JPH0747807B2 - 成形加工用アルミニウム合金圧延板の製造方法 - Google Patents
成形加工用アルミニウム合金圧延板の製造方法Info
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- JPH0747807B2 JPH0747807B2 JP9170792A JP9170792A JPH0747807B2 JP H0747807 B2 JPH0747807 B2 JP H0747807B2 JP 9170792 A JP9170792 A JP 9170792A JP 9170792 A JP9170792 A JP 9170792A JP H0747807 B2 JPH0747807 B2 JP H0747807B2
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Description
ウム合金圧延板の製造方法に関し、より詳しくは、強
度、特に塗装焼付処理後の強度および成形加工性が優れ
ていることが要求される用途、例えば自動車のボディシ
ートやパネル等の陸運車両あるいは電気機器等の部品に
用いられる成形加工用アルミニウム合金圧延板の製造方
法に関するものである。
鋼板を使用することが多かったが、最近では車体軽量化
の要求から、アルミニウム合金圧延板を使用する検討が
進められている。またボディシート以外の自動車部品や
電気機器部品等の成形加工品においても、最近ではアル
ミニウム合金板を使用することが極めて多くなってい
る。このような用途に使用される材料としては、プレス
加工を施して使用されるところから、成形加工性が優れ
ていることが要求されるが、この成形加工性としては、
単に伸びや張出し性、絞り性が優れているのみならず、
面内異方性が小さいことも望まれる。またこのほか、自
動車等のパネル類には外観品質が優れていることも望ま
れるから、成形加工時のリューダースマークの発生もな
いことが望まれる。さらに、一般に焼付塗装を施して使
用するところから、焼付塗装後の強度が高いことが要求
される。
金としては、Al−Mg系のJIS5182合金O材や
JIS 5052合金O材、あるいはAl−Mg−Si
系のAA 6009合金T4処理材やAA 6010合
金T4処理材などが最も広く使用されている。
2合金O材やJIS 5052合金O材などのAl−M
g系合金は、リューダースマークが生じやすいところか
ら、外観品質の優れていることが要求される自動車のパ
ネル類等には不適当とされ、またAA 6009合金T
4処理材やAA 6010合金T4処理材などのAl−
Mg−Si系合金は、鋼板と同程度の強度、成形加工性
が得られてはいるが、焼付塗装後の強度が鋼板と比べて
低いのみならず、絞り成形時の異方性が大きいことが問
題となっている。
たもので、強度、成形加工性に優れ、特に成形性に対す
る異方性の小さい成形加工用アルミウニム合金圧延板を
得る方法を提供することを目的とするものである。
するため、本発明者等は鋭意実験・検討を重ねた結果、
アルミニウム合金の成分組成を適切に定めるとともに、
特に冷間圧延工程における最終の冷間圧延の前の中間焼
鈍を適切な条件で行なって組織を適切に制御し、20%
以上の最終冷間圧延の後に溶体化処理を行なうことによ
り、ランクフォード値の異方度Δrを適切に調整した圧
延板を得れば良いことを見出し、この発明をなすに至っ
た。
アルミニウム合金板の製造方法は、Mg0.1〜1.5
%、Si0.3〜2.5%を含有し、さらに必要に応じ
てMn0.05〜0.6%、Cr0.05〜0.3%、
