11を介し
て同時に共通アース21に接続する。
出装置について、その動作を説明する。このインク吐出
装置において、導電性インク1に制御電極15を挿入
し、整流器19を介して制御電圧印加用電源20からの
直流電圧による制御電圧を印加する。制御電圧の印加に
関しては交流電圧を用いてもよい。また、制御電極15
の材料は金線を用いた。制御電極15の材料について
は、印加する電圧つまり導電性インク1と制御電極15
との電位差において導電性インク1に溶解しない導電性
材料すなわちカーボン、白金からなる不溶性の電極が望
ましいが、上記電位差において、表面に強固な酸化膜を
形成する金属材料であるチタン、タンタル等の耐食性の
高い金属も用いられる。この状態において電極駆動装置
10により対向電極5a、5bのそれぞれに位相が18
0度ずれた高周波のパルス電圧を印加することにより、
対向電極5a、5b間に交流電圧を印加する。このとき
対向電極5a、5b間に流れる電流波形を図3(c)に
示し、制御電極15で観察される導電性インク1の電位
波形を図3(d)に示す。一対の対向電極5a、5bの
駆動条件は、交流の電極駆動電圧周波数が3MHz、電
極駆動周期Tが200μ秒(5kHz)、印加時間が1
対の対向電極5a、5bについて40μ秒とし、印加時
間以外すなわち待機時間中は高抵抗状態とし、対向電極
5a、5b間に交流電圧を印加する直前の数μ秒のあい
だ対向電極5a、5bを導体部(接続手段)11を介し
て同時に共通アース21に接続する。
【0054】まず、対向電極5a、5b間に流れる図3
(c)の通電電流Iabの波形について説明する。図3
(c)の通電電流Iabの波形は導電性インク1の沸騰
すなわち沸騰気泡12の発生過程と密接な関係があり、
沸騰開始時間T1は通電を始めてから気泡の核が発生す
るまでの時間を示しており、図3(c)は温度の上昇に
伴って通電電流Iabの電流値が増大することを示して
いる。次に、気泡の成長過程は最大気泡形成時間T2で
表され、気泡の成長と共に通電電流Iabの電流値が減
少していき、最大気泡になった時点で安定する。安定し
たインク吐出を実現するためには、気泡発生、成長まで
の時間(沸騰開始時間T1、最大気泡形成時間T2)お
よび次のインク吐出のためのインク充填時間を考慮する
必要がある。沸騰開始時間T1は、10μ秒以下では、
電圧印加時間中に複数回沸騰するため、また、50μ秒
を越えると印加時間中に必要な沸騰気泡が得られず不吐
出になるため、沸騰開始時間T1は所定の範囲内に収め
ておく必要がある。
(c)の通電電流Iabの波形について説明する。図3
(c)の通電電流Iabの波形は導電性インク1の沸騰
すなわち沸騰気泡12の発生過程と密接な関係があり、
沸騰開始時間T1は通電を始めてから気泡の核が発生す
るまでの時間を示しており、図3(c)は温度の上昇に
伴って通電電流Iabの電流値が増大することを示して
いる。次に、気泡の成長過程は最大気泡形成時間T2で
表され、気泡の成長と共に通電電流Iabの電流値が減
少していき、最大気泡になった時点で安定する。安定し
たインク吐出を実現するためには、気泡発生、成長まで
の時間(沸騰開始時間T1、最大気泡形成時間T2)お
よび次のインク吐出のためのインク充填時間を考慮する
必要がある。沸騰開始時間T1は、10μ秒以下では、
電圧印加時間中に複数回沸騰するため、また、50μ秒
を越えると印加時間中に必要な沸騰気泡が得られず不吐
出になるため、沸騰開始時間T1は所定の範囲内に収め
ておく必要がある。
【0055】次に、図3(d)のインク電位波形につい
て説明する。制御電極15において観察されるインク電
位は、対向電極5a、5bが共通アース21に接続され
ている状態での導電性インク1と共通アース21との間
の電位差V1と、電極駆動装置10により対向電極5
a、5b間に交流電圧を印加している状態での導電性イ
ンク1と共通アース間21との電位差V2とに大別され
る。このインク電位V1、V2、共通的に言い換えれば
インク電位V1は通電直前の導電性インク1のベース電
位となっており、このインク電位V1に対して対向電極
5a、5b間に電極駆動装置10より電圧が印加され、
インク電位V2は、制御電極15に表れる対向電極5
a、5b間の有効電圧を示している。また、インク電位
V1、V2は印加電圧、印加周期Tによって異なり、さ
らに、対向電極5a、5bの表面状態および導電性イン
ク1の組成によっても左右されることにより、通電の初
期と通電を繰り返し行ったときとではインク電位Viは
異なり、沸騰開始時間T1にもばらつきが生じる。従っ
て、インク電位Viを制御することにより沸騰開始時間
T1を制御することが可能になる。
て説明する。制御電極15において観察されるインク電
位は、対向電極5a、5bが共通アース21に接続され
ている状態での導電性インク1と共通アース21との間
の電位差V1と、電極駆動装置10により対向電極5
a、5b間に交流電圧を印加している状態での導電性イ
ンク1と共通アース間21との電位差V2とに大別され
る。このインク電位V1、V2、共通的に言い換えれば
インク電位V1は通電直前の導電性インク1のベース電
位となっており、このインク電位V1に対して対向電極
5a、5b間に電極駆動装置10より電圧が印加され、
インク電位V2は、制御電極15に表れる対向電極5
a、5b間の有効電圧を示している。また、インク電位
V1、V2は印加電圧、印加周期Tによって異なり、さ
らに、対向電極5a、5bの表面状態および導電性イン
ク1の組成によっても左右されることにより、通電の初
期と通電を繰り返し行ったときとではインク電位Viは
異なり、沸騰開始時間T1にもばらつきが生じる。従っ
て、インク電位Viを制御することにより沸騰開始時間
T1を制御することが可能になる。
【0056】本実施の形態における導電性インク1のイ
ンク電位V1、V2と沸騰開始時間T1との関係および
通電を1億回繰り返し行った際の電極溶解量について
(表2)に示す。
ンク電位V1、V2と沸騰開始時間T1との関係および
通電を1億回繰り返し行った際の電極溶解量について
(表2)に示す。
【0057】
【表2】
【0058】(表2)は制御電極15を用いない従来例
と制御電極15に電圧を印加した4つの実施例とを示
す。沸騰開始時間T1は制御電極15の電位つまり導電
性インク1の電位を制御していない従来例に対して、実
施例1〜4のように制御電極15を通してインク電位を
制御した場合では、沸騰時間を短縮できる。また、実施
例1、2においては、寿命軸における沸騰開始時間T1
の変化幅も小さくすることができる。印加電圧と電極溶
解量の関係については述べると、印加電圧を上げていく
と、対向電極5a、5bが共通アース21に接続された
ときのインク電位V1も上昇し、実施例1〜4に示すよ
うに−2.5Vより高い電位において電極溶解が発生し
ている。このインク電位は導電性インク1と電極材料つ
まりTi電極との間で発生する酸素過電圧(導電性イン
ク1と対向電極5a、5bとの電位差)と密接な関係が
あり、この過電圧より低い電位では溶液中の水素イオン
により電極が還元されてTi電極表面に充分な酸化膜が
得られずに電極が溶解し、この過電圧より高い電位では
Ti電極表面にTi酸化膜が形成され、電極の溶解を防
止している。但し、この電位が高すぎるとインク電位V
2も同時に低下してくるため、沸騰開始時間T1が増大
し不利となる。従って、導電性インク1と対向電極5
a、5bとの間に発生する活性化分極すなわち水酸基イ
オンの放電における過電圧より僅かに高い電位でインク
電位V1を制御することにより電極溶解をなくして効率
的な沸騰を維持することができる。
と制御電極15に電圧を印加した4つの実施例とを示
す。沸騰開始時間T1は制御電極15の電位つまり導電
性インク1の電位を制御していない従来例に対して、実
施例1〜4のように制御電極15を通してインク電位を
制御した場合では、沸騰時間を短縮できる。また、実施
例1、2においては、寿命軸における沸騰開始時間T1
の変化幅も小さくすることができる。印加電圧と電極溶
解量の関係については述べると、印加電圧を上げていく
と、対向電極5a、5bが共通アース21に接続された
ときのインク電位V1も上昇し、実施例1〜4に示すよ
うに−2.5Vより高い電位において電極溶解が発生し
ている。このインク電位は導電性インク1と電極材料つ
まりTi電極との間で発生する酸素過電圧(導電性イン
ク1と対向電極5a、5bとの電位差)と密接な関係が
あり、この過電圧より低い電位では溶液中の水素イオン
により電極が還元されてTi電極表面に充分な酸化膜が
得られずに電極が溶解し、この過電圧より高い電位では
Ti電極表面にTi酸化膜が形成され、電極の溶解を防
止している。但し、この電位が高すぎるとインク電位V
2も同時に低下してくるため、沸騰開始時間T1が増大
し不利となる。従って、導電性インク1と対向電極5
a、5bとの間に発生する活性化分極すなわち水酸基イ
オンの放電における過電圧より僅かに高い電位でインク
電位V1を制御することにより電極溶解をなくして効率
的な沸騰を維持することができる。
【0059】以上のように本実施の形態によれば、導電
性インク1中に設けた制御電極15に整流器19を介し
て接続されると共に共通アース21に接続された制御電
