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JPH09143013A - 植物活力剤 - Google Patents

植物活力剤

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Publication number
JPH09143013A
JPH09143013A JP7325074A JP32507495A JPH09143013A JP H09143013 A JPH09143013 A JP H09143013A JP 7325074 A JP7325074 A JP 7325074A JP 32507495 A JP32507495 A JP 32507495A JP H09143013 A JPH09143013 A JP H09143013A
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JP
Japan
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chitosan
plant
oligosaccharide
chitin
weight
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JP7325074A
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Yoshiharu Matahira
芳春 又平
Mitsuaki Kawaguchi
光朗 川口
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Yaizu Suisan Kagaku Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Yaizu Suisan Kagaku Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物病害菌に対する防除効果及び生長促進効
果を有し、環境を汚染することなく、安全性の高い植物
活力剤を提供する。 【解決手段】 キチンオリゴ糖と、キトサン、キトサン
オリゴ糖及びそれらの塩から選ばれた少なくとも一種と
を含有させて植物活力剤とする。賦形剤及び徐放化剤と
して、モンモリロナイト、バーミュキュライト、ゼオラ
イト、ケイソウ土、活性炭、木炭から選ばれた少なくと
も一種を加えることが好ましい。キチンオリゴ糖の有す
るファイトアレキシン誘導活性(エリシター活性)と、
キトサン、キトサンオリゴ糖及びそれらの塩から選ばれ
た少なくとも一種が有する植物の病原菌に対する抗菌活
性とが相乗的に作用して、それらを単独に用いた場合よ
り、顕著に優れた耐病性付与効果と生長促進効果とが得
られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物又は土壌に付
与することにより、植物の耐病性を高め、健全な生長を
促す効果を有する植物活力剤に関する。
【0002】
【従来の技術】農業生産上において、単位面積当たりの
収穫量を増すことは重要課題であり、植物の耐病性を向
上させ、生長を促進させるために、各種の肥料、農薬等
が用いられている。しかし、化学合成によって製造され
る農薬等の薬剤は、いったん散布すると土壌中等に長期
間残存することが多く、環境汚染や公害等にもつながる
という問題があった。このため、環境汚染や公害等の問
題がなく、植物の耐病性を向上させ、生長を促進させる
物質が求められている。
【0003】このような中で、近年、カニ、エビ等の甲
殻類の殻等に含まれる天然多糖類であるキチンから調製
されたキトサン、あるいはその部分分解物が抗菌性を有
していることが見い出され、キチン、キトサンあるいは
その部分分解物を利用した植物病害防除剤、土壌改良
剤、植物生長促進剤等が種々提案されている。
【0004】例えば、キトサンを主成分とする土壌改良
剤(特開昭63-146982 号公報)、キチン、キチン質含有
有機物又はキトサンと、ゼオライト及び/又は貝殻と、
ストレプトミセス・シアノゲナスまたはストレプトミセ
ス・オリバセウスとを含む土壌病害防除資材(特開平7-
