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JPH09169733A - 4−トリフルオロメチルニコチン酸の製造方法 - Google Patents

4−トリフルオロメチルニコチン酸の製造方法

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JPH09169733A
JPH09169733A JP8139508A JP13950896A JPH09169733A JP H09169733 A JPH09169733 A JP H09169733A JP 8139508 A JP8139508 A JP 8139508A JP 13950896 A JP13950896 A JP 13950896A JP H09169733 A JPH09169733 A JP H09169733A
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salt
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JP8139508A
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JP3810858B2 (ja
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Toru Koyanagi
徹 小柳
Tetsuo Yoneda
哲夫 米田
Fumio Kanamori
文男 金森
Shigehisa Kamibayashi
繁久 上林
Toyoji Tanimura
豊史 谷村
Noriyuki Horiuchi
則之 堀内
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Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
Original Assignee
Ishihara Sangyo Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は農薬または医薬の中間体として有用な
4−トリフルオロメチルニコチン酸の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 式(V); 【化1】 で表わされる4−トリフルオロメチルニコチン酸または
その塩を式(I); 【化2】 で表わされる化合物と、一般式(II);ACO2 R…
(II)(式中Rはエステル形成残基であり、Aは(R´
O)CH=CH−基または(R´O)2 CHCH2−基
である。但し、R´はアルキル基である)で表わされる
化合物とを縮合反応させて、反応生成物である一般式(I
II); 【化3】 (式中、Rは前述の通りである)で表わされる化合物
(その塩を含む)および/または一般式(IV); 【化4】 (式中、RおよびR´は前述の通りである)で表わされ
る化合物(その塩を含む)を得、次いで該反応生成物を
閉環および加水分解反応させる一連の反応により製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農薬の活性成分あるい
は農薬または医薬の製造用前駆体として有用な後記式
(V)で表わされる4−トリフルオロメチルニコチン酸
またはその塩の新規な製造方法およびその中間体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】前記4−トリフルオロメチルニコチン酸
の製造方法としては、特開平6−321903号に記
載された方法、特開平7−10841号に記載された
方法などが知られているが、前者は反応工程数が多く複
雑な上、反応条件が過酷であり、後者も反応工程数が多
く複雑である。従って、これらの方法ではコスト高とな
るなど工業的製造では改良が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、反応工程数が少なくマイルドな反応条件に
より、高い収率で目的化合物を製造することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、式(V);
【化11】
【0005】で表わされる4−トリフルオロメチルニコ
チン酸またはその塩の製造方法であって、式(I);
【化12】
【0006】で表わされる化合物と、一般式(II);A
CO2 R…(II)(式中Rはエステル形成残基であり、
Aは(R´O)CH=CH−基または(R´O)2 CH
CH2−基である。但し、R´はアルキル基である)で
表わされる化合物とを縮合反応させて、反応生成物であ
る一般式(III);
【化13】
【0007】(式中、Rはエステル形成残基である)で
表わされる化合物(その塩を含む)および/または一般
式(IV);
【0008】
【化14】 (式中、RおよびR´は前述の通りである)で表わされ
る化合物(その塩を含む)を得、次いで該反応生成物を
閉環および加水分解反応させることを特徴とする前記4
−トリフルオロメチルニコチン酸またはその塩の製造方
法に関する。また、本発明は式(V)の化合物の製造用
中間体である一般式(III)の化合物またはその塩、一般
式(IV)の化合物またはその塩に関する。
【0009】前記一般式(II)、(III)および(IV)中
のRで表わされるエステル形成残基としては、アルキル
基、アルケニル基、アルキニル基またはフェニル基が挙
げられるが、アルキル基が望ましい。一般式(II)の化
合物には、一般式(II−1);(R´O)2 CHCH2
CO2 R…(II−1)(式中、Rはエステル形成残基で
あり、R´はアルキル基である)で表される化合物と一
般式(II−2);(R´O)CH=CHCO2 R…(II
−2)(式中、Rはエステル形成残基であり、R´はア
ルキル基である)で表される化合物との2種類の化合物
があり、これらの化合物中のRに係わるアルキル基並び
にR´で表されるアルキル基については、直鎖状または
分枝状の炭素数1〜6のアルキル基、例えばメチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、タ
ーシャリーブチル基などが挙げられるが、中でもメチル
基、エチル基が望ましく、メチル基がより望ましい。ま
た、一般式(II−1)または(II−2)中のRとR´の
アルキル基は同一であっても異なっていてもよいが、同
一であることが望ましい。
【0010】以下に本発明に係る4−トリフルオロメチ
ルニコチン酸またはその塩の製造方法につき反応フロー
を示し詳述する。
【化15】 (式中Rはエステル形成残基であり、Aは(R´O)C
H=CH−基または(R´O)2 CHCH2 −基であ
る。但し、R´はアルキル基である)
【0011】縮合反応における式(I)および一般式