圧印加用電源20の制御電圧Vb1を変化させることに
より簡便かつ安価な構成でインク電位V1の制御が可能
となり、これによって通電電流Iab(図3(c))の
波形を制御でき、沸騰開始時間T1を安定化できるので
ある。
性インク1中に設けた制御電極15に整流器19を介し
て接続されると共に共通アース21に接続された制御電
圧印加用電源20の制御電圧Vb1を変化させることに
より簡便かつ安価な構成でインク電位V1の制御が可能
となり、これによって通電電流Iab(図3(c))の
波形を制御でき、沸騰開始時間T1を安定化できるので
ある。
【0060】(実施の形態3)本発明の第3の実施の形
態によるインクジェットプリンタのインク吐出装置の構
成は図1と同様の構成であり、第1の実施の形態とは制
御回路部15aの構成が異なる。
態によるインクジェットプリンタのインク吐出装置の構
成は図1と同様の構成であり、第1の実施の形態とは制
御回路部15aの構成が異なる。
【0061】図7は、本発明の第3の実施の形態による
インクジェットプリンタの制御回路部15aを示す回路
図である。図2において、第1の整流器22、第2の整
流器25は例えばダイオードで1方向の電流のみを通
し、共通アース24に接続された第1の制御電圧印加用
電源23、第2の制御電圧印加用電源26は制御電極1
5の電位すなわち導電性インク1の電位を制御する。制
御回路部15aは、導電性インク1と接する制御電極1
5に接続され、制御電極15に制御電圧Vb1、Vb2
を印加することにより導電性インク1の電位制御を行
い、一対の対向電極5a、5b間で安定した通電状態を
形成し、安定した沸騰気泡12の発生を維持する。制御
電圧Vb1、Vb2は電極駆動装置10の共通アース2
4に対して定義できる。電極駆動装置10により対向電
極5a、5bを共通アース24に接地した時の導電性イ
ンク1と共通アース24との間の電位差をインク電位と
呼び、このインク電位を制御電極15と共通アース24
との間の電位差(共通アース24に対する制御電極15
の電位)で定義する。この場合、制御電極15と各々の
対向電極5a、5bとは共に導電性インク1と接してお
り、これらを同時に共通アース24へ接続したときには
制御電極15と対向電極5a、5bとの間に電位差は発
生しないと考えられるが、実際には通電を行った後の対
向電極5a、5bと制御電極15との間には電位差が発
生する。この理由は、通電により対向電極5a、5bの
表面には酸化等による高抵抗の変質層が生じており、こ
の高抵抗層が電位差を生じていると考えられる。
インクジェットプリンタの制御回路部15aを示す回路
図である。図2において、第1の整流器22、第2の整
流器25は例えばダイオードで1方向の電流のみを通
し、共通アース24に接続された第1の制御電圧印加用
電源23、第2の制御電圧印加用電源26は制御電極1
5の電位すなわち導電性インク1の電位を制御する。制
御回路部15aは、導電性インク1と接する制御電極1
5に接続され、制御電極15に制御電圧Vb1、Vb2
を印加することにより導電性インク1の電位制御を行
い、一対の対向電極5a、5b間で安定した通電状態を
形成し、安定した沸騰気泡12の発生を維持する。制御
電圧Vb1、Vb2は電極駆動装置10の共通アース2
4に対して定義できる。電極駆動装置10により対向電
極5a、5bを共通アース24に接地した時の導電性イ
ンク1と共通アース24との間の電位差をインク電位と
呼び、このインク電位を制御電極15と共通アース24
との間の電位差(共通アース24に対する制御電極15
の電位)で定義する。この場合、制御電極15と各々の
対向電極5a、5bとは共に導電性インク1と接してお
り、これらを同時に共通アース24へ接続したときには
制御電極15と対向電極5a、5bとの間に電位差は発
生しないと考えられるが、実際には通電を行った後の対
向電極5a、5bと制御電極15との間には電位差が発
生する。この理由は、通電により対向電極5a、5bの
表面には酸化等による高抵抗の変質層が生じており、こ
の高抵抗層が電位差を生じていると考えられる。
【0062】以上のような構成・機能を有するインク吐
出装置について、その動作を説明する。このインク吐出
装置において、導電性インク1と接する制御電極15に
第1の整流器22を接続し、共通アース24に対して負
となる第1の制御電圧印加用電源23から制御電圧Vb
1を印加しつつ、かつ、制御電極15に第2の整流器2
5を接続し、共通アース24に対して正となる第2の制
御電圧印加用電源26から制御電圧Vb2を印加する。
ここで制御電圧としては電極駆動装置10からの直流電
圧を使用した。この状態において、電極駆動装置10に
より一対の対向電極5a、5b間に印加される交流電圧
と対向電極5a、5b間の通電電流を図3(a)〜
(c)に示し、その際に制御電極15で観察されるイン
ク電位の変化を図3(d)に示す。一対の対向電極5
a、5bの駆動条件としては、高周波の電極駆動電圧が
3MHz、電極駆動周期Tが200μ秒(5kHz)の
連続通電であり、一方の電極に高圧側を印加するときに
は他方の電極は共通アース24に接地され、このような
印加時間以外には対向電極5a、5bはいずれも共通ア
ース24に接続されている。図3(c)の通電電流Ia
bの波形はインク沸騰室2での気泡の発生と密接に関係
しており、電流波形上で気泡発生点が通電後の経過時間
すなわち沸騰開始時間T1(図3(d))で示される。
沸騰開始時間T1が10μ秒未満というように短すぎる
と駆動中に複数回の気泡発生を繰り返し、また、50μ
秒を越えるというように長すぎると電極駆動中に気泡発
生が得られなくなるため、沸騰開始時間T1は所定の範
囲内に収めておく必要がある。沸騰開始時間T1を制御
するためには上記のインク電位V1、V2の制御を行
い、これにより沸騰開始時間T1を所定の範囲内に収め
ておけばよい。
出装置について、その動作を説明する。このインク吐出
装置において、導電性インク1と接する制御電極15に
第1の整流器22を接続し、共通アース24に対して負
となる第1の制御電圧印加用電源23から制御電圧Vb
1を印加しつつ、かつ、制御電極15に第2の整流器2
5を接続し、共通アース24に対して正となる第2の制
御電圧印加用電源26から制御電圧Vb2を印加する。
ここで制御電圧としては電極駆動装置10からの直流電
圧を使用した。この状態において、電極駆動装置10に
より一対の対向電極5a、5b間に印加される交流電圧
と対向電極5a、5b間の通電電流を図3(a)〜
(c)に示し、その際に制御電極15で観察されるイン
ク電位の変化を図3(d)に示す。一対の対向電極5
a、5bの駆動条件としては、高周波の電極駆動電圧が
3MHz、電極駆動周期Tが200μ秒(5kHz)の
連続通電であり、一方の電極に高圧側を印加するときに
は他方の電極は共通アース24に接地され、このような
印加時間以外には対向電極5a、5bはいずれも共通ア
ース24に接続されている。図3(c)の通電電流Ia
bの波形はインク沸騰室2での気泡の発生と密接に関係
しており、電流波形上で気泡発生点が通電後の経過時間
すなわち沸騰開始時間T1(図3(d))で示される。
沸騰開始時間T1が10μ秒未満というように短すぎる
と駆動中に複数回の気泡発生を繰り返し、また、50μ
秒を越えるというように長すぎると電極駆動中に気泡発
生が得られなくなるため、沸騰開始時間T1は所定の範
囲内に収めておく必要がある。沸騰開始時間T1を制御
するためには上記のインク電位V1、V2の制御を行
い、これにより沸騰開始時間T1を所定の範囲内に収め
ておけばよい。
【0063】対向電極5a、5bにおいては通電回数が
比較的少ない場合と通電回数が増加した場合とでは自ず
と電極表面の状態が変化する。したがって、特定の対向
電極であっても、通電の履歴状態によって実測される通
電電流Iabの波形は異なっており、沸騰開始時間T1
はばらつくことになる。この際、観測されるインク電位
V1、V2もそれぞれに対応して異なった値を示す。
(表3)は、制御電極15を用いない比較例1、第1の
制御電圧印加用電源23から出力される第1の制御電圧
Vb1=−3.0Vのみを印加した場合の比較例2、お
よび、第1の制御電圧印加用電源23から出力される第
1の制御電圧Vb1=−3.0Vと第2の制御電圧印加
用電源26から出力される第2の制御電圧Vb2=9.
0Vとを同時に印加した場合の実施例とを示し、比較例
1、2、実施例におけるインク電位V1、V2と沸騰開
始時間T1を示している。
比較的少ない場合と通電回数が増加した場合とでは自ず
と電極表面の状態が変化する。したがって、特定の対向
電極であっても、通電の履歴状態によって実測される通
電電流Iabの波形は異なっており、沸騰開始時間T1
はばらつくことになる。この際、観測されるインク電位
V1、V2もそれぞれに対応して異なった値を示す。
(表3)は、制御電極15を用いない比較例1、第1の
制御電圧印加用電源23から出力される第1の制御電圧
Vb1=−3.0Vのみを印加した場合の比較例2、お
よび、第1の制御電圧印加用電源23から出力される第
1の制御電圧Vb1=−3.0Vと第2の制御電圧印加
用電源26から出力される第2の制御電圧Vb2=9.
