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JPH08259502A - 2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エステルの製造方法 - Google Patents

2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エステルの製造方法

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Publication number
JPH08259502A
JPH08259502A JP9300995A JP9300995A JPH08259502A JP H08259502 A JPH08259502 A JP H08259502A JP 9300995 A JP9300995 A JP 9300995A JP 9300995 A JP9300995 A JP 9300995A JP H08259502 A JPH08259502 A JP H08259502A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
trifluoromethyl
reaction
tetrafluoro
alcohol
halide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9300995A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroichi Aoyama
博一 青山
Akinori Yamamoto
明典 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Priority to JP9300995A priority Critical patent/JPH08259502A/ja
Publication of JPH08259502A publication Critical patent/JPH08259502A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 アルカリ金属のハロゲン化塩の存在下、或い
は無水ハロゲン化水素又はハロゲン化水素水溶液の存在
下に2−トリフルオロメチル−1,3,3,3−テトラ
フルオロ−1−アルコキシプロペンとアルコールとを反
応させて2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフ
ルオロプロピオン酸エステルを得る製造方法。 【効果】 容易に入手できる2−トリフルオロメチル−
1,3,3,3−テトラフルオロ−1−アルコキシプロ
ペンを原料とし、高収率にて2−トリフルオロメチル−
3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エステルを製造
でき、更には、腐食性の強いHFの発生をなくすことが
できる場合がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、含フッ素化合物(例え
ば冷媒、発泡剤、洗浄剤として使用されているCFCや
HCFCの代替化合物となりえる有用な化合物である
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン)を製造
する際の中間体として有用な2−トリフルオロメチル−
3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エステルの製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】2−トリフルオロメチル−3,3,3−
トリフルオロプロピオン酸エステルの製造方法として
は、2−トリフルオロメチル−1,3,3,3−テトラ
フルオロ−1−メトキシプロペン(ヘプタフルオロイソ
ブテニルメチルエーテル)をアルコールと反応させて得
る方法が知られている(特公平3−7651号)。
【0003】しかし、この公知の方法においては、反応
を完結させるためには長時間の反応時間が必要となるこ
と、また、副生成物として腐食性の強いHFが生成する
ため、反応器材質が限られ、更に、反応終了後にHFを
除害するための操作及び装置が必要となる。
【0004】また、2−トリフルオロメチル−3,3,
3−トリフルオロプロピオン酸エステルの他の製造方法
としては、2−トリフルオロメチル−1,1,3,3,
3−ペンタフルオロ−1−メトキシプロパン(オクタフ
ルオロイソブチルメチルエーテル)を濃硫酸と反応させ
て得る方法が知られている(Syntheses of Fluoroorgan
ic Compounds, Knunyants I. L., Yakobuson G. G., Sp
ringer-Verlag, 1985,65ページ)。
【0005】しかし、この公知の方法においても、濃硫
酸を使用することにより装置が腐食し、また、副生成物
として同じく腐食性の強いフルオロ硫酸が生成するた
