JPH0920822A - 芳香族ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents
芳香族ポリカーボネートの製造方法Info
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- JPH0920822A JPH0920822A JP17084695A JP17084695A JPH0920822A JP H0920822 A JPH0920822 A JP H0920822A JP 17084695 A JP17084695 A JP 17084695A JP 17084695 A JP17084695 A JP 17084695A JP H0920822 A JPH0920822 A JP H0920822A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 製品の分子量等の品質の再現性を維持するた
めの制御を的確に行い、安定した連続運転を達成させ
る。 【解決手段】 芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金
属又はアルカリ土類金属塩基水溶液の制御流量にかかる
修正比率(a)が、反応中に、複数の連結した槽型反応
器の第一槽より抜き出される水相中の芳香族ジヒドロキ
シ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基の濃
度より算出される残存率(b:%)により、下式によっ
て求められるところの芳香族ポリカーボネートの製造方
法。 a=−0.018×(b−11.5)+0.99 …〔13<b〕 a=−0.022×(b−11.5)+1.00 …〔10≦b≦13〕 a=−0.003×(b−11.5)+1.03 …〔b<10〕 但し、触媒量(x:芳香族ジヒドロキシ化合物に対する
モル%)と第一槽の滞留時間(y:分)が次なる条件の
場合に適用される。 logy<−2.19x+1.84 〔x≧0.0005,y≧1,xy≧0.5〕
めの制御を的確に行い、安定した連続運転を達成させ
る。 【解決手段】 芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金
属又はアルカリ土類金属塩基水溶液の制御流量にかかる
修正比率(a)が、反応中に、複数の連結した槽型反応
器の第一槽より抜き出される水相中の芳香族ジヒドロキ
シ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基の濃
度より算出される残存率(b:%)により、下式によっ
て求められるところの芳香族ポリカーボネートの製造方
法。 a=−0.018×(b−11.5)+0.99 …〔13<b〕 a=−0.022×(b−11.5)+1.00 …〔10≦b≦13〕 a=−0.003×(b−11.5)+1.03 …〔b<10〕 但し、触媒量(x:芳香族ジヒドロキシ化合物に対する
モル%)と第一槽の滞留時間(y:分)が次なる条件の
場合に適用される。 logy<−2.19x+1.84 〔x≧0.0005,y≧1,xy≧0.5〕
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は芳香族ポリカーボネ
ートの製造方法に関し、さらに詳しくは、分子量の再現
性が良好で、機械的、熱的性質や溶融流動性の均質な芳
香族ポリカーボネートを工業的規模で連続的に効率良く
製造する方法に関する。
ートの製造方法に関し、さらに詳しくは、分子量の再現
性が良好で、機械的、熱的性質や溶融流動性の均質な芳
香族ポリカーボネートを工業的規模で連続的に効率良く
製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネートは高強度、高剛
性、耐熱性、耐衝撃性に優れ、さらには透明性、耐候
性、寸法安定性、電気特性などにも優れたエンジニアリ
ングプラスチックとして多くの分野に用いられている。
このように、芳香族ポリカーボネートは用途が多岐にわ
たり、その成形についても複雑な形状の精密部品や薄肉
の製品、そして大型の肉厚製品といったように、用途に
よって様々な形態があり、精密な成形が必要な場合が多
い。
性、耐熱性、耐衝撃性に優れ、さらには透明性、耐候
性、寸法安定性、電気特性などにも優れたエンジニアリ
ングプラスチックとして多くの分野に用いられている。
このように、芳香族ポリカーボネートは用途が多岐にわ
たり、その成形についても複雑な形状の精密部品や薄肉
の製品、そして大型の肉厚製品といったように、用途に
よって様々な形態があり、精密な成形が必要な場合が多
い。
【0003】芳香族ポリカーボネートは比較的に溶融粘
度の高い樹脂であり、又溶融粘度の剪断速度依存性が極
めて小さいため、射出圧力による流動性の変化が少な
い。つまり、芳香族ポリカーボネートの成形は、温度条
件の管理が重要であることはもとより、樹脂の分子量が
均質であることが前提条件となる。しかしながら、汎用
用途への大量生産においては、樹脂の目標分子量からの
ばらつきにより、再現性のある良好な成形が妨げられる
トラブルが少なくなかった。
度の高い樹脂であり、又溶融粘度の剪断速度依存性が極
めて小さいため、射出圧力による流動性の変化が少な
い。つまり、芳香族ポリカーボネートの成形は、温度条
件の管理が重要であることはもとより、樹脂の分子量が
均質であることが前提条件となる。しかしながら、汎用
用途への大量生産においては、樹脂の目標分子量からの
ばらつきにより、再現性のある良好な成形が妨げられる
トラブルが少なくなかった。
【0004】一般的用途に使用されている芳香族ポリカ
ーボネートは、JIS K−7210の方法に準拠し、
温度280℃、荷重2.16kgの条件で測定する溶融
粘度で、3〜20g/min程度の範囲に在る。そし
て、この範囲から、成形品の形状によって決められる最
適な溶融流動性や成形品の用途から求められる強度など
を考慮して、製品の分子量、即ち溶融粘度が定められ
る。精密な成形を求められる用途が拡大している現在、
この製品の溶融粘度の再現性を向上させることが重要で
あり、目標とする溶融粘度に対し±0.5g/min程
度の粘度差の製品を連続的に製造し得ることが好まし
い。
ーボネートは、JIS K−7210の方法に準拠し、
温度280℃、荷重2.16kgの条件で測定する溶融
粘度で、3〜20g/min程度の範囲に在る。そし
て、この範囲から、成形品の形状によって決められる最
適な溶融流動性や成形品の用途から求められる強度など
を考慮して、製品の分子量、即ち溶融粘度が定められ
る。精密な成形を求められる用途が拡大している現在、
この製品の溶融粘度の再現性を向上させることが重要で
あり、目標とする溶融粘度に対し±0.5g/min程
度の粘度差の製品を連続的に製造し得ることが好まし
い。
【0005】品質が均質な芳香族ポリカーボネートを製
造するためには、芳香族ジヒドロキシ化合物とハロゲン
化カルボニル化合物の反応のモル比および芳香族ジヒド
ロキシ化合物と分子量調節剤のモル比を所定の比率で安
定して反応させることが必要であるが、工業的規模の連
続運転においては、これらの原料の供給量の振幅が時と
して所望のモル比からの逸脱につながり、製品品質のば
らつきとなって現れることがある。
造するためには、芳香族ジヒドロキシ化合物とハロゲン
化カルボニル化合物の反応のモル比および芳香族ジヒド
ロキシ化合物と分子量調節剤のモル比を所定の比率で安
定して反応させることが必要であるが、工業的規模の連
続運転においては、これらの原料の供給量の振幅が時と
して所望のモル比からの逸脱につながり、製品品質のば
らつきとなって現れることがある。
【0006】この問題を解決するべく、運転中に反応系
の種々の状態を検査し、原料の供給量を適正値に自動制
御することで、均質な品質の製品を提供する方法が考案
されている。特開昭64−65126号に、重合反応系
にプレ重縮合オリゴマーのクロロホーメート末端を自動
測定する装置および/または重縮合反応液中の未反応ビ
スフェノ−ル類を自動測定する装置を設け、その装置か
ら出力される測定値を制御演習システムに入力してこれ
により原料供給系弁の開閉を自動制御する方法が示され
ている。このように、重縮合反応時の中間体の生成状況
および/または重縮合終了時の未反応モノマー量を測定
し、原料供給系へフィードバックし供給量を調節するこ
とで製品品質の再現性を向上させることができるとされ
ている。しかし、プレ重縮合系でのオリゴマーのクロロ
ホーメート末端は、芳香族ジヒドロキシ化合物とハロゲ
ン化カルボニル化合物の反応のモル比以外に、反応温
度、攪拌の状況、触媒量や苛性量の変動といった種々の
要因による外乱を受けやすく、また、外乱を受けた場合
のクロロホーメート末端量の振れ幅が大きいため、この
測定値を制御因子とすると、運転を安定させるための制
御が困難になりやすい問題があった。さらに、重縮合反
応液水相中の未反応モノマーを監視し、その変化を原料
供給系へフィードバックして制御する方法も示されてい
るが、重縮合反応が終了した時点での未反応モノマー量
を制御因子とした場合、原料供給系に対しオリゴマーの
製造から重縮合が終了するまでの所要時間分の遅れを生
じることとなり、その制御がプレ重縮合系の現状に即し
た制御にならない問題があった。
の種々の状態を検査し、原料の供給量を適正値に自動制
御することで、均質な品質の製品を提供する方法が考案
されている。特開昭64−65126号に、重合反応系
にプレ重縮合オリゴマーのクロロホーメート末端を自動
測定する装置および/または重縮合反応液中の未反応ビ
スフェノ−ル類を自動測定する装置を設け、その装置か
ら出力される測定値を制御演習システムに入力してこれ
により原料供給系弁の開閉を自動制御する方法が示され
ている。このように、重縮合反応時の中間体の生成状況
および/または重縮合終了時の未反応モノマー量を測定
し、原料供給系へフィードバックし供給量を調節するこ
とで製品品質の再現性を向上させることができるとされ
ている。しかし、プレ重縮合系でのオリゴマーのクロロ
ホーメート末端は、芳香族ジヒドロキシ化合物とハロゲ
ン化カルボニル化合物の反応のモル比以外に、反応温
度、攪拌の状況、触媒量や苛性量の変動といった種々の
要因による外乱を受けやすく、また、外乱を受けた場合
のクロロホーメート末端量の振れ幅が大きいため、この
測定値を制御因子とすると、運転を安定させるための制
御が困難になりやすい問題があった。さらに、重縮合反
応液水相中の未反応モノマーを監視し、その変化を原料
供給系へフィードバックして制御する方法も示されてい
るが、重縮合反応が終了した時点での未反応モノマー量
を制御因子とした場合、原料供給系に対しオリゴマーの
製造から重縮合が終了するまでの所要時間分の遅れを生
じることとなり、その制御がプレ重縮合系の現状に即し
た制御にならない問題があった。
【0007】特開平4−198213号にはポリカーボ
ネートの連続的製造法における製品の分子量の再現性を
向上させるための運転制御方法として、ホスゲン、ビス
フェノール類のアルカリ水溶液、分子量調節剤および有
機溶媒を連続的に重合反応器に供給し重合反応を行わ
せ、反応混合液から分離されるポリカーボネートを含有
する有機相または洗浄系にて夾雑不純物を取り除いて得
られるポリカーボネートを含有する有機相における粘
度、濃度および温度を測定することにより、該ポリカー
ボネートの粘度平均分子量を算出し、その値に応じて重
合反応器に供給される分子量調節剤の供給量を制御する
方法が示されている。こういった方法では、ある程度製
品分子量に再現性のある運転制御が可能ではあるが、重
合が終了した有機相が得られるまでに要する時間が分子
量調節剤の供給量の制御の遅れにつながることは避けら
れず、何らかの外乱により異常な状態になった場合に、
その修正の結果が製品に反映されるまでに時間がかかる
ことで、大きな損失を被ることが予測され、解決を必要
とする問題であった。
ネートの連続的製造法における製品の分子量の再現性を
向上させるための運転制御方法として、ホスゲン、ビス
フェノール類のアルカリ水溶液、分子量調節剤および有
機溶媒を連続的に重合反応器に供給し重合反応を行わ
せ、反応混合液から分離されるポリカーボネートを含有
する有機相または洗浄系にて夾雑不純物を取り除いて得
られるポリカーボネートを含有する有機相における粘
度、濃度および温度を測定することにより、該ポリカー
ボネートの粘度平均分子量を算出し、その値に応じて重
合反応器に供給される分子量調節剤の供給量を制御する
方法が示されている。こういった方法では、ある程度製
品分子量に再現性のある運転制御が可能ではあるが、重
合が終了した有機相が得られるまでに要する時間が分子
量調節剤の供給量の制御の遅れにつながることは避けら
れず、何らかの外乱により異常な状態になった場合に、
その修正の結果が製品に反映されるまでに時間がかかる
ことで、大きな損失を被ることが予測され、解決を必要
とする問題であった。
【0008】この様に従来の技術では、ポリカーボネー
トの工業的規模の製造において、種々の外乱による反応
の状況の変化に迅速に対応し、製品の分子量の再現性を
維持するための制御を行うこと、及びそれに伴う安定し
た連続運転の実施は困難なものであった。
トの工業的規模の製造において、種々の外乱による反応
の状況の変化に迅速に対応し、製品の分子量の再現性を
維持するための制御を行うこと、及びそれに伴う安定し
た連続運転の実施は困難なものであった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は芳香族ポリカ
ーボネートの製造方法に関し、さらに詳しくは、分子量
の再現性が良好で、機械的、熱的性質や溶融流動性の均
質な芳香族ポリカーボネートを連続的に効率良く製造す
るために、種々の外乱による反応の状況の変化に迅速に
対応し、製品の分子量等の品質の再現性を維持するため
の制御を的確に行い、安定した連続運転を達成させるこ
とを目的とする。
ーボネートの製造方法に関し、さらに詳しくは、分子量
の再現性が良好で、機械的、熱的性質や溶融流動性の均
質な芳香族ポリカーボネートを連続的に効率良く製造す
るために、種々の外乱による反応の状況の変化に迅速に
対応し、製品の分子量等の品質の再現性を維持するため
の制御を的確に行い、安定した連続運転を達成させるこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、目標とする分子量及び
品質を有する芳香族ポリカーボネートを再現性良く製造
するための条件として最も重要となる芳香族ジヒドロキ
シ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基とハ
ロゲン化カルボニル化合物の初期接触のモル比に対して
何らかの外乱が働いた場合に、その状態を迅速かつ明確
に反映する指標が、該初期接触後の水相中に存在する未
反応の芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はア
ルカリ土類金属塩基の濃度であることに着目した。そし
て、芳香族ポリカーボネートの連続的製造法において、
特に該初期接触が槽型の反応器で行われ、その時の滞留
時間と触媒量が好ましい範囲の条件で運転が行われる場
合に、該初期接触後の水相中に存在する未反応の芳香族
ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金
属塩基の濃度が該初期接触のモル比の状態と特定の関係
をもって変化することをつきとめた。こうして、該初期