Zr0.05〜0.3%のうちの1種または2種以上を
含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる合金
を鋳造し、450〜570℃の範囲内の温度で均質化処
理した後、熱間圧延を行ない、さらに中途に1回もしく
は2回以上の中間焼鈍を挟んで冷間圧延を行ない、かつ
冷間圧延の中途の中間焼鈍のうち、最終の中間焼鈍を、
100℃/分以上の加熱速度で350〜580℃の範囲
内の温度に加熱して保持なしもしくは5分以下の保持を
行なう条件で施し、しかもその最終の中間焼鈍の後の最
終板厚までの冷間圧延を20%以上の圧延率で行ない、
さらにその最終冷間圧延の後、350〜580℃の範囲
内の温度で120分以内加熱する溶体化処理を行ない、
引続き100℃/分以上の冷却速度で急速冷却して、ラ
ンクフォード値の異方度Δrが0.2未満の圧延板を得
ることを特徴とするものである。
ウム合金圧延板の製造方法は、請求項1において規定す
る各成分元素のほか、さらにCu0.1〜1.5%、Z
n0.1〜2.0%のうちの1種または2種を含有する
アルミニウム合金を用い、請求項1と同様な製造プロセ
スを適用するものである。
は、圧延方向に対して0°の方向のランクフォード値r
0 、45°方向のランクフォード値r45、90°方向の
ランクフォード値r90から、次式Δr=|(r0 +
r90)/2−r45|によって求められる値である。なお
r0 、r45、r90は、それぞれ圧延方向に対し0°、4
5°、90°の方向のJIS5号引張試験片を採取し、
15%引張時点で求めたランクフォード値を意味する。
金の成分組成の限定理由を説明する。
分であり、Siと共存してMg2Siを生成し、析出硬
化により強度の向上に寄与する。Mgが0.1%未満で
は充分な強度が得られず、一方1.5%を越えれば伸
び、成形性が低下するから、Mg量は0.1〜1.5%
の範囲内とした。
素であり、Mgと共存してMg2Siを生成し、析出硬
化により強度の向上に寄与する。また添加したSiの一
部は金属Si粒子としてAl合金中に存在し、成形加工
性、特に伸び、曲げ性を向上させる。Si量が0.3%
未満では上記効果が充分に得られず、Si量が2.5%
を越えれば伸び、成形性が劣化するから、Si量は0.
3〜2.5%とした。なお強度向上のためには、Si量
は、Mg量に対してMg2Siを生成するような化学量
論組成よりも過剰であって、金属Si粒子を生成させる
ようなSi量であることが重要である。そこで特に強度
向上のためには、Si量は、 Si(%)>6×Mg(%)+0.4 を満たすような量とすることが望ましい。
から、請求項2の発明の場合にいずれか一方もしくは双
方が添加される。これらのうちCuは、特に塗装焼付後
の強度の向上に寄与する。またZnは、強度向上のほか
耐食性向上に寄与し、特にマトリックスの腐食電位を下
げることによって孔食を防止する効果がある。Cuが
0.1%未満、またZnが0.1%未満ではそれぞれの
効果が充分に得られず、一方Cuが1.5%を越えれば
成形性および耐食性を低下させ、またZnが2.0%を
越えれば耐食性を低下させるとともに、室温での経時変
化により成形性を低下させるから、Cuは0.1〜1.
5%、Znは0.1〜2.0%の範囲内とした。
粒を微細化し、成形加工時のフローラインを低減するに
効果があり、必要に応じてこれらのうち1種または2種
以上が添加される。それぞれ0.05%未満では充分な
効果が得られず、Mnが0.6%を、Crが0.3%
を、Zrが0.3%を越えれば粗大な金属間化合物が生
成されて成形性が劣化するから、Mnは0.05〜0.
