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JPH08225556A - チタンシリカライトにより触媒される改良エポキシ化法 - Google Patents

チタンシリカライトにより触媒される改良エポキシ化法

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Publication number
JPH08225556A
JPH08225556A JP7315850A JP31585095A JPH08225556A JP H08225556 A JPH08225556 A JP H08225556A JP 7315850 A JP7315850 A JP 7315850A JP 31585095 A JP31585095 A JP 31585095A JP H08225556 A JPH08225556 A JP H08225556A
Authority
JP
Japan
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titanium silicalite
hydrogen peroxide
olefin
reaction
basic salt
Prior art date
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Pending
Application number
JP7315850A
Other languages
English (en)
Inventor
Guy L Crocco
エル クロッコ ガイ
John G Zajacek
ジー ザジャセック ジョン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Lyondell Chemical Technology LP
Original Assignee
Arco Chemical Technology LP
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=26992214&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JPH08225556(A) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Arco Chemical Technology LP filed Critical Arco Chemical Technology LP
Publication of JPH08225556A publication Critical patent/JPH08225556A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D301/00Preparation of oxiranes
    • C07D301/02Synthesis of the oxirane ring
    • C07D301/03Synthesis of the oxirane ring by oxidation of unsaturated compounds, or of mixtures of unsaturated and saturated compounds
    • C07D301/12Synthesis of the oxirane ring by oxidation of unsaturated compounds, or of mixtures of unsaturated and saturated compounds with hydrogen peroxide or inorganic peroxides or peracids

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オレフィンのエポキシ化反応においてエポキ
シドに対する選択率を高めることができる方法を提供す
る。 【解決手段】 チタンシリカライト触媒を用いるオレフ
ィンエポキシ化法の選択率は、塩化リチウム、硝酸ナト
リウム、硫酸カリウム、リン酸二水素アンモニウムなど
の非塩基性塩を少量存在させてエポキシ化を行うことに
より改善される。例えば、過酸化水素をプロピレンと反
応させてプロピレンオキシドを形成する場合、プロピレ
ンオキシドの非選択的開環反応が、低濃度の非塩基性塩
を過酸化水素供給原料に加えるときに抑制される。 【効果】 過酸化水素の転化率に有害な影響を及ぼすこ
となく、エポキシドに対する選択率を有意に向上させる
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オレフィンエポキ
シ化反応の効率を高めることができる方法に関するもの
である。特に、本発明は、出発原料オレフィンに対応す
るエポキシドの生成を選択的に触媒させるために、過酸
化水素と低濃度の非塩基性塩の存在下でチタンシリカラ
イトを使用するエポキシ化法に関する。
【0002】
【従来の技術】過酸化水素によるオレフィン性化合物の
エポキシ化は、ある種のチタン原子含有合成ゼオライト
によって効率的に触媒され得ることが公知である(例え
ば、米国特許第4,833,260号を参照のこと)。
目的エポキシドに対する選択率は一般的に高いものの、
米国特許第4,824,976号は、水やアルコールの
ようなプロトン性媒体中でエポキシ化を行うときに起こ
る非選択的開環反応が、反応前または反応中に適当な酸
中和剤を用いて触媒を処理することにより抑制し得ると
記述している。中和剤は副生成物の形成を促進する傾向
がある触媒表面上の酸基を中和すると言われている。こ
の特許によれば、中和はNaOH、KOHのような強塩
基、およびNH4 OH、Na2 CO3 、NaHCO3
Na2 HPO4 、類似したカリウムおよびリチウム塩
(K2 CO3 、Li2 CO3 、KHCO3 、LiHCO
3 およびK2 HPO4 を含む)、1〜10個の炭素原子
を有するカルボン酸のアルカリ金属および/またはアル
カリ土類金属塩、1〜10個の炭素原子を有するアルコ
ールのアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属ア
ルコラートのような弱塩基の中から選ばれた水溶性の塩
基性物質を用いて達成することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、予期せ
ざることに、低濃度の非塩基性塩の存在下でチタンシリ
カライト触媒によるエポキシ化を行うことにより、過酸
化水素の転化率に有害な影響を及ぼすことなく、エポキ
シドに対する選択率を有意に向上させることができるこ
とを見いだした。このことは、エポキシド選択率を高め
るためにチタンシリカライトを塩基性物質で処理するか
シリル化する必要があるという、米国特許第4,82
4,976号によって示されるような当分野で確信され
ている技術を考慮すると、驚くべきことである。さら
に、以前には、エポキシ化の間に比較的高濃度の非塩基
性塩(例えば、塩化リチウムや硝酸ナトリウム)を存在
させると、ある種のオレフィンのエポキシ化率が低下
し、その上エポキシドに対する選択率が悪影響を受ける
ことが報告されている〔Clerici et al.