2614号公報)、キトサンまたは低粘度キトサンにEDT
Aを配合した植物病害の発生を抑制する液体肥料(特開
平1-239077号公報)、キトサン有機酸塩及びアルキルフ
ェノキシポリアルコキシアルコールを水に溶解してなる
園芸用植物病害防除液(特開平4-253901号公報)、キト
サン分解物及び酢酸を有効成分として含有する芝草の生
育活性剤(特開平6-181636号公報)、キチン、キトサン
類より選ばれた少なくとも1種を有効成分とする植物生
長促進剤(特開昭63-33310号)等が提案されている。
【0005】一方、近年、植物体が、植物病原菌あるい
は植物自身の細胞表層由来の多糖断片であるオリゴ糖を
感染のシグナル(エリシター)として認識し、ファイト
アレキシン誘導体などを産生して、植物病原菌に対する
防御機構を作動させるということが解明されてきている
(A.G.Darvill and P.Albershaim; Ann.Rev.Plant.Phys
iol., 35, 243, 1984 )。
【0006】そして、キチンオリゴ糖が、イネの植物細
胞においてエリシター効果を有すること(渋谷直人、日
本農薬学会誌、19,67-71,1994 )、トマトに対してエリ
シター効果を有すること(G.Felix, M.Regenass, T.Bol
ler. The Plant Journal, 4(2), 307-316, 1993 )が報
告されている。更に、キチンオリゴ糖は、植物が産生す
る病原菌細胞壁分解酵素であるキチナーゼの誘導因子に
もなり得ることも明らかになってきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の植物病害防
除剤、土壌改良剤、植物生長促進剤は、主としてキトサ
ン、キトサンオリゴ糖の有する、植物病原菌に対する抗
菌活性に着眼したものが多かった。しかしながら、キト
サン、キトサンオリゴ糖の抗菌性は、静菌作用であっ
て、通常の使用濃度においては、十分な殺菌作用を有す
るものではなく、また、自然界に存在する多種多様な植
物病原菌すべてに対応できるものではない。このため、
各種の植物病原菌に対する防除効果が十分に得られると
は言い難いものであった。
【0008】また、本発明者らの実験によれば、エリシ
ター効果を有するとされるキチンオリゴ糖も、単独で用
いた場合には、植物病原菌に対する防除効果が十分に得
られるとは言えないものであった。
【0009】本発明は上記問題点に鑑みてなされたもの
で、その目的は、植物病原菌に対する防除効果及び植物
の生長促進効果を有し、植物や土壌に散布しても生分解
を受けて、長期間残存するという問題がなく、環境にや
さしく、安全性の高い植物活力剤を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意研究した結果、エリシター効果を有
するとされるキチンオリゴ糖と、抗菌活性を有するキト
サン、キトサンオリゴ糖及びそれらの塩から選ばれた少
なくとも一種とを併用することにより、これらの効果が
相乗的に作用して、これらを単独に用いた場合より、植
物の耐病性を高め、生長を促進させる効果が顕著に得ら
れることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0011】すなわち、本発明の植物活力剤は、キチン
オリゴ糖と、キトサン、キトサンオリゴ糖及びそれらの
塩から選ばれた少なくとも一種とを含有することを特徴
とする。
【0012】本発明の植物活力剤は、キチンオリゴ糖
と、キトサン、キトサンオリゴ糖及びそれらの塩から選
ばれた少なくとも一種とを組み合わせて用いることによ
り、キチンオリゴ糖の有するファイトアレキシン誘導活
性(エリシター活性)と、キトサン、キトサンオリゴ糖
及びそれらの塩から選ばれた少なくとも一種が有する植
物の病原菌に対する抗菌活性とが相乗的に作用して、優
れた耐病性付与効果と生長促進効果をもたらすことがで
きる。
【0013】また、キチンオリゴ糖、キトサン、キトサ
ンオリゴ糖及びそれらの塩は、いずれも自然界に多量に
存在する天然物であるキチンから得られるものであっ
て、植物や土壌に散布しても生分解を受けるため、長期
間残存するという問題がなく、環境にやさしく、安全性