0Vとを同時に印加した場合の実施例とを示し、比較例
1、2、実施例におけるインク電位V1、V2と沸騰開
始時間T1を示している。
【0064】
【表3】
【0065】(表3)から明らかなように、制御電極1
5を用いない比較例1の場合の沸騰開始時間T1は特定
の対向電極についても9.6μ秒から31.6μ秒まで
22μ秒の幅のばらつきが生じるのであるが、実施例で
は16.2μ秒から19.2μ秒まで僅か3μ秒の幅の
ばらつきに収まっている。この実験結果は、制御電極1
5を用いたインク電位の制御により対向電極5a、5b
における通電電流Iabの波形すなわち沸騰開始時間T
1の制御が可能であり、実施例の条件により沸騰開始時
間T1のばらつきを抑制できることを示している。(表
3)の実施例においては、第1の整流器22と負の第1
の制御電圧Vb1とを用いることによって接地時のイン
ク電位V1が負側へ下がり過ぎないようにし、第2の整
流器25と正の第2の制御電圧Vb2とを用いることに
よって通電時のインク電位V2が高く上がり過ぎないよ
うにしているのである。(表3)の比較例2は比較例1
よりもばらつきが少ないが、実施例よりはばらつきが大
きい。
5を用いない比較例1の場合の沸騰開始時間T1は特定
の対向電極についても9.6μ秒から31.6μ秒まで
22μ秒の幅のばらつきが生じるのであるが、実施例で
は16.2μ秒から19.2μ秒まで僅か3μ秒の幅の
ばらつきに収まっている。この実験結果は、制御電極1
5を用いたインク電位の制御により対向電極5a、5b
における通電電流Iabの波形すなわち沸騰開始時間T
1の制御が可能であり、実施例の条件により沸騰開始時
間T1のばらつきを抑制できることを示している。(表
3)の実施例においては、第1の整流器22と負の第1
の制御電圧Vb1とを用いることによって接地時のイン
ク電位V1が負側へ下がり過ぎないようにし、第2の整
流器25と正の第2の制御電圧Vb2とを用いることに
よって通電時のインク電位V2が高く上がり過ぎないよ
うにしているのである。(表3)の比較例2は比較例1
よりもばらつきが少ないが、実施例よりはばらつきが大
きい。
【0066】以上のように本実施の形態によれば、制御
電極15に整流器22を介して接続されると共に共通ア
ース24に接続された制御電圧印加用電源23の制御電
圧Vb1および制御電極15に整流器25を介して接続
されると共に共通アース24に接続された制御電圧印加
用電源26の制御電圧Vb2を変化させることにより簡
便かつ安価な構成でインク電位V1、V2の制御が可能
となり、これによって通電電流Iab(図3(c))の
波形を制御でき、沸騰開始時間T1を安定化できるので
ある。このインク電位V1、V2と通電電流Iabの波
形との関係は不明確ではあるが、対向電極5a、5b表
面の変質層が容量成分を有し、ここにおける電荷の授受
が通電電流Iabの波形に影響を与えているため、イン
ク電位V1、V2の制御により通電電流Iabの波形が
可変できるのではないかと考える。また、制御電極15
に印加する制御電圧は対向電極5a、5bおよびインク
タンク6の形状や材質等により最適値を異にするため、
一概に規定できない。しかし、一定のインク吐出装置で
あれば、第1の整流器22と第2の整流器25とを用い
た本実施の形態において適正な制御電圧を設定すること
によってインク電位V1、V2の制御に基づく安定した
通電電流Iabの波形が得られ、沸騰開始時間T1を所
定の範囲内に制御することができるのである。
電極15に整流器22を介して接続されると共に共通ア
ース24に接続された制御電圧印加用電源23の制御電
圧Vb1および制御電極15に整流器25を介して接続
されると共に共通アース24に接続された制御電圧印加
用電源26の制御電圧Vb2を変化させることにより簡
便かつ安価な構成でインク電位V1、V2の制御が可能
となり、これによって通電電流Iab(図3(c))の
波形を制御でき、沸騰開始時間T1を安定化できるので
ある。このインク電位V1、V2と通電電流Iabの波
形との関係は不明確ではあるが、対向電極5a、5b表
面の変質層が容量成分を有し、ここにおける電荷の授受
が通電電流Iabの波形に影響を与えているため、イン
ク電位V1、V2の制御により通電電流Iabの波形が
可変できるのではないかと考える。また、制御電極15
に印加する制御電圧は対向電極5a、5bおよびインク
タンク6の形状や材質等により最適値を異にするため、
一概に規定できない。しかし、一定のインク吐出装置で
あれば、第1の整流器22と第2の整流器25とを用い
た本実施の形態において適正な制御電圧を設定すること
によってインク電位V1、V2の制御に基づく安定した
通電電流Iabの波形が得られ、沸騰開始時間T1を所
定の範囲内に制御することができるのである。
【0067】(実施の形態4)図8(a)、(b)は本
発明の第4の実施の形態によるインクジェットプリンタ
のインク吐出装置およびその変形例を示す一部破断斜視
図であり、図8(a)はインク電位制御用の制御電極を
インクタンク内に配置した例を示し、図8(b)はイン
ク電位制御用の制御電極を対向電極と同一の基板上に配
置した例を示す。図8(a)、(b)において、導電性
インク27、インク吐出孔28、ノズルプレート29、
対向電極30a、30b、インク沸騰室31、共通イン
ク室32、ガラス基板33、インク滴34は図12と同
様のものなので、説明は省略する。図8(a)、(b)
のインクタンク35は図1のインクタンク6に対応し、
図8(a)の制御電極36、図8(b)の制御電極37
は図1の制御電極15に対応する。
発明の第4の実施の形態によるインクジェットプリンタ
のインク吐出装置およびその変形例を示す一部破断斜視
図であり、図8(a)はインク電位制御用の制御電極を
インクタンク内に配置した例を示し、図8(b)はイン
ク電位制御用の制御電極を対向電極と同一の基板上に配
置した例を示す。図8(a)、(b)において、導電性
インク27、インク吐出孔28、ノズルプレート29、
対向電極30a、30b、インク沸騰室31、共通イン
ク室32、ガラス基板33、インク滴34は図12と同
様のものなので、説明は省略する。図8(a)、(b)
のインクタンク35は図1のインクタンク6に対応し、
図8(a)の制御電極36、図8(b)の制御電極37
は図1の制御電極15に対応する。
【0068】図8(a)、(b)に示すように、ガラス
基板33上に複数の対向した電極30a、30bを有
し、その上部にインク吐出孔28を備えたノズルプレー
ト29が設けられている。また、ガラス基板33はイン
クタンク35に接続されており、インクタンク35から
連続的に導電性インク27が供給されるようになってい
る。対向電極30a、30bの各々には電極駆動装置1
0(図1)が接続されており、電極駆動装置10から各
々の電極30a、30bに交流電圧を印加し、このとき
対向電極30a、30b間に流れる交流電流によって対
向電極30a、30b間に気泡を発生させ、そのエネル
ギーでインクを吐出させる構造となっている。本実施の
形態においては、インクタンク27またはガラス基板3
3上に導電性インク27と接するように制御電極36ま
たは37を設けており、この制御電極36、37に制御
電圧を印加することにより、導電性インク27に接続さ
れた制御電極36、37とインクジェットプリンタの共
通アースとの間に生じる電位差を制御し、対向電極30
a、30b間で安定した気泡の発生を維持できる。
基板33上に複数の対向した電極30a、30bを有
し、その上部にインク吐出孔28を備えたノズルプレー
ト29が設けられている。また、ガラス基板33はイン
クタンク35に接続されており、インクタンク35から
連続的に導電性インク27が供給されるようになってい
る。対向電極30a、30bの各々には電極駆動装置1
0(図1)が接続されており、電極駆動装置10から各
々の電極30a、30bに交流電圧を印加し、このとき
対向電極30a、30b間に流れる交流電流によって対
向電極30a、30b間に気泡を発生させ、そのエネル
ギーでインクを吐出させる構造となっている。本実施の
形態においては、インクタンク27またはガラス基板3
3上に導電性インク27と接するように制御電極36ま
たは37を設けており、この制御電極36、37に制御
電圧を印加することにより、導電性インク27に接続さ
れた制御電極36、37とインクジェットプリンタの共
通アースとの間に生じる電位差を制御し、対向電極30
a、30b間で安定した気泡の発生を維持できる。
【0069】制御電極36、37の材料については、印
加する電圧すなわち導電性インク27と制御電極36、
37との電位差において導電性インク27に溶解しない
導電性材料でかつ耐腐食性材料が用いられる。本実施の
形態における制御電極36、37の材料の選定について
説明する。制御電極36、37の材料として、アルミニ
ウム合金、銅合金、ニッケル合金、スズ鉛合金、金、白
金、ロジウム等の電気配線および接点に用いる材料、鉄
合金、チタン合金、タンタル合金、モリブデン合金等の
耐腐食性材料、またはカーボンからなる不溶性電極材料
が用いられる。これらの材料に対する連続通電による試
験結果によれば、アルミニウム合金、銅合金、ニッケル
合金、スズ鉛合金等は連続通電によって電極が消耗し
た。また、耐腐食性材料の場合、導電性インク27と制
御電極36、37との電位差によって制御電極36、3
7の表面に酸化膜を形成するため、電極損耗は発生しな
いが、酸化膜が抵抗となって若干エネルギー効率が悪く
なる。不溶性電極材料であるカーボン、金、白金、ロジ
ウム等のように導電性インク27に対して電気的に貴な
金属においては、良好な結果を示した。従って、導電性
インク27と接する制御電極36、37としては、少な
くとも表面が金、白金、ロジウム、チタン、タンタルも
しくはカーボンからなる電極を用いることで、電極を溶
解することなく安定して導電性インク27の電位を制御
することができる。
