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JPH09202738A - 結合基としてビニル基を有する液晶性化合物および液晶組成物 - Google Patents

結合基としてビニル基を有する液晶性化合物および液晶組成物

Info

Publication number
JPH09202738A
JPH09202738A JP8217970A JP21797096A JPH09202738A JP H09202738 A JPH09202738 A JP H09202738A JP 8217970 A JP8217970 A JP 8217970A JP 21797096 A JP21797096 A JP 21797096A JP H09202738 A JPH09202738 A JP H09202738A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
liquid crystal
trans
carbon atoms
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8217970A
Other languages
English (en)
Inventor
Takashi Kato
孝 加藤
Shuichi Matsui
秋一 松井
Kazutoshi Miyazawa
和利 宮沢
Norihisa Hachitani
典久 蜂谷
Etsuo Nakagawa
悦男 中川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JNC Corp
Original Assignee
Chisso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chisso Corp filed Critical Chisso Corp
Priority to JP8217970A priority Critical patent/JPH09202738A/ja
Publication of JPH09202738A publication Critical patent/JPH09202738A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Liquid Crystal Substances (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 特に広い液晶相温度範囲を有し、低粘性であ
り、かつ大きな屈折率異方性値と大きな弾性定数比K33
/K11を有する液晶性化合物、この化合物を含む液晶組
成物、およびこの液晶組成物を用いた液晶表示素子を提
供する。 【解決手段】 一般式(1) 【化1】 (式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数
2〜10のアルケニル基を示し、R’は炭素数1〜10
のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、F、C
l、CN、OCF3、CF3、OCF2H、CF2Hまたは
CFH2を示し、A1、A2はそれぞれ独立して、トラン
ス−1,4−シクロヘキシレン基、六員環上の1個以上
の水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい1,
4−フェニレン基または単結合を示し、またこの化合物
を構成する各元素はその同位体で置換されていてもよ
い。)で表わされる液晶性化合物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶性化合物、液晶
組成物及び液晶表示素子に関し、さらに詳しくは分子中
央部に環を挟んで二つのトランス−1,2−エテニレン
基を有する3〜4環系の新規な液晶性化合物、およびこ
れら含有する液晶組成物、さらにはこの液晶組成物を用
いた液晶表示素子に関する。
【0002】
【背景技術】液晶性化合物の特性である屈折率異方性、
誘電率異方性を利用した表示素子はこれまで多数作られ
てきた。時計をはじめとして電卓、ワープロ、テレビ等
にその表示素子は広く利用され、需要も年々高くなって
きている。液晶相は固体相と液体相の中間に位置し、相
はネマチック相、スメクチック相、コレステリック相に
大別され、そのうちネマチック相を利用した表示素子が
現在最も広く利用されている。さらに液晶表示に応用さ
れている表示方式としては電気光学効果に対して、TN
(ねじれネマチック)型、DS(動的散乱)型、ゲスト
−ホスト型、DAP型等がある。特に最近では液晶表示
のカラー化が一段と進み、その表示方式はTN型では薄
膜トランジスタ(TFT)方式およびスーパーツイスト
ネマチック(STN)方式が主流であり、これらの表示
素子が量産されている。現在までに研究段階のものを含
め多くの液晶性化合物が世に知られているが、現在のと
ころ単一の液晶性物質として表示素子に封入され使用さ
れている物質は存在しない。これは表示素子材料として
期待される液晶性化合物は自然界の、とくに表示素子と
して最も使用される頻度の高い室温を中心とする、なる
べく広い温度範囲で液晶相を示すものが望ましく、また
使用される環境因子に対して十分安定であり、また表示
素子を駆動させるに十分な物理的性質を持つものでなく
てはならないのに対し単体としてこれらの条件を満たす
ものが見出されていないためである。そこで現在では数
種から20数種の液晶性化合物または非液晶性化合物を
混合してかような特徴を持つ組成物を調整し材料として
実用に供している。これらの液晶組成物は使用環境下に
通常に存在する水分、光、熱、空気等に対しても安定で
あることを要求される。また電場および電磁放射に対す
る安定性、さらには混合する液晶性化合物が互いに使用
環境内で化学的に安定であることを必要とする。また液
晶組成物はその屈折率異方性値(△n)、誘電率異方性
値(△ε)、粘度(η)、電導度および弾性定数比K33
/K11(K33:ベンド定数、K11:スプレイ弾性定数)
等の諸物性値は表示方式および素子の形状に依存して適
当な値を取る必要がある。また液晶組成物中の各成分
は、相互に良好な溶解性を持つことが重要である。これ
らの諸物性値の中で、STN型表示方式で用いられる液
晶性化合物に求められているものは特に低粘性、大きい
屈折率異方性値、大きい弾性定数比K33/K11、広い液
晶相温度領域、さらにごく最近では表示素子の低電圧駆
動化に伴い低いしきい値電圧といったものである。低い
粘性は高速応答化を達成するのに必要不可欠な特性であ
る。さらに、この高速応答化はセル厚を薄くして達成す
る方法もある。しかしながら、単にセル厚を薄くするだ
けでは表示コントラストや視野角が低下する。なぜな
ら、表示コントラストや視野角は屈折率異方性値(△
n)とセル厚(d)との積(△n・d)が大きく影響し
ているためである。そこで△n・dを所望の値に保ちな
がらセル厚を薄くするためには△nが大きな液晶組成物
を調製しなければならず、△nが大きな液晶性化合物が
必要となる。また、大きい弾性定数比K33/K11は電圧
−透過率曲線を急峻にし高コントラストの表示素子を可
能にする。一般にπ電子を有する化合物、つまり分子内
にベンゼン環、二重結合、三重結合のような構造を多く
含む化合物は大きい屈折率異方性値を有することが知ら
れている。これまで、三環系および四環系の化合物を用
いて大きい屈折率異方性値を有する液晶組成物を得るに
は、三重結合、ベンゼン環を多く含む化合物、例えばト
ラン系化合物等を使用していた。しかし、この三重結
合、ベンゼン環を多く含む化合物は粘性が高くなる傾向
にあり、これらの化合物にあわせて粘性を低くする液晶
性化合物を余分に混合しなければならないと言う問題が
あった。比較的低粘性で弾性定数比K33/K11の大きな
化合物として、化合物(a)(特公平7−72148号
記載)および(b)(特開昭61−215336号)が
既に知られている。
【0003】
【化8】
【0004】しかしながら、化合物(a)では、弾性定
数比K33/K11を大きくする目的でこれを液晶組成物に
混合すると、弾性定数比K33/K11はある程度高くなる
ものの、透明点は維持できず低くなってしまう。また化
合物(b)では、(a)と比較して透明点は高いが粘度
が大きいので、これを組成物の成分として添加した場
合、粘度を著しく大きくしてしまう。さらに、その転移
点からも判るようにスメクチック性が著しく強く、−2
0〜−40℃の極低温下においては組成物中にスメクチ
ック相が発現してしまう欠点があった。そのため、低粘
性で、大きな屈折率異方性値かつ大きな弾性定数比K33
/K11を有し、液晶相温度領域が広く、低温での溶解性
が改善された液晶性化合物の開発が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、低粘性で、大きな屈折率異方性値と大きな
弾性定数比K33/K11を有し、液晶相温度領域が広く、
低温での溶解性が改善された液晶性化合物、これを含む
液晶組成物、およびこの液晶組成物を用いた液晶表示素
子を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決する手
段として、本願で特許請求される発明は以下のとおりで
ある。 (1)一般式(1)
【0007】
【化9】
