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JPH0718747B2 - 静止中軸系の亀裂検知方法 - Google Patents

静止中軸系の亀裂検知方法

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Publication number
JPH0718747B2
JPH0718747B2 JP3236371A JP23637191A JPH0718747B2 JP H0718747 B2 JPH0718747 B2 JP H0718747B2 JP 3236371 A JP3236371 A JP 3236371A JP 23637191 A JP23637191 A JP 23637191A JP H0718747 B2 JPH0718747 B2 JP H0718747B2
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JP
Japan
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crack
shaft system
natural frequency
target
model
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JP3236371A
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アール.ブルック ウォーレン
エッチ.ミラー ウィリアム
Original Assignee
アールイーエム テクノロジーズ,インコーポレイテッド
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Publication date
Application filed by アールイーエム テクノロジーズ,インコーポレイテッド filed Critical アールイーエム テクノロジーズ,インコーポレイテッド
Publication of JPH04258727A publication Critical patent/JPH04258727A/ja
Publication of JPH0718747B2 publication Critical patent/JPH0718747B2/ja
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    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N29/00Investigating or analysing materials by the use of ultrasonic, sonic or infrasonic waves; Visualisation of the interior of objects by transmitting ultrasonic or sonic waves through the object
    • G01N29/04Analysing solids
    • G01N29/12Analysing solids by measuring frequency or resonance of acoustic waves
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01HMEASUREMENT OF MECHANICAL VIBRATIONS OR ULTRASONIC, SONIC OR INFRASONIC WAVES
    • G01H13/00Measuring resonant frequency
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2291/00Indexing codes associated with group G01N29/00
    • G01N2291/26Scanned objects
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    • G01N2291/2693Rotor or turbine parts

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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)
  • Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)
  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一般的には、非破壊検
査技術の分野に関係し、その中でもとりわけ軸の亀裂の
存在、大きさおよび位置を求める方法に関係している。
説明の便宜上、亀裂とは当初の構造にはない物理的な不
連続部分を指し、また軸の用語は、長さが横断面寸法よ
り相当に大きく、時間的に変化する力を受け、軸方向に
延びる任意の構造体を意味している。そうした構造体は
様々な形態をしており、伝統的にモータのロータ、ポン
プの軸、発電機、圧縮機、タービン、ボルトやその他の
ファスナー、配管設備等を含み、本発明の目的として
は、航空機の胴体、航空機の翼、船の船体のような形態
も含む。本発明はそうした構造体の何れにも適用可能で
あるが、一例として、先ず加圧水型原子炉(PWR)の
原子炉冷媒用ポンプの軸に発生する亀裂の検知に使用し
た場合を想定して説明する。
【0002】
【従来の技術】原子炉は長年にわたって運転され、貴重
な電気エネルギーを発電し供給してきている。しかしな
がらここ数年来、数箇所の原子力発電プラントでは原子
炉冷媒用ポンプの軸の熱遮蔽体付近に亀裂が発見されて
いる。
【0003】PWRの大型の原子炉冷媒用ポンプは、原
子炉容器の外にある蒸気発生器に水を循環させており、
この蒸気発生器からは蒸気タービンに蒸気が送り込まれ
ている。原子炉冷媒用ポンプシステムは、上部からポン
プに縦向きにモータを装着した竪型ポンプから構成され
ている。代表的な構造例では、全体の軸系は縦方向に吊
り下げられ、縦向きのモータの上部に配置したスラスト
軸受により支持されている。ポンプシステムは、通常、
張り出したインペラとポンプ下部に設けた軸方向吸込み
口とを備えている。冷却水は、単一のラジアル吐出口か
ら水平方向に出ていく。ポンプの運転中には、回転して
いる軸に全てのラジアル方向の力が加わっている。回転
しているポンプ軸にかかるこの無方向性のアンバランス
な力は、軸に疲労による亀裂を発生させ、ひいてはポン
プ軸の破損の原因となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】突然にポンプ軸が破損
すると重大な事故につながる恐れがある。事故が発生し
た場合、原子力発電施設は突然の停電によって1日当た
り数百万ドルの損害を被ることもある。しかも、こうし
たポンプは原子炉の冷却にとって重要な役割を果たして
おり、ポンプの故障は原子炉の溶解事故に繋がる恐れが
あり、放射能による汚染の危険も伴っている。ポンプ軸
の交換は非常に経費が嵩み、しかも手間のかかる作業で
ある。従って、亀裂の発生状況を早期に発見し、交換の
作業プランおよびそのスケジュールを立てられる余裕の
あることが望まれている。
【0005】比較的簡単な設備で行なえる軸の亀裂発見
のための信頼できる早期警告法は、現在では利用されて
いない。代表的な既存の検査装置は、運転中の機械の発
する振動データを集めこれを分析することを行なってい
る。しかしながら、1X(運転速度)振幅と2X(運転
速度の2倍の速度)振幅の形態をした運転振動データお
よび位相データは、電気的ノイズ、機械的ノイズおよび
バックグランド・ノイズ(background no
ise)によって乱され、通常では軸の状態に関係した
有益な情報は殆ど入手することができない。
【0006】経験的な見方をするならば、既存の測定設
