JP3810858B2 - 4−トリフルオロメチルニコチン酸の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、農薬の活性成分あるいは農薬または医薬の製造用前駆体として有用な後記式(V)で表わされる4−トリフルオロメチルニコチン酸またはその塩の新規な製造方法およびその中間体に関する。
【0002】
【従来の技術】
前記4−トリフルオロメチルニコチン酸の製造方法としては、▲1▼特開平6−321903号に記載された方法、▲2▼特開平7−10841号に記載された方法などが知られているが、前者は反応工程数が多く複雑な上、反応条件が過酷であり、後者も反応工程数が多く複雑である。従って、これらの方法ではコスト高となるなど工業的製造では改良が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、反応工程数が少なくマイルドな反応条件により、高い収率で目的化合物を製造することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、式(V);
【化11】
【0005】
で表わされる4−トリフルオロメチルニコチン酸またはその塩の製造方法であって、式(I);
【化12】
【0006】
で表わされる化合物と、一般式(II);ACO2 R…(II)(式中Rはエステル形成残基であり、Aは(R´O)CH=CH−基または(R´O)2 CHCH2 −基である。但し、R´はアルキル基である)で表わされる化合物とを縮合反応させて、反応生成物である一般式(III);
【化13】
【0007】
(式中、Rはエステル形成残基である)で表わされる化合物(その塩を含む)および/または一般式(IV);
【0008】
【化14】
(式中、RおよびR´は前述の通りである)で表わされる化合物(その塩を含む)を得、次いで該反応生成物を閉環および加水分解反応させることを特徴とする前記4−トリフルオロメチルニコチン酸またはその塩の製造方法に関する。
また、本発明は式(V)の化合物の製造用中間体である一般式(III)の化合物またはその塩、一般式(IV)の化合物またはその塩に関する。
【0009】
前記一般式(II)、(III)および(IV)中のRで表わされるエステル形成残基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基またはフェニル基が挙げられるが、アルキル基が望ましい。一般式(II)の化合物には、一般式(II−1);(R´O)2 CHCH2 CO2 R…(II−1)(式中、Rはエステル形成残基であり、R´はアルキル基である)で表される化合物と一般式(II−2);(R´O)CH=CHCO2 R…(II−2)(式中、Rはエステル形成残基であり、R´はアルキル基である)で表される化合物との2種類の化合物があり、これらの化合物中のRに係わるアルキル基並びにR´で表されるアルキル基については、直鎖状または分枝状の炭素数1〜6のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ターシャリーブチル基などが挙げられるが、中でもメチル基、エチル基が望ましく、メチル基がより望ましい。また、一般式(II−1)または(II−2)中のRとR´のアルキル基は同一であっても異なっていてもよいが、同一であることが望ましい。
【0010】
以下に本発明に係る4−トリフルオロメチルニコチン酸またはその塩の製造方法につき反応フローを示し詳述する。
【化15】
(式中Rはエステル形成残基であり、Aは(R´O)CH=CH−基または
(R´O)2 CHCH2 −基である。但し、R´はアルキル基である)
【0011】
縮合反応における式(I)および一般式(II)の化合物の使用量は、一般式(II)の化合物の種類、その他後記する反応条件などの相違によって異なり、一概に規定できないが、通常式(I)の化合物1モルに対して一般式(II)の化合物が1.0〜1.2モル、望ましくは1.02〜1.06モルの割合で使用される。
【0012】
縮合反応の反応温度および反応時間は、一般式(II)の化合物の種類、その他後記する反応条件などの相違により異なり、一概に規定できないが、反応温度は通常−20〜+100℃であり、反応時間は通常0.1〜12時間望ましくは0.3〜6時間である。
【0013】
前記したように、一般式(II)の化合物には一般式(II−1)の化合物と一般式(II−2)の化合物があり、縮合反応においてどちらの化合物を使用するかによって該反応の反応条件が変わってくるので、それらにつき以下に述べる。
【0014】
最初に、一般式(II)の化合物として一般式(II−1)の化合物を使用して縮合反応を行った場合の反応条件について述べる。この場合の反応温度は望ましくは−10〜+75℃であり、縮合反応を効率的に行うためには塩基の存在下で反応を行うのが望ましい。具体的に使用される塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属の水素化物;n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムのようなアルキルリチウム;ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属の水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシドのようなアルコキシド類;ピリジン、キノリンのような塩基性複素環化合物などが挙げられるが、中でもアルカリ金属の水素化物が望ましく、その中でも水素化ナトリウムが特に望ましい。これら塩基は単独で、あるいは混用して使用することができる。この場合における塩基の使用量は、一般式(II−1)の化合物の種類、溶媒の使用の有無、反応条件の相違などにより異なり、一概に規定できないが、式(I)の化合物1モルに対して通常1.0〜1.2当量、望ましくは1.02〜1.06当量の割合の塩基が使用される。