(II)の化合物の使用量は、一般式(II)の化合物の種
類、その他後記する反応条件などの相違によって異な
り、一概に規定できないが、通常式(I)の化合物1モ
ルに対して一般式(II)の化合物が1.0〜1.2モ
ル、望ましくは1.02〜1.06モルの割合で使用さ
れる。
【0012】縮合反応の反応温度および反応時間は、一
般式(II)の化合物の種類、その他後記する反応条件な
どの相違により異なり、一概に規定できないが、反応温
度は通常−20〜+100℃であり、反応時間は通常
0.1〜12時間望ましくは0.3〜6時間である。
【0013】前記したように、一般式(II)の化合物に
は一般式(II−1)の化合物と一般式(II−2)の化合
物があり、縮合反応においてどちらの化合物を使用する
かによって該反応の反応条件が変わってくるので、それ
らにつき以下に述べる。
【0014】最初に、一般式(II)の化合物として一般
式(II−1)の化合物を使用して縮合反応を行った場合
の反応条件について述べる。この場合の反応温度は望ま
しくは−10〜+75℃であり、縮合反応を効率的に行
うためには塩基の存在下で反応を行うのが望ましい。具
体的に使用される塩基としては、水素化ナトリウム、水
素化カリウムのようなアルカリ金属の水素化物;n−ブ
チルリチウム、t−ブチルリチウムのようなアルキルリ
チウム;ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属;
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金
属の水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエト
キシド、カリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド
のようなアルコキシド類;ピリジン、キノリンのような
塩基性複素環化合物などが挙げられるが、中でもアルカ
リ金属の水素化物が望ましく、その中でも水素化ナトリ
ウムが特に望ましい。これら塩基は単独で、あるいは混
用して使用することができる。この場合における塩基の
使用量は、一般式(II−1)の化合物の種類、溶媒の使
用の有無、反応条件の相違などにより異なり、一概に規
定できないが、式(I)の化合物1モルに対して通常
1.0〜1.2当量、望ましくは1.02〜1.06当
量の割合の塩基が使用される。
【0015】式(I)の化合物と一般式(II−1) の化
合物との縮合反応を効率的に行うためには溶媒の存在下
で反応を行うのが望ましい。該反応における溶媒の存在
形態としては、式(I)の化合物あるいは一般式(II
−1)の化合物をそれぞれ溶媒中で溶解させた各溶液を
反応させたり、いずれか一方の化合物を溶解させた溶
液に対し他方の化合物を反応させたり、両方の化合物
を溶解させた反応系中に塩基を溶媒に溶解させた溶液を
添加する形態がある。具体的に使用される溶媒としては
N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルのよう
な極性非プロトン性溶媒;塩化メチレン、クロロホルム
のようなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、テ
トラヒドロフランのようなエーテル類;メタノール、エ
タノールのようなアルコール類;ピリジン、キノリンの
ような塩基性複素環化合物などが挙げられるが、中でも
極性非プロトン性溶媒が望ましく、その中でもN,N−
ジメチルホルムアミドが特に望ましい。これら溶媒は単
独で、あるいは混用して使用することができる。縮合反
応における溶媒の使用量は一般式(II−1)の化合物の
種類、塩基の使用の有無、反応条件の相違などにより異
なり、一概に規定できないが、式(I)の化合物1重量
部に対して通常1〜30重量部、望ましくは4〜15重
量部の割合で溶媒が使用される。
【0016】前記式(I)の化合物と一般式(II−1)
の化合物との縮合反応において、一般式(III)の化合物
またはその塩は、一般式(IV)の化合物またはその塩を
経て生成される。これは一般式(II−1) の化合物中に
存在する2個のR´O基のうち、まず1個だけが脱離し
て一般式(IV)の化合物またはその塩が生成するためで
ある。その後、一般式(IV)の化合物またはその塩中に
残ったもう1個のR´O基が脱離すると一般式(III) の
化合物またはその塩が生成することになる。即ち、
【0017】
【化16】 (式中、RおよびR´は前述の通りである)のような2
段階の反応により、一般式(III) の化合物(その塩を含
む)および/または一般式(IV)の化合物(その塩を含
む)が生成する。一般式(IV)の化合物またはその塩の
みを得るためには、−10〜+30℃の低温で0.2〜
4時間縮合反応を行い、第1段階の反応のみを完全に進
行させる必要がある。また、このようにして得られた一
般式(IV)の化合物またはその塩から一般式(III) の化
合物またはその塩を得るためには、40〜75℃の高温
で0.1〜2時間縮合反応を行い、第2段階の反応を進
行させる必要がある。
【0018】次に、一般式(II)の化合物として一般式
(II−2)の化合物を使用して縮合反応を行った場合の
反応条件について述べる。この場合の縮合反応は、塩基
または酸の存在下で行われる。また、塩基の存在下にお
ける反応と酸の存在下における反応とは反応機構が異な
っているので、以下に詳述する。
【0019】式(I)の化合物と一般式(II−2)の化
合物を塩基の存在下で縮合反応させた場合の反応温度
は、望ましくは−10〜+65℃である。特に塩基とし
てアルカリ金属の水素化物またはアルキルリチウムを使
用した場合には、0〜30℃の常温下で反応を行うこと
ができる。具体的に使用される塩基としては、水素化ナ
トリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属の水素
化物;n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムのよう
なアルキルリチウム;ナトリウム、カリウムのようなア
ルカリ金属;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのよう
なアルカリ金属の水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナ
トリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムt
−ブトキシドのようなアルコキシド類などが挙げられ
る。これら塩基は単独で、あるいは混用して使用するこ
とができる。
【0020】前記式(I)の化合物と一般式(II−2)
の化合物との塩基の存在下における縮合反応で、一般式
(III)の化合物またはその塩は、一般式(IV)の化合物
またはその塩を経て生成される。即ち、
