JPH08246111A - 耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Fe−Cu系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材 - Google Patents
耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Fe−Cu系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材Info
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- JPH08246111A JPH08246111A JP7826495A JP7826495A JPH08246111A JP H08246111 A JPH08246111 A JP H08246111A JP 7826495 A JP7826495 A JP 7826495A JP 7826495 A JP7826495 A JP 7826495A JP H08246111 A JPH08246111 A JP H08246111A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 特に高速で耐摩耗性を発揮する電気車の集電
用パンタグラフすり板材を提供する。 【構成】 集電用パンタグラフすり板材を、分散相とし
て、FeとWの金属間化合物:5〜15重量%と、Fe
とMoの金属間化合物およびFeとMoとSiとCrの
金属間化合物の1種または2種:3〜10重量%を含有
し、さらに必要に応じて、Cr:3〜7重量%を含有
し、素地形成成分としてCu:30〜50重量%を含有
し、さらに必要に応じて、Sn:2〜5重量%とP:
0.01〜0.5重量%を含有し、さらに加えてC:
0.01〜0.5重量%を含有し、残りがFeおよび不
可避不純物からなる組成を有する気孔率:5〜15%の
Fe−Cu系焼結合金に、ZnまたはZn合金を含浸し
てなる亜鉛含浸Fe−Cu系焼結合金で構成する。
用パンタグラフすり板材を提供する。 【構成】 集電用パンタグラフすり板材を、分散相とし
て、FeとWの金属間化合物:5〜15重量%と、Fe
とMoの金属間化合物およびFeとMoとSiとCrの
金属間化合物の1種または2種:3〜10重量%を含有
し、さらに必要に応じて、Cr:3〜7重量%を含有
し、素地形成成分としてCu:30〜50重量%を含有
し、さらに必要に応じて、Sn:2〜5重量%とP:
0.01〜0.5重量%を含有し、さらに加えてC:
0.01〜0.5重量%を含有し、残りがFeおよび不
可避不純物からなる組成を有する気孔率:5〜15%の
Fe−Cu系焼結合金に、ZnまたはZn合金を含浸し
てなる亜鉛含浸Fe−Cu系焼結合金で構成する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高速で走行する電気
車に用いた場合に特に優れた耐摩耗性を発揮する亜鉛含
浸Fe−Cu系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板
材に関するものである。
車に用いた場合に特に優れた耐摩耗性を発揮する亜鉛含
浸Fe−Cu系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板
材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電気車の集電用パンタグラフすり
板材として、例えば特開昭62−50445号公報に記
載されるように、分散相として、Mo:0.1〜8重量
%と、Fe−Mo合金:1〜15重量%を含有し、さら
に必要に応じて、Cr:1〜15重量%を含有し、素地
形成成分として、Cu:0.1〜5重量%、Ni:0.
1〜5重量%、C:0.02〜0.5重量%を含有し、
残りがFeおよび不可避不純物からなる組成、並びに5
〜15%の気孔率を有するFe基焼結合金に、Pbまた
はPb合金を含浸してなる鉛含浸Fe基焼結合金で構成
されたものなどが知られている。
板材として、例えば特開昭62−50445号公報に記
載されるように、分散相として、Mo:0.1〜8重量
%と、Fe−Mo合金:1〜15重量%を含有し、さら
に必要に応じて、Cr:1〜15重量%を含有し、素地
形成成分として、Cu:0.1〜5重量%、Ni:0.