備を用いたのでは、亀裂が軸の直径の少くとも20%の
深さに到達するまでは、亀裂の発生を見付け出すことが
できない。早い時期に亀裂を検知できなければ、軸の交
換に要する作業者数および部品の計画をたてる時間的余
裕がなくなる。
【0007】従って、軸の亀裂発生の早い時期に、この
亀裂の存在、大きさおよび位置を識別できる信頼性の高
い操作の簡単な軸亀裂検知法が是非とも必要とされてい
る。試験法は、非破壊検査の形態を取り、かつ試験作業
員の受ける放射線被曝量をできるだけ少なくするように
管理しながら現場で執り行う必要がある。しかも原子炉
冷媒用ポンプの軸に近付くことが困難であることから、
面倒な現場作業を必要としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】こうした要望は、本発明
の原理に則ったモデル解析試験法を用いれば実現でき、
従来技術の欠点を克服することができる。軸の固有振動
数に関連して拡大処理が行われる特徴のある方式を取り
入れることにより、この新しい試験法は、亀裂の広がり
がポンプ軸の直径の5%程度のラジアル方向深さまで及
んでいれば亀裂の存在を識別することができる。従っ
て、既存の技術に比べてかなり早い時期から切迫した軸
の損傷について警告を発し、停電時間帯を予告した上で
計画通りに軸の交換を行なうことができる。この新しい
モデル試験法を用いて、亀裂の発生と引き続いて起きる
亀裂の成長について軸を監視することができ、原子力発
電プラントのオペレータは、原子炉の運転停止、および
大きな損害を被る突然の送電ストップを回避することが
できる。この試験法は静止した状態の軸に適用され、機
械の運転に伴ってバックグラウンド・ノイズがデータに
影響を及ぼすのを防ぐようにして行なわれる。またこの
方法によれば、外部から軸を起振することができ、分解
しなくともモータスタンドに設けた出入り穴を通じて応
答信号を入手することができ、軸の軸線に沿ってどの位
置に亀裂があってもこれを検知することができる。
【0009】本発明の方法は、試験される軸系の解析モ
デルを用いて、実際の軸系に加えた振動試験の結果を処
理分析することにより行われる。振動試験では、軸系の
起振力に対する応答は、横振動解析のためにラジアル方
向に沿って測定されそして/または捩り振動解析のため
に接線方向に沿って測定される。起振力に応答して軸系
に生じた実際の固有振動数と、解析モデルから得られ
た、横振動解析の対象固有振動数のもとでの予想スプリ
ットおよびシフトそして/または捩り振動解析の対象固
有振動数のもとでの予想下向きのシフトとの相関関係を
求め、軸内の亀裂の存在と重大度を特定するようにして
いる。
【0010】本発明のある形態によれば、亀裂の入って
いない軸系の多測点構造力学モデルを用い、横そして/
または捩り振動解析固有振動数とこれに伴うモード形状
が求められる。亀裂の可能性のある軸方向位置または推
定軸方向位置が測定され、また、横および/または捩り
振動解析のための対象固有振動数が選択される。この固
有振動数は、亀裂の推定軸方向位置と応答測定箇所でロ
ーカルな著しい曲げを示すモード形状を備えている。次
いで推定軸方向位置に存在する非対称的な亀裂の表示を
モデルに加える修正が行なわれ、さらに亀裂の深さの関
数として横振動解析対象固有振動数の合成スプリットな
らびにシフト、および/または捩り振動解析対象固有振
動数のシフトが求められる。被検軸系には起振箇所に起
振力が加えられ、横振動解析のために複数のラジアル方
向に沿って、および/または捩り振動解析のために接線
方向に沿って、軸系の振動応答の測定が行なわれる。こ
うした測定値は、高速フーリエ変換解析器によって処理
し、対象振動数の領域内で軸系の実際の固有振動数を求
めることが好ましい。これら実際の固有振動数と、解析
モデルで予想した横振動解析対象固有振動数のシフトお
よびスプリット、および/または捩り振動解析対象固有
振動数との相関関係は、軸亀裂の存在とその重大度を明
らかにしている。
【0011】本発明の他の形態では、横振動解析のため
に亀裂の波面にほぼ平行に延びる剛軸線(stiff
axis)および亀裂の深さに沿って延びる軟軸線(s
oft axis)に沿って、さらに捩り振動解析のた
めに軸の中心を通って縦方向に延びる極軸線(pola
r axis)に沿って、直円形セクションの相当直径
と有効長さを求めることにより、亀裂はモデル化され
る。本発明の別の形態では、軸系の解析モデルは、軸系
の物理的モデルにロービングモード解析法を適用するこ
とにより、必要に応じた確証を行なうことができる。本
発明のその他の形態では、複数のラジアル方向に沿って
軸系の横振動解析振動数応答関数を解析することによ
り、亀裂の円周方向位置を特定することができる。
【0012】
【作用】本発明の方法は、亀裂の存在と、軸系の横およ
び捩り固有振動数に及ぼす亀裂の影響との間に、直接的
な相関関係があるとする判断結果に基づいている。軸系
は、固有振動数または共振振動数のシリーズを有してい
る。軸に非対照的な亀裂が入ると、各々の横固有振動数
は異なった新しい2つの低い振動数に分離する。分離し
た振動数の内、一方の低い方の振動数は、亀裂の深さに
沿って延びる軟軸線(soft axis)に関係して
おり、他方の振動数は、亀裂の波面にほぼ平行な剛軸線
(stiff axis)に関係している。横固有振動
数の値の低下、および新しい2つの振動数への分離は、
亀裂の深さが関与しており、これらの相関関係を求める
ことができる。モデル化した亀裂により最も影響を受け
る横固有振動数は、亀裂の軸方向位置と相関関係にあ
る。亀裂の円周方向位置は、複数のラジアル方向の測定
により求めることができる。
【0013】非対称な亀裂が軸に発生すると、各捩り固
有振動数は別の低い振動数に位置を変える。捩り固有振
動数の減少値は亀裂の深さに関連づけることができる。
モデル化された亀裂によって最も影響を受ける捩り固有
振動数は、亀裂の軸方向位置に相関関係がある。
【0014】本発明のモード解析亀裂検知法は、被検軸
系(すなわち回転構造物全体)の正確な多測点解析モデ
ルにより始まる。解析モデルは必要な数の測定点を備
え、軸系の横および/または捩り固有振動数を高い精度
で算出することができる。むしろ、そうした改良が加え
られ信頼性を高めたモデルによって得られる精度は、一
般に軸系の試験用機器に用いられるFFT(高速フーリ
エ変換)解析器の振動数分析結果に比べてもひけを取ら
ないものである。本出願の発明者は、モデル化の基準を
取り決めるにあたり、測定点の分割の間隔が、軸系の部
分的な直径の1/2よりも小さくなるようにしておくの
が好ましいことを見いだした。
【0015】本発明の試験方法は、横振動解析モードお
よび/または捩り振動解析モードにきわめて有用であろ
う。後者には亀裂の存在と深さを求めるために単一振動
応答測定のみが必要であり、前者にはさらに軸の亀裂の
円周上の位置の指示をする余裕がある。本発明はまた、
モード解析方法の解析及び実験部分の単独出願または併
合出願を意図している。
【0016】本発明のこれらの目的および他の目的、特
徴並びに利点については、添付図面に基づいた以下の詳
細な説明を読むことにより、一層容易に理解することが
できる。
【0017】
【実施例】図1には、典型的な加圧水型原子炉(PW
R)発電プラント10の実例が概略的に示されている。
運転に伴い、原子炉冷媒用ポンプ18を用いて高温高圧
の水が、原子炉容器12から(炉心14の周囲から)蒸
気発生器(熱交換器)16にポンプ送りされている。連
続回路の配管20、22、24は、圧力容器12、蒸気
発生器16および原子炉冷媒用ポンプ18を、図面に示
すように互いに連絡している。また蒸気発生器16は、
蒸気管26を通じて蒸気タービン発電機28に蒸気を送
っている。さらに復水器30からの冷却水は、ポンプ3
2により蒸気発生器16の流入口34内にポンプ送りさ
れる。
【0018】図2は、格納容器構造体36(図1)の内
部に収容されたPWR用に用いられる原子炉冷媒系統を
詳細に示す概略図である。4つの原子炉冷媒用ポンプ
(RCPs)18と付属の蒸気発生器16が原子炉容器
