JPH08199096A - 導電膜形成用組成物と透明導電膜被覆ガラス板の製造方法 - Google Patents
導電膜形成用組成物と透明導電膜被覆ガラス板の製造方法Info
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Abstract
重量部に、溶媒、 0.1〜5重量部のカップリング剤、な
らびに金属の有機酸塩および無機酸塩より選ばれた 0.1
〜5重量部の金属化合物、からなる導電膜形成用組成物
をガラス上に塗布し、300 ℃以上の不活性または還元性
雰囲気中で焼成して、透明導電膜で被覆されたガラスを
得る。別法として、上記ITO粉末と溶媒とカップリン
グ剤からなるガラス上の塗膜に上記金属化合物 0.2〜15
重量部を含有する液を含浸させ、同様に焼成してもよ
い。 【効果】 表面抵抗値 101〜102 Ω/□台、ヘーズ1%
以下の導電性と透明性に優れ、かつ密着性と硬度にも優
れた透明導電膜が得られる。
Description
膜、熱線反射膜、電磁波シールド膜、面発熱体、タッチ
パネル等の分野に利用できる導電膜形成用組成物と、そ
の導電膜形成用組成物から形成された透明導電膜被覆ガ
ラスに関するものである。
タリング法等を含む気相法と、塗布法とに大別される。
気相法は、従来より最も広く用いれらている膜形成方法
であり、高性能の透明導電膜を形成できるが、装置が高
価であって、生産性や歩留まりが悪く、大面積の成膜に
は不向きである。
インダーと溶媒からなる溶液) 中に分散させて塗料化
し、得られた導電性塗料を基板に塗布して乾燥、硬化さ
せ、透明導電膜を形成する塗布法は、導電膜を形成する
基板の寸法や形成の制限が少なく、設備が簡単で生産性
に優れており、簡便に透明導電膜を形成することができ
る。塗布法でヘーズ (曇度) の低い透明性に優れた導電
膜を得るには、塗料化の段階でバインダー溶液中に導電
性微粒子を一次粒子に近い状態までほぼ完全に分散させ
ることが重要である。即ち、バインダーは、ITO粉末
を分散させる作用と、ITO粉末を結合させる作用を果
たす必要がある。
エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透明性に優れ
た樹脂が一般的であるが、エチルシリケートやその縮合
物などの金属アルコキシドを使用する場合もある。導電
性微粒子としては、ドープ原子としてAlまたは他の金属
を含有する酸化亜鉛、アンチモンを含有する酸化錫等も
使用できるが、代表例は、特に低抵抗の膜を得ることが
知られている、錫を含有する酸化インジウム (以下、I
TOともいう) である。
イ、タッチパネル、プラズマディスプレイ、エレクトロ
ルミネッセンスディスプレイあるいは蛍光ディスプレイ
等の高性能化は目ざましく、これらに用いられる透明電
極や帯電防止膜は、より一層の光学特性と導電性の向上
が求められるようになってきた。しかし、塗布法により
形成される導電膜は、導電性微粒子としてITO粉末を
使用しても、気相法により得られたものに比べ、ヘーズ
や導電性の点で劣っており、上記の要請には満足に対応
することができなかった。
る塗布法を用いて、ヘーズ、導電性、密着性および膜硬
度に優れた導電膜を形成しうる導電膜形成用組成物とそ
の透明導電膜形成用組成物から形成された透明導電膜被
覆ガラスを提供することである。
を達成すべく検討を重ねた。その結果、ITO粉末、溶
媒およびバインダーからなる、塗布法に用いる従来の導
電塗料では、ヘーズ低下のために行うITO粉末の分散
処理工程で、ITO粉末の表面が絶縁性のバインダーで
被覆されてしまい、バインダーが乾燥または焼付後の塗
膜中にも残留するため、塗膜内のITO粉末はバインダ
ーにより被覆されたままであり、粉末間の直接接触が必
要な電子移動が阻害されて、導電性の向上 (抵抗値の低
下) を妨げることがわかった。
塗料では、ヘーズ低下を優先させるために十分なITO
粉末の分散を行うと、膜の抵抗値が増大する。逆に、抵
抗値の低下を優先させると、ITO粉末の分散が犠牲と
なりヘーズが高くなる。そのため、ヘーズと導電性とを
同時に改善することが困難である。