接触後の水相中に存在する未反応の芳香族ジヒドロキシ
化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基の濃度
を測定し、これを指標として原料供給量を調節して運転
を行うことで、最終的に製品として取り出して評価をす
る以前に、目標とする分子量及び品質を有する芳香族ポ
リカーボネートが安定して製造されていることの知見が
得られることを見出だした。また、本発明方法では該初
期接触のモル比の状態を正確な指標で安定して知り得る
だけでなく、該初期接触の終了直後に原料供給量比の是
非を把握できることから、初期接触の滞留時間に要する
数分から数十分程度の短い時間で、必要な原料供給量の
調節方向や調節量が明らかになり、その修正動作に対す
る応答時間も極めて速いという利点がある。即ち、外乱
による反応の状況の変化に迅速に対応し、製品の分子量
の再現性を維持するための制御を行うこと、及びそれに
伴う安定した連続運転の実施を可能にするものである。
目的としたところの、安定した連続運転の継続による製
品の分子量及び品質の再現性の維持は、上記技術を工業
的運転に応用させることにより達成され、本発明を完成
するに至った。
を解決すべく鋭意検討した結果、目標とする分子量及び
品質を有する芳香族ポリカーボネートを再現性良く製造
するための条件として最も重要となる芳香族ジヒドロキ
シ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基とハ
ロゲン化カルボニル化合物の初期接触のモル比に対して
何らかの外乱が働いた場合に、その状態を迅速かつ明確
に反映する指標が、該初期接触後の水相中に存在する未
反応の芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はア
ルカリ土類金属塩基の濃度であることに着目した。そし
て、芳香族ポリカーボネートの連続的製造法において、
特に該初期接触が槽型の反応器で行われ、その時の滞留
時間と触媒量が好ましい範囲の条件で運転が行われる場
合に、該初期接触後の水相中に存在する未反応の芳香族
ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金
属塩基の濃度が該初期接触のモル比の状態と特定の関係
をもって変化することをつきとめた。こうして、該初期
接触後の水相中に存在する未反応の芳香族ジヒドロキシ
化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基の濃度
を測定し、これを指標として原料供給量を調節して運転
を行うことで、最終的に製品として取り出して評価をす
る以前に、目標とする分子量及び品質を有する芳香族ポ
リカーボネートが安定して製造されていることの知見が
得られることを見出だした。また、本発明方法では該初
期接触のモル比の状態を正確な指標で安定して知り得る
だけでなく、該初期接触の終了直後に原料供給量比の是
非を把握できることから、初期接触の滞留時間に要する
数分から数十分程度の短い時間で、必要な原料供給量の
調節方向や調節量が明らかになり、その修正動作に対す
る応答時間も極めて速いという利点がある。即ち、外乱
による反応の状況の変化に迅速に対応し、製品の分子量
の再現性を維持するための制御を行うこと、及びそれに
伴う安定した連続運転の実施を可能にするものである。
目的としたところの、安定した連続運転の継続による製
品の分子量及び品質の再現性の維持は、上記技術を工業
的運転に応用させることにより達成され、本発明を完成
するに至った。
【0011】即ち、本発明は少なくとも一種の芳香族ジ
ヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属
塩基水溶液とハロゲン化カルボニル化合物とを、重合触
媒、分子量調節剤、および有機溶媒とともに、複数の連
結した槽型反応器中に連続的に供給して反応させ芳香族
ポリカーボネートを製造する方法において、芳香族ジヒ
ドロキシ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩
基水溶液とハロゲン化カルボニル化合物の供給を設定値
に対する流量の偏差を計測して制御するとともに、第一
槽より抜き出される水相中の芳香族ジヒドロキシ化合物
のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基濃度を測定
し、供給液の濃度に対して残存率を求め、該残存率の基
準値からの偏差に応じて修正比率を導き、これを芳香族
ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金
属塩基水溶液の設定流量に乗じ、随時供給量を修正する
ことを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法で
あり、芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はア
ルカリ土類金属塩基水溶液の制御流量にかかる修正比率
(a)が、反応中に、複数の連結した槽型反応器の第一
槽より抜き出される水相中の芳香族ジヒドロキシ化合物
のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基の濃度より算
出される残存率(b:%)により、下式によって求めら
れるところの請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート
の製造方法である。
ヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属
塩基水溶液とハロゲン化カルボニル化合物とを、重合触
媒、分子量調節剤、および有機溶媒とともに、複数の連
結した槽型反応器中に連続的に供給して反応させ芳香族
ポリカーボネートを製造する方法において、芳香族ジヒ
ドロキシ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩
基水溶液とハロゲン化カルボニル化合物の供給を設定値
に対する流量の偏差を計測して制御するとともに、第一
槽より抜き出される水相中の芳香族ジヒドロキシ化合物
のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基濃度を測定
し、供給液の濃度に対して残存率を求め、該残存率の基
準値からの偏差に応じて修正比率を導き、これを芳香族
ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金
属塩基水溶液の設定流量に乗じ、随時供給量を修正する
ことを特徴とする芳香族ポリカーボネートの製造方法で
あり、芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はア
ルカリ土類金属塩基水溶液の制御流量にかかる修正比率
(a)が、反応中に、複数の連結した槽型反応器の第一
槽より抜き出される水相中の芳香族ジヒドロキシ化合物
のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基の濃度より算
出される残存率(b:%)により、下式によって求めら
れるところの請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート
の製造方法である。
【数2】 a=−0.018×(b−11.5)+0.99 …〔13<b〕 a=−0.022×(b−11.5)+1.00 …〔10≦b≦13〕 a=−0.003×(b−11.5)+1.03 …〔b<10〕 但し、触媒量(x:芳香族ジヒドロキシ化合物に対する
モル%)と第一槽の滞留時間(y:分)が次なる条件の
場合に適用される。 logy<−2.19x+1.84 〔x≧0.0005, y≧1, xy≧0.5〕
モル%)と第一槽の滞留時間(y:分)が次なる条件の
場合に適用される。 logy<−2.19x+1.84 〔x≧0.0005, y≧1, xy≧0.5〕
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明においては、芳香族ジヒドロキシ化合物を含む水
溶液、ハロゲン化カルボニル、有機溶媒を使用する。本
発明で使用される芳香族ジヒドロキシ化合物を含む水溶
液は、少なくとも一種の芳香族ジヒドロキシ化合物、ア
ルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基、水、分子量調節
剤、重合触媒、及び所望により分岐化剤よりなる。
本発明においては、芳香族ジヒドロキシ化合物を含む水
溶液、ハロゲン化カルボニル、有機溶媒を使用する。本
発明で使用される芳香族ジヒドロキシ化合物を含む水溶
液は、少なくとも一種の芳香族ジヒドロキシ化合物、ア
ルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基、水、分子量調節
剤、重合触媒、及び所望により分岐化剤よりなる。
【0013】本発明において使用される芳香族ジヒドロ
キシ化合物は、下記式(1)または(2)で表される化
合物である。 HO−Ar1−X−Ar2−OH (1) HO−Ar3−OH (2) 上記式において、Ar1、Ar2およびAr3は、各々
単環の二価芳香族基、即ち、フェニレン基もしくは置換
基を有する置換フェニレン基であり、置換基としては、
ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル
基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基等の
炭化水素基、アルコキシ基等が挙げられる。
キシ化合物は、下記式(1)または(2)で表される化
合物である。 HO−Ar1−X−Ar2−OH (1) HO−Ar3−OH (2) 上記式において、Ar1、Ar2およびAr3は、各々
単環の二価芳香族基、即ち、フェニレン基もしくは置換
基を有する置換フェニレン基であり、置換基としては、
ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル
基、アルケニル基、アラルキル基またはアリール基等の
炭化水素基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0014】Ar1とAr2は、両方ともがp−フェニ
レン基、m−フェニレン基またはo−フェニレン基、あ
るいは、一方がp−フェニレン基で、他方がm−フェニ
レン基またはo−フェニレン基であるのが好ましく、特
にAr1とAr2の両方がp−フェニレン基であるのが
好ましい。Xは、Ar1とAr2を結び付ける連結基で
あり、単結合もしくは2価の炭化水素基、更には、−O
−、−S−、−SO−、−SO2 −、−CO−等の炭
素と水素以外の原子を含む基であっても良い。2価の炭
化水素基とは、飽和の炭化水素基、例えば、メチレン、
エチレン、2,2−プロピリデン、シクロヘキシリデ
ン、置換基を有するシクロヘキシリデン等のアルキリデ
ン基が挙げられるが、アリール基等で置換された基も包
含され、また、芳香族基やその他の不飽和の炭化水素基
を含有する炭化水素基であってもよい。
レン基、m−フェニレン基またはo−フェニレン基、あ
るいは、一方がp−フェニレン基で、他方がm−フェニ
レン基またはo−フェニレン基であるのが好ましく、特
にAr1とAr2の両方がp−フェニレン基であるのが
好ましい。Xは、Ar1とAr2を結び付ける連結基で
あり、単結合もしくは2価の炭化水素基、更には、−O
−、−S−、−SO−、−SO2 −、−CO−等の炭
素と水素以外の原子を含む基であっても良い。2価の炭
化水素基とは、飽和の炭化水素基、例えば、メチレン、
エチレン、2,2−プロピリデン、シクロヘキシリデ
ン、置換基を有するシクロヘキシリデン等のアルキリデ
ン基が挙げられるが、アリール基等で置換された基も包
含され、また、芳香族基やその他の不飽和の炭化水素基
を含有する炭化水素基であってもよい。
【0015】芳香族ジヒドロキシ化合物の具体例として
は、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1−ナフチルメタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔”ビスフェノ
ールA”〕、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−
(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)イソブタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3−n−プロピル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル
−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロ
ヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4
−ヒドロキシフェニル) プロパン、2,2−ビス
(2,3,5,6−テトラメチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジ
クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(2,6−ジブロモ
−3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シアノメタン、1
−シアノ−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブ
タン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサ
フルオロプロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アル
カン類;
は、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1−ナフチルメタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔”ビスフェノ
ールA”〕、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−
(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)イソブタン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3−n−プロピル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル
−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロ
ヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4
−ヒドロキシフェニル) プロパン、2,2−ビス
(2,3,5,6−テトラメチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジ
クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、2,2−ビス(2,6−ジブロモ
−3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シアノメタン、1
