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JPH08133919A - 抗菌作用を有する固形物及びその製造方法並びに液体およびその流路の抗菌方法 - Google Patents

抗菌作用を有する固形物及びその製造方法並びに液体およびその流路の抗菌方法

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JPH08133919A
JPH08133919A JP6312309A JP31230994A JPH08133919A JP H08133919 A JPH08133919 A JP H08133919A JP 6312309 A JP6312309 A JP 6312309A JP 31230994 A JP31230994 A JP 31230994A JP H08133919 A JPH08133919 A JP H08133919A
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antibacterial
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Makoto Hayakawa
信 早川
Tamon Kimura
太門 木村
Toshiya Watabe
俊也 渡部
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Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 銀の溶出速度を最小化して抗菌抗カビ材の長
寿命化を図ること。 【構成】 基材に光触媒作用を有する層を介して、銀粒
子からなる層を基材表面に形成し、更に、銀粒子からな
る層の表面には少なくとも部分的に難溶性の銀塩が形成
されている抗菌作用を有する固形物

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、汚水等の液体又はその
流路に載置、固定する抗菌作用を有する固形物に関する
共に汚水等の液体又はその流路の抗菌方法に関する。
【0002】
【従来技術】汚水等の液体およびその通路の抗菌方法と
しては、従来より光触媒を利用した方法、抗菌性金属を
利用した方法およびそれらを組み合わせた方法がある。
光触媒を利用した方法は、特公平5−50294号にお
いて、光半導体微粒子を基材表面に固定化して成る光滅
菌性充填材を有することを特徴とする滅菌リアクターが
開示されており、それにより3時間で99%以上の滅菌
に成功している。
【0003】しかし、一方特公平6−7905号にはこ
の方法の欠点が指摘されている。特公平6−7905号
には、半導体からなる光触媒層と、それに対向して設け
られた紫外線灯および発熱体と、送風機からなり、光触
媒層全体が順次加熱されるように、光触媒層あるいは発
熱体、または光触媒層及び発熱体が移動する光触媒によ
る脱臭装置が開示されている。さらにこの装置を作成し
た目的として以下のことが記されている。すなわち、高
分子物質や塵芥の混合物が、光触媒反応を起こす触媒で
ある半導体表面に付着し、これを覆ってしまうため、触
媒まで紫外線が達せず、触媒がエネルギーを受けにくく
なり、光触媒反応が低下し、反応劣化を引き起こすので
ある。このような現象は抗菌に使用した場合にも生じる
と考えられ、特に汚水等の液体およびその通路、接触部
では、水がこれらの混合物のを輸送媒体として働くため
生じやすいと考えられる。したがって上記に示すような
装置でも用いない限り、光触媒を利用した方法での長期
の使用は困難であると考えられる。
【0004】抗菌性金属を利用した方法は、特開平2−
19308号等に開示されている。特開平2−1930
8号では、層状ケイ酸塩に含有されるイオン交換可能な
金属の少なくとも一部を銀、銅および亜鉛の中から選ば
れた少なくとも1種の金属で置換してなる被膜形成能を
有する抗菌性ケイ酸塩、具体的には銀モンモリロナイト