けた結果、バインダーの代わりに焼成時に分解するカッ
プリング剤を用いても、ITO粉末を塗料中に十分に分
散させることができることを見出した。しかし、カップ
リング剤だけではITO粉末の結合力が不足し、焼成後
に得られる透明導電膜の密着性や膜硬度が低下し、ヘー
ズや導電性もまだ不十分である。この点は、焼結助剤と
して金属の有機酸塩または無機酸塩等の金属化合物を使
用し、この金属化合物を予め塗料中にカップリング剤と
一緒に配合しておくか、或いはITO粉末とカップリン
グ剤から得られた塗膜に、この金属化合物の溶液を含浸
させることで解決でき、上記目的を達成することができ
ることが判明した。
1液型組成物と、下記の2液型組成物のいずれの形態
でもよい。 錫を含有する酸化インジウム粉末 (=ITO粉末) 、
溶媒、カップリング剤、ならびに金属の有機酸塩および
無機酸塩より選ばれた金属化合物、からなる導電膜形成
用組成物であって、前記酸化インジウム粉末100 重量部
に対して前記カップリング剤を 0.1〜5重量部、前記金
属化合物を 0.2〜15重量部の割合で含有することを特徴
とする無バインダーの導電膜形成用組成物。
0 重量部に対して 0.1〜5重量部の量のカップリング剤
からなるA液と、金属の有機酸塩および無機酸塩より選
ばれた金属化合物と溶媒とからなるB液とから構成され
る、無バインダーの2液型の導電膜形成用組成物。ただ
し、A液は、上記金属化合物を前記粉末100 重量部に対
して15重量部より少ない量でさらに含有していてもよ
い。即ち、上記金属化合物の一部はA液中に存在させて
もよい。
はシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング
剤、およびアルミネート系カップリング剤より選ばれ、
前記金属化合物はCo、Ni、Pb、In、Zn、Al、Fe、Ti、Sn
およびSbより選ばれた金属の化合物である。
これをガラス板に塗布し、300 ℃以上の不活性または還
元性雰囲気中で焼成することにより、ガラス板上に透明
導電膜を形成することができる。
そのA液をガラス板に塗布した後、得られた塗膜に、前
記粉末100 重量部に対して 0.2〜15重量部の量の前記金
属化合物を含有するB液を含浸させ、300 ℃以上の不活
性または還元性雰囲気中で焼成することにより、ガラス
板上に透明導電膜を形成することができる。なお、A液
が既に前記金属化合物を含有している場合には、B液の
含浸量は、含浸後の塗膜中の前記金属化合物の割合が、
前記粉末100 重量部に対して 0.2〜15重量部となるよう
にする。
布前にA液とB液とを混合し、上記1液型の導電膜形成
用組成物と同様に塗布および焼成して、ガラス板上に透
明導電膜を形成することもできる。
も、ITO粉末が、カップリング剤および焼結助剤とし
て用いた金属化合物の分解により生成した金属酸化物な
どの無機金属化合物によって焼結された構造を有する。
てもよく、あるいは公知の方法(例えば、錫とインジウ
ムの塩化物の酸性水溶液をアルカリで中和して、錫/イ
ンジウム水酸化物を共沈させ、この共沈物を焼成する)
で製造することもできる。ITO粉末は、 (In+Sn) の
合計量に対するSnの含有量が1〜15原子%の範囲のもの
が、特に低抵抗であるので好ましい。Sn含有量がこの範
囲を外れると、ITO粉末自体の抵抗 (体積抵抗値) が
高くなる傾向がある。また、ITO粉末の平均一次粒子
径は、形成された膜の透明性を阻害しないように、0.5
μm以下、特に0.2 μm以下であることが好ましい。
が存在し、しかも非常に微細な粒子からなるため、表面
活性が高い。従って、ITO粉末は非常に凝集し易く、
溶媒中で分散させるために、分散剤や界面活性剤ではI
TO粉末を完全に分散させることは難しく、たとえ分散
できたとしても、焼成時に導電性に悪影響を及ぼす熱分
解物が生じることが判明した。
O粉末を溶媒中に分散させる。本発明で使用可能なカッ
プリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネ
ート系カップリング剤、およびアルミネート系カップリ