−シアノ−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブ
タン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサ
フルオロプロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アル
カン類;
【0016】1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、1,1−ビス (4−ヒドロキシ
フェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘプタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマン
タン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン
類;4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,
4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルエ
ーテル、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル
類;4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニ
ルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド、
4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,
4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルス
ルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド
類;4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,
4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルス
ルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロ
キシ−3−メチルフェニル)ケトン等のビス(ヒドロキ
シアリール)ケトン類;
シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、1,1−ビス (4−ヒドロキシ
フェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘプタ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマン
タン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン
類;4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,
4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルエ
ーテル、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル
類;4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニ
ルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド、
4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,
4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルス
ルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド
類;4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,
4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルス
ルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロ
キシ−3−メチルフェニル)ケトン等のビス(ヒドロキ
シアリール)ケトン類;
【0017】更には、6,6´−ジヒドロキシ−3,
3,3´,3´−テトラメチルスピロ(ビス) インダ
ン〔”スピロビインダンビスフェノール”〕、トランス
−2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブテ
ン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレ
ン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブ
タノン、1,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
1,6−ヘキサンジオン、1,1−ジクロロ−2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジ
ブロモ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチ
レン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(5−フェノキ
シ−4−ヒドロキシフェニル)エチレン、α,α,α
´,α´−テトラメチル−α,α´−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−p−キシレン、α,α,α´,α´−
テトラメチル−α,α´−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−m−キシレン、4,4´−ジヒドロキシビフェニ
ル等が挙げられる。上記の芳香族ジヒドロキシ化合物の
他に、ハイドロキノン、レゾルシン等も同様に使用され
る。これらは単独で、あるいは2種以上混合して使用し
ても良い。本発明において、特に好ましく使用される芳
香族ジヒドロキシ化合物は、ビスフェノールAである。
3,3´,3´−テトラメチルスピロ(ビス) インダ
ン〔”スピロビインダンビスフェノール”〕、トランス
−2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブテ
ン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレ
ン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブ
タノン、1,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−
1,6−ヘキサンジオン、1,1−ジクロロ−2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジ
ブロモ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチ
レン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(5−フェノキ
シ−4−ヒドロキシフェニル)エチレン、α,α,α
´,α´−テトラメチル−α,α´−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−p−キシレン、α,α,α´,α´−
テトラメチル−α,α´−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−m−キシレン、4,4´−ジヒドロキシビフェニ
ル等が挙げられる。上記の芳香族ジヒドロキシ化合物の
他に、ハイドロキノン、レゾルシン等も同様に使用され
る。これらは単独で、あるいは2種以上混合して使用し
ても良い。本発明において、特に好ましく使用される芳
香族ジヒドロキシ化合物は、ビスフェノールAである。
【0018】本発明で用いるアルカリ金属又はアルカリ
土類金属塩基(以下、塩基と略記する)は、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムのようなア
ルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物であり、入
手が容易な点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
が好ましく、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
土類金属塩基(以下、塩基と略記する)は、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムのようなア
ルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物であり、入
手が容易な点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
が好ましく、特に水酸化ナトリウムが好ましい。
【0019】塩基の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合
物に対して、約1.0〜1.5倍当量が好ましく、更に
は、約1.25〜1.45倍当量が好ましい。塩基は通
常水溶液の状態で用いられるが、この水溶液に芳香族ジ
ヒドロキシ化合物を溶解させて反応に使用することが好
ましい。芳香族ジヒドロキシ化合物の塩基性水溶液は、
一般に着色し易いので、酸化防止剤として、亜硫酸ナト
リウム、ハイドロサルファイト、ソジウムボロハイドラ
イド等の還元剤を添加して調製してもよい。
物に対して、約1.0〜1.5倍当量が好ましく、更に
は、約1.25〜1.45倍当量が好ましい。塩基は通
常水溶液の状態で用いられるが、この水溶液に芳香族ジ
ヒドロキシ化合物を溶解させて反応に使用することが好
ましい。芳香族ジヒドロキシ化合物の塩基性水溶液は、
一般に着色し易いので、酸化防止剤として、亜硫酸ナト
リウム、ハイドロサルファイト、ソジウムボロハイドラ
イド等の還元剤を添加して調製してもよい。
【0020】芳香族ジヒドロキシ化合物の塩基水溶液を
調製するための水は、蒸留水、イオン交換水等を用いて
もよいが、本発明では、芳香族ポリカーボネートを製造
する際に得られる洗浄水もしくは反応水をそのまま、も
しくはその他の水と混合して使用することが可能であ
る。反応水、洗浄水を用いる場合には、その水中の無機
塩の濃度が芳香族ジヒドロキシ化合物に対して0.3〜
20重量%であれば差支えなく、特に芳香族ジヒドロキ
シ化合物の水への溶解度を考慮した場合でも、0.3〜
15重量%であれば支障はない。
調製するための水は、蒸留水、イオン交換水等を用いて
もよいが、本発明では、芳香族ポリカーボネートを製造
する際に得られる洗浄水もしくは反応水をそのまま、も
しくはその他の水と混合して使用することが可能であ
る。反応水、洗浄水を用いる場合には、その水中の無機
塩の濃度が芳香族ジヒドロキシ化合物に対して0.3〜
20重量%であれば差支えなく、特に芳香族ジヒドロキ
シ化合物の水への溶解度を考慮した場合でも、0.3〜
15重量%であれば支障はない。
【0021】この無機塩としては、塩化ナトリウム、臭
化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭
酸水素ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ
化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カ
リウムナトリウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、
炭酸水素カルシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類
金属の塩酸塩もしくは炭酸塩等が挙げられる。通常、芳
香族ポリカーボネートの製造工程中に多量に副生する塩
であり、塩化ナトリウム、もしくは塩化カリウム等であ
る。
化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭
酸水素ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ
化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カ
リウムナトリウム、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、
炭酸水素カルシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類
金属の塩酸塩もしくは炭酸塩等が挙げられる。通常、芳
香族ポリカーボネートの製造工程中に多量に副生する塩
であり、塩化ナトリウム、もしくは塩化カリウム等であ
る。
【0022】反応水中に予め無機塩が存在することは、
反応中のハロゲン化カルボニルの加水分解量、製造され
る芳香族ポリカーボネートオリゴマーの平均分子量、及
びそのオリゴマーの重合により製造される芳香族ポリカ
ーボネートの未反応末端基の残存量、平均分子量につい
ては、何ら影響を与えない。しかし、反応水中に芳香族
ジヒドロキシ化合物に対して20重量%以上の無機塩が
存在している場合には、芳香族ジヒドロキシ化合物の溶
解度が顕著に下がるため、反応水を多量に用いるか、ス
ラリー状態で反応を行わねばならず、分子量分布の幅広
い芳香族ポリカーボネートが生成する傾向がある。
反応中のハロゲン化カルボニルの加水分解量、製造され
る芳香族ポリカーボネートオリゴマーの平均分子量、及
びそのオリゴマーの重合により製造される芳香族ポリカ
ーボネートの未反応末端基の残存量、平均分子量につい
ては、何ら影響を与えない。しかし、反応水中に芳香族
ジヒドロキシ化合物に対して20重量%以上の無機塩が
存在している場合には、芳香族ジヒドロキシ化合物の溶
解度が顕著に下がるため、反応水を多量に用いるか、ス
ラリー状態で反応を行わねばならず、分子量分布の幅広
い芳香族ポリカーボネートが生成する傾向がある。
【0023】芳香族ジヒドロキシ化合物を含む水溶液を
調製するために使用する水の量は、芳香族ジヒドロキシ
化合物と、芳香族ジヒドロキシ化合物の約1.0〜1.
5倍当量の塩基が存在する条件で芳香族ジヒドロキシ化
合物が完全に溶解するのに最低限必要な量である。水量
がこの量よりも少ない場合には、芳香族ジヒドロキシ化
合物が完全に溶解せず、固体状態の芳香族ジヒドロキシ
化合物がホスゲン化反応中に溶解していくため、分子量
分布の広い芳香族ポリカーボネートが得られる傾向があ
る。また、固体状態の芳香族ジヒドロキシ化合物が反応
槽中に飛散し、昇温された後に溶解する等、芳香族ポリ
カーボネートの着色原因にもなる。一方、過度に多すぎ
る水量は、ホスゲンの加水分解を引き起こし、また、工
業的に生産性を低下させる。好ましい水の使用量は、芳
香族ジヒドロキシ化合物1モル当り0.8〜2.2l程
度であり、特に0.9〜1.7lが好ましい。
調製するために使用する水の量は、芳香族ジヒドロキシ
化合物と、芳香族ジヒドロキシ化合物の約1.0〜1.