加する電圧すなわち導電性インク27と制御電極36、
37との電位差において導電性インク27に溶解しない
導電性材料でかつ耐腐食性材料が用いられる。本実施の
形態における制御電極36、37の材料の選定について
説明する。制御電極36、37の材料として、アルミニ
ウム合金、銅合金、ニッケル合金、スズ鉛合金、金、白
金、ロジウム等の電気配線および接点に用いる材料、鉄
合金、チタン合金、タンタル合金、モリブデン合金等の
耐腐食性材料、またはカーボンからなる不溶性電極材料
が用いられる。これらの材料に対する連続通電による試
験結果によれば、アルミニウム合金、銅合金、ニッケル
合金、スズ鉛合金等は連続通電によって電極が消耗し
た。また、耐腐食性材料の場合、導電性インク27と制
御電極36、37との電位差によって制御電極36、3
7の表面に酸化膜を形成するため、電極損耗は発生しな
いが、酸化膜が抵抗となって若干エネルギー効率が悪く
なる。不溶性電極材料であるカーボン、金、白金、ロジ
ウム等のように導電性インク27に対して電気的に貴な
金属においては、良好な結果を示した。従って、導電性
インク27と接する制御電極36、37としては、少な
くとも表面が金、白金、ロジウム、チタン、タンタルも
しくはカーボンからなる電極を用いることで、電極を溶
解することなく安定して導電性インク27の電位を制御
することができる。
【0070】以上のように本実施の形態によれば、イン
クタンク27またはガラス基板33上に導電性インク2
7と接するように制御電極36または37を設け、この
制御電極36、37に制御電圧を印加することにより、
導電性インク27に接続された制御電極36、37とイ
ンクジェットプリンタの共通アースとの間に生じる電位
差を制御し、対向電極30a、30b間で安定した気泡
の発生を維持できる。また、少なくとも表面が金、白
金、ロジウム、チタン、タンタルもしくはカーボンから
なる制御電極36、37を用いるようにしたので、電極
を溶解することなく安定して導電性インク27の電位を
制御することができる。
クタンク27またはガラス基板33上に導電性インク2
7と接するように制御電極36または37を設け、この
制御電極36、37に制御電圧を印加することにより、
導電性インク27に接続された制御電極36、37とイ
ンクジェットプリンタの共通アースとの間に生じる電位
差を制御し、対向電極30a、30b間で安定した気泡
の発生を維持できる。また、少なくとも表面が金、白
金、ロジウム、チタン、タンタルもしくはカーボンから
なる制御電極36、37を用いるようにしたので、電極
を溶解することなく安定して導電性インク27の電位を
制御することができる。
【0071】(実施の形態5)本発明の第5の実施の形
態によるインクジェットプリンタの制御回路部は図2に
示す制御回路部15aと殆ど同じ構成であり、異なる点
は可変抵抗器17を固定抵抗器17a(図示せず)とし
た点である。本実施の形態の特徴は後述する電極駆動装
置10の動作形態にある。
態によるインクジェットプリンタの制御回路部は図2に
示す制御回路部15aと殆ど同じ構成であり、異なる点
は可変抵抗器17を固定抵抗器17a(図示せず)とし
た点である。本実施の形態の特徴は後述する電極駆動装
置10の動作形態にある。
【0072】第1の実施の形態でも述べたように、対向
電極5a、5bを共通アース18に接地したときの導電
性インク1と共通アース18との間の電位差をインク電
位と呼び、これを制御電極15と共通アース18との間
の電位差で定義する。この場合、制御電極15と各々の
対向電極5a、5bとは共に導電性インク1と接してお
り、これらを同時に共通アース18へ接続したときには
制御電極15と対向電極5a、5bとの間に電位差は発
生しないと考えられるが、実際には通電を行った後の対
向電極5a、5bと制御電極15との間には電位差が発
生する。この理由は、通電により対向電極5a、5bの
表面には酸化等による高抵抗の変質層が生じており、こ
の変質層と導電性インク1との界面に電気二重層等の容
量成分が発生し、通電によりこの容量成分に電荷が蓄積
されるためと考えられる。また、インク電位や沸騰開始
時間T1は印字周期T(図3参照)により変化する。こ
れは通電により対向電極5a、5bの表面に蓄積される
電荷量は単位時間あたりの通電回数に依存するためであ
り、印字周期Tが短いほど蓄積される電荷量は大きくな
り、インク電位は下がり、沸騰開始時間T1は増大す
る。
電極5a、5bを共通アース18に接地したときの導電
性インク1と共通アース18との間の電位差をインク電
位と呼び、これを制御電極15と共通アース18との間
の電位差で定義する。この場合、制御電極15と各々の
対向電極5a、5bとは共に導電性インク1と接してお
り、これらを同時に共通アース18へ接続したときには
制御電極15と対向電極5a、5bとの間に電位差は発
生しないと考えられるが、実際には通電を行った後の対
向電極5a、5bと制御電極15との間には電位差が発
生する。この理由は、通電により対向電極5a、5bの
表面には酸化等による高抵抗の変質層が生じており、こ
の変質層と導電性インク1との界面に電気二重層等の容
量成分が発生し、通電によりこの容量成分に電荷が蓄積
されるためと考えられる。また、インク電位や沸騰開始
時間T1は印字周期T(図3参照)により変化する。こ
れは通電により対向電極5a、5bの表面に蓄積される
電荷量は単位時間あたりの通電回数に依存するためであ
り、印字周期Tが短いほど蓄積される電荷量は大きくな
り、インク電位は下がり、沸騰開始時間T1は増大す
る。
【0073】以上のように構成されたインクジェットプ
リンタのインク吐出装置について、その動作を説明す
る。本構成において、吐出用の通電を行う通電時間以外
の期間、電極駆動装置10によって対向電極5a、5b
を接地させる時間を印字周期Tに応じて変えることによ
って、導電性インク1の電位制御を行い、一対の対向電
極5a、5b間で印字周期Tに依らず安定した通電状態
を形成し、安定した沸騰気泡12の発生を維持できる。
通電のタイミングを図10を用いて説明する。図10に
おいて、パルス電圧印加時間Tonは一対の対向電極5
a、5bにパルス電圧を印加する時間を示しており、こ
の時間インク吐出のために交流電圧を印加する。接地時
間Tdはパルス電圧印加直前に一対の対向電極5a、5
bを初期化するために電極駆動装置10の共通アース1
8に対向電極5a、5bが接続される時間を示す。接地
時間Tdとパルス電圧印加時間Ton以外の期間は対向
電極5a、5bは高抵抗状態にする。このような対向電
極駆動方式において、接地時間Tdの時間を印字周期T
に応じて変化させることにより、印字周期Tに依らず一
定のインク電位および沸騰開始時間T1を得ることが可
能となる。印字周期Tによる接地時間Tdは最大でも印
字周期Tからパルス電圧印加時間Tonを差し引いた時
間であり、印字の間隔が短くなればなるほど最大値に近
づいていく。なお、接地時間Tdの制御はドライバ(制
御手段)10a、10bにより行われる。
リンタのインク吐出装置について、その動作を説明す
る。本構成において、吐出用の通電を行う通電時間以外
の期間、電極駆動装置10によって対向電極5a、5b
を接地させる時間を印字周期Tに応じて変えることによ
って、導電性インク1の電位制御を行い、一対の対向電
極5a、5b間で印字周期Tに依らず安定した通電状態
を形成し、安定した沸騰気泡12の発生を維持できる。
通電のタイミングを図10を用いて説明する。図10に
おいて、パルス電圧印加時間Tonは一対の対向電極5
a、5bにパルス電圧を印加する時間を示しており、こ
の時間インク吐出のために交流電圧を印加する。接地時
間Tdはパルス電圧印加直前に一対の対向電極5a、5
bを初期化するために電極駆動装置10の共通アース1
8に対向電極5a、5bが接続される時間を示す。接地
時間Tdとパルス電圧印加時間Ton以外の期間は対向
電極5a、5bは高抵抗状態にする。このような対向電
極駆動方式において、接地時間Tdの時間を印字周期T
に応じて変化させることにより、印字周期Tに依らず一
定のインク電位および沸騰開始時間T1を得ることが可
能となる。印字周期Tによる接地時間Tdは最大でも印
字周期Tからパルス電圧印加時間Tonを差し引いた時
間であり、印字の間隔が短くなればなるほど最大値に近
づいていく。なお、接地時間Tdの制御はドライバ(制
御手段)10a、10bにより行われる。
【0074】本実施の形態では、対向電極5a、5bと
して厚さ2μm、幅30μm、対向距離4μmのTi電
極を用い、導電性インク1は比抵抗が20Ω・cm(3
MHz時)となるように調整したものを用いた。複数の
対向電極5a、5bの接地は全てを等しい時間とタイミ
ングで接地した。また、制御電極15は金電極を用いて
インクタンク6内に配置した。さらに、複数の対向電極
5a、5bは56個の同一なものより構成した。
して厚さ2μm、幅30μm、対向距離4μmのTi電
極を用い、導電性インク1は比抵抗が20Ω・cm(3
MHz時)となるように調整したものを用いた。複数の
対向電極5a、5bの接地は全てを等しい時間とタイミ
ングで接地した。また、制御電極15は金電極を用いて
インクタンク6内に配置した。さらに、複数の対向電極
5a、5bは56個の同一なものより構成した。
【0075】(表4)は、制御電極15を用いない比較
例におけるインク電位および沸騰開始時間T1と、制御
電極15を設けて対向電極5a、5bの接地時間Tdを
最適値に設定した実施例におけるインク電位および沸騰
開始時間T1とを比較したものである。
例におけるインク電位および沸騰開始時間T1と、制御
電極15を設けて対向電極5a、5bの接地時間Tdを
最適値に設定した実施例におけるインク電位および沸騰
開始時間T1とを比較したものである。
【0076】
【表4】
【0077】(表4)における沸騰開始時間T1の値は
56個の対向電極5a、5bにおける値の平均値であ