12の周囲を取り囲み、この原子炉容器と互いに接続さ
れている。ポンプの軸に亀裂が入りRCPs18の1つ
が故障したり停止した場合にでも、原子力発電プラント
を引き続いて運転することは可能であるが、ポンプの仕
事量は大幅に低下し、また発電プラントは大幅な能力の
低下をきたすことになる。本発明の技術は、軸の亀裂を
検知して速やかに警告する方法に関係している。この方
法によれば、プラントの運転が停止して突然に停電する
のを避けることができる。
【0019】図3は、典型的な原子炉冷媒用ポンプ18
の例を示す一部を切除した断面図である。駆動モータ
(図示せず)は、モータ支持ハウジング40のフランジ
38に装着されている。モータのロータは、スプール部
材カップリング44を介してポンプ軸42に連結されて
いる。駆動モータ59、モータのロータ61、およびモ
ータの軸受63、65が図4に示されている。
【0020】また図3のように、ラジアル案内軸受46
は、熱遮蔽体48より上方の位置でポンプ軸42の一部
を取り囲んでいる。熱遮蔽体48は、ケーシング50内
の超高温水から軸受面を断熱する働きをしている。軸4
2の下端には一揃いのボルト(図示せず)を用いてイン
ペラ52が装着されている。
【0021】蒸気発生器を経てきた水は、原子炉冷媒用
ポンプ18の吸込みノズル54内に垂直方向上向きに流
入する。ポンプは、吐出しノズル56を通じて原子炉容
器内に水平に水を吐き出すようになっている。ポンプの
運転に際し、吐出しに伴う流れによりポンプ軸42を境
として正味圧力差が生じる。ポンプ軸はポンプケーシン
グ50内で回転しているため、軸上の特定の箇所は周期
的な力を受けている。この力は、案内軸受46を介して
ポンプ軸42が受けている。通例では、熱遮蔽体と案内
軸受ジャーナルは、これらの位置の軸上に焼きばめされ
たスリーブを備えている。一部の例では、こうしたスリ
ーブはさらにシャーピンを使用して、または溶接によ
り、あるいは一対のロック機構(図示せず)を用いて固
定されている。シャーピンおよび溶接法には応力集中の
発生があり、これに周期的な力が組み合わさると、軸に
亀裂ができることがある。こうした亀裂は、熱遮蔽体の
すぐ下側に発生することが多い。こうした亀裂ができた
ままポンプを運転すると、亀裂が広がっていくことにな
る。軸の亀裂は原子力発電プラントの運転中に発生し、
ポンプのインペラ52が軸42から脱落するまで見過ご
されてしまう場合が多い。
【0022】本発明の新しいモード試験法は、原子炉冷
媒用竪型ポンプの軸または軸系に発生する亀裂の存在、
大きさ、および位置を判断するために便利な方法として
開発されたものである。この方法は、モータ支持ハウジ
ング40に設けた切抜き部58を通じてしか軸系に接触
することができないものであることが判る。このモータ
支持ハウジング40は、主フランジ60上に装着されカ
ップリング44を取り囲んでいる。切抜き部を通じてで
なければ簡単にポンプ軸42に触れることはできない。
本発明の方法によれば、分解しなくても軸42に振動を
加え、モータスタンド出入穴58を通じてこの振動に対
する応答を入手することができる。
【0023】図4は、本発明のモード解析試験法を、R
CP軸の亀裂の検知に応用した場合の手順を示す説明図
である。亀裂の生じていない軸を用いて、図示のような
軸系の多測点構造力学または解析モデル62が開発され
ている。このモデルから、軸系の横および/または捩り
の固有振動数とこの振動数に伴うモード形状が計算され
る(ブロック64)。このモデルは、さらに軸に沿った
推定軸方向位置、すなわち亀裂の可能性のある軸方向位
置に、亀裂の存在する状況を想定して修正が加えられる
(ブロック66)。修正されたモデルを用い、新たに想
定される軸系の横および/または捩りの固有振動数とモ
ード形状が計算される(ブロック68)。新たに想定さ
れた横固有振動数は、亀裂の存在の導入により生じた元
の固有振動数のシフト(shift)およびスプリット
(split)を反映している。新しい捩り固有振動数
は、亀裂の発生により生じた元の固有振動数の下向きの
シフトを反映している。
【0024】軸系の実際の固有振動数すなわち実測した
固有振動数は、電磁シェーカ70を用い針材72とロー
ドセル74を介して静止状態のポンプ軸42に横および
/または捩り起振力を加えて求められる。 シェーカ7
0は、信号発生器71から出力増幅器73を経て与えら
れる起振入力信号によって駆動される。起振力に対する
軸系の振動応答は加速度計76により測定される。起振
力および測定された応答は、モータ支持ハウジングの出
入穴を通じて入手される。応答は、横振動試験のため
に、複数のラジアル方向に沿って読み取られ、および/
または捩り振動試験のために片寄った単一の接線方向に
沿って読み取られ、さらに高速フーリエ変換(FFT)
解析器78により処理が加えられる。入力キ−ボード7
5、ディスク記憶装置79、映像(CRT)モニタ81
およびハードコピープリンタ83が、便利よくFFT解
析器78に連結される。この解析器により、ピークが実
際の軸系の実測横および/または捩り固有振動数に相当
する振動数応答関数(FRF)80が得られる。これら
実測した横および/または捩り固有振動数と修正した解
析モデルより算出された新たな軸系の横および/または
捩り固有振動数を比較して、軸42内の亀裂の存在およ
び重大度が求められる(ブロック82)。
【0025】本発明の方法は、軸42は試験中には静止
した状態にあるからRCP軸系に適用することができ
る。静止させておけば、軸系の運転によって発生するバ
ックグラウンド・ノイズを防ぐことができ、信号の読取
りに支障をきたすことがない。解析モデルは、軸系の推
定亀裂の軸方向位置と応答測定箇所に基づいて、対象固
有振動数を特定する。さらに修正されたモデルにより、
亀裂の深さの関数として、対象横固有振動数のもとでの
亀裂の影響(スプリットおよびシフト)、および/また
は対象捩り固有振動数のもとでの亀裂の影響(シフト)
が予測される。解析モデルは、このように実際に行われ
た振動試験の結果の解析に役立つロードマップ(roa
d map)としての役割を果たしている。以下、添付
図面に沿って本発明とその実施形態について詳細に説明
する。
【0026】本発明の方法は、亀裂の存在と、軸系の横
および捩り固有振動数に及ぼす亀裂の影響との間に、直
接的な相関関係があるとする判断結果に基づいている。
軸系は、固有振動数または共振振動数のシリーズを有し
ている。軸に非対称的な亀裂が入ると、各々の横固有振
動数は異なった新しい2つの低い振動数に分離する。分
離した振動数の内、一方の低い方の振動数は、亀裂の深
さに沿って延びる軟軸線(soft axis)に関係
しており、他方の振動数は、亀裂の波面にほぼ平行な剛
軸線(stiff axis)に関係している。横固有
振動数の値の低下、および新しい2つの振動数への分離
は、亀裂の深さが関与しており、これらの相関関係を求
めることができる。モデル化した亀裂により最も影響を
受ける横固有振動数は、亀裂の軸方向位置と相関関係に
ある。亀裂の円周方向位置は、複数のラジアル方向の測
定により求めることができる。
【0027】非対称な亀裂が軸に発生すると、各捩り固
有振動数は別の低い振動数に位置を変える。捩り固有振
動数の減少値は亀裂の深さに関連づけることができる。
モデル化された亀裂によって最も影響を受ける捩り固有
振動数は、亀裂の軸方向位置に相関関係がある。
【0028】本発明のモード解析亀裂検知法は、被検軸
系(すなわち回転構造物全体)の正確な多測点解析モデ
ルにより始まる。解析モデルは必要な数の測定点を備
え、軸系の横および/または捩り固有振動数を高い精度
で算出することができる。そうした改良が加えられ信頼
性を高めたモデルではあっても、このモデルによる精度
は、軸系の試験用機器に用いられるFFT解析器の振動
数分析結果と比較することが好ましい。本出願の発明者
は、モデル化の基準を取り決めるにあたり、測定点の分
割の間隔が、軸系の部分的な直径の1/2よりも小さく
なるようにしておくのが好ましいことを見いだした。
【0029】図5は、RCP軸系のモデル化に使用する