【0015】
式(I)の化合物と一般式(II−1) の化合物との縮合反応を効率的に行うためには溶媒の存在下で反応を行うのが望ましい。該反応における溶媒の存在形態としては、▲1▼式(I)の化合物あるいは一般式(II−1)の化合物をそれぞれ溶媒中で溶解させた各溶液を反応させたり、▲2▼いずれか一方の化合物を溶解させた溶液に対し他方の化合物を反応させたり、▲3▼両方の化合物を溶解させた反応系中に塩基を溶媒に溶解させた溶液を添加する形態がある。具体的に使用される溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルのような極性非プロトン性溶媒;塩化メチレン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類;メタノール、エタノールのようなアルコール類;ピリジン、キノリンのような塩基性複素環化合物などが挙げられるが、中でも極性非プロトン性溶媒が望ましく、その中でもN,N−ジメチルホルムアミドが特に望ましい。これら溶媒は単独で、あるいは混用して使用することができる。縮合反応における溶媒の使用量は一般式(II−1)の化合物の種類、塩基の使用の有無、反応条件の相違などにより異なり、一概に規定できないが、式(I)の化合物1重量部に対して通常1〜30重量部、望ましくは4〜15重量部の割合で溶媒が使用される。
【0016】
前記式(I)の化合物と一般式(II−1)の化合物との縮合反応において、一般式(III)の化合物またはその塩は、一般式(IV)の化合物またはその塩を経て生成される。これは一般式(II−1) の化合物中に存在する2個のR´O基のうち、まず1個だけが脱離して一般式(IV)の化合物またはその塩が生成するためである。その後、一般式(IV)の化合物またはその塩中に残ったもう1個のR´O基が脱離すると一般式(III) の化合物またはその塩が生成することになる。即ち、
【0017】
【化16】
(式中、RおよびR´は前述の通りである)のような2段階の反応により、一般式(III) の化合物(その塩を含む)および/または一般式(IV)の化合物(その塩を含む)が生成する。一般式(IV)の化合物またはその塩のみを得るためには、−10〜+30℃の低温で0.2〜4時間縮合反応を行い、第1段階の反応のみを完全に進行させる必要がある。また、このようにして得られた一般式(IV)の化合物またはその塩から一般式(III) の化合物またはその塩を得るためには、40〜75℃の高温で0.1〜2時間縮合反応を行い、第2段階の反応を進行させる必要がある。
【0018】
次に、一般式(II)の化合物として一般式(II−2)の化合物を使用して縮合反応を行った場合の反応条件について述べる。この場合の縮合反応は、塩基または酸の存在下で行われる。また、塩基の存在下における反応と酸の存在下における反応とは反応機構が異なっているので、以下に詳述する。
【0019】
式(I)の化合物と一般式(II−2)の化合物を塩基の存在下で縮合反応させた場合の反応温度は、望ましくは−10〜+65℃である。特に塩基としてアルカリ金属の水素化物またはアルキルリチウムを使用した場合には、0〜30℃の常温下で反応を行うことができる。具体的に使用される塩基としては、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属の水素化物;n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウムのようなアルキルリチウム;ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属の水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシドのようなアルコキシド類などが挙げられる。これら塩基は単独で、あるいは混用して使用することができる。
【0020】
前記式(I)の化合物と一般式(II−2)の化合物との塩基の存在下における縮合反応で、一般式(III)の化合物またはその塩は、一般式(IV)の化合物またはその塩を経て生成される。即ち、
【化17】
のような反応機構で反応が進行し、一般式(III) の化合物(その塩を含む)および/または一般式(IV)の化合物(その塩を含む)が生成する。生成された反応生成物が、一般式(III) の化合物またはその塩であったり、一般式(IV)の化合物またはその塩であったり、あるいはそれらの混合物であったりするのは、反応条件の違いによる。
【0021】
式(I)の化合物と一般式(II−2)の化合物とを酸の存在下で縮合反応させた場合、
【化18】
【0022】
のような反応機構で反応が進行し、一般式(III) の化合物が生成する反応が進行するものと考えられる。この場合の反応温度は、望ましくは−10〜+100℃である。具体的に使用される酸としては、濃硫酸、濃塩酸、濃硝酸、リン酸のような無機系の強酸;メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸のような有機系の強酸などが挙げられる。これら酸は単独で、あるいは混用して使用することができる。
【0023】
前記した酸または塩基の中でもアルカリ金属の水素化物、アルキルリチウムを使用するのが望ましく、さらにアルカリ金属の水素化物を使用するのが特に望ましい。その中でも水素化ナトリウムを使用するのが最も望ましい。一般式(II−2)の化合物を使用した場合の縮合反応における塩基または酸の使用量は、一般式(II−2)の化合物の種類、溶媒の使用の有無、反応条件の相違などにより異なり、一概に規定できないが、式(I)の化合物1モルに対して通常1.0〜1.2当量、望ましくは1.02〜1.06当量の割合で塩基または酸が使用される。