【化17】 のような反応機構で反応が進行し、一般式(III) の化合
物(その塩を含む)および/または一般式(IV)の化合
物(その塩を含む)が生成する。生成された反応生成物
が、一般式(III) の化合物またはその塩であったり、一
般式(IV)の化合物またはその塩であったり、あるいはそ
れらの混合物であったりするのは、反応条件の違いによ
る。
【0021】式(I)の化合物と一般式(II−2)の化
合物とを酸の存在下で縮合反応させた場合、
【化18】
【0022】のような反応機構で反応が進行し、一般式
(III) の化合物が生成する反応が進行するものと考えら
れる。この場合の反応温度は、望ましくは−10〜+1
00℃である。具体的に使用される酸としては、濃硫
酸、濃塩酸、濃硝酸、リン酸のような無機系の強酸;メ
タンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオ
ロメタンスルホン酸のような有機系の強酸などが挙げら
れる。これら酸は単独で、あるいは混用して使用するこ
とができる。
【0023】前記した酸または塩基の中でもアルカリ金
属の水素化物、アルキルリチウムを使用するのが望まし
く、さらにアルカリ金属の水素化物を使用するのが特に
望ましい。その中でも水素化ナトリウムを使用するのが
最も望ましい。一般式(II−2)の化合物を使用した場
合の縮合反応における塩基または酸の使用量は、一般式
(II−2)の化合物の種類、溶媒の使用の有無、反応条
件の相違などにより異なり、一概に規定できないが、式
(I)の化合物1モルに対して通常1.0〜1.2当
量、望ましくは1.02〜1.06当量の割合で塩基ま
たは酸が使用される。
【0024】式(I)の化合物と一般式(II−2) の化
合物との縮合反応を効率的に行うためには溶媒の存在下
で反応を行うのが望ましい。該反応における溶媒の存在
形態としては、式(I)の化合物あるいは一般式(II
−2)の化合物をそれぞれ溶媒中で溶解させた各溶液を
反応させたり、いずれか一方の化合物を溶解させた溶
液に対し他方の化合物を反応させたり、両方の化合物
を溶媒中で溶解させた溶液と、酸または塩基を溶媒中で
溶解させた溶液とを反応させたりする形態がある。具体
的に使用される溶媒としてはN,N−ジメチルホルムア
ミド、アセトニトリルのような極性非プロトン性溶媒;
塩化メチレン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水
素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのような
エーテル類;メタノール、エタノールのようなアルコー
ル類;ベンゼン、トルエンのような芳香族炭化水素類;
ピリジン、キノリンのような塩基性複素環化合物などが
挙げられるが、中でも極性非プロトン性溶媒が望まし
く、その中でもN,N−ジメチルホルムアミドが特に望
ましい。これら溶媒は単独で、あるいは混用して使用す
ることができる。極性非プロトン性溶媒をハロゲン化炭
化水素類、エーテル類、芳香族炭化水素類から選ばれた
少なくとも1種の溶媒と混用して使用すると、極性非プ
ロトン性溶媒を単独で使用した場合と同等の効果が得ら
れる。これら溶媒の組み合わせの中でもN,N−ジメチ
ルアミドとトルエンを1:100〜100:1望ましく
は2:1〜4:1の範囲内で混用して使用するのが好ま
しい。縮合反応における溶媒の使用量は一般式(II)の
化合物の種類、塩基の使用の有無、反応条件の相違など
により異なり、一概に規定できないが、式(I)の化合
物1重量部に対して通常1〜30重量部、望ましくは4
〜15重量部の割合で溶媒が使用される。
【0025】以上のように述べてきた縮合反応における
種々の条件、すなわち式(I)の化合物および一般式
(II)の化合物の使用量、一般式(II)の化合物の種類
によって変わる種々の反応条件、反応温度ならびに反応
時間各々の設定に際しては、各々の条件毎に示された通
常範囲の数値と望ましい範囲の数値から適宜相互に選択
し、組み合わせることができる。
【0026】前記縮合反応をアルカリ金属を含む塩基の
存在下で行った場合、一般式(III)の化合物は
【化19】
【0027】(式中、Metはアルカリ金属元素、Rは
前述の通りである)で表されるような塩を形成し、一般
式(IV)の化合物は
【化20】
【0028】(式中、Met、RおよびR´は前述の通
りである)で表されるような塩を形成するため、縮合反
応の反応生成物にもこれらの塩が含まれることがある。
そういった場合には縮合反応の終了後、反応生成物を塩
酸、硫酸等の鉱酸で中和処理することにより、一般式(I
II) の化合物および/または一般式(IV)の化合物を高
収率で得ることができる。
【0029】一般式(III) の化合物および/または一般
式(IV)の化合物は、縮合反応の終了後、固液分離、洗
浄、乾燥などの後処理を行うことにより単離される。な
お、一般式(III) の化合物は以下の互変異性体を有し、
特に溶媒中で異性化し易い。
【化21】
【0030】従って、単離された一般式(III) の化合物
中に一般式(III´) :
【化22】
【0031】で表される化合物が含まれることもある。
また、一般式(IV)の化合物も同様に以下の互変異性体
を有する。
【化23】
【0032】縮合反応の生成物の閉環および加水分解反
応を効率的に行うためには、塩基の存在下で反応を行う
のが望ましい。具体的に使用される塩基としては、ナト
リウム、カリウムのようなアルカリ金属;水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属の水酸化
物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カ
リウムメトキシド、カリウムt−ブトキシドのようなア
ルコキシド類;ピリジン、キノリンのような塩基性複素
環化合物などが挙げられるが、中でもアルカリ金属、ア
ルカリ金属のアルコキシドまたはアルカリ金属の水酸化
物が望ましく、その中でもナトリウムまたはナトリウム
メトキシドが特に望ましい。これらの塩基は単独である
いは混用、併用して使用することができる。閉環および
加水分解反応における塩基の使用量は溶媒の使用の有
無、反応条件の相違などにより異なり一概に規定できな
いが、縮合反応の生成物1モルに対して通常0.2〜
2.0当量、望ましくは0.5〜1.2当量の割合で塩
基が使用される。
【0033】また、前記閉環および加水分解反応を効率
的に行うためには、溶媒の存在下で反応を行うのが望ま
しい。該反応における溶媒の存在形態としては、溶媒
中で該反応を行う形態、該反応の反応系中に溶媒を添
加する形態などがある。具体的に使用される溶媒として
は水;メタノール、エタノールのようなアルコール類な
どが挙げられ、それらは単独であるいは混用、併用して
使用することができる。該溶媒の中ではアルコール類が