め、反応器材質が限られ、更に、反応終了後、目的の生
成物を分離する際の分離操作が困難であるといった問題
を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、工業
的に効率良く経済的に、しかも、副生成物としてHFが
生成しない2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリ
フルオロプロピオン酸エステルの製造方法を提供するこ
とにある。
【0007】本発明の他の目的は、工業的に効率良く経
済的に、しかも、反応後の分離操作が容易な2−トリフ
ルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピオン酸
エステルの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、副生成物と
してHFが生成しない2−トリフルオロメチル−3,
3,3−トリフルオロプロピオン酸エステルの製造方法
について鋭意検討した結果、メタノール等のアルコール
と2−トリフルオロメチル−1,3,3,3−テトラフ
ルオロ−1−メトキシプロペン(ヘプタフルオロイソブ
テニルメチルエーテル)とをNaCl等のナトリウムの
ハロゲン化物又はCaCl2 等のカルシウムのハロゲン
化物の存在下に反応させることにより、有害なHFの副
生なしに2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフ
ルオロプロピオン酸エステルを効率良く経済的に製造で
きることを見出し、本発明(第1の発明)を完成させ
た。
【0009】即ち、第1の発明は、ナトリウム、カルシ
ウム等の金属のハロゲン化塩の存在下に2−トリフルオ
ロメチル−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−メト
キシプロペン等の2−トリフルオロメチル−1,3,
3,3−テトラフルオロ−1−アルコキシプロペンとメ
タノール等のアルコールとを反応させて2−トリフルオ
ロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エス
テルを得る、2−トリフルオロメチル−3,3,3−ト
リフルオロプロピオン酸エステルの製造方法に係るもの
である。
【0010】第1の発明において、例えば、2−トリフ
ルオロメチル−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−
アルコキシプロペンとして(CF3 2 C=CFOM
e、ナトリウムのハロゲン化塩としてNaCl、アルコ
ールとしてメタノールを用いた場合には、反応中にメチ
ルクロライドやNaFが生成してくることから、反応は
次のように進行するものと考えられる。
【0011】 (CF3 2 C=CFOMe + NaCl → (CF3 2 C=CFONa + MeCl (CF3 2 C=CFONa + MeOH → (CF3 2 C=CFOH +MeONa (CF3 2 C=CFOH → (CF3 2 CHCOF (CF3 2 CHCOF + MeONa → (CF3 2 CHCOOMe + NaF
【0012】従って、全体の反応としては、 (CF3 2 C=CFOMe + NaCl + MeOH → (CF3 2 CHCOOMe + NaF + MeCl となることが分かった。
【0013】第1の発明において、使用可能なナトリウ
ム、カルシウムのハロゲン化塩としては、NaCl、N
aBr、NaI、CaCl2 、CaBr2 等が挙げら
れ、特に好ましいものは、Cl塩(NaCl、CaCl
2 )である。
【0014】カリウムやリチウム等の金属のハロゲン化
塩も使用できる。但し、これらを用いると、反応により
KFやLiF等のフッ化物が生成し、これらのフッ化物
は溶媒に対する溶解度が高いことに由来する複雑な反応
生成物を与えるが、ナトリウム、カルシウムのハロゲン
化塩を用いると、生成するNaF、CaF2 は溶媒に対
する溶解度が非常に低いため、副反応生成物がほとんど
生成しない。従って、ナトリウム、カルシウムのハロゲ
ン化塩を使用することが望ましい。
【0015】この場合、ナトリウム、カルシウムのハロ
ゲン化塩の使用量は特に限定されないが、通常は、反応
させようとする2−トリフルオロメチル−1,3,3,
3−テトラフルオロ−1−アルコキシプロペンに対して
1当量以上(少なくとも1当量)用いればよく、経済性
の面から1〜3当量の範囲で採用できる。
【0016】第1の発明では、上記の2−トリフルオロ
メチル−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−アルコ
キシプロペン中のアルコキシ基として、メトキシ基、エ
トキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ
基、イソブトキシ基等の如き炭素数1〜10のアルコキシ
基が採用可能であるが、入手性等からメトキシ基(即
ち、2−トリフルオロメチル−1,3,3,3−テトラ
フルオロ−1−メトキシプロペン)を採用することが望