5倍当量の塩基が存在する条件で芳香族ジヒドロキシ化
合物が完全に溶解するのに最低限必要な量である。水量
がこの量よりも少ない場合には、芳香族ジヒドロキシ化
合物が完全に溶解せず、固体状態の芳香族ジヒドロキシ
化合物がホスゲン化反応中に溶解していくため、分子量
分布の広い芳香族ポリカーボネートが得られる傾向があ
る。また、固体状態の芳香族ジヒドロキシ化合物が反応
槽中に飛散し、昇温された後に溶解する等、芳香族ポリ
カーボネートの着色原因にもなる。一方、過度に多すぎ
る水量は、ホスゲンの加水分解を引き起こし、また、工
業的に生産性を低下させる。好ましい水の使用量は、芳
香族ジヒドロキシ化合物1モル当り0.8〜2.2l程
度であり、特に0.9〜1.7lが好ましい。
【0024】本発明で用いる分子量調節剤(末端封止剤
ともいう)とは、芳香族ポリカーボネートを製造する過
程で最終分子量を調節するためのものである。通常、1
価のヒドロキシ芳香族化合物が用いられるが、その他
に、1価のヒドロキシ芳香族化合物のクロロホーメート
化合物、1価のカルボン酸基を有する化合物、1価のカ
ルボン酸のクロライド化合物等であってもよい。1価の
ヒドロキシ芳香族化合物としては、例えば、フェノー
ル、p−ターシャリブチルフェノール、o−クレゾー
ル、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェ
ノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノー
ル、o−クミルフェノール、m−クミルフェノール、p
−クミルフェノール、o−シクロヘキシルフェノール、
m−シクロヘキシルフェノール、p−シクロヘキシルフ
ェノール、o−オクチルフェノール、m−オクチルフェ
ノール、p−オクチルフェノール、o−ノニルフェノー
ル、m−ノニルフェノール、p−ノニルフェノール、o
−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−
メトキシフェノール、o−クロロフェノール、m−クロ
ロフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェ
ノール、m−ブロモフェノール、p−ブロモフェノー
ル、ペンタブロモフェノール、ペンタクロロフェノー
ル、β−ナフトール、α−ナフトール等である。
ともいう)とは、芳香族ポリカーボネートを製造する過
程で最終分子量を調節するためのものである。通常、1
価のヒドロキシ芳香族化合物が用いられるが、その他
に、1価のヒドロキシ芳香族化合物のクロロホーメート
化合物、1価のカルボン酸基を有する化合物、1価のカ
ルボン酸のクロライド化合物等であってもよい。1価の
ヒドロキシ芳香族化合物としては、例えば、フェノー
ル、p−ターシャリブチルフェノール、o−クレゾー
ル、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェ
ノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノー
ル、o−クミルフェノール、m−クミルフェノール、p
−クミルフェノール、o−シクロヘキシルフェノール、
m−シクロヘキシルフェノール、p−シクロヘキシルフ
ェノール、o−オクチルフェノール、m−オクチルフェ
ノール、p−オクチルフェノール、o−ノニルフェノー
ル、m−ノニルフェノール、p−ノニルフェノール、o
−メトキシフェノール、m−メトキシフェノール、p−
メトキシフェノール、o−クロロフェノール、m−クロ
ロフェノール、p−クロロフェノール、o−ブロモフェ
ノール、m−ブロモフェノール、p−ブロモフェノー
ル、ペンタブロモフェノール、ペンタクロロフェノー
ル、β−ナフトール、α−ナフトール等である。
【0025】一価のヒドロキシ芳香族化合物のクロロホ
ーメート化合物としては、上述の一価のヒドロキシ芳香
族化合物のクロロホーメート誘導体等である。一価のカ
ルボン酸基を有する化合物としては、例えば、酢酸、プ
ロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、
カプリル酸、2,2−ジメチルプロピオン酸、3−メチ
ル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、4−メチル吉草酸、
3,3−ジメチル吉草酸、4−メチルカプロン酸、2,
4−ジメチル吉草酸、3,5−ジメチルカプロン酸、フ
ェノキシ酢酸等の脂肪酸、p−プロポキシ安息香酸、p
−ブトキシ安息香酸、p−ペンチルオキシ安息香酸、p
−ヘキシルオキシ安息香酸、p−オクチルオキシ安息香
酸等の安息香酸類である。一価のカルボン酸のクロライ
ド化合物としては、上記の一価のカルボン酸基を有する
化合物のクロライド誘導体等である。これらは単独で、
あるいは2種以上混合して使用される。入手の容易さ等
からフェノールあるいはp−ターシャリブチルフェノー
ルが好ましい。
ーメート化合物としては、上述の一価のヒドロキシ芳香
族化合物のクロロホーメート誘導体等である。一価のカ
ルボン酸基を有する化合物としては、例えば、酢酸、プ
ロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、
カプリル酸、2,2−ジメチルプロピオン酸、3−メチ
ル酪酸、3,3−ジメチル酪酸、4−メチル吉草酸、
3,3−ジメチル吉草酸、4−メチルカプロン酸、2,
4−ジメチル吉草酸、3,5−ジメチルカプロン酸、フ
ェノキシ酢酸等の脂肪酸、p−プロポキシ安息香酸、p
−ブトキシ安息香酸、p−ペンチルオキシ安息香酸、p
−ヘキシルオキシ安息香酸、p−オクチルオキシ安息香
酸等の安息香酸類である。一価のカルボン酸のクロライ
ド化合物としては、上記の一価のカルボン酸基を有する
化合物のクロライド誘導体等である。これらは単独で、
あるいは2種以上混合して使用される。入手の容易さ等
からフェノールあるいはp−ターシャリブチルフェノー
ルが好ましい。
【0026】本発明方法の分子量調節剤の使用量は、所
望の芳香族ポリカーボネートの最終到達分子量に応じて
決定される。芳香族ポリカーボネートの成形加工性、耐
熱分解性、衝撃抵抗性等の諸物性を発現させるために
は、約12000〜30000の数平均分子量であるこ
とが好ましい。上記の範囲の数平均分子量の芳香族ポリ
カーボネートを製造するために必要な分子量調節剤の使
用量は、使用する芳香族ジヒドロキシ化合物の量に対し
て、2.0〜6.0モル%が好ましい。
望の芳香族ポリカーボネートの最終到達分子量に応じて
決定される。芳香族ポリカーボネートの成形加工性、耐
熱分解性、衝撃抵抗性等の諸物性を発現させるために
は、約12000〜30000の数平均分子量であるこ
とが好ましい。上記の範囲の数平均分子量の芳香族ポリ
カーボネートを製造するために必要な分子量調節剤の使
用量は、使用する芳香族ジヒドロキシ化合物の量に対し
て、2.0〜6.0モル%が好ましい。
【0027】本発明の実施態様における分子量調節剤の
添加時期は、反応液が流通する複数の連結した槽型反応
器中の第一槽または中間の槽のいずれにおいても可能で
ある。第一槽より分子量調節剤を加える場合、添加方法
としては、有機溶媒に所定の濃度で溶解させて有機溶媒
の供給と共に反応系に添加する方法や、芳香族ジヒドロ
キシ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基水
溶液に所定の濃度で溶解させて該水溶液の供給と共に反
応系に添加する方法、その他個別に有機溶媒溶液あるい
はアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基水溶液として
添加する方法が選択できる。中間の槽より分子量調節剤
を加える場合には、個別に有機溶媒溶液あるいはアルカ
リ金属又はアルカリ土類金属塩基水溶液として添加する
方法となる。
添加時期は、反応液が流通する複数の連結した槽型反応
器中の第一槽または中間の槽のいずれにおいても可能で
ある。第一槽より分子量調節剤を加える場合、添加方法
としては、有機溶媒に所定の濃度で溶解させて有機溶媒
の供給と共に反応系に添加する方法や、芳香族ジヒドロ
キシ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基水
溶液に所定の濃度で溶解させて該水溶液の供給と共に反
応系に添加する方法、その他個別に有機溶媒溶液あるい
はアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基水溶液として
添加する方法が選択できる。中間の槽より分子量調節剤
を加える場合には、個別に有機溶媒溶液あるいはアルカ
リ金属又はアルカリ土類金属塩基水溶液として添加する
方法となる。
【0028】芳香族ジヒドロキシ化合物に対する分子量
調節剤のモル比は、製品の分子量の再現性に影響する。
したがって、分子量調節剤の添加方法としては、芳香族
ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金
属塩基水溶液に所定の濃度で溶解させて供給する方法
が、モル比の変動がないため好ましいが、必要によって
第一槽または中間の槽より個別に有機溶媒溶液あるいは
アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基水溶液として供
給する場合、分子量調節剤の有機溶媒溶液或いはアルカ
リ金属又はアルカリ土類金属塩基水溶液の供給を、本発
明方法で制御される芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカ
リ金属又はアルカリ土類金属塩基水溶液の供給流量に対
して特定の比率を乗じたものを設定値として、流量で制
御するこにより、製品の分子量の再現性に問題なく運転
が可能となる。
調節剤のモル比は、製品の分子量の再現性に影響する。
したがって、分子量調節剤の添加方法としては、芳香族
ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金
属塩基水溶液に所定の濃度で溶解させて供給する方法
が、モル比の変動がないため好ましいが、必要によって
第一槽または中間の槽より個別に有機溶媒溶液あるいは
アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基水溶液として供
給する場合、分子量調節剤の有機溶媒溶液或いはアルカ
リ金属又はアルカリ土類金属塩基水溶液の供給を、本発
明方法で制御される芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカ
リ金属又はアルカリ土類金属塩基水溶液の供給流量に対
して特定の比率を乗じたものを設定値として、流量で制
御するこにより、製品の分子量の再現性に問題なく運転
が可能となる。
【0029】本発明で用いる重合触媒は、三級アミン、
四級アンモニウム塩、三級ホスフィン、四級ホスホニウ
ム塩、あるいは、含窒素複素環化合物及びその塩、イミ
ノエーテル及びその塩、アミド基を有する化合物等が挙
げられる。好ましくは、三級アミンであるトリアルキル
アミンであり、より好ましくはトリエチルアミン、トリ
−n−プロピルアミン、ジエチル−n−プロピルアミ
ン、トリ−n−ブチルアミン等の1位及び2位にある炭
素原子上に分岐を持たず、アルキル基がC1〜C4まで
のトリアルキルアミンである。入手の容易さ及び触媒効
果が優れている点でトリエチルアミンが特に好ましい。
四級アンモニウム塩、三級ホスフィン、四級ホスホニウ
ム塩、あるいは、含窒素複素環化合物及びその塩、イミ
ノエーテル及びその塩、アミド基を有する化合物等が挙
げられる。好ましくは、三級アミンであるトリアルキル
アミンであり、より好ましくはトリエチルアミン、トリ
−n−プロピルアミン、ジエチル−n−プロピルアミ
ン、トリ−n−ブチルアミン等の1位及び2位にある炭
素原子上に分岐を持たず、アルキル基がC1〜C4まで
のトリアルキルアミンである。入手の容易さ及び触媒効
果が優れている点でトリエチルアミンが特に好ましい。
【0030】本発明の実施態様における重合触媒の添加
方法は、有機溶媒に所定の濃度で溶解させて有機溶媒の
供給と共に反応系に添加する方法や、芳香族ジヒドロキ
シ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基水溶
液に所定の濃度で溶解させて該水溶液の供給と共に反応
系に添加する方法、その他個別に有機溶媒溶液あるいは
水溶液として添加する方法が選択できる。その際の重合
触媒の使用量は、第一槽の滞留時間との間に下式の関係
を満たす範囲内で定められる。
方法は、有機溶媒に所定の濃度で溶解させて有機溶媒の
供給と共に反応系に添加する方法や、芳香族ジヒドロキ
シ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基水溶
液に所定の濃度で溶解させて該水溶液の供給と共に反応
系に添加する方法、その他個別に有機溶媒溶液あるいは
水溶液として添加する方法が選択できる。その際の重合
触媒の使用量は、第一槽の滞留時間との間に下式の関係
を満たす範囲内で定められる。
【数3】logy<−2.19x+1.84 (x≧0.0005,y≧1,0.5≦xy) x:触媒量(芳香族ジヒドロキシ化合物に対するモル
%) y:第一槽の滞留時間(分)
%) y:第一槽の滞留時間(分)
【0031】触媒量は該関係式に定めたように、第一槽
の滞留時間によって変化する。例えば第一槽の滞留時間
を5分とした場合、好適な触媒量の範囲は芳香族ジヒド
ロキシ化合物に対して0.0005モル%以上0.52
モル%未満となる。また例えば、第一槽の滞留時間を2
5分とした場合、好適な触媒量の範囲は芳香族ジヒドロ
キシ化合物に対して0.0005モル%以上0.20モ
ル%未満となり、第一槽の滞留時間を50分とした場
合、好適な触媒量の範囲は芳香族ジヒドロキシ化合物に
対して0.0005モル%以上0.06モル%未満とな
る。しかし、規定式の関係に外れる触媒量と第一槽の滞
留時間の組み合わせ条件となった場合、製品の分子量及