1〜5重量%、C:0.02〜0.5重量%を含有し、
残りがFeおよび不可避不純物からなる組成、並びに5
〜15%の気孔率を有するFe基焼結合金に、Pbまた
はPb合金を含浸してなる鉛含浸Fe基焼結合金で構成
されたものなどが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年、電気車
の高速化はめざましく、これに伴ない、集電用パンタグ
ラフすり板材にも一層の耐摩耗性が要求されるが、上記
の従来鉛含浸Fe基焼結合金製の集電用パンタグラフす
り板材はじめ、多くのものは、実用に際して、電気車の
速度が250km/hを越えると、急速に摩耗が進行し、
比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
の高速化はめざましく、これに伴ない、集電用パンタグ
ラフすり板材にも一層の耐摩耗性が要求されるが、上記
の従来鉛含浸Fe基焼結合金製の集電用パンタグラフす
り板材はじめ、多くのものは、実用に際して、電気車の
速度が250km/hを越えると、急速に摩耗が進行し、
比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
【0004】
【課題を解決する手段】そこで、本発明者等は、電気車
の高速走行にも優れた耐摩耗性を発揮する集電用パンタ
グラフすり板材を開発すべく研究を行った結果、集電用
パンタグラフすり板材を、いずれも分散相として、Fe
とWの金属間化合物:5〜15重量%と、FeとMoの
金属間化合物およびFeとMoとSiとCrの金属間化
合物のうちの1種または2種:3〜10重量%を含有
し、さらに必要に応じてCr:3〜7重量%を含有し、
いずれも素地形成成分として、Cu:30〜50重量
%、を含有し、さらに必要に応じて、Sn:2〜5重量
%と、P:0.01〜0.5重量%、さらに加えてC:
0.01〜0.5重量%、を含有し、残りがFeおよび
不可避不純物からなる組成を有する気孔率:5〜15%
のFe−Cu系焼結合金に、ZnまたはZn合金を含浸
してなる亜鉛含浸Fe−Cu系焼結合金で構成すると、
この結果の集電用パンタグラフすり板材は、電気車の2
50km/h以上の高速走行においても一段と優れた耐摩
耗性を発揮するという研究結果を得たのである。
の高速走行にも優れた耐摩耗性を発揮する集電用パンタ
グラフすり板材を開発すべく研究を行った結果、集電用
パンタグラフすり板材を、いずれも分散相として、Fe
とWの金属間化合物:5〜15重量%と、FeとMoの
金属間化合物およびFeとMoとSiとCrの金属間化
合物のうちの1種または2種:3〜10重量%を含有
し、さらに必要に応じてCr:3〜7重量%を含有し、
いずれも素地形成成分として、Cu:30〜50重量
%、を含有し、さらに必要に応じて、Sn:2〜5重量
%と、P:0.01〜0.5重量%、さらに加えてC:
0.01〜0.5重量%、を含有し、残りがFeおよび
不可避不純物からなる組成を有する気孔率:5〜15%
のFe−Cu系焼結合金に、ZnまたはZn合金を含浸
してなる亜鉛含浸Fe−Cu系焼結合金で構成すると、
この結果の集電用パンタグラフすり板材は、電気車の2
50km/h以上の高速走行においても一段と優れた耐摩
耗性を発揮するという研究結果を得たのである。
【0005】この発明は、上記の研究結果に基づいてな
されたものであって、以下にパンタグラフすり板材を構
成するFe−Cu系焼結合金の成分組成および気孔率を
上記の通りに限定した理由を説明する。
されたものであって、以下にパンタグラフすり板材を構
成するFe−Cu系焼結合金の成分組成および気孔率を
上記の通りに限定した理由を説明する。
【0006】A.成分組成 (a) 金属間化合物 FeとWの金属間化合物はビッカース硬さ(Hv)で5
00〜800の高硬度を有し、さらにFeとMoの金属
間化合物およびFeとMoとSiとCrの金属間化合物
はビッカース硬さ(Hv)で800〜1300の高硬度
を有し、これら金属間化合物はすり板材の摺動面直下の
表面部にあっては、摺動に伴う素地の塑性変形を抑制
し、またすり板材の摺動面に露出した状態では、これら
の結晶形系が六方晶であるのに対し、相手材のトロリ線
を構成する結晶形が立方晶系であることから、相互凝着
性およびアブレイシブ性(砥粒性)が小さく、さらに実
用時に潤滑性のある酸化被膜が形成されることとあいま
って、相手攻撃性の小さい状態で、特に高速走行下での
耐摩耗性を著しく向上させる作用を持つを有するが、F
eとWの金属間化合物の含有量が5重量%未満では前記
作用に所望の効果が得られず、一方、その含有量が15
重量%を越えると所定の強度が得られなくなることか
