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JPH09188843A - インク、これを用いた記録方法及びかかるインクを用いた機器 - Google Patents

インク、これを用いた記録方法及びかかるインクを用いた機器

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Publication number
JPH09188843A
JPH09188843A JP1476596A JP1476596A JPH09188843A JP H09188843 A JPH09188843 A JP H09188843A JP 1476596 A JP1476596 A JP 1476596A JP 1476596 A JP1476596 A JP 1476596A JP H09188843 A JPH09188843 A JP H09188843A
Authority
JP
Japan
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ink
compound
group
head
recording
Prior art date
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Pending
Application number
JP1476596A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshihisa Takizawa
吉久 滝沢
Mayumi Yamamoto
真由美 山本
Mikio Sanada
幹雄 真田
Yoshifumi Hattori
能史 服部
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP1476596A priority Critical patent/JPH09188843A/ja
Priority to US08/626,312 priority patent/US6174354B1/en
Priority to EP96105460A priority patent/EP0736582B1/en
Priority to DE69615730T priority patent/DE69615730T2/de
Publication of JPH09188843A publication Critical patent/JPH09188843A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 普通紙の記録において、十分な画像濃度が得
られ、且つ画像濃度の均一性が高く、特にカラー画像に
おけるブリーディングを防止し、且つ鮮明で均一な高画
質画像が得られ、更に耐水性の向上も図れるインクを提
供すること。 【解決手段】 色材と、これを溶解又は分散する液媒体
とを含むインクにおいて、分子内にアニオン性基を有す
るモノマーと分子内にカチオン性基を有するモノマーと
を共重合した両性高分子化合物、及び下記一般式(A)
の化合物を含有することを特徴とするインク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被記録材上に画像
を記録する際に使用するインク、インクジェット記録方
法及びインクジェット機器に関し、とりわけ、インクジ
ェット方式による画像記録における普通紙に対して、発
色性に優れ、鮮明で高品質な画像が得られ、更に印字物
の耐水性に優れるインク、これを用いるインクジェット
記録方法及びインクジェット機器に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式は、高電圧印加
による静電吸引方式、圧電素子を用いてインク(着色イ
ンク)に機械的振動又は変位を与える方式、インクを加
熱した際にインクが発泡する圧力を利用する方式等、種
々のインク吐出方式によりインクの小滴を発生させ、こ
れを飛翔させて紙等の被記録材にインクを付着し、イン
クドットを形成させて記録を行うものであり、騒音の発
生が少なく、高速印字、多色印字の行える記録方式であ
る。
【0003】特に、本願出願人による特公昭61−59
911号公報、特公昭61−59912号公報、及び特
公昭61−59914号公報等において開示された方
式、即ち吐出エネルギーの供給手段として電気熱変換体
を用い、熱エネルギーをインクに与えて気泡を発生させ
ることにより液滴を吐出させる方式によれば、記録ヘッ
ドの高密度マルチオリフィス化が容易に実現でき、高解
像度及び高品質の画像を高速で記録することができる。
【0004】しかしながら、従来のインクジェット記録
に用いられるインクは、一般に水を主成分としており、
これに乾燥防止及び目詰まり防止等の目的からグリコー
ル等の水溶性高沸点溶剤を含有したものが一般的であ
る。このようなインクを用いて、被記録材、例えば、普
通紙に記録を行った場合には、インクが被記録材の内部
に浸透してしまい十分な画像濃度が得られなかったり、
被記録材表面の填料、サイズ剤の不均一な分布によると
思われる画像濃度の不均一が生じたりした。又、特にカ
ラー画像を得ようとした場合には、複数の色のインク
が、先に記録したインクが定着する以前に次々と重ねら
れるため、異色の画像の境界部分では、色が滲んだり、
不均一に混じり合って(以下ブリーディングという)満
足すべき画像が得られなかった。又、近年、印字物の耐
水性の要求が高まっており、この点からも満足すべき耐
水性の印字物は得られていなかった。
【0005】上記問題を解決する手段として、特開昭5
5−65269号公報には、インク中に界面活性剤等の
浸透性を高める化合物を添加したインクを用いること、
又、特開昭55−66976号公報には、揮発性溶媒を
主体としたインクを用いることが開示されている。更に
米国特許第5106416号明細書には、カチオン染料
と両性界面活性剤と非イオン両親媒性物質を含有するイ
ンクが開示されている。又、米国特許第5342440
号明細書には、水不溶性染料と高分子コロイドと界面活
性剤を含有するインクが開示されている。又、特開昭6
0−96673号公報及び特開平4−139272号公
報には、ベタイン型アクリル樹脂を用いたインクが開示
されている。
【0006】しかしながら、特開昭55−65269号
公報に開示のインク中に、界面活性剤等の浸透性を高め
る化合物を添加したインクを用いた場合には、インクの
被記録材への浸透性が向上し、ブリーディングについて
はある程度抑制されるものの、インクが着色剤もろとも
被記録材の奥深くまで浸透してしまうため、画像濃度が
低下したりする等の不都合があった。又、被記録材表面
に対する濡れ性が向上するために被記録材表面でインク
が広がり易く、解像度の低下をきたしたり、滲みが発生
したりする等、好ましくないものであった。又、特開昭
55−66976号公報に開示の揮発性溶媒を主体とし
たインクを用いた場合には、上記のような不都合に加
え、記録ヘッドのノズル部での溶剤の蒸発によるノズル
の目詰まりが発生し易く、好ましくないものであった。
【0007】更に米国特許第5106416号明細書の
カチオン染料と両性界面活性剤と非イオン両親媒性物質
を含有するインクでは、界面活性剤を臨界ミセル濃度以
上で添加することにより、着色剤の拡散を防止するもの