【0008】(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基
または炭素数2〜10のアルケニル基を示し、R’は炭
素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニ
ル基、F、Cl、CN、OCF3、CF3、OCF2H、
CF2HまたはCFH2を示し、A1、A2はそれぞれ独立
して、トランス−1,4−シクロヘキシレン基、六員環
上の1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されてい
てもよい1,4−フェニレン基、または単結合を示し、
またこの化合物を構成する各元素はその同位体で置換さ
れていてもよい。)で表される液晶性化合物。 (2) 一般式(1)においてA1及びA2が単結合であ
る(1)項に記載の液晶性化合物。 (3) 一般式(1)においてA1がトランス−1,4
−シクロヘキシレン基であり、Aが2単結合である
(1)項に記載の液晶性化合物。 (4) 一般式(1)において、A1が単結合であり、
2がトランス−1,4−シクロヘキシレン基または
1,4−フェニレン基である(1)項に記載の液晶性化
合物。 (5) 上記(1)〜(4)項のいずれかに記載の液晶
性化合物を少なくとも1種類以上含有し、2成分以上か
らなる液晶組成物およびそれを使用した液晶表示素子。 (6) 第一成分として、(1)〜(4)のいずれかに
記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、第二成
分として、一般式(2)(3)および(4)
【0009】
【化10】
【0010】(式中、R1は炭素数1〜10のアルキル
基を示し、X1はF、Cl、OCF3、OCF2H、C
3、CF2HまたはCFH2を示し、L1、L2、L3およ
びL4は相互に独立してHまたはFを示し、Z1およびZ
2は相互に独立して−(CH22−、−CH=CH−ま
たは単結合を示し、aは1または2を示す。)で表され
る化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類含
有することを特徴とする液晶組成物。 (7) 第一成分として、上記(1)〜(4)項のいず
れかに記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、
第二成分として、一般式(5)、(6)、(7)、
(8)および(9)
【0011】
【化11】
【0012】(式中、R2はF、炭素数1〜10のアル
キル基または炭素数2〜10のアルケニル基を示し、該
アルキル基またはアルケニル基中の隣接しない任意のメ
チレン基(−CH2−)は酸素原子(−O−)によって
置換されていてもよい、環Aはトランス−1,4−シク
ロヘキシレン基、1,4−フェニレン基、ピリミジン−
2,5−ジイル基または1,3−ジオキサン−2,5−
ジイル基を示し、環Bはトランス−1,4−シクロヘキ
シレン基、1,4−フェニレン基またはピリミジン−
2,5−ジイル基を示し、環Cはトランス−1,4−シ
クロヘキシレン基または1,4−フェニレン基を示し、
3は−(CH22−、−COO−または単結合を示
し、L5およびL6は相互に独立してHまたはFを示し、
bおよびcは相互に独立して0または1を示す。)
【0013】
【化12】
【0014】(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル
基を示し、L7はHまたはFを示し、dは0または1を
示す。)
【0015】
【化13】
【0016】(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル
基を示し、環Dおよび環Eは相互に独立してトランス−
1,4−シクロヘキシレン基または1,4−フェニレン
基を示し、Z4よびZ5は相互に独立して−COO−また
は単結合を示し、Z6は−COO−または−C≡C−を
示し、L8およびL9は相互に独立してHまたはFを示
し、X2はF、OCF3、OCF2H、CF3、CF2Hま
たはCFH2を示し、e、fおよびgは相互に独立して
0または1を示す。)
【0017】
【化14】
【0018】(式中、R5およびR6は相互に独立して炭
素数1〜10のアルキル基または炭素数2〜10のアル
ケニル基を示し、該アルキル基またはアルケニル基中の
隣接しない任意のメチレン基(−CH2−)は酸素原子
(−O−)によって置換されていてもよい、環Gはトラ
ンス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレ
ン基またはピリミジン−2,5−ジイル基を示し、環H
はトランス−1,4−シクロヘキシレン基または1,4
−フェニレン基を示し、Z7は−C≡C−、−COO
−、−(CH22−、−CH=CH−C≡C−または単
結合を示し、Z8は−COO−または単結合を示す。)
【0019】
【化15】
【0020】(式中、R7およびR8は相互に独立して炭
素数1〜10のアルキル基または炭素数2〜10のアル
ケニル基を示し、該アルキル基またはアルケニル基中の
隣接しない任意のメチレン基(−CH2−)は酸素原子
(−O−)によって置換されていてもよい、環Iはトラ
ンス−1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレ
ン基またはピリミジン−2,5−ジイル基を示し、環J
はトランス−1,4−シクロヘキシレン基、環上の1つ
以上の水素原子がFで置換されていてもよい1,4−フ
ェニレン基、またはピリミジン−2,5−ジイル基を示
し、環Kはトランス−1,4−シクロヘキシレン基また
は1,4−フェニレン基を示し、Z9およびZ11は相互
に独立して−COO−、−(CH22−または単結合を
示し、Z10は−CH=CH−、−C≡C−、−COO−
または単結合を示し、hは0または1を示す。)で表さ
れる化合物群から選択される化合物を少なくとも1種類
含有することを特徴とする液晶組成物。 (8) 第一成分として、(1)〜(4)のいずれかに
記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、第二成
分の一部分として、一般式(2)、(3)および(4)
からなる群から選択される化合物を少なくとも1種類含
有し、第二成分の他の部分として、一般式(5)、
(6)、(7)、(8)および(9)からなる群から選
択される化合物を少なくとも1種類含有することを特徴
とする液晶組成物およびそれを使用した液晶表示素子。 (9) 上記(1)〜(4)項のいずれかに記載の液晶
性化合物を少なくとも1種類以上含有し、2成分以上か
らなる液晶組成物を使用した液晶表示素子。 (10) 上記(6)項に記載の液晶組成物を使用した
液晶表示素子。 (11) 上記(7)項に記載の液晶組成物を使用した
液晶表示素子。 (12) 上記(8)項に記載の液晶組成物を使用した
液晶表示素子。
【0021】本発明の液晶性化合物は、一般式(1)で
表されるように、分子中央部に環を挟んで二つのトラン
ス−1,2−エテニレン基を有する三〜四環系の誘導体
である。これらの液晶性化合物は、表示素子が使用され
る条件下において物理的および化学的にも極めて安定で
あることは勿論のこと、低温下でも液晶組成物への溶解
性が良く、広いネマチック相温度領域、低粘性、大きな
屈折率異方性値かつ大きな弾性定数比K33/K11を有す
ることを特徴とする。また、分子構成要素のうち環構
造、結合基または側鎖の構造を適当に選ぶことで所望の
物性値を任意に調整することが可能である。したがっ
て、本発明の化合物を液晶組成物の成分として用いた場
合、 1)屈折率異方性値および弾性定数比K33/K11を向上
させるので、高いコントラストが得られる、 2)液晶組成物の透明点を維持あるいは上昇させると共
に、粘度を低下させる、 3)ごく低温下においても結晶の析出、スメクチック相
の発現が見られない安定したネマチック液晶組成物を調
製できる、 などの特性を示し外部環境に対して安定であり、高速応
答ならびに高コントラストの新規な液晶組成物および液
晶表示素子を提供し得る。本発明の一般式(1)で示さ
れる化合物は、下記の一般式(1a)〜(1e)に類別
される。 R−Cyc−V−Cyc−V−Cyc−R’ (1a) R−Cyc−V−Cyc−Cyc−V−Cyc−R’ (1b) R−Cyc−V−Cyc−Phe−V−Cyc−R’ (1c) R−Cyc−V−Cyc−V−Cyc−Cyc−R’ (1d) R−Cyc−V−Cyc−V−Cyc−Phe−R’ (1e) (式中、Cycはトランス−1,4−シクロヘキシレン
基、Pheは六員環上の1つ以上の水素原子がハロゲン
原子で置換されていてもよい1,4−フェニレン基、V
はトランス−1,2−エテニレン基、Rは炭素数1〜1
0のアルキル基または炭素数2〜10のアルケニル基を
示し、R’は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜
10のアルケニル基、F、Cl、CN、OCF3、C
3、OCF2H、CF2HまたはCFH2を示す。) 一般式(1a)〜(1e)で表される化合物の中で特に
好ましいものとして、下記の一般式(1−1)〜(1−
4)で表される化合物を挙げることができる。
【0022】
【化16】
【0023】(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基