望ましく、その中でもメタノールまたはエタノールが特
に望ましい。閉環および加水分解反応における溶媒の使
用量は塩基の使用の有無、反応条件の相違などにより一
概に規定できないが、縮合反応の生成物1重量部に対し
て通常1〜30重量部、望ましくは4〜15重量部の割
合で溶媒が使用される。
【0034】前記閉環および加水分解反応における反応
温度および反応時間は、溶媒または塩基の使用の有無、
それらの種類などの相違により異なり、一概に規定でき
ないが、反応温度は通常0〜120℃、望ましくは10
〜80℃であり、反応時間は通常1〜24時間望ましく
は2〜16時間である。
【0035】閉環および加水分解反応において、式
(V)の目的化合物は環状カルボン酸エステルを経て生
成される。即ち、閉環および加水分解反応は縮合反応の
生成物から環状カルボン酸エステルを生成する閉環反応
と、該環状カルボン酸エステルから式(V)の目的化合
物を得る加水分解反応の2段階の反応から成る。式
(V)の目的化合物を高収率で得るためには、閉環反応
を完全に進行させて環状カルボン酸エステルを得た後、
このものを水、アルコール類またはそれらの混合物望ま
しくは水の存在下、加水分解反応させるのが望ましい。
【0036】なお、前記された閉環および加水分解反応
における種々の条件、すなわち塩基および溶媒の使用の
有無、それらの使用量、反応温度ならびに反応時間各々
の設定に際しては、各々の条件毎に示された通常範囲の
数値と望ましい範囲の数値から適宜相互に選択し、組み
合わせることができる。前記縮合反応における種々の条
件の選択組み合わせは、前記閉環および加水分解反応に
おける種々の条件の選択組み合わせとの間で、さらに適
宜相互に選択し、組み合わせることができる。
【0037】目的物の式(V)の4−トリフルオロメチ
ルニコチン酸は、閉環および加水分解反応の終了後、反
応生成物について通常の固液分離、洗浄、乾燥などの後
処理を行うことにより単離される。
【0038】
【発明の実施形態】次に本発明におけるの望ましい実施
形態のうちいくつかを例示する。
【0039】(1)式(I)の化合物と、一般式(II)
の化合物とを縮合反応させて、反応生成物である一般式
(III)の化合物(その塩を含む)および/または一般式
(IV)の化合物(その塩を含む)を得、次いで該反応生
成物を閉環および加水分解反応させる式(V)の4−ト
リフルオロメチルニコチン酸またはその塩の製造方法。 (2)式(I)の化合物と、一般式(II−1)の化合物
とを縮合反応させる(1)の製造方法。 (3)式(I)の化合物と、一般式(II−2)の化合物
とを塩基または酸の存在下で縮合反応させる(1)の製
造方法。
【0040】(4)縮合反応を塩基および/または溶媒
の存在下で行う(2)の方法。 (5)縮合反応を溶媒の存在下で行う(3)の方法。 (6)閉環および加水分解反応を塩基および/または溶
媒の存在下で行う(1)、(2)、(3)、(4)また
は(5)に記載の方法。 (7)縮合反応で、式(I)の化合物1モルに対して一
般式(II)の化合物を1.0〜1.2モルの割合で使用
する(1)、(2)、(3)、(4)、(5)または
(6)に記載の方法。
【0041】(8)一般式(III) の化合物またはその
塩。 (9)一般式(III´) の化合物またはその塩。 (10)一般式(IV)の化合物またはその塩。
【0042】(11)式(I)の化合物と、一般式(I
I)の化合物とを縮合反応させることによる、一般式(II
I)の化合物(その塩を含む)および/または一般式(I
V)の化合物(その塩を含む)の製造方法。 (12)式(I)の化合物と、一般式(II−1)の化合
物とを縮合反応させる(11)の製造方法。 (13)式(I)の化合物と、一般式(II−2)の化合
物とを塩基または酸の存在下で縮合反応させる(11)
の製造方法。 (14)一般式(III)の化合物(その塩を含む)および
/または一般式(IV)の化合物(その塩を含む)を閉環
および加水分解反応させる式(V)の4−トリフルオロ
メチルニコチン酸またはその塩の製造方法。
【0043】(15)縮合反応において、式(I)の化
合物1モルに対して1.0〜1.2モルの割合の一般式
(II−1)の化合物を、塩基および溶媒の存在下−10
〜+30℃で0.2〜4時間反応させることによって一
般式(IV)の化合物を生成させた後、このものを40〜7
5℃の高温で0.1〜2時間反応させて一般式(III) の
化合物またはその塩を得る(2)または(12)の方
法。
【0044】(16)閉環および加水分解反応を塩基お
よび/または溶媒の存在下で行う(14)に記載の方
法。 (17)閉環および加水分解反応において、一般式(II
I) の化合物および/または一般式(IV)の化合物を塩基
およびアルコール類の存在下、50〜120℃で2〜1
2時間閉環反応させて環状カルボン酸エステルを生成さ
せた後、このものを水、アルコール類またはそれらの混
合物の存在下、加水分解反応させる(1)または(1
4)の方法。
【0045】本発明における実施態様としては、上記し
た反応諸条件即ち、縮合反応における塩基および/ま
たは溶媒、閉環および加水分解反応の塩基および/ま
たは溶媒、式(I)の化合物および一般式(II)の化
合物の使用量、縮合反応の温度、閉環および加水分
解反応の温度などを適宜組み合わせることが可能であ
る。
【0046】また、本発明の中間体である一般式(III)
の化合物またはその塩で望ましいものは、N−2−アル
コキシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−
3−オキソ−1−ブテニルアミンまたはその塩であり、
その中でもN−2−メトキシカルボニルビニル 4,
4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミ
ン、N−2−エトキシカルボニルビニル 4,4,4−
トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミンまたは
それらの塩が特に望ましい。
【0047】さらに、本発明の中間体である一般式(IV)
の化合物またはその塩で望ましいものは、N−1−アル
コキシ−2−アルコキシカルボニルエチル 4,4,4
−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミンまた
はその塩であり、その中でもN−1−メトキシ−2−メ
トキシカルボニルエチル 4,4,4−トリフルオロ−
3−オキソ−1−ブテニルアミン、N−1−エトキシ−
2−エトキシカルボニルエチル 4,4,4−トリフル
オロ−3−オキソ−1−ブテニルアミンまたはそれらの
塩が特に望ましい。
【0048】
【実施例】本発明をより詳しく述べるため、以下に実施
例を記載するが、これらは本発明を限定するものではな
い。
【0049】実施例1 (1)縮合反応工程 3,3−ジメトキシプロピオン酸メチルエステル11.