であるが、基本的には上記特開昭55−65269号公
報と同様に界面活性剤の作用により、インク自体の浸透
性が高まり、好ましい画像は得られなかった。又、米国
特許第5342440号明細書に開示の水不溶性染料と
高分子コロイドと界面活性剤を含有するインクの場合に
は、上記米国特許第5106416号明細書に開示のイ
ンクの不都合に加え、記録ヘッド内及びノズルでの水不
溶性染料の析出、及びコロイドの凝集等による目詰まり
等が発生することがあり、好ましいものではなかった。
【0008】又、特開昭60−96673号公報及び特
開平4−139272号公報には、ベタイン型アクリル
樹脂を用いたインクが開示され、前者は油性インクの滲
みを防止する目的から、又、後者は顔料インクの安定性
向上の目的から上記アクリル樹脂を添加することが開示
されているが、普通紙上での高画質は得られない。又、
ここで、ベタイン型アクリル樹脂は、確かに両性的特徴
を示すが、カチオン性基とアニオン性基を明確に有して
いるとはいい難く、更に分子内にアニオン性基を有する
モノマーとカチオン性基を有するモノマーとの共重合体
ではなく、且つ等電点を持たない。従って、後述の本発
明で使用される両性高分子化合物とは基本的に異なるも
のである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記実情に鑑
みてなされたもので、本発明の目的は、被記録材、特に
普通紙の記録において、十分な画像濃度が得られ、且つ
画像濃度の均一性が高く、特にカラー画像におけるブリ
ーディングを防止し、且つ鮮明で均一な高画質画像が得
られ、更に耐水性の向上も図れるインク、これ用いたイ
ンクジェット記録方法及びかかるインクを用いたインク
ジェット機器を提供することにある。
【0010】尚、又、特開平6−128515号公報に
は、本発明で使用する一般式(A)の化合物が開示され
ている。前記公報によれば、該一般式(A)の化合物を
含有させることにより、印字物の耐水性及び印字品位等
が良好になる。本発明は、前記特開平6−128515
号公報の発明を更に発展させたものある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明は、色材と、これを
溶解又は分散する液媒体とを含むインクにおいて、分子
内にアニオン性基を有するモノマーと分子内にカチオン
性基を有するモノマーとを共重合した両性高分子化合
物、及び下記一般式(A)の化合物を含有することを特
徴とするインク、これ用いたインクジェット記録方法及
びかかるインクを用いたインクジェット機器である。
【0012】 (式中、R1は炭素数1〜48のアルキル基又は水素原
子を表し、R2は(CH2a−X1又は水素原子を表し、
aは1〜4のいずれかの整数とする。R3は(CH2b
−X2又はR4−Y又は水素原子を表し、bは1〜4のい
ずれかの整数とする。R4は炭素数1〜48のアルキル
基又は水素原子を表す。Zは(NR5l(エル)2l(エル)
c(NHCn2ndを表し、l(エル)及びnは2〜4
のいずれかの整数、c+dは0〜50のいずれかの整数
とする。Yは(NR6m2me(NHCp2pfを表
し、m及びpは2〜4のいずれかの整数、e+fは0〜
50のいずれかの整数とする。R5は(CH2g−X3
表し、gは1〜4のいずれかの整数とする。R6は(C
2h−X4を表し、hは1〜4のいずれかの整数とす
る。X1、X2、X3及びX4は、夫々、カルボキシル基、
カルボキシル基の塩、スルフォン基、スルフォン基の塩
又は水素原子からなる群から選ばれる。又、R2及びR3
が夫々水素原子である時、c及びeが共に0になること
はなく、又、X1、X2、X3及びX4が全て水素原子にな
ることもない。)
【0013】本発明者等は、色材と、これを溶解又は分
散する液媒体を含むインクに、両性高分子化合物と前記
一般式(A)の化合物を共存させることにより、前記目
的に叶う記録画像が得られることを見出した。即ち、イ
ンクにアニオン性基を有するモノマーとカチオン性基を
有するモノマーとを共重合した両性高分子を添加する
と、インク中の両性高分子化合物は、インクのpH変化
により、アニオン性を示す高分子電解質とカチオン性を
示す高分子電解質に変化する性質を示す。
【0014】ここで、色材としてアニオン性染料を使用
した場合には、インクのpHを前記両性高分子化合物の
等電点よりも高い値に設定することにより、両性高分子
化合物自体を、インク中でアニオン性を示す高分子電解
質として作用させることにより、染料と両性高分子化合
物は反発しあい、両者は安定に存在する。ところが、イ
ンク滴が記録ヘッドより飛翔し、普通紙表面に接触する
と、一般に使用されている普通紙は、表面のpHが概ね
中性領域であるため、インクのpHが中性領域に変化す
る。
【0015】両性高分子化合物の等電点はその構造にも
よるが、概ね中性領域であるから、両性高分子化合物
は、アニオン性とカチオン性の両性格を表し、且つ電気
的につり合った状態となる。この状態になると、両性高
分子化合物のアニオン性基とカチオン性基とで互いに内
部塩を作り、急激な粘度上昇及びゲル化を引き起こし、
又、両性高分子化合物のカチオン性基と染料のアニオン
性基が造塩し、色材を高分子化合物内に固定化した状態
となる。一方、インク中に前記一般式(A)の化合物を
共存させておくと、インク滴が普通紙上に接触した場合
のpH変化による前記粘度上昇及びゲル化が著しく促進
されることを見出した。この作用の正確な理由は不明で
あるが、色材と両性高分子化合物の造塩及び両性高分子
化合物の内部塩化が一般式(A)の化合物を媒介として
触媒的に促進されるものと推察される。
【0016】この色材、両性高分子化合物及び一般式
(A)の化合物間の急激な増粘及びゲル化によって、イ
ンク中の色材が記録紙の表面近傍に前記高分子化合物等
と一緒に固定化されることにより、充分な画像濃度が得
られ、濃度均一性が高く、特にカラー画像におけるブリ
ーディングが著しく抑制されるものと思われる。又、色
材は内部塩を作った両性高分子化合物内に固定化されて
おり、且つ両性高分子化合物の水溶性も内部塩、及び染
料との造塩の形成により低下しているので印字物の耐水
性も向上する。上記説明は、色材としてアニオン性染料
を用いた場合であるが、カチオン性染料を用いた場合に
は、インクのpHを両性高分子化合物の等電点より低い
値に設定することにより、上記と同様の効果が得られ
る。又、顔料を用いた場合にも、顔料粒子の持つ表面電
荷に合わせて、インクのpHを調整し、上記と同様の効
果を発現させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】次に好ましい実施の形態を挙げて
本発明を更に詳細に説明する。本発明のインクは、先
ず、色材と、これを溶解又は分散する液媒体とを含み、
該インク中に両性高分子化合物を含有するが、前記両性
高分子化合物としては、分子内にカルボキシル基及びス
ルフォン基等のアニオン性基を有するモノマーと、アミ
ノ基、イミノ基、ピロリドン環及びイミダゾール環等の
カチオン性基を有するモノマーとを共重合することによ
って得られる共重合体が好ましい。共重合の形態として
は、ランダム、交互、ブロック及びグラフト重合のいず
れでもかまわない。
【0018】好適なアニオン性基を有するモノマーとし
ては、例えば、アクリル酸、イタコン酸、メタクリル
酸、マレイン酸、フマール酸、スチレンスルフォン酸等
のカルボキシル基及びスルフォン基を少なくとも1つ含