ことのできる多数の測定点S1−S95を模式的に描い
た説明図である。このモデルは、対応被検軸系の回転構
造体要素を表現している。様々なロータ力学コンピュー
タプログラムが広範囲に出回っており、これらプログラ
ムを利用して、このようなポンプの亀裂の入っていない
軸または軸系をモデル化することができる。例えば、1
970年1月付のR.L.Ruhl氏による博士論文
「ロータ系における分布パラメータの力学理論:トラン
スファー・マトリックスと有限要素の技術」を参照され
たい。この博士論文は、アメリカ合衆国ミシガン州、ア
ン・アーバーにあるミシガン州立大学のマイクロフィル
ム研究所から、文書番号70−12,646として公開
されている。また、1972年10月付のJ.A.Do
pkin氏による博士論文「ロータの力学理論に及ぼす
ディスクの可撓性」を参照されたい。この博士論文は、
同じくミシガン州立大学のマイクロフィルム研究所か
ら、文書番号73−4739として公開されている。ま
た、1973年8月付にて発表されたR.J.Triv
isonno氏によるアメリカ航空宇宙局報告書「回転
シャフトの限界速度を計算するためのフォートランIV
コンピュータプロブラム」を参照されたい。および/ま
たはニューヨーク州、アルバニーにある機械工学社から
入手できるCADENCEソフトウエアを参照された
い。
【0030】そうしたコンピュータプログラムモデルを
使用し、周知のようにして、横および/または捩り解析
試験により軸系の固有振動数とこの振動数に伴うモード
形状を求めることができる。必要があれば、対象とする
軸系の物理的モデルまたはサンプルを構成し、これをロ
ービング力モード解析試験(rovingforce
modal analysis test)に供し、固
有振動数とモード形状を予測するコンピュータモデルを
修正しおよび/または検証することができる。
【0031】こうして、被検軸の亀裂の推定軸方向位
置、すなわち亀裂の生じている可能性のある軸方向位置
が特定される。この亀裂の発生している位置は、物理的
な力が著しく作用している軸上の箇所に見合う位置にあ
ることが明らかである。既に指摘したように、RCP軸
系の例では、予想される亀裂の位置は熱遮蔽体の付近で
ある。次いで、解析モデルから求めた固有振動数の中か
ら、対象とする固有振動数(横および/または捩り)が
選択される。亀裂の推定軸方向位置と軸系の応答測定箇
所の両方の位置で、ローカルな顕著な曲げを示すモード
形状を持つ固有振動数は、対象とする固有振動数として
選択される。
【0032】サンプル・モード形状曲線を図6および図
7に示し、対象とする固有振動数をどのように選ぶこと
ができるか説明する。ローカルな高度な曲げが、横モー
ド形状曲線(図6)で曲線の傾斜の大きな変化によって
特徴づけられている。捩りモード形状曲線(図7)で
は、ローカルな高度な曲げが極端な正または負の傾斜の
面積(即ち捩り角度の大きな変化率)によって特徴づけ
られている。図6の横モードAは、高度な曲げがあるた
めに亀裂解析に重要であり、亀裂の疑いのある位置
「C」と応答測定箇所「R」の二つの位置における著し
い変位を示している。モードBとモードCは重要ではな
い。その理由は、亀裂の疑いのある位置と応答測定箇所
とも両方のモードにおいて曲げの少い点および変位の少
ない点に位置しているからである。図7の捩りモードB
は、亀裂の疑いのある位置「C」と応答測定箇所「R」
に高度な捩り曲げがあるために亀裂解析上重要である。
モードAおよびモードCは、重要ではない。その理由
は、亀裂点と応答測定点での角変位曲線が大きな傾斜を
示していないので、これらの点では曲げが小さいからで
ある。また亀裂の推定軸方向位置を用いれば、必要に応
じてシャフトの直径Dが求められる。
【0033】本発明の新モード試験法は、軸系への接近
に制約がある場合に、軸系に亀裂が生じているか否かを
検査できるように開発されたものである。この方法によ
れば、応答測定箇所からかなり離れた軸の領域の亀裂も
検査することができる。この方法は、選択したモード
が、応答測定箇所および亀裂の推定位置付近に最大の曲
げ領域が生じるように、高いオーダーの固有振動数を識
別することにより行なわれている。
【0034】この技術を用いれば、軸の全長に沿ってい
ずれの位置でも検査を行なうことができる。位置を変え
る度に、それぞれの固有振動数とこれに伴うモード形状
を調べる必要がある。軸系の固有振動数解析を行なうこ
とにより、対象固有振動数、モード形状および最大曲げ
領域を特定すれば、実験に基づいた軸系検査は実施し易
くなる。以下、本発明に係る試験法の理論について簡単
に説明する。
【0035】振動している構造体には、ポテンシャルエ
ネルギーをできるだけ少ない状態にしようとする性質が
ある。振動に耐えている構造体は、構造体の減衰作用即
ち履歴現象によりエネルギーを消失させようとしてい
る。減衰作用は変位量に比例して変化するが、位相外で
は高調波振動速度の影響を受ける。この現象を数学的に
表すと以下のようになる。
【0036】
【数3】
【0037】gは、通常0.05以下である構造減衰係
数を表し、Kは軸の剛性(stiffness)を表
し、Bは力の関数の大きさを表し、またWは角度歳差振
動数を表している。
【0038】構造減衰理論は、その理論が狭い間隔で直
交する固有振動数を起振することのできるメカニズムか
ら成り立っているため、軸の亀裂検知法に応用されてい
る。亀裂の入った軸の直交する2つの主要モードは、亀
裂「波面」(wave front)84(図8の非対
称的な軸亀裂を示す断面図を参照)に直交する向きと、
これに平行な向きとに対応している。
【0039】複数のラジアル方向から軸系を振動させれ
ば、亀裂のない軸系を測定して得られる対象横固有振動
数よりも僅か下側に2つの横固有振動数の発生が認めら
れる。円周方向位置から見たこれら固有振動数の値は、
亀裂の位置を示している。これら固有振動数の分離から
亀裂の深さaが得られる。
【0040】軸系を接線方向に起振することにより、亀
裂のない軸系のために測定された対象捩り固有振動数よ
り僅かに低い捩り固有振動数を見つけ出すことができ
る。振動数の減少は亀裂深さaを表示している。
【0041】本発明の原理によれば、亀裂のない軸系の
解析モデルは、推定軸方向位置に非対称的な亀裂の入っ
ている状態がこれに含まれるように修正される。以下、
理論的な根拠および解析モデルの好ましい修正の仕方に
ついて説明する。
【0042】軸の亀裂をモデル化する好ましい方法は、
亀裂の深さの領域について標準化した軸セクションの慣
性を計算する作業を第1の段階としている。剛軸線方向
の慣性I1と軟軸線方向の慣性I2は、亀裂のない同じ直
径の軸の慣性I0を用いて標準化される。図9は、亀裂
比率(亀裂の深さa)/(軸の直径D)の関数として標
準化された慣性を表すグラフである。
【0043】捩れおよび横方向モードに対する軸の剛性
は、面積2次モーメントまたは慣性として引用されてい
る、軸セクションの特性によって決まる。図8は、亀裂
の入った軸の断面を表している。面積慣性は、任意の座
標系〔X,Y〕において、次の式により特定することが
できる。
【0044】 Ix =∫Y2dA (2) Iy =∫X2dA (3) Ixy=∫XYdA (4) Ip =∫(X2+Y2)dA=Ix+Iy (5) Ixの項は、x軸の回りで軸を曲げた場合の軸の剛性に
関係している。同様に、Iyはy軸の回りで軸を曲げた
場合の軸の剛性に関係している。IxとIyは常に正の値
を取るが、Ixyは基準軸の向きと位置に応じて、正、負
または零の値を取ることができる。Ipはz軸すなわち
極軸の回りでねじった場合の軸の剛性に関係している。
【0045】図8に描かれた軸の幾何学形状を参照され
たい。亀裂の深さはaで表され、Dは軸の直径を表して
いる。亀裂のない幾何学形状である円の中心に座標系
〔X,Y〕の原点を合わせ、〔X,Y〕座標系を回転さ
せればY軸は亀裂を対称的に2等分する。計算式は整理
され、断面積が少くとも1つの軸線の回りで対称的であ
れば、項Ixyは消去できる。従って、〔X,Y〕座標
系に対する慣性の積は消去される。すなわち、Ixy=0