【0024】
式(I)の化合物と一般式(II−2) の化合物との縮合反応を効率的に行うためには溶媒の存在下で反応を行うのが望ましい。該反応における溶媒の存在形態としては、▲1▼式(I)の化合物あるいは一般式(II−2)の化合物をそれぞれ溶媒中で溶解させた各溶液を反応させたり、▲2▼いずれか一方の化合物を溶解させた溶液に対し他方の化合物を反応させたり、▲3▼両方の化合物を溶媒中で溶解させた溶液と、酸または塩基を溶媒中で溶解させた溶液とを反応させたりする形態がある。具体的に使用される溶媒としてはN,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルのような極性非プロトン性溶媒;塩化メチレン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類;メタノール、エタノールのようなアルコール類;ベンゼン、トルエンのような芳香族炭化水素類;ピリジン、キノリンのような塩基性複素環化合物などが挙げられるが、中でも極性非プロトン性溶媒が望ましく、その中でもN,N−ジメチルホルムアミドが特に望ましい。これら溶媒は単独で、あるいは混用して使用することができる。極性非プロトン性溶媒をハロゲン化炭化水素類、エーテル類、芳香族炭化水素類から選ばれた少なくとも1種の溶媒と混用して使用すると、極性非プロトン性溶媒を単独で使用した場合と同等の効果が得られる。これら溶媒の組み合わせの中でもN,N−ジメチルアミドとトルエンを1:100〜100:1望ましくは2:1〜4:1の範囲内で混用して使用するのが好ましい。縮合反応における溶媒の使用量は一般式(II)の化合物の種類、塩基の使用の有無、反応条件の相違などにより異なり、一概に規定できないが、式(I)の化合物1重量部に対して通常1〜30重量部、望ましくは4〜15重量部の割合で溶媒が使用される。
【0025】
以上のように述べてきた縮合反応における種々の条件、すなわち式(I)の化合物および一般式(II)の化合物の使用量、一般式(II)の化合物の種類によって変わる種々の反応条件、反応温度ならびに反応時間各々の設定に際しては、各々の条件毎に示された通常範囲の数値と望ましい範囲の数値から適宜相互に選択し、組み合わせることができる。
【0026】
前記縮合反応をアルカリ金属を含む塩基の存在下で行った場合、一般式(III) の化合物は
【化19】
【0027】
(式中、Metはアルカリ金属元素、Rは前述の通りである)で表されるような塩を形成し、一般式(IV)の化合物は
【化20】
【0028】
(式中、Met、RおよびR´は前述の通りである)で表されるような塩を形成するため、縮合反応の反応生成物にもこれらの塩が含まれることがある。そういった場合には縮合反応の終了後、反応生成物を塩酸、硫酸等の鉱酸で中和処理することにより、一般式(III) の化合物および/または一般式(IV)の化合物を高収率で得ることができる。
【0029】
一般式(III) の化合物および/または一般式(IV)の化合物は、縮合反応の終了後、固液分離、洗浄、乾燥などの後処理を行うことにより単離される。なお、一般式(III) の化合物は以下の互変異性体を有し、特に溶媒中で異性化し易い。
【化21】
【0030】
従って、単離された一般式(III) の化合物中に一般式(III´) :
【化22】
【0031】
で表される化合物が含まれることもある。また、一般式(IV)の化合物も同様に以下の互変異性体を有する。
【化23】
【0032】
縮合反応の生成物の閉環および加水分解反応を効率的に行うためには、塩基の存在下で反応を行うのが望ましい。具体的に使用される塩基としては、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ金属;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属の水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシドのようなアルコキシド類;ピリジン、キノリンのような塩基性複素環化合物などが挙げられるが、中でもアルカリ金属、アルカリ金属のアルコキシドまたはアルカリ金属の水酸化物が望ましく、その中でもナトリウムまたはナトリウムメトキシドが特に望ましい。これらの塩基は単独であるいは混用、併用して使用することができる。閉環および加水分解反応における塩基の使用量は溶媒の使用の有無、反応条件の相違などにより異なり一概に規定できないが、縮合反応の生成物1モルに対して通常0.2〜2.0当量、望ましくは0.5〜1.2当量の割合で塩基が使用される。
【0033】
また、前記閉環および加水分解反応を効率的に行うためには、溶媒の存在下で反応を行うのが望ましい。該反応における溶媒の存在形態としては、▲1▼溶媒中で該反応を行う形態、▲2▼該反応の反応系中に溶媒を添加する形態などがある。具体的に使用される溶媒としては水;メタノール、エタノールのようなアルコール類などが挙げられ、それらは単独であるいは混用、併用して使用することができる。該溶媒の中ではアルコール類が望ましく、その中でもメタノールまたはエタノールが特に望ましい。閉環および加水分解反応における溶媒の使用量は塩基の使用の有無、反応条件の相違などにより一概に規定できないが、縮合反応の生成物1重量部に対して通常1〜30重量部、望ましくは4〜15重量部の割合で溶媒が使用される。
【0034】
前記閉環および加水分解反応における反応温度および反応時間は、溶媒または塩基の使用の有無、それらの種類などの相違により異なり、一概に規定できないが、反応温度は通常0〜120℃、望ましくは10〜80℃であり、反応時間は通常1〜24時間望ましくは2〜16時間である。