び品質の再現性が損なわれる結果となるので好ましくな
い。第一槽より抜き出される水相中の芳香族ジヒドロキ
シ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基濃度
を測定し、反応の状況に則した原料供給制御量の迅速な
対応を行うには、規定式に定められた範囲の中でも第一
槽の滞留時間が3分から30分の間が好ましく、さらに
5分から15分の間が最も好ましい。第一槽の滞留時間
が極端に短い場合、原料の初期接触が不十分になりやす
く、本発明の運転制御が製品の分子量及び品質の再現性
に効果を示さなくなるおそれがあるため好ましくない。
また、第一槽の滞留時間が長くなるほど、異常運転に陥
った場合に修正動作の遅れ時間が長くなるので好ましく
ない。
の滞留時間によって変化する。例えば第一槽の滞留時間
を5分とした場合、好適な触媒量の範囲は芳香族ジヒド
ロキシ化合物に対して0.0005モル%以上0.52
モル%未満となる。また例えば、第一槽の滞留時間を2
5分とした場合、好適な触媒量の範囲は芳香族ジヒドロ
キシ化合物に対して0.0005モル%以上0.20モ
ル%未満となり、第一槽の滞留時間を50分とした場
合、好適な触媒量の範囲は芳香族ジヒドロキシ化合物に
対して0.0005モル%以上0.06モル%未満とな
る。しかし、規定式の関係に外れる触媒量と第一槽の滞
留時間の組み合わせ条件となった場合、製品の分子量及
び品質の再現性が損なわれる結果となるので好ましくな
い。第一槽より抜き出される水相中の芳香族ジヒドロキ
シ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基濃度
を測定し、反応の状況に則した原料供給制御量の迅速な
対応を行うには、規定式に定められた範囲の中でも第一
槽の滞留時間が3分から30分の間が好ましく、さらに
5分から15分の間が最も好ましい。第一槽の滞留時間
が極端に短い場合、原料の初期接触が不十分になりやす
く、本発明の運転制御が製品の分子量及び品質の再現性
に効果を示さなくなるおそれがあるため好ましくない。
また、第一槽の滞留時間が長くなるほど、異常運転に陥
った場合に修正動作の遅れ時間が長くなるので好ましく
ない。
【0032】第一槽での芳香族ジヒドロキシ化合物とハ
ロゲン化カルボニル化合物の初期接触を重合触媒なしで
行うと、初期接触の反応速度が遅くなることにより、芳
香族ジヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニル化合物
の反応モル比の変動に対し、第一槽より抜き出される水
相中に含まれる未反応の芳香族ジヒドロキシ化合物量の
変動が鈍くなるため、これをもって該初期接触の反応モ
ル比の状況を判断することが困難になるため好ましくな
い。過剰の重合触媒の使用は、第一槽の滞留時間を極端
に短い条件としなければならなくなる点で本発明上の支
障が在るばかりか、得られる芳香族ポリカーボネートの
分子量分布の再現性に悪影響を及ぼすため好ましくな
い。
ロゲン化カルボニル化合物の初期接触を重合触媒なしで
行うと、初期接触の反応速度が遅くなることにより、芳
香族ジヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニル化合物
の反応モル比の変動に対し、第一槽より抜き出される水
相中に含まれる未反応の芳香族ジヒドロキシ化合物量の
変動が鈍くなるため、これをもって該初期接触の反応モ
ル比の状況を判断することが困難になるため好ましくな
い。過剰の重合触媒の使用は、第一槽の滞留時間を極端
に短い条件としなければならなくなる点で本発明上の支
障が在るばかりか、得られる芳香族ポリカーボネートの
分子量分布の再現性に悪影響を及ぼすため好ましくな
い。
【0033】本発明でカーボネート結合を形成するため
の原料としては、ハロゲン化カルボニルが用いられる。
例えば、ホスゲン、臭化カルボニル、ヨウ化カルボニ
ル、フッ化カルボニル等であり、これらの混合物であっ
てもよい。また、ハロホーメート基を形成させる能力を
有する化合物、例えば、ホスゲンの2量体であるトリク
ロロメチルクロロホーメートやホスゲンの3量体である
ビス(トリクロロメチル)カーボネート等であっても良
い。通常はホスゲンを使用するのが好ましい。本発明に
おいて芳香族ポリカーボネートを製造する場合に用いら
れるハロゲン化カルボニルの使用量は、芳香族ジヒドロ
キシ化合物の量に対し約1.0〜1.3倍モルとなるよ
うに調節する。より安定した連続運転の維持のためには
1.15〜1.25倍モル、さらに好ましくは1.18
〜1.23倍モルの範囲に調節するのが良い。ハロゲン
化カルボニルの使用量が芳香族ジヒドロキシ化合物の量
に対し約1.0倍モルよりも極端に少ない場合、または
1.3倍モルよりも過度に多い場合は、目標とする分子
量及び品質の製品が得られなくなるので好ましくない。
の原料としては、ハロゲン化カルボニルが用いられる。
例えば、ホスゲン、臭化カルボニル、ヨウ化カルボニ
ル、フッ化カルボニル等であり、これらの混合物であっ
てもよい。また、ハロホーメート基を形成させる能力を
有する化合物、例えば、ホスゲンの2量体であるトリク
ロロメチルクロロホーメートやホスゲンの3量体である
ビス(トリクロロメチル)カーボネート等であっても良
い。通常はホスゲンを使用するのが好ましい。本発明に
おいて芳香族ポリカーボネートを製造する場合に用いら
れるハロゲン化カルボニルの使用量は、芳香族ジヒドロ
キシ化合物の量に対し約1.0〜1.3倍モルとなるよ
うに調節する。より安定した連続運転の維持のためには
1.15〜1.25倍モル、さらに好ましくは1.18
〜1.23倍モルの範囲に調節するのが良い。ハロゲン
化カルボニルの使用量が芳香族ジヒドロキシ化合物の量
に対し約1.0倍モルよりも極端に少ない場合、または
1.3倍モルよりも過度に多い場合は、目標とする分子
量及び品質の製品が得られなくなるので好ましくない。
【0034】ハロゲン化カルボニルは気体、液体、溶液
のいずれの状態で供給してもよい。気体の状態で供給す
るのが好ましいが、ジクロロメタン等の有機溶媒に溶解
させた状態で有機溶媒溶液の状態で供給してもよい。ま
た、安定的、かつ、定常的にハロゲン化カルボニルを供
給するには、第一の槽型反応装置に供給されるハロゲン
化カルボニルが有機溶媒溶液の状態である事が好ましい
場合もある。ハロゲン化カルボニルを有機溶媒溶液とし
て供給する場合には、あらかじめハロゲン化カルボニル
と有機溶媒を混合して有機溶媒溶液を調製してこれを連
続的に供給しても良く、第一の槽型反応装置の手前に於
いて配管内あるいはガス吸収装置等の装置を用いて、ハ
ロゲン化カルボニルと有機溶媒を連続的に接触させて連
続的にハロゲン化カルボニルの有機溶媒溶液を調製して
もよい。ハロゲン化カルボニルと有機溶媒とを混合した
後に、槽型反応装置に供給して芳香族ポリカーボネート
を製造する場合には、有機溶媒中に重合触媒が存在しな
いことが必要であるが、ハロゲン化カルボニルと有機溶
媒を別々に供給する場合、及び、ハロゲン化カルボニル
を水系反応溶液と接触させた後に有機溶媒を供給する場
合には、有機溶媒中に前述の好適範囲内の重合触媒が存
在していてもよい。
のいずれの状態で供給してもよい。気体の状態で供給す
るのが好ましいが、ジクロロメタン等の有機溶媒に溶解
させた状態で有機溶媒溶液の状態で供給してもよい。ま
た、安定的、かつ、定常的にハロゲン化カルボニルを供
給するには、第一の槽型反応装置に供給されるハロゲン
化カルボニルが有機溶媒溶液の状態である事が好ましい
場合もある。ハロゲン化カルボニルを有機溶媒溶液とし
て供給する場合には、あらかじめハロゲン化カルボニル
と有機溶媒を混合して有機溶媒溶液を調製してこれを連
続的に供給しても良く、第一の槽型反応装置の手前に於
いて配管内あるいはガス吸収装置等の装置を用いて、ハ
ロゲン化カルボニルと有機溶媒を連続的に接触させて連
続的にハロゲン化カルボニルの有機溶媒溶液を調製して
もよい。ハロゲン化カルボニルと有機溶媒とを混合した
後に、槽型反応装置に供給して芳香族ポリカーボネート
を製造する場合には、有機溶媒中に重合触媒が存在しな
いことが必要であるが、ハロゲン化カルボニルと有機溶
媒を別々に供給する場合、及び、ハロゲン化カルボニル
を水系反応溶液と接触させた後に有機溶媒を供給する場
合には、有機溶媒中に前述の好適範囲内の重合触媒が存
在していてもよい。
【0035】芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属
又はアルカリ土類金属塩基水溶液及びハロゲン化カルボ
ニルの供給は、先に記述した両原料のモル比の好適範囲
内となるように設定して行い、それぞれの流量を計測し
て、原料供給弁の開閉度を調節する通常の制御を行う。
流量の計測に用いられる計器としては、オリフィス、ノ
ズル、ベンチュリなどの差圧流量計、フロートタイプの
面積流量計、ピストン型、ロータリーピストン型などの
容積式流量計、タービン型の流量計、ジャイロスコープ
型や軸流型の質量流量計といった種類のものが用いられ
る。
又はアルカリ土類金属塩基水溶液及びハロゲン化カルボ
ニルの供給は、先に記述した両原料のモル比の好適範囲
内となるように設定して行い、それぞれの流量を計測し
て、原料供給弁の開閉度を調節する通常の制御を行う。
流量の計測に用いられる計器としては、オリフィス、ノ
ズル、ベンチュリなどの差圧流量計、フロートタイプの
面積流量計、ピストン型、ロータリーピストン型などの
容積式流量計、タービン型の流量計、ジャイロスコープ
型や軸流型の質量流量計といった種類のものが用いられ
る。
【0036】有機溶媒は、水に対して実質的に不溶性で
あり、かつ反応に対して不活性であり、芳香族ポリカー
ボネートを溶解するものであれば任意に使用可能であ
る。例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1、2−
ジクロロエタン、1、2−ジクロロエチレン、トリクロ
ロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン等の
脂肪族塩素化物、或いはそれらの混合物を使用すること
が好ましい。また、塩素化炭化水素及びそれらの混合物
に、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭
化水素、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪
族炭化水素等を混合した有機溶媒を使用してもよい。特
に好ましいのはジクロロメタンである。また本発明にお
いては、本発明の方法により製造された芳香族ポリカー
ボネートを回収した際に生じる回収溶剤をそのまま、も
しくは新しい有機溶媒と混合して利用することもでき
る。
あり、かつ反応に対して不活性であり、芳香族ポリカー
ボネートを溶解するものであれば任意に使用可能であ
る。例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1、2−
ジクロロエタン、1、2−ジクロロエチレン、トリクロ
ロエタン、テトラクロロエタン、ジクロロプロパン等の
脂肪族塩素化物、或いはそれらの混合物を使用すること
が好ましい。また、塩素化炭化水素及びそれらの混合物
に、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭
化水素、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪
族炭化水素等を混合した有機溶媒を使用してもよい。特
に好ましいのはジクロロメタンである。また本発明にお
いては、本発明の方法により製造された芳香族ポリカー
ボネートを回収した際に生じる回収溶剤をそのまま、も
しくは新しい有機溶媒と混合して利用することもでき
る。
【0037】有機溶媒の使用量は重合反応中の有機相の
粘度が終始300センチポアズ(cps)を越えないよ
うに定める。この条件を満たすことにより、反応の定常
化が速やかに安定して確保されるため、最後の槽型反応
装置から連続的に抜き出される反応混合物より回収され
る芳香族ポリカーボネートの分子量および分子量分布の
制御が終始再現性良く成される。有機相の粘度が300
cpsを越える場合には、攪拌効率が低下することによ
り反応速度が遅くなり、長い重合時間が必要となるため
に、重合のための槽型反応装置の大規模化、多槽化を強
いられ、更には、最終製品の分子量が制御できなくな
る。室温で300cpsの粘度とは、目標とする芳香族
ポリカーボネートの数平均分子量が20000とした場
合、重合終了時の有機溶媒溶液中の芳香族ポリカーボネ
ートの濃度は約15重量%程度であり、目標とする芳香
族ポリカーボネートの数平均分子量が30000とした
場合、重合終了時の有機溶媒溶液中の芳香族ポリカーボ
ネートの濃度が約12重量%程度となるような有機溶媒
量である。
粘度が終始300センチポアズ(cps)を越えないよ
うに定める。この条件を満たすことにより、反応の定常
化が速やかに安定して確保されるため、最後の槽型反応
装置から連続的に抜き出される反応混合物より回収され
る芳香族ポリカーボネートの分子量および分子量分布の
制御が終始再現性良く成される。有機相の粘度が300
cpsを越える場合には、攪拌効率が低下することによ
り反応速度が遅くなり、長い重合時間が必要となるため
に、重合のための槽型反応装置の大規模化、多槽化を強
いられ、更には、最終製品の分子量が制御できなくな
る。室温で300cpsの粘度とは、目標とする芳香族
ポリカーボネートの数平均分子量が20000とした場
合、重合終了時の有機溶媒溶液中の芳香族ポリカーボネ
ートの濃度は約15重量%程度であり、目標とする芳香
族ポリカーボネートの数平均分子量が30000とした
場合、重合終了時の有機溶媒溶液中の芳香族ポリカーボ
ネートの濃度が約12重量%程度となるような有機溶媒
量である。
【0038】また、有機溶媒の使用量は、反応に使用す
る水量に影響を受けるが、通常、反応初期の有機溶媒量
が、容量比で、反応に用いる水相系の容量に対して0.