または炭素数2〜10のアルケニル基を示し、R’は炭
素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニ
ル基、F、Cl、CN、OCF3、CF3、OCF2H、
CF2HまたはCFH2を示す。) 具体的には、Rはメチル、エチル、1−プロピル、1−
ブチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−ヘプチル、
エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテ
ニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニル、
2−ペンテニル、3−ペンテニルおよび4−ペンテニル
が好ましく、R’はメチル、エチル、1−プロピル、1
−ブチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−ヘプチ
ル、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−
ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−ペンテニ
ル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニ
ル、F、Cl、CN、OCF3、OCF2HおよびCF3
が好ましい。中でも、R及びR’が1−プロピル、1−
ペンチル、1−ヘプチルであるものが特に好ましい。
【0024】化合物の製法 一般式(1)で表される本発明の化合物は通常の有機合
成化学的手法(例えばオーガニック・シンセシス、オー
ガニック・リアクションズ、実験化学講座等に記載の手
法)を適当に選択、組み合わせることで容易に合成でき
る。以下に一般式(1)で表される本発明の化合物の合
成経路の一例を示す。ウィッティッヒ反応を用いる公知
の方法(例えば オーガニック・リアクションズ、第1
4巻、第3章等に記載の方法)に従い、テトラヒドロフ
ラン(THF)、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒
中でナトリウムメチラート、カリウム−t−ブトキシド
(t−BuOK)、ブチルリチウム等の塩基の存在下、
ケトン誘導体()をメトキシメチルトリフェニルハラ
イドと反応させ、次いでアセトン中、塩酸を作用させる
ことにより化合物()を得る。化合物()に塩酸、
硫酸等の鉱酸、ギ酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸等
の有機酸を作用させることによりアルデヒド誘導体と
し、次いで、塩化メチレン中、ニクロム酸ピリジニウム
(PDC)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)等
を作用させることによりカルボン酸誘導体を製造し、こ
のカルボン酸誘導体を低級飽和アルコール中、塩化チオ
ニルを作用させてエステル誘導体()とする。前記と
同様にウィッティッヒ反応により、このエステル誘導体
)をメトキシメチルトリフェニルハライドと反応さ
せ、次いでアセトン中、塩酸を作用させることにより化
合物()を得る。化合物()とウィッティヒ試薬
)とのウィッティッヒ反応により化合物()を製
造する。THF、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒
中で、化合物()に水素化アルミニウムリチウム、水
素化ジイソブチルアルミニウム等を作用させることでア
ルコール誘導体とし、次いでこのアルコール誘導体をP
CCで酸化してケトン誘導体とし、このケトン誘導体を
ウィッティヒ試薬()とウィッティッヒ反応させて化
合物()を得る。塩化メチレン中、炭酸カリウム、炭
酸ナトリウム等の塩基の存在下、化合物()に3−ク
ロロ過安息香酸(mCPBA)を作用させた化合物
)を得る。トルエン中、化合物()にトリフェニ
ルホスフィンジブロミドを作用させてブロム化して化合
物(10)を得る。、さらに酢酸中、化合物(10)に
亜鉛を作用させることで本発明化合物(1)を製造する
ことができる。
【0025】
【化17】
【0026】上記の方法に準じて下記の化合物が製造で
きる。
【0027】
【化18】
【0028】
【化19】
【0029】
【化20】
【0030】
【化21】
【0031】
【化22】
【0032】
【化23】
【0033】このようにして得られる一般式(1)で表
される本発明の液晶性化合物はいずれも広いネマチック
相温度領域を示し、低粘性であり、大きな屈折率異方性
値かつ大きな弾性定数比K33/K11を有し、他の種々の
液晶材料と容易に混合し、STN型表示方式に適したネ
マチック液晶組成物の構成成分として極めて優れてい
る。本発明に係る液晶組成物は、一般式(1)で表され
る化合物の1種以上を0.1〜99.9重量%の割合で
含有することが、優良な特性を発現せしめるために好ま
しい。一般式(1)で表される化合物と併用する他の化
合物として、一般式(2)〜(9)で表される化合物群
を例示できる。更に好ましくは、本発明により提供され
る液晶組成物は、一般式(1)で表されるる液晶性化合
物を少なくとも1種類含む第一成分だけでもよいが、こ
れに加え、第二成分として一般式(2)、(3)および
(4)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1種
類の化合物(以下第二A成分と称する)および/または
一般式(5)、(6)、(7)、(8)および(9)で
表される化合物群から選ばれる少なくとも1種類の化合
物(以下第二B成分と称する)を混合したものが好まし
い。これらの液晶組成物物に、しきい値電圧、液晶相温
度範囲、屈折率異方性値、誘電率異方性値および粘度等
を調整する目的で、公知の化合物を第三成分として混合
することもできる。一般式(2)、(3)および(4)
で表される化合物の好適例として、下記の一般式(2−
1)〜(2−15)、一般式(3−1)〜(3−48)
および一般式(4−1)〜(4−55)で表される化合
物を挙げることができる。
【0034】
【化24】
【0035】
【化25】
【0036】
【化26】
【0037】
【化27】
【0038】
【化28】
【0039】
【化29】
【0040】
【化30】
【0041】
【化31】
【0042】
【化32】
【0043】(ただし、式中R1は、前記一般式(2)
と同一の意味を示す。) これらの一般式(2)〜(4)で示される化合物は、正
の誘電率異方性値を有し、熱安定性や化学的安定性が非
常に優れている。本発明の液晶組成物中へのこれらの化
合物の使用量は、液晶組成物の全重量に対して1〜99
重量%の範囲が適するが、好ましくは10〜97重量
%、より好ましくは40〜95重量%である。一般式
(5)、(6)および(7)で表される化合物の好適例
として、下記の一般式(5−1)〜(5−24)、一般
式(6−1)〜(6−3)および一般式(7−1)〜
(7−28)で表される化合物を挙げることができる。
【0044】
【化33】
【0045】
【化34】
【0046】
【化35】
【0047】
【化36】
【0048】(ただし、式中R2、R3、R4は、前記一
般式(5)〜(7)と同一の意味を示す。これら一般式
(5)〜(7)で示される化合物は、正の大きな誘電率
異方性値を有し、液晶組成物しきい値電圧を小さくする
成分として使用される。また、粘度の調整、屈折率異方
性値の調整および液晶相温度範囲を広げる等の目的や、
さらに(電圧−透過率特性)の急峻性を改良する目的に
も使用される。一般式(8)および(9)で表される化
合物の好適例として、下記の一般式(8−1)〜(8−
8)および一般式(9−1)〜(9−13)で表される
化合物を挙げることができる。
【0049】
【化37】
【0050】
【化38】
【0051】(ただし、式中R5、R6は、前記一般式
(8)及び(9)と同一の意味を示す。) 一般式(8)および(9)で表される化合物は、誘電率
異方性値が負かまたは小さな正である化合物である。一
般式(8)で表される化合物は、主として液晶組成物の
粘度を低下させる目的および/または屈折率異方性値の
調整の目的で使用される。また、一般式(9)の化合物
は液晶組成物の透明点を高くする等のネマチックレンジ
を広げる目的および/または屈折率異方性値の調整の目
的で使用される。一般式(5)〜(9)の化合物は、S
TN表示方式および通常のTN表示方式用の液晶組成物
を調製する場合には、特に有用な化合物である。一般式
(5)〜(9)の化合物の使用量は、通常のTN表示方
式およびSTN表示方式用の液晶組成物を調製する場合
には1〜99重量%の範囲で任意に使用できるが、10
〜97重量%が、より好ましくは40〜95重量%が好
適である。また、その際には(2)〜(4)の化合物を
併用しても良い。
【0052】本発明の液晶組成物は、それ自体慣用な方
法で調製される。一般には、種々の成分を高い温度で互
いに溶解させる方法がとられている。また、各成分に共
通の有機溶媒に溶解して混合したのち、減圧下溶媒を留
去しても良い。また、適当な添加物を加えることによっ
て意図する用途に応じた改良がなされ、最適化される。
このような添加物は当業者によく知られており、文献等
に詳細に記載されている。通常、液晶のらせん構造を誘
起して必要なねじれ角を調整し、逆ねじれを防ぐキラル
ドープ剤などが添加される。また、メロシアニン系、ス