【0035】
閉環および加水分解反応において、式(V)の目的化合物は環状カルボン酸エステルを経て生成される。即ち、閉環および加水分解反応は縮合反応の生成物から環状カルボン酸エステルを生成する閉環反応と、該環状カルボン酸エステルから式(V)の目的化合物を得る加水分解反応の2段階の反応から成る。式(V)の目的化合物を高収率で得るためには、閉環反応を完全に進行させて環状カルボン酸エステルを得た後、このものを水、アルコール類またはそれらの混合物望ましくは水の存在下、加水分解反応させるのが望ましい。
【0036】
なお、前記された閉環および加水分解反応における種々の条件、すなわち塩基および溶媒の使用の有無、それらの使用量、反応温度ならびに反応時間各々の設定に際しては、各々の条件毎に示された通常範囲の数値と望ましい範囲の数値から適宜相互に選択し、組み合わせることができる。
前記縮合反応における種々の条件の選択組み合わせは、前記閉環および加水分解反応における種々の条件の選択組み合わせとの間で、さらに適宜相互に選択し、組み合わせることができる。
【0037】
目的物の式(V)の4−トリフルオロメチルニコチン酸は、閉環および加水分解反応の終了後、反応生成物について通常の固液分離、洗浄、乾燥などの後処理を行うことにより単離される。
【0038】
【発明の実施形態】
次に本発明におけるの望ましい実施形態のうちいくつかを例示する。
【0039】
(1)式(I)の化合物と、一般式(II)の化合物とを縮合反応させて、反応生成物である一般式(III)の化合物(その塩を含む)および/または一般式(IV)の化合物(その塩を含む)を得、次いで該反応生成物を閉環および加水分解反応させる式(V)の4−トリフルオロメチルニコチン酸またはその塩の製造方法。(2)式(I)の化合物と、一般式(II−1)の化合物とを縮合反応させる(1)の製造方法。
(3)式(I)の化合物と、一般式(II−2)の化合物とを塩基または酸の存在下で縮合反応させる(1)の製造方法。
【0040】
(4)縮合反応を塩基および/または溶媒の存在下で行う(2)の方法。
(5)縮合反応を溶媒の存在下で行う(3)の方法。
(6)閉環および加水分解反応を塩基および/または溶媒の存在下で行う(1)、(2)、(3)、(4)または(5)に記載の方法。
(7)縮合反応で、式(I)の化合物1モルに対して一般式(II)の化合物を1.0〜1.2モルの割合で使用する(1)、(2)、(3)、(4)、(5)または(6)に記載の方法。
【0041】
(8)一般式(III) の化合物またはその塩。
(9)一般式(III´) の化合物またはその塩。
(10)一般式(IV)の化合物またはその塩。
【0042】
(11)式(I)の化合物と、一般式(II)の化合物とを縮合反応させることによる、一般式(III)の化合物(その塩を含む)および/または一般式(IV)の化合物(その塩を含む)の製造方法。
(12)式(I)の化合物と、一般式(II−1)の化合物とを縮合反応させる(11)の製造方法。
(13)式(I)の化合物と、一般式(II−2)の化合物とを塩基または酸の存在下で縮合反応させる(11)の製造方法。
(14)一般式(III)の化合物(その塩を含む)および/または一般式(IV)の化合物(その塩を含む)を閉環および加水分解反応させる式(V)の4−トリフルオロメチルニコチン酸またはその塩の製造方法。
【0043】
(15)縮合反応において、式(I)の化合物1モルに対して1.0〜1.2モルの割合の一般式(II−1)の化合物を、塩基および溶媒の存在下−10〜+30℃で0.2〜4時間反応させることによって一般式(IV)の化合物を生成させた後、このものを40〜75℃の高温で0.1〜2時間反応させて一般式(III) の化合物またはその塩を得る(2)または(12)の方法。
【0044】
(16)閉環および加水分解反応を塩基および/または溶媒の存在下で行う(14)に記載の方法。
(17)閉環および加水分解反応において、一般式(III) の化合物および/または一般式(IV)の化合物を塩基およびアルコール類の存在下、50〜120℃で2〜12時間閉環反応させて環状カルボン酸エステルを生成させた後、このものを水、アルコール類またはそれらの混合物の存在下、加水分解反応させる(1)または(14)の方法。
【0045】
本発明における実施態様としては、上記した反応諸条件即ち、▲1▼縮合反応における塩基および/または溶媒、▲2▼閉環および加水分解反応の塩基および/または溶媒、▲3▼式(I)の化合物および一般式(II)の化合物の使用量、▲4▼縮合反応の温度、▲5▼閉環および加水分解反応の温度などを適宜組み合わせることが可能である。
【0046】
また、本発明の中間体である一般式(III)の化合物またはその塩で望ましいものは、N−2−アルコキシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミンまたはその塩であり、その中でもN−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン、N−2−エトキシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミンまたはそれらの塩が特に望ましい。
【0047】
さらに、本発明の中間体である一般式(IV)の化合物またはその塩で望ましいものは、N−1−アルコキシ−2−アルコキシカルボニルエチル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミンまたはその塩であり、その中でもN−1−メトキシ−2−メトキシカルボニルエチル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン、N−1−エトキシ−2−エトキシカルボニルエチル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミンまたはそれらの塩が特に望ましい。