が高い。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明において、キチンオリゴ
糖、キトサン、キトサンオリゴ糖及びそれらの塩は、カ
ニ、エビ等の甲殻類の殻等から常法によって調製される
キチンを、化学的又は酵素的に処理することにより得ら
れる。
【0015】すなわち、キチンオリゴ糖は、キチンを、
酸又は酵素によって部分加水分解することにより得られ
る。キチンオリゴ糖としては、N−アセチルキトビオー
ス、N−アセチルキトトリオース、N−アセチルキトテ
トラオース、N−アセチルキトペンタオース、N−アセ
チルキトヘキサオースから選ばれた1種又は2種以上の
混合物が好ましく用いられる。なお、キチンオリゴ糖又
はその混合物は、各社から市販されており、例えば「NA
-COS-Y」(商品名、焼津水産化学株式会社製)などを用
いることができる。
【0016】また、キトサンは、キチンを濃アルカリ中
で加熱処理して脱アセチル化することにより得られる。
なお、キトサンは、ケカビの一種であるムコル・ルキシ
ー(Mucor rouxii)などの接合菌類の細胞壁成分とし
て、天然にも存在するので、それを用いてもよい。
【0017】キトサンオリゴ糖は、キトサンを部分加水
分解することにより得られる。キトサンの部分加水分解
は、キトサンを、塩酸、酢酸、蟻酸等の酸とともに加熱
した後、酸を除去するか、又は、キトサンを中和脱塩し
た後、結晶化し、更に乾燥粉末化するか、あるいは、キ
トサンを希酸に溶解後、キトサナーゼ、D−グルコサミ
ニダーゼ等のキトサン分解酵素を作用させる等の方法に
よって行うことができる。これらの方法によって得られ
るキトサンオリゴ糖は、通常、キトビオース、キトトリ
オース、キトテトラオース、キトペンタオース、キトヘ
キサオース、キトヘプタオース、キトオクタオースなど
の混合物である。本発明においては、キトサンオリゴ糖
の混合物の状態で使用することが可能であるが、カラム
クロマトグラフィーや、溶剤分画法等の方法によって、
所望の重合度のものに分画、精製して用いてもよい。な
お、キトサンオリゴ糖又はその混合物も各社から市販さ
れており、例えば「COS-Y 」(商品名、焼津水産化学株
式会社製)などを用いることができる。
【0018】また、本発明において、キトサン又はキト
サンオリゴ糖の塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩等の
無機塩や、酢酸塩、乳酸塩、蟻酸塩等の有機酸塩等が好
ましく用いられる。
【0019】本発明の植物活力剤において、キチンオリ
ゴ糖と、キトサン、キトサンオリゴ糖及びそれらの塩か
ら選ばれた少なくとも一種との配合比は、重量比で1:
1〜50であることが好ましい。キチンオリゴ糖と、キト
サン、キトサンオリゴ糖及びそれらの塩から選ばれた少
なくとも一種との配合比が、上記の範囲から外れると、
いずれか一方を単独で用いたのと効果上変わらなくな
り、上記2種類の成分による相乗効果を十分に得ること
ができない。
【0020】本発明の植物活力剤は、粉状、顆粒状、液
状等のいずれでの形態で製品化してもよい。また、散布
に際しては、上記製品を直接散布しても、あるいは水等
で適当な濃度になるように希釈して散布してもよい。水
に希釈する場合、キチンオリゴ糖0.0001〜0.1 %、キト
サン、キトサンオリゴ糖及びその塩0.01〜1%となるよ
うに希釈して用いることが好ましい。更に、散布方法も
特に限定されず、例えば、植物の葉、茎等に直接散布す
る方法、植物を栽培する培養基や土壌中に散布する方
法、肥料等に配合して培養基や土壌中に散布する方法等
のいずれであってもよい。なお、肥料中に配合する場
合、肥料としては、窒素、燐酸、カリウムを含有する化
学肥料、油カス、魚カス、骨粉、海藻粉末、アミノ酸、
糖類、ビタミン類などの有機質肥料等、その種類は限定
されない。
【0021】また、本発明の植物活力剤の製剤化に際し
ては、デキストリン等の通常用いられる賦形剤を用いて
もよいが、モンモリロナイト、バーミュキュライト等の
粘土鉱物や、ゼオライト、ケイソウ土、活性炭、木炭等
の徐放化剤(有効成分を保持して長期間に亙って徐々に
放出させるもの)としての作用を有するものを用いるこ
とがより好ましい。これらを用いる場合には、モンモリ