ましい。
【0017】従って、第1の発明で得られる2−トリフ
ルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピオン酸
のエステルとしては、メチルエステル、エチルエステ
ル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチル
エステル、イソブチルエステル等の如き炭素数1〜10の
アルコールとのエステル等が挙げられ、特にメチルエス
テルが好ましい。
【0018】第1の発明に使用可能なアルコールとして
は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロ
パノール、ブタノール等を用いることが可能である。
【0019】通常、このアルコールは、反応させようと
する2−トリフルオロメチル−1,3,3,3−テトラ
フルオロ−1−アルコキシプロペンに対して1当量以上
用いればよく、過剰に用いた場合やアルコールそのもの
を溶媒として用いた場合でも、通常知られている蒸留等
の操作により容易に分離回収、再使用できるため、使用
量の上限は限定されない。
【0020】第1の発明の反応は溶媒を用いても可能で
ある。使用してよい溶媒としては、N,N−ジメチルホ
ルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチ
ルピロリドン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等
のアミド類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のス
ルホキシド類;エチレングリコールジメチルエーテル、
ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレン
グリコールジメチルエーテル等のグライム類;酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチ
ルケトン等のケトン類;アセトニトリル、ベンゾニトリ
ル等のニトリル類;等の非プロトン性溶媒が挙げられる
が、原料である上記アルコールを溶媒として用いる方
が、分離精製の面から有利である。
【0021】反応温度は、使用する溶媒等により変化す
るが、通常40〜120 ℃、好ましくは、50〜100 ℃の範囲
である。
【0022】反応は、大気圧以上にて実施可能であり、
通常は、大気圧下で反応させ、生成してくるハロゲン化
メチル等のハロゲン化アルキルを除去しながら行うが、
必要に応じて、オートクレーブ等の加圧容器を用いて、
大気圧以上の圧力で反応させることもできる。
【0023】反応終了後は、反応液から目的の2−トリ
フルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピオン
酸エステルを分離する際、生成したNaFを濾過等の方
法により分離後、精留等の操作により目的物の分離精製
が可能である。
【0024】第1の発明の原料として好適な2−トリフ
ルオロメチル−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−
メトキシプロペンは、オクタフルオロイソブテンのメタ
ノール付加体である2−トリフルオロメチル−1,1,
3,3,3−ペンタフルオロ−1−メトキシプロパンか
ら脱HFすることにより容易に得ることができる。
【0025】本発明者はまた、2−トリフルオロメチル
−3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エステルの製
造方法について鋭意検討した結果、メタノール等のアル
コールと2−トリフルオロメチル−1,3,3,3−テ
トラフルオロ−1−メトキシプロペン(ヘプタフルオロ
イソブテニルメチルエーテル)とを無水塩化水素又は塩
化水素水溶液の存在下に反応させることにより、2−ト
リフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピオ
ン酸エステルを効率良く経済的に製造できることも見出
し、本発明(第2の発明)を完成させた。
【0026】即ち、第2の発明は、無水塩化水素等の無
水ハロゲン化水素又は塩化水素等のハロゲン化水素水溶
液の存在下に2−トリフルオロメチル−1,3,3,3
−テトラフルオロ−1−メトキシプロペン等の2−トリ
フルオロメチル−1,3,3,3−テトラフルオロ−1
−アルコキシプロペンとアルコールとを反応させて2−
トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピ
オン酸エステルを得る、2−トリフルオロメチル−3,
3,3−トリフルオロプロピオン酸エステルの製造方法
に係るものである。
【0027】第2の発明において、例えば、2−トリフ
ルオロメチル−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−
アルコキシプロペンとして(CF3 2 C=CFOM
e、ハロゲン化水素としてHCl、アルコールとしてメ