チリル系、アゾ系、アゾメチン系、アゾキシ系、キノフ
タロン系、アントラキノン系およびテトラジン系等の二
色性色素を添加してゲストホスト(GH)モ−ド用の液
晶組成物として使用できる。
【0053】本発明に係る液晶組成物をTFT液晶表示
素子に用いることによって、電圧−透過率特性の急峻性
や視野角の改善ができる。また、一般式(1)の化合物
は低粘性化合物であるので、これを用いた液晶表示素子
の応答速度は改善され極めて大きい。本発明に係る液晶
組成物は、ネマチック液晶をマイクロカプセル化して作
成したNCAPや、液晶中に三次元網目状高分子を作成
したポリマ−ネットワ−ク液晶表示素子(PNLCD)
に代表されるポリマ−分散型液晶表示素子(PDLC
D)用、その他複屈折制御(ECB)モ−ドや動的散乱
(DS)モ−ド用の液晶組成物としても使用できる。
【0054】一般式(1)で表される本発明の液晶性化
合物を含有するネマチック液晶組成物として以下に示す
ような組成例(組成例1〜12)を示すことができる。
ただし組成例中の化合物は次表に示す取り決めに従い略
号で示した。
【0055】
【表1】
【0056】(ただし、上記の表においてs、t、w、
xは1以上の整数を表す。) 組成例1 3−HVHVH−3 7.0% 1V2−BEB(F,F)−C 8.0% 3−HB−C 24.0% 3−HB−O2 9.0% 3−HH−4 10.0% 3−HH−5 5.0% 3−HHB−1 10.0% 3−HHB−3 5.0% 3−H2BTB−2 7.0% 3−H2BTB−3 6.0% 3−HB(F)TB−2 5.0% 3−HB(F)TB−3 4.0%
【0057】組成例2 3−HVHVH−2 5.0% 3−HVHVH−3 5.0% 3O1−BEB(F)−C 11.0% 1V2−HB−C 11.0% 3−HB−O2 5.0% 2−BTB−O1 6.0% 3−BTB−O1 6.0% 4−BTB−O1 6.0% 4−BTB−O2 6.0% 5−BTB−O1 6.0% 3−H2BTB−2 2.0% 3−H2BTB−3 3.0% 3−HB(F)TB−2 6.0% 3−HB(F)TB−3 6.0% 2−PyBH−3 4.0% 3−PyBH−3 4.0% 3−PyBB−2 4.0% 3−HEBEB−1 2.0% 3−HEBEB−F 2.0%
【0058】組成例3 3−HVHHVH−5 5.0% 2−BB−C 8.0% 4−BB−C 6.0% 2−HB−C 10.0% 3−HB−C 13.0% 3−HHB−F 5.0% 2−HHB−C 4.0% 3−HHB−C 6.0% 5−PyB−F 6.0% 3−PyBB−F 6.0% 3−BTB−1 5.0% 2−HHB−1 6.0% 3−HHB−1 5.0% 3−HHB−3 10.0% 3−HHB−O1 5.0%
【0059】組成例4 2−HVHVHH−1 3.0% 3−HVHVHB−2 3.0% 3−DB−C 10.0% 4−DB−C 12.0% 5−DB−C 8.0% 2−BEB−C 10.0% 5−PyB(F)−F 10.0% 2−PyB−O2 4.0% 2−PyB−2 2.0% 3−PyB−2 2.0% 3−HEB−O4 5.0% 4−HEB−O2 5.0% 3−HEB−O2 4.0% 1O−BEB−2 3.0% 5−HEB−1 3.0% 4−HEB−4 5.0% 2−PyBH−3 5.0% 3−HHEBB−C 3.0% 3−HBEBB−C 3.0%
【0060】組成例5 3−HVHVH−1 3.0% 3−HVHVH−3 4.0% V2−HB−C 10.0% 1V2−HB−C 8.0% 3−HB−C 14.0% 1O1−HB−C 6.0% 2O1−HB−C 6.0% 2−HHB−C 5.0% 3−HHB−C 5.0% 3−HH−4 10.0% 1O1−HH−5 5.0% 3−HH−EMe 3.0% 2−BTB−O1 11.0% 3−HHB−1 5.0% 3−HHB−3 5.0%
【0061】組成例6 3−HVHVH−3 4.0% 3−HVHHVH−5 4.0% 3−HB(F)−C 4.0% 2O1−BEB(F)−C 4.0% 3O1−BEB(F)−C 12.0% 1V2−BEB(F,F)−C 10.0% 3−HHB(F)−C 5.0% 3−HHEB−F 5.0% 5−HHEB−F 5.0% 3−HBEB−F 6.0% 3−HBB−F 3.0% 3−HB−O2 10.0% 3−HH−4 5.0% 3−HHB−1 6.0% 3−HHB−O1 4.0% 3−H2BTB−2 4.0% 3−H2BTB−3 4.0% 3−HB(F)TB−2 5.0%
【0062】組成例7 3−HVHVH−4 5.0% 5−HVHVH−3 5.0% 3−H2HB(F,F)−F 10.0% 5−H2HB(F,F)−F 8.0% 3−HHB(F,F)−F 10.0% 4−HHB(F,F)−F 6.0% 3−HH2B(F,F)−F 12.0% 5−HH2B(F,F)−F 8.0% 3−HBB(F,F)−F 14.0% 5−HBB(F,F)−F 10.0% 3−HHEB(F,F)−F 6.0% 3−HBEB(F,F)−F 2.0% 3−HHBB(F,F)−F 2.0% 3−HH2BB(F,F)−F 2.0%
【0063】組成例8 3−HVHVH−3 6.0% 3−HVHHVH−5 4.0% 7−HB(F)−F 7.0% 5−H2B(F)−F 4.0% 2−HHB(F)−F 6.0% 3−HHB(F)−F 6.0% 5−HHB(F)−F 6.0% 2−H2HB(F)−F 4.0% 3−H2HB(F)−F 2.0% 5−H2HB(F)−F 4.0% 3−H2HB(F,F)−F 6.0% 4−H2HB(F,F)−F 5.0% 5−H2HB(F,F)−F 5.0% 3−HHB(F,F)−F 8.0% 3−HH2B(F,F)−F 8.0% 5−HH2B(F,F)−F 7.0% 3−HEB−F 6.0% 5−HHEBB−F 3.0% 1O1−HBBH−3 3.0%
【0064】組成例9 3−HVHVHH−5 4.0% 3−HVHVHB−3 4.0% 5−HB−CL 4.0% 7−HB(F,F)−F 6.0% 3−HBB(F)−F 10.0% 5−HBB(F)−F 10.0% 3−H2BB(F)−F 10.0% 2−HHB−CL 5.0% 4−HHB−CL 10.0% 5−HHB−CL 5.0% 3−HBB(F,F)−F 12.0% 5−HBB(F,F)−F 5.0% 3−H2BB(F,F)−F 5.0% 3−HB(F)VB−2 5.0% 3−HB(F)VB−3 5.0%
【0065】組成例10 2−HVHVHB−3 5.0% 7−HB−F 7.0% 3−HH−O1 7.0% 3−HB−O1 6.0% 3−HHB−OCF2H 3.0% 5−HHB−OCF2H 4.0% 3−HHB(F,F)−OCF2H 10.0% 5−HHB(F,F)−OCF2H 8.0% 2−HHB−OCF3 6.0% 3−HHB−OCF3 7.0% 5−HHB−OCF3 6.0% 3−HH2B−OCF3 6.0% 3−HH2B(F)−F 7.0% 5−HH2B(F)−F 9.0% 3−HHEB(F)−F 6.0% 5−HB(F)BH−3 3.0%
【0066】組成例11 3−HVHVH−2 6.0% 3−HVHHVH−3 4.0% V−HB−C 10.0% 1V−HB−C 5.0% 3−BB−C 5.0% 5−BB−C 5.0% 2−HB(F)−C 5.0% 4−BB−3 3.0% 3−H2B−O2 8.0% 5−H2B−O2 5.0% 3−BEB−C 5.0% 5−HEB−O1 5.0% 5−HEB−O3 8.0% 5−BBB−C 3.0% 4−BPyB−C 4.0% 4−BPyB−5 4.0% 5−HB2B−4 3.0% 5−HBB2B−3 2.0% 1V−HH−1O1 5.0% 1V2−HBB−3 5.0%
【0067】組成例12 2−HVHVHH−2 3.0% 3−HVHVHH−2 3.0% 5−HVHVHB−2 4.0% 4−HEB(F)−F 10.0% 5−HEB(F)−F 10.0% 2−BEB(F)−C 5.0% 3−BEB(F)−C 5.0% 4−BEB(F)−C 8.0% 5−BEB(F)−C 8.0% 1O3−HB(F)−C 6.0% 3−HHEB(F)−F 5.0% 5−HHEB(F)−F 5.0% 2−HBEB(F)−C 5.0% 3−HBEB(F)−C 5.0% 5−HBEB(F)−C 5.0% 3−HBTB−2 5.0% V2−HH−3 4.0% V2−HHB−1 4.0%
【0068】組成例13 V−HVHVH−2V 3.0% 2V−HVHVH−V2 4.0% V2−HB−C 10.0% 1V2−HB−C 8.0% 3−HB−C 14.0% 1O1−HB−C 6.0% 2O1−HB−C 6.0% 2−HHB−C 5.0% 3−HHB−C 5.0% 3−HH−4 10.0% 1O1−HH−5 5.0% 3−HH−EMe 3.0% 2−BTB−O1 11.0% 3−HHB−1 5.0% 3−HHB−3 5.0%
【0069】組成例14 1V−HVHVHH−2V1 4.0% V−HVHVHB−5 4.0% 5−HB−CL 4.0% 7−HB(F,F)−F 6.0% 3−HBB(F)−F 10.0% 5−HBB(F)−F 10.0% 3−H2BB(F)−F 10.0% 2−HHB−CL 5.0% 4−HHB−CL 10.0% 5−HHB−CL 5.0% 3−HBB(F,F)−F 12.0% 5−HBB(F,F)−F 5.0% 3−H2BB(F,F)−F 5.0% 3−HB(F)VB−2 5.0% 3−HB(F)VB−3 5.0%