有し、重合性不飽和結合を有するモノマーが挙げられ
る。又、好適なカチオン性基を有するモノマーとして
は、例えば、2−ビニル−ピロリドン、4−ビニルピロ
リドン、N−メチルアミノエチルメタクリレート、アリ
ルアミン及びジアリルアミン等の少なくとも1つのカチ
オン性基を含有し、重合性不飽和結合を有するモノマー
が挙げられる。
【0019】又、両性高分子化合物としては、具体的に
は、例えば、アリルアミン−マレイン酸共重合体、N−
メチルアリルアミン−マレイン酸共重合体、4−ビニル
ピリジン−アクリル酸共重合体、N−メチルアミノエチ
ルメタクリレート−メタクリル酸共重合体及びアクリル
アミド−スチレンスルフォン酸共重合体等が好適に用い
られる。その他、蛋白質のうちで両性蛋白質も用いるこ
とができる。前記両性高分子化合物のその他の物性には
特に制限はないが、好ましくは重量平均分子量が1,0
00〜1,000,000、より好ましくは1,000
〜100,000の範囲が望ましい。1,000未満で
は、pH変化による増粘及びゲル化効果が少なく、1,
000,000を越える場合には、インクの初期の粘度
が増大して吐出物性が低下するので、やや好ましくな
い。
【0020】又、両性高分子化合物の等電点はアニオン
性基を有するモノマーとカチオン性基を有するモノマー
の共重合比を変えることにより適宜調整することが可能
である。両性高分子化合物の等電点はpHが3〜10、
好ましくは5〜10の範囲が望ましい。両性高分子化合
物の等電点がpH3未満又はpH10を超える場合に
は、普通紙上に液滴が着弾してからの所望の効果が少な
いので好ましくない。前記両性高分子化合物のインク中
への添加量としては、0.1〜30重量%、好ましくは
0.2〜10重量%、より好ましくは0.3〜8重量%
の範囲である。0.1重量%未満の場合にはpH変化に
よる増粘及びゲル化の所望の効果が少なく、30重量%
を越える場合には、インクの初期の粘度が増大するので
好ましくない。
【0021】本発明に使用される一般式(A)の化合物
において、インク性能の安定性等を考えると、特に
1、X2、X3及びX4が夫々カルボキシル基の塩、スル
フォン基の塩又は水素原子からなる群から選ばれること
が好ましい。この理由は、X1、X2、X3及びX4が夫々
カルボキシル基、スルフォン基から選ばれると、一般式
(A)の化合物は、環状化合物を形成し、インクの性能
や信頼性を低下させ易くなるためである。以下に、一般
式(A)の化合物に含まれる好ましい具体例を列挙した
が、本発明はこれらの化合物に限定されるものではな
く、又、これらの化合物を2種以上を同時に使用するこ
ともできる。
【0022】又、本発明に使用される一般式(A)の化
合物において、インク性能の安定性等を考えると、特に
1及びR2が、夫々、炭素数1〜32のアルキル基であ
ることが好ましい。又、同様にc+d及びe+fが、夫
々、0〜16のいずれかの整数、a、b、g及びhが、
夫々、1〜2のいずれかの整数であることが好ましい。
【0023】化合物(1) 化合物(2)
【0024】化合物(3) 化合物(4)
【0025】化合物(5) 化合物(6)
【0026】化合物(7) C1531(NHC242NHCH2COONa 化合物(8) C1531NHC24COOLi 化合物(9) C37(NHC242NHCH2COONa
【0027】化合物(10) C1225NHC24COONa 化合物(11) C1225(NHC24)NHCH2COOLi 化合物(12) C1225(NHC24)NHC24SO3Li 化合物(13) C1531(NHC24)NHCH2SO3Na 化合物(14) C2041(NHC24)NHCH2SO3NH4 化合物(15) C1531(NHC242NHC24COONH4
【0028】化合物(16) C2551(NHC243NHCH2SO3Li 化合物(17) C1531(NHC24)NHCH2SO3H・N(CH2
CH33 化合物(18) C1021(NHC243NHCH24COOH・NH
(CH2CH32 化合物(19) C1225(NHC242NHCH2COONH4 化合物(20) C511(NHC242NHCH2COONa 化合物(21) C715(NHC24224COONa 化合物(22) C1225(NHC244NHCH2COONa
【0029】化合物(23) 化合物(24)
【0030】化合物(25) C1225NHC36NHCH2COONH4 化合物(26) C1225NHC36NHC24COONa 化合物(27) C817N(CH3)C24N(CH3)C24NHC2
4COONa 化合物(28) C1225NHC36N(CH3)C24COOLi
【0031】化合物(29) 化合物(30)
【0032】又、本発明に使用される一般式(A)で示
される上記化合物のインク中での含有量としては、用
途、目的、色材種及びインク組成に依存するところが大
きいが、好ましくは0.01〜20重量%、より好まし
くは0.1〜10.0重量%の範囲である。含有量が
0.01重量%未満であると所望の効果が少なく、又、
10重量%を越えるとインク自体の粘度が高くなり、好
ましくない。
【0033】又、インクに用いられる色材としては、通
常の染料及び顔料が用いられる。染料としては、例え
ば、酸性染料、塩基性染料、直接染料等、その殆どが全
てが使用できる。該色材の含有量について特に制限はな
いが、インク全重量に対して0.1〜20重量%の範囲
が好ましい。
【0034】本発明のインクには、上記の色材及び両性
高分子化合物を溶解又は分散する液媒体として、通常、
水及び必要に応じて水溶性有機溶剤を使用する。具体的
な水溶性有機溶剤の例としては、例えば、ジメチルホル
ムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセト
ン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の
エーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレン
グリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサント
リオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、
ジエチレングリコール等のアルキレングリコール類;グ
リセリン、エチレングリコールモノメチル(又はエチ
ル)エーテル、ジエチレングリコールモノエチル(又は
エチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル
(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アル
キルエーテル類;エタノール、イソプロピルアルコール
等の1価アルコール類;その他、N−メチル−2−ピロ
リドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ト
リエタノールアミン、スルホラン、ジメチルサルフォオ
キサイド、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等の環
状アミド化合物及びスクシンイミド等のイミド化合物等
が挙げられる。
【0035】上記水溶性有機溶剤の含有量は、一般には
インクの全重量に対して、1〜80重量%が好ましく、