J.Catalysis 140,71−83(1
993)を参照のこと〕。かくして、チタンシリカライ
ト触媒を用いて得られるエポキシドの収量を実際に増加
させるために、このような塩を低濃度で使用することが
できるという知見は予測し得ないことであろう。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、反応ゾーンに
おいてオレフィンと過酸化水素を、チタンシリカライト
触媒およびエポキシドに対する選択率を増大させるのに
有効な量の非塩基性塩の存在下で、反応させることを含
んでなるオレフィンのエポキシ化法を提供する。
【0005】本発明において酸化剤として用いられる過
酸化水素(H2 2 )は、どのような適当な供給源から
得られるものであってもよく、例えば空気または他の分
子酸素源を用いる第二級アルコールの自動酸化から得る
ことができる。適当な第二級アルコールとしては、イソ
プロパノール、シクロヘキサノールなどの脂肪族アルコ
ールと、αメチルベンジルアルコール、アントラヒドロ
キノン(アルキル置換アントラヒドロキノンを含む)な
どの芳香族アルコールの両方が含まれる。この方法によ
って生成された粗反応生成物は本発明のエポキシ化法で
直接使用することができるが、所望であれば、使用前に
精製、分別、濃縮、イオン交換または他の処理を行って
もよい。例えば、自動酸化の共生成物として形成された
ケトンは、その全部または一部を蒸留する(ケトンが比
較的揮発性である場合)か、または水で抽出する(ケト
ンが実質的に水と不混和性であるか水に可溶でない場
合)ことにより過酸化水素から分離することができる。
また、過酸化水素は、例えば第二級アルコールの自動酸
化とオレフィンのエポキシ化を同時に行うのに有効な条
件下で反応ゾーン内で酸素、第二級アルコール、オレフ
ィン、チタンシリカライトおよび非塩基性塩を一緒にす
ることにより、その場で生成させることも可能である。
一般的に言えば、反応ゾーン内の液相中で約1〜20重
量%の初期過酸化水素濃度を使用することが望ましいだ
ろう。
【0006】本発明の方法によりエポキシ化されるエチ
レン性不飽和基質は、好ましくは、2〜10個の炭素原
子および少なくとも1つのエチレン性不飽和官能基(す
なわち、炭素−炭素二重結合)を有する有機化合物であ
り、環状、分枝鎖状または直鎖状の脂肪族オレフィンで
ありうる。オレフィンには2以上の炭素−炭素二重結合
が存在してもよく、こうしてジエン、トリエン、その他
のポリ不飽和基質も使用することができる。
【0007】本発明の方法において使用するのに適した
代表的なオレフィンとして、エチレン、プロピレン、ブ
テン類、ブタジエン、ペンテン類、イソプレン、1−ヘ
キセン、3−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、
ジイソブチレン、1−ノネン、プロピレンの三量体およ
び四量体、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘ
プテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、ジシク
ロペンタジエン、メチレンシクロプロパン、メチレンシ
クロペンタン、メチレンシクロヘキサン、ビニルシクロ
ヘキサンおよびビニルシクロヘキセンが挙げられる。オ
レフィンの混合物をエポキシ化することもでき、得られ
たエポキシド混合物は混合形態で使用しても、個々の成
分エポキシドに分離してもよい。
【0008】本発明の方法は、一般構造式 化1
【0009】
【化1】
【0010】〔式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は同
一であるかまたは異なり、水素およびC1 −C8 アルキ
ル(オレフィンの総炭素原子数が10を越えないように
選ばれる)より成る群から選ばれる〕を有するC2 −C
10オレフィンのエポキシ化に特に有用である。
【0011】また、本発明の方法は脂肪族ヒドロカルビ
ル成分以外の官能基を含むオレフィンをエポキシ化する
にも適している。例えば、炭素−炭素二重結合は−CO
2 H、−CO2 R、−CNまたは−OR(ここでRはア
ルキル、シクロアルキル、アリールまたはアルアルキル