【0048】
【実施例】
本発明をより詳しく述べるため、以下に実施例を記載するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0049】
実施例1
(1)縮合反応工程
3,3−ジメトキシプロピオン酸メチルエステル11.18g(0.076mol)と水素化ナトリウム(60%オイル懸濁物)3.04g(0.076mol)とを、N,N−ジメチルホルムアミド65mlに加えた後、氷冷した。次いでこのものに4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン10.0g(0.072mol)を徐々に滴下した。滴下終了後、反応液を室温まで戻しつつ2時間攪拌下に反応させた後、50℃に加熱し、1時間さらに反応させた。
反応終了後、得られた反応溶液を氷水300mlに注入した後、濃塩酸を加えて中和した。析出物を濾取後、冷水で洗浄することにより、N−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン(融点93.0〜95.3℃)12.06gを得た(収率75%)。
【0050】
(2)閉環および加水分解反応工程
金属ナトリウム0.87g(0.038mol)をメタノール200mlに溶解した溶液に、前記縮合反応で得られたN−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン12.06g(0.054mol)を加えた後、加熱還流下に、12時間攪拌しながら反応させた。メタノールを減圧下に留去後、残渣に水50mlおよび水酸化ナトリウム1.0g(0.025mol)を加えて2時間室温で攪拌下にさらに反応させた。
反応終了後、ジエチルエーテル50mlを加えて抽出を行い、水層を濃塩酸で酸性(pH1〜2)にした後、再びジエチルエーテル200mlを加えて抽出した。ジエチルエーテル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下で留去して、4−トリフルオロメチルニコチン酸(融点147〜149℃)7.61gを得た(収率74%)。
【0051】
実施例2
(1)縮合反応工程
3,3−ジメトキシプロピオン酸メチルエステル5.63g(0.038mol)と水素化ナトリウム(60%オイル懸濁物)1.52g(0.038mol)とを、N,N−ジメチルホルムアミド28mlに加えた。このものに、4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン5.0g(0.036mol)をN,N−ジメチルホルムアミド5mlに溶解させた溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、65℃で20分間反応させた。
反応終了後、得られた反応溶液を氷水150mlに注入した後、濃塩酸を加えて中和した。析出物を濾取後、冷水で洗浄することにより、N−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン4.09gを得た(収率51%)。
【0052】
実施例3
(1)縮合反応工程
水素化ナトリウム(60%オイル懸濁物)4.53g(0.11mol)を、N,N−ジメチルホルムアミド100mlに懸濁させ、5℃に氷冷した。次に、このものに4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン15.0g(0.11mol)と,3−メトキシアクリル酸メチルエステル13.14g(0.11mol)とをN,N−ジメチルホルムアミド20mlに溶解した溶液を、5〜10℃の氷冷下激しく攪拌しながら30分かけて滴下した。滴下終了後の溶液を5〜10℃の氷冷下で2時間半さらに反応させた。
反応終了後、得られた反応溶液を氷水500mlに注入した後、激しく攪拌しながら濃塩酸を加えて中和した。析出物を濾取後、冷水で洗浄して得られた結晶を50℃で減圧乾燥することにより,融点92.0℃の反応生成物19.98gを得た(収率83%)。
得られた融点92.0℃の反応生成物を重クロロホルムに溶解してNMRを測定すると、N−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミンのピークのほか、N−2−メトキシカルボニルエチリデン 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−2−ブテニルアミンのピークが検出された。
【0053】
実施例4
(1)縮合反応工程
4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン1.50g(10.8mmol)と3−メトキシアクリル酸メチルエステル1.31g(11.3mmol)とをN,N−ジメチルホルムアミド15mlに溶解した溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸1.70g(11.3mmol)を室温下で加えた。次に、この溶液を90℃のオイルバス中で,攪拌しながら1時間かけて反応させた。
反応終了後、得られた反応溶液を氷水100mlに注入し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、反応生成物1.25gを得た(収率51.9%)。得られた反応生成物はガスクロマトグラフィーにて実施例3の反応生成物と同一であることが確認された。
【0054】
実施例5
(1)縮合反応工程