タノールを用いた場合には、反応中にメチルクロライド
が生成してくることから、反応は次のように進行するも
のと考えられる。
【0028】 (CF3 2 C=CFOMe + HCl → (CF3 2 C=CFOH + MeCl (CF3 2 C=CFOH → (CF3 2 CHCOF (CF3 2 CHCOF + MeOH → (CF3 2 CHCOOMe + HF
【0029】従って、全体の反応としては、 (CF3 2 C=CFOMe + HCl + MeOH → (CF3 2 CHCOOMe + HF + MeCl となることが分かった。
【0030】第2の発明において使用可能な無水塩化水
素は、市販されているガスの状態で使用することができ
る。また、塩化水素水溶液は通常は塩酸として知られて
いるものを用いることができ、水溶液中の塩化水素の濃
度は特に限定されないが、濃硫酸として知られている36
%塩酸をそのまま用いることができる。また、必要に応
じて希釈してもよい。
【0031】無水塩化水素を用いた場合には、水との反
応により副生する2−トリフルオロメチル−3,3,3
−トリフルオロプロピオン酸の生成はないが、2−トリ
フルオロメチル−1,3,3,3−テトラフルオロ−1
−メトキシプロペンとHFが反応して2−トリフルオロ
メチル−1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−1−メ
トキシプロパンが生成する。また、濃塩酸を用いた場合
には、2−トリフルオロメチル−1,1,3,3,3−
ペンタフルオロ−1−メトキシプロパンの副生は少ない
が、水との反応により副生する2−トリフルオロメチル
−3,3,3−トリフルオロプロピオン酸の副生が認め
られる。
【0032】上記の無水塩化水素又は塩化水素水溶液を
形成する塩化水素に代えて、ヨウ化水素等の他のハロゲ
ン化水素を使用してもよい。
【0033】無水ハロゲン化水素又はハロゲン化水素水
溶液のハロゲン化水素の使用量は特に限定されないが、
通常は、反応させようとする2−トリフルオロメチル−
1,3,3,3−テトラフルオロ−1−アルコキシプロ
ペンに対して1当量以上(少なくとも1当量)用いれば
よく、経済性の面から1〜3当量の範囲で採用できる。
【0034】第2の発明では、上記の2−トリフルオロ
メチル−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−アルコ
キシプロペン中のアルコキシ基として、メトキシ基、エ
トキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ
基、イソブトキシ基等の如き炭素数1〜10のアルコキシ
基が採用可能であるが、入手性等からメトキシ基(即
ち、2−トリフルオロメチル−1,3,3,3−テトラ
フルオロ−1−メトキシプロペン)を採用することが望
ましい。
【0035】従って、第2の発明で得られる2−トリフ
ルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピオン酸
のエステルとしては、メチルエステル、エチルエステ
ル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチル
エステル、イソブチルエステル等の如き炭素数1〜10の
アルコールとのエステル等が挙げられ、特にメチルエス
テルが好ましい。
【0036】第2の発明で使用可能なアルコールとして
は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロ
パノール、ブタノール等を用いることが可能である。
【0037】通常、このアルコールは、反応させようと
する2−トリフルオロメチル−1,3,3,3−テトラ
フルオロ−1−アルコキシプロペンに対して1当量以上
用いればよく、過剰に用いた場合やアルコールそのもの
を溶媒として用いた場合でも、通常知られている蒸留等
の操作により容易に分離回収、再使用されるため、使用
量の上限は限定されない。
【0038】第2の発明の反応は溶媒を用いても可能で
ある。使用してよい溶媒としては、N,N−ジメチルホ
ルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチ
ルピロリドン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等
のアミド類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のス
ルホキシド類;エチレングリコールジメチルエーテル、
ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレン
グリコールジメチルエーテル等のグライム類;酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトン、メチルエチ
ルケトン等のケトン類;アセトニトリル、ベンゾニトリ
ル等のニトリル類;等の非プロトン性溶媒が挙げられる
が、原料であるアルコールを溶媒として用いる方が、分
離精製の面から有利である。