置換基である)のような基で置換されていてもよい。上
記の構造式の基R1 、R2 、R3 およびR4 はアリー
ル、アルアルキル、ハロゲン、ニトロ、スルホン酸、シ
アノ、カルボニル(例:ケトン、アルデヒド)、ヒドロ
キシル、カルボキシル(例:エステル、酸)またはエー
テル基を含み得る。このタイプのオレフィンの例とし
て、アリルアルコール、スチレン、塩化アリル、アリル
メチルエーテル、アリルフェニルエーテル、メタクリル
酸メチル、アクリル酸、アクリル酸メチル、スチルベン
などを挙げることができる。
【0012】オレフィンの量に対する過酸化水素の量は
限定的ではないものの、オレフィンが1つのエチレン性
不飽和基を含む場合は、オレフィン:過酸化水素のモル
比を約100:1から1:10までとすることが最も適
している。オレフィンのエチレン性不飽和基:過酸化水
素のモル比は、より好ましくは1:2から10:1の範
囲とする。
【0013】本方法のエポキシ化工程において触媒とし
て有用なチタンシリカライトは、モレキュラーシーブ
(分子ふるい)の格子骨格構造におけるケイ素原子の一
部の代わりにチタンが用いてあるゼオライト物質のクラ
スを含むものである。このような物質は当技術分野で公
知である。
【0014】特に好適なチタンシリカライトには、“T
S−1”(ZSM−5アルミノシリケートゼオライトに
類似したMFIトポロジーを有する)、“TS−2”
(ZSM−11アルミノシリケートゼオライトに類似し
たMELトポロジーを有する)および“TS−3”(ベ
ルギー特許第1,001,038号に記載されている)
と一般的に呼ばれているモレキュラーシーブのクラスが
含まれる。また、ゼオライトβと同形の骨格構造を有す
るチタン含有モレキュラーシーブも使用するのに適して
いる。チタンシリカライトは格子骨格構造中にチタンと
シリカ以外の非酸素元素を含まないことが好ましいが、
少量のホウ素、鉄、アルミニウムなどが存在してもよ
い。
【0015】本発明の方法において使用するのに適した
チタンシリカライト触媒は、一般に、次の実験式xTi
2 :(1−x)SiO2 (式中、xは0.0001〜
0.500である)に相当する組成を有するものであ
る。より好ましくは、xの値は0.01〜0.125で
ある。チタンシリカライトの格子骨格構造中のSi:T
iのモル比は有利には9.5:1〜99:1である(最
も好ましくは、9.5:1〜60:1)。比較的チタン
に富むシリカライトの使用も望ましいかもしれない。
【0016】用いる触媒の量は限定的なものではない
が、特に短時間で目的のエポキシ化反応を実質的に成し
遂げるように十分な量であるべきである。触媒の最適量
は、触媒の活性、採用する反応器または反応システムの
タイプ(すなわち、バッチ式か連続式)だけでなく反応
温度、オレフィンの反応性および濃度、過酸化水素の濃
度、有機溶媒の種類および濃度を含めて、さまざまな要
因に左右されるだろう。バッチ式またはスラリー反応で
は、例えば、触媒の量は一般にオレフィン1モルあたり
0.001〜10gである。固定床または充填床システ
ムでは、触媒の最適量は固定床を通る反応物の流速に影
響され、一般には、約0.05〜2.0kg過酸化水素
/kg触媒/時が利用される。液相反応混合物中のチタ
ンの濃度は一般に約10〜10,000ppmとなるだ
ろう。
【0017】触媒は粉末、ペレット、微小球、押出材、
一体形または他の適当な物理的形態で利用される。チタ
ンシリカライトとともにバインダー(共ゲル)または担
体を使用することが有利でありうる。担持または結合さ
れた触媒は、当技術分野で知られた、一般的にゼオライ
ト触媒にとって有効な方法により製造することができ
る。好ましくは、バインダーまたは担体は本質的に非酸
性であり、過酸化水素の非選択的分解またはエポキシド
の開環を触媒しないものである。
【0018】バインダーおよび担体の例としては、チタ
ニア、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−
チタニア、シリカ−トリア、シリカ−マグネシア、シリ
カ−ジロニア、シリカ−ベリリア、それにシリカと他の
耐火性酸化物との三元組成物が挙げられる。モンモリロ
ナイト、カオリン、ベントナイト、ハロイサイト、ディ