4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン1.50g(10.8mmol)と3−メトキシアクリル酸メチルエステル1.31g(11.3mmol)とをジメチルスルホキシド15mlに溶解した溶液にトリフルオロメタンスルホン酸1.70g(11.3mmol)を室温下で加えた。次に、この溶液を90℃のオイルバス中で,攪拌しながら1時間かけて反応させた。
反応終了後、得られた反応溶液を氷水100mlに注入し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、反応生成物0.92gを得た(収率38.2%)。得られた反応生成物はガスクロマトグラフィーにて実施例3の反応生成物と同一であることが確認された。
【0055】
実施例6
(1)縮合反応工程
4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン1.50g(10.8mmol)と3−メトキシアクリル酸メチルエステル1.31g(11.3mmol)とをN,N−ジメチルホルムアミド5mlとトルエン10mlの混合溶媒に溶解した溶液にトリフルオロメタンスルホン酸1.70g(11.3mmol)を室温下で加えた。次に、この溶液を90℃のオイルバス中で,攪拌しながら1時間かけて反応させた。
反応終了後、得られた反応溶液を氷水100mlに注入し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、反応生成物1.02gを得た(収率42.3%)。得られた反応生成物はガスクロマトグラフィーにて実施例3の反応生成物と同一であることが確認された。
【0056】
実施例7
(1)縮合反応工程
4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン1.50g(10.8mmol)と3−メトキシアクリル酸メチルエステル1.31g(11.3mmol)とをN,N−ジメチルホルムアミド15mlに溶解した溶液にトリフルオロメタンスルホン酸1.70g(11.3mmol)を室温下で加えた。次に、この溶液を60℃のオイルバス中で,攪拌しながら1時間かけて反応させた。
反応終了後、得られた反応溶液を氷水100mlに注入し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、反応生成物0.42gを得た(収率17.4%)。得られた反応生成物はガスクロマトグラフィーにて実施例3の反応生成物と同一であることが確認された。
【0057】
実施例8
(1)縮合反応工程
4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン1.50g(10.8mmol)と3−メトキシアクリル酸メチルエステル1.31g(11.3mmol)とをN,N−ジメチルホルムアミド5mlとトルエン10mlの混合溶媒に溶解した溶液にトリフルオロメタンスルホン酸1.70g(11.3mmol)を室温下で加えた。次に、この溶液を60℃のオイルバス中で,攪拌しながら2時間かけて反応させた。
反応終了後、得られた反応溶液を氷水100mlに注入し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、反応生成物1.02gを得た(収率42.3%)。得られた反応生成物はガスクロマトグラフィーにて実施例3の反応生成物と同一であることが確認された。
【0058】
実施例9
(1)縮合反応工程
4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン1.50g(10.8mmol)と3−メトキシアクリル酸メチルエステル1.31g(11.3mmol)とをN,N−ジメチルホルムアミド5mlとトルエン10mlの混合溶媒に溶解した溶液にパラトルエンスルホン酸1.95g(11.3mmol)を室温下で加えた。次に、この溶液を90℃のオイルバス中で,攪拌しながら2時間かけて反応させた。
反応終了後、得られた反応溶液を氷水100mlに注入し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、反応生成物0.48gを得た(収率19.9%)。得られた反応生成物はガスクロマトグラフィーにて実施例3の反応生成物と同一であることが確認された。
【0059】
実施例10
(1)縮合反応工程
4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン1.50g(10.8mmol)と3−メトキシアクリル酸メチルエステル1.31g(11.3mmol)とをN,N−ジメチルホルムアミド5mlとトルエン10mlの混合溶媒に溶解した溶液にメタンスルホン酸1.09g(11.3mmol)を室温下で加えた。次に、この溶液を90℃のオイルバス中で,攪拌しながら1時間かけて反応させた。
反応終了後、得られた反応溶液を氷水100mlに注入し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、反応生成物0.89gを得た(収率36.9%)。得られた反応生成物はガスクロマトグラフィーにて実施例3の反応生成物と同一であることが確認された。
【0060】
実施例11
(1)縮合反応工程
4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン2.00g(14.4mmol)と3−メトキシアクリル酸メチルエステル1.70g(14.6mmol)とをトルエン15mlに溶解した溶液に85%リン酸560mg(4.86mmol)を室温下で加えた。次に、この溶液を60℃のオイルバス中で,攪拌しながら18時間かけて反応させた。