ング剤から選ばれた1種もしくは2種以上を使用するこ
とが好ましい。これらのカップリング剤の例としては、
炭素数1〜8のアルキル基もしくはフェニル基を有する
シラン系カップリング剤、炭素数1〜18のアルキレート
基を有するチタネート系カップリング剤、アルキルホス
ファイト基もしくはアルキルパイロホスフェート基を有
するチタネート系カップリング剤、ならびにアセトアル
コキシ基を有するアルミネート系カップリング剤が代表
的なものとして挙げられる。
例としては、メチルトリエトキシシラン、n−プロピル
トリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、
オクチルトリエトキシシラン等の炭素数1〜8のアルキ
ル基を有するシラン系カップリング剤;フェニルトリメ
トキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニ
ルジエトキシシラン等のフェニル基を有するシラン系カ
ップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタ
ネート、イソプロピルトリオクチロイルチタネート等の
炭素数1〜18のアルキレート基を有するチタネート系カ
ップリング剤;テトライソプロピルビス (ジオクチルホ
スファイト) チタネート、テトラオクチルビス (ジドデ
シルホスファイト) チタネート等のアルキルホスファイ
ト基を有するチタネート系カップリング剤;ビス (ジオ
クチルパイロホスフェート) オキシアセテートチタネー
ト、イソプロピルトリス (ジオクチルパイロホスフェー
ト) チタネート等のアルキルパイロホスフェート基を有
するチタネート系カップリング剤;アセトエチルアルミ
ニウムジイソプロピレート、アセトオクチルアルミニウ
ムジイソプロピレート等のアセトアルコキシ基を有する
アルミネート系アルミニウム系カップリング剤が挙げら
れる。
対する親和性の高い極性基 (例、アルコキシ基) と、溶
媒に対する親和性の高い基 (例、アルキル基、フェニル
基)とを有している。カップリング剤の極性基がITO
粉末表面の極性基と結合して、粉末表面にカップリング
剤が適度に吸着される結果、粉末の凝集が制御され、同
時にカップリング剤の別の基が溶媒に対して親和性を示
すことにより、ITO粉末の溶媒中での分散性が向上す
るものと推測される。また、カップリング剤は有機金属
化合物であるから、焼成中に熱分解して無機金属化合物
に変化し、ITO粉末の焼結にも寄与する。しかし、前
述したように、カップリング剤単独では、ITO粉末の
粒子間およびこの粒子と基体のガラス間の結合は十分で
はないので、別に後述する焼結助剤も併用する。
0 重量部に対する量で 0.1〜5重量部、好ましくは 0.5
〜3重量部の範囲である。カップリング剤の量が0.1 重
量部未満であると、ITO粉末の分散が不十分となり、
ヘーズなどの光学特性が低下する。また、カップリング
剤の量が5重量部を越えるとITO粉末への被覆が多く
なり、導電性が悪くなる。
は、金属の有機酸塩および無機酸塩から選ばれ、これら
の1種または2種以上を使用することができる。これら
の金属化合物は焼成により無機金属化合物に変化して、
ITO粉末の粒子間およびこの粒子と基体のガラス間を
結合させ、密着性が良好で高硬度の透明導電膜の形成に
寄与する。
換した後の透明性に優れ、膜のヘーズを妨害しない金属
が好ましく、具体的にはCo、Ni、Pb、In、Zn、Al、Fe、
Ti、SnおよびSbから選ばれた金属の化合物を用いること
が好ましい。
ては、金属の炭素数1〜20の脂肪族、脂環式、および芳
香族カルボン酸塩 (例えば、オクチル酸インジウム、オ
クチル酸亜鉛、酪酸錫、ナフテン酸コバルト、安息香酸
鉛等) 、ならびに硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機
酸塩 (例えば、硝酸インジウム、硝酸コバルト、硝酸鉛
等) などが代表的なものとして挙げられる。
100 重量部に対する量で、 0.2〜15重量部、好ましくは
0.5〜10重量部の範囲である。この金属化合物の量が0.