る。(表4)から明らかなように、制御電極15を用い
ない比較例の場合の沸騰開始時間T1は印字周期Tによ
って18.0μ秒から35.0μ秒まで17μ秒の幅の
ばらつきを生じているが、制御電極15を設けかつ接地
時間Tdを最適値に設定した場合の実施例ではこれが2
4.2μ秒から26.7μ秒まで僅か2.5μ秒の幅の
ばらつきに収まっている。この実験結果は、印字周期T
に応じた接地時間の最適設定によってインク電位の制御
が可能となり、同時にインクの安定吐出にとって重要な
沸騰開始時間T1の制御が可能となり、沸騰開始時間T
1の印字周期Tによるばらつきを抑制できることを示し
ている。実施例においては、対向電極5a、5bの接地
時間を印字周期Tに応じて最適化することにより、通電
中に対向電極5a、5bの表面に蓄積された電荷の放電
の程度を印字周期Tに依らず一定にし、インク電位を制
御し、印字周期Tに応じて発生する沸騰開始時間T1の
差を低減している。
56個の対向電極5a、5bにおける値の平均値であ
る。(表4)から明らかなように、制御電極15を用い
ない比較例の場合の沸騰開始時間T1は印字周期Tによ
って18.0μ秒から35.0μ秒まで17μ秒の幅の
ばらつきを生じているが、制御電極15を設けかつ接地
時間Tdを最適値に設定した場合の実施例ではこれが2
4.2μ秒から26.7μ秒まで僅か2.5μ秒の幅の
ばらつきに収まっている。この実験結果は、印字周期T
に応じた接地時間の最適設定によってインク電位の制御
が可能となり、同時にインクの安定吐出にとって重要な
沸騰開始時間T1の制御が可能となり、沸騰開始時間T
1の印字周期Tによるばらつきを抑制できることを示し
ている。実施例においては、対向電極5a、5bの接地
時間を印字周期Tに応じて最適化することにより、通電
中に対向電極5a、5bの表面に蓄積された電荷の放電
の程度を印字周期Tに依らず一定にし、インク電位を制
御し、印字周期Tに応じて発生する沸騰開始時間T1の
差を低減している。
【0078】本実施の形態において整流器16と固定抵
抗器17aを介して接地する制御電極15を用いる理由
は、制御電極15を用いずに対向電極5a、5bの接地
時間を変えても、インク電位、沸騰開始時間T1は変化
しないからである。これは、対向電極5a、5bの表面
に蓄積した電荷を放電する場合、導電性インク1側に電
流が流れる電気経路がなければ導電性インク1側から対
向電極5a、5bに電流が流れないためと考えられる。
抗器17aを介して接地する制御電極15を用いる理由
は、制御電極15を用いずに対向電極5a、5bの接地
時間を変えても、インク電位、沸騰開始時間T1は変化
しないからである。これは、対向電極5a、5bの表面
に蓄積した電荷を放電する場合、導電性インク1側に電
流が流れる電気経路がなければ導電性インク1側から対
向電極5a、5bに電流が流れないためと考えられる。
【0079】なお、本実施の形態では、制御電極15を
インクタンク6内に配置するとしたが、制御電極15を
対向電極5a、5bと同一の基板上に配置しても同様の
効果を奏することができる。また、接地期間Tdで対向
電極5a、5bを接地したが、接地期間Tdで対向電極
5a、5bを共通アース18に対して負電位に接続する
構成でも同様の効果が得られる。また、制御電極15を
整流器16および固定抵抗器17aを介して接地した
が、整流器16を介して又は整流器16と固定抵抗器1
7aを介して共通アース18に対する直流もしくは交流
の制御電圧を制御電極15に印加する構成でも同様の効
果が得られる。
インクタンク6内に配置するとしたが、制御電極15を
対向電極5a、5bと同一の基板上に配置しても同様の
効果を奏することができる。また、接地期間Tdで対向
電極5a、5bを接地したが、接地期間Tdで対向電極
5a、5bを共通アース18に対して負電位に接続する
構成でも同様の効果が得られる。また、制御電極15を
整流器16および固定抵抗器17aを介して接地した
が、整流器16を介して又は整流器16と固定抵抗器1
7aを介して共通アース18に対する直流もしくは交流
の制御電圧を制御電極15に印加する構成でも同様の効
果が得られる。
【0080】以上のように本実施の形態によれば、電極
駆動装置10が接地時間Tdの値を印字周期Tに応じて
変化させるようにしたので、印字周期Tに依らず一定の
インク電位および沸騰開始時間T1を得ることが可能と
なる。
駆動装置10が接地時間Tdの値を印字周期Tに応じて
変化させるようにしたので、印字周期Tに依らず一定の
インク電位および沸騰開始時間T1を得ることが可能と
なる。
【0081】(実施の形態6)図9は、本発明の第6の
実施の形態によるインクジェットプリンタのインク吐出
装置の構成を示す概略断面図である。図9において、導
電性インク1、インク沸騰室2、インク吐出孔3、ノズ
ルプレート4、対向電極5a、5b、インクタンク6、
ガラス基板7、共通インク室8、インク流路9、電極駆
動装置10、ドライバ10a、10b、導体部11、沸
騰気泡12、インク滴13、記録媒体14、制御電極1
5は図1と同様のものなので、説明は省略する。整流器
38は例えばダイオードであり、1方向の電流のみを通
し、電圧制御回路39は制御電極15に所定電圧を印加
する。整流器38および電圧制御回路39は制御回路部
を構成する。
実施の形態によるインクジェットプリンタのインク吐出
装置の構成を示す概略断面図である。図9において、導
電性インク1、インク沸騰室2、インク吐出孔3、ノズ
ルプレート4、対向電極5a、5b、インクタンク6、
ガラス基板7、共通インク室8、インク流路9、電極駆
動装置10、ドライバ10a、10b、導体部11、沸
騰気泡12、インク滴13、記録媒体14、制御電極1
5は図1と同様のものなので、説明は省略する。整流器
38は例えばダイオードであり、1方向の電流のみを通
し、電圧制御回路39は制御電極15に所定電圧を印加
する。整流器38および電圧制御回路39は制御回路部
を構成する。
【0082】以上のような構成のインク吐出装置につい
て説明する前に、図6の制御回路部15aとの比較、イ
ンク電位等について説明する。本実施の形態によるイン
ク吐出装置においては、図6に示すように、導電性イン
ク1と接する制御電極15が設けられており、制御電極
15は整流器19を介して制御電圧印加用電源20に接
続されている。制御電圧印加用電源20は所定の制御電
圧を所定のタイミングおよび所定の時間、制御電極15
に印加する機能を有している。このような制御された電
圧が制御電極15を介して通電中の導電性インク1に印
加されると、上記制御電圧と通電時電極駆動電圧とに準
じた電位で通電中の導電性インク1の電位を或る一定レ
ベルに制御することが可能となる。このようにして動作
中の導電性インク1のインク電位が安定することにな
り、一対の対向電極5a、5b間では安定した通電状態
を形成し、安定した沸騰気泡12の発生を維持できるよ
うになる。
て説明する前に、図6の制御回路部15aとの比較、イ
ンク電位等について説明する。本実施の形態によるイン
ク吐出装置においては、図6に示すように、導電性イン
ク1と接する制御電極15が設けられており、制御電極
15は整流器19を介して制御電圧印加用電源20に接
続されている。制御電圧印加用電源20は所定の制御電
圧を所定のタイミングおよび所定の時間、制御電極15
に印加する機能を有している。このような制御された電
圧が制御電極15を介して通電中の導電性インク1に印
加されると、上記制御電圧と通電時電極駆動電圧とに準
じた電位で通電中の導電性インク1の電位を或る一定レ
ベルに制御することが可能となる。このようにして動作
中の導電性インク1のインク電位が安定することにな
り、一対の対向電極5a、5b間では安定した通電状態
を形成し、安定した沸騰気泡12の発生を維持できるよ
うになる。
【0083】ところで、従来のインクジェットプリンタ
のインク吐出装置における大きな特徴としては、非動作
時の導電性インク1の電位が共通アースに対して負の状
態であること、かつ、駆動周波数つまり印字周期により
通電直前の上記インク電位の絶対値が変化することであ
る。このことは、駆動周波数によって非動作時間の長さ
が異なるため非動作時間内の放電による電位変化がある
ことを示している。また、このことは、非動作時のイン
ク電位つまり通電直前のインク電位が変化することによ
って沸騰開始時間がばらつくことを示しており、このこ
とは実験的にも明らかである。導電性インク1の電位が
負の状態になるメカニズムは、一対の対向電極5a、5
b間を流れるそれぞれの双方向の電流成分が一致してい
ないことに起因するものであると推定される。この推定
から、通電直前の導電性インク1のインク電位が負の条
件下で電極駆動電圧が印加されると、導電性インク1中
の負の電荷は通電直後、一対の対向電極5a、5bに移
動しようとして電位障壁を形成し、電流の流れが抑制さ
れる。したがって、この負の電荷の移動すなわち一対の
対向電極5a、5b間に流れる電流が抑制され、沸騰開
始時間が増大することになる。本実施の形態は、通電後
に生じる電位障壁に対して、通電中の導電性インク1に
外部から強制的に所定電圧を印加することによりその電
位障壁を一定レベルに押さえ込むか、または、その電位
障壁をなくすことで、通電中のインク電位を或る一定レ
ベルに制御するものである。これにより、駆動周波数の
変化による沸騰開始時間の変化を制御することが可能で
ある。
のインク吐出装置における大きな特徴としては、非動作
時の導電性インク1の電位が共通アースに対して負の状
態であること、かつ、駆動周波数つまり印字周期により
通電直前の上記インク電位の絶対値が変化することであ
る。このことは、駆動周波数によって非動作時間の長さ
が異なるため非動作時間内の放電による電位変化がある
ことを示している。また、このことは、非動作時のイン
ク電位つまり通電直前のインク電位が変化することによ
って沸騰開始時間がばらつくことを示しており、このこ