が開示されている。この銀モンモリロナイトは確かに初
期の抗菌性には優れている。また溶出する銀イオンによ
り殺菌されるので、接触を要件とする光触媒とは異な
り、効力が溶液にも及ぶ。
【0005】しかし特開平6−65012号に示されて
いるように、モンモリロナイトへの銀の担持力が弱いた
め、溶出速度が速く長期の使用に耐えない。さらに汚水
等の液体およびその通路、接触部のように、多量のアル
カリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンの存在する環
境では、かかるイオン交換法による銀の固定では、これ
らアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンと銀と
の交換が一気に生じ、銀の溶出が加速されるので、より
短期で効力を失ってしまうと考えられる。
【0006】そこで、光触媒と銀を組み合わせた方法
が、特開平6−65012号に開示されている。特開平
6−65012号では、銀、銅、亜鉛、白金の内から選
ばれた少なくとも1種の金属イオンを含有した酸化チタ
ン膜を基板に被覆した抗菌抗カビセラミックスが開示さ
れている。その効果は基本的には、酸化チタン膜による
光触媒作用と、銀、銅、亜鉛、白金の内から選ばれた少
なくとも1種の金属イオンによる抗菌作用であるが、そ
れに加え酸化チタン膜のもう1つの役割として以下のこ
とが開示されている。すなわち酸化チタン膜の厚さおよ
び含有金属量を変化させることにより、または白金膜を
さらに酸化チタン膜上に被覆し、その厚さを変化させる
ことにより含有金属の徐放(溶出)速度あるいは寿命を
制御できるとされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
6−65012号に開示された方法には以下に示す問題
がある。酸化チタン膜の厚さおよび含有金属量の変化
は、いずれも膜に含まれる銀の絶対量の制御であり、確
かに抗菌抗カビセラミックスの寿命はそれにより支配さ
れる。しかし抗菌抗カビセラミックスの長寿命化を図る
には本質的には徐放(溶出)速度を効力のある範囲で最
小化すべきである。徐放(溶出)速度はむしろ銀が酸化
チタン膜へどの程度の強さで固定されるかに支配される
と解される。特開平6−65012号ではその観点が開
示されていない。ただし白金膜をさらに酸化チタン膜上
に被覆し、その厚さを変化させる方法はその1つの実施
態様ではある。しかしこの方法では白金塗布という工程
が1つ増加するとともに高価な白金膜を塗布しなければ
ならず、コスト上問題がある。そこで本発明では、白金
を塗布することなく徐放(溶出)速度を最小化して抗菌
抗カビ材の長寿命化を図ることを目的とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では上記課題を解
決すべく、基材に光触媒作用を有する層を介して、銀粒
子からなる層を基材表面に形成し、更に、銀粒子からな
る層の表面には少なくとも部分的に難溶性の銀塩が形成
されていることを特徴とする抗菌作用を有する固形物と
した。
【0009】また、液体及びその流路に基材に光触媒作
用を有する層を介して銀元素を含む粒子が担持されてい
る抗菌剤を配置すると共に、その抗表面に銀と難溶性の
塩を形成する陰イオンを接触させることにより、液体及
びその流路を抗菌する特徴とする抗菌方法とした。
【0010】ここで汚水等の液体とは、例えば台所、風
呂場、洗面器等の洗浄後の汚水、尿水、浴槽水、人工噴
水の循環水、プールの水、空調の冷却水などである。汚
水等の液体の流路とは、上記の水が接触する部分のこと
で、例えば流し台のシンクやトラップ、風呂場の床タイ
ル、洗面器のシンクやトラップ、便器のサナ周辺、浴槽
の加熱ガスの給気部や排気部、人工噴水の循環経路内な
どである。
【0011】担体の材質は、セラミック、陶磁器材料、
金属、ガラス、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、あるいは