2 重量部未満であると、焼成時のITO粉末の焼結性が
不十分となり、導電性、密着性等の膜特性が低下する。
一方、この金属化合物の量が15重量部を越えると、焼成
後の塗膜に金属が出現し、ヘーズが高くなり、密着性が
低下する。
タノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール
などのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、
ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、イソホロン
等のケトン類、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロ
ヘキサン等の炭化水素類、N,N-ジメチルホルムアミド、
N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類ならびに水など
が挙げられる。溶媒は、使用するカップリング剤が溶解
し、かつ焼結助剤の金属化合物が溶解もしくは安定に分
散するように、これらの種類に応じて、1種もしくは2
種以上を選択して用いる。溶媒の量は特に制限されず、
塗布に適した粘度の組成物が得られるような量であれば
よい。通常は、組成物の固形分が5〜60重量%の範囲と
なるような使用量が適当である。
剤、および焼結助剤の金属化合物を用いて導電膜形成用
組成物を調製するのであるが、本発明においては、1液
型と2液型の2種類の形態の導電膜形成用組成物が可能
である。
カップリング剤と焼結助剤の金属化合物が溶解あるいは
分散した溶液中にITO粉末を分散させることにより調
製できる。各成分とも1種もしくは2種以上を使用でき
る。混合は、従来より塗料の調製に利用されてきた任意
の手段により実施できる。所望により、上記以外の任意
添加成分をこの組成物にさらに含有させることもでき
る。このような添加成分の例には、界面活性剤、レベリ
ング剤等が挙げられるが、これらを多量に添加すること
は好ましくなく、通常は導電膜形成用組成物の固形分の
5重量%以下が望ましい。
ラス板、好ましくは無アルカリガラス板に塗布し、300
℃以上、好ましくは 350〜550 ℃の不活性または還元性
雰囲気中で焼成すると、透明導電膜が形成される。塗布
方法は、スピンコート、ロールコート、スプレーコー
ト、フローコートなどの常法により実施すればよい。焼
成雰囲気の例は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲
気、またはこの不活性ガスと水素との混合ガスからなる
還元性ガス雰囲気である。焼成時間は特に制限されない
が、通常は 0.5〜2時間の範囲である。塗布厚みは乾燥
膜厚で0.05〜5.0 μmの範囲が好ましい。
は、ITO粉末、溶媒、およびカップリング剤を混合し
たA液 (カップリング剤が溶解した溶媒中にITO粉末
が分散した分散液) と、焼結助剤の金属化合物と溶媒を
混合したB液 (溶媒中に金属化合物が溶解ないし分散し
た液) とを調製する。
金属化合物の一部をA液中に配合してもよい。したがっ
て、金属化合物の含有量が比較的少ない上記1液型の本
発明の導電膜形成用組成物をA液として使用することも
できる。
必要に応じ乾燥させる。その後、得られた塗膜にB液を
含浸させる。この含浸は、B液を塗布するか、或いはA
液を塗布したガラス板をB液中に浸漬することにより実
施できる。塗布法は上記と同様でよい。塗膜へのB液の
含浸量は、1液型の場合と同様に、塗膜中のITO粉末
100 重量部に対するB液中の金属化合物の量が、 0.2〜
15重量部、好ましくは0.5〜10重量部となる量である。
B液の含浸後は、上記と同様の条件で焼成を行う。
成物のA液とB液とを塗布前に混合して使用することも
できる。その場合、A液とB液との混合比率は、混合後
のITO粉末100 重量部に対する金属化合物の量が 0.2
〜15重量部の範囲内となるような比率とする。この混合
により、前述した1液型の導電膜形成用組成物が得られ
るので、これを1液型の導電膜形成用組成物と同様に塗
布し、焼成する。
成物を使用した場合にも、焼成前の塗膜においては、カ
ップリング剤がITO粉末表面に吸着することによっ
て、ITO粉末が低ヘーズ化に十分な程度まで分散し、