である。
【0046】従来からある梁の理論から、またたわみが
僅かであれば、軸は中立軸について曲がるようになる。
線形弾性解析を行う場合、中立軸はセクションの重心線
に一致する。
【0047】亀裂が軸内に広がっていくにつれて、断面
中立軸は亀裂の波面の方向に移動していく。亀裂の深さ
を(a)とすると、中立軸は点Pに向けて位置を変えて
いく。新たな一組の座標軸が、〔X,Y〕に平行にしか
もPを通って描かれている。これら一組の軸線は、与え
られた亀裂深さでの主要な軸線(U,V)として表され
ている。断面はV軸線に関して対称的であり、Iuv=0
が成立する。点0とPの間の距離Yは次の式によって求
められる。
【0048】 Y=∫YdA/∫dA (6) 亀裂の入ったセクションの内側領域について、また
〔X,Y〕について計算が行なわれる。
【0049】このセクションの特性の主要値に関して言
えば、IuとIvは最大値と最小値を取り、Iuvは消去し
なくてはならない。これら特性は、通常ではI1とI2
より表される。これら特性値は、(〔U,V〕に対し)
次のように表される。
【0050】 I1 =∫V2dUdV (7) I2 =∫U2dUdV (8) I12=∫UVdUdV=0 (9) 式(7)、(8)および(9)は2次面積モーメントの
正確な数学的定義付けをしている。しかし、このような
積分式の計算は単純な幾何学形状の亀裂の入った軸の場
合でも面倒な作業である。与えられた組の軸線に対する
慣性の項は、第2の一組の軸線に対しては次のように表
すことができる。
【0051】
【数4】
【0052】ここで、〔X,Y〕は〔U,V〕に平行で
あり、 A=断面積 d=Ivにおける平行な軸線(X,U)の間の距離、ま
たはIuにおける(Y,V)の間の距離 図8に示した状態では、dはX軸とU軸の間の距離に相
当している。すなわち 、 d=Y (13) また主要な2次モーメントは次のように表すことができ
る。
【0053】 I1=Iu=Ix+AY2 (14) I2=Iy=+A(0)2=Iy (15) ここで、 Ix=∫Y2dXdY (16) Iy=∫X2dXdY (17) 亀裂の入った軸の領域におけるIxとIyは計算により求
める必要がある。先の積分式は、連続サブ領域の範囲で
積分値を合計する式により解くことができる。 I(X,Y)=I1(X,Y)+I2(X,Y) +I3(X,Y) (18) ここで、
【0054】
【数5】
【0055】この計算方式は数学的には精度の高い値は
求められるが、通常では使うとなると不便である。従っ
て、成分を合計する次の方式が用いられる。
【0056】
【数6】
【0057】は〔X,Y〕座標系から成分の重心座標系
までの距離要するに、亀裂の入った軸の主要2次モーメ
ントは、平行軸の定理および成分法を用いてコンピュー
タ計算される。面積と重心距離Yiは亀裂の深さの変化
に伴って変化し、その都度繰り返して計算する必要があ
る。コンピュータプログラムを利用し、必要な範囲内で
式の計算を行なうことができる。ディメンションを取り
去った3つの曲線を用意し、これを全てのケースにあて
はめることもできる。これらの計算結果が、図9に示さ
れている。
【0058】軸の亀裂をモデル化する好ましい方式の次
の段階では、各軸セクションのそれぞれの方向の慣性、
すなわち横解析のためには剛軸線と軟軸線に沿った、そ
して捩り解析のためには極軸線に沿った向きの慣性につ
いて、相当直角円の直径Deqが、次の関係式を用いて計
算される。
【0059】
【数7】
【0060】亀裂の影響下にある軸の軸方向範囲を表す
有効長さLは、次の式により計算される。
【0061】 L=2(a)(tan53°) (27) 有効長さの関係式の意味するところは図10に示されて
おり、この方程式の理論的根拠は、1980年1月発行
のASME機械設計ジャーナル会報、第102巻、14
0頁から146頁、B.Grabowski氏による題
名「横に亀裂が入ったタービンロータの振動的挙動」の
論文に記載されている。角度範囲を利用すれば有効長さ
を求められるが、53度で好結果が得られることが分か
っている。
【0062】図10は、軸内の一定応力線が亀裂の存在
のために方向を変えられることを示している。亀裂の領
域の軸を通る応力の流れを近似する誇張した近似亀裂モ
デルにつき、図10および図11を参照して説明する。
与えられた亀裂比率a/Dに対して、軸は有効亀裂長さ
Lにわたりモデルを修正する。モデル修正は、有効亀裂
長さに沿って各点「i」の慣性モーメント「I(new)
i」を方程式2、3および5によって計算することを含
む。
【0063】有効亀裂長さに沿った各点の各慣性は、次
に亀裂「C」からの距離に比例した値「Ii」に置き換
えられる。
【0064】Iiは次の式により求められる。
【0065】 Ii=I(old)i−(|(1i−(L/2))/(L/2)|・(I(old)i−I(new)i)) ここにI(old)iは亀裂のない軸の軸上の点「i」の
ローカルな慣性値であり、liは亀裂の疑いのある位置
「C」から点「i」までのローカルな距離である。
【0066】図11に示す直円柱のような単純な場合、上
記方程式は単純化される。
【0067】 Ii=I1−(|(1i−(L/2))/(L/2)|・(I1−I5)) 亀裂のモデル化処理が真直な軸について行われる場合、
慣性モーメントIiは、図11に示すように、亀裂から
−L/2の長さを起点とし、亀裂の疑いのある位置に至
るまで深さが増し、亀裂位置から次第に階段を上がるよ
うに+L/2の長さで元の直径に戻る、平らな階段をも
った真直な軸の慣性モーメントを表している。
【0068】軸要素内のトルクは次式により与えられ
る。
【0069】 ここにθは捩り角度、Gは剪断弾性係数、Lは軸要素
の長さ、Ipは上記方程式(5)による極慣性モーメン
トである。古典的な材料力学によれば、θ以外の方程式
(28)の右側の項は、捩りばね定数Kとして含まれ
る。式(28)は従って次のように書き換えられる。
【0070】T=Kθ このようにして、非対称な軸の特性は、結合して単純な
捩りばね定数になる。捩り固有振動数が、断面特性Ix
およびIyの非対称な変形のために下向きのシフト(ス
プリットではない)を示すことは、誰でも分かることで
ある。
【0071】軸系の当初の構造力学モデルは、横振動解
析の際は剛軸線と軟軸線ごとについての、捩り振動解析
の際は極軸線についての、相当直径と有効長さを用い、
または上記の誇張された近似亀裂モデルの結果を用い
て、亀裂の推定軸方向位置における修正が加えられる。
この修正したモデルから、亀裂の深さの範囲内において
各方向毎に、軸系の新たな横および/または捩り固有振
動数とモード形状が得られ、新たに求めた横および捩り
固有振動数は、亀裂比率(a/D)の関数としてグラフ
に表される。
【0072】図12は、そうした2種類の横固有振動数
NL1とNL2をグラフ化したものである。他の横固有振動
数における、モデル化した亀裂の影響も同じようにグラ
フ化することができる。亀裂のない軸の横固有振動数は
図12の横座標に沿ってプロットされ、亀裂比率は同図
の縦座標に沿ってプロットされている。図示のように、
横固有振動数はRCPの運転条件よりも事実上高くなっ
ている。このRCPの運転条件は、理想的な構造の機械
によれば得られる条件である。現実には、軸の質量が大
きくなってもその剛性を同時に高める同次性を満足でき
ないため、軸の局部直径の5%またはそれ以下の深さを
もつ亀裂は解析可能な限界を下回っている。例えば、軸
内の一対のキイ溝は、約0.03の亀裂比率に相当する
非対称性を示し、その亀裂比率は、本発明の方法を適用
する際、既知の非対称性に当てはめるために、修正する
(即ち、亀裂比率パラメータから引き出して)ことがで
きる。0.05の亀裂比率以上では解析可能であり、図
12のグラフは、モデルに亀裂を導入することで生じた
横固有振動数の予想スプリットとシフトを表している。
亀裂の重大度が増大するにつれて、2つの新たな固有振
動数の間隔は大きく広がっていく。修正したモデルから
得られる亀裂の各推定軸方向位置毎に、対象横固有振動