それらの複合物等基本的に何でもよい。ただし、光触媒
作用を有する層を酸化物半導体層から形成する場合は、
一般に300℃以上の高温で熱処理する必要があること
から、熱的安定性に優れるセラミックあるいは陶磁器材
料が好ましい。またセラミック、陶磁器材料、金属の場
合は軽量化の観点から多孔質であることが好ましい。
【0012】担体の形状は、球状、円柱状、円筒状、角
柱状、中空の角柱状、棒状、板状、粉状、塊状などいず
れでもよいが、コーナー及びエッジ部が尖っていないほ
うが好ましい。その理由は、コーナー及びエッジ部が存
在すると、その部分への銀の付着具合が変化しやすいこ
と、および機械的に弱く優先的に剥離や溶出が生じやす
いことが挙げられる。また、円筒状、中空の角柱状で
は、部材を軽量化できる利点がある。
【0013】光触媒作用を有する層とは、主として光触
媒作用を有する粒子からなる層である。主として光触媒
作用を有する粒子が含まれていれば、他に少量の光触媒
作用を生じない粒子が含まれていてもよい。このような
粒子としては、層の強度を向上させるために加える焼結
助剤等が挙げられる。
【0014】光触媒作用を有する層は担体の全面に塗布
してもよいし、一部に塗布してもよい。ただし全面塗布
のほうが、強固に担体に担持される銀の絶対量を増加さ
せることができ、また終端が存在しないのでその部分か
ら優先的に剥離や溶出が生じることがないので好まし
い。光触媒作用を有する層の担体への担持は直接担持さ
せてもよいし、接着層を介してもよい。ただし特に形状
が板状のときは接着層を介したほうが接合強度が向上す
るので好ましい。ここで接着層の材質としては、釉薬等
の無機質の熱可塑性材料、シリコン樹脂等の無機質の熱
硬化性材料、アクリル樹脂等の有機質の熱可塑性材料、
エポキシ樹脂等の有機質の熱硬化性材料のいずれでもよ
い。ただし、光触媒作用により分解されないこと、およ
び300℃以上の高温で熱処理可能であることから釉薬
等の無機質の熱可塑性材料またはシリコン樹脂等の無機
質の熱硬化性材料のほうがより好ましい。
【0015】光触媒作用を有する粒子は、基本的に光照
射時に銀塩から銀を析出しうる程度のバンド・ギャップ
があれば足りるが、より好ましくは自らも抗菌作用を有
するほうがよい。光触媒作用を有する半導体が抗菌作用
を有する理由は、所定以上の電圧が印加され感電死する
という説(特公平4−29393号)もあるが、一般に
は光照射時に生じる活性酸素のためと考えられている。
活性酸素を生成するためには、半導体の伝導帯の位置が
バンドモデルで表すとき水素発生電位より上方にあり、
かつ価電子帯の上端が酸素発生電位より下方にあること
を要する。この条件を満たす半導体には、TiO2、S
rTiO3、ZnO、SiC、GaP、CdS、CdS
e、MoS3等がある。また微粒化すると伝導帯の位置
は上方に移行するので、1〜10nm程度の微粒子で層
を構成できれば、SnO2、Fe2O3、WO3、Bi
2O3等も抗菌性を有する可能性がある。なお光触媒作
用を有する層を構成する光触媒作用を有する粒子は1種
の物質から構成してもよいし、2種以上の物質で構成し
てもよい。
【0016】銀元素を含む粒子の粒径は、基本的には問
わないが、平均粒径10nm以下のほうが表面活性が高
く、そのため下層および隣接する銀に強固に担持される
ので好ましい。
【0017】銀元素を含む粒子の担持方法は、熱処理に
よる方法、光還元による方法等があるが、基本的にどの
ような方法を用いてもよい。ただし銀元素を含む粒子を
担体または基材にある程度強固に結合するほうが好まし
く、そのためには光還元による方法のほうが好ましい。
【0018】銀元素を含む粒子を基材にある程度強固に
結合する一態様を以下に示す。まず基材に光触媒作用を
有する粒子の前駆体を塗布し、焼成して複合部材を得
る。この複合部材を銀イオンを含む金属塩溶液中で、回
転させながら光照射して10nm以下の超微粒の銀粒子
を基材表面に固定させる。その後超音波をかける等の方
法により、基材表面に多層に弱く吸着された部分を取り
除く。