反応終了後、得られた反応溶液を氷水100mlに注入し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、反応生成物1.09gを得た(収率34.0%)。得られた反応生成物はガスクロマトグラフィーにて実施例3の反応生成物と同一であることが確認された。
【0061】
実施例12
(1)縮合反応工程
4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン2.00g(14.4mmol)と3−メトキシアクリル酸メチルエステル1.70g(14.6mmol)とをジメチルスルホキシド14mlに溶解した溶液に98%濃硫酸0.4ml(7.2mmol)を室温下で加えた。次に、この溶液を60℃のオイルバス中で,攪拌しながら5時間かけて反応させた。
反応終了後、得られた反応溶液を氷水100mlに注入し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、反応生成物1.80gを得た(収率56.0%)。得られた反応生成物はガスクロマトグラフィーにて実施例3の反応生成物と同一であることが確認された。
【0062】
実施例13
(2)閉環および加水分解反応工程
N−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン7.94g(0.036mol)をメタノール95mlに溶解した溶液を5℃に氷冷しておき、そこへ金属ナトリウム1.64g(0.071mol)をメタノール40mlに溶解した溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、反応溶液を30分かけて室温まで戻した後再び加熱し、加熱還流下で攪拌しながら3時間45分反応させた。メタノールを減圧下に留去後、残渣に水酸化ナトリウム0.85g(0.021mol)を水40mlに溶解した溶液を加えて室温で攪拌下にさらに2時間反応させた。
反応終了後、ジエチルエーテル50mlを加えて抽出を行い、水層を濃塩酸で酸性(pH1〜2)にした後、再びジエチルエーテル200mlを加えて抽出した。ジエチルエーテル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下で留去して、4−トリフルオロメチルニコチン酸(融点145.9℃)5.25gを得た(収率77%)。
なお、前記実施例2〜12で得られたN−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミンを用い、前記実施例1(2)および実施例13に準じて閉環および加水分解反応を行うと4−トリフルオロメチルニコチン酸を製造することができる。
【0063】
実施例14
(1)縮合反応工程
温度計、攪拌羽根および滴下漏斗を備えた500mlの4つ口フラスコに、水素化ナトリウム(60%オイル懸濁物)13.1g(0.33mol)およびN,N−ジメチルホルムアミド140mlを投入し、寒剤にて−5℃以下に冷却した。次いでこのものに、4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン63.3%を含有するトルエン溶液72.2g(0.33molの4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オンを含む)を、−5℃以下の温度を維持しつつ、滴下漏斗で1時間30分かけて滴下した。次に、3−メトキシアクリル酸メチルエステル38.1g(0.33mmol)を、−5℃以下の温度を維持しつつ、滴下漏斗で30分かけて滴下した。滴下終了後、反応液を室温(18℃)まで戻した後、室温下で攪拌しながら1時間半さらに反応させた。次いで、得られた反応溶液を60℃に加熱し、トルエンを30分かけて減圧留去後、放冷した。
放冷した反応溶液を、氷水840mlに注入した後、pHが約3になるように濃塩酸を加え、5℃以下で30分攪拌した。析出した結晶物を濾取し、140mlの水で洗浄して得られた結晶を40℃で3日間乾燥することにより,反応生成物67.0gを得た(収率78.1%)。
得られた反応生成物を重クロロホルムに溶解してNMRを測定すると、N−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミンのピークが検出された。
【0064】
実施例15
(1)縮合反応工程
温度計、攪拌羽根および滴下漏斗を備えた500mlの4つ口フラスコに、水素化ナトリウム(60%オイル懸濁物)2.87g(0.072mol)およびN,N−ジメチルホルムアミド30mlを投入し、寒剤にて−5℃以下に冷却した。次いでこのものに、4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン(純度99.6%)10.0g(0.072mol)、3−メトキシアクリル酸メチルエステル8.31g(0.072mol)およびトルエン10mlを、−5℃以下の温度を維持しつつ、滴下漏斗で1時間かかって滴下した。滴下終了後、反応液を−5℃以下の温度を維持しつつ、攪拌しながらさらに30分反応させた後、室温(19℃)まで戻した。室温下で2時間攪拌しながら反応させた後、得られた反応溶液を60℃までに加熱し、トルエンを1時間かけて減圧留去後、放冷した。
放冷した反応溶液を、氷水180mlに注入した後、pHが約3になるように濃塩酸を加え、5℃以下で30分攪拌した。析出した結晶物を濾取し、100mlの水で洗浄して得られた結晶を40℃で3日間乾燥することにより,反応生成物14.1gを得た(収率77.2%)。
得られた反応生成物を重クロロホルムに溶解してNMRを測定すると、N−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミンのピークが検出された。