ッカイト、ナクライト、アナウキサイトなどのクレーも
有用である。チタンシリカライト:バインダーまたは担
体の比率は99:1〜1:99の範囲でありうるが、好
ましくは5:95〜80:20である。
【0019】本発明の方法の決定的な特徴は非塩基性塩
の存在にある。本方法のエポキシド選択率の改善が認め
られる正確な作用機序は不明であるが、非塩基性塩はエ
ポキシドの開環のような望ましくない副反応を抑制する
ように有利な方法でチタンシリカライト触媒と相互作用
すると考えられる。ある実施態様において、チタンシリ
カライトは非塩基性塩で予備(すなわち、エポキシ化の
前に)処理される。1つの適当な予備処理法は、非塩基
性塩用の適当な溶媒(例:水および/またはアルコー
ル)に溶かした該塩の希釈溶液を用いて触媒のスラリー
を調製し、チタンシリカライトの細孔の中に十分な非塩
基性塩を取り込むのに有効な時間にわたり20〜100
℃の温度で該スラリーを攪拌することを含むものであ
る。その後、触媒は濾過、遠心分離、デカンテーション
などの適当な手段により該スラリーから分離し、所望に
より洗浄し、次に、場合により残留溶媒を乾かして除去
する。他の予備処理法では、合成したままのチタンシリ
カライトに非塩基性塩の溶液を含浸させ、その後焼成す
る。しかし、好ましい実施態様では、非塩基性塩がエポ
キシ化の間に触媒とは別個に反応ゾーンに導入される。
例えば、非塩基性塩は過酸化水素供給原料(一般的に
は、水、アルコールおよび/またはケトンのような比較
的極性の溶媒をさらに含む)中にうまく溶解させること
ができる。連続法では、得られるエポキシ化の成果を最
適にするために、反応ゾーンに入る供給原料中の非塩基
性塩の濃度を希望どおりにまたは必要に応じて定期的に
調整することができる。例えば、一定の塩濃度を用いる
こと、断続的に塩を導入すること、あるいは時間経過と
ともに塩濃度を高めたり下げたりすることが有利である
かもしれない。
【0020】塩は、酸のプロトンが金属カチオンまたは
その等価物(例:NH4 + )で置き換えられるときに形
成される化合物である。本発明の目的に適した塩として
は、アニオンとカチオン〔好ましくは、アンモニウム
(NH4 )、アルカリ金属(特にLi、Na、K)およ
びアルカリ土類金属から選ばれる〕からなる非塩基性の
物質が含まれる。好ましいアニオンには、ハライド(特
にCl、Br)、ニトレート(NO3 )、スルフェート
(SO4 )、リン−、ヒ素−、アンチモン−およびスズ
−含有酸のアニオン、例えばホスフェート、アルセネー
トおよびスタネートが含まれるが、これらに限らない。
得られる塩の性質が非塩基性であるという条件で、ホル
メート、アセテート、ビカーボネートなどの他のアニオ
ンもカチオンの本性に応じて使用することができる。使
用に適した非塩基性塩の例は、塩化リチウム、臭化リチ
ウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、硝酸リチウ
ム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸リチウム、硫
酸ナトリウム、硫酸カリウム、酢酸のリチウム、マグネ
シウム、カルシウム、バリウムおよびアンモニウム塩
(およびカルボン酸、特にC1 −C10カルボン酸の他の
非塩基性塩)などである。非塩基性塩の混合物または組
合せも有利に使用できる。好ましくは、非塩基性塩はエ
ポキシ化反応混合物の液相(一般的には、過酸化水素と
溶媒とオレフィンを含む)に可溶性のものである。本発
明との関連において「非塩基性」とは、25℃の水に
0.1Nの濃度(可能な最高濃度が0.1N未満である
場合には、飽和濃度)で溶解したとき、8より低い(よ
り好ましくは7.1より低い)が、好ましくは4より高
いpHを有する溶液を与える物質を意味する。ある実施
態様では、本質的に中性の塩が用いられる。
【0021】本発明の1つの実施態様において、リン
−、アンチモン−、ヒ素−およびスズ−含有オキシ酸お
よびこのような元素の含水酸化物の非塩基性塩が利用さ
れる。かかるオキシ酸および含水酸化物は有機であって
も無機であってもよく、例えばリン酸、亜リン酸、ホス
ホン酸、ホスフィン酸、スズ酸、ヒ酸、アンチモン酸な
どが含まれる。特定の例はリン酸二水素アンモニウム、
リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、ピロ
リン酸二水素二ナトリウム、および(ニトリロトリス
(メチレン))トリホスホン酸、アミノトリメチレンホ
スホン酸、(1−ヒドロキシエチリデン)ジホスホン
酸、(エチレンジニトリロ)−テトラメチレンホスホン
酸などのアルカリ金属またはアンモニウム塩、並びに類
似のスズ、ヒ素およびアンチモン化合物である。
【0022】本発明の特に望ましい実施態様は、チタン
シリカライトと併用したときエポキシド選択率を高める
ばかりでなく、第二級アルコールを酸化してエポキシ化
に用いる過酸化水素を生成する際に過酸化水素の安定剤
としても作用する非塩基性塩を選択することを含むもの
である。すなわち、非塩基性塩は第二級アルコールの酸
化の間に導入され、その後オレフィンのエポキシ化工程
へ過酸化水素流として送られる。リン含有オキシ酸の非
塩基性塩(特に、鉄、銅、コバルト、クロムイオンなど
の重金属イオンを封鎖する化合物)がこのような目的に
特に有用である。
【0023】過酸化水素の転化率の望ましくない低下を
避けるために、反応ゾーンに含まれる液相中の非塩基性
塩の濃度は一般に0.02Mより低くすべきである。
0.00001M以下では、エポキシド選択率の増加が
ほとんど観察されないか、または全く観察されない。用
いる非塩基性塩の最適濃度は、例えば非塩基性塩の化学
的本性、温度、溶媒、空間速度などを含むさまざまな要
因により変化するであろうが、通常の実験により簡単に
決定することができる。一般的に言うと、液相エポキシ
化反応混合物中の非塩基性塩のレベルは約1〜1000
ppmに維持することが望ましい。
【0024】エポキシ化反応温度は好ましくは0〜10
0℃(より好ましくは40〜80℃)であり、この温度
は、過酸化水素の非選択的分解を最小限に抑えつつ、か
なり短時間のうちにオレフィンのエポキシドへの選択的
転化を達成するのに十分であることがわかった。一般
に、この反応は、適度な選択率と調和させて、可能なか
ぎり高い過酸化水素の転化率、好ましくは50%以上、
より好ましくは90%以上、最も好ましくは99%以上
を達成するように実施することが有利である。最適反応
温度は、他の要因もあるが、とりわけ、触媒の濃度およ
び活性、基質の反応性、反応物の濃度、用いる溶媒のタ
イプに影響されるだろう。前記の変動要因に応じて、反
応または滞留時間は一般に約10分から48時間が適し
ている。この反応は大気圧または高圧(一般的には、1
〜100気圧)で行うことが好ましい。概して、反応成
分は液体混合物として維持することが望ましい。例え
ば、大気圧でエポキシ化温度より低い沸点を有するプロ
ピレンのようなオレフィンを用いる場合は、液相中で所
望濃度のプロピレンを維持するのに十分な過圧を用いる
ことが好ましい。
【0025】本発明のエポキシ化法は、固定床、輸送
床、攪拌スラリー反応器またはCSTR反応器のような
適当なタイプの反応容器または装置を使ってバッチ式、
連続式または半連続式で行うことができる。過酸化水素
を用いて金属触媒によるエポキシ化を実施するための公
知の方法も概して使用に適している。こうして、反応物
は一度に全部を合わせても、順次合わせてもよい。例え
ば、過酸化水素および/またはオレフィンを反応ゾーン
に漸増的に加えることができる。
【0026】エポキシ化は反応物を溶解または分散させ
るために、そして温度制御を容易にするために、適当な
溶媒の存在下で行うことができる。適当な溶媒として
は、水、アルコール(特に、メタノールやイソプロパノ
ールのようなC1 −C10脂肪族アルコール)、ケトン
(特に、アセトンのようなC3 −C10ケトン)およびこ
れらの溶媒の混合物が挙げられるが、これらに限らな
い。
【0027】希望する転化率にまでエポキシ化を実施し
たら、分別蒸留、抽出蒸留、液−液抽出、結晶化などの
任意の適当な技法を使ってエポキシド生成物を反応混合
物から分離・回収する。濾過のような適当な方法により
エポキシ化反応混合物から分離した後(例えば、スラリ
ー反応器を利用する場合)、回収されたチタンシリカラ
イト触媒は後続のエポキシ化反応において経済的に再利
用することができる。こうした再利用に先立って、所望
