JPH08164810A

JPH08164810A - 車両用内装部材及びその取付構造

Info

Publication number: JPH08164810A
Application number: JP6331504A
Authority: JP
Inventors: Takaya Tejima; 孝哉手島; Hiroaki Suzuki; 裕明鈴木
Original assignee: Inoue MTP KK; Inoac Corp
Current assignee: Inoac Corp
Priority date: 1994-12-10
Filing date: 1994-12-10
Publication date: 1996-06-25

Abstract

(57)【要約】【目的】側突事故時に内装部材中のボスが表面に突出
する虞れをなくし、乗員の身体保護がより確実になさ
れ、事故発生時の安全が図られるようにした車両用内装
部材及びその取付構造を提供する。【構成】合成樹脂により取付面３側が開口した中空殻
状体２と、該中空殻状体２の内側に配設される緩衝用の
格子状リブ５とを一体に成形し、更に、先端が前記取付
面３に達しない短寸のボス６を該中空殻状体２の内面よ
り一体に隆設し、被取付部１０に貫挿した取付けねじ１
２の先端部を該ボス６に螺入させることで、該ボス６の
先端面が被取付部１０から離間状態で取付けられるよう
にした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、アームレスト等の車両
用内装部材及びその取付構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、車両に対し、正面からの衝突のみ
ならず、側方からの衝突（以下、「側突」という。）に
ついても高い安全性が要求されるようになってきた。こ
うしたことから、自動車の側突事故時に、乗員がアーム
レスト等の内装部材に対し二次衝突した際、乗員の安全
を高める対策が講じられている。具体的には、アームレ
ストのような内装部材の内側にウレタン発泡体，発泡ビ
ーズ等の緩衝材が配設されてきた（特開平４−２９３６
４０号，特開平５−５１４号公報等参照）。ところが、
この種の緩衝材は、内装部材本体と別部材に成形される
ものであるため、製造，組付け等のコストがかかり生産
性に劣っていた。そこで、本発明者等は、図６にアーム
レストを例として示したように、内部に緩衝材を一体的
に成形した内装部材を既に提案している。これは、ポリ
プロピレン等の熱可塑性樹脂により成形される中空殻状
体ａの内側に側突時の衝撃により破壊し得る格子状のリ
ブｂを緩衝材として一体に形成したものである。このよ
うに構成すると、二部材を夫々成形する必要がなく、ま
た、組立の手数を要しないので、コスト節減できる長所
を有する。尚、同図中、符号ｃは、図７にアームレスト
の取付状態を示したように、被取付部ｄであるドアーイ
ンナーパネルの所要取付部に貫挿した取付けねじｅを螺
入するため中空殻状体ａの内面に一体に隆設された取付
用のボス、符号ｆはこのボスｃの外周面に形成された十
字状の補強用リブである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかるに、前記アーム
レストの場合、図８に示すごとく、側突に対し、中空殻
状体ａ，リブｂ等が座屈，変形しても、ボスｃは取付け
ねじｅを螺入可能な機械的強度，剛性を有するように成
形されるために、側突時に加わる強い外力によっても殆
んど座屈，変形等を起こさなかった。故に、側突荷重が
加わった際、他の緩衝部と座屈変形量が異なる結果、ボ
スｃの根元部ｖがアームレスト意匠面から突出する虞れ
があり、乗員への安全性が維持されている状況とはいえ
なかった。

【０００４】本発明は上記問題点を解決するもので、側
突事故時に内装部材中のボスが表面に突出する虞れをな
くし、乗員の身体保護がより確実になされ、事故発生時
の安全が図られるようにした車両用内装部材及びその取
付構造を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本第一発明の要旨は、合
成樹脂により取付面側が開口した中空殻状体を成形する
と共に、被取付部を貫通させた取付けねじの先端部を螺
入させるためのボスをその先端面が前記取付面に達しな
い短い寸法にて該中空殻状体の内面より一体に隆設した
ことを特徴とする車両用内装部材にある。本第二発明で
は、第一発明の構成に加え、中空殻状体の内側で緩衝用
の格子状リブを中空殻状体に一体成形で配設した車両用
内装部材にある。本第三発明は、合成樹脂により取付面
側が開口した中空殻状体を成形すると共に、先端が前記
取付面に達しない短寸のボスを該中空殻状体の内面より
一体に隆設し、被取付部に貫挿した取付けねじの先端部
を該ボスに螺入させることで、該ボスの先端面が被取付
部から離間状態で取付けられるようにしたことを特徴と
する車両用内装部材の取付構造にあり、第四発明では、
第三発明の構成に更に中空殻状体の内側に配設される緩
衝用の格子状リブを中空殻状体と一体成形するのを加え
るものである。