【0070】
【実施例】以下、実施例により本発明をより詳細に説明
するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限され
るものではない。なお、化合物の構造は核磁気共鳴スペ
クトル(以下、1H−NMRと略す。)、質量スペクト
ル(以下、MSと略す。)等で確認した。実施例中、N
MRにおいてdは二重線、mは多重線、Jはカップリン
グ定数を表す。MSにおいてM+は分子イオンピーク、
()内はイオン強度を表す。Crは結晶相を、Sはスメ
クチック相を、Nはネマチック相を、Isoは等方性液
体相を示し、相転移温度の単位は全て℃である。 実施例1 トランス−1,4−ビス−((E)−2−(トランス−
4−プロピルシクロヘキシル)エテニル)シクロヘキサ
ン(一般式(1)において、A1及びA2が共有結合、R
及びR’がプロピル基である、化合物No.4)の製造 第1段 (トランス−4−プロピルシクロヘキシル)メチルトリ
フェニルホスホニウムブロミド367.7グラム(76
3.7ミリモル)をTHF3.5リットルに懸濁させ、
窒素気流下−50℃に冷却した。この混合物にt−Bu
OK94.3グラム(840.4ミリモル)を加え1時
間攪拌した。次いでこの溶液に、トランス−4−ホルミ
ルシクロヘキサンカルボン酸メチル100.0グラム
(587.5ミリモル)のTHF1リットル溶液を−5
0℃以下を保ちながら30分かけて滴下した。滴下終了
後、反応温度を徐々に室温まで昇温させ、さらに5時間
攪拌した。反応液から減圧下で溶媒を留去し、残渣に水
500ミリリットルを加え、生成物をトルエン500ミ
リリットルで抽出した。有機層を水200ミリリットル
で3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減
圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(展開溶媒:ヘプタン)に付し、粗製のト
ランス−4−(2−(トランス−4−プロピルシクロヘ
キシル)エテニル)シクロヘキサンカルボン酸メチル1
40.9グラムを得た。
【0071】第2段 窒素気流下、氷浴上でTHF200ミリリットルに水素
化アルミニウムリチウム13.7グラム(360.1ミ
リモル)を加え、第1段で得られたトランス−4−(2
−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)エテニ
ル)シクロヘキサンカルボン酸メチル140.9グラム
(481.8ミリモル)のTHF1.5リットル溶液を
攪拌しながら40分かけて徐々に滴下した。滴下終了
後、室温で5時間攪拌した後、氷浴上で2N−水酸化ナ
トリウム水溶液200ミリリットルを徐々に加えて反応
を終了させた。反応液を湯浴上で50℃に加温し、懸濁
物が固まったところでセライト濾過をし、濾液から減圧
下で溶媒を留去して、粗製のトランス−4−(2−(ト
ランス−4−プロピルシクロヘキシル)エテニル)シク
ロヘキサンカルビノール76.4グラムを得た。
【0072】第3段 窒素気流下、氷浴上で塩化メチレン800ミリリットル
にPCC68.5グラム(317.8ミリモル)および
シリカゲル68.5グラムを添加し、攪拌しながら、第
2段で得られたトランス−4−(2−(トランス−4−
プロピルシクロヘキシル)エテニル)シクロヘキサンカ
ルビノール76.4グラム(288.9ミリモル)を加
え、氷浴上で1時間、更に室温で5時間攪拌した。反応
液より塩化メチレン不溶物を濾過により除去した後、減
圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(展開溶媒:ヘプタン)に付して、粗製の
トランス−4−(2−(トランス−4−プロピルシクロ
ヘキシル)エテニル)シクロヘキサンカルバルデヒド4
4.0グラムを得た。 第4段 (トランス−4−プロピルシクロヘキシル)メチルトリ
フェニルホスホニウムブロミド105.0グラム(21
8.1ミリモル)をTHF1リットルに懸濁させ、窒素
気流下−50℃に冷却した。この混合物にt−BuOK
26.9グラム(239.7ミリモル)を加え1時間攪
拌した。この混合物に、第3段で得られたトランス−4
−(2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)エ
テニル)シクロヘキサンカルバルデヒド44.0グラム
(167.7ミリモル)のTHF450ミリリットル溶
液を−50℃以下を保ちながら20分かけて滴下した。
滴下終了後、反応温度を徐々に室温まで昇温させ、さら
に5時間攪拌した。反応液から減圧下で溶媒を留去し、
残渣に水250ミリリットルを加え、生成物をトルエン
250ミリリットルで抽出した。有機層を水100ミリ
リットルで3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た後、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘプタン)に付して、
粗製のトランス−1,4−ビス−(2−(トランス−4
−プロピルシクロヘキシル)エテニル)シクロヘキサン
51.6グラムを得た。
【0073】第5段 窒素気流下、氷浴上塩化メチレン1.0リットルにmC
PBA92.5グラム(536.1ミリモル)および炭
酸カリウム185.2グラム(1340.0ミリモル)
を加え攪拌し、第4段で得られたトランス−1,4−ビ
ス−(2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)
エテニル)シクロヘキサン51.6グラム(134.1
ミリモル)の塩化メチレン500ミリリットル溶液を2
0分かけて滴下した。滴下終了後、室温で5時間攪拌し
た後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液500ミリリット
ルを加えて反応を終了させた。反応液から有機層を分取
し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液500ミリリットル
で2回、さらに水500ミリリットルで3回洗浄し、無
水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去し
た。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開
溶媒:酢酸エチル/ヘプタン=1/9の混合溶媒)に付
して、粗製のトランス−1,4−ビス−(2−(トラン
ス−4−プロピルシクロヘキシル)エポキシエチル)シ
クロヘキサン39.1グラムを得た。 第6段 第5段で得られたトランス−1,4−ビス−(2−(ト
ランス−4−プロピルシクロヘキシル)エポキシエチ
ル)シクロヘキサン39.1グラム(93.8ミリモ
ル)とトリフェニルホスフィンジブロミド126.7グ
ラム(300.2ミリモル)とをトルエン400ミリリ
ットルに溶解し、3時間加熱還流した。反応液から減圧
下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(展開溶媒:トルエン)に付し、さらにヘプ
タン/エタノールの(5/1)混合溶媒から再結晶し
て、トランス−1,4−ビス−((E)−1,2−ジブ
ロモ−2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)
エチル)シクロヘキサン14.5グラムを得た。
【0074】第7段 トランス−1,4−ビス−((E)−1,2−ジブロモ
−2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)エチ
ル)シクロヘキサン14.5グラム(20.6ミリモ
ル)、亜鉛8.1グラム(123.9ミリモル)および
酢酸150ミリリットルをトルエン150ミリリットル
に加え、室温で12時間攪拌した。反応液から不溶物を
濾過により除去した後、水150ミリリットルを加え
た。この混合物から有機層を分取し、飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液150ミリリットルで3回さらに水150
ミリリットルで3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾
燥した後、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘ
プタン=1/9の混合溶媒)に付して、トランス−1,
4−ビス−((E)−2−(トランス−4−プロピルシ
クロヘキシル)エテニル)シクロヘキサンの粗生成物を
得た。この粗生成物をヘプタン/エタノール(1/2)
の混合溶媒から再結晶して、標題化合物4.1グラム
(収率1.8%)を得た。各種スペクトルデータの測定
結果は目的物の構造を指示した。 相転移温度:Cr 室温以下 SB 171.8 N
210.3 Iso MS:m/e=384(M+,48%),299(2
3),189(18),135(24),81(7
2),67(100). NMR:以下のチャートに示す。
【0075】
【図1】
【0076】実施例2 トランス−4−((E)−2−(トランス−4−プロピ
ルシクロヘキシル)エテニル)−トランス−4’−