により、その触媒を非塩基性塩で再処理してもよい。触
媒を固定床の形で配置する場合、エポキシ化反応ゾーン
からストリーム(流れ)として取り出されたエポキシ化
生成物は本質的に触媒を含まず、触媒はエポキシ化反応
ゾーン内に保持される。同様に、未反応のオレフィンま
たは過酸化水素は分離して再循環されるか、さもなけれ
ば破棄される。エポキシドを連続的に製造する本方法の
実施態様では、使用済み触媒の全部または一部を定期的
にまたは常時再生して、最適活性および選択率を維持す
るようにすることが望ましい。適当な再生方法は公知で
あり、例えば焼成および溶媒処理が含まれる。また、再
生には非塩基性塩による再処理または再含浸も含まれ
る。
【0028】先の記載から、当業者は、本発明の本質的
特徴を容易に確認し、本発明の精神および範囲から逸脱
することなく、さまざまな使用法、条件および態様へ本
発明を適合させるべく本発明を変更および修飾すること
が可能である。
【0029】
【発明の実施の形態】比較例1 分別を行ってアセトンを除いたイソプロパノール酸化生
成物は、イソプロパノール(86g)と50%過酸化水
素水溶液(14g)を一緒に合わせることによりシミュ
レートされた。この酸化生成物はヨウ素滴定により6.
87重量%の過酸化水素を含むことがわかった。プロピ
レンシリンダーに取り付けた浸漬チューブを含むヘッ
ド、熱電対、圧力計、圧力解放弁を設置した120ml
のステンレス鋼パール反応器に酸化生成物(33g;
0.067モルのH2 2 )と“TS−1”チタンシリ
カライト触媒(0.37g)を入れた。プロピレン(3
2mL;0.39モル)を加え、その後反応器を予め加
熱した油浴の中に置いた。反応混合物を55℃で1時間
保持した。反応器を氷浴に移し、5℃でガス抜きを行っ
た。反応生成物のヨウ素滴定を行い、ガスクロマトグラ
フィーで分析したところ、次の結果が得られた。
【0030】 過酸化水素、転化率% 94 選択率(H2 2 に基づく)、% プロピレンオキシド 74 アセトン 8 ソルボリシス生成物 18
【0031】実施例2 イソプロパノール酸化生成物は、イソプロパノール(4
3g)とメタノール(43g)と50%過酸化水素水溶
液(14g)を一緒に合わせることによりシミュレート
された。この酸化生成物は6.75重量%のH2 2
含んでいた。酸化生成物(33g)、TS−1チタンシ
リカライト触媒(0.37g)および塩化リチウム
(0.0029g)を比較例1に記載したように反応さ
せた。次の結果が得られた。
【0032】 過酸化水素、転化率% 99 選択率(H2 2 に基づく)、% プロピレンオキシド 93 アセトン 1 ソルボリシス生成物 6
【0033】比較例3 塩化リチウムの代わりに酢酸リチウム二水和物(0.0
025g)を使って実施例2を繰り返した。次の結果が
得られた。
【0034】 過酸化水素、転化率% 99 選択率(H2 2 に基づく)、% プロピレンオキシド 91 アセトン 2 ソルボリシス生成物 7
【0035】実施例2および比較例3は、塩化リチウム
のような非塩基性塩が、予期に反して、チタンシリカラ
イトエポキシ化触媒の選択率を増大させる上で、酢酸リ
チウム(米国特許第4,824,976号によって提案
された塩基性物質の1つ)と同程度に有効であることを
示している。
【0036】実施例4〜6 0.37gのTS−1チタンシリカライト触媒および異
なる非塩基性塩を用いて、実施例2に記載したとおりに
追加のエポキシ化実験を行った。表示した濃度は酸化生
成物中の非塩基性塩の濃度である。
【0037】 実施例番号 非塩基性塩(ppm) Na2SO4(114) LiNO3(106) NaCl(87) 過酸化水素、転化率% 99 96 99 選択率(H2 2 に基づく)、% プロピレンオキシド 89 90 87 アセトン 1 1 2 ソルボリシス生成物 10 9 11
【0038】上記の結果は、非塩基性アニオンを含む種
々のアルカリ金属塩を低濃度で使用するとエポキシドに
対する選択率が高まることを示している。
【0039】比較例7〜9 本発明の方法で用いる非塩基性塩の代わりに米国特許第
4,824,976号に記載される数種の塩基性物質を
用いて実施例4〜6を繰り返した。概して、プロピレン