【0039】反応温度は、使用する溶媒等により変化す
るが、通常40〜120 ℃、好ましくは、50〜100 ℃の範囲
である。
【0040】反応は、大気圧以上にて実施可能であり、
塩化水素水溶液等のハロゲン化水素水溶液を用いる場合
には、通常は大気圧下で反応させ、生成してくるハロゲ
ン化メチル等のハロゲン化アルキルを除去しながら行う
が、必要に応じて、オートクレーブ等の加圧容器を用い
て、大気圧以上の圧力で反応させることもできる。無水
塩化水素等の無水ハロゲン化水素を用いる場合には、大
気圧下で無水塩化水素等の無水ハロゲン化水素を所定の
温度でアルコールと2−トリフルオロメチル−1,3,
3,3−テトラフルオロ−1−アルコキシプロペンとの
混合物に、ガスの状態でバブリングしていく反応方法
や、オートクレーブ等の加圧容器を用いて、大気圧以上
の圧力で反応させることができる。
【0041】反応終了後は、反応液から目的の2−トリ
フルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピオン
酸エステルを分離する際、水中での分離、精留等の操作
により目的物の分離精製が可能である。
【0042】第2の発明の原料として好適な2−トリフ
ルオロメチル−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−
メトキシプロペンは、オクタフルオロイソブテンのメタ
ノール付加体である2−トリフルオロメチル−1,1,
3,3,3−ペンタフルオロ−1−メトキシプロパンか
ら脱HFすることにより容易に得ることができる。
【0043】なお、上記の第1及び第2の発明で得られ
た2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロ
プロピオン酸エステル(ヘキサフルオロイソブタン酸エ
ステル)からは、例えば次式で示すように、中間体であ
る(或いは含フッ素ポリマーの合成単量体でもある)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロペンを経て有
用な1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパンを合
成することができる(ここでは、2−トリフルオロメチ
ル−3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチルとヨ
ウ化ナトリウムとの反応を例とする)。
【0044】 (CF3 2 CHCOOMe + NaI → (CF3 2 CHCOONa + MeI (CF3 2 CHCOONa → CF3 CH=CF2 + NaF + CO2 CF3 CH=CF2 +H2 → CF3 CH2 CF2
【0045】この反応において、2−トリフルオロメチ
ル−3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチルとヨ
ウ化ナトリウムとの反応により、2−トリフルオロメチ
ル−3,3,3−トリフルオロプロピオン酸ソーダとヨ
ウ化メチルが生成する。実際、この反応においてヨウ化
メチルの生成が確認されている。反応系内に生成した2
−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロ
ピオン酸ソーダ等のアルカリ金属塩は、通常のカルボン
酸の塩に比べて脱炭酸し易く、反応温度にて直ちに脱炭
酸し、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロペンを
与える。
【0046】上記の1,1,1,3,3−ペンタフルオ
ロプロペンを得る反応において、NaI以外にもNaC
l、LiF、KF等のアルカリ金属のハロゲン化塩が使
用可能である。また、反応は、上述した非プロトン性溶
媒、例えばN−メチルピロリドン等のアミド類を用い、
通常30〜180 ℃で行うことができる。
【0047】また、1,1,1,3,3−ペンタフルオ
ロプロペンから1,1,1,3,3−ペンタフルオロプ
ロパンを得る反応においては、パラジウム等の水素化触
媒を用い、通常−20〜300 ℃で少なくとも化学量論量の
水素により水素添加(還元反応)を行うことができる。
【0048】
【発明の作用効果】本発明は、アルカリ金属のハロゲン
化塩の存在下、或いは無水ハロゲン化水素又はハロゲン
化水素水溶液の存在下に2−トリフルオロメチル−1,
3,3,3−テトラフルオロ−1−アルコキシプロペン
とアルコールとを反応させて2−トリフルオロメチル−
3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エステルを得て
いるので、容易に入手できる2−トリフルオロメチル−
1,3,3,3−テトラフルオロ−1−アルコキシプロ
ペンを原料とし、高収率にて2−トリフルオロメチル−
3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エステルを製造
でき、更には、腐食性の強いHFの発生をなくすことが
できる場合がある。