とは実験的にも明らかである。導電性インク1の電位が
負の状態になるメカニズムは、一対の対向電極5a、5
b間を流れるそれぞれの双方向の電流成分が一致してい
ないことに起因するものであると推定される。この推定
から、通電直前の導電性インク1のインク電位が負の条
件下で電極駆動電圧が印加されると、導電性インク1中
の負の電荷は通電直後、一対の対向電極5a、5bに移
動しようとして電位障壁を形成し、電流の流れが抑制さ
れる。したがって、この負の電荷の移動すなわち一対の
対向電極5a、5b間に流れる電流が抑制され、沸騰開
始時間が増大することになる。本実施の形態は、通電後
に生じる電位障壁に対して、通電中の導電性インク1に
外部から強制的に所定電圧を印加することによりその電
位障壁を一定レベルに押さえ込むか、または、その電位
障壁をなくすことで、通電中のインク電位を或る一定レ
ベルに制御するものである。これにより、駆動周波数の
変化による沸騰開始時間の変化を制御することが可能で
ある。
【0084】次に、図9に示すインク吐出装置につい
て、その動作を説明する。図9のインク吐出装置は、導
電性インク1と接する制御電極15に整流器38のカソ
ードを接続し、そのアノードを電圧制御回路39に接続
している。整流器38は電荷の移動方向を制限するもの
である。電圧制御回路39は、制御電極15に所定電圧
を印加する機能と、その所定電圧を所定タイミングと所
定時間とで印加する機能を有する。
て、その動作を説明する。図9のインク吐出装置は、導
電性インク1と接する制御電極15に整流器38のカソ
ードを接続し、そのアノードを電圧制御回路39に接続
している。整流器38は電荷の移動方向を制限するもの
である。電圧制御回路39は、制御電極15に所定電圧
を印加する機能と、その所定電圧を所定タイミングと所
定時間とで印加する機能を有する。
【0085】次に、図9のインク吐出装置の電圧制御回
路39において、上記所定電圧、所定タイミング、所定
時間を得る動作について説明する。まず所定電圧を得る
には、或る一定基準電圧を可変抵抗器で分圧し、そのと
きの電圧を制御電圧とするようにした。このとき、上記
一定基準電圧として電極駆動装置10から出力される電
極駆動電圧を流用しても良い。所定タイミング、所定時
間を得るには、電極駆動装置10の駆動許可信号Hz
a、Hzbをそのまま流用して所定タイミングを作り、
その所定タイミングから可変の所定時間を作る。図9の
電圧制御回路39の動作を上述したようなものとするこ
とで従来の電極駆動装置10を流用できるため、特に新
しい機能を付加する必要がなくなる。これにより、導電
性インク1には制御電極15を介して所定タイミングと
所定時間とで制御電圧を印加することができるようにな
る。制御電圧を印加する所定タイミングと所定時間とは
通電を行う時に同時に決定されるものである。
路39において、上記所定電圧、所定タイミング、所定
時間を得る動作について説明する。まず所定電圧を得る
には、或る一定基準電圧を可変抵抗器で分圧し、そのと
きの電圧を制御電圧とするようにした。このとき、上記
一定基準電圧として電極駆動装置10から出力される電
極駆動電圧を流用しても良い。所定タイミング、所定時
間を得るには、電極駆動装置10の駆動許可信号Hz
a、Hzbをそのまま流用して所定タイミングを作り、
その所定タイミングから可変の所定時間を作る。図9の
電圧制御回路39の動作を上述したようなものとするこ
とで従来の電極駆動装置10を流用できるため、特に新
しい機能を付加する必要がなくなる。これにより、導電
性インク1には制御電極15を介して所定タイミングと
所定時間とで制御電圧を印加することができるようにな
る。制御電圧を印加する所定タイミングと所定時間とは
通電を行う時に同時に決定されるものである。
【0086】ここで、図3(a)、(b)は電極駆動装
置10のドライバ10a、10bに印加されるパルス信
号PLSa、PLSb、言い換えれば、電極駆動装置1
0により一対の対向電極5a、5b間に印加される交流
電圧を示し、図3(c)は対向電極5a、5b間の通電
電流Iabの波形を示し、図3(d)は制御電極15で
観測されるインク電位Viの変化を示す。一対の対向電
極5a、5bの駆動条件としては、交流の電極駆動電圧
の周波数が3MHz、電極駆動電圧の周期Tが200μ
秒の連続通電であり、一方の電極に「H」レベルを印加
するときには他方の電極は共通アースに接地され、この
ような交流の電極駆動電圧の印加時以外には対向電極5
a、5bはいずれも高抵抗状態になっている。図3
(c)の通電電流Iabの波形はインク沸騰室2内での
気泡の発生と密接に関係しており、通電電流Iabの波
形上で気泡発生時点が通電後の経過時間つまり沸騰開始
時間T1で示される。沸騰開始時間T1が10μ秒未満
のように短すぎると電極駆動中に複数回の気泡発生を繰
り返し、また、50μ秒を越えるくらいに長すぎると電
極駆動中に気泡発生が得られなくなるため、沸騰開始時
間T1を所定の範囲内に収めておく必要がある。例えば
インクジェットプリンタでモノクロ印字およびカラー印
字を行う場合、通常、その電極駆動周期Tつまり印字周
波数は一定ではなく、ある一定の電極駆動周波数の領域
内で印字が行われる。しかし、従来の場合は、沸騰開始
時間T1がその電極駆動周期Tに大きく依存するために
問題となっていた。
置10のドライバ10a、10bに印加されるパルス信
号PLSa、PLSb、言い換えれば、電極駆動装置1
0により一対の対向電極5a、5b間に印加される交流
電圧を示し、図3(c)は対向電極5a、5b間の通電
電流Iabの波形を示し、図3(d)は制御電極15で
観測されるインク電位Viの変化を示す。一対の対向電
極5a、5bの駆動条件としては、交流の電極駆動電圧
の周波数が3MHz、電極駆動電圧の周期Tが200μ
秒の連続通電であり、一方の電極に「H」レベルを印加
するときには他方の電極は共通アースに接地され、この
ような交流の電極駆動電圧の印加時以外には対向電極5
a、5bはいずれも高抵抗状態になっている。図3
(c)の通電電流Iabの波形はインク沸騰室2内での
気泡の発生と密接に関係しており、通電電流Iabの波
形上で気泡発生時点が通電後の経過時間つまり沸騰開始
時間T1で示される。沸騰開始時間T1が10μ秒未満
のように短すぎると電極駆動中に複数回の気泡発生を繰
り返し、また、50μ秒を越えるくらいに長すぎると電
極駆動中に気泡発生が得られなくなるため、沸騰開始時
間T1を所定の範囲内に収めておく必要がある。例えば
インクジェットプリンタでモノクロ印字およびカラー印
字を行う場合、通常、その電極駆動周期Tつまり印字周
波数は一定ではなく、ある一定の電極駆動周波数の領域
内で印字が行われる。しかし、従来の場合は、沸騰開始
時間T1がその電極駆動周期Tに大きく依存するために
問題となっていた。
【0087】本実施の形態によるインク吐出装置におい
て、電極駆動周波数fを変化させたときのインク電位V
2と沸騰開始時間T1との関係を(表5)に示す。
て、電極駆動周波数fを変化させたときのインク電位V
2と沸騰開始時間T1との関係を(表5)に示す。
【0088】
【表5】
【0089】(表5)から明らかなように、制御電極1
5を用いない比較例においては導電性インク1のインク
電位V2は9.4Vから12.9Vというように3.5
Vも変動しているのに対し、分圧可変抵抗器の抵抗値を
最適値に設定した場合の実施例においてはインク電位V
2は電極駆動周波数fの全域に亘って12.4Vから1
2.8Vと安定している。このように実施例では通電中
のインク電位をほぼ一定に制御することが可能である。
また、(表5)から明らかなように、制御電極15を用
いない比較例の沸騰開始時間T1では特定の対向電極一
つに関して見ても20.0μ秒から36.0μ秒まで1
6μ秒の幅のばらつきが生じているが、実施例ではこれ
が20.0μ秒から25.0μ秒まで僅かに5μ秒の幅
のばらつきに収まっている。この実験結果は、制御電極
を用いたインク電位V2の制御により対向電極5a、5
bにおける通電電流Iabの波形すなわち沸騰開始時間
T1の制御が可能であり、沸騰開始時間T1のばらつき
を抑制できることを示している。(表5)に示すインク
電位V2は、印加電圧、導電性インク1の組成、対向電
極5a、5bの表面状態、インクタンク6の構成部材な
どの周辺の状態によって決定されるものであり、一概に
規定することはできない。しかし、本実施の形態によれ
ば、電極駆動周波数fに依らずインク電位V2を或る一
定値に制御できることにより沸騰開始時間T1のばらつ
きを抑制できる。
5を用いない比較例においては導電性インク1のインク
電位V2は9.4Vから12.9Vというように3.5
Vも変動しているのに対し、分圧可変抵抗器の抵抗値を
最適値に設定した場合の実施例においてはインク電位V
2は電極駆動周波数fの全域に亘って12.4Vから1
2.8Vと安定している。このように実施例では通電中
のインク電位をほぼ一定に制御することが可能である。
また、(表5)から明らかなように、制御電極15を用
いない比較例の沸騰開始時間T1では特定の対向電極一
つに関して見ても20.0μ秒から36.0μ秒まで1
6μ秒の幅のばらつきが生じているが、実施例ではこれ
が20.0μ秒から25.0μ秒まで僅かに5μ秒の幅
のばらつきに収まっている。この実験結果は、制御電極
を用いたインク電位V2の制御により対向電極5a、5
bにおける通電電流Iabの波形すなわち沸騰開始時間
T1の制御が可能であり、沸騰開始時間T1のばらつき
を抑制できることを示している。(表5)に示すインク
電位V2は、印加電圧、導電性インク1の組成、対向電
極5a、5bの表面状態、インクタンク6の構成部材な
どの周辺の状態によって決定されるものであり、一概に
規定することはできない。しかし、本実施の形態によれ
ば、電極駆動周波数fに依らずインク電位V2を或る一
定値に制御できることにより沸騰開始時間T1のばらつ