数のシフトとスプリットが計算され、軸系上で実施され
た実際の横固有振動数測定値に比較して軸の亀裂の存在
と寸法が求められる。
【0073】図13の図表は、モデル内の亀裂の発生に
より生じた捩り固有振動数NT1およびNT2の予想される
シフトを示している。亀裂増大の重大度を示すものとし
て、この振動数のシフトは一層はっきりしたものとな
る。修正されたモデルから求められた、亀裂の特定の推
定軸方向位置の対象捩り固有振動数の計算上のシフト
は、図15に示すように測定された実際の捩り固有振動
数と関連づけて軸内の亀裂の存在と大きさを求めること
ができる。
【0074】図14は、試験装置の具体例を示してい
る。この試験装置を用いてRCPの軸系の実際の横固有
振動数を測定することができる。軸系は針材(stin
ger)72、すなわち厚みの薄い円筒状のロッドを介
してカップリング44に連結された電磁シェーカ70を
用いてラジアル方向に起振される。ロードセル74は入
力値を測定し、この入力値を表す電気信号を発生する。
軸系の振動応答は、針材72の直径方向反対側に配置さ
れた加速度計76により測定するのが好ましい。こうし
た180度の関係は、解析能力を最大限発揮し、かつク
ロス効果(cross effects)を避ける上で
好ましい。ロードセル74と加速度計76の取り付けら
れる回転可能なカラー77を利用すれば、図19のa,
b,cに示すように、ラジアル方向の測定位置を速やか
に変えられる利点がある。
【0075】どちらかといえば、カラー77の位置は一
定に保持され、軸系は図20のaからdに示すように、
多数の選択されたラジアル方向に沿って測定するため
に、カラー内で制御により位置を変えることができる。
(図20のaからdでは、Kは軸のキ−溝を示す。)加
速度計76とロードセル74からの出力信号は、それぞ
れ図4に示すような適当なカプラー86、88を通じて
FFT解析器78に送られる。この解析器は、周知のよ
うにして振動数応答関数を作り出している。振動数応答
関数のピーク値は実際の固有振動数を表している。軸を
起振し、この軸の周囲で予め決めてある幾つかのラジア
ル方向に軸系の応答を測定することで(図16参照)、
軸系の横固有振動数の変化を円周方向位置の関数として
観察することができる。(図17および図18を参
照)。図18のaからhでは、図の右側に示すグラフが
図の左側に示す角度方向の振動数応答関数を表してい
る。FRF(振動数応答関数)の各ピークは測定された
横固有振動数を教えている。0°の位置では(図18の
a,b)、軟軸線に関連した実際の横固有振動数が示さ
れている。90°の位置では(図18のe,f)、剛軸
線に伴う横固有振動数の測定値が表されている。予想通
り、剛方向の横固有振動数は軟方向の横固有振動数より
も幾分高くなっている。中間角度位置では(図18の
c,d,g,h)、両方の横固有振動数が検知されてい
る。
【0076】再び図14を参照する。この図にはRCP
の軸の例が描かれており、軸に近付くことが困難なた
め、駆動点モード解析が使われている(すなわち、入力
すると同時に同じ軸方向位置で出力が測定される)。本
発明の方法の他の適用例では、起振箇所と応答測定位置
を軸方向に配置することができる。
【0077】図15は、捩り振動解析のための典型的な
試験装置を描いている。図示のように、起振力は針材7
2とロードセル74を介してカラー77の耳部材85の
第1の組に加えられる。カラーの直径方向反対側の耳部
材89に配置された加速度計76は、軸系の極軸線に関
する捩り振動応答を測定する。捩り起振力はこうしてカ
ップリング44の周上第1の箇所に、接線方向に加えら
れ、捩り応答は第1の箇所から180度ずれた第2の周
上箇所で、接線方向に沿って測定される。(図19のd
参照)ロードセル74と加速度計76からの信号は、横
振動解析について前に述べたのと同一の方法で処理され
る。捩り振動モードについては、単一の測定記録のみ
が、亀裂比率の関数としての対象固有振動数の修正され
たモデルによる予想シフトとの比較上、実際の固有振動
数を求めるために必要となる。
【0078】本発明の方法の試験的部分を実施するにあ
たり、様々な周知の設備を使用することができる。例え
ば、次の試験設備を用いて亀裂の入った軸のモード試験
を行なうことができる。
【0079】1.ズーム(zoom)と信号発生器をオ
プションとして装備し、モード解析ソフトウェアの組み
込まれたZonic 6081Z4チャンネル解析シス
テム(Zonic 6081Z Four Chann
el Analysis System)。Zonic
6081ZマルチチャンネルFFT信号プロセッサ
は、即時に40KHzの信号帯のデータを入手すること
のできる4つのチャンネルを備えている。ディジタル・
ズーム解析プロセッサは20uHz振動数解析を行うこ
とができる。このシステムは、15メガバイト・ウイン
チェスター・組込みディスクドライブと、データのバッ
クアップおよび記憶用に用いられる320キロバイト・
3.5インチ・マイクロフロッピーディスクとを備えて
いる。オプション装備される信号発生器を用いれば、ユ
ーザーはリニア走査比または対数走査比のいずれか一方
の比率の波形を選択することができる。サイン波形、三
角波形または四角波形は、1Hzから40KHzの範囲
で選択することができる。ランダムノイズはDCから4
0KHzの範囲で起きることがある。任意波形のプログ
ラムバースト(programmable burst
ing)は、帯域限定白色ノイズ(band limi
ted white noise)を含めて選択するこ
とができる。バーストノイズ出力により、試験時間を短
縮し、リークエラー(leakage errors)
を減少させることができる。
【0080】2.モデル2250出力増幅器を装備した
MB力学モード50電気機械式起振器(シェーカ)。こ
のMB力学モード50電気機械式起振器は、特にモード
試験用のものとして設計されている。起振器は簡単に吊
下げられ、テストピースに速やかに整合させることがで
きる。出力増幅器モデル2250は、Zonic信号発
生器から送られてくる入力起振信号を増幅し、起振器を
駆動するようになっている。慣性質量を、吊下げた起振
器に取付け、起振力に対し反力を働かせることができ
る。
【0081】3.Kistler Instrumen
t Corporation製の1Volt/G加速度
計(0.5から5000Hzの範囲)、5516カプラ
ー;9712 A50,501b.力変換器、99.2
mV/1b;力変換器と併用されるDCオフセット調整
装置を装備した5120カプラー。
【0082】対象とする横および/または捩り振動数の
帯域での実際の横および/または捩り固有振動数と、修
正されたモデルから予想される新たな軸系の振動数とを
比較することにより(図12)、推定軸方向位置の亀裂
の存在およびその重大度(すなわち、亀裂比率で表すよ
うな断面縮小の程度)を求めることができる。各ラジア
ル方向にFRFsの解析を行なえば(図18参照)、亀
裂の円周方向位置が分かる。当然ながら試験法は繰り返
して行なわれ、異なった軸方向位置で亀裂の位置をチェ
ックすることができる。同様に、その試験部分で時期を
変えて同じ試験を行ない、亀裂の発生および/または成
長の具合をモニターすることもできる。
【0083】図21は、次に記載する方法の試験的部分
を用いて測定された原子炉循環水ポンプの軸系の実際の
振動数応答関数を示すグラフである。振動数応答関数の
ピークは、測定された軸系の横固有振動数を示してい
る。振動数応答関数は、0から300,000RPMを
示している。関数のピークが、既定の位置の亀裂によっ
て最も影響を受けるだろうということは、この関数から
ははっきりしない。本発明の方法の解析段階が、そのガ
イダンスを提供する。
【0084】図22は、図21に示した振動数応答関数
の実際のコヒーレンス関数を示すグラフである。コヒー
レンス関数は、被検構造体の固有振動数の応答に対する
入力の原因/結果の効率を評価できるようにするもので
ある。コヒーレンス関数の範囲は0から1までである。
典型的には、共振点ではコヒーレンスは非常に高く0.