オキシドに対する選択率は、どの添加剤を用いても大体
同じであった。
【0040】 比較例番号 塩基性物質(ppm) Na2HPO4(61) NaOAc(36) NaOH(740) 過酸化水素、転化率% 92 96 97 選択率(H2 2 に基づく)、% プロピレンオキシド 90 90 89 アセトン 3 2 3 ソルボリシス生成物 7 8 8
【0041】実施例10〜11 非塩基性塩として酢酸マグネシウムおよび酢酸アンモニ
ウムを用いて実施例4〜6を繰り返した。これらの塩
は、比較例8で使用した塩基性の酢酸ナトリウムと対照
的に、本質的に中性であるか、わずかに酸性であるとい
う事実にもかかわらず、エポキシ化反応の匹敵する結果
が得られた。この結果は、エポキシドの選択率を改善す
るには塩基性物質が必要であるとする米国特許第4,8
24,976号の教示に照らして予期せざるものであっ
た。
【0042】 実施例番号 10 11 非塩基性塩(ppm) Mg(OAc)2(213) NH4OAc(82) 過酸化水素、転化率% 96 96 選択率(H2 2 に基づく)、% プロピレンオキシド 87 91 アセトン 2 2 ソルボリシス生成物 11 7
【0043】比較例12 分別を行ってアセトンを除き、メタノールで希釈したイ
ソプロパノール酸化生成物は、イソプロパノール(43
g)、メタノール(43g)、50%H2 2水溶液
(14g)、酢酸(0.60g)およびギ酸(0.15
g)を一緒に合わせることによりシミュレートされた。
この酸化生成物はヨウ素滴定により6.88重量%のH
2 2 を含んでいた。酸化生成物(33g;0.065
モルのH22 )とTS−1チタンシリカライト触媒
(0.37g)を比較例1に記載したように反応させ、
次の結果を得た。
【0044】 過酸化水素、転化率% 99 選択率(H2 2 に基づく)、% プロピレンオキシド 79 アセトン 2 ソルボリシス生成物 19
【0045】実施例13 比較例12を繰り返したが、酸化生成物に硝酸リチウム
(0.0038g;114ppm)を加えた。
【0046】 過酸化水素、転化率% 99 選択率(H2 2 に基づく)、% プロピレンオキシド 88 アセトン 2 ソルボリシス生成物 10
【0047】非塩基性塩の添加は、比較例12と比べて
エポキシドの選択率を9ポイント増加させたが、触媒活
性の低下は見られなかった。
【0048】実施例14〜20 非塩基性塩としてリン酸二水素アンモニウムまたはナト
リウムを用いて、一連のバッチ式プロピレンエポキシ化
を実施した。反応器に加えた液体供給原料(33g)
は、イソプロパノール82%、水15%、過酸化水素3
%、酢酸0.2%およびギ酸0.025%を含んでい
た。用いた触媒は粉末の形のTS−1チタンシリカライ
トであった。得られた結果を表1に示したが、この表か
ら、プロピレンオキシドに対する選択率が、塩を添加し
てない対照実験(実施例14)と比べて、非塩基性塩が
存在するときに有意に改善されることが確認できる。驚
いたことに、リン酸塩がやや酸性であるという事実にも
かかわらず、形成された開環副生成物の量は減少した。
通常、エポキシドの開環は酸性物質の存在によって促進
される。
【0049】
【表1】

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応ゾーンにおいてオレフィンと過酸化
    水素をチタンシリカライト触媒およびエポキシドに対す
    る選択率を増大させるのに有効な量の非塩基性塩の存在
    下で反応させることを含んでなる、オレフィンのエポキ
    シ化法。
  2. 【請求項2】 非塩基性塩がハロゲン化アンモニウム、
    ハロゲン化アルカリ金属およびハロゲン化アルカリ土類
    金属、硝酸アンモニウム、硝酸アルカリ金属および硝酸
    アルカリ土類金属、硫酸アンモニウム、硫酸アルカリ金
    属および硫酸アルカリ土類金属、C1 −C10カルボン酸
    のアンモニウム、リチウム、バリウム、カルシウムおよ
    びマグネシウム塩、およびリン含有オキシ酸のアンモニ
    ウム、アルカリ金属およびアルカリ土類金属塩より成る
    群から選ばれる、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記の反応を0〜100℃の温度で行