【0019】更に、銀元素を含む粒子の層上に、銀と陰
イオンを反応させて難溶性の銀塩を生成させる。その陰
イオンとしては、例えば、塩素イオン、炭酸イオン、リ
ン酸イオン、ヨウ素イオン、臭素イオン、シュウ酸イオ
ン、酸素イオンなどが挙げられる。
【0020】銀元素を含む粒子の層上に難溶性の銀塩を
生成させる方法は、予め銀元素を含む粒子が基材表面に
固定された部材に、上記陰イオンを含む溶液に浸漬させ
て抗菌剤表面に難溶性の銀塩を生成させてもよいし、銀
元素を含む粒子が基材表面に固定された抗菌剤を液体お
よびその流路に配置し、前記液体に上記陰イオンを含む
溶液を供給することにより銀と上記陰イオンを接触させ
てもよい。
【0021】銀元素を含む粒子の層上に難溶性の銀塩を
生成させる方法は、予め銀元素を含む粒子が基材表面に
固定された部材に、上記陰イオンを含む溶液に浸漬させ
て抗菌剤表面に難溶性の銀塩を生成させる方法では、初
期から銀の溶出速度を最小化しうると共に、安定的に制
御しうる点で優れている。
【0022】また、銀元素を含む粒子が基材表面に固定
された抗菌剤を、液体およびその流路に配置し、前記液
体に上記陰イオンを含む溶液を供給することにより、銀
と上記陰イオンを接触させる方法では、初期の溶出速度
は大きく殺菌力に優れ、その後難溶性の銀塩が形成され
ていく過程で溶出速度が減少していき、難溶性の銀塩で
抗菌剤表面が覆われると、その後、最小化された一定の
溶出速度で制御されることになる。したがって、初期段
階で流路に菌が著しく繁殖している場合や、プールの水
等の静置した水の場合などのように、初期に菌数を減少
させることで菌の繁殖速度を著しく抑えることができる
状況では、むしろこのタイプの方が有利である。
【0023】上記抗菌剤に紫外線を含む光が照射されて
いてもよい。それにより下層に存在する光触媒作用も活
用することができ、抗菌力が増すからである。陰イオン
が塩素イオンならば、数ppm以上あれば銀の溶出速度
を抑制する効果がある。したがって水道水によっても効
果が生じるので、銀元素を含む粒子が基材表面に固定さ
れた抗菌剤を、液体およびその流路に配置し、前記液体
に上記陰イオンを含む溶液を供給することにより、銀と
上記陰イオンを接触させる方法において、山間部地域を
除き、水道以外の塩素供給手段を特に設けなくてもよい
ことになる。また銀の溶出速度抑制効果は、フッ化イオ
ンを除くハロゲン化イオンにおいて特に大きく、その中
で塩素イオンは最も安価に得られることからも好まし
い。
【0024】陰イオン量は多いほど抗菌剤表面を完全に
覆うことになるので、銀の溶出速度を最小かつ一定にで
き好ましい。ただしあまり多く添加すると抗菌剤表面が
白色化し、かつ透光性を失うので光触媒作用を有する下
地層による抗菌効果を活用しにくくなり、好ましくな
い。例えば、塩素イオンの場合には30ppm添加すれ
ば、抗菌剤表面は塩素イオンで覆われるようになり、銀
の溶出速度は一定となる。ただし3000ppm以上添
加すると、抗菌剤表面は透光性を失うことになる。
【0025】
【作用】最外層の銀が陰イオンと反応して難溶性の銀塩
を形成することにより、銀の溶出速度を最小化させるこ
とができる。それにより抗菌性が長期に亘り維持され
る。
【0026】
【実施例】
実施例1 直径5mmのアルミナ製の多孔体ボールに平
均粒径0.01μmのTiO2ゾルのアンモニア解膠懸
濁液をスプレー・コーティング法により塗布し、700
℃で1時間焼成する工程を2回くりかえした後、硝酸銀
水溶液に浸漬させ、ボールをよく回転させながらBLB
ランプを20分照射する工程により銀粒子をボール全面
に固定させた後、超音波分散することにより過剰に付着
した銀を除去し、よく水洗することにより抗菌剤試料を
得た。このときのTiO2の結晶型はアナターゼであっ
た。また担持された銀粒子の粒径は数nm〜10nm程
度であった。得られた試料について以下に示す方法によ
り、銀の溶出速度および抗菌性を評価した。
【0027】銀の溶出速度は以下の方法により評価し
た。まず予め80体積%エタノールに2時間浸漬後、5