【0049】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明する。
【0050】実施例1 リフラックスコンデンサーを備え付けた 100mlのガラス
製反応容器に、2−トリフルオロメチル−1,3,3,
3−テトラフルオロ−1−メトキシプロペン21.2g、塩
化ナトリウム 8.8g、メタノール 30gを仕込み、攪拌
しながら60〜65℃に加熱し、還流させた。
【0051】反応中には、ガスの発生が見られ、コンデ
ンサーの上部よりメチルクロライドがガスとして生成し
ていた。9時間反応後、室温まで冷却し、反応液をガス
クロマトグラフィにより分析したところ、原料の2−ト
リフルオロメチル−1,3,3,3−テトラフルオロ−
1−メトキシプロペンの転化率は98%であり、2−トリ
フルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピオン
酸メチルが97%の選択率で生成していた。
【0052】実施例2 実施例1において塩化ナトリウムを臭化ナトリウム 1
5.5gに替え、同様に反応を行った。原料の2−トリフ
ルオロメチル−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−
メトキシプロペンの転化率は99%であり、2−トリフル
オロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メ
チルが97%の選択率で生成していた。
【0053】実施例3 実施例1と同様の反応容器に、2−トリフルオロメチル
−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−メトキシプロ
ペン 21.2g、塩化ナトリウム 8.8g、メタノール 1
2.8g、溶媒としてエチレングリコールジメチルエーテ
ル 20mlを仕込み、攪拌しながら65〜68℃で8時間反応
させた。
【0054】同様に分析を行ったところ、原料の2−ト
リフルオロメチル−1,3,3,3−テトラフルオロ−
1−メトキシプロペンの転化率は99%であり、2−トリ
フルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピオン
酸メチルが96%の選択率で生成していた。
【0055】比較例1 コンデンサーを備えた 200mlのガラス製反応容器に、2
−トリフルオロメチル−1,3,3,3−テトラフルオ
ロ−1−メトキシプロペン 30.2g、メタノール 40g
を仕込み、10時間還流させた。
【0056】室温まで冷却し、反応液をガスクロマトグ
ラフィにより分析したところ、原料の2−トリフルオロ
メチル−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−メトキ
シプロペンの転化率は60%であり、2−トリフルオロメ
チル−3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチルが
97%の選択率で生成していた。
【0057】更に、15時間還流を続け、同様に分析した
ところ、原料の2−トリフルオロメチル−1,3,3,
3−テトラフルオロ−1−メトキシプロペンの転化率は
96%であり、2−トリフルオロメチル−3,3,3−ト
リフルオロプロピオン酸メチルが96%の選択率で生成し
ていた。
【0058】反応液を反応容器より取り出した後、反応
容器を点検したところ、ガラス容器の内側が発生したH
Fにより大きくエッチングされていた。
【0059】実施例4 リフラックスコンデンサーを備え付けた 100mlのガラス
製反応容器に、2−トリフルオロメチル−1,3,3,
3−テトラフルオロ−1−メトキシプロペン21.2g、濃
塩酸(36%)10ml、メタノール 25gを仕込み、攪拌し
ながら60〜65℃に加熱し、還流させた。
【0060】反応中には、ガスの発生が見られ、コンデ
ンサーの上部よりメチルクロライドがガスとして生成し
ていた。5時間反応後、室温まで冷却し、反応液を氷水
中へ注ぎ、有機物を分離した。
【0061】下層の有機層をガスクロマトグラフィによ
り分析したところ、原料の2−トリフルオロメチル−
1,3,3,3−テトラフルオロ−1−メトキシプロペ
ンの転化率は99.6%であり、2−トリフルオロメチル−
3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチルが93.6
%、2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオ
ロプロピオン酸が 3.6%の選択率でそれぞれ生成してい
た。
【0062】実施例5 リフラックスコンデンサーを備え付けた 100mlのガラス
製反応容器に、2−トリフルオロメチル−1,3,3,
3−テトラフルオロ−1−メトキシプロペン21.2g、濃
塩酸(36%)10ml、エタノール 30gを仕込み、攪拌し
ながら65〜69℃に加熱し、還流させた。
【0063】反応中には、ガスの発生が見られ、コンデ
ンサーの上部よりメチルクロライドがガスとして生成し
ていた。5時間反応後、室温まで冷却し、反応液を氷水
中へ注ぎ、有機物を分離した。