より好ましくは3〜50重量%の範囲である。本発明の
インクのpHを所定の値に調整すべく、アンモニア水、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ、或い
は酢酸、炭酸、塩酸等の酸を適宜用いる。尚、本発明の
インクは、上記成分の他に必要に応じて界面活性剤、防
腐剤、防錆剤、酸化防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤
及び水溶性ポリマー等の添加剤を適宜配合してもよい。
【0036】次いで、本発明のインクの作製方法につい
て説明する。両性高分子化合物は等電点、即ち、pH値
によってイオン性が変化するので、使用する染料のイオ
ン性によって、染料を添加する以前に、予め両性高分子
化合物溶液のイオン性をpH値によって適宜調整する必
要がある。例えば、アニオン性染料を使用する場合に
は、使用する両性高分子化合物を、予め使用する溶剤及
び水等を等電点以上のpH値に調整して溶解することに
より、アニオン性を有する高分子電解質として調整して
おく。次いで、染料を添加して溶解混合することにより
インクを作製する。又、カチオン性染料を使用する場合
には、使用する両性高分子化合物を、予め使用する溶剤
及び水等を等電点以下のpH値に調整して溶解し、カチ
オン性を有する高分子電解質として調製しておく必要が
ある。
【0037】本発明のインクの色材として顔料を用いる
場合には、予め顔料分散体を調製しておく必要がある。
分散剤としては、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリ
マー、アニオン界面活性剤及びカチオン界面活性剤等を
使用する。又、分散処理は、サンドグラインダー等の分
散機等を利用して行う。この場合にも、使用する分散樹
脂のイオン性によって、予め両性高分子化合物のイオン
性をpH値で調整して溶解しておく必要がある。例え
ば、スチレン−アクリル酸共重合体等のアニオンポリマ
ーを分散剤として使用して顔料分散体を調製した場合に
は、顔料分散体を添加する以前に、使用する両性高分子
化合物を、予め溶剤及び水等に等電点以上のpH値に調
整してアニオン性の高分子電解質としておく必要があ
る。前記調整した高分子電解質に顔料分散体を混合して
本発明のインクを調製する。
【0038】本発明に使用する被記録材については、特
に限定されるものではなく、例えば、従来から使用され
ている普通紙等が好適に使用される。又、本発明のイン
クは異色の境界の部分のブリーディングを防止するだけ
でなく、背景部等に黒ドットを付加する(スミ入れ)等
でも十分な効果を示し、好適な画像が形成される。次
に、本発明で用いられる記録装置について説明する。本
発明のインクを用いて記録を行うのに好適な方法及び装
置としては、記録ヘッドの室内のインクに記録信号に対
応した熱エネルギーを与え、該熱エネルギーにより液滴
を発生させるインクジェット記録方法及びインクジェッ
ト記録装置が挙げられる。その装置の主要部であるヘッ
ド構成例を図1、図2及び図3に示す。
【0039】ヘッド13は、インクを通す溝14を有す
るガラス、セラミック又はプラスチック板等と、感熱記
録に用いられる発熱ヘッド15(図では薄膜ヘッドが示
されているが、これに限定されるものではない)とを接
着して得られる。発熱ヘッド15は、酸化シリコン等で
形成される保護膜16、アルミニウム電極17−1及び
17−2、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層18、
蓄熱層19、及びアルミナ等の放熱性のよい基板20よ
り成っている。
【0040】インク21は吐出オリフィス(微細孔)2
2まで来ており、不図示の圧力によりメニスカス23を
形成している。今、アルミニウム電極17−1及び17
−2に電気信号情報が加わると、発熱ヘッド15のnで
示される領域が急激に発熱し、ここに接しているインク
21に気泡が発生し、その圧力でメニスカス23が突出
し、インク21が吐出しインク小滴24となり、吐出オ
リフィス22より被記録材25に向かって飛翔する。
【0041】図3には図1に示すヘッドを多数並べたマ
ルチヘッドの外観図を示す。該マルチヘッドはマルチ溝
26を有するガラス板27と、図1で説明したものと同
様の発熱ヘッド28を密着して作製されている。尚、図
1は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、
図2は図1のA−B線での断面図である。
【0042】図4に、上記ヘッドを組み込んだインクジ
ェット記録装置の一例を示す。図4において、61はワ
イピング部材としてのブレードであり、その一端はブレ
ード保持部材によって保持されて固定端となり、カンチ
レバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65に
よる記録領域に隣接した位置に配置され、又、本例の場
合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持
される。62は記録ヘッド65の吐出口面のキャップで
あり、ブレード61に隣接するホームポジションに配置
され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動し
て、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成
を備える。更に63はブレード61に隣接して設けられ
るインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッ
ド65の移動経路中に突出した形態で保持される。
【0043】上記ブレード61、キャップ62及びイン
ク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレ
ード61及びインク吸収体63によってインク吐出口面
の水分、塵埃等の除去が行われる。65は吐出エネルギ
ー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する
被記録材にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、6
6は記録ヘッド65を搭載してその移動を行うためのキ
ャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と摺動
可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68に
よって駆動されるベルト69と接続(不図示)してい
る。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った
移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及び
その隣接した領域の移動が可能となる。
【0044】51は被記録材を挿入するための給紙部、
52は不図示のモーターにより駆動する紙送りローラー
である。これらの構成によって記録ヘッド65の吐出口
面と対向する位置へ被記録材が給紙され、記録が進行す
るにつれて排紙ローラー53を配した排紙部へ排紙され
る。
【0045】上記構成において記録ヘッド65が記録終
了等でホームポジションに戻る際、吐出回復部64のキ
ャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避してい
るが、ブレード61は移動経路中に突出している。この
結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。
尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出口面に当接し
てキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッド
の移動経路中に突出するように移動する。
【0046】記録ヘッド65がホームポジションから記
録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード
61は、上述したワイピング時の位置と同一の位置にあ
る。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐
出口面はワイピングされる。上述の記録ヘッド65のホ
ームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ば
かりでなく、記録ヘッド65が記録のために記録領域を
移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポ
ジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが
行われる。
【0047】図5は、ヘッドにインク供給部材、例え
ば、チューブを介して供給されるインクを収容したイン
クカートリッジの一例を示す図である。ここで、40は
供給用インクを収容したインク収容部、例えば、インク
袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられてい
る。この栓42に針(不図示)を挿入することにより、
インク袋40中のインクをヘッドに供給可能ならしめ
る。44は廃インクを受容するインク吸収体である。イ
ンク吸収部としては、インクとの接液面がポリオレフィ
ン、特にポリエチレンで形成されているものが本発明に
とって好ましい。
【0048】本発明で使用されるインクジェット記録装
置としては、上記の如きヘッドとインクカートリッジと
が別体となったものに限らず、図6に示す如きそれらが
一体になったものにも好適に用いられる。図6におい
て、70は記録ユニットであって、この中にはインクを
収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納さ
れており、かかるインク吸収体中のインクが複数のオリ
フィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出さ
れる構成になっている。
【0049】インク吸収体の材料としては、ポリウレタ
ン、セルロース又はポリビニルアセテートを用いること
が本発明にとって好ましい。72は記録ユニット内部を
大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユ
ニット70は、図4で示す記録ヘッドに代えて用いられ
るものであって、キャリッジ66に対し着脱自在になっ
ている。尚、本発明に使用するインクジェット記録装置
において、上記ではインクに熱エネルギーを作用させて
インク液滴を吐出するインクジェット記録装置を例に挙
げたが、本発明は、その他に圧電素子を使用するピエゾ
方式等、その他のインクジェット記録装置でも同様に利
用できる。
【0050】又、本発明のインクジェット記録方法を実
施する場合には、例えば、前記図3に示した記録ヘッド
を4つキャリッジ上に並べた記録装置を使用する。図7
はその一例である。81、82、83及び84は、それ
ぞれイエロー、マゼンタ、シアン及び黒色の各色のイン
クを吐出するための記録ヘッドである。該記録ヘッド
は、前記した記録装置に配置され、記録信号に応じて各
色のインクを吐出する。又、図7では記録ヘッドを4つ
使用した例を示したが、これに限定されるものではな
く、図8に示したように1つの記録ヘッドでイエロー、
マゼンタ、シアン及び黒色を、インク流路を分けて記録
を行う場合も、好ましい例として挙げられる。
【0051】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に具体的に説明する。尚、以下の記載で部及び%とある
ものは、特に断りのない限り重量基準である。 実施例1 先ず、実施例1のインクの作製について説明する。下記
の実施例の各成分のうち、予め両性高分子化合物と一般
式(A)の化合物は夫々所定のpHの溶液に調整してお
く。このとき、実施例1ではアンモニア水を用いてpH
=10のジアリルアミン−アクリル酸共重合体の25%
水溶液、pH=10の化合物(1)の25%水溶液に予
め夫々調整しておく。次いで、前記水溶液と染料及び溶
剤を添加し、染料が完全に溶解するまで混合溶解する。
その後、ポアサイズが0.22μmのメンブレンフィル
ター(商品名:フロロポアフィルター、住友電工社製)
を使用して加圧濾過し、実施例1の各インクを得た。
【0052】 (イエローインク) ・ジアリルアミン−アクリル酸共重合体水溶液(25%) 60% (Mw=2,600) ・化合物(1)の水溶液(25%) 0.8% ・ジエチレングリコール 15% ・C.I.ダイレクトイエロー86 2.2% ・水 22%
【0053】 (黒色インク) ・ジアリルアミン−アクリル酸共重合体水溶液(25%) 60% (Mw=2,600) ・化合物(1)の水溶液(25%) 0.8% ・ジエチレングリコール 15% ・C.I.ダイレクトブラック168 3% ・水 21.2%
【0054】実施例2 実施例1と同様の方法でインクを作製するが、実施例2
では水酸化ナトリウムを用いてpH=9.5の4−ビニ
ルピリジン−メタクリル酸共重合体の25%水溶液、p
H=9.5の2−ビニルピリジン−マレイン酸共重合体
の25%水溶液、pH=9.5の化合物(2)の25%
水溶液、pH=9.5の化合物(3)の25%水溶液に
夫々調整しておく。
【0055】 (イエローインク) ・4−ビニルピリジン−メタクリル酸共重合体水溶液(25%) 28% (Mw=8,000) ・化合物(2)の水溶液(25%) 8% ・ジエチレングリコール 10% ・グリセリン 7% ・C.I.ダイレクトイエロー86 2% ・水 45%
【0056】 (マゼンタインク) ・4−ビニルピリジン−メタクリル酸共重合体水溶液(25%) 28% (Mw=8,000) ・化合物(2)の水溶液(25%) 8% ・ジエチレングリコール 10% ・グリセリン 7% ・C.I.アシッドレッド14 3% ・水 44%
【0057】 (シアンインク) ・2−ビニルピリジン−マレイン酸共重合体水溶液(25%) 12% (Mw=100,000) ・化合物(3)の水溶液(25%) 20% ・ジエチレングリコール 10% ・グリセリン 7% ・C.I.ダイレクトブルー199 3% ・水 48%
【0058】 (黒色インク) ・2−ビニルピリジン−マレイン酸共重合体水溶液(25%) 12% (Mw=100,000) ・化合物(3)の水溶液(25%) 20% ・ジエチレングリコール 10% ・グリセリン 7% ・C.I.ダイレクトブラック154 3% ・水 48%
【0059】実施例3 実施例1と同様の方法でインクを作製するが、実施例3
では水酸化リチウムを用いてpH=9.5のN−メチル