18g(0.076mol)と水素化ナトリウム(60
%オイル懸濁物)3.04g(0.076mol)と
を、N,N−ジメチルホルムアミド65mlに加えた
後、氷冷した。次いでこのものに4−アミノ−1,1,
1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン10.0g
(0.072mol)を徐々に滴下した。滴下終了後、
反応液を室温まで戻しつつ2時間攪拌下に反応させた
後、50℃に加熱し、1時間さらに反応させた。反応終
了後、得られた反応溶液を氷水300mlに注入した
後、濃塩酸を加えて中和した。析出物を濾取後、冷水で
洗浄することにより、N−2−メトキシカルボニルビニ
ル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテ
ニルアミン(融点93.0〜95.3℃)12.06g
を得た(収率75%)。
【0050】(2)閉環および加水分解反応工程 金属ナトリウム0.87g(0.038mol)をメタ
ノール200mlに溶解した溶液に、前記縮合反応で得
られたN−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,4
−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン1
2.06g(0.054mol)を加えた後、加熱還流
下に、12時間攪拌しながら反応させた。メタノールを
減圧下に留去後、残渣に水50mlおよび水酸化ナトリ
ウム1.0g(0.025mol)を加えて2時間室温
で攪拌下にさらに反応させた。反応終了後、ジエチルエ
ーテル50mlを加えて抽出を行い、水層を濃塩酸で酸
性(pH1〜2)にした後、再びジエチルエーテル20
0mlを加えて抽出した。ジエチルエーテル層を無水硫
酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下で留去して、4
−トリフルオロメチルニコチン酸(融点147〜149
℃)7.61gを得た(収率74%)。
【0051】実施例2 (1)縮合反応工程 3,3−ジメトキシプロピオン酸メチルエステル5.6
3g(0.038mol)と水素化ナトリウム(60%
オイル懸濁物)1.52g(0.038mol)とを、
N,N−ジメチルホルムアミド28mlに加えた。この
ものに、4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−
ブテン−2−オン5.0g(0.036mol)をN,
N−ジメチルホルムアミド5mlに溶解させた溶液を徐
々に滴下した。滴下終了後、65℃で20分間反応させ
た。反応終了後、得られた反応溶液を氷水150mlに
注入した後、濃塩酸を加えて中和した。析出物を濾取
後、冷水で洗浄することにより、N−2−メトキシカル
ボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ
−1−ブテニルアミン4.09gを得た(収率51
%)。
【0052】実施例3 (1)縮合反応工程 水素化ナトリウム(60%オイル懸濁物)4.53g
(0.11mol)を、N,N−ジメチルホルムアミド
100mlに懸濁させ、5℃に氷冷した。次に、このも
のに4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテ
ン−2−オン15.0g(0.11mol)と,3−メ
トキシアクリル酸メチルエステル13.14g(0.1
1mol)とをN,N−ジメチルホルムアミド20ml
に溶解した溶液を、5〜10℃の氷冷下激しく攪拌しな
がら30分かけて滴下した。滴下終了後の溶液を5〜1
0℃の氷冷下で2時間半さらに反応させた。反応終了
後、得られた反応溶液を氷水500mlに注入した後、
激しく攪拌しながら濃塩酸を加えて中和した。析出物を
濾取後、冷水で洗浄して得られた結晶を50℃で減圧乾
燥することにより,融点92.0℃の反応生成物19.
98gを得た(収率83%)。得られた融点92.0℃
の反応生成物を重クロロホルムに溶解してNMRを測定
すると、N−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,
4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミンの
ピークのほか、N−2−メトキシカルボニルエチリデン
4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−2−ブテニ
ルアミンのピークが検出された。
【0053】実施例4 (1)縮合反応工程 4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−
2−オン1.50g(10.8mmol)と3−メトキ
シアクリル酸メチルエステル1.31g(11.3mm
ol)とをN,N−ジメチルホルムアミド15mlに溶
解した溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸1.70
g(11.3mmol)を室温下で加えた。次に、この
溶液を90℃のオイルバス中で,攪拌しながら1時間か
けて反応させた。反応終了後、得られた反応溶液を氷水
100mlに注入し、ジエチルエーテルで抽出した。有
機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し
た後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、
反応生成物1.25gを得た(収率51.9%)。得ら
れた反応生成物はガスクロマトグラフィーにて実施例3
の反応生成物と同一であることが確認された。
【0054】実施例5 (1)縮合反応工程 4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−
2−オン1.50g(10.8mmol)と3−メトキ
シアクリル酸メチルエステル1.31g(11.3mm
ol)とをジメチルスルホキシド15mlに溶解した溶
液にトリフルオロメタンスルホン酸1.70g(11.