8〜1.2:1とするのが好ましい。本発明者らは、重
合触媒の存在下に、芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカ
リ金属又はアルカリ土類金属塩基の水溶液にハロゲン化
カルボニルを反応させて、芳香族ポリカーボネートを製
造する際の、有機溶媒と水相の容量比について検討した
結果、上記の範囲内の容量比の場合に、これまで槽型反
応装置では困難とされていたハロゲン化カルボニルの加
水分解量の削減を効果的に行なえることを見出した。さ
らに、上記範囲内に限定された溶媒量比で芳香族ポリカ
ーボネートを製造する場合には、極めて速やかに重合が
完了することを見出した。溶媒量が上記範囲内の場合に
は、完全混合が効率よく行われるために、安定して、芳
香族ポリカーボネートオリゴマー及び芳香族ポリカーボ
ネートを製造することができ、また上記範囲外の溶媒量
の場合に比べ、より少ない撹拌動力で均一な乳化が可能
である。上記範囲よりも有機溶媒が少ない場合には、均
一な乳化状態を形成する為に多大な撹拌動力を必要と
し、また、上記範囲内よりも有機溶媒量が多い場合に
も、より大きい撹拌動力を必要とするため、生産コスト
の点から好ましくない。
る水量に影響を受けるが、通常、反応初期の有機溶媒量
が、容量比で、反応に用いる水相系の容量に対して0.
8〜1.2:1とするのが好ましい。本発明者らは、重
合触媒の存在下に、芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカ
リ金属又はアルカリ土類金属塩基の水溶液にハロゲン化
カルボニルを反応させて、芳香族ポリカーボネートを製
造する際の、有機溶媒と水相の容量比について検討した
結果、上記の範囲内の容量比の場合に、これまで槽型反
応装置では困難とされていたハロゲン化カルボニルの加
水分解量の削減を効果的に行なえることを見出した。さ
らに、上記範囲内に限定された溶媒量比で芳香族ポリカ
ーボネートを製造する場合には、極めて速やかに重合が
完了することを見出した。溶媒量が上記範囲内の場合に
は、完全混合が効率よく行われるために、安定して、芳
香族ポリカーボネートオリゴマー及び芳香族ポリカーボ
ネートを製造することができ、また上記範囲外の溶媒量
の場合に比べ、より少ない撹拌動力で均一な乳化が可能
である。上記範囲よりも有機溶媒が少ない場合には、均
一な乳化状態を形成する為に多大な撹拌動力を必要と
し、また、上記範囲内よりも有機溶媒量が多い場合に
も、より大きい撹拌動力を必要とするため、生産コスト
の点から好ましくない。
【0039】本発明の方法においては、約10〜50℃
の反応温度が使用される。10℃より低い反応温度で
は、反応速度が過度に遅くなり、実用的ではなくなる。
又、50℃より高い反応温度では、ハロゲン化カルボニ
ルの有機溶媒への溶解度が下がるため、好ましい反応効
率が得られないことがあり、また、ハロゲン化カルボニ
ル及び/またはそれから誘導されるハロホーメート化合
物の加水分解反応も促進されることがあり好ましくな
い。使用される有機溶媒が、ジクロロメタンである場合
には、大気圧下、還流温度である約39℃で行うことが
できる。反応圧力は、通常、大気圧であるが、所望なら
ば、大気圧以下、大気圧以上の圧力条件も使用される。
反応温度により第一槽より抜き出される水相中の芳香族
ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金
属塩基濃度が変動することがあるが、本発明での該濃度
の設定範囲を大きく逸脱させ、原料の供給量の制御を乱
すような急激な温度の変動でない限り、上述の温度範囲
内での反応温度の変化は、本発明の効果によって対応可
能な外乱であるので、連続運転における製品の分子量及
び品質の再現性に影響を及ぼすことはなく、特定の反応
温度に制御を行うことを必要としない。
の反応温度が使用される。10℃より低い反応温度で
は、反応速度が過度に遅くなり、実用的ではなくなる。
又、50℃より高い反応温度では、ハロゲン化カルボニ
ルの有機溶媒への溶解度が下がるため、好ましい反応効
率が得られないことがあり、また、ハロゲン化カルボニ
ル及び/またはそれから誘導されるハロホーメート化合
物の加水分解反応も促進されることがあり好ましくな
い。使用される有機溶媒が、ジクロロメタンである場合
には、大気圧下、還流温度である約39℃で行うことが
できる。反応圧力は、通常、大気圧であるが、所望なら
ば、大気圧以下、大気圧以上の圧力条件も使用される。
反応温度により第一槽より抜き出される水相中の芳香族
ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金
属塩基濃度が変動することがあるが、本発明での該濃度
の設定範囲を大きく逸脱させ、原料の供給量の制御を乱
すような急激な温度の変動でない限り、上述の温度範囲
内での反応温度の変化は、本発明の効果によって対応可
能な外乱であるので、連続運転における製品の分子量及
び品質の再現性に影響を及ぼすことはなく、特定の反応
温度に制御を行うことを必要としない。
【0040】本発明において、芳香族ポリカーボネート
を溶解する有機相および水相よりなる反応混合物は槽型
反応装置から連続的に抜き出されるが、この抜き出し方
法は、任意に選択することが可能である。例えば、オー
バーフロー、ポンプによる抜出し、あるいは、ポンプに
より反応槽の底部もしくは側部から抜き出し、反応槽の
別の位置に戻して循環させながら、配管の任意の位置で
反応槽への供給量と同等の量の反応混合物を抜き出して
もよい。また、槽型反応装置の底部に抜き出し位置を設
け、疑似連続的、すなわち、極めて短い間隔で断続的に
反応混合物を抜き出す方法や、コントロールバルブ等に
より流量を制御しながら反応混合物を槽型反応装置の底
部もしくは中間位置から連続的に抜き出すことも含まれ
る。
を溶解する有機相および水相よりなる反応混合物は槽型
反応装置から連続的に抜き出されるが、この抜き出し方
法は、任意に選択することが可能である。例えば、オー
バーフロー、ポンプによる抜出し、あるいは、ポンプに
より反応槽の底部もしくは側部から抜き出し、反応槽の
別の位置に戻して循環させながら、配管の任意の位置で
反応槽への供給量と同等の量の反応混合物を抜き出して
もよい。また、槽型反応装置の底部に抜き出し位置を設
け、疑似連続的、すなわち、極めて短い間隔で断続的に
反応混合物を抜き出す方法や、コントロールバルブ等に
より流量を制御しながら反応混合物を槽型反応装置の底
部もしくは中間位置から連続的に抜き出すことも含まれ
る。
【0041】また、反応中の撹拌は任意の撹拌装置、撹
拌条件を用いても良いが、極端に速い撹拌を行うこと
は、ハロゲン化カルボニル或いはそれから誘導されるハ
ロホーメート基の加水分解を促進することになる。ま
た、極端に遅い撹拌速度では、界面での接触面積が低減
してしまい、界面条件下での反応が良好に進まなくな
る。好ましい撹拌速度は、反応を行う重合槽の形状や撹
拌翼の形状等にもよるため回転数だけで示すことはでき
ない。好ましい撹拌速度は、簡単な実験により求めるこ
とができるが、通常は、有機溶媒相と水相が、ほぼ均一
に混ざり合う程度の撹拌速度である。
拌条件を用いても良いが、極端に速い撹拌を行うこと
は、ハロゲン化カルボニル或いはそれから誘導されるハ
ロホーメート基の加水分解を促進することになる。ま
た、極端に遅い撹拌速度では、界面での接触面積が低減
してしまい、界面条件下での反応が良好に進まなくな
る。好ましい撹拌速度は、反応を行う重合槽の形状や撹
拌翼の形状等にもよるため回転数だけで示すことはでき
ない。好ましい撹拌速度は、簡単な実験により求めるこ
とができるが、通常は、有機溶媒相と水相が、ほぼ均一
に混ざり合う程度の撹拌速度である。
【0042】本発明の実施態様を説明する。まず、芳香
族ジヒドロキシ化合物、塩基、重合触媒、分子量調節
剤、水、及び所望により分岐化剤、酸化防止剤からなる
混合物を調製する。この際、芳香族ジヒドロキシ化合物
の溶解時の着色を防止する点から、芳香族ジヒドロキシ
化合物を溶解する温度は、20℃以下にすることが好ま
しい。重合触媒はこの原料の水相に添加すること無く、
連結した重合反応槽の中間または最終の段階で添加する
方法でも良い。また、この調製は、回分式に随時調製し
てもよいが、好ましくは連続的に調製し、調製された混
合物を連続的に使用する。この際使用する水は、芳香族
ポリカーボネートオリゴマー或いは芳香族ポリカーボネ
ートを製造する際に使用した少量の重合触媒を含んだ反
応水、あるいは洗浄水で、水中の無機塩が0.3〜20
重量%となるように適宜、濃縮、希釈を行った水を使用
することができる。
族ジヒドロキシ化合物、塩基、重合触媒、分子量調節
剤、水、及び所望により分岐化剤、酸化防止剤からなる
混合物を調製する。この際、芳香族ジヒドロキシ化合物
の溶解時の着色を防止する点から、芳香族ジヒドロキシ
化合物を溶解する温度は、20℃以下にすることが好ま
しい。重合触媒はこの原料の水相に添加すること無く、
連結した重合反応槽の中間または最終の段階で添加する
方法でも良い。また、この調製は、回分式に随時調製し
てもよいが、好ましくは連続的に調製し、調製された混
合物を連続的に使用する。この際使用する水は、芳香族
ポリカーボネートオリゴマー或いは芳香族ポリカーボネ
ートを製造する際に使用した少量の重合触媒を含んだ反
応水、あるいは洗浄水で、水中の無機塩が0.3〜20
重量%となるように適宜、濃縮、希釈を行った水を使用
することができる。
【0043】次に、この混合物と、ハロゲン化カルボニ
ルおよび有機溶媒をそれぞれ、第一の槽型反応装置に供
給する。この供給法としては、任意に別々の配管によ
り、液面下、もしくは液面上に供給、もしくは滴下する
方法を採用しても良く、また、ハロゲン化カルボニル及
び有機溶媒を任意に混合した後に供給しても良い。供給
量の比は前述の使用量の範囲内となることが好ましい。
即ち、単位時間当たり、芳香族ジヒドロキシ化合物に対
してハロゲン化カルボニルが約1.0〜1.3倍モルで
あり、有機溶媒量が該塩基水溶液中の水に対して容量比
で約0.8〜1.2:1となるように供給することが好
ましい。そして全体の供給速度は、第一の槽型反応装置
中における反応混合物の滞留時間が、触媒量と好適な関
係となるように制御する。基本的に第一槽の滞留時間
は、規定式に従う触媒量との関係の好適範囲内で任意に
選択できるが、制御運転における修正動作の応答が速い
製造条件として、3分〜30分が好ましく、さらに5分
〜15分が特に好ましい。
ルおよび有機溶媒をそれぞれ、第一の槽型反応装置に供
給する。この供給法としては、任意に別々の配管によ
り、液面下、もしくは液面上に供給、もしくは滴下する
方法を採用しても良く、また、ハロゲン化カルボニル及
び有機溶媒を任意に混合した後に供給しても良い。供給
量の比は前述の使用量の範囲内となることが好ましい。
即ち、単位時間当たり、芳香族ジヒドロキシ化合物に対
してハロゲン化カルボニルが約1.0〜1.3倍モルで
あり、有機溶媒量が該塩基水溶液中の水に対して容量比
で約0.8〜1.2:1となるように供給することが好
ましい。そして全体の供給速度は、第一の槽型反応装置
中における反応混合物の滞留時間が、触媒量と好適な関
係となるように制御する。基本的に第一槽の滞留時間