ロナイト、バーミュキュライト、ゼオライト、ケイソウ
土、活性炭、木炭から選ばれた少なくとも一種100 重量
部に対して、キチンオリゴ糖0.01〜1重量部、キトサ
ン、キトサンオリゴ糖及びそれらの塩から選ばれた少な
くとも一種0.1 〜10重量部となるように配合することが
好ましい。
【0022】なお、本発明の植物活力剤には、必要に応
じて、ソルビン酸カリウム等の防腐剤、色素等を配合し
てもよい。
【0023】
【実施例】以下の実施例において、キチンオリゴ糖とし
ては、下記表1に示す組成のキチンオリゴ糖混合物であ
る「NA-COS-Y」(商品名、焼津水産化学株式会社製)を
用いた。また、キトサンオリゴ糖酢酸塩、キトサンオリ
ゴ糖乳酸塩としては、キトサナーゼを用いて酵素法によ
り調製された、下記表2に示す組成のキトサンオリゴ糖
混合物である「COS-Y 」(商品名、焼津水産化学株式会
社製)を、それぞれ酢酸塩、乳酸塩にしたものを用い
た。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】実施例1 キチンオリゴ糖「NA-COS-Y」100 gと、キトサンオリゴ
糖「COS-Y 」の酢酸塩100 gとに、デキストリン800 g
を加えて十分混合し、流動造粒機を用いて造粒して、顆
粒状の植物活力剤980 gを得た。
【0027】比較例1 実施例1において、キチンオリゴ糖「NA-COS-Y」100 g
を配合せず、キトサンオリゴ糖「COS-Y 」の酢酸塩と、
デキストリンとだけを混合し、あとは実施例1と同様に
して顆粒剤を得た。
【0028】実施例2 キチンオリゴ糖「NA-COS-Y」10gと、キトサン100 gと
に、モンモリロナイトナトリウム10kgを混合し、湿式加
圧造粒して、粒状の植物活性剤10kgを得た。
【0029】比較例2 実施例2において、キチンオリゴ糖「NA-COS-Y」を配合
せず、キトサンと、モンモリロナイトナトリウムとだけ
を混合し、あとは実施例2と同様にして粒剤を得た。
【0030】比較例3 実施例2において、キトサンを配合せず、キチンオリゴ
糖「NA-COS-Y」と、モンモリロナイトナトリウムとだけ
を混合し、あとは実施例2と同様にして粒剤を得た。
【0031】実施例3 キチンオリゴ糖「NA-COS-Y」0.1 gと、キトサンオリゴ
糖「COS-Y 」の乳酸塩1gと、防腐剤としてソルビン酸
カリウム0.5 gと、色素黄色0.01gとを、水10L(リッ
トル、以下同様)に溶解させて、液状の植物活力剤10L
を得た。
【0032】試験例1 実施例1で得られた顆粒状の植物活力剤を、1重量%、
0.1 重量%、0.01重量%、0.001 重量%、0.0001重量
%、0.00001 重量%の濃度となるように水道水に溶解し
て試験液を調製した。また、比較のため、グルコースを
それぞれ同濃度で溶解させた液も調製した。
【0033】カイワレ大根の種25粒ずつを、13個の脱脂
綿を敷いたプラスチック製シャーレ上にそれぞれ播種
し、1個のシャーレには、対照として水道水を、他の6
個のシャーレには植物活力剤を各濃度で溶解させた試験
液を、残りの6個のシャーレには、グルコースを各濃度
で溶解した液を、各40mlずつ注入した。
【0034】それぞれのシャーレを、25±2℃で、暗所
に5日間、明所に2日間置いて、カイワレ大根を栽培し
た。なお、栽培3日目に、各液を20mlずつ補給した。
【0035】それぞれのシャーレから、カイワレ大根を
収穫し、茎葉長を測定し、その平均値を求めた。その結
果を、水道水のみで栽培した対照のカイワレ大根の茎葉
長を100 とした値に換算し、表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】表3の結果から、植物活力剤を溶解させた
液を用いてカイワレ大根を栽培したものは、0.01〜0.00
01重量%の濃度において、水道水を用いて栽培したも
の、及びグルコースを用いて栽培したものより、よく生
長していることがわかる。
【0038】試験例2 市販のたい肥を30重量%含有する培養土5Lに、N:
P:Kが4:3:2である化成肥料を5g混合した後、
実施例2で得られた粒状の植物活力剤、比較例2で得ら
れた粒剤、及び比較例3で得られた粒剤を、それぞれ0.