ら、その含有量は5〜15重量%に定めた。一層好まし
い範囲は、7〜10重量%である。また、FeとMoの
金属間化合物およびFeとMoとSiとCrの金属間化
合物のうち1種または2種の含有量が3重量%未満でも
前記作用に所望の効果が得られず、一方、その含有量が
10重量%を越えると同様に所定の強度が得られなくな
ることから、FeとMoの金属間化合物およびFeとM
oとSiとCrの金属間化合物の含有量を3〜10重量
%に定めた。一層好ましい範囲は、5〜8重量%であ
る。
00〜800の高硬度を有し、さらにFeとMoの金属
間化合物およびFeとMoとSiとCrの金属間化合物
はビッカース硬さ(Hv)で800〜1300の高硬度
を有し、これら金属間化合物はすり板材の摺動面直下の
表面部にあっては、摺動に伴う素地の塑性変形を抑制
し、またすり板材の摺動面に露出した状態では、これら
の結晶形系が六方晶であるのに対し、相手材のトロリ線
を構成する結晶形が立方晶系であることから、相互凝着
性およびアブレイシブ性(砥粒性)が小さく、さらに実
用時に潤滑性のある酸化被膜が形成されることとあいま
って、相手攻撃性の小さい状態で、特に高速走行下での
耐摩耗性を著しく向上させる作用を持つを有するが、F
eとWの金属間化合物の含有量が5重量%未満では前記
作用に所望の効果が得られず、一方、その含有量が15
重量%を越えると所定の強度が得られなくなることか
ら、その含有量は5〜15重量%に定めた。一層好まし
い範囲は、7〜10重量%である。また、FeとMoの
金属間化合物およびFeとMoとSiとCrの金属間化
合物のうち1種または2種の含有量が3重量%未満でも
前記作用に所望の効果が得られず、一方、その含有量が
10重量%を越えると同様に所定の強度が得られなくな
ることから、FeとMoの金属間化合物およびFeとM
oとSiとCrの金属間化合物の含有量を3〜10重量
%に定めた。一層好ましい範囲は、5〜8重量%であ
る。
【0007】(b) Cr Crはビッカース硬さ(Hv)で160〜230を有
し、さらにFeと強固に結合し、摺動面直下にあって
は、摺動による塑性変形を抑制し、摩耗を防止する作用
を有するので、必要に応じて含有されるが、その含有量
が3重量%未満では前記作用に所望の効果が得られず、
一方、その含有量が7重量%を越えると摺動面に露出し
た場合は相手材であるCu製トロリ線に対して高いアブ
レイシブ性を示すので、その含有量を3〜7重量%に定
めた。一層好ましい範囲は4〜6重量%である。
し、さらにFeと強固に結合し、摺動面直下にあって
は、摺動による塑性変形を抑制し、摩耗を防止する作用
を有するので、必要に応じて含有されるが、その含有量
が3重量%未満では前記作用に所望の効果が得られず、
一方、その含有量が7重量%を越えると摺動面に露出し
た場合は相手材であるCu製トロリ線に対して高いアブ
レイシブ性を示すので、その含有量を3〜7重量%に定
めた。一層好ましい範囲は4〜6重量%である。
【0008】(c) Cu Cu成分には、一部がFeと共に素地を形成して、これ
を強化するほか、電気伝導性および耐アーク性を向上さ
せる作用があるが、その含有量が30重量%未満では前
記作用に所望の効果が得られず、一方、その含有量が5
0重量%を越えると、相手材であるCu製トロリ線との
凝着性が増大し、耐摩耗性低下の原因となることから、
その含有量は30〜50重量%に定めた。一層好ましい
範囲は、35〜45重量%である。
を強化するほか、電気伝導性および耐アーク性を向上さ
せる作用があるが、その含有量が30重量%未満では前
記作用に所望の効果が得られず、一方、その含有量が5
0重量%を越えると、相手材であるCu製トロリ線との
凝着性が増大し、耐摩耗性低下の原因となることから、
その含有量は30〜50重量%に定めた。一層好ましい
範囲は、35〜45重量%である。
【0009】(d) Sn Sn成分には、素地に固溶して、これを強化する作用が
あるので、必要に応じて含有されるが、その含有量が2
重量%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一
方、その含有量が5重量%を越えると脆化するようにな
ることから、その含有量は2〜5重量%に定めた。一層
好ましい範囲は3〜4重量%である。
あるので、必要に応じて含有されるが、その含有量が2
重量%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一
方、その含有量が5重量%を越えると脆化するようにな
ることから、その含有量は2〜5重量%に定めた。一層
好ましい範囲は3〜4重量%である。
【0010】(e) P P成分には、Sn成分と共に素地に固溶してこれを強化