((E)−2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシ
ル)エテニル)ビシクロヘキサン(一般式(1)におい
て、A1がトランス−1,4−シクロヘキシレン基、A2
が共有結合、Rがプロピル基、R’がペンチル基であ
る、化合物No.11)の製造 第1段 (トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)メチルトリ
フェニルホスホニウムブロミド262.5グラム(51
5.2ミリモル)をTHF2.5リットルに懸濁させ、
窒素気流下−50℃に冷却した。この混合物にt−Bu
OK63.6グラム(566.8ミリモル)を加え1時
間攪拌した。次いでこの混合物に、トランス−4−(ト
ランス−4−ホルミルシクロヘキシル)シクロヘキサン
カルボン酸メチル100.0グラム(396.3ミリモ
ル)のTHF1リットル溶液を−50℃以下を保ちなが
ら30分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を徐々
に室温まで昇温させ、さらに5時間攪拌した。反応液か
ら減圧下で溶媒を留去し、残渣に水500ミリリットル
を加えた後、生成物をトルエン500ミリリットルで抽
出した。有機層を水200ミリリットルで3回洗浄し、
無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留
去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(展開溶媒:ヘプタン)に付して、粗製のトランス−4
−(トランス−4−(2−(トランス−4−ペンチルシ
クロヘキシル)エテニル)シクロヘキシル)シクロヘキ
サンカルボン酸メチル132.4グラムを得た。
【0077】第2段 窒素気流下、氷浴上でTHF200ミリリットルに水素
化アルミニウムリチウム9.4グラム(247.7ミリ
モル)を加え、攪拌しながら、第1段で得られたトラン
ス−4−(トランス−4−(2−(トランス−4−ペン
チルシクロヘキシル)エテニル)シクロヘキシル)シク
ロヘキサンカルボン酸メチル132.4グラム(32
8.8ミリモル)のTHF1.3リットル溶液を40分
かけて徐々に滴下した。この混合物を室温で5時間攪拌
した後、氷浴上で2N−水酸化ナトリウム水溶液300
ミリリットルを徐々に加えて反応を終了させた。反応液
を湯浴上で50℃に加温し、懸濁物が固まったところで
セライト濾過を行い、濾液から減圧下で溶媒を留去し
て、粗製のトランス−4−(トランス−4−(2−(ト
ランス−4−ペンチルシクロヘキシル)エテニル)シク
ロヘキシル)シクロヘキサンカルビノール72.7グラ
ム(194.0ミリモル)を得た。 第3段 窒素気流下、氷浴上で塩化メチレン700ミリリットル
にPCC46.0グラム(213.4ミリモル)および
シリカゲル46.0グラムを加え攪拌した。次に、この
混合物に第2段で得られたトランス−4−(トランス−
4−(2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)
エテニル)シクロヘキシル)シクロヘキサンカルビノー
ル72.7グラム(194.0ミリモル)を加え、氷浴
上で1時間、さらに室温で5時間攪拌した。反応液から
塩化メチレン不溶物を濾過により除去した後、減圧下で
溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(展開溶媒:ヘプタン)に付して、粗製のトラン
ス−4−(トランス−4−(2−(トランス−4−ペン
チルシクロヘキシル)エテニル)シクロヘキシル)シク
ロヘキサンカルバルデヒド40.5グラムを得た。
【0078】第4段 (トランス−4−プロピルシクロヘキシル)メチルトリ
フェニルホスホニウムブロミド68.0グラム(14
1.2ミリモル)をTHF700ミリリットルに懸濁さ
せ、窒素気流下−50℃に冷却した。この混合物にt−
BuOK17.4グラム(155.1ミリモル)を加え
1時間攪拌した。次いでこの混合物に、第3段で得られ
たトランス−4−(トランス−4−(2−(トランス−
4−ペンチルシクロヘキシル)エテニル)シクロヘキシ
ル)シクロヘキサンカルバルデヒド40.5グラム(1
08.7ミリモル)のTHF400ミリリットル溶液を
−50℃以下を保ちながら20分かけて滴下した。滴下
終了後、反応温度を徐々に室温まで昇温させ、さらに5
時間攪拌した。反応液から減圧下で溶媒を留去し、残渣
に水200ミリリットルを加えた後、生成物をトルエン
200ミリリットルで抽出した。有機層を水100ミリ
リットルで3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た後、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘプタン)に付して、
粗製のトランス−4−(2−(トランス−4−プロピル
シクロヘキシル)エテニル)−トランス−4’−(2−
(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)エテニル)
ビシクロヘキサン44.1グラムを得た。 第5段 窒素気流下、氷浴上塩化メチレン600ミリリットルに
mCPBA61.5グラム(356.5ミリモル)およ
び炭酸カリウム123.2グラム(891.4ミリモ
ル)を加え攪拌し、第4段で得られたトランス−4−
(2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)エテ
ニル)−トランス−4’−(2−(トランス−4−ペン
チルシクロヘキシル)エテニル)ビシクロヘキサン4
4.1グラム(89.1ミリモル)の塩化メチレン45
0ミリリットル溶液を20分かけて滴下した。滴下終了
後、反応液を室温で5時間攪拌した後、飽和チオ硫酸ナ
トリウム水溶液450ミリリットルを加えて反応を終了
させた。反応液から有機層を分取し、飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液450ミリリットルで2回、さらに水45
0ミリリットルで3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾
燥した後、減圧下で溶媒を留去した、残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘ
プタン=1/9の混合溶媒)に付して、粗製のトランス
−4−(2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシ
ル)エポキシエチル)−トランス−4’−(2−(トラ
ンス−4−ペンチルシクロヘキシル)エポキシエチル)
ビシクロヘキサン33.3グラムを得た。
【0079】第6段 第5段で得られたトランス−4−(2−(トランス−4
−プロピルシクロヘキシル)エポキシエチル)−トラン
ス−4’−(2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキ
シル)エポキシエチル)ビシクロヘキサン33.3グラ
ム(63.2ミリモル)と、トリフェニルホスフィンジ
ブロミド85.4グラム(202.3ミリモル)とをト
ルエン350ミリリットルに溶解し、3時間加熱還流し
た。反応液から減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン)
に付し、さらにヘプタン/エタノールの(5/1)混合
溶媒から再結晶して、トランス−4−((E)−1,2
−ジブロモ−2−(トランス−4−プロピルシクロヘキ
シル)エチル)−4’−((E)−1,2−ジブロモ−
2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)エチ
ル)ビシクロヘキサン10.3グラムを得た。 第7段 第6段で得られたトランス−4−((E)−1,2−ジ
ブロモ−2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシ
ル)エチル)−4’−((E)−1,2−ジブロモ−2
−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)エチル)
ビシクロヘキサン10.3グラム(12.6ミリモ
ル)、亜鉛4.9グラム(74.9ミリモル)および酢
酸100ミリリットルをトルエン100ミリリットルに
加え、室温で12時間攪拌した。攪拌終了後、反応液か
ら不溶物を濾過により除去し、水100ミリリットルを
加えた。この混合物から分取した有機層を飽和炭酸水素
ナトリウム水溶液100ミリリットルで3回、さらに水
100ミリリットルで3回洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチ
ル/ヘプタン=1/9の混合溶媒)に付し、粗製のトラ
ンス−4−((E)−2−(トランス−4−プロピルシ
クロヘキシル)エテニル)−トランス−4’−((E)
−2−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)エテ
ニル)ビシクロヘキサンを得た。この粗生成物をヘプタ
ン/エタノール(1/2)の混合溶媒から再結晶し、標
題化合物3.0グラム(収率1.5%)を得た。 MS:m/e=494(M+
【0080】実施例3 トランス−1−((E)−2−(トランス−4−プロピ
ルシクロヘキシル)エテニル)−4−((E)−2−