6%、Crは0.05〜0.3%、Zrは0.05〜
0.3%の範囲内とした。
lおよび不可避的不純物とすれば良いが、通常のアルミ
ニウム合金においては微量のBeや少量のTiを添加す
ることがあり、この発明の場合もこれらの添加は次のよ
うな理由により許容される。
ルミニウム表面を保護する作用を有する。従来の一般的
なAl−Mg系合金では、溶湯の酸化防止のために微量
のBeを添加することが多かったが、この発明の場合、
Beの添加は溶湯の酸化防止のみならず、中間焼鈍時や
最終焼鈍時の板表面の酸化層を少なくするにも効果があ
り、それによって耐食性、特に耐糸錆性が飛躍的に向上
する。Be量が0.0001%未満では上記の効果が充
分に得られず、一方0.01%を越えても上記の効果は
飽和し、経済性を損なうだけであるから、Beを添加す
る場合のBe量は0.0001〜0.01%の範囲内と
することが好ましい。
ために添加されることが多く、またその場合TiはBと
ともに添加することが多い。しかしながらTiは鋳塊組
織の微細化のみならず、耐食性の向上にも有効であり、
この発明の場合にもむしろ耐食性向上のためにTiを添
加することが許容される。Ti量が0.05%未満では
耐食性向上の効果が充分に得られず、一方Tiが1.0
%を越えれば粗大な金属間化合物を生成して圧延性、成
形性を劣化させるから、Tiを添加する場合のTi量は
0.05〜1.0%の範囲内とすることが適当である。
なお耐食性向上を目的としてTiを添加する場合、Ti
と同時にBを添加することは不要であるばかりでなく、
むしろBの添加によってTiがTiB2として固定され
て、耐食性向上の効果が得られなくなってしまう。した
がってBは全く添加しないか、または結晶粒微細化のた
めにBを添加するとしてもBを50ppm 以下とすること
が好ましい。
スについて説明する。
合金の溶湯を常法にしたがって溶製し、半連続鋳造法
(DC鋳造法)によって鋳造する。得られた鋳塊に対し
ては均質化処理を行なう。この均質化処理は、鋳塊の不
均質を解消して成形性を向上させるばかりでなく、後の
溶体化処理による再結晶粒を安定化させるに有効であ
る。均質化処理の温度が450℃未満では上述の効果が
充分に得られず、一方570℃を越えれば共晶融解のお
それがあるから、均質化処理温度は450〜570℃の
範囲内とする。均質化処理の時間は特に限定しないが、
通常は0.5〜48時間の範囲内とすることが好まし
い。
行なって所要の板厚の熱延板とし、さらにその熱延板に
対して冷間圧延を施す。この冷間圧延の中途において
は、1回または2回以上の中間焼鈍を施すが、この発明
の場合には、次に説明するように、特に最終の冷間圧延
の前の中間焼鈍(最終の中間焼鈍)の条件が特に重要で
ある。
ド値(r値)の異方度Δrに大きな影響を及ぼす。成形
性を向上させるためには、単にr値そのものを大きくす
るだけでは不充分であって、面内異方性を少なくするこ
と、すなわち前述の式で表わされるΔrの値をできるだ
け小さくすることが重要であり、そのために組織制御を
行なう必要がある。従来一般のアルミニウム合金圧延板
の製造においては、中間焼鈍は単に冷間圧延性を向上さ
せることのみを目的としてなされており、そのためこの
発明で対象としている系の如く冷間圧延性が比較的良好
な合金では中間焼鈍を行なわないことが多い。しかるに
本発明者等が鋭意実験・検討を重ねた結果、積極的に中
間焼鈍を施すとともに、特にその中間焼鈍を100℃/
分以上の急速加熱の条件で行なって特殊な再結晶集合組
織を得、さらにその後20%以上の圧延率で最終冷間圧
延を行ない、溶体化処理を施すことによって、r値の異
方度Δrの小さい圧延板が得られることを見出したので
ある。
明すれば、一般にアルミニウムにおける圧延集合組織は
S方位と称される(123)(634)に近い方位とな
っている。このような組織の圧延板を焼鈍によって再結
晶させれば、R方位と称されるS方位に近い方位と、成
形性、特に深絞り性を大きく低下させるキューブ方位
(Cube Texture)と称される(100)(001)方位
が形成される。ところが、連続焼鈍の如き急速加熱によ
って再結晶させ、さらにその後20%以上の冷間圧延を