0℃で2時間乾燥した抗菌剤試料5個を種々の溶媒10
mlとともに滅菌試験管に入れ、30℃ふらん器で24
時間放置した。その後0.45μmのメンブランフィル
タでろ過し、原子吸光(日立6000フレーム式)によ
り分析した。
【0028】抗菌性の評価は以下の方法により評価し
た。まず予め80体積%エタノールに2時間浸漬後、5
0℃で2時間乾燥した抗菌剤試料5個を種々の溶媒10
mlとともに滅菌試験管に入れ、30℃ふらん器で3時
間放置した。その後抗菌剤試料を取り出し、オートクレ
ーブ中121℃で20分洗浄し、80体積%エタノール
に2時間浸漬後、50℃で乾燥させて表面を洗浄した。
次いで大腸菌(Escherichia Coli
3110株)の菌液を種々の培地で105CFU/ml
に調整したものを、滅菌した1ml試料瓶に採取し、そ
こに抗菌剤試料を1個入れ、30℃ふらん器で数時間放
置した後の菌数を調べた。なおここで用いた溶媒中の含
有塩素量は人工尿では約10%、ブイヨンでは約10p
pm、超純水では1ppm未満である。
【0029】その結果、銀の溶出量は超純水で16.7
ppm、ブイヨン培地では9.13ppm、人工尿で
1.84ppmであり、含有塩素量の多いものほど銀の
溶出量が小さくなった。また種々の溶媒中に抗菌剤試料
を放置したときの初期の抗菌性を表1に示す。その結
果、銀の溶出速度の小さな人工尿中に放置したものでも
残留菌数は10cells/ml未満と良好な結果を示
した。
【0030】
【表1】
【0031】また、種々の溶媒中に抗菌剤試料を放置し
たときの2か月後の抗菌性を表1に示す。その結果、銀
の溶出速度の人工尿中に放置したものでも残留菌数は1
0cells/ml未満と変化が認められず、充分な抗
菌性を示した。以上の結果から含有塩素量の多いものほ
ど銀の溶出量が小さく、かつかかる少量の溶出量あるに
もかかわらず、長期にわたり充分な抗菌性を示すことが
判明した。
【0032】比較例 直径5mmのアルミナ製の多孔体
ボールに直接1重量%硝酸銀水溶液をスプレー・コーテ
ィング法にて塗布し乾燥させて得た固形物を作製した。
得られた固形物の上に固定された銀粒子の大きさは実施
例のものよりもやや大きく数nm〜100nmぐらいで
あった。この試料について、実施例1と同様の手法(ブ
イヨン培地にて)で24時間後の銀の溶出量、初期抗菌
性および1か月後の抗菌性を評価した。その結果、24
時間後の銀の溶出量は>100ppmと大きかった。ま
た初期抗菌性は101cells/mlと良好だが、1
か月後の抗菌性は103〜104cells/mlでほ
とんど効果を失っていることが判明した。
【0033】実施例2 実施例1で形成した抗菌剤試料
を用いて、塩素イオンの濃度による銀の溶出量を評価し
た。尚、塩素濃度は、塩化アンモニウム水溶液を作製
し、塩化アンモニウムの濃度を変化させることにより評
価した。その結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】その結果、概念図1に示すように塩素イオ
ン濃度が30ppmまでは溶出速度は急激に減少し、3
0ppm以上ではほぼ一定になることが観察された。こ
の現象はつぎのように説明できる。まず30ppmまで
(図1の 領域)は図2に示すようにAg層からの速い
溶出とAgClが形成された部分からの遅い溶出が同時
に生じる。そして塩素イオン濃度の増加に伴い、AgC
lの形成部分が増加し、Ag層からの速い溶出の生じる
割合が減少する。したがって塩素イオン濃度が増加する
と溶出速度は減少していく。それに対し、図3のように
30ppm以上(図1の の領域)ではAg層はAgC
lに完全に覆われることになる。したがってAgClか
らの遅い溶出しか生じなくなるので、銀の溶出速度は一
定となる。
【0036】30ppm以上で、銀の溶出量が少なくな
るのは、光触媒作用を有する層上に形成された銀元素粒
子を含む層上に塩化銀が膜上に形成され、その膜上塩化
銀からの溶出によると思われる。また、多少の変動は、
最表層の塩化銀の脱離により、銀元素粒子を含む層から