2 重量%、0.1 重量%、0.02重量%混合して、二十日大
根栽培用の土を得た。なお、対照として、同様の培養土
に、上記と同様の化成肥料だけを混合した土を調製し
た。
【0039】それぞれの土を、栽培用ポットである、外
径24cm、高さ22cm、内容積5.4 Lの8号菊鉢に入れ、二
十日大根の種を8粒ずつ播種し、平成7年7月1日から
7月29日の間、屋外で栽培した。なお、雨天時以外は、
1日1回散水し、追肥や農薬の散布は行わなかった。
【0040】収穫後、風乾し、地上部(茎葉)と地下部
(根)とに分けて、それぞれの重量を測定し、平均値を
求めた。それらの結果を表4に示す。なお、表4におい
て、実施例2で得られた粒状の植物活力剤を配合した土
を用いて栽培したものを実施例2、比較例2で得られた
粒剤を配合した土を用いて栽培したものを比較例2、比
較例3で得られた粒剤を配合した土を用いて栽培したも
のを比較例3と表す。これは以下の表5、6においても
同様である。
【0041】
【表4】
【0042】表4の結果から、実施例2の粒状の植物活
力剤、比較例2の粒剤、比較例3の粒剤を配合した土で
栽培した二十日大根は、比較例2の粒剤を濃度0.2 重量
%、0.1 重量%で配合した土を用いて栽培した根部、比
較例3の粒剤を濃度0.2 重量%、0.1 重量%で配合した
土を用いて栽培した根部、比較例3の粒剤を濃度0.2重
量%で配合した土を用いて栽培した茎葉部以外は、いず
れも対照より大きく生長しているが、キチンオリゴ糖と
キトサンとを併用した実施例2の粒状の植物活力剤を配
合した土で栽培したものは、キトサンのみを含む比較例
2の粒剤、キチンオリゴ糖のみを含む比較例3の粒剤を
配合した土を用いて栽培したものより、茎葉部も、根部
も明らかに生長がよいことがわかる。
【0043】試験例3 育苗用ポットで、キュウリの種を発芽させ、双葉段階
で、実施例1で得られた顆粒状の植物活力剤を、水に0.
1 重量%、0.01重量%濃度で溶解させた液を散布して育
苗し、キュウリ苗を得た。
【0044】肥料成分として、N:P:Kが4:3:2
である化成肥料と、牛フンたい肥とを適当量施した土壌
に、実施例1で得られたキチンオリゴ糖とキトサンオリ
ゴ糖酢酸塩とを併用した顆粒状の植物活力剤、比較例1
で得られたキトサンオリゴ糖酢酸塩のみを含む顆粒剤
を、それぞれ土壌に対して0.1 重量%、0.01重量%とな
るように鋤込みながら、温室内に畝を造成した。また、
対照として、植物活力剤も顆粒剤も鋤込まない畝を造成
した。
【0045】次いで、それぞれの畝に、上記キュウリ苗
のうち平均長7cmのものを各3本ずつ植え込んで、平成
6年3月10日から5月25日まで栽培を行った。原則とし
て水やりは1日1回とし、期間中に2回液肥による追肥
を行った。また、一般管理作業は通常通り行ったが、農
薬による病害虫防除は行わなかった。
【0046】キュウリの収穫を、4月26日から5月25日
の1カ月間に、都合3回行った。収穫したキュウリの本
数、重量を測定し、個体当たりの平均重量を算出した。
また、栽培期間中の病気の発生、害虫による被害状況な
どを観察した。これらの結果を表5に示す。
【0047】
【表5】
【0048】表5の結果から、実施例1で得られた顆粒
状の植物活力剤を散布した土壌及び比較例1で得た顆粒
剤を散布した土壌で栽培したキュウリは、対照の土壌で
栽培したキュウリより、総重量が重く、平均個体重量も
重く、したがって、増収効果が認められるが、実施例1
で得られたキチンオリゴ糖とキトサンオリゴ糖酢酸塩と
を併用した顆粒状の植物活力剤を散布した土壌で栽培し
たもののほうが、比較例1で得られたキトサンオリゴ糖
酢酸塩のみを含む顆粒剤を散布した土壌で栽培したもの
より、収穫本数、総重量、平均個体重量ともに明らかに