【０００６】

【作用】本発明のごとく、ボス先端面が被取付部の取付
面に達しない短いボス形状にすると、側突事故時に強い
外力が働いても、ボス先端面と被取付部とが離間状態に
あるので、まず、ボス周辺の内装部材が押しつぶされ、
乗員には大荷重が伝達されない。そして、従来品のよう
にボス根元に応力集中することもなくなる。すなわち、
取付けねじは、側突に伴い、被取付部の外方に押し出さ
れるように移動することになるので、ボス先端面が被取
付部に当たるまでボスは中空殻状体から意匠面に突き出
る虞れがない。第二，第四発明のごとく、中空殻状体内
に緩衝用の格子状リブを一体成形すると、製造もたやす
く、且つ格子状リブが衝撃緩和する吸収材として働き、
乗員保護し安全性を高めるうえで一層役立つようにな
る。

【０００７】

【実施例】以下、本発明に係る車両用内装部材及びその
取付構造を実施例に基づいて詳述する。図１〜図３は車
両用内装部材及びその取付構造の一実施例を示す。車両
用内装部材として、自動車ドアのインナーパネル（被取
付部）の車室内側に取り付けられるアームレストに適用
したものである。図１は内装部材単体を取付面側から表
した斜視図、図２はこの内装部材を被取付部に取付けた
状態の縦断面図、図３は図２の内装部材で側突時の変形
状態を表した縦断面図、図４は内装部材の側突時におけ
る衝撃変形の経時変化を示す説明断面図を示す。

【０００８】この内装部材１は、ポリプロピレンを主成
分とする結晶性のある熱可塑性樹脂（ＰＰ）や、アクリ
ロニトリル，ブタジエン，スチレンの３成分からなる非
結晶性の熱可塑性樹脂（ＡＢＳ樹脂）等により射出成形
で一体に成形されたものである。図中、符号２は取付面
３側が開口した半円ドーム形の中空殻状体、符号４は中
空殻状体２の一側に一体に成形された肘当て部分であ
る。そして、中空殻状体２の内側に緩衝用の格子状リブ
５が一体に成形されている。格子状リブ５は、中空殻状
体２より肉薄なるリブを中空殻状体２の内面から取付面
３に向けて縦横の格子状となるように形成している（図
１）。斯る格子状リブ５は、側突時に加わる強い外力に
より容易に座屈，変形し、その衝撃を吸収し得る緩衝機
能を発揮する。本実施例では、格子状リブ５は中空殻状
体２と一体成形したが、別体成形したものを後から組込
んでもよい。

【０００９】そして、上記中空殻状体２の内面から十分
な機械的強度，剛性を有した円柱状のボス６を４本程適
宜間隔を置いて一体に隆設している（図２）。ここで、
各ボス６の長さＬは、その先端７が前記取付面３に達し
ない短寸なるものとする。尚、該各ボス６の先端７面に
は同心状に止孔８が形成される。

【００１０】一方、被取付部１０（インナーパネル）に
は、ボス６の位置に対応して透孔１１が開設される。そ
して、図２に示すごとく、透孔１１に取付けねじ１２を
貫通させ、取付けねじ１２の先端部を前記各ボス６の止
孔８に螺入し締め付けすることにより、ボス６の先端７
面が被取付部１０から間隙Ｇを有して離間した状態で強
固に取付られるようにしている。この間隙Ｇは、側突時
における前記格子状リブ５が座屈，変形する度合いを勘
案して適宜設定される。

【００１１】こうように構成した内装部材１たるアーム
レストが被取付部１０に取付られると、側突事故等が発
生した場合でも、乗員の安全が図られる。その側突事故
時の作用，効果を図４，図５を使って説明する。図４は
本実施例に係る車両用内装部材１を被取付部１０に取付
けた横断面図、図５は図４に対応して、ボス先端面ｉが
被取付部１０に当接する従来のボスｃを使用した横断面
図を示している。図４，図５共に上方側が車室Ｒ内で、
符号Ｗは乗員の腰部を表す。まず、従来品によれば、図
５の静置状態（図５（イ））から、側突荷重たる外力
（図５（ロ）の下側から上方へ向う矢印）が加わると、
反作用で乗員の腰部Ｗがアームレストに衝突（二次衝撃
力）し、リブｂが二次衝撃力に対応し変形収縮するが、
ボスｃは剛性が高いためその根元部分ｇに応力が集中す
る（図５（ロ））。そして、根元部分ｇの材料破壊を招
き、取付け用ボスｃが腰部Ｗに向って突出する虞れがあ
る（図５（ハ））。