の溶出が多少起きているものと思われる。
【0037】
【発明の効果】基材に光触媒作用を有する層を介して銀
元素を含む粒子が担持されている抗菌剤と、銀と難溶性
の塩を形成する陰イオンとを接触させて難溶性の銀塩を
抗菌剤表面に形成することにより、前記抗菌剤上の銀の
溶出速度を抑えることができ、それにより前記抗菌剤の
長寿命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩素濃度と銀の溶出速度との関係を表す図。
【図2】塩素濃度30ppmまでの銀の溶出状態を示す
図。
【図3】塩素濃度30ppm以上での銀の溶出状態を示
す図。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材に光触媒作用を有する層を介して、
    銀粒子からなる層を基材表面に形成し、更に、銀粒子か
    らなる層の表面には少なくとも部分的に難溶性の銀塩が
    形成されていることを特徴とする抗菌作用を有する固形
    物。
  2. 【請求項2】 光触媒作用を有する担体に、銀粒子から
    なる層を担体表面に形成し、更に、銀粒子からなる層の
    表面には少なくとも部分的に難溶性の銀塩が形成されて
    いることを特徴とする抗菌作用を有する固形物。
  3. 【請求項3】 前記難溶性の銀塩は、塩化銀であること
    を特徴とする請求項1または2に記載の抗菌作用を有す
    る固形物。
  4. 【請求項4】 基材に光触媒作用を有する層を介して銀
    元素を含む粒子が担持されている抗菌剤を塩素濃度30
    ppm以上3000ppm未満の溶液に浸漬させること
    を特徴とする抗菌性を有する固形物の製造方法。
  5. 【請求項5】 光触媒作用を有する担体に銀元素を含む
    粒子が担持されている抗菌剤を塩素濃度30ppm以上
    3000ppm未満の溶液に浸漬させることを特徴とす
    る抗菌性を有する固形物の製造方法。
  6. 【請求項6】 液体及びその流路に基材に光触媒作用を
    有する層を介して銀元素を含む粒子が担持されている抗
    菌剤を配置すると共に、その抗菌剤表面に銀イオンと難
    溶性の塩を形成する陰イオンを接触させることを特徴と
    する液体およびその流路の抗菌方法。
  7. 【請求項7】 液体及びその流路に光触媒作用を有する
    担体に銀元素を含む粒子が担持されている抗菌剤を配置
    すると共に、その抗菌剤表面に銀イオンと難溶性の塩を
    形成する陰イオンを接触させることを特徴とする液体お
    よびその流路の抗菌方法。
  8. 【請求項8】 液体及びその流路に基材上に光触媒作用
    を有する層を介して銀元素を含む粒子が担持されている
    抗菌剤を配置すると共に、その抗菌剤表面に銀イオンと
    難溶性の銀塩を形成する陰イオンを接触させると共に紫
    外線を含む光を照射することを特徴とする抗菌方法。
  9. 【請求項9】 液体及びその流路に光触媒作用を有する
    担体に銀元素を含む粒子が担持されている抗菌剤を配置
    すると共に、その抗菌剤表面に銀イオンと難溶性の銀塩
    を形成する陰イオンを接触させると共に紫外線を含む光
    を照射することを特徴とする抗菌方法
  10. 【請求項10】 前記陰イオンが塩素イオンであること
    を特徴とする請求項6乃至9に記載の液体およびその流
    路の抗菌方法。
  11. 【請求項11】 前記塩素イオンの液体中の濃度を30
    ppm以上3000ppm未満とすることを特徴とする
    請求項10に記載の液体およびその流路の抗菌方法。
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Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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