アミノエチルメタクリレート−アクリル酸共重合体の2
5%水溶液、pH=9.5のアリルアミン−スチレンス
ルフォン酸共重合体の25%水溶液、pH=9.5の4
−ビニルピリジン−イタコン酸共重合体の25%水溶
液、pH=9.5の2−ビニルピリジン−フマール酸共
重合体の25%水溶液、pH=9.5の化合物(4)の
25%水溶液、pH=9.5の化合物(5)の25%水
溶液、pH=9.5の化合物(6)の25%水溶液、p
H=9.5の化合物(7)の25%水溶液に夫々調整し
ておく。
【0060】 (イエローインク) ・N−メチルアミノエチルメタクリレート−アクリル酸共重合体水溶液(25%) (Mw=400,000) 2% ・化合物(4)の水溶液(25%) 12% ・ジエチレングリコール 10% ・グリセリン 7% ・C.I.ダイレクトイエロー86 2% ・水 67%
【0061】 (マゼンタインク) ・アリルアミン−スチレンスルフォン酸共重合体水溶液(25%) 20% (Mw=40,000) ・化合物(5)の水溶液(25%) 3.2% ・ジエチレングリコール 10% ・グリセリン 7% ・C.I.アシッドレッド35 3% ・水 56.8%
【0062】 (シアンインク) ・4−ビニルピリジン−イタコン酸共重合体水溶液(25%) 40% (Mw=5,000) ・化合物(6)の水溶液(25%) 4% ・ジエチレングリコール 10% ・グリセリン 7% ・C.I.ダイレクトブルー199 3% ・水 36%
【0063】 (黒色インク) ・2−ビニルピリジン−フマール酸共重合体水溶液(25%) 3.6% (Mw=200,000) ・化合物(7)の水溶液(25%) 8% ・ジエチレングリコール 10% ・グリセリン 7% ・C.I.ダイレクトブラック154 3% ・水 68.4%
【0064】実施例4 実施例1と同様の方法でインクを作製するが、実施例4
では塩酸を用いてpH=4.5のジアリルアミン−アク
リル酸共重合体の25%水溶液、pH=4.5の化合物
(8)の25%水溶液に夫々調整しておく。 (イエローインク) ・ジアリルアミン−アクリル酸共重合体水溶液(25%) 12% (Mw=20,000) ・化合物(8)の水溶液(25%) 4% ・ジエチレングリコール 20% ・C.I.ベーシックイエロー29 2% ・水 62%
【0065】 (マゼンタインク) ・ジアリルアミン−アクリル酸共重合体水溶液(25%) 12% (Mw=20,000) ・化合物(8)の水溶液(25%) 4% ・ジエチレングリコール 20% ・C.I.ベーシックレッド1 3% ・水 61%
【0066】 (シアンインク) ・ジアリルアミン−アクリル酸共重合体水溶液(25%) 12% (Mw=20,000) ・化合物(8)の水溶液(25%) 4% ・ジエチレングリコール 20% ・C.I.ベーシックブルー100 3% ・水 61%
【0067】実施例5 (イエロー顔料分散液の作製) ・スチレンアクリル酸−アクリル酸ブチル共重合体 2部 (酸価116、Mw=3,700) ・モノエタノールアミン 2部 ・水 76部 ・ジエチレングリコール 5部
【0068】上記成分を混合し、ウォーターバスで70
℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させる。この溶液に
C.I.ピグメントイエロー12を15部加え、30分
間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を
行った。 ・分散機:サンドグラインダー(五十嵐機械製) ・粉砕メディア:ジルコニアビース 1mm径 ・粉砕メディアの充填率:50%(体積) ・粉砕時間:3時間 更に遠心分離処理(12,000rpm、20分間)を
行い、粗大粒子を除去して分散液とした。
【0069】次いで、前記で調製した顔料分散液を用い
てインクを作製するのであるが、先ず、実施例1と同様
に、予め両性高分子化合物と一般式(A)の化合物は所
定のpHに調整しておく。実施例5ではアンモニア水を
使用して、pH=9.5のメチルアリルアミン−イタコ
ン酸共重合体の25%水溶液、及びpH=9.5の化合
物(1)の25%水溶液に調整しておく。次いで、下記
の組成のうち分散液を除いた成分を混合溶解した後に、
前記顔料分散液を少しずつ加え、よく混合することによ
りインクを調製した。
【0070】 (イエローインク) ・前記分散液 30% ・メチルアリルアミン−イタコン酸共重合体水溶液(25%) 8% (Mw=5,000) ・化合物(1)の水溶液(25%) 2% ・グリセリン 7% ・チオジグリコール 10% ・水 43%
【0071】又、前記顔料分散用溶液にC.I.ピグメ
ントイエロー12を加える代わりに、夫々、マゼンタイ
ンクにはC.I.ピグメントレッド5を15部、シアン
インクにはC.I.ピグメントブルー15を15部、黒
色インクにはカーボンブラックを15部加え、前記同様
の操作を行うことにより、マゼンタ、シアン及び黒色の
各分散液を得た。次いで、前記イエローインクの作製と
同様の方法でマゼンタ、シアン及び黒色のインクを得
た。
【0072】 (マゼンタインク) ・前記分散液(C.I.ピグメントレッド5の分散液) 30% ・メチルアリルアミン−イタコン酸共重合体水溶液(25%) 8% (Mw=5,000) ・化合物(1)の水溶液(25%) 2% ・グリセリン 7% ・チオジグリコール 10% ・水 43%
【0073】 (シアンインク) ・前記分散液(C.I.ピグメントブルー15の分散液) 30% ・メチルアリルアミン−イタコン酸共重合体水溶液(25%) 8% (Mw=5,000) ・化合物(1)の水溶液(25%) 2% ・グリセリン 7% ・チオジグリコール 10% ・水 43%
【0074】 (黒色インク) ・前記分散液(カーボンブラックの分散液) 30% ・メチルアリルアミン−イタコン酸共重合体水溶液(25%) 8% (Mw=5,000) ・化合物(1)の水溶液(25%) 2% ・グリセリン 7% ・チオジグリコール 10% ・水 43%
【0075】実施例6 (イエロー顔料分散液の作製) ・ポリ−N,N′−ジメチル−3,5−メチレンピペリジニウム塩 2部 (Mw=3,700) ・水 78部 ・ジエチレングリコール 5部 上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、
樹脂分を完全に溶解させる。この溶液にC.I.ピグメ
ントイエロー12を15部加え、30分間プレミキシン
グを行った後、下記の条件で分散処理を行った。 ・分散機:サンドグラインダー(五十嵐機械製) ・粉砕メディア:ジルコニアビース 1mm径 ・粉砕メディアの充填率:50%(体積) ・粉砕時間:3時間 更に遠心分離処理(12,000rpm、20分間)を
行い、粗大粒子を除去して分散液とした。
【0076】次いで、上記で調製した顔料分散液を用い
てインクを作製するのであるが、先ず、実施例5と同様
に、予め両性高分子化合物と一般式(A)の化合物は所
定のpHに調整しておく。実施例6では塩酸を使用し
て、pH=4.5の4−ビニルピリジン−フマール酸共
重合体の25%水溶液、及びpH=4.5の化合物
(2)の25%水溶液に調整しておく。次いで、下記の
組成のうち分散液を除いた成分を混合溶解した後に、前
記顔料分散液を少しずつ加え、よく混合することにより
インクを調製した。