行なってから溶体化処理を施すことによって、成形性を
阻害するキューブ方位の形成を阻止し得ることを見出し
た。一般にキューブ方位の結晶粒の量を定量的に測定す
る方法としてはX線回折法が広く用いられており、その
X線回折法のうちでも簡便な手段として逆極点積分強度
測定法がある。この方法によって標準サンプル(純アル
ミ粉末)と比較した(200)積分強度比が5を越えれ
ば、成形性とりわけ深絞り性が著しく低下することが経
験的に知られている。そしてr値は集合組織と大きな相
関関係があり、例えば前述の(100)(001)方位
が強く形成されれば、圧延方向に平行な試験片でのr値
(すなわちr0 )は大きくなるが、圧延方向に対し45
°の方向の試験片でのr値(すなわちr45)は極めて小
さくなり、その結果Δrが大きくなり、成形性を著しく
阻害することが判明した。そしてΔrの値が0.2より
小さければ従来の一般的な成形加工用アルミニウム合金
圧延板と比較して面内異方性が少なく、成形性が優れて
いるということができ、したがってこの発明ではΔrを
0.2未満と規定した。
(昇温速度)が100℃/分未満では、r値の異方度Δ
rを小さくする効果が得られずに、Δrが0.2以上と
なってしまい、また再結晶粒が粗大化し、成形加工によ
ってオレンジピールが生じて外観品質を損なうおそれも
ある。また最終の中間焼鈍の加熱温度が350℃未満で
は、r値の異方度Δrを小さくする効果が得られず、一
方580℃を越えれば、共晶融解のおそれがあるばかり
でなく、再結晶粒が粗大化するとともに、表面酸化層の
厚みが増大して耐糸錆性が劣化してしまうおそれがあ
る。さらに、最終の中間焼鈍における加熱時間が5分を
越えても、再結晶粒が粗大化したり、また表面酸化層の
厚みが増大したりする。したがって最終の中間焼鈍は、
100℃/分以上で加熱して350〜580℃の範囲内
の温度で5分以内の加熱とすることが必要である。なお
加熱温度は、より確実かつ充分にΔrの値を小さくする
ためには、450°を越え580°以下とすることが望
ましい。
た後、最終板厚(製品板厚)とするために最終の冷間圧
延を施す。この最終の冷間圧延は、その後の溶体化処理
による再結晶粒を安定化し、成形性を向上させるために
必要であり、少なくとも20%以上の圧延率で行なう必
要がある。圧延率20%未満の冷間圧延では、再結晶粒
が不安定となり、結晶粒が粗大化して成形性が低下す
る。
う。この溶体化処理は、再結晶させて結晶粒を微細化、
安定化させ、良好な成形性を得るために必須の処理であ
るが、この溶体化処理によって均一微細な結晶粒を安定
して得るためには、前述のような最終の中間焼鈍と最終
の冷間圧延の条件が極めて重要である。この溶体化処理
は、350〜580℃の温度で120分以内加熱する条
件で行なう必要がある。溶体化処理温度が350℃未満
では再結晶せず、成形性が低下し、また580℃を越え
れば共晶融解のおそれがあるばかりでなく、再結晶粒が
粗大化して成形後に肌荒れが発生し、外観品質の不良を
招くとともに、成形性も劣化し、さらには表面酸化層の
厚みが増大し、耐糸錆性が低下する。また溶体化処理の
時間が120分を越えても表面酸化層の厚みが増大し、
耐糸錆性が低下する。このような溶体化処理後の冷却
は、100℃/分以上の冷却速度で行なえば良く、その
ためには強制空冷、水焼入れ等を適用することができ
る。
冷や水焼入れで行なった場合、板に反り等の変形が発生
しやすい。このような変形を解消するため、溶体化処理
−冷却後にスキンパス、レベリングあるいはストレッチ
等の軽度の冷間加工による矯正を行なっても良い。但
し、このような矯正によって成形性が低下してしまうお
それがあるから、その場合には成形性を回復させるた
め、図1、図2に示すような範囲内の温度、加熱速度、
保持時間、冷却速度で歪除去焼鈍を行なうことが望まし
い。
は、その中途で2回以上の中間焼鈍を行なっても良い。
すなわち前述のような条件の最終の中間焼鈍の前の冷間
圧延中にも、必要に応じて冷間圧延性改善のために中間
焼鈍を行なっても良い。このような、最終の中間焼鈍よ
り前の段階の中間焼鈍の条件は特に限定しないが、バッ
チ焼鈍の場合は250〜450℃の範囲内の温度に0.