9に近い筈である。しかし、もし近接して間隔を置いた
2つのモードが存在すると、コヒーレンスは他の点では
良好なデータの領域で非常に近い値に降下する。(図2
2「A」の領域参照)これは、値が近接した固有振動数
の特徴である。
【0085】図23は、図22の一部分をピークの一層
微細な分析を行なうために拡大またはズーミングして示
すグラフである。固有振動数(F)124500RPM
は誇張された大きい方のピークの分析(β)により記入
し直されている。(βは750RPMから46.875
RPMになっている、即ち約16倍微細な考察となって
いる)図から、124078RPMの主要な固有振動数
の上部肩の辺りに即ち125250RPMにおいて2番
目のピークを見つけることができる。このように、コヒ
ーレンス関数(図22)による値の近接したモードにつ
いての示唆は、本当に正しいのである。
【0086】図24は、振動数応答関数(FRF)のズ
ーミング領域のコヒーレンス関数のグラフである。デー
タはグラフ全般を通して0.9領域を優に超えているこ
とが分る。解析器のズーム機能を用いて慎重に見分けた
から、近接して間隔を置いたモードの徴候は存在しな
い。図21から図24に描かれた実際のデータは、本発
明の基礎をなす方法を確証するばかりでなく、実験的な
部分の結果を解釈する際、解析的な部分の意味を際立た
せてもいる。
【0087】本発明の方法は、縦方向以外の向きの(例
えば水平方向の)軸にも適用することができ、またロー
ターおよび回転可能な軸以外の構造体にも利用すること
ができる。図25と図26は、この方法を原子炉容器ベ
ース94に蓋92を固定するボルト90に適用した例を
示している。ボルトは軸方向に延びる穴96を備えてい
る。この穴の内部に挿入される加速度計98は、位置決
めロッド100により選択的に設置され、推定亀裂位置
に磁石102により固定することができる。ロッド10
0に連結された位置決めハンドル104を用いれば、穴
96の内部での加速度計98の位置決め操作がやり易
い。
【0088】ボルトは、FFT解析器/コンピュータ1
08に連結された力変換器106を装備したハンマーに
より、共振を起こすように起振力が加えられる。加速度
計98により振動応答が測定され、ケーブル110を通
じてFFT解析器108に送られる。FFT解析器によ
り、周知のようにして、対象とする固有振動数の領域内
のボルト90の実際の固有振動数が得られ、前述したよ
うな方法を用いて、これら測定した固有振動数をボルト
の修正された解析モデルより得られる予想固有振動数と
比較することができる。
【0089】同じような方法を用いて、中心穴を有する
水平なタービン軸やその他の類似する構造体に生じた亀
裂を見付け出すこともできる。また、インペラをRCP
の軸の底部に取付けるボルトに生じた亀裂を検知する方
法にも利用できることが期待されている。
【0090】
【発明の効果】先の説明から、本発明により軸の亀裂を
検知する新規な方法が開発され、この方法によれば従来
の方法に比べて速やかに検知が行えることが明らかであ
る。この新規な方法は、軸に接近することが困難な場合
にも、軸に沿ったどの箇所でも亀裂の存在、大きさおよ
び位置を識別することができる。この方法は、静止した
軸に実施することができ、また様々な構造体に利用する
ことができる。
【0091】本発明の好ましい幾つかの実施例について
これまで説明してきたが、当業者であれば、本発明の精
神から逸脱することなく、また請求の範囲に特定した技
術範囲から外れることなく、様々に修正し、置き換えを
行い、また追加することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】典型的な加圧水型原子炉(PWR)発電プラン
トを示す概略説明図である。
【図2】PWR用の原子炉冷媒システムを示す詳細図で
ある。
【図3】原子炉冷媒用ポンプの一部を切除した断面斜視
図である。
【図4】本発明のモデル解析試験法の全手順を示す、一
部をブロック図の形式で表した概略説明図である。
【図5】ポンプ軸系の多測点構造力学モデルを描いたグ
ラフィック図である。
【図6および7】構造力学モデルから求められた、亀裂
がない軸系の種々の固有振動数に関連した横振動モード
形状および捩り振動モード形状をそれぞれ描いたグラフ
である。
【図8】非対称的な亀裂がある軸を示す断面図である。
【図9】剛軸線、軟軸線および極軸線に沿って、亀裂比
率の関数として標準化した直径方向および極方向の慣性
をプロットしたグラフである。
【図10】非対称的な亀裂をモデル化する際有効長さを
計算するのに用いる軸亀裂に伴う応力の流れと寸法を示
す概略説明図である。
【図11】本発明の誇張した亀裂モデルの特徴を分かり
易く示した概略説明図である。
【図12】亀裂比率の関数としての、軸の横固有振動数
の下向きのシフトおよびスプリットをプロットしたグラ
フである。
【図13】亀裂比率の関数としての、軸の捩り固有振動
数の下向きのシフトをプロットしたグラフである。
【図14】原子炉冷媒用ポンプ軸の横振動試験設備の一
例を示す、一部を切除した斜視図である。
【図15】原子炉冷媒用ポンプ軸の捩り振動試験設備の
一例を示す、一部を切除した斜視図である。
【図16】複数のラジアル方向に沿って、軸の横振動応
答を測定する方法を示した説明図である。
【図17】円周位置の関数としての横固有振動数シフト
をプロットしたグラフである。
【図18のa,c,e,g】ラジアルな4つの方向の測
定を示す説明図である。
【図18のb,d,f,h】前記ラジアル4方向各々の
横振動解析における固有振動数応答関数を示すグラフで
ある。
【図19】被検軸系の回りに測定用カラーの位置を種々
移し変えた試験設備を示す平面図である。
【図20】被検軸系が定置カラー内で種々位置を移し変
えた別の試験設備を示す示面図である。
【図21】本発明の方法に基づいて測定された実際の振
動数応答関数をプロットしたグラフである。
【図22】図21の振動数応答関数の実際のコヒーレン
ス関数をプロットしたグラフである。
【図23】図21の振動数応答関数の対象領域を拡大し
たグラフである。
【図24】図23の拡大領域のコヒーレンス関数をプロ
ットしたグラフである。
【図25】原子炉容器の蓋を固定するボルトに生じた亀
裂を検知する、本発明による方法を示した概略説明図で
ある。
【図26】図25の一部を拡大した詳細図である。
【符号の説明】
10 加圧水型原子炉発電プラント 12 原子炉容器 18 原子炉冷媒ポンプ 42 軸系 52 インペラ 62 多測点解析モデル 70 電磁シェーカ 72 針材 74 ロードセル 76 加速度計 78 高速フーリエ変換解析器
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G21C 17/00 GDP

Claims (45)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静止中の被検軸系内の亀裂を検知する方
    法であって、亀裂のない被検軸系を模擬した多測点構造
    力学モデルを用いて、亀裂のない軸系の固有振動数とこ
    れに伴う軸線方向に沿う各点における軸系の変位を表す
    振動モード形状を求める段階と、亀裂の推定軸方向位置
    を特定し、前記モデルから求めた固有振動数の中から、
    亀裂の推定軸方向位置および応答測定箇所において顕著
    な局部的曲げを示す関連振動モード形状を有する対象固
    有振動数を選択する段階と、前記推定軸方向位置におけ
    る亀裂を模擬して前記モデルを修正する段階と、前記修
    正したモデルを用いて、対象固有振動数のもとで前記
    亀裂による影響を亀裂の深さの関数として計算する段
    階と、静止中の被検軸系の起振箇所に起振力を加え、応
    答測定箇所において前記起振力に対する被検軸系の振動
    応答の測定を行う段階と、前記測定の結果を処理し、対
    象固有振動数の近傍領域で被検軸系の実際の固有振動数
    を求める段階と、対象固有振動数のもとで前記模擬亀裂
    による影響の計算結果と前記実際の固有振動数を比較し