【0077】 (イエローインク) ・前記分散液 30% ・4−ビニルピリジン−フマール酸共重合体水溶液(25%) 12% (Mw=3,000) ・化合物(2)の水溶液(25%) 1% ・グリセリン 7% ・ジエチレングリコール 10% ・水 40%
【0078】又、前記顔料分散用溶液にC.I.ピグメ
ントイエロー12を加える代わりに、 夫々、マゼンタ
インクにはC.I.ピグメントレッド5を15部、シア
ンインクにはC.I.ピグメントブルー15を15部、
黒色インクにはカーボンブラックを15部加え、前記同
様の操作を行うことにより、マゼンタ、シアン及び黒色
の各分散液を得た。次いで、前記イエローインクの作製
と同様の方法でマゼンタ、シアン及び黒色のインクを得
た。
【0079】 (マゼンタインク) ・前記分散液(C.I.ピグメントレッド5の分散液) 30% ・4−ビニルピリジン−フマール酸共重合体水溶液(25%) 12% (Mw=3,000) ・化合物(2)の水溶液(25%) 1% ・グリセリン 7% ・ジエチレングリコール 10% ・水 40%
【0080】 (シアンインク) ・前記分散液(C.I.ピグメントブルー15の分散液) 30% ・4−ビニルピリジン−フマール酸共重合体水溶液(25%) 12% (Mw=3,000) ・化合物(2)の水溶液(25%) 1% ・グリセリン 7% ・ジエチレングリコール 10% ・水 40%
【0081】 (黒色インク) ・前記分散液(カーボンブラックの分散液) 30% ・4−ビニルピリジン−フマール酸共重合体水溶液(25%) 12% (Mw=3,000) ・化合物(2)の水溶液(25%) 1% ・グリセリン 7% ・ジエチレングリコール 10% ・水 40%
【0082】[記録]実施例1〜6で得られた各インク
を用いて、市販コピー用紙及びボンド紙に記録を行っ
た。実施例1のインクの場合には、イエロー、黒色のイ
ンクを同時に記録した。実施例2、3、5、6の場合に
は、イエロー、マゼンタ、シアン、黒色の各インクを4
色同時に記録した。実施例4の場合には、イエロー、マ
ゼンタ、シアンの各インクを3色同時に記録した。又、
このとき黒色は前記3色を組み合わせて形成した。
【0083】[評価機]使用したインクジェット記録装
置としては、図4に示したものと同様の記録装置を用
い、図7に示した4つのヘッドを用いカラー画像を形成
した。尚、ここで用いた記録ヘッドとしては、BJC8
20(商品名、キヤノン社製インクジェットプリンタ
ー)に使用されているものと同一の記録ヘッドを用い
た。記録ヘッドの駆動条件、即ち、ヒータへの通電条件
は各ヘッドとも印加電圧28V、パルス幅3.2μse
c、駆動周波数5kHzとした。
【0084】比較例1 実施例1のジアリルアミン−アクリル酸共重合体及び化
合物(1)を夫々除いて、比較例のイエローインク及び
黒色インクを作製した。この各インクを用いて、実施例
1と同様に市販コピー用紙及びボンド紙に記録を行っ
た。 比較例2 実施例2の4−ビニルピリジン−メタクリル酸共重合
体、2−ビニルピリジン−マレイン酸共重合体、化合物
(2)及び化合物(3)を夫々除いて、比較例のイエロ
ーインク、マゼンタインク、シアンインク及び黒色イン
クを作製した。この各インクを用いて、実施例2と同様
に市販コピー用紙及びボンド紙に記録を行った。
【0085】比較例3 実施例3のN−メチルアミノエチルメタクリレート−ア
クリル酸共重合体、アリルアミン−スチレンスルフォン
酸共重合体、4−ビニルピリジン−イタコン酸共重合
体、2−ビニルピリジン−フマール酸共重合体、化合物
(4)、化合物(5)、化合物(6)及び化合物(7)
を夫々除いて、比較例のイエローインク、マゼンタイン
ク、シアンインク及び黒色インクを作製した。この各イ
ンクを用いて実施例3と同様に市販コピー用紙及びボン
ド紙に記録を行った。 比較例4 実施例4のジアリルアミン−アクリル酸共重合体及び化
合物(8)を夫々除いて、比較例のイエローインク、マ
ゼンタインク及びシアンインクを作製した。この各イン
クを用いて実施例4と同様に市販コピー用紙及びボンド
紙に記録を行った。
【0086】比較例5 実施例5のメチルアリルアミン−イタコン酸共重合体及
び化合物(1)を夫々除いて、比較例のイエローイン
ク、マゼンタインク、シアンインク及び黒色インクを作
製した。この各インクを用いて実施例5と同様に市販コ
ピー用紙及びボンド紙に記録を行った。 比較例6 実施例6の4−ビニルピリジン−フマール酸共重合体及
び化合物(2)を夫々除いて、比較例のイエローイン
ク、マゼンタインク、シアンインク及び黒色インクを作
製した。この各インクを用いて実施例6と同様に市販コ
ピー用紙及びボンド紙に記録を行った。
【0087】[評価]実施例1〜6及び比較例1〜6の
記録物について、印字濃度、ブリーディング及び
耐水性の評価を行い、その結果を表1に示した。尚、各
評価の方法は、以下の方法で行った。 印字濃度 市販のコピー用紙及びボンド紙に英数文字及びベタ部を
記録した。1時間放置後、印字濃度をマクベスRD91
5(商品名、マクベス社製)にて測定し、以下の基準に
より評価した。 ○:各色の印字濃度が1.1以上であった。 △:各色の印字濃度が1.0以上1.1未満であった。 ×:各色の印字濃度が1.0未満であった。
【0088】ブリーディング 市販のコピー用紙及びボンド紙にイエロー、マゼンタ、
シアン及び黒色の各色ベタ部を隣接して記録し、各色の
境界部で色が滲んだり、不均一に混じりあっていないか
観察した。評価は以下の基準とした。 ○:色が滲んだり、不均一に混じりあった部分がなかっ
た。 △:色が滲んだり、不均一に混じりあった部分が多少あ
ったが、実用上問題ない。 ×:色が滲んだり、不均一に混じりあっており、実用上
問題がある。
【0089】 耐水性 市販のコピー用紙及びボンド紙にイエロー、マゼンタ、
シアン、黒色の各色ベタ部を記録して1時間放置後、印
字濃度をマクベスRD915にて測定する。その後、印
字物を水を満たした容器に5分間浸漬した後、放置乾燥
して、再度印字濃度を測定し、印字濃度の残存率を下記
式(1)より求め、耐水性の評価とした。評価は以下の
基準とした。 残存率=(耐水試験後の印字濃度/耐水試験前の印字濃度)×100 ・・・(1) ○:各色の印字濃度の残存率が75%以上。 △:各色の印字濃度の残存率が60%以上75%未満。 ×:各色の印字濃度の残存率が60%未満。
【0090】表1:評価結果
【0091】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のインクに
よれば、普通紙に対して高い画像濃度で、ブリーディン
グもなく、又、耐水性のある高画質な画像が得られる。
又、本発明のインクジェット記録方法及び装置によれ
ば、上記のインクを用いることにより、普通紙に対して
高い画像濃度で、ブリーディングもなく、又、耐水性の
ある高画質な画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッドの縦断面図で
ある。
【図2】インクジェット記録装置のヘッドの横断面図で
ある。
【図3】図1に示したヘッドをマルチ化したヘッドの外
観斜視図である。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図で
ある。
【図5】インクカートリッジの縦断面図である。
【図6】記録ユニットの一例を示す斜視図である。
【図7】本発明に使用する複数の記録ヘッドが配列した
記録部を示す斜視図である。