【0065】
実施例16
(1)縮合反応工程
温度計、攪拌羽根および滴下漏斗を備えた500mlの4つ口フラスコに、水素化ナトリウム(60%オイル懸濁物)4.0g(0.10mol)およびテトラヒドロフラン41.7mlを投入し、寒剤にて−5℃以下に冷却した。次いでこのものに、4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン(純度98.1%)14.2g(0.10mol)を、−5℃以下の温度を維持しつつ、滴下漏斗で30分かかって滴下した。次に、3−メトキシアクリル酸メチルエステル11.6g(0.10mol)を、−5℃以下の温度を維持しつつ、滴下漏斗で30分かかって滴下した。滴下終了後、反応液を室温(19℃)まで戻した後、室温下で攪拌しながら2時間30分反応した後、さらに室温で水素化ナトリウム0.4g(0.01mol)を添加し30分反応させた。
反応終了後、得られた反応溶液を、氷水250mlに注入した後、pHが約3になるように濃塩酸を加え、5℃以下で30分攪拌した。析出した結晶物を濾取し、100mlの水で洗浄して得られた結晶を40℃で3日間乾燥することにより,反応生成物20.1gを得た(収率73.6%)。
得られた反応生成物を重クロロホルムに溶解してNMRを測定すると、N−2−メトキシカルボニルビニル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミンのピークが検出された。
【0066】
実施例17
(1)縮合反応工程
水素化ナトリウム(60%オイル懸濁物)183g(4.57mol)のN,N−ジメチルホルムアミド2100ml溶液を氷冷し、−5℃以下になるように、4−アミノ−1,1,1−トリフルオロ−3−ブテン−2−オン706g(5.08mol)を滴下した。次に、この溶液を昇温し、10℃以下になるように,3−メトキシアクリル酸メチルエステル589g(5.08mol)を滴下した。滴下終了後、室温にて2時間攪拌した。
反応終了後、得られた反応溶液を氷水8400mlに投入し、5℃以下で30分間攪拌した。なお、反応溶液投入時氷水中のpHが4〜5になるように希塩酸を加えた。析出物を濾取後、水洗して得られた結晶を40℃で2日間乾燥することにより,反応生成物1192gを得た(収率84.8%)。
得られた反応生成物を重クロロホルムに溶解してNMRを測定すると、N−1−メトキシ−2−メトキシカルボニルエチル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミンのピークの他、N−2−メトキシカルボニルビニル4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミンのピークが検出された。
得られた反応生成物の一部をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて単離精製したところ、融点68〜70℃のN−1−メトキシ−2−メトキシカルボニルエチル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミンが得られた。
【0067】
(2)閉環および加水分解反応工程
ナトリウムメトキシド(28重量%メタノール溶液)1221g(6.33mol)のメタノール1050ml溶液を60℃に加温し、(1)で得られた反応生成物であるN−1−メトキシ−2−メトキシカルボニルエチル 4,4,4−トリフルオロ−3−オキソ−1−ブテニルアミン1076g(4.22mol)をメタノール1830ml溶液を滴下した。滴下終了後、加熱還流下1時間攪拌し、次に水152g(8.44mol)を加えさらに30分間加熱還流した。
反応終了後、メタノールを減圧留去し、残渣に水2600ml加えエチレンジクロライドにて洗浄した。水層を希塩酸で酸性(pH1〜2)にした後、析出物を濾取した。濾取して得られた結晶を40℃で1日間乾燥することにより、4−トリフルオロメチルニコチン酸651gを得た(収率78.1%)。
【0068】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、式(I)の化合物と一般式(II)の化合物との両化合物を縮合して、一般式(III) の化合物またはその塩を生成し、これを閉環および加水分解することにより、容易に目的物4−トリフルオロメチルニコチン酸またはその塩を製造することができる。この反応は従来のものに比し反応工程数が少なくマイルドな反応条件により、高い収率で目的物を製造することができる。
Claims (12)
- 式(V);
- 式(I)の化合物と、一般式(II−1);
(R´O)2 CHCH2 CO2 R…(II−1)(式中、Rはエステル形成残基であり、R´はアルキル基である)で表される化合物とを縮合反応させる請求項1の製造方法。 - 式(I)の化合物と、一般式(II−2);
(R´O)CH=CHCO2 R…(II−2)(式中、Rはエステル形成残基であり、R´はアルキル基である)で表される化合物とを塩基または酸の存在下で縮合反応させる請求項1の製造方法。 - 縮合反応を塩基および/または溶媒の存在下で行う請求項2に記載の方法。
- 縮合反応を溶媒の存在下で行う請求項3に記載の方法。
- 閉環および加水分解反応を塩基および/または溶媒の存在下で行う請求項1、2、3、4または5に記載の方法。
- 縮合反応で、式(I)の化合物1モルに対して一般式(II)の化合物を1.0〜1.2モルの割合で使用する請求項1、2、3、4、5または6に記載の方法。
- 閉環および加水分解反応を塩基および/または溶媒の存在下で行う請求項8に記載の方法。
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