優れていることがわかる。また、うどんこ病の発生、葉
ダニ及びアブラムシによる被害とも、実施例1で得られ
た顆粒状の植物活力剤を散布した土壌で栽培した場合の
ほうが、対照の土壌及び比較例1で得られた顆粒剤を散
布した土壌で栽培した場合より少なかった。
【0049】試験例4 鳥取県の二十世紀梨園3箇所(第1〜3試験区とする)
において、それぞれの梨園の1/3には実施例1で得ら
れた顆粒状の植物活力剤を0.05重量%濃度に水で希釈し
た液を、1/3に比較例1で得られた顆粒剤を0.05重量
%濃度に水で希釈した液を、残りの1/3には無添加の
水(対照)を、20日おきに散布して梨の栽培を行った。
試験期間は平成7年4月15日から9月4日とし、それぞ
れ任意の1000個の果実に、着色によりマークした袋を掛
け、主として黒斑病の発病により腐敗、落下した果実の
個数を測定した。なお、施肥、薬剤防除、摘果、袋掛け
等の管理作業は、全く同様の条件下に行った。それぞれ
の試験区の発病落下個数を表6に示す。
【0050】
【表6】
【0051】表6の結果から、実施例1で得られた顆粒
状の植物活力剤、比較例1で得られた顆粒剤ともに梨の
黒斑病による落下を抑制する効果が認められるが、実施
例1で得られたキチンオリゴ糖とキトサンオリゴ糖酢酸
塩とを併用した植物活力剤のほうが、比較例1で得られ
たキトサンオリゴ糖酢酸塩のみを含む顆粒剤より黒斑病
による落下を軽減する効果が顕著であることがわかる。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
キチンオリゴ糖と、キトサン、キトサンオリゴ糖及びそ
れらの塩から選ばれた少なくとも一種とを併用すること
により、キチンオリゴ糖の有するファイトアレキシン誘
導活性(エリシター活性)と、キトサン、キトサンオリ
ゴ糖及びそれらの塩から選ばれた少なくとも一種が有す
る植物の病原菌に対する抗菌活性とが相乗的に作用し
て、それらを単独に用いた場合より、顕著に優れた耐病
性付与効果と生長促進効果とが得られることがわかる。
また、本発明の植物活力剤に配合する成分は、天然物で
あって、植物や土壌に散布しても生分解を受けるので、
長期間残存するという問題がなく、環境にやさしく、安
全性も高い。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キチンオリゴ糖と、キトサン、キトサン
    オリゴ糖及びそれらの塩から選ばれた少なくとも一種と
    を含有することを特徴とする植物活力剤。
  2. 【請求項2】 前記キチンオリゴ糖と、前記キトサン、
    キトサンオリゴ糖及びそれらの塩から選ばれた少なくと
    も一種との配合比が、重量比で1:1〜50である請求項
    1記載の植物活力剤。
  3. 【請求項3】 キチンオリゴ糖と、キトサン、キトサン
    オリゴ糖及びそれらの塩から選ばれた少なくとも一種
    と、モンモリロナイト、バーミュキュライト、ゼオライ
    ト、ケイソウ土、活性炭、木炭から選ばれた少なくとも
    一種とを含有する請求項1又は2記載の植物活力剤。
  4. 【請求項4】 モンモリロナイト、バーミュキュライ
    ト、ゼオライト、ケイソウ土、活性炭、木炭から選ばれ
    た少なくとも一種100 重量部に対して、キチンオリゴ糖
    0.01〜1重量部、キトサン、キトサンオリゴ糖及びそれ
    らの塩から選ばれた少なくとも一種0.1 〜10重量部含有
    する請求項3記載の植物活力剤。
JP32507495A 1995-11-20 1995-11-20 植物活力剤 Expired - Fee Related JP3725923B2 (ja)

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