するとともに耐蝕性を向上させる作用があるので必要に
応じて含有させるが、その含有量が0.01重量%未満
では前記作用に所望の効果が得られず、一方、その含有
量が0.5重量%を越えると脆化するようになり、さら
に電気伝導性を著しく劣化させることから、その含有量
は0.01〜0.5重量%に定めた。一層好ましい範囲
は0.2〜0.3重量%である。
するとともに耐蝕性を向上させる作用があるので必要に
応じて含有させるが、その含有量が0.01重量%未満
では前記作用に所望の効果が得られず、一方、その含有
量が0.5重量%を越えると脆化するようになり、さら
に電気伝導性を著しく劣化させることから、その含有量
は0.01〜0.5重量%に定めた。一層好ましい範囲
は0.2〜0.3重量%である。
【0011】(f) C C成分には、素地に固溶して、これを強化する作用があ
るので必要に応じて含有されるが、その含有量が0.0
1重量%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一
方、その含有量が0.5重量%を越えると、素地にパー
ライト相が多量に形成されて著しく硬くなり、相手材の
トロリ線の摩耗を著しく促進させるところから、その含
有量を0.01〜0.5重量%に定めた。一層好ましい
範囲は0.1〜0.4重量%である。
るので必要に応じて含有されるが、その含有量が0.0
1重量%未満では前記作用に所望の効果が得られず、一
方、その含有量が0.5重量%を越えると、素地にパー
ライト相が多量に形成されて著しく硬くなり、相手材の
トロリ線の摩耗を著しく促進させるところから、その含
有量を0.01〜0.5重量%に定めた。一層好ましい
範囲は0.1〜0.4重量%である。
【0012】B.気孔率 その割合が5%未満では、Fe−Cu系焼結合金に含浸
されるZnまたはZn合金の割合が少なすぎて、Znま
たはZn合金によってもたらされる優れた潤滑性を確保
することができず、一方、その割合が15%を越える
と、Fe−Cu系焼結合金の強度、すなわち、すり板材
の強度が低下するばかりでなく、耐アーク性も低下する
ようになって摩耗が急激に進行するようになることか
ら、その割合を5〜15%と定めた。この気孔率の一層
好ましい範囲は、7〜10%である。
されるZnまたはZn合金の割合が少なすぎて、Znま
たはZn合金によってもたらされる優れた潤滑性を確保
することができず、一方、その割合が15%を越える
と、Fe−Cu系焼結合金の強度、すなわち、すり板材
の強度が低下するばかりでなく、耐アーク性も低下する
ようになって摩耗が急激に進行するようになることか
ら、その割合を5〜15%と定めた。この気孔率の一層
好ましい範囲は、7〜10%である。
【0013】
【実施例】原料粉末として、粒度:−80メッシュのア
トマイズ鉄粉、粒度:−100メッシュの電気銅粉、S
n:10重量%含有の粒度:−100メッシュのアトマ
イズ青銅粉、粒度:−60〜+200メッシュのFe−
W(Fe−75重量%W)金属間化合物粉、粒度:−3
0〜+200メッシュのFe−Mo(Fe−64重量%
Mo)金属間化合物粉、粒度:−30〜+200メッシ
ュのFe−Mo−Si−Cr(Fe−40重量%Mo−
10重量%Si−3重量%Cr)金属間化合物粉、粒
度:−60〜+200メッシュのCr粉末、粒度:−3
50メッシュのC粉末、および粒度:−100メッシュ
でP:8重量%含有の銅燐粉を用意し、これら原料粉末
を表1に示される成分組成に配合し、ダブルコーンミキ
サーを用い、0.5時間混合した後、300〜600M
Paの範囲内の所定の圧力で圧粉体にプレス成形し、こ
の圧粉体をアンモニア分解ガス雰囲気中、1040〜1
080℃の範囲内の所定温度に1時間保持の条件で焼結
して実質的に配合組成と同一の成分組成を有し、かつ表
1に示される気孔率を持ったFe−Cu系焼結合金本体
を形成し、このFe−Cu系焼結合金本体に同じく表1
に示される組合せで純ZnまたはZn−0.4重量%C
u−0.1重量%TiのZn合金を含浸させることによ
り、幅:25mm、長さ:80mm、厚さ:10mmの寸法を
持った本発明亜鉛含浸Fe−Cu系焼結合金製の集電用
パンタグラフすり板材(以下、本発明亜鉛含浸すり板材
という)1〜13をそれぞれ製造し、さらに比較の目的
で原料粉末として粒度:−30〜+200メッシュのF
e−Mo(Mo:30重量%含有)合金粉末、粒度:−
100メッシュのMo粉末とNi粉末を加え、Fe基焼
結合金本体の組成および気孔率を表1に示される通りの
配合組成(上記した特開昭62−50445号公報記載
の組成に相当)および気孔率とし、これに純Pbを含浸
する以外は同一の条件で従来鉛含浸Fe基焼結合金製の