5〜24時間保持の条件とするのが一般的であり、また
連続焼鈍の場合は350〜580℃の温度に加熱して保
持なしもしくは5分以内の保持とするのが一般的であ
る。ここでバッチ焼鈍の場合、加熱保持温度が250℃
未満では冷間圧延性が改善されず、450℃を越えれば
再結晶粒が粗大化するとともに表面酸化層の厚みが増大
し、また保持時間が0.5時間未満では冷間圧延性が改
善されず、24時間を越えれば経済性を損なうだけでな
く、表面酸化層の厚みが増大してしまう。一方連続焼鈍
の場合、加熱到達温度が350℃未満では冷間圧延性が
改善されず、580℃を越えれば共晶融解のおそれがあ
るばかりでなく、再結晶粒が粗大化するとともに表面酸
化層の厚みが増大し、また保持時間が5分を越えれば再
結晶粒が粗大化するとともに表面酸化層の厚みが増大し
てしまう。
続鋳造法(DC鋳造法)を用いた場合について説明した
が、場合によっては一対の冷却ロール間に溶湯を供給し
て薄板を直接鋳造する連続鋳造圧延法(薄板連続鋳造
法)を適用しても良い。またこのように連続鋳造圧延法
を適用した場合には、鋳造時の冷却速度が速いため、均
質化処理を行なわなくても再結晶粒の安定化は達成する
ことができるから、均質化処理は省くことが可能であ
り、また直接薄板が鋳造されるところから、熱間圧延も
省くことが可能である。
加熱による適切な条件で行ない、その後の最終冷間圧延
を20%以上の圧延率で行なってからさらに適切な溶体
化処理を行なうことによってランクフォード値の異方度
Δrが0.2以下で面内異方性が少なく、成形性が著し
く優れた圧延板を得ることができるのである。
を常法に従ってDC鋳造し、得られた鋳塊に対して50
0℃×10時間の均質化処理を施した後、常法に従って
板厚5mmとなるまで熱間圧延した。次いで冷間圧延(一
次冷間圧延)を行ない、表2中に示す板厚(中間焼鈍時
の板厚)まで圧延した段階で、同じく表2中に示す種々
の条件で中間焼鈍を行ない、さらに表2中に示す冷延率
(最終冷延率)で最終冷間圧延(2次冷間圧延)を行な
ってから溶体化処理を行なった。なお溶体化処理は塩浴
中で行ない、その後水焼入れ(冷却速度約800℃/
秒)した。
して降伏強さ(YS)、引張強さ(TS)、および伸び
(EL)を調べるとともに、r値の異方度Δrを求め、
さらに成形性として張り出し試験値、限界絞り比(LD
R)、曲げ試験値、耳率を調べ、またX線回折により
(200)方位の逆極点積分強度比を調べた。その結果
を表3に示す。なおここで機械的性質および成形性は、
いずれも溶体化処理後、2週間室温時効させた後に測定
した。また機械的性質はいずれも圧延方向に0°の試験
片、45°の試験片、90°の試験片について測定し
て、その平均値を表3中に示した。さらに成形性のう
ち、張り出し試験は、100mm径の球頭ポンチを用い、
塩ビフィルムを貼った状態で実施した。耳率は、62mm
径のブランク材を32mm径のポンチで絞った場合の耳率
を測定した。さらにLDRは、50mm径のポンチを使用
し、ジョンソンワックスで潤滑して絞り加工を行なって
測定した。さらに曲げ試験値は、180°曲げ最小半径
を調べた。逆極点積分強度比は、集合組織を持たない純
アルミ粉末(ランダムサンプル)を標準サンプルとして
用い、試料との(200)積分強度比を調べた。
により得られた圧延板(製造番号No.1,No.7,No.
