JPH0779744B2 - 難燃構造の航空機旅客座席 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、難燃性の表面を備え難燃加工された張り布
をかぶせられた、ポリウレタン発泡材料から成る座クッ
ションと背もたれクッションとを備えた難燃構造の航空
機旅客座席に関する。

［従来の技術］ 機内における延焼を遅延することにより不時着後の火災
又は飛行中の火災の際に救助時間を40秒ないし60秒だけ
増すために、アメリカ合衆国航空局FAA（Federal Aviat
ion Administration）の最新の規程により航空機事故か
らの知識に基づいて強化された航空機の内装に対する試
験が定められた。この保護目標は、試験中に発泡材料ク
ッションを有する航空機座席が1010℃の油燃焼炎に２分
間さらされた場合に達成されなけらばならない。上記の
条件は表面における11.5W/cm²の放射強度に相当する。

延焼又は溶けた発泡材料の滴下を生じることなしに、試
験後のクッションの重量減損は最高10％まで許される。

この試験を通るために、クッション発泡材料は不燃性の
張り布だけにより包まれるか、又はガラスファイバ織物
から成る内部ライナにより包まれるか、又はこれらの中
に発泡材料クッションを縫い込むことが従来一般に行わ
れてきた。しかしながらかかる難燃加工は価格が非常に
高くなり、かつさらに座り心地を悪くする原因となる。
なぜならば通気性が著しく減少するからである。更にこ
のように処理された張り布のよごれのクリーニングは十
分に実施できない。

［発明が解決しようとする問題点］ この発明は、従来の座席に比べて座り心地を損じること
なく、かつ重量増加又は早過ぎる摩耗を心配する必要が
なく、発泡材料クッション自体が難燃性についての厳し
い要求を満足するような難燃構造の航空機旅客座席を提
供することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ この目的はこの発明に基づき、座席骨組を有する難燃性
の航空機旅客用座席において、該座席は、座席骨組によ
って部分的に被覆されたポリウレタン発泡材料の座用及
び背もたれ用詰物芯、該座用及び背もたれ用詰物芯を被
覆する難燃特性を有する被覆材料、及び該座用及び背も
たれ用詰物芯と該被覆材料との間に配置された該座用及
び背もたれ用詰物芯に接合された難燃特性を有するポリ
ウレタン発泡材料フイルムを含み、該ポリウレタン発泡
材料フイルムの難燃特性は、クロロプレンラテツクス結
合剤中の水酸化アルミニウム及び三酸化アンチモンの含
浸によって与えられ、該ポリウレタン発泡材料フイルム
は実質的に10〜25mmの厚さを有するとともに、60ないし
70重量％の水酸化アルミニウム、２ないし３重量％の三
酸化アンチモン及び30ないし40重量％のクロロプレンラ
テックス結合剤を含むことにより達成される。

その際発泡材料フィルムは5mmないし30mm特に10mmない
し25mmの厚さを有するのが合目的である。その際発泡材
料フィルムは難燃処理された接着剤によりクッションに
全面的に接着できる。しかしながら発泡型の中に型にぴ
ったり沿って挿入された発泡材料フィルムがクッション
用発泡材料により裏打ち発泡されることもまた有効であ
る。

発泡材料フィルムの難燃加工には、クロロプレンラテッ
クスの中に含まれた酸化アルミニウム水和物と三酸化ア
ンチモンとを含浸することが特に適している。その際含
浸量は未処理の発泡材料フィルムの素材重量に関して35
0ないし450重量％である。

かかる航空機旅客座席は製造が容易であり、その難燃性
において該当規程の最低要求値をはるかに上回ってい
る。

［実施例］ 次にこの発明に基づく難燃構造の航空機旅客座席の一実
施例によりこの発明を詳細に説明する。

第１図に示すように従来の航空機旅客座席のクッション
は背もたれクッション１と座クッション２とから成り、
これらのクッションは通常ポリウレタン・ポリエーテル
発泡材料から作られている。その際これらの部分はブロ
ックから切り出すか、又は直接に型の中で常温発泡剤又
は加熱発泡剤として発泡成形できる。型発泡は特に背も
たれクッション１に対して推薦される。なぜならばこの
クッションは両側の頭支え３と４及び両下側の案内部５
と６とを有する比較的凹凸の多い表面を有するからであ
る。