この分散したITO粉末間の間隙に焼結助剤の金属化合
物が存在している。そして、焼成によって、カップリン
グ剤と焼結助剤は分解し、これらの化合物の分解により
生成した無機金属化合物を介してITO粉末同士が融着
し、ITO粉末の焼結が行われる。すなわち、カップリ
ング剤と焼結助剤の分解生成物である無機金属化合物に
よってITO粉末の粒子間およびITO粉末とガラス基
体との間が結合することによって、基体に密着し、かつ
一体化した透明導電膜がガラス板上に形成される。な
お、分解により生成した無機金属化合物には、導電性を
著しく低下させない範囲で有機物が多少残存していても
よい。
特に粒界における酸素原子の移動拡散が促進され、それ
に伴う結晶成長を利用してITO粉末間の結合を強固に
することができる。そのため、ヘーズを低く保ったま
ま、導電性、密着性および膜硬度が著しく向上した透明
導電膜被覆ガラス板が得られる。
る。なお、実施例で使用したITO粉末は、いずれも
(In+Sn) の合計量に対するSn含有量が5原子%、平均
一次粒子径0.05μmの粉末である。
液型の導電膜形成用組成物を用いた透明導電膜被覆ガラ
ス板の製造を例示する。
溶媒、カップリング剤、および焼結助剤の金属化合物と
ともに (以上の成分の合計量=100 g) 250 ccの容器に
入れ、直径 0.3〜0.6 mmのジルコニアビーズ (ミクロハ
イカ、昭和シェル石油製)100gを加え、ペイントシェー
カーで3時間混合してITO粉末を分散させることによ
り、1液型の導電膜形成用組成物を得た。ビーズを除去
した後、組成物のITO粉末の分散状態を目視観察によ
り評価した。
傾斜させたガラス板 (厚さ2mm、ヘーズ0.0 %) にフロ
ーコート法により塗布し、表1に記載した温度および雰
囲気で1時間焼成して、ガラス板上に透明導電膜を形成
した。焼成前の塗膜中のITO粉末100 重量部に対する
カップリング剤と金属化合物の量も表1に示す。
法 (ロレスタAP: 三菱油化) により、ヘーズをヘーズメ
ーター(HGM−3D:スガ試験機) により測定した。また、
膜厚をSEM断面写真より、密着性を1mm/mm 基盤目ク
ロスカット・セロファンテープ剥離法 (升目数100)よ
り、膜硬度を鉛筆硬度法により求めた。これらの測定結
果も表1に示す。
が本発明の範囲外であるか、焼成条件が本発明の範囲外
である比較例の実験も行った。その試験条件および試験
結果も表1に併せて示す。
剤、有機金属化合物および無機金属化合物の記号の意味
は次の通りであり、カッコ内の比率は重量比である。 1)溶媒 A:キシレン B:キシレン/ジアセトンアルコール (70/30) C:キシレン/ジアセトンアルコール/アセチルアセト
ン (65/30/5) 2)カップリング剤 D:ビス (ジオクチルパイロホスフェート) オキシアセ
テートチタネート E:テトラオクチルビス (ジトリデシルホスファイト)
チタネート F:イソプロピルトリイソステアロイルチタネート G:アセトステアリルアルミニウムジイソプロピレート H:オクチルトリメトキシシラン I:ジフェニルジメトキシシラン J:D+E (50/50) 3)有機金属化合物 K:オクチル酸In/ナフテン酸Fe (95/5) L:オクチル酸In/オクチル酸Sn (95/5) M:オクチル酸In/オクチル酸Sb (95/5) N:オクチル酸In/オクチル酸Al/オクチル酸Ti (95/3
/2) 4) 無機金属化合物 P:硝酸In/硝酸Co (80/20) 5) バインダー樹脂 三菱レーヨン製アクリル樹脂LR 980 (樹脂固形分38wt
%) 。
では、ヘーズ1%以下、表面抵抗値101〜102 Ω/□
(ほとんどは101 Ω/□台) 、密着性 100/100、鉛筆硬
度4H以上という低ヘーズ、低抵抗で密着性、硬度に優
れた導電膜を形成することができた。これに対し、焼成
温度が300 ℃未満であるか、カップリング剤または焼結
助剤の量が範囲外である比較例では、透明性 (ヘーズ)
、導電性、密着性、膜硬度がいずれも低下した。ま
た、従来法によりバインダー樹脂を用いて得た透明導電
膜も、ヘーズ、導電性、密着性がすべて劣っていた。
2液型の導電膜形成用組成物と、この組成物を用いた透
明導電膜被覆ガラス板の製造を例示する。
および割合の溶媒およびカップリング剤とともに (以上
の成分の合計量=100 g) 250 ccの容器に入れ、直径0.