【図8】本発明に使用する別の記録ヘッドを示す斜視図
である。
【符号の説明】
13:ヘッド 14:インク溝 15:発熱ヘッド 16:保護膜 17−1、17−2:アルミニウム電極 18:発熱抵抗体層 19:蓄熱層 20:基板 21:インク 22:吐出オリフィス(微細孔) 23:メニスカス 24:インク小滴 25:被記録材 26:マルチ溝 27:ガラス板 28:発熱ヘッド 40:インク袋 42:栓 44:インク吸収体 45:インクカートリッジ 51:給紙部 52:紙送りローラー 53:排紙ローラー 61:ブレード 62:キャップ 63:インク吸収体 64:吐出回復部 65:記録ヘッド 66:キャリッジ 67:ガイド軸 68:モーター 69:ベルト 70:記録ユニット 71:ヘッド部 72:大気連通口 73:基板 81:イエロー 82:マゼンタ 83:シアン 84:黒色
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 服部 能史 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 色材と、これを溶解又は分散する液媒体
    とを含むインクにおいて、分子内にアニオン性基を有す
    るモノマーと分子内にカチオン性基を有するモノマーと
    を共重合した両性高分子化合物、及び下記一般式(A)
    の化合物を含有することを特徴とするインク。 (式中、R1は炭素数1〜48のアルキル基又は水素原
    子を表し、R2は(CH2a−X1又は水素原子を表し、
    aは1〜4のいずれかの整数とする。R3は(CH2b
    −X2又はR4−Y又は水素原子を表し、bは1〜4のい
    ずれかの整数とする。R4は炭素数1〜48のアルキル
    基又は水素原子を表す。Zは(NR5l(エル)2l(エル)
    c(NHCn2ndを表し、l(エル)及びnは2〜4
    のいずれかの整数、c+dは0〜50のいずれかの整数
    とする。Yは(NR6m2me(NHCp2pfを表
    し、m及びpは2〜4のいずれかの整数、e+fは0〜
    50のいずれかの整数とする。R5は(CH2g−X3
    表し、gは1〜4のいずれかの整数とする。R6は(C
    2h−X4を表し、hは1〜4のいずれかの整数とす
    る。X1、X2、X3及びX4は、夫々、カルボキシル基、
    カルボキシル基の塩、スルフォン基、スルフォン基の塩
    又は水素原子からなる群から選ばれる。又、R2及びR3
    が夫々水素原子である時、c及びeが共に0になること
    はなく、又、X1、X2、X3及びX4が全て水素原子にな
    ることもない。)
  2. 【請求項2】 両性高分子化合物を構成するアニオン性
    基を有するモノマーのアニオン性基が、カルボキシル基
    及びスルフォン基のうちの少なくとも1つを含む請求項
    1に記載のインク。
  3. 【請求項3】 両性高分子化合物を構成するカチオン性
    基を有するモノマーのカチオン性基が、アミノ基、イミ
    ノ基、ピロリドン環及びイミダゾール環のうちの少なく
    とも1つを含む請求項1に記載のインク。
  4. 【請求項4】 両性高分子化合物が、等電点を有する請
    求項1に記載のインク。
  5. 【請求項5】 両性高分子化合物の等電点が、pH=3
    〜10の範囲である請求項4に記載のインク。
  6. 【請求項6】 両性高分子化合物の重量平均分子量が、
    1,000〜1,000,000の範囲である請求項1
    に記載のインク。
  7. 【請求項7】 一般式(A)の化合物のX1、X2、X3
    及びX4が、夫々カルボキシル基の塩、スルフォン基の
    塩又は水素原子からなる群から選ばれる請求項1に記載
    のインク。
  8. 【請求項8】 一般式(A)の化合物のR1及びR4が、
    夫々炭素数1〜32のアルキル基、c+d及びe+fが
    夫々0〜16の整数、a、b、g及びhが夫々1〜2の
    整数である請求項1に記載のインク。
  9. 【請求項9】 両性高分子化合物と一般式(A)の化合
    物の添加量が、インク全重量に対して夫々0.1〜30
    重量%、0.01〜10重量%の範囲である請求項1に
    記載のインク。
  10. 【請求項10】 インク滴を記録信号に応じてオリフィ
    スから吐出させて、被記録材に記録を行うインクジェッ
    ト記録方法において、前記インクが請求項1〜9に記載
    のインクであることを特徴とするインクジェット記録方
    法。
  11. 【請求項11】 インクに熱エネルギーを作用させてイ
    ンク滴を吐出する請求項10に記載のインクジェット記
    録方法。
  12. 【請求項12】 インクを収容したインク収容部、該イ
    ンクをインク滴として吐出させるためのヘッド部を備え
    た記録ユニットにおいて、前記インクが請求項1〜9に
    記載のインクであることを特徴とする記録ユニット。
  13. 【請求項13】 ヘッド部がインクに熱エネルギーを作
    用させてインク滴を吐出させるヘッドである請求項12
    に記載の記録ユニット。
  14. 【請求項14】 インク収容部がポリウレタン、セルロ
    ース又はポリビニルアセテートで形成されている請求項
    12に記載のユニット。
  15. 【請求項15】 インクを収容したインク収容部を備え
    たインクカートリッジにおいて、前記インクが請求項1
    〜9に記載のインクであることを特徴とするインクカー
    トリッジ。
  16. 【請求項16】 インク収容部がポリオレフィンで形成
    された接液面を有する請求項15に記載のインクカート
    リッジ。
  17. 【請求項17】 インクを収容したインク収容部、該イ
    ンクをインク滴として吐出させるためのヘッド部を有す
    る記録ユニットを備えたインクジェット記録装置におい
    て、前記インクが請求項1〜9に記載のインクであるこ
    とを特徴とするインクジェット記録装置。
  18. 【請求項18】 ヘッド部がインクに熱エネルギーを作
    用させてインク滴を吐出させるヘッドである請求項17
    に記載のインクジェット記録装置。
  19. 【請求項19】 インク収容部がポリウレタン、セルロ
    ース又はポリビニルアセテートで形成されている請求項
    17に記載のインクジェット記録装置。
  20. 【請求項20】 インク滴を吐出するための記録ヘッ
    ド、インクを収容したインク収容部を備えたインクカー
    トリッジ及びインクカートリッジから記録ヘッドにイン
    クを供給するためのインク供給部を備えたインクジェッ
    ト記録装置において、前記インクが請求項1〜9に記載
    のインクであることを特徴とするインクジェット記録装
    置。
  21. 【請求項21】 記録ヘッドが、インクに熱エネルギー
    を作用させてインク滴を吐出させるヘッドである請求項
    20に記載のインクジェット記録装置。
  22. 【請求項22】 インク収容部がポリオレフィンで形成
    された接液面を有する請求項20に記載のインクジェッ
    ト記録装置。
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