【0064】下層の有機層をガスクロマトグラフィによ
り分析したところ、原料の2−トリフルオロメチル−
1,3,3,3−テトラフルオロ−1−メトキシプロペ
ンの転化率は99.4%であり、2−トリフルオロメチル−
3,3,3−トリフルオロプロピオン酸エチルが91.4
%、2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオ
ロプロピオン酸が 6.8%の選択率でそれぞれ生成してい
た。
【0065】実施例6 ハステロイ製 200mlのオートクレーブに、2−トリフル
オロメチル−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−メ
トキシプロペン 21.2g、メタノール 12.8gを仕込ん
だ。内容物を−20℃まで冷却後、系内を真空にした後、
室温まで戻し、無水塩化水素ガスを攪拌しながらオート
クレーブに仕込んだ。
【0066】この時、発熱し、内温は40℃まで上昇し
た。40℃の温度で1Kg/cm2Gになるまで、無水塩化水素
ガスを仕込んだ。その後、攪拌しながら60〜63℃で6時
間反応させた。反応に従い、圧力が 3.5Kg/cm2Gまで上
昇した。
【0067】室温まで冷却後、生成した塩化メチルを系
外へ抜き出し、大気圧に戻った後に、反応液を氷水中へ
注ぎ、有機物を分離した。
【0068】下層の有機層をガスクロマトグラフィによ
り分析したところ、原料の2−トリフルオロメチル−
1,3,3,3−テトラフルオロ−1−メトキシプロペ
ンの転化率は99.8%であり、2−トリフルオロメチル−
3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチルが94.8
%、2−トリフルオロメチル−1,1,3,3,3−ペ
ンタフルオロ−1−メトキシプロパンが 3.8%の選択率
でそれぞれ生成していた。
【0069】実施例7 実施例1において塩化ナトリウムを塩化カルシウム16.7
gに替え、同様に反応を行った。4時間反応後、原料の
2−トリフルオロメチル−1,3,3,3−テトラフル
オロ−1−メトキシプロペンの転化率は99%であり、2
−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロ
ピオン酸メチルが97%の選択率で生成していた。
【0070】参考例1 滴下ロートを取り付けた 100mlの四口フラスコ内でN−
メチルピロリドン 50mlに 7.5g(0.05モル)のヨウ化
ナトリウムを溶かして、 110℃に加熱した。
【0071】その温度を保ちながら、滴下ロートより、
実施例1で得た2−トリフルオロメチル−3,3,3−
トリフルオロプロピオン酸メチル(ヘキサフルオロイソ
酪酸メチル)10.5g(0.05モル)を1時間かけて滴下し
た。反応中に発生する低沸点のガスはフラスコ上部から
抜き出し、ドライアイス−アセトンで冷却した受器で補
集した。
【0072】捕集されたガスは10.2gであり、目的とす
る5FH(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロペ
ン)と236fa(1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロプロパン)とヨウ化メチルとの混合物であった。
それぞれの混合比をガスクロマトグラフィで分析する
と、5FH:236fa:ヨウ化メチルの重量比が52.
4: 3.7:43.9であり、5FHの収率は81%であった。
【0073】参考例2 内径7mm、長さ 150mmのSUS316製反応管に、活性
炭に 0.5重量%濃度で担持されたパラジウム触媒 2.3cc
を充填し、窒素ガスを流しながら、電気炉にて100℃に
加熱し、所定の温度に達した後、参考例1で得られた後
に精留(15段オールダーショウ型精留塔を使用)によっ
て分離された1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロ
ペンを 5.5cc/分、水素を14.5cc/分の割合で導入し
た。反応温度は 100℃を保った。
【0074】生成ガスは、水洗後、ガスクロマトグラフ
ィにより分析を行った。1,1,1,3,3−ペンタフ
ルオロプロペンの転化率はほぼ 100%であり、1,1,
1,3,3−ペンタフルオロプロパンの選択率は99.5%
であった。
【0075】比較例2 500ml のガラス製反応器に2−トリフルオロメチル−
1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−1−メトキシプ
ロパン 121gと濃硫酸 125mlを仕込み、攪拌しながら還
流するまで加熱した。反応温度75℃から還流が始まり、
反応の進行に伴い、還流する反応温度は95℃となった。
この時には反応混合物は均一溶液となった。反応時間は
約 1.5時間であった。
【0076】反応混合物を 200gの氷が入ったポリエチ
レン製容器に注ぎ、更に1時間攪拌を続けた。分離して
きた有機物層(下層)を分液し、更に水洗した後、無水
硫酸マグネシウムで乾燥させた。2−トリフルオロメチ