(トランス−4−(4−ペンチルフェニル)シクロヘキ
シル)エテニル)シクロヘキサン(一般式(1)におい
て、A1が単結合、A2がフェニレン基、Rがプロピル
基、R’がペンチル基である、化合物No.27)の製
造 第1段 (トランス−4−(4−ペンチルフェニル)シクロヘキ
シル)メチルトリフェニルホスホニウムブロミド44
7.3グラム(763.8ミリモル)をTHF4.5リ
ットルに懸濁させ窒素気流下−50℃に冷却した。この
混合物にt−BuOK94.3グラム(840.4ミリ
モル)を加え1時間攪拌した。次いでこの混合物にトラ
ンス−4−ホルミルシクロヘキサンカルボン酸メチル1
00.0グラム(587.5ミリモル)のTHF1リッ
トル溶液を−50℃以下を保ちながら30分かけて滴下
した。滴下終了後、反応温度を徐々に室温まで昇温し、
さらに5時間攪拌した。反応液より減圧下で溶媒を留去
し、残渣に水500ミリリットルを加え、生成物をトル
エン500ミリリットルで抽出した。有機層を水200
ミリリットルで3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾
燥した後、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘプタン)に付
し、粗製のトランス−4−(2−(トランス−4−(4
−ペンチルフェニル)シクロヘキシル)エテニル)シク
ロヘキサンカルボン酸メチル184.1グラムを得た。
【0081】第2段 窒素気流下、氷浴上でTHF100ミリリットルに水素
化アルミニウムリチウム13.2グラム(347.8ミ
リモル)を加え、攪拌しながら、第1段で得られたトラ
ンス−4−(2−(トランス−4−(4−ペンチルフェ
ニル)シクロヘキシル)エテニル)シクロヘキサンカル
ボン酸メチル184.1グラム(464.2ミリモル)
のTHF1.8リットル溶液を40分かけて滴下した。
滴下終了後、室温で5時間攪拌した後、氷浴上で2N−
水酸化ナトリウム水溶液200ミリリットルを徐々に加
えて反応を終了させた。反応液を湯浴上で50℃に加温
し、懸濁物が固まったところでセライト濾過を行い、減
圧下で溶媒を留去することにより粗製のトランス−4−
(2−(トランス−4−(4−ペンチルフェニル)シク
ロヘキシル)エテニル)シクロヘキサンカルビノール1
06.1グラムを得た。 第3段 窒素気流下、氷浴上で塩化メチレン1.0リットルにP
CC68.2グラム(316.4ミリモル)およびシリ
カゲル68.2グラムを加え攪拌した。この混合物に第
2段で得られたトランス−4−(2−(トランス−4−
(4−ペンチルフェニル)シクロヘキシル)エテニル)
シクロヘキサンカルビノール106.1グラム(28
7.8ミリモル)を加え、氷浴上で1時間、さらに室温
で5時間攪拌した。反応液から塩化メチレン不溶物を濾
過により除去した後、減圧下で溶媒を留去した。残渣を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘプ
タン)に付し、粗製のトランス−4−(2−(トランス
−4−(4−ペンチルフェニル)シクロヘキシル)エテ
ニル)シクロヘキサンカルバルデヒド62.2グラムを
得た。
【0082】第4段 (トランス−4−プロピルシクロヘキシル)メチルトリ
フェニルホスホニウムブロミド106.2グラム(22
0.6ミリモル)をTHF1リットルに懸濁させ、窒素
気流下−50℃に冷却した。次いでこの混合物にt−B
uOK27.2グラム(242.4ミリモル)を加え1
時間攪拌した。この混合物に第3段で得られたトランス
−4−(2−(トランス−4−(4−ペンチルフェニ
ル)シクロヘキシル)エテニル)シクロヘキサンカルバ
ルデヒド62.2グラム(169.7ミリモル)のTH
F450ミリリットル溶液を−50℃以下を保ちながら
20分かけて滴下した。滴下終了後、反応温度を徐々に
室温まで昇温させ、さらに5時間攪拌した。反応液から
減圧下で溶媒を留去した後、残渣に水250ミリリット
ルを加え、生成物をトルエン250ミリリットルで抽出
した。有機層を水100ミリリットルで3回洗浄し、無
水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去
した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展
開溶媒ヘプタン)に付し、粗製のトランス−1−(2−
(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)エテニル)
−4−(2−(トランス−4−(4−ペンチルフェニ
ル)シクロヘキシル)エテニル)シクロヘキサン64.
7グラムを得た。 第5段 窒素気流下、氷浴上塩化メチレン1.0リットルにmC
PBA93.0グラム(529.8ミリモル)および炭
酸カリウム183.1グラム(1324.8ミリモル)
を加え攪拌し、この混合物に第4段で得られたトランス
−1−(2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシ
ル)エテニル)−4−(2−(トランス−4−(4−ペ
ンチルフェニル)シクロヘキシル)エテニル)シクロヘ
キサン64.7グラム(132.4ミリモル)の塩化メ
チレン500ミリリットル溶液を20分かけて滴下し
た。滴下終了後、室温で5時間攪拌した後、飽和チオ硫
酸ナトリウム水溶液500ミリリットルを加えて反応を
終了させた。反応液から有機層を分取し、飽和炭酸水素
ナトリウム水溶液500ミリリットルで2回、さらに水
500ミリリットルで3回洗浄し、無水硫酸ナトリウム
で乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル
/ヘプタン=1/9の混合溶媒)に付して、粗製のトラ
ンス−1−(2−(トランス−4−プロピルシクロヘキ
シル)エポキシエチル)−4−(2−(トランス−4−
(4−ペンチルフェニル)シクロヘキシル)エポキシエ
チル)シクロヘキサン50.3グラムを得た。
【0083】第6段 第5段で得られたトランス−1−(2−(トランス−4
−プロピルシクロヘキシル)エポキシエチル)−4−
(2−(トランス−4−(4−ペンチルフェニル)シク
ロヘキシル)エポキシエチル)シクロヘキサン50.3
グラム(96.6ミリモル)と、トリフェニルホスフィ
ンジブロミド130.5グラム(309.2ミリモル)
とをトルエン500ミリリットルに溶解し、3時間加熱
還流した。反応液から減圧下で溶媒を留去し、残渣をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエ
ン)に付し、次いでヘプタン/エタノール(5/1)の
混合溶媒から再結晶して、トランス−1−((E)−
1,2−ジブロモ−2−(トランス−4−プロピルシク
ロヘキシル)エチル)−4−((E)−1,2−ジブロ
モ−2−(トランス−4−(4−ペンチルフェニル)シ
クロヘキシル)エチル)シクロヘキサン16.4グラム
を得た。 第7段 第6段で得られたトランス−1−((E)−1,2−ジ
ブロモ−2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシ
ル)エチル)−4−((E)−1,2−ジブロモ−2−
(トランス−4−(4−ペンチルフェニル)シクロヘキ
シル)エチル)シクロヘキサン16.4グラム(20.
3ミリモル)、亜鉛8.0グラム(122.4ミリモ
ル)および酢酸150ミリリットルをトルエン150ミ
リリットルに加え、室温で12時間攪拌した。攪拌終了
後、反応液から不溶物を濾過により除去した後、水15
0ミリリットルを加えた。有機層を分取し、飽和炭酸水
素ナトリウム水溶液150ミリリットルで3回、さらに
水150ミリリットルで3回洗浄し、無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去した。残渣をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エ
チル/ヘプタン=1/9の混合溶媒)に付し、トランス
−1−((E)−2−(トランス−4−プロピルシクロ
ヘキシル)エテニル)−4−((E)−2−(トランス
−4−(4−ペンチルフェニル)シクロヘキシル)エテ
ニル)シクロヘキサンの粗生成物を得た。この粗生成物
をヘプタン/エタノール(1/2)の混合溶媒から再結
晶し、標題化合物5.0グラム(収率1.8%)を得
た。 MS:m/e=488(M+
【0084】実施例4(使用例1) 4−(トランス−4−プロピルシクロヘキシル)ベンゾ
ニトリル 30%(重量、以下同じ) 4−(トランス−4−ペンチルシクロヘキシル)ベンゾ
ニトリル 40% 4−(トランス−4−ヘプチルシクロヘキシル)ベンゾ
ニトリル 30% からなるネマチック液晶組成物の透明点(Cp.)は5
2.3℃であった。この液晶組成物をセル厚9μmのT
Nセル(ねじれネマチックセル)に封入したものの動作
しきい値電圧(Vth)は1.60V、誘電率異方性値
(△ε)は10.7、屈折率異方性値(△n)は0.1
19、また20℃における粘度(η20)は21.4mP
a・sであった。この液晶組成物を母液晶Aとする。上
記母液晶Aの85重量部と、実施例1に示したトランス
−1,4−ビス−((E)−2−(トランス−4−プロ
ピルシクロヘキシル)エテニル)シクロヘキサン(化合
物No.4)15重量部とを混合して得られた新たな液
晶組成物の物性値を測定した。その結果Cp.:83.