は、規定式に従う触媒量との関係の好適範囲内で任意に
選択できるが、制御運転における修正動作の応答が速い
製造条件として、3分〜30分が好ましく、さらに5分
〜15分が特に好ましい。
【0044】芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属
又はアルカリ土類金属塩基水溶液とハロゲン化カルボニ
ル化合物の供給量は、それぞれの原料の濃度と供給量比
を考慮して定められる流量に対し、その設定値からの偏
差を計測して制御を行う。これらの制御は、設定値に対
する実流量の誤差が2%以内に保たれるものであれば良
い。この供給流量の制御により、製品の分子量の再現性
はある程度達成されるが、原料溶液又はガスの濃度変化
や圧力変化などが発生した場合、流量の制御では反応モ
ル比の変動を防ぐことができなくなり、このままでは、
連続運転で得られる製品の分子量に僅かずつばらつきが
生じることになる。そこで、反応系の状態を分析し、芳
香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土
類金属塩基水溶液とハロゲン化カルボニル化合物の供給
モル比の現状を正しく把握し、これに基づいて供給流量
を調節する操作が加えられる。
又はアルカリ土類金属塩基水溶液とハロゲン化カルボニ
ル化合物の供給量は、それぞれの原料の濃度と供給量比
を考慮して定められる流量に対し、その設定値からの偏
差を計測して制御を行う。これらの制御は、設定値に対
する実流量の誤差が2%以内に保たれるものであれば良
い。この供給流量の制御により、製品の分子量の再現性
はある程度達成されるが、原料溶液又はガスの濃度変化
や圧力変化などが発生した場合、流量の制御では反応モ
ル比の変動を防ぐことができなくなり、このままでは、
連続運転で得られる製品の分子量に僅かずつばらつきが
生じることになる。そこで、反応系の状態を分析し、芳
香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土
類金属塩基水溶液とハロゲン化カルボニル化合物の供給
モル比の現状を正しく把握し、これに基づいて供給流量
を調節する操作が加えられる。
【0045】具体的には、断続的に第一槽より抜き出さ
れる水相中の芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属
又はアルカリ土類金属塩基濃度を測定し、供給液の濃度
に対して残存率(b:%)を求め、これより請求項に規
定した式に従い修正比率(a)を算出し、これを芳香族
ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金
属塩基水溶液の流量の設定値に乗じ、こうして随時変更
された設定値により流量制御が行われる。第一槽より抜
き出される水相中の芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカ
リ金属又はアルカリ土類金属塩基濃度の測定は、滴定法
や高速液体クロマトグラフィーによる分析により行われ
る。測定の間隔は第一槽の滞留時間の3倍以内の時間で
あれば良く、特に好ましくは、第一槽の滞留時間の1/
2から2倍程度が良い。この間隔があき過ぎると、修正
の合間での外乱の影響を打ち消すことが困難になり、修
正の効果が製品分子量の再現性に反映されなくなるため
好ましくない。
れる水相中の芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属
又はアルカリ土類金属塩基濃度を測定し、供給液の濃度
に対して残存率(b:%)を求め、これより請求項に規
定した式に従い修正比率(a)を算出し、これを芳香族
ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金
属塩基水溶液の流量の設定値に乗じ、こうして随時変更
された設定値により流量制御が行われる。第一槽より抜
き出される水相中の芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカ
リ金属又はアルカリ土類金属塩基濃度の測定は、滴定法
や高速液体クロマトグラフィーによる分析により行われ
る。測定の間隔は第一槽の滞留時間の3倍以内の時間で
あれば良く、特に好ましくは、第一槽の滞留時間の1/
2から2倍程度が良い。この間隔があき過ぎると、修正
の合間での外乱の影響を打ち消すことが困難になり、修
正の効果が製品分子量の再現性に反映されなくなるため
好ましくない。
【0046】次に、第一の槽型反応装置内の芳香族ポリ
カーボネートオリゴマーを含む有機溶媒溶液と、未反応
芳香族ジヒドロキシ化合物を含む水相とからなる不均一
混合物から芳香族ポリカーボネートを連続的に製造する
ために、第一の槽型反応装置に連結した少なくとも1つ
の槽型反応装置において重合反応を行う。好ましくは、
2〜4槽の重合用の槽型反応装置を用い、芳香族ポリカ
ーボネートオリゴマーを製造する第一の槽型反応装置で
の滞留時間の約2倍以上の滞留時間により重合を行うこ
とが好ましい。重合は、芳香族ポリカーボネートオリゴ
マーのハロホーメート末端基と未反応芳香族ジヒドロキ
シ化合物のOH末端基を完全に反応させることにより遂
行される。この重合の滞留時間は、反応系の乳化状態、
つまりは撹拌速度等にもよるが、総滞留時間は、数分か
ら1時間30分程度であり、通常、約10分から60分
程度で充分である。また、好ましくは2〜4槽の連続し
た槽型反応装置を用いて、それぞれ上記の範囲の滞留時
間で重合を行う。長すぎる重合時間は重合用の槽型反応
装置の大型化を要し、設備費が高価になったり、時に
は、芳香族ポリカーボネートのカーボネート結合の切断
をもたらすこともある。
カーボネートオリゴマーを含む有機溶媒溶液と、未反応
芳香族ジヒドロキシ化合物を含む水相とからなる不均一
混合物から芳香族ポリカーボネートを連続的に製造する
ために、第一の槽型反応装置に連結した少なくとも1つ
の槽型反応装置において重合反応を行う。好ましくは、
2〜4槽の重合用の槽型反応装置を用い、芳香族ポリカ
ーボネートオリゴマーを製造する第一の槽型反応装置で
の滞留時間の約2倍以上の滞留時間により重合を行うこ
とが好ましい。重合は、芳香族ポリカーボネートオリゴ
マーのハロホーメート末端基と未反応芳香族ジヒドロキ
シ化合物のOH末端基を完全に反応させることにより遂
行される。この重合の滞留時間は、反応系の乳化状態、
つまりは撹拌速度等にもよるが、総滞留時間は、数分か
ら1時間30分程度であり、通常、約10分から60分
程度で充分である。また、好ましくは2〜4槽の連続し
た槽型反応装置を用いて、それぞれ上記の範囲の滞留時
間で重合を行う。長すぎる重合時間は重合用の槽型反応
装置の大型化を要し、設備費が高価になったり、時に
は、芳香族ポリカーボネートのカーボネート結合の切断
をもたらすこともある。
【0047】このようにして製造された芳香族ポリカー
ボネートの有機溶媒溶液は、酸による中和後、水洗浄を
繰り返して電解質が実質的に存在しなくなるまで洗浄さ
れる。その後、この芳香族ポリカーボネートの有機溶媒
溶液から、公知の方法により有機溶媒を除去して、芳香
族ポリカーボネートを得ることができる。さらに、本発
明のポリカーボネートの製造方法では、反応の任意の時
点で、芳香族ポリカーボネートの加工時の熱安定性、耐
光性、耐候性、難燃性等およびその他の性質を付与する
目的で、公知の芳香族ポリカーボネート用の添加剤を添
加することが可能である。それら公知の添加剤として
は、加工及び熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離
型剤、有機ハロゲン化合物、アルカリ金属スルホン酸
塩、ガラス繊維、ガラスビーズ、硫酸バリウム、TiO
2等である。
ボネートの有機溶媒溶液は、酸による中和後、水洗浄を
繰り返して電解質が実質的に存在しなくなるまで洗浄さ
れる。その後、この芳香族ポリカーボネートの有機溶媒
溶液から、公知の方法により有機溶媒を除去して、芳香
族ポリカーボネートを得ることができる。さらに、本発
明のポリカーボネートの製造方法では、反応の任意の時
点で、芳香族ポリカーボネートの加工時の熱安定性、耐
光性、耐候性、難燃性等およびその他の性質を付与する
目的で、公知の芳香族ポリカーボネート用の添加剤を添
加することが可能である。それら公知の添加剤として
は、加工及び熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、離
型剤、有機ハロゲン化合物、アルカリ金属スルホン酸
塩、ガラス繊維、ガラスビーズ、硫酸バリウム、TiO
2等である。
【0048】
【実施例】以下の実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例中で用いる数平均分子量(Mn)およ
び重量平均分子量(Mw)の値は、昭和電工(株)製G
PC SYSTEM−11により、ポリスチレンゲルの
カラムを使用し、クロロホルム溶媒で測定し、RI検出
器で得られるクロマトグラムから、ポリスチレン換算で
算出したものであり、その値から多分散性インデックス
(Mw/Mn)を求めた。第一槽より抜き出される水相
中の芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はアル
カリ土類金属塩基濃度、即ち実施例中の残存ビスフェノ
ールA量は、固定相にオクタデシル基修飾の合成高分
子、流動相にアセトニトリル/水=4/1の混合液を用
いる逆相系高速液体クロマトグラフィーにより水相を直
接分析し、UV検出器(284nm)で得られるクロマ
トグラムから算出した。また、製品の溶融粘度は東洋精
機社製メルトインデクサーを用い、JIS K−721
0の方法に準拠し、280℃で2.16kgの荷重をか
けた場合に、ダイスより10分間に押し出される樹脂重
量で評価した。
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例中で用いる数平均分子量(Mn)およ
び重量平均分子量(Mw)の値は、昭和電工(株)製G
PC SYSTEM−11により、ポリスチレンゲルの
カラムを使用し、クロロホルム溶媒で測定し、RI検出
器で得られるクロマトグラムから、ポリスチレン換算で
算出したものであり、その値から多分散性インデックス
(Mw/Mn)を求めた。第一槽より抜き出される水相
中の芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金属又はアル
カリ土類金属塩基濃度、即ち実施例中の残存ビスフェノ
ールA量は、固定相にオクタデシル基修飾の合成高分
子、流動相にアセトニトリル/水=4/1の混合液を用
いる逆相系高速液体クロマトグラフィーにより水相を直
接分析し、UV検出器(284nm)で得られるクロマ
トグラムから算出した。また、製品の溶融粘度は東洋精
機社製メルトインデクサーを用い、JIS K−721
0の方法に準拠し、280℃で2.16kgの荷重をか
けた場合に、ダイスより10分間に押し出される樹脂重
量で評価した。
【0049】実施例1 ビスフェノールA225kg(985.6モル)と分子
量調節剤としてのp−ターシャリブチルフェノール4.