【００１２】これに対し、本実施例の内装部材１は、静
置状態（図４（イ））から側突荷重たる外力が加わる
と、反作用で乗員の腰部がアームレストに衝突する。こ
のとき、インナパネル１０とボス６とが離間状態にあ
り、間隙Ｇ部分にある格子状リブ５が座屈変形を起こ
し、外力を吸収する（図４（ロ））。更に大きな外力が
加わっても、ボス先端７が被取付部１０に接していない
ため、ボス６周辺の格子状リブ５がそれに応じて座屈変
形するにとどまり、乗員の安全を図ることができる（図
４（ハ））。そして、斯る格子状リブ５の変形に伴い、
取付けねじ１２は、被取付部１０からドアアウターパネ
ル側へ向って押出されるよう相対移動する（図３）。か
くして、乗員の安全が保障される。

【００１３】尚、本発明においては、前記実施例に示す
ものに限られず、目的，用途に応じて本発明の範囲で種
々変更できる。実施例では、ボス６を４本形成したもの
について説明したが、その本数については所要取付強度
等を考慮して適宜設定される。ボス６の外周面に補強用
として放射状にリブを形成することもできる。また、中
空殻状体２内に一体に格子状リブ５を成形したものにつ
いて説明したが、中空殻状体２内にはこの格子状リブ５
に代えて、他の形態の緩衝用リブ、又は緩衝用発泡体等
を一体に形成し、若しくは別部材として格子状又は多孔
質等に成形された緩衝材を組み込むようにしてもよい。
更に、アームレストに限らず、ダッシュボード，コンソ
ールボックス，グローブボックス、その他の車両用内装
部材を取付けるのに適用でき、斯る場合、内装部材の機
能，用途，所要強度等に応じて各部の形状及び構成材料
等を適宜選択し得る。

【００１４】

【発明の効果】以上のごとく、本発明に係る車両用内装
部材及びその取付構造は、側突事故時に強い外力が加わ
って内装部材が変形する際にも、ボスが中空殻状体から
意匠面に突出する虞れがないので、乗員の安全性向上に
有益な効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す車両用内装部材の斜視
図である。

【図２】図１の車両用内装部材の取付状態を示す縦断面
図である。

【図３】図２の車両用内装部材の側突時の変形状態を示
す縦断面図である。

【図４】実施例に係る車両用内装部材の側突時における
衝撃変形の経時変化を示す説明断面図である。

【図５】従来品からなる車両用内装部材の側突時におけ
る衝撃変形の経時変化を示す説明断面図である。

【図６】従来の車両用内装部材の一例を示す斜視図であ
る。

【図７】図６の従来の車両用内装部材の取付状態を示す
縦断面図である。

【図８】図７の従来の車両用内装部材の側突時の変形状
態を示す縦断面図である。

【符号の説明】

１内装部材２中空殻状体３取付面５格子状リブ６ボス７先端８止め孔１０被取付部１１透孔１２取付けねじＧ間隙

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】合成樹脂により取付面側が開口した中空
殻状体を成形すると共に、被取付部を貫通させた取付け
ねじの先端部を螺入させるためのボスを配設し、前記ボ
スの先端面が前記取付面に達しない短い寸法にて該中空
殻状体の内面より一体に隆設したことを特徴とする車両
用内装部材。
【請求項２】合成樹脂により取付面側が開口した中空
殻状体と、該中空殻状体の内側に配設される緩衝用の格
子状リブとを一体に成形すると共に、被取付部を貫通さ
せた取付けねじの先端部を螺入させるためのボスを配設
し、前記ボスの先端面が前記取付面に達しない短い寸法
にて該中空殻状体の内面より一体に隆設したことを特徴
とする車両用内装部材。
【請求項３】合成樹脂により取付面側が開口した中空
殻状体を成形すると共に、先端が前記取付面に達しない
短寸のボスを該中空殻状体の内面より一体に隆設し、被
取付部に貫挿した取付けねじの先端部を該ボスに螺入さ
せることで、該ボスの先端面が被取付部から離間状態で
取付けられるようにしたことを特徴とする車両用内装部
材の取付構造。
【請求項４】合成樹脂により取付面側が開口した中空
殻状体と、該中空殻状体の内側に配設される緩衝用の格
子状リブとを一体に成形し、更に、先端が前記取付面に
達しない短寸のボスを該中空殻状体の内面より一体に隆
設し、被取付部に貫挿した取付けねじの先端部を該ボス
に螺入させることで、該ボスの先端面が被取付部から離
間状態で取付けられるようにしたことを特徴とする車両
用内装部材の取付構造。