3mmol)を室温下で加えた。次に、この溶液を90
℃のオイルバス中で,攪拌しながら1時間かけて反応さ
せた。反応終了後、得られた反応溶液を氷水100ml
に注入し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を無水
硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した後、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、反応生成物
0.92gを得た(収率38.2%)。得られた反応生
成物はガスクロマトグラフィーにて実施例3の反応生成
物と同一であることが確認された。
【0055】実施例6 (1)縮合反応工程 4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−
2−オン1.50g(10.8mmol)と3−メトキ
シアクリル酸メチルエステル1.31g(11.3mm
ol)とをN,N−ジメチルホルムアミド5mlとトル
エン10mlの混合溶媒に溶解した溶液にトリフルオロ
メタンスルホン酸1.70g(11.3mmol)を室
温下で加えた。次に、この溶液を90℃のオイルバス中
で,攪拌しながら1時間かけて反応させた。反応終了
後、得られた反応溶液を氷水100mlに注入し、ジエ
チルエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム
で乾燥し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィーで精製し、反応生成物1.02gを得
た(収率42.3%)。得られた反応生成物はガスクロ
マトグラフィーにて実施例3の反応生成物と同一である
ことが確認された。
【0056】実施例7 (1)縮合反応工程 4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−
2−オン1.50g(10.8mmol)と3−メトキ
シアクリル酸メチルエステル1.31g(11.3mm
ol)とをN,N−ジメチルホルムアミド15mlに溶
解した溶液にトリフルオロメタンスルホン酸1.70g
(11.3mmol)を室温下で加えた。次に、この溶
液を60℃のオイルバス中で,攪拌しながら1時間かけ
て反応させた。反応終了後、得られた反応溶液を氷水1
00mlに注入し、ジエチルエーテルで抽出した。有機
層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した
後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、反
応生成物0.42gを得た(収率17.4%)。得られ
た反応生成物はガスクロマトグラフィーにて実施例3の
反応生成物と同一であることが確認された。
【0057】実施例8 (1)縮合反応工程 4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−
2−オン1.50g(10.8mmol)と3−メトキ
シアクリル酸メチルエステル1.31g(11.3mm
ol)とをN,N−ジメチルホルムアミド5mlとトル
エン10mlの混合溶媒に溶解した溶液にトリフルオロ
メタンスルホン酸1.70g(11.3mmol)を室
温下で加えた。次に、この溶液を60℃のオイルバス中
で,攪拌しながら2時間かけて反応させた。反応終了
後、得られた反応溶液を氷水100mlに注入し、ジエ
チルエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム
で乾燥し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィーで精製し、反応生成物1.02gを得
た(収率42.3%)。得られた反応生成物はガスクロ
マトグラフィーにて実施例3の反応生成物と同一である
ことが確認された。
【0058】実施例9 (1)縮合反応工程 4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−
2−オン1.50g(10.8mmol)と3−メトキ
シアクリル酸メチルエステル1.31g(11.3mm
ol)とをN,N−ジメチルホルムアミド5mlとトル
エン10mlの混合溶媒に溶解した溶液にパラトルエン
スルホン酸1.95g(11.3mmol)を室温下で
加えた。次に、この溶液を90℃のオイルバス中で,攪
拌しながら2時間かけて反応させた。反応終了後、得ら
れた反応溶液を氷水100mlに注入し、ジエチルエー
テルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥
し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマト
グラフィーで精製し、反応生成物0.48gを得た(収
率19.9%)。得られた反応生成物はガスクロマトグ
ラフィーにて実施例3の反応生成物と同一であることが
確認された。
【0059】実施例10 (1)縮合反応工程 4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−
2−オン1.50g(10.8mmol)と3−メトキ
シアクリル酸メチルエステル1.31g(11.3mm
ol)とをN,N−ジメチルホルムアミド5mlとトル
エン10mlの混合溶媒に溶解した溶液にメタンスルホ
ン酸1.09g(11.3mmol)を室温下で加え
た。次に、この溶液を90℃のオイルバス中で,攪拌し
ながら1時間かけて反応させた。反応終了後、得られた
反応溶液を氷水100mlに注入し、ジエチルエーテル
で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶
媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィーで精製し、反応生成物0.89gを得た(収率3
6.9%)。得られた反応生成物はガスクロマトグラフ
ィーにて実施例3の反応生成物と同一であることが確認
された。
【0060】実施例11 (1)縮合反応工程 4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−
2−オン2.00g(14.4mmol)と3−メトキ
シアクリル酸メチルエステル1.70g(14.6mm
ol)とをトルエン15mlに溶解した溶液に85%リ
ン酸560mg(4.86mmol)を室温下で加え
た。次に、この溶液を60℃のオイルバス中で,攪拌し
ながら18時間かけて反応させた。反応終了後、得られ
た反応溶液を氷水100mlに注入し、ジエチルエーテ
ルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、
溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィーで精製し、反応生成物1.09gを得た(収率3
4.0%)。得られた反応生成物はガスクロマトグラフ
ィーにて実施例3の反応生成物と同一であることが確認
された。
【0061】実施例12 (1)縮合反応工程 4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−
2−オン2.00g(14.4mmol)と3−メトキ
シアクリル酸メチルエステル1.70g(14.6mm
ol)とをジメチルスルホキシド14mlに溶解した溶
液に98%濃硫酸0.4ml(7.2mmol)を室温
下で加えた。次に、この溶液を60℃のオイルバス中
で,攪拌しながら5時間かけて反応させた。反応終了
後、得られた反応溶液を氷水100mlに注入し、ジエ
チルエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウム
で乾燥し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムク
ロマトグラフィーで精製し、反応生成物1.80gを得
た(収率56.0%)。得られた反応生成物はガスクロ
マトグラフィーにて実施例3の反応生成物と同一である
ことが確認された。
【0062】実施例13 (2)閉環および加水分解反応工程 N−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,4−トリ
フルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン7.94g
(0.036mol)をメタノール95mlに溶解した
溶液を5℃に氷冷しておき、そこへ金属ナトリウム1.