きを抑制できる。
【0090】以上のように本実施の形態によれば、或る
一定基準電圧を可変抵抗器で分圧して所定電圧の制御電
圧を生成し、電極駆動装置10の駆動許可信号Hza、
Hzbをそのまま流用して所定タイミング、所定時間を
生成するようにしたので、分圧可変抵抗器((表5)の
制御用可変抵抗器)を最適値に設定することにより、イ
ンク電位を或る一定値に制御できることにより沸騰開始
時間T1のばらつきを抑制できる。しかも、制御電極1
5に印加する制御電圧は電極駆動装置10から流用する
ようにしたので簡単な構成で上記効果を得ることができ
る。
一定基準電圧を可変抵抗器で分圧して所定電圧の制御電
圧を生成し、電極駆動装置10の駆動許可信号Hza、
Hzbをそのまま流用して所定タイミング、所定時間を
生成するようにしたので、分圧可変抵抗器((表5)の
制御用可変抵抗器)を最適値に設定することにより、イ
ンク電位を或る一定値に制御できることにより沸騰開始
時間T1のばらつきを抑制できる。しかも、制御電極1
5に印加する制御電圧は電極駆動装置10から流用する
ようにしたので簡単な構成で上記効果を得ることができ
る。
【0091】
【発明の効果】以上のように本発明のインクジェットプ
リンタによれば、導電性インクの電位を制御して沸騰開
始時間を制御することができるという有利な効果が得ら
れる。また、制御電極の印加電圧を制御することにより
導電性インクたとえばインクタンク内又は共通インク室
の導電性インクの電位を制御することができるという有
利な効果が得られる。さらに、制御電極への電圧印加が
対向電極と同一の基板上でなされるので、制御電極の電
圧印加が容易化されるという有利な効果が得られる。さ
らに、制御電極が、少なくとも表面が金、白金、ロジウ
ム、チタン、タンタル又はカーボンから成る電極である
ことにより、制御電極が溶解されることもなく安定して
導電性インクの電位が制御されるという有利な効果が得
られる。さらに、可変抵抗器の抵抗値を変えることによ
り制御電極の印加電圧つまり導電性インクの電位を制御
することができ、簡単な回路構成で導電性インクの電位
を制御できるという有利な効果が得られる。さらに、直
流もしくは交流の制御電圧値を変えることにより制御電
極の印加電圧つまり導電性インクの電位を制御すること
ができ、より正確に導電性インクの電位を制御すること
ができるという有利な効果が得られる。負又は正となる
制御電圧値を変えることにより制御電極の印加電圧つま
り導電性インクの電位を制御することができ、さらに精
細に導電性インクの電位を制御できるという有利な効果
が得られる。さらに、導電性インクと制御電極との間に
発生する酸素過電圧よりも僅かに高い電位に導電性イン
ク電位を制御することにより、制御電極の溶解を防止で
きるという有利な効果が得られる。さらに、導電性イン
ク吐出のために対向電極間に通電を行う通電期間とは別
の期間において対向電極を負電位に接続することによ
り、制御電極印加電圧値の変動つまり沸騰開始時間の変
動を抑制できるという有利な効果が得られる。さらに、
導電性インク吐出のために対向電極間に通電を行う通電
期間とは別の期間において対向電極を共通アースまたは
負電位に接続すると共に、接続のタイミングおよび時間
を制御することにより、制御電極印加電圧値の変動つま
り沸騰開始時間の変動を更に抑制できるという有利な効
果が得られる。さらに、導電性インク吐出のために対向
電極間に通電を行う通電期間とは別の期間において対向
電極を共通アースまたは負電位に接続すると共に、接続
のタイミングおよび時間を印字周期に応じて変えること
により、印字周期の変動に伴う制御電極印加電圧値の変
動つまり沸騰開始時間の変動を抑制できるという有利な
効果が得られる。さらに、電極駆動装置の出力の一部た
とえば出力電圧の一部を利用して制御電極に印加する制
御電圧を発生することにより、制御電極に電圧を印加す
るための電源を簡易化することができるという有利な効
果が得られる。さらに、電極駆動装置内の信号および出
力電圧を利用して制御電極に印加する制御電圧を発生す
ることにより、制御電極に電圧を印加するための電源を
更に簡易化することができるという有利な効果が得られ
る。さらに、電極駆動装置内の信号および出力電圧を利
用して制御電極に印加する制御電圧を発生すると共に印
加する制御電圧の印加時間を制御することにより、制御
電極に電圧を印加するための電源を更に簡易化できると
共に精細な制御が可能になるという有利な効果が得られ
る。さらに、電極駆動装置内の信号および出力電圧を利
用して制御電極に印加する制御電圧を発生すると共に印
加する制御電圧の印加時間を印加周期に応じて変える電
圧制御回路とを有することにより、制御電極に電圧を印
加するための電源を更に簡易化できると共に更に精細な
制御が可能になるという有利な効果が得られる。電圧制
御回路が電極駆動装置の出力電圧をそのまま制御電極に
印加することにより、制御電圧を発生する電源を更に一
層、簡易化することができる。
リンタによれば、導電性インクの電位を制御して沸騰開
始時間を制御することができるという有利な効果が得ら
れる。また、制御電極の印加電圧を制御することにより
導電性インクたとえばインクタンク内又は共通インク室
の導電性インクの電位を制御することができるという有
利な効果が得られる。さらに、制御電極への電圧印加が
対向電極と同一の基板上でなされるので、制御電極の電
圧印加が容易化されるという有利な効果が得られる。さ
らに、制御電極が、少なくとも表面が金、白金、ロジウ
ム、チタン、タンタル又はカーボンから成る電極である
ことにより、制御電極が溶解されることもなく安定して
導電性インクの電位が制御されるという有利な効果が得
られる。さらに、可変抵抗器の抵抗値を変えることによ
り制御電極の印加電圧つまり導電性インクの電位を制御
することができ、簡単な回路構成で導電性インクの電位
を制御できるという有利な効果が得られる。さらに、直
流もしくは交流の制御電圧値を変えることにより制御電
極の印加電圧つまり導電性インクの電位を制御すること
ができ、より正確に導電性インクの電位を制御すること
ができるという有利な効果が得られる。負又は正となる
制御電圧値を変えることにより制御電極の印加電圧つま
り導電性インクの電位を制御することができ、さらに精
細に導電性インクの電位を制御できるという有利な効果
が得られる。さらに、導電性インクと制御電極との間に
発生する酸素過電圧よりも僅かに高い電位に導電性イン
ク電位を制御することにより、制御電極の溶解を防止で
きるという有利な効果が得られる。さらに、導電性イン
ク吐出のために対向電極間に通電を行う通電期間とは別
の期間において対向電極を負電位に接続することによ
り、制御電極印加電圧値の変動つまり沸騰開始時間の変
動を抑制できるという有利な効果が得られる。さらに、
導電性インク吐出のために対向電極間に通電を行う通電
期間とは別の期間において対向電極を共通アースまたは
負電位に接続すると共に、接続のタイミングおよび時間
を制御することにより、制御電極印加電圧値の変動つま
り沸騰開始時間の変動を更に抑制できるという有利な効
果が得られる。さらに、導電性インク吐出のために対向
電極間に通電を行う通電期間とは別の期間において対向
電極を共通アースまたは負電位に接続すると共に、接続
のタイミングおよび時間を印字周期に応じて変えること
により、印字周期の変動に伴う制御電極印加電圧値の変
動つまり沸騰開始時間の変動を抑制できるという有利な
効果が得られる。さらに、電極駆動装置の出力の一部た
とえば出力電圧の一部を利用して制御電極に印加する制
御電圧を発生することにより、制御電極に電圧を印加す
るための電源を簡易化することができるという有利な効
果が得られる。さらに、電極駆動装置内の信号および出
力電圧を利用して制御電極に印加する制御電圧を発生す
ることにより、制御電極に電圧を印加するための電源を
更に簡易化することができるという有利な効果が得られ
る。さらに、電極駆動装置内の信号および出力電圧を利
用して制御電極に印加する制御電圧を発生すると共に印
加する制御電圧の印加時間を制御することにより、制御
電極に電圧を印加するための電源を更に簡易化できると
共に精細な制御が可能になるという有利な効果が得られ
る。さらに、電極駆動装置内の信号および出力電圧を利
用して制御電極に印加する制御電圧を発生すると共に印
加する制御電圧の印加時間を印加周期に応じて変える電
圧制御回路とを有することにより、制御電極に電圧を印
加するための電源を更に簡易化できると共に更に精細な
制御が可能になるという有利な効果が得られる。電圧制
御回路が電極駆動装置の出力電圧をそのまま制御電極に
印加することにより、制御電圧を発生する電源を更に一
層、簡易化することができる。
【図1】本発明の各実施の形態に共通するインクジェッ
トプリンタのインク吐出装置を示す概略断面図
トプリンタのインク吐出装置を示す概略断面図
【図2】本発明の一実施の形態によるインクジェットプ
リンタの制御回路部を示す回路図
リンタの制御回路部を示す回路図
【図3】要部の信号波形を示すタイミング図
【図4】インク電位と可変抵抗器の抵抗値との関係を示
すグラフ図
すグラフ図
【図5】沸騰開始時間と可変抵抗器の抵抗値との関係を
示すグラフ図
示すグラフ図
【図6】本発明の第2の実施の形態によるインクジェッ
トプリンタの制御回路部を示す回路図
トプリンタの制御回路部を示す回路図
【図7】本発明の第3の実施の形態によるインクジェッ
トプリンタの制御回路部を示す回路図
トプリンタの制御回路部を示す回路図
【図8】(a)本発明の第4の実施の形態によるインク
ジェットプリンタのインク吐出装置を示す一部破断斜視
図 (b)本発明の第4の実施の形態によるインクジェット
プリンタのインク吐出装置の変形例を示す一部破断斜視
図
ジェットプリンタのインク吐出装置を示す一部破断斜視
図 (b)本発明の第4の実施の形態によるインクジェット
プリンタのインク吐出装置の変形例を示す一部破断斜視