9,No.11)は、いずれも強度および成形性が優れ、
特に異方度Δrが0.2よりも格段に小さい値となっ
て、面内異方性が極めて少ない。一方比較法による製造
番号No.2,No.4は、中間焼鈍の加熱速度が遅かった
もの、同じく比較法による製造番号No.3,No.8,N
o.10は中間焼鈍の加熱温度が低かったもの、同じく
比較法による製造番号No.5,No.12は中間焼鈍を行
なわなかったもの、同じく比較法によるNo.6は最終の
冷間圧延率が20%に満たなかったものであるが、これ
らの比較法の場合はいずれもΔrが0.2以上となり、
面内異方性が大きいことが判る。
形性に優れ、特に面内異方性が極めて少ない成形加工用
アルミニウム合金圧延板を得ることができ、そのため大
きな成形加工度が要求される成形部品や複雑形状を有す
る成形部品などに使用される素材の製造に最適であり、
自動車ボディシートなどの陸運車両の部品や電気機器用
部品等の素材の製造に利用することができる。
さらに矯正加工を行なった後に歪回復処理を施す場合の
加熱温度と加熱速度、冷却速度の最適範囲を示す説明図
である。
時間との関係を示す説明図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 Mg0.1〜1.5%(wt%、以下同
じ)、Si0.3〜2.5%を含有し、さらに必要に応
じてMn0.05〜0.6%、Cr0.05〜0.3
%、Zr0.05〜0.3%のうちの1種または2種以
上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物よりなる
合金を鋳造し、450〜570℃の範囲内の温度で均質
化処理した後、熱間圧延を行ない、さらに中途に1回も
しくは2回以上の中間焼鈍を挟んで冷間圧延を行ない、
かつ冷間圧延の中途の中間焼鈍のうち、最終の中間焼鈍
を、100℃/分以上の加熱速度で350〜580℃の
範囲内の温度に加熱して保持なしもしくは5分以下の保
持を行なう条件で施し、しかもその最終の中間焼鈍の後
の最終板厚までの冷間圧延を20%以上の圧延率で行な
い、さらにその最終冷間圧延の後、350〜580℃の
範囲内の温度で120分以内加熱する溶体化処理を行な
い、引続き100℃/分以上の冷却速度で急速冷却し
て、ランクフォード値の異方度Δrが0.2未満の圧延
板を得ることを特徴とする、成形加工用アルミニウム合
金圧延板の製造方法。 - 【請求項2】 Mg0.1〜1.5%、Si0.3〜
2.5%を含有し、かつCu0.1〜1.5%、Zn
0.1〜2.0%のうちの1種または2種を含有し、さ
らに必要に応じてMn0.05〜0.6%、Cr0.0
5〜0.3%、Zr0.05〜0.3%のうちの1種ま
たは2種以上を含有し、残部がAlおよび不可避的不純
物よりなる合金を鋳造し、450〜570℃の範囲内の
温度で均質化処理した後、熱間圧延を行ない、さらに中
途に1回もしくは2回以上の中間焼鈍を挟んで冷間圧延
を行ない、かつ冷間圧延の中途の中間焼鈍のうち、最終
の中間焼鈍を、100℃/分以上の加熱速度で350〜
580℃の範囲内の温度に加熱して保持なしもしくは5
分以下の保持を行なう条件で施し、しかもその最終の中
間焼鈍の後の最終板厚までの冷間圧延を20%以上の圧
延率で行ない、さらにその最終冷間圧延の後、350〜
580℃の範囲内の温度で120分以内加熱する溶体化
処理を行ない、引続き100℃/分以上の冷却速度で急
速冷却して、ランクフォード値の異方度Δrが0.2未
満の圧延板を得ることを特徴とする、成形加工用アルミ
ニウム合金圧延板の製造方法。
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