678kg(31.14モル)、トリエチルアミン0.
10kg(0.988モル)、28%苛性ソーダ水41
7kg(2919モル)、ソジウムハイドロサルファイ
ト0.451kg、そして、水1228kgを溶解槽に
装入し、攪拌して均一に溶解させて総重量1875.2
29kgの水系混合液を調製した。この水系混合液とホ
スゲン、有機溶媒の供給量の設定値をそれぞれ71.6
kg/hr、4.5kg(45.46モル)/hr、6
1.5kg/hrとし、オリフィスを用いた差圧流量計
で流量を測定し、制御しながら、50リットルの第一の
槽型反応装置に供給した。滞留時間は20分であった。
連続的に排出される反応混合液を20分毎に一部抜き出
し、水相中に残存するビスフェノールAのNa塩を定量
し、その結果より求められる修正比率を水系混合液の供
給流量の設定値に乗じ、この繰り返しで、運転終了まで
20分毎に水系混合液の供給流量の設定値を変更しなが
ら運転を行った。第一の槽型反応装置より流出する反応
液を、配管を用い150リットルの第二の槽型反応装置
に供給し、滞留時間60分で重合を行い、更に、反応混
合物を150リットルの第三の槽型反応装置に供給し、
滞留時間60分で重合を行なった。第三の槽型反応装置
から連続的に排出される反応混合物を、直ちに分液し、
塩酸により中和した。得られた有機相を純水で電解質が
なくなるまで洗浄した。この芳香族ポリカーボネートを
含んだ有機溶媒溶液から有機溶媒を蒸発留去することに
より、固体の芳香族ポリカーボネートを得た。この連続
運転を26時間行い、得られた芳香族ポリカーボネート
の分子量を1時間毎に分析した。結果を表1に示す。こ
のように、本発明方法により長時間の連続運転における
状況の変化に迅速に対応し、目標とする分子量の製品を
極めて安定して製造することができた。こうして連続的
に得られた製品は、どの運転時間帯においても、その溶
融粘度が極めて均等であり、安定した成形加工ができる
製品を供給することが可能となった。
量調節剤としてのp−ターシャリブチルフェノール4.
678kg(31.14モル)、トリエチルアミン0.
10kg(0.988モル)、28%苛性ソーダ水41
7kg(2919モル)、ソジウムハイドロサルファイ
ト0.451kg、そして、水1228kgを溶解槽に
装入し、攪拌して均一に溶解させて総重量1875.2
29kgの水系混合液を調製した。この水系混合液とホ
スゲン、有機溶媒の供給量の設定値をそれぞれ71.6
kg/hr、4.5kg(45.46モル)/hr、6
1.5kg/hrとし、オリフィスを用いた差圧流量計
で流量を測定し、制御しながら、50リットルの第一の
槽型反応装置に供給した。滞留時間は20分であった。
連続的に排出される反応混合液を20分毎に一部抜き出
し、水相中に残存するビスフェノールAのNa塩を定量
し、その結果より求められる修正比率を水系混合液の供
給流量の設定値に乗じ、この繰り返しで、運転終了まで
20分毎に水系混合液の供給流量の設定値を変更しなが
ら運転を行った。第一の槽型反応装置より流出する反応
液を、配管を用い150リットルの第二の槽型反応装置
に供給し、滞留時間60分で重合を行い、更に、反応混
合物を150リットルの第三の槽型反応装置に供給し、
滞留時間60分で重合を行なった。第三の槽型反応装置
から連続的に排出される反応混合物を、直ちに分液し、
塩酸により中和した。得られた有機相を純水で電解質が
なくなるまで洗浄した。この芳香族ポリカーボネートを
含んだ有機溶媒溶液から有機溶媒を蒸発留去することに
より、固体の芳香族ポリカーボネートを得た。この連続
運転を26時間行い、得られた芳香族ポリカーボネート
の分子量を1時間毎に分析した。結果を表1に示す。こ
のように、本発明方法により長時間の連続運転における
状況の変化に迅速に対応し、目標とする分子量の製品を
極めて安定して製造することができた。こうして連続的
に得られた製品は、どの運転時間帯においても、その溶
融粘度が極めて均等であり、安定した成形加工ができる
製品を供給することが可能となった。
【0050】実施例2 実施例1と同様の操作で、当初はそれらの供給量も実施
例1と同じくして反応を開始した。この連続運転を8時
間行ったところで、ホスゲンの供給量設定を40分の間
4.3kg(43.44モル)/hrに変更し、ホスゲ
ンが設定量より不足した状況を作り、その後4.5kg
/hrに戻して運転を継続した。そして更に、運転16
時間目よりホスゲンの供給量設定を40分の間4.7k
g(47.48モル)/hrに変更し、ホスゲンが設定
量より過剰となった状況を作り、その後4.5kg/h
rに戻して運転を継続した。最終的に精製、単離された
芳香族ポリカーボネートの分子量を1時間毎に分析し
た。第一槽より流出する水相中のビスフェノールAのN
a塩の定量結果即ち残存率(b)、および修正比率
(a)、それに対する原料の設定流量の変化、そして分
子量の経時変化を表2に示す。このように、原料供給モ
ル比が変化した場合を想定して故意にホスゲンの供給量
を変えても、本発明方法の制御がそれを迅速に修正し、
目標とする分子量の製品を極めて安定して製造すること
ができた。これにより、本発明方法の制御が不慮の原料
供給量の変化に対して有効であることが示された。
例1と同じくして反応を開始した。この連続運転を8時
間行ったところで、ホスゲンの供給量設定を40分の間
4.3kg(43.44モル)/hrに変更し、ホスゲ
ンが設定量より不足した状況を作り、その後4.5kg
/hrに戻して運転を継続した。そして更に、運転16
時間目よりホスゲンの供給量設定を40分の間4.7k
g(47.48モル)/hrに変更し、ホスゲンが設定
量より過剰となった状況を作り、その後4.5kg/h
rに戻して運転を継続した。最終的に精製、単離された
芳香族ポリカーボネートの分子量を1時間毎に分析し
た。第一槽より流出する水相中のビスフェノールAのN
a塩の定量結果即ち残存率(b)、および修正比率
(a)、それに対する原料の設定流量の変化、そして分
子量の経時変化を表2に示す。このように、原料供給モ
ル比が変化した場合を想定して故意にホスゲンの供給量
を変えても、本発明方法の制御がそれを迅速に修正し、
目標とする分子量の製品を極めて安定して製造すること
ができた。これにより、本発明方法の制御が不慮の原料
供給量の変化に対して有効であることが示された。
【0051】比較例1 本発明方法の制御を行わず、各原料の流量を計測し、設
定値からの偏差に応じて制御する方法のみで、実施例1
と同規模の連続運転を行った。最終的に精製、単離され
た芳香族ポリカーボネートの分子量を1時間毎に分析し
た結果を表3に示す。本発明方法の制御を行わない場
合、得られる製品の分子量は時間によってばらついてお
り、再現性に劣っていた。これは、流量の制御のみでは
補いきれない原料供給モル比の変化による影響を受けた
ものである。溶融粘度も運転時間帯によって異なり、
7.8〜11.2g/minの幅が生じた。これは、芳
香族ポリカーボネートのグレードにおいては、中粘度品
と低粘度品の粘度差に相当し、この製品で一定条件の成
形を行おうとしても、再現性のある成形品の生産を行う
ことができない。
定値からの偏差に応じて制御する方法のみで、実施例1
と同規模の連続運転を行った。最終的に精製、単離され
た芳香族ポリカーボネートの分子量を1時間毎に分析し
た結果を表3に示す。本発明方法の制御を行わない場
合、得られる製品の分子量は時間によってばらついてお
り、再現性に劣っていた。これは、流量の制御のみでは
補いきれない原料供給モル比の変化による影響を受けた
ものである。溶融粘度も運転時間帯によって異なり、
7.8〜11.2g/minの幅が生じた。これは、芳
香族ポリカーボネートのグレードにおいては、中粘度品
と低粘度品の粘度差に相当し、この製品で一定条件の成
形を行おうとしても、再現性のある成形品の生産を行う
ことができない。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【発明の効果】種々の外乱による反応の状況変化に迅速
に対応し、製品品質の再現性において重要な制御を的確
に行い、安定した連続運転を達成させたことにより、分
子量の再現性に優れ、機械的、熱的性質や、溶融流動性
の均質な芳香族ポリカーボネートを工業的規模で連続的
に効率良く製造することが可能になり、精密成形品など
への成形加工を、再現性良く行うことができる。
に対応し、製品品質の再現性において重要な制御を的確
に行い、安定した連続運転を達成させたことにより、分
子量の再現性に優れ、機械的、熱的性質や、溶融流動性
の均質な芳香族ポリカーボネートを工業的規模で連続的
に効率良く製造することが可能になり、精密成形品など
への成形加工を、再現性良く行うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大淵 省二 福岡県大牟田市浅牟田町30番地 三井東圧 化学株式会社内 (72)発明者 太田 正博 福岡県大牟田市浅牟田町30番地 三井東圧 化学株式会社内
Claims (2)
- 【請求項1】 少なくとも一種の芳香族ジヒドロキシ化
合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基水溶液と
ハロゲン化カルボニル化合物とを、重合触媒、分子量調
節剤、および有機溶媒とともに、複数の連結した槽型反
応器中に連続的に供給して反応させ芳香族ポリカーボネ
ートを製造する方法において、芳香族ジヒドロキシ化合
物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基水溶液とハ
ロゲン化カルボニル化合物の供給を設定値に対する流量
の偏差を計測して制御するとともに、第一槽より抜き出
される水相中の芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金
属又はアルカリ土類金属塩基濃度を測定し、供給液の濃
度に対して残存率を求め、該残存率の基準値からの偏差
に応じて修正比率を導き、これを芳香族ジヒドロキシ化
合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基水溶液の
設定流量に乗じ、随時供給量を修正することを特徴とす
る芳香族ポリカーボネートの製造方法。 - 【請求項2】 芳香族ジヒドロキシ化合物のアルカリ金
属又はアルカリ土類金属塩基水溶液の制御流量にかかる
修正比率(a)が、反応中に、複数の連結した槽型反応
器の第一槽より抜き出される水相中の芳香族ジヒドロキ
シ化合物のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩基の濃
度より算出される残存率(b:%)により、下式によっ
て求められるところの請求項1に記載の芳香族ポリカー
ボネートの製造方法。 【数1】 a=−0.018×(b−11.5)+0.99 …〔13<b〕 a=−0.022×(b−11.5)+1.00 …〔10≦b≦13〕 a=−0.003×(b−11.5)+1.03 …〔b<10〕 但し、触媒量(x:芳香族ジヒドロキシ化合物に対する
モル%)と第一槽の滞留時間(y:分)が次なる条件の
場合に適用される。 logy<−2.19x+1.84 〔x≧0.0005, y≧1, xy≧0.5〕
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17084695A JPH0920822A (ja) | 1995-07-06 | 1995-07-06 | 芳香族ポリカーボネートの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17084695A JPH0920822A (ja) | 1995-07-06 | 1995-07-06 | 芳香族ポリカーボネートの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0920822A true JPH0920822A (ja) | 1997-01-21 |
Family
ID=15912418
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17084695A Pending JPH0920822A (ja) | 1995-07-06 | 1995-07-06 | 芳香族ポリカーボネートの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0920822A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8423622B2 (en) | 1999-12-14 | 2013-04-16 | Neeraj Jhanji | Systems for communicating current and future activity information among mobile internet users and methods therefor |
-
1995
- 1995-07-06 JP JP17084695A patent/JPH0920822A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8423622B2 (en) | 1999-12-14 | 2013-04-16 | Neeraj Jhanji | Systems for communicating current and future activity information among mobile internet users and methods therefor |
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