ル−3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチルが86
%の収率で得られた。反応に使用したガラス製反応器を
観察したところ、表面がエッチングされていた。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属のハロゲン化塩の存在下に2−トリ
    フルオロメチル−1,3,3,3−テトラフルオロ−1
    −アルコキシプロペンとアルコールとを反応させて2−
    トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピ
    オン酸エステルを得る、2−トリフルオロメチル−3,
    3,3−トリフルオロプロピオン酸エステルの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 金属のハロゲン化塩としてナトリウム又
    はカルシウムのハロゲン化塩を使用し、2−トリフルオ
    ロメチル−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−アル
    コキシプロペンとして2−トリフルオロメチル−1,
    3,3,3−テトラフルオロ−1−メトキシプロペンを
    使用する、請求項1に記載した方法。
  3. 【請求項3】 金属のハロゲン化塩及びアルコールをそ
    れぞれ、2−トリフルオロメチル−1,3,3,3−テ
    トラフルオロ−1−アルコキシプロペンに対して少なく
    とも1当量使用する、請求項1に記載した方法。
  4. 【請求項4】 溶媒中で反応を行う、請求項1に記載し
    た方法。
  5. 【請求項5】 溶媒として、請求項1に記載したアルコ
    ールを使用する、請求項4に記載した方法。
  6. 【請求項6】 反応を40〜120 ℃の温度範囲で行う、請
    求項1に記載した方法。
  7. 【請求項7】 大気圧下で反応させる場合には、生成す
    るハロゲン化アルキルを除去しながら反応を行う、請求
    項1に記載した方法。
  8. 【請求項8】 無水ハロゲン化水素又はハロゲン化水素
    水溶液の存在下に2−トリフルオロメチル−1,3,
    3,3−テトラフルオロ−1−アルコキシプロペンとア
    ルコールとを反応させて2−トリフルオロメチル−3,
    3,3−トリフルオロプロピオン酸エステルを得る、2
    −トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロ
    ピオン酸エステルの製造方法。
  9. 【請求項9】 ハロゲン化水素として塩化水素を使用
    し、2−トリフルオロメチル−1,3,3,3−テトラ
    フルオロ−1−アルコキシプロペンとして2−トリフル
    オロメチル−1,3,3,3−テトラフルオロ−1−メ
    トキシプロペンを使用する、請求項8に記載した方法。
  10. 【請求項10】 ハロゲン化水素及びアルコールをそれぞ
    れ、2−トリフルオロメチル−1,3,3,3−テトラ
    フルオロ−1−アルコキシプロペンに対して少なくとも
    1当量使用する、請求項8に記載した方法。
  11. 【請求項11】 溶媒中で反応を行う、請求項8に記載し
    た方法。
  12. 【請求項12】 溶媒として、請求項1に記載したアルコ
    ールを使用する、請求項11に記載した方法。
  13. 【請求項13】 反応を40〜120 ℃の温度範囲で行う、請
    求項8に記載した方法。
  14. 【請求項14】 ハロゲン化水素水溶液を用いて大気圧下
    で反応させる場合には、生成するハロゲン化アルキルを
    除去しながら反応を行う、請求項8に記載した方法。
  15. 【請求項15】 無水ハロゲン化水素を用いる場合には、
    この無水ハロゲン化水素を大気圧下でバブリングする
    か、或いは大気圧以上の圧力にして反応を行う、請求項
    8に記載した方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5683974A (en) * 1996-06-20 1997-11-04 Alliedsignal Inc. Azeotrope-like compositions of 1,1,1,3,3-pentafluoropropane and C1 -C3 alcohols for cleaning
CN107151198A (zh) * 2017-03-28 2017-09-12 巨化集团技术中心 一种六氟异丁烯的制备方法
CN109593023A (zh) * 2018-12-10 2019-04-09 浙江巨化技术中心有限公司 一种1,1,3,3,3-五氟丙烯的制备方法
CN109651076A (zh) * 2018-12-10 2019-04-19 浙江巨化技术中心有限公司 一种1,1,1,3,3,3-六氟丙烷的制备方法

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