図中に見える表面及び後側の側面は一般に本来の座席骨
組により覆われておらず、従って特に難燃加工されてい
なければならない。このことは第２図及び第３図に示す
断面から分かるように、難燃加工されたポリウレタン発
泡材料フィルムにより覆われることによって実現され
る。第１図の切断線II−IIによる背もたれクッションの
頭部の断面を示す第２図により、横側の頭支え３と４を
備えた頭部は後述する方法で難燃加工された発泡材料フ
ィルム10により全面的に覆われている。その際このフィ
ルム10は裸の各面に応じて四つのフィルムシート10a,10
b,10cと10dから成り、本来の発泡材料クッション１上に
難燃処理された接着剤により接着でき、その際フィルム
シート10aないし10dの突き合わせ縁部11は同様にこの接
着剤により接着されている。

同様に座クッション２は第３図に示すこのクッションの
長手断面に応じて、難燃加工された発泡材料フィルム12
を全面に接着されている。この難燃加工された発泡材料
フィルムに対しては、単位容積当たりの重量約16kg/m³
を有するポリエーテル・ポリウレタン発泡材料を用いる
のが合目的であり、この発泡材料フィルムは例えば60な
いし70重量％の酸化アルミニウム水和物、２ないし３重
量％の三酸化アンチモンと結合剤としての30ないし40重
量％のクロロプレンラテックスと普通の安定剤とから成
る難燃性混合物を含浸されている。

そしてかかる難燃加工されたフィルムが約10mmの厚さで
本来の発泡材料クッション上に接着され、その際特に危
険な場所では更に厚いフィルムを用いることができる。

その際かかる難燃加工された発泡材料フィルムを接着す
る代わりに、フィルムを直接発泡型の中にはめ込み本来
のクッション材料により裏打ち発泡させることも可能で
ある。

［発明の効果］ このように加工された座クッション及び背もたれクッシ
ョンは前記の試験に対応して、102mmの距離から1035℃
のケロシン炎（これは11.5W/cm²の放射強度に相当す
る）に２分間さらされた。続いて測定された重量減損は
僅かに２％であり、従って許容重量減損10％よりはるか
に少なかった。その際延焼又は溶融した発泡材料の滴下
を生じることなく、燃焼拡大は直接炎をかぶった範囲だ
けで起こった。難燃加工した発泡材料フィルムは炎をか
ぶった範囲で完全に炭化され、従って最善の断熱層を形
成し、その結果内部の本来の発泡材料クッションが完全
に保護されたということが示された。

別の試験により、このように加工された座クッションは
座り心地を全く損じることなく、従来のクッションに比
べて必要な通気性を有することが判明した。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明に基づく座席クッションの一実施例の
斜視図、第２図は第１図に示す背もたれクッション頭部
の切断線II−IIによる断面図、第３図は第１図に示す座
クッションの縦断面図である。 １……背もたれクッション、２……座クッション、11,1
2……ポリウレタン発泡材料フィルム。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】座席骨組を有する難燃性の航空機旅客用座
   席において、該座席は、座席骨組によって部分的に被覆
   されたポリウレタン発泡材料の座用及び背もたれ用詰物
   芯、該座用及び背もたれ用詰物芯を被覆する難燃特性を
   有する被覆材料、及び該座用及び背もたれ用詰物芯と該
   被覆材料との間に配置された該座用及び背もたれ用詰物
   芯に接合された難燃特性を有するポリウレタン発泡材料
   フイルムを含み、該ポリウレタン発泡材料フイルムの難
   燃特性は、クロロプレンラテツクス結合剤中の水酸化ア
   ルミニウム及び三酸化アンチモンの含浸によって与えら
   れ、該ポリウレタン発泡材料フイルムは実質的に10〜25
   mmの厚さを有するとともに、60ないし70重量％の水酸化
   アルミニウム、２ないし３重量％の三酸化アンチモン及
   び30ないし40重量％のクロロプレンラテックス結合剤を
   含むことを特徴とする座席。
2. 【請求項２】該発泡材料フイルムは難燃特性を有する接
   着剤により該詰物芯と接合されている特許請求の範囲第
   １項記載の座席。
3. 【請求項３】含浸量が未処理の発泡材料フイルムの素材
   重量に関して350ないし450重量％であることを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項記載の座席。