    う、請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記の反応を液相中で行う、請求項1に
    記載の方法。
  5. 【請求項5】 液相が水、C1 −C10アルコール、C3
    −C10ケトンおよびこれらの混合物より成る群から選ば
    れる溶媒を含むものである、請求項4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 チタンシリカライト触媒がMFI、ME
    Lまたはゼオライトβトポロジーを有する、請求項1に
    記載の方法。
  7. 【請求項7】 オレフィンがC2 −C10脂肪族オレフィ
    ンである、請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 チタンシリカライト触媒が化学式xTi
    2 :(1−x)SiO2 (式中、xは0.01〜0.
    125である)に相当する組成を有する、請求項1に記
    載の方法。
  9. 【請求項9】 前記の反応を連続的に行う、請求項1に
    記載の方法。
  10. 【請求項10】 チタンシリカライト触媒を固定床の形
    で反応ゾーンに配置する、請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 チタンシリカライト触媒をスラリーの
    形で反応ゾーンに配置する、請求項1に記載の方法。
  12. 【請求項12】 非塩基性塩が液体媒体中に0.000
    01〜0.02Mの濃度で存在する、請求項1に記載の
    方法。
  13. 【請求項13】 反応ゾーン内の液相においてC2 −C
    10脂肪族オレフィンと過酸化水素を、溶媒、チタンシリ
    カライト触媒およびNH4 、Li、Na、K、Mgおよ
    びCaより成る群から選ばれるカチオンとCl、Br、
    NO3 、SO4 、ホスフェートおよびアセテートより成
    る群から選ばれるアニオンを含む非塩基性塩(ただし、
    アニオンがアセテートであるとき、カチオンはNaおよ
    びK以外のカチオンである)の存在下に、該非塩基性塩
    を該液相中に0.00001〜0.02Mの濃度で存在
    させて反応させることを含んでなる、C2 −C10脂肪族
    オレフィンのエポキシ化法。
  14. 【請求項14】 非塩基性塩が塩化リチウム、硫酸ナト
    リウム、硝酸リチウム、酢酸マグネシウム、酢酸アンモ
    ニウム、リン酸二水素アンモニウムおよびリン酸二水素
    ナトリウムより成る群から選ばれる、請求項13に記載
    の方法。
  15. 【請求項15】 C2 −C10脂肪族オレフィンがプロピ
    レンである、請求項13に記載の方法。
  16. 【請求項16】 チタンシリカライト触媒が反応ゾーン
    内に固定床の形で配置される、請求項13に記載の方
    法。
  17. 【請求項17】 C2 −C10脂肪族オレフィン、過酸化
    水素、溶媒および非塩基性塩を反応ゾーンに導入し、そ
    してC2 −C10脂肪族オレフィンに対応するエポキシド
    を含む生成物流を反応ゾーンから抜き取る、請求項16
    に記載の方法。
  18. 【請求項18】 チタンシリカライト触媒を反応ゾーン
    に導入する前に、非塩基性塩とチタンシリカライト触媒
    を混合する、請求項13に記載の方法。
  19. 【請求項19】 溶媒が水、C1 −C10アルコール、C
    3 −C10ケトンおよびこれらの混合物より成る群から選
    ばれる、請求項13に記載の方法。
  20. 【請求項20】 温度が40〜80℃である、請求項1
    3に記載の方法。
  21. 【請求項21】 チタンシリカライトがMFIトポロジ
    ーおよび化学式xTiO2 :(1−x)SiO2 (式
    中、xは0.01〜0.125である)に相当する組成
    を有する、請求項13に記載の方法。
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