3 〜0.6 mmのジルコニアビーズ (ミクロハイカ、昭和シ
ェル石油製) 100 gを加えペイントシェーカーで3時間
混合してITO粉末を分散させることにより、塗布用I
TO粉末分散液 (A液) を得た。また、実施例1の試験
No.4で得たITO分散液もA液として使用した。ビーズ
を除去した後、このA液のITO粉末の分散状態は目視
で評価した。
合で焼結助剤の有機および/または無機金属化合物を溶
媒に溶解あるいは分散させることにより、含浸用組成物
(B液) を調製した。
2mm、ヘーズ0.0 %) にフローコート法により塗布し、
風乾により塗膜を乾燥させた後、得られた塗膜上にB液
を再度フローコート法により塗布して塗膜に含浸させ、
乾燥させた。含浸後の乾燥塗膜中のITO粉末100 重量
部に対するカップリング剤と金属化合物の量を表2に示
す。その後、表2に記載した温度および雰囲気で1時間
焼成して、ガラス板上に透明導電膜を形成した。得られ
た導電膜の表面抵抗値、ヘーズ、膜厚、密着性および硬
度を実施例1と同様に測定した結果も表2に併せて示
す。
施例では、2液型の導電膜形成用組成物とし、ITO粉
末とカップリング剤成分を含有するA液から得られた塗
膜に、焼結助剤の金属化合物を含むB液を含浸させて焼
成するという膜形成方法でも、実施例1の1液型組成物
の場合に匹敵する性能を備えた、導電性、密着性、透明
性および硬度のいずれにも優れた透明導電膜を得ること
ができた。
ダーを用いた従来の導電膜形成用組成物 (導電塗料) に
比べて、透明性、導電性、密着性、および塗膜硬度のい
ずれにも優れた、ガラス質の透明導電膜を形成すること
ができる。その結果、塗布法という簡便かつ効率的な方
法により、0.05〜5.0 μmの膜厚で、表面抵抗値が 101
〜103 Ω/□台、好ましくは 101〜102 Ω/□台、さら
に好ましくは101 Ω/□台、ヘーズが2%以下、好まし
くは1%以下、密着性 (1mm/mm 基盤目クロスカットセ
ロテープ剥離) が95/100以上、好ましくは100/100 、鉛
筆硬度が4H以上という優れた特性を示す透明導電膜被
覆ガラス板を製造することができる。
Claims (7)
- 【請求項1】 錫を含有する酸化インジウム粉末、溶
媒、カップリング剤、ならびに金属の有機酸塩および無
機酸塩より選ばれた金属化合物、からなる無バインダー
の導電膜形成用組成物であって、前記酸化インジウム粉
末100 重量部に対して前記カップリング剤を 0.1〜5重
量部、前記金属化合物を 0.2〜15重量部の割合で含有す
ることを特徴とする導電膜形成用組成物。 - 【請求項2】 錫を含有する酸化インジウム粉末、溶
媒、ならびに前記粉末100 重量部に対して 0.1〜5重量
部の量のカップリング剤からなるA液と、金属の有機酸
塩および無機酸塩より選ばれた金属化合物と溶媒とから
なるB液とから構成される、無バインダーの2液型の導
電膜形成用組成物。 - 【請求項3】 前記A液が、金属の有機酸塩および無機
酸塩より選ばれた金属化合物を前記粉末100 重量部に対
して15重量部より少ない量でさらに含有している、請求
項2記載の導電膜形成用組成物。 - 【請求項4】 前記カップリング剤がシラン系カップリ
ング剤、チタネート系カップリング剤、およびアルミネ
ート系カップリング剤より選ばれ、前記金属化合物がC
o、Ni、Pb、In、Zn、Al、Fe、Ti、SnおよびSbより選ば
れた金属の化合物である、請求項1、2または3記載の
導電膜形成用組成物。 - 【請求項5】 請求項1または4記載の導電膜形成用組
成物をガラス板に塗布し、300 ℃以上の不活性または還
元性雰囲気中で焼成することからなる、透明導電膜被覆
ガラス板の製造方法。 - 【請求項6】 請求項2、3または4記載の導電膜形成
用組成物のA液をガラス板に塗布した後、得られた塗膜
に、この導電膜形成用組成物のB液を、含浸後の塗膜中
の前記金属化合物の量が前記粉末100 重量部に対して
0.2〜15重量部となるように含浸させ、300 ℃以上の不
活性または還元性雰囲気中で焼成することからなる、透
明導電膜被覆ガラス板の製造方法。 - 【請求項7】 前記カップリング剤がシラン系カップリ
ング剤、チタネート系カップリング剤、およびアルミネ
ート系カップリング剤より選ばれ、前記金属化合物がC
o、Ni、Pb、In、Zn、Al、Fe、Ti、SnおよびSbより選ば
れた金属の化合物である、請求項5または6記載の透明
導電膜被覆ガラス板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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