64g(0.071mol)をメタノール40mlに溶
解した溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、反応溶液を
30分かけて室温まで戻した後再び加熱し、加熱還流下
で攪拌しながら3時間45分反応させた。メタノールを
減圧下に留去後、残渣に水酸化ナトリウム0.85g
(0.021mol)を水40mlに溶解した溶液を加
えて室温で攪拌下にさらに2時間反応させた。反応終了
後、ジエチルエーテル50mlを加えて抽出を行い、水
層を濃塩酸で酸性(pH1〜2)にした後、再びジエチ
ルエーテル200mlを加えて抽出した。ジエチルエー
テル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下
で留去して、4−トリフルオロメチルニコチン酸(融点
145.9℃)5.25gを得た(収率77%)。な
お、前記実施例2〜12で得られたN−2−メトキシカ
ルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキ
ソ−1−ブテニルアミンを用い、前記実施例1(2)お
よび実施例13に準じて閉環および加水分解反応を行う
と4−トリフルオロメチルニコチン酸を製造することが
できる。
【0063】実施例14 (1)縮合反応工程 温度計、攪拌羽根および滴下漏斗を備えた500mlの
4つ口フラスコに、水素化ナトリウム(60%オイル懸
濁物)13.1g(0.33mol)およびN,N−ジ
メチルホルムアミド140mlを投入し、寒剤にて−5
℃以下に冷却した。次いでこのものに、4−アミノ−
1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン6
3.3%を含有するトルエン溶液72.2g(0.33
molの4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−
ブテン−2−オンを含む)を、−5℃以下の温度を維持
しつつ、滴下漏斗で1時間30分かけて滴下した。次
に、3−メトキシアクリル酸メチルエステル38.1g
(0.33mmol)を、−5℃以下の温度を維持しつ
つ、滴下漏斗で30分かけて滴下した。滴下終了後、反
応液を室温(18℃)まで戻した後、室温下で攪拌しな
がら1時間半さらに反応させた。次いで、得られた反応
溶液を60℃に加熱し、トルエンを30分かけて減圧留
去後、放冷した。放冷した反応溶液を、氷水840ml
に注入した後、pHが約3になるように濃塩酸を加え、
5℃以下で30分攪拌した。析出した結晶物を濾取し、
140mlの水で洗浄して得られた結晶を40℃で3日
間乾燥することにより,反応生成物67.0gを得た
(収率78.1%)。得られた反応生成物を重クロロホ
ルムに溶解してNMRを測定すると、N−2−メトキシ
カルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オ
キソ−1−ブテニルアミンのピークが検出された。
【0064】実施例15 (1)縮合反応工程 温度計、攪拌羽根および滴下漏斗を備えた500mlの
4つ口フラスコに、水素化ナトリウム(60%オイル懸
濁物)2.87g(0.072mol)およびN,N−
ジメチルホルムアミド30mlを投入し、寒剤にて−5
℃以下に冷却した。次いでこのものに、4−アミノ−
1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン(純
度99.6%)10.0g(0.072mol)、3−
メトキシアクリル酸メチルエステル8.31g(0.0
72mol)およびトルエン10mlを、−5℃以下の
温度を維持しつつ、滴下漏斗で1時間かかって滴下し
た。滴下終了後、反応液を−5℃以下の温度を維持しつ
つ、攪拌しながらさらに30分反応させた後、室温(1
9℃)まで戻した。室温下で2時間攪拌しながら反応さ
せた後、得られた反応溶液を60℃までに加熱し、トル
エンを1時間かけて減圧留去後、放冷した。放冷した反
応溶液を、氷水180mlに注入した後、pHが約3に
なるように濃塩酸を加え、5℃以下で30分攪拌した。
析出した結晶物を濾取し、100mlの水で洗浄して得
られた結晶を40℃で3日間乾燥することにより,反応
生成物14.1gを得た(収率77.2%)。得られた
反応生成物を重クロロホルムに溶解してNMRを測定す
ると、N−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,4
−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミンのピ
ークが検出された。
【0065】実施例16 (1)縮合反応工程 温度計、攪拌羽根および滴下漏斗を備えた500mlの
4つ口フラスコに、水素化ナトリウム(60%オイル懸
濁物)4.0g(0.10mol)およびテトラヒドロ
フラン41.7mlを投入し、寒剤にて−5℃以下に冷
却した。次いでこのものに、4−アミノ−1,1,1−
トリフルオロ−3−ブテン−2−オン(純度98.1
%)14.2g(0.10mol)を、−5℃以下の温
度を維持しつつ、滴下漏斗で30分かかって滴下した。
次に、3−メトキシアクリル酸メチルエステル11.6
g(0.10mol)を、−5℃以下の温度を維持しつ
つ、滴下漏斗で30分かかって滴下した。滴下終了後、
反応液を室温(19℃)まで戻した後、室温下で攪拌し
ながら2時間30分反応した後、さらに室温で水素化ナ
トリウム0.4g(0.01mol)を添加し30分反
応させた。反応終了後、得られた反応溶液を、氷水25
0mlに注入した後、pHが約3になるように濃塩酸を
加え、5℃以下で30分攪拌した。析出した結晶物を濾
取し、100mlの水で洗浄して得られた結晶を40℃
で3日間乾燥することにより,反応生成物20.1gを
得た(収率73.6%)。得られた反応生成物を重クロ
ロホルムに溶解してNMRを測定すると、N−2−メト
キシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3
−オキソ−1−ブテニルアミンのピークが検出された。
【0066】実施例17 (1)縮合反応工程 水素化ナトリウム(60%オイル懸濁物)183g
(4.57mol)のN,N−ジメチルホルムアミド2
100ml溶液を氷冷し、−5℃以下になるように、4
−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2
−オン706g(5.08mol)を滴下した。次に、
この溶液を昇温し、10℃以下になるように,3−メト
キシアクリル酸メチルエステル589g(5.08mo
l)を滴下した。滴下終了後、室温にて2時間攪拌し
た。反応終了後、得られた反応溶液を氷水8400ml
に投入し、5℃以下で30分間攪拌した。なお、反応溶
液投入時氷水中のpHが4〜5になるように希塩酸を加
えた。析出物を濾取後、水洗して得られた結晶を40℃
で2日間乾燥することにより,反応生成物1192gを
得た(収率84.8%)。得られた反応生成物を重クロ
ロホルムに溶解してNMRを測定すると、N−1−メト
キシ−2−メトキシカルボニルエチル 4,4,4−ト
リフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミンのピーク
の他、N−2−メトキシカルボニルビニル4,4,4−
トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミンのピー
クが検出された。得られた反応生成物の一部をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィーにて単離精製したところ、
融点68〜70℃のN−1−メトキシ−2−メトキシカ
ルボニルエチル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキ
ソ−1−ブテニルアミンが得られた。
【0067】(2)閉環および加水分解反応工程 ナトリウムメトキシド(28重量%メタノール溶液)1
221g(6.33mol)のメタノール1050ml
溶液を60℃に加温し、(1)で得られた反応生成物で
あるN−1−メトキシ−2−メトキシカルボニルエチル
4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニ
ルアミン1076g(4.22mol)をメタノール1
830ml溶液を滴下した。滴下終了後、加熱還流下1
時間攪拌し、次に水152g(8.44mol)を加え
さらに30分間加熱還流した。反応終了後、メタノール
を減圧留去し、残渣に水2600ml加えエチレンジク
ロライドにて洗浄した。水層を希塩酸で酸性(pH1〜
2)にした後、析出物を濾取した。濾取して得られた結
晶を40℃で1日間乾燥することにより、4−トリフル
オロメチルニコチン酸651gを得た(収率78.1
%)。
【0068】
【発明の効果】本発明の方法によれば、式(I)の化合
物と一般式(II)の化合物との両化合物を縮合して、一般
式(III) の化合物またはその塩を生成し、これを閉環お
よび加水分解することにより、容易に目的物4−トリフ
ルオロメチルニコチン酸またはその塩を製造することが
できる。この反応は従来のものに比し反応工程数が少な
くマイルドな反応条件により、高い収率で目的物を製造
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上林 繁久 滋賀県草津市西渋川二丁目3番1号 石原 産業株式会社中央研究所内 (72)発明者 谷村 豊史 滋賀県草津市西渋川二丁目3番1号 石原 産業株式会社中央研究所内 (72)発明者 堀内 則之 滋賀県草津市西渋川二丁目3番1号 石原 産業株式会社中央研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(V); 【化1】 で表わされる4−トリフルオロメチルニコチン酸または
    その塩の製造方法であって、式(I); 【化2】 で表わされる化合物と、一般式(II);ACO2 R…
    (II)(式中Rはエステル形成残基であり、Aは(R´
    O)CH=CH−基または(R´O)2 CHCH2−基
    である。但し、R´はアルキル基である)で表わされる
    化合物とを縮合反応させて、反応生成物である一般式(I
    II); 【化3】 (式中、Rは前述の通りである)で表わされる化合物
    (その塩を含む)および/または一般式(IV); 【化4】(式中、RおよびR´は前述の通りである)で
    表わされる化合物(その塩を含む)を得、次いで該反応
    生成物を閉環および加水分解反応させることを特徴とす
    る前記4−トリフルオロメチルニコチン酸またはその塩
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 式(I)の化合物と、一般式(II−
    1); (R´O)2 CHCH2 CO2 R…(II−1)(式中、
    Rはエステル形成残基であり、R´はアルキル基であ
    る)で表される化合物とを縮合反応させる請求項1の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 式(I)の化合物と、一般式(II−
    2); (R´O)CH=CHCO2 R…(II−2)(式中、R
    はエステル形成残基であり、R´はアルキル基である)
    で表される化合物とを塩基または酸の存在下で縮合反応
    させる請求項1の製造方法。
  4. 【請求項4】 縮合反応を塩基および/または溶媒の存
    在下で行う請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 縮合反応を溶媒の存在下で行う請求項3
    に記載の方法。
  6. 【請求項6】 閉環および加水分解反応を塩基および/
    または溶媒の存在下で行う請求項1、2、3、4または
    5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 縮合反応で、式(I)の化合物1モルに
    対して一般式(II)の化合物を1.0〜1.2モルの割
    合で使用する請求項1、2、3、4、5または6に記載
    の方法。
  8. 【請求項8】 式(V); 【化5】 で表わされる4−トリフルオロメチルニコチン酸または
    その塩の製造方法であって、一般式(III); 【化6】 (式中、Rはエステル形成残基である)で表わされる化
    合物(その塩を含む)および/または一般式(IV); 【化7】 (式中、Rは前述のとおりであり、R´はアルキル基で
    ある)で表わされる化合物(その塩を含む)を閉環およ
    び加水分解反応させることを特徴とする前記4−トリフ
    ルオロメチルニコチン酸またはその塩の製造方法。
  9. 【請求項9】 閉環および加水分解反応を塩基および/
    または溶媒の存在下で行う請求項8に記載の方法。
  10. 【請求項10】 一般式(III) ; 【化8】 (式中、Rはエステル形成残基である)で表わされる化
    合物またはその塩。
  11. 【請求項11】 一般式(III´); 【化9】 (式中、Rはエステル形成残基である)で表わされる化
    合物またはその塩。
  12. 【請求項12】 一般式(IV); 【化10】 (式中、Rはエステル形成残基であり、R´はアルキル
    基である)で表わされる化合物またはその塩。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007210923A (ja) * 2006-02-08 2007-08-23 Ishihara Sangyo Kaisha Ltd 4−トリフルオロメチルニコチン酸又はその塩の製造方法
CN112079772A (zh) * 2020-09-26 2020-12-15 安徽金禾实业股份有限公司 一种4-三氟甲基烟酸中氨化反应的方法
CN113336698A (zh) * 2021-05-29 2021-09-03 安徽金禾实业股份有限公司 一种4-三氟甲基烟酸中母液的回收方法
CN114349694A (zh) * 2022-01-29 2022-04-15 淮北龙溪生物科技有限公司 一种4-三氟甲基烟酸的合成方法

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