集電用パンタグラフすり板材(以下、従来鉛含浸すり板
材という)を製造した。
トマイズ鉄粉、粒度:−100メッシュの電気銅粉、S
n:10重量%含有の粒度:−100メッシュのアトマ
イズ青銅粉、粒度:−60〜+200メッシュのFe−
W(Fe−75重量%W)金属間化合物粉、粒度:−3
0〜+200メッシュのFe−Mo(Fe−64重量%
Mo)金属間化合物粉、粒度:−30〜+200メッシ
ュのFe−Mo−Si−Cr(Fe−40重量%Mo−
10重量%Si−3重量%Cr)金属間化合物粉、粒
度:−60〜+200メッシュのCr粉末、粒度:−3
50メッシュのC粉末、および粒度:−100メッシュ
でP:8重量%含有の銅燐粉を用意し、これら原料粉末
を表1に示される成分組成に配合し、ダブルコーンミキ
サーを用い、0.5時間混合した後、300〜600M
Paの範囲内の所定の圧力で圧粉体にプレス成形し、こ
の圧粉体をアンモニア分解ガス雰囲気中、1040〜1
080℃の範囲内の所定温度に1時間保持の条件で焼結
して実質的に配合組成と同一の成分組成を有し、かつ表
1に示される気孔率を持ったFe−Cu系焼結合金本体
を形成し、このFe−Cu系焼結合金本体に同じく表1
に示される組合せで純ZnまたはZn−0.4重量%C
u−0.1重量%TiのZn合金を含浸させることによ
り、幅:25mm、長さ:80mm、厚さ:10mmの寸法を
持った本発明亜鉛含浸Fe−Cu系焼結合金製の集電用
パンタグラフすり板材(以下、本発明亜鉛含浸すり板材
という)1〜13をそれぞれ製造し、さらに比較の目的
で原料粉末として粒度:−30〜+200メッシュのF
e−Mo(Mo:30重量%含有)合金粉末、粒度:−
100メッシュのMo粉末とNi粉末を加え、Fe基焼
結合金本体の組成および気孔率を表1に示される通りの
配合組成(上記した特開昭62−50445号公報記載
の組成に相当)および気孔率とし、これに純Pbを含浸
する以外は同一の条件で従来鉛含浸Fe基焼結合金製の
集電用パンタグラフすり板材(以下、従来鉛含浸すり板
材という)を製造した。
【0014】
【表1】
【0015】次に、これら各種のすり板材について、加
速摩耗試験を行った。加速摩耗試験は、モータの水平回
転軸に中心を固定することにより直立支持させた外径:
2.2mの円板の片側面に、模擬トロリ線として外径:
2m、幅:15mm、厚さ:5mmの寸法をを持った硬銅リ
ング(JIS C1100 BB−H)を50mm偏心し
て取り付けた装置を用い、前記硬銅リングに、直径線上
の2か所ですり板材を40Nの押付け力で長さ:80mm
×幅:25mmの寸法面を面接触させながら、前記模擬ト
ロリ線とすり板材の間に100V、200Aの直流電流
を流し、前記円板を5.5分で270km/hの回転速度
にあげ、この速度に5.5分間保持した後、5.5分か
けて停止させ、これを1サイクルとし、このサイクルを
6回繰り返すことにより行い、すり板材の摩耗重量およ
び相手材である模擬トロリ線の摩耗深さを測定した。こ
れらの測定結果からすり板材の比摩耗量を算出し、また
模擬トロリ線の摩耗深さは5000回転当たりの値に換
算し、表2に示した。
速摩耗試験を行った。加速摩耗試験は、モータの水平回
転軸に中心を固定することにより直立支持させた外径:
2.2mの円板の片側面に、模擬トロリ線として外径:
2m、幅:15mm、厚さ:5mmの寸法をを持った硬銅リ
ング(JIS C1100 BB−H)を50mm偏心し
て取り付けた装置を用い、前記硬銅リングに、直径線上
の2か所ですり板材を40Nの押付け力で長さ:80mm
×幅:25mmの寸法面を面接触させながら、前記模擬ト
ロリ線とすり板材の間に100V、200Aの直流電流
を流し、前記円板を5.5分で270km/hの回転速度
にあげ、この速度に5.5分間保持した後、5.5分か
けて停止させ、これを1サイクルとし、このサイクルを
6回繰り返すことにより行い、すり板材の摩耗重量およ
び相手材である模擬トロリ線の摩耗深さを測定した。こ
れらの測定結果からすり板材の比摩耗量を算出し、また
模擬トロリ線の摩耗深さは5000回転当たりの値に換
算し、表2に示した。
【0016】
【表2】
【0017】
【発明の効果】表1および表2に示される結果から、本
発明亜鉛含浸すり板材1〜13は、いずれも従来鉛含浸
すり板材と同等の低い相手攻撃性を示した状態で、これ
より一段と優れた耐摩耗性を示すことが明らかである。
上述のように、この発明の亜鉛含浸Fe−Cu系焼結合
金製の集電用パンタグラフすり板材は、通常の走行は勿
論のこと、速度が250km/h以上の高速走行の電気車
に用いた場合にも特に優れた耐摩耗性を発揮し、使用寿