図
【図9】本発明の第6の実施の形態によるインクジェッ
トプリンタのインク吐出装置の構成を示す概略断面図
トプリンタのインク吐出装置の構成を示す概略断面図
【図10】(a)ドライバの制御端子に印加される駆動
許可信号を示すタイミング図 (b)ドライバの制御端子に印加される駆動許可信号を
示すタイミング図 (c)ドライバに入力されるパルス信号を示すタイミン
グ図 (d)ドライバに入力されるパルス信号を示すタイミン
グ図 (e)対向電極間を流れる交流電流を示すタイミング図
許可信号を示すタイミング図 (b)ドライバの制御端子に印加される駆動許可信号を
示すタイミング図 (c)ドライバに入力されるパルス信号を示すタイミン
グ図 (d)ドライバに入力されるパルス信号を示すタイミン
グ図 (e)対向電極間を流れる交流電流を示すタイミング図
【図11】通電インクジェット方式のインクジェットプ
リンタのインク吐出装置を示す断面図
リンタのインク吐出装置を示す断面図
【図12】通電インクジェット方式のインクジェットプ
リンタのインク吐出装置を示す部分破断図
リンタのインク吐出装置を示す部分破断図
【図13】(a)交流電流Iabの値を算出するための
ヘッド等価回路を示す回路図 (b)交流電流Iabの値を算出するためのヘッド等価
回路を示す回路図 (c)交流電流Iabの値を算出するためのヘッド等価
回路を示す回路図
ヘッド等価回路を示す回路図 (b)交流電流Iabの値を算出するためのヘッド等価
回路を示す回路図 (c)交流電流Iabの値を算出するためのヘッド等価
回路を示す回路図
【図14】(a)交流電流Iabの値を算出するための
ヘッド等価回路を示す回路図 (b)交流電流Iabの値を算出するためのヘッド等価
回路を示す回路図
ヘッド等価回路を示す回路図 (b)交流電流Iabの値を算出するためのヘッド等価
回路を示す回路図
1、27 導電性インク 2、31 インク沸騰室 3、28 インク吐出孔 4、29 ノズルプレート 5a、5b、30a、30b 対向電極 6、35 インクタンク 7、33 ガラス基板 8、32 共通インク室 9 インク流路 10 電極駆動装置 10a、10b ドライバ(制御手段) 11 導体部(接続手段) 12 沸騰気泡 13、34 インク滴 14 記録媒体 15、36、37 制御電極 15a 制御回路部 16、19、38 整流器 17 可変抵抗器 18、21、24 共通アース 20 制御電圧印加用電源(制御手段) 22 整流器(第1の整流器) 23 制御電圧印加用電源(第1の制御電圧印加用電
源) 25 整流器(第2の整流器) 26 制御電圧印加用電源(第2の制御電圧印加用電
源) 27 導電性インク 39 電圧制御回路
源) 25 整流器(第2の整流器) 26 制御電圧印加用電源(第2の制御電圧印加用電
源) 27 導電性インク 39 電圧制御回路
フロントページの続き (72)発明者 藤島 猛 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内
Claims (17)
- 【請求項1】複数の対向電極と、前記対向電極を介して
導電性インクに交流電圧を通電して気泡を発生させるイ
ンク沸騰室と、前記対向電極に対応し、前記気泡により
前記導電性インクを吐出するインク吐出孔と、前記対向
電極にパルス電圧を通電する電極駆動装置と、前記電極
駆動装置の共通アースに対する前記導電性インクの電位
を制御する電位制御手段とを有するインクジェットプリ
ンタ。 - 【請求項2】前記電位制御手段が、導電性インクと電気
的に接する制御電極と、前記制御電極で観測される導電
性インクの電位を制御する制御回路部とを有する請求項
1記載のインクジェットプリンタ。 - 【請求項3】前記制御電極がインクタンク内又は共通イ
ンク室に配置されている請求項2記載のインクジェット
プリンタ。 - 【請求項4】前記制御電極が前記対向電極と同一の基板
上に配設されている請求項2記載のインクジェットプリ
ンタ。 - 【請求項5】前記制御電極が、少なくとも表面が金、白
金、ロジウム、チタン、タンタル又はカーボンから成る
電極である請求項2、3又は4記載のインクジェットプ
リンタ。 - 【請求項6】前記制御回路部が、前記制御電極から導電
性インクの方向へのみ電流を流す整流器と、前記整流器
と前記電極駆動装置の共通アースとの間に配設された可
変抵抗器とを有する請求項2記載のインクジェットプリ
ンタ。 - 【請求項7】前記制御回路部が、前記制御電極から導電
性インクの方向へのみ電流を流す整流器と、前記電極駆
動装置の共通アースに対して直流もしくは交流の制御電
圧を発生して前記制御電圧を前記整流器を介して前記制
御電極に印加する制御電圧印加用電源とを有する請求項
2記載のインクジェットプリンタ。 - 【請求項8】前記制御回路部が、前記制御電極から導電
性インクの方向へのみ電流を流す第1整流器と、導電性
インクから前記制御電極の方向へのみ電流を流す第2整
流器と、前記電極駆動装置の共通アースに対して負とな
る制御電圧を発生して前記負となる制御電圧を前記第1
整流器を介して前記制御電極に印加する第1制御電圧印
加用電源と、前記電極駆動装置の共通アースに対して正
となる制御電圧を発生して前記正となる制御電圧を前記
第2整流器を介して前記制御電極に印加する第2制御電
圧印加用電源とを有する請求項2記載のインクジェット
プリンタ。 - 【請求項9】前記制御回路部が、導電性インクと前記制
御電極との間に発生する酸素過電圧よりも僅かに高い電
位に導電性インク電位を制御する制御手段を有する請求
項2記載のインクジェットプリンタ。 - 【請求項10】前記電極駆動装置が、導電性インク吐出
のために前記対向電極間に通電を行う通電期間とは別の
期間において前記対向電極を負電位に接続する接続手段
を有する請求項1又は2記載のインクジェットプリン
タ。 - 【請求項11】前記電極駆動装置が、導電性インク吐出
のために前記対向電極間に通電を行う通電期間とは別の
期間において前記対向電極を共通アースまたは負電位に
接続すると共に、前記接続のタイミングおよび時間を制
御する制御手段を有する請求項1又は2記載のインクジ
ェットプリンタ。 - 【請求項12】前記電極駆動装置が、導電性インク吐出
のために前記対向電極間に通電を行う通電期間とは別の
期間において前記対向電極を共通アースまたは負電位に
接続すると共に、前記接続のタイミングおよび時間を印
字周期に応じて変える制御手段を有する請求項1又は2
記載のインクジェットプリンタ。 - 【請求項13】前記制御回路部が、前記制御電極から導
電性インクの方向へのみ電流を流す整流器と、前記電極
駆動装置の出力を利用する電圧制御回路とを有する請求
項2記載のインクジェットプリンタ。 - 【請求項14】前記制御回路部が、前記制御電極から導
電性インクの方向へのみ電流を流す整流器と、前記電極
駆動装置の信号および出力電圧を利用して前記制御電極
に印加する制御電圧を発生する電圧制御回路とを有する
請求項2記載のインクジェットプリンタ。 - 【請求項15】前記制御回路部が、前記制御電極から導
電性インクの方向へのみ電流を流す整流器と、前記電極
駆動装置の信号および出力電圧を利用して前記制御電極
に印加する制御電圧を発生すると共に前記印加する制御
電圧の印加時間を制御する電圧制御回路とを有する請求
項2記載のインクジェットプリンタ。 - 【請求項16】前記制御回路部が、前記制御電極から導
電性インクの方向へのみ電流を流す整流器と、前記電極
駆動装置内の信号および出力電圧を利用して前記制御電
極に印加する制御電圧を発生すると共に前記印加する制
御電圧の印加時間を印加周期に応じて変える電圧制御回
路とを有する請求項2記載のインクジェットプリンタ。 - 【請求項17】前記電圧制御回路が前記電極駆動装置の
出力電圧をそのまま前記制御電極に印加する請求項1
3、14、15又は16記載のインクジェットプリン
タ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10093296A JPH09286109A (ja) | 1996-04-23 | 1996-04-23 | インクジェットプリンタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10093296A JPH09286109A (ja) | 1996-04-23 | 1996-04-23 | インクジェットプリンタ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09286109A true JPH09286109A (ja) | 1997-11-04 |
Family
ID=14287133
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10093296A Pending JPH09286109A (ja) | 1996-04-23 | 1996-04-23 | インクジェットプリンタ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09286109A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110774766A (zh) * | 2018-07-31 | 2020-02-11 | 北京梦之墨科技有限公司 | 一种液态金属供墨系统的还原墨路 |
-
1996
- 1996-04-23 JP JP10093296A patent/JPH09286109A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110774766A (zh) * | 2018-07-31 | 2020-02-11 | 北京梦之墨科技有限公司 | 一种液态金属供墨系统的还原墨路 |
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