2℃、Vth:1.99V、△ε:9.5、△n:0.1
37、η20:19.3mPa・sであった。また、この
組成物を−20℃のフリーザー中に25日間放置した
が、結晶の析出およびスメクチック相の発現はともに認
められなかった。
【0085】実施例5(比較例1) 本発明の化合物と比較する化合物として、従来技術の項
に示した化合物(b)を特許記載の方法に準じて実際に
合成した。実施例4に示した母液晶A85部に化合物
(b)15部を添加して得られた組成物の物性値を測定
した。粘度の測定結果を実施例4の結果と併せて表2に
示す。
【0086】
【表2】
【0087】表2から判るように本発明の化合物は比較
化合物に対し低粘性である。また、比較化合物が20日
でスメクチック相の発現が確認されたのに対し、本願の
化合物は25日以上に渡り、スメクチック相の発現や結
晶の析出は見られず、著しく優れた低温相溶性を有す
る。
【0088】
【発明の効果】一般式(1)で表される本発明の化合
物、すなわち分子中央部に環を挟んで二つのトランス−
1,2−エテニレン基を同時に有する三〜四環系の化合
物は、いずれも広い液晶相温度範囲を示し、低粘性であ
り、大きな屈折率異方性値かつ大きな弾性定数比K33
11を有し、他の種々の液晶材料と低温下においても容
易に混合し、STN型表示方式に適したネマチック液晶
組成物の構成成分として極めて優れている。また、従来
の化合物特に、特開昭61−215336号記載の化合
物に比べて粘性が低く、また著しく優れた低温相溶性を
有する。従って本発明の化合物を液晶組成物の成分とし
て用いた場合、他の液晶材料との相溶性に優れていると
いう特徴に加え、分子構成要素の六員環、置換基および
/または結合基を適当に選択することにより、所望の物
性を有する新たな液晶組成物を提供することが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で製造したトランス−1,4−ビス−
((E)−2−(トランス−4−プロピルシクロヘキシ
ル)エテニル)シクロヘキサンの核磁気共鳴スペクト
ル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 43/18 7419−4H C07C 43/18 43/20 7419−4H 43/20 255/46 9357−4H 255/46 255/50 9357−4H 255/50 C09K 19/30 9279−4H C09K 19/30 G02F 1/13 500 G02F 1/13 500

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数
    2〜10のアルケニル基を示し、R’は炭素数1〜10
    のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、F、C
    l、CN、OCF3、CF3、OCF2H、CF2Hまたは
    CFH2を示し、A1、A2はそれぞれ独立して、トラン
    ス−1,4−シクロヘキシレン基、六員環上の1個以上
    の水素原子がハロゲン原子に置換されていてもよい1,
    4−フェニレン基、または単結合を示し、またこの化合
    物を構成する各元素はその同位体で置換されていてもよ
    い。)で表される液晶性化合物。
  2. 【請求項2】 一般式(1)においてA1及びA2が共に
    単結合である請求項1に記載の液晶性化合物。
  3. 【請求項3】 一般式(1)においてA1がトランス−
    1,4−シクロヘキシレン基であり、A2が単結合であ
    る請求項1に記載の液晶性化合物。
  4. 【請求項4】 一般式(1)においてA1が共有結合で
    があり、A2がトランス−1,4−シクロヘキシレン基
    または1,4−フェニレン基である請求項1に記載の液
    晶性化合物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の液晶性
    化合物を少なくとも1種類以上含有し、2成分以上から
    なる液晶組成物。
  6. 【請求項6】 第一成分として、請求項1〜4のいずれ
    かに記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、第
    二成分として、一般式(2)、(3)および(4) 【化2】 (式中、R1は炭素数1〜10のアルキル基を示し、X1
    はF、Cl、OCF3、OCF2H、CF3、CF2Hまた
    はCFH2を示し、L1、L2、L3およびL4は相互に独
    立してHまたはFを示し、Z1およびZ2は相互に独立し
    て−(CH22−、−CH=CH−または単結合を示
    し、aは1または2を示す。)で表される化合物群から
    選択される化合物を少なくとも1種類含有することを特
    徴とする液晶組成物。
  7. 【請求項7】 第一成分として、請求項1〜4のいずれ
    かに記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、第
    二成分として、一般式(5)、(6)、(7)、(8)
    および(9) 【化3】 (式中、R2はF、炭素数1〜10のアルキル基または
    炭素数2〜10のアルケニル基を示し、該アルキル基お
    よびアルケニル基中の隣接しない任意のメチレン基は酸
    素原子によって置換されていてもよい、環Aはトランス
    −1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン
    基、ピリミジン−2,5−ジイル基または1,3−ジオ
    キサン−2,5−ジイル基を示し、環Bはトランス−
    1,4−シクロヘキシレン基、1,4−フェニレン基ま
    たはピリミジン−2,5−ジイル基を示し、環Cはトラ
    ンス−1,4−シクロヘキシレン基または1,4−フェ
    ニレン基を示し、Z3は−(CH22−、−COO−ま
    たは単結合を示し、L5およびL6は相互に独立してHま
    たはFを示し、bおよびcは相互に独立して0または1
    を示す。) 【化4】 (式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示し、L7
    はHまたはFを示し、dは0または1を示す。) 【化5】 (式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基を示し、環
    Dおよび環Eは相互に独立してトランス−1,4−シク
    ロヘキシレン基または1,4−フェニレン基を示し、Z
    4よびZ5は相互に独立して−COO−または単結合を示
    し、Z6は−COO−または−C≡C−を示し、L8およ
    びL9は相互に独立してHまたはFを示し、X2はF、O
    CF3、OCF2H、CF3、CF2HまたはCFH2を示
    し、e、fおよびgは相互に独立して0または1を示
    す。) 【化6】 (式中、R5およびR6は相互に独立して炭素数1〜10
    のアルキル基または炭素数2〜10のアルケニル基を示
    し、該アルキル基およびアルケニル基中の隣接しない任
    意のメチレン基は酸素原子によって置換されていてもよ
    い、環Gはトランス−1,4−シクロヘキシレン基、
    1,4−フェニレン基またはピリミジン−2,5−ジイ
    ル基を示し、環Hはトランス−1,4−シクロヘキシレ
    ン基または1,4−フェニレン基を示し、Z7は−C≡
    C−、−COO−、−(CH22−、−CH=CH−C
    ≡C−または単結合を示し、Z8は−COO−または単
    結合を示す。) 【化7】 (式中、R7およびR8は相互に独立して炭素数1〜10
    のアルキル基または炭素数2〜10のアルケニル基を示
    し、該アルキル基およびアルケニル基中の隣接しない任
    意のメチレン基は酸素原子によって置換されていてもよ
    い、環Iはトランス−1,4−シクロヘキシレン基、
    1,4−フェニレン基またはピリミジン−2,5−ジイ
    ル基を示し、環Jはトランス−1,4−シクロヘキシレ
    ン基、環上の1つ以上の水素原子がFで置換されていて
    もよい1,4−フェニレン基、またはピリミジン−2,
    5−ジイル基を示し、環Kはトランス−1,4−シクロ
    ヘキシレン基または1,4−フェニレン基を示し、Z9
    およびZ11は相互に独立して−COO−、−(CH22
    −または単結合を示し、Z10は−CH=CH−、−C≡
    C−、−COO−または単結合を示し、hは0または1
    を示す。)で表される化合物群から選択される化合物を
    少なくとも1種類含有することを特徴とする液晶組成
    物。
  8. 【請求項8】 第一成分として、請求項1〜4のいずれ
    かに記載の液晶性化合物を少なくとも1種類含有し、第
    二成分の一部分として、一般式(2)、(3)および
    (4)からなる群から選択される化合物を少なくとも1
    種類含有し、第二成分の他の部分として、一般式
    (5)、(6)、(7)、(8)および(9)からなる
    群から選択される化合物を少なくとも1種類含有するこ
    とを特徴とする液晶組成物
  9. 【請求項9】 請求項1〜4のいずれかに記載の液晶性
    化合物を少なくとも1種類以上含有し、2成分以上から
    なる液晶組成物を使用した液晶表示素子。
  10. 【請求項10】 請求項6に記載の液晶組成物を使用し
    た液晶表示素子。
  11. 【請求項11】 請求項7に記載の液晶組成物を使用し
    た液晶表示素子。
  12. 【請求項12】 請求項8に記載の液晶組成物を使用し
    た液晶表示素子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014084466A (ja) * 2012-10-24 2014-05-12 Merck Patent Gmbh 液晶媒体
JP2016166190A (ja) * 2015-03-06 2016-09-15 国立大学法人 千葉大学 新規液晶性化合物、液晶組成物、光素子および光表示装置

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