命の一段の延命化を可能とするものである。
発明亜鉛含浸すり板材1〜13は、いずれも従来鉛含浸
すり板材と同等の低い相手攻撃性を示した状態で、これ
より一段と優れた耐摩耗性を示すことが明らかである。
上述のように、この発明の亜鉛含浸Fe−Cu系焼結合
金製の集電用パンタグラフすり板材は、通常の走行は勿
論のこと、速度が250km/h以上の高速走行の電気車
に用いた場合にも特に優れた耐摩耗性を発揮し、使用寿
命の一段の延命化を可能とするものである。
Claims (3)
- 【請求項1】 いずれも分散相として、FeとWの金属
間化合物:5〜15重量%と、FeとMoの金属間化合
物およびFeとMoとSiとCrの金属間化合物のうち
の1種または2種:3〜10重量%を含有し、さらに素
地形成成分として、 Cu:30〜50重量%、を含有し、残りがFeおよび
不可避不純物からなる組成を有する気孔率:5〜15%
のFe−Cu系焼結合金に、ZnまたはZn合金を含浸
してなる亜鉛含浸Fe−Cu系焼結合金で構成したこと
を特徴とする耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Fe−Cu系焼
結合金製の集電用パンタグラフすり板材。 - 【請求項2】 いずれも分散相として、FeとWの金属
間化合物:5〜15重量%と、FeとMoの金属間化合
物およびFeとMoとSiとCrの金属間化合物のうち
の1種または2種:3〜10重量%を含有し、さらにい
ずれも素地形成成分として、 Cu:30〜50重量%、 Sn:2〜5重量%、 P:0.01〜0.5重量%、を含有し、残りがFeお
よび不可避不純物からなる組成を有する気孔率:5〜1
5%のFe−Cu系焼結合金に、ZnまたはZn合金を
含浸してなる亜鉛含浸Fe−Cu系焼結合金で構成した
ことを特徴とする耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Fe−Cu
系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材。 - 【請求項3】 いずれも分散相として、FeとWの金属
間化合物:5〜15重量と、Cr:3〜〜7重量%と、
FeとMoの金属間化合物およびFeとMoとSiとC
rの金属間化合物のうちの1種または2種:3〜10重
量%を含有し、さらにいすれも素地形成成分として、 Cu:30〜50重量%、 Sn:2〜5重量%、 P:0.01〜0.5重量%、 C:0.01〜0.5重量%、を含有し、残りがFeお
よび不可避不純物からなる組成を有する気孔率:5〜1
5%のFe−Cu系焼結合金に、ZnまたはZn合金を
含浸してなる亜鉛含浸Fe−Cu系焼結合金で構成した
ことを特徴とする耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Fe−Cu
系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7826495A JPH08246111A (ja) | 1995-03-09 | 1995-03-09 | 耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Fe−Cu系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7826495A JPH08246111A (ja) | 1995-03-09 | 1995-03-09 | 耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Fe−Cu系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08246111A true JPH08246111A (ja) | 1996-09-24 |
Family
ID=13657131
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7826495A Withdrawn JPH08246111A (ja) | 1995-03-09 | 1995-03-09 | 耐摩耗性に優れた亜鉛含浸Fe−Cu系焼結合金製の集電用パンタグラフすり板材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08246111A (ja) |
-
1995
- 1995-03-09 JP JP7826495A patent/JPH08246111A/ja not_active Withdrawn
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