    て、被検軸系の亀裂の存在と重大度を決定する段階と、
    を含む静止中の被検軸系内の亀裂を検知する方法。
  2. 【請求項2】 前記モデルを修正する段階が、剛軸線
    (stiff axis)に平行に延びている波面、お
    よび軟軸線(soft axis)に沿って延びている
    亀裂の深さを有する非対称的亀裂を模擬してモデルを修
    正する段階を含み、また、修正したモデルを用いて、対
    象固有振動数のもとで模擬亀裂の影響を計算する前記段
    階が、対象固有振動数の低下方向のシフトを、前記推定
    軸方向位置における亀裂の深さの軸径に対する比率の関
    数として計算する段階を含む、請求項1の方法。
  3. 【請求項3】 前記モデルを修正する段階が、前記軟軸
    線および前記剛軸線の各々について軸セクション慣性の
    相当直径および有効長さを有する直角円形セクションと
    して前記亀裂を模擬する段階を含む、請求項2の方法。
  4. 【請求項4】 前記モデルを修正する段階が、亀裂の有
    効長さに沿っ各点iについて慣性モーメントI
    (new)iを次の式により計算する段階と、 Ix=∫Y2dA Iy=∫X2dA Ip=∫(X2+Y2)dA=Ix+Iy 亀裂の有効長さに沿っ各点ついての慣性モーメ
    ントIiを次の式により計算する段階であって、 Ii=I(old)i−(|(1i−(L/2))/(L/2)|・(I(old)i−I(new)i)) ここに、I(old)iは亀裂のない軸の点iの断面の慣性
    モーメント、1iは亀裂の推定軸方向位置から点iまで
    のローカルな距離を表している段階と、を含む、請求項
    2の方法。
  5. 【請求項5】 前記モデルを修正する段階が、剛軸線と
    軟軸線ごとに推定軸方向位置の亀裂の深さの領域につい
    て軸セクション慣性を計算し、前記軸線の各々に沿って
    それぞれの軸セクション慣性ごとに相当直角円の直径を
    次の式 【数1】 により計算する段階を含み、ここにDeqは特定の軸線に
    おける直角円セクションの相当直径を表し、Iは特定の
    軸線における軸セクション慣性を表し、また次の式 L=2(a)(tan53°) により有効長さをコンピュータで計算する段階を有し、
    ここに、Lは有効長さを表し、またaは亀裂の深さを表
    している、請求項3の方法。
  6. 【請求項6】 前記亀裂の推定軸方向位置を特定する段
    階が、軸系の用途に応じて、軸系に力が作用する結果亀
    裂が発達する恐れのある軸系の位置を特定する段階を含
    む、請求項1の方法。
  7. 【請求項7】 前記振動応答の測定を行う段階が、軸系
    の加速度を測定することを含む、請求項1の方法。
  8. 【請求項8】 起振力を加える段階が、軸系にランダム
    白色ノイズ起振力を加えることを含む、請求項1の方
    法。
  9. 【請求項9】 起振力を加える段階が、軸系に対し対象
    固有振動数の領域に限定帯域の振動エネルギを与えるこ
    とを含む、請求項1の方法。
  10. 【請求項10】 加速度は加速度計により測定され、起
    振力は針材(stinger)とロードセルを経て電磁シ
    ェーカによって加えられ、また加速度計とロードセルか
    ら出力信号が高速フーリエ変換(FFT)解析器へ送ら
    れる、請求項の方法。
  11. 【請求項11】 前記処理する段階が、高速フーリエ変
    換解析器を用いて振動応答関数を求めることを含む、請
    求項1の方法。
  12. 【請求項12】 構造力学モデルの隣接する測定点間の
    距離が、局部的な軸系の半径の半分より大きくない、請
    求項1の方法。
  13. 【請求項13】 被検軸系に接近困難であり、また、起
    振力が加えられ、かつ応答測定が軸系の同一軸方向位置
    で行われる、請求項1の方法。
  14. 【請求項14】 振動応答の測定が、亀裂の推定軸方向
    位置に一致する位置で行われる、請求項1の方法。
  15. 【請求項15】 さらに、実際の軸系にロービング(r
    oving)力モード解析を加えて、固有振動数と構造
    力学モデルから求めた関連振動モード形状とを確かめる
    段階を含む、請求項1の方法。
  16. 【請求項16】 さらに、複数のラジアル方向に沿って
    軸系の実際の固有振動数を分析することによって、被検
    軸系内の亀裂の円周方向位置を求める段階を含む、請求
    項1の方法。
  17. 【請求項17】 軸系が、該軸系が静止時に前記起振力
    を受ける回転軸系を含む、請求項1の方法。
  18. 【請求項18】 前記軸系が長手方向に延びる中空な中
    心穴を有し、振動応答の測定が該穴の内部から行われ
    る、請求項1の方法。
  19. 【請求項19】 前記軸系がボルトを含む、請求項18
    の方法。
  20. 【請求項20】 前記軸系がパイプを含む、請求項18
    の方法。
  21. 【請求項21】 前記起振力が軸系の捩り起振力を発生
    させ、前記測定が捩り振動応答の測定である、請求項1
    の方法。
  22. 【請求項22】 前記起振箇所および応答測定箇所が、
    円周方向に180度ずれて置かれている、請求項21の
    方法。
  23. 【請求項23】 修正段階が、剛軸線に平行に延びてい
    る波面、および軟軸線に沿って延びる亀裂の深さを有す
    る非対称的亀裂を模擬してモデルを修正する段階を含
    み、また、修正したモデルを用いて、対象固有振動数の
    もとで模擬亀裂による影響を計算する段階が、推定軸方
    向位置における亀裂の深さの軸径に対する比率の関数と
    して対象固有振動数の低下方向のシフトを計算する段階
    を含む、請求項22の方法。
  24. 【請求項24】 前記モデルを修正する段階が、前記軸
    系の中心を通って長手方向に延びている極軸線につい
    て、軸セクション慣性の相当直径、および有効長さを有
    する直角円形セクションとして前記亀裂を模擬する段階
    を含み、ここに前記修正する段階は、剛軸線および軟軸
    線について、推定軸方向位置における亀裂の深さの領域
    について軸セクション慣性を計算する段階と、極軸線に
    沿って次の式により各軸セクション慣性の相当直角円の
    直径を計算する段階を含み、 【数2】 ここにDeqzは捩り振動解析のための直角円形セクショ
    ンの相当直径を表し、Ixは剛軸線についての軸セクシ
    ョン慣性を表し、Iyは軟軸線についての軸セクション
    慣性を表また、次の式により有効長さをコンピュー
    タで計算する段階を含み、 L=2(a)(tan35°) ここにLは有効長さを表し、aは亀裂の深さを表してい
    る、請求項23の方法。
  25. 【請求項25】 静止中の被検軸系に起振力が加えら
    れ、振動応答が軸系の共通の直径に沿って測定される方
    法であって、モデルの修正段階が、剛軸線に平行に延び
    ている波面、および軟軸線に沿って延びる亀裂の深さを
    有する非対称的亀裂を模擬してモデルを修正する段階を
    含み、また、修正したモデルを用いて、対象固有振動数
    のもとで模擬亀裂による影響を計算する段階が、横振動
    解析のために推定軸方向位置における亀裂の深さの軸径
    に対する比率の関数として対象固有振動数の低下方向
    シフトおよびスプリットを計算する段階を含む、請求項
    1の方法。
  26. 【請求項26】 静止中の被検軸系に起振力が加えら
    れ、振動応答が軸系の多様な直径に沿って測定される、
    請求項25の方法。
  27. 【請求項27】 静止中の被検軸系内の亀裂を検知する
    方法であって、軸系の多測点解析モデルを用いて、指定
    された位置にある亀裂のために対象固有振動数を求め、
    亀裂の深さの関数として対象固有振動数のシフトを予想
    する段階を含み、静止時の被検軸系の実際の固有振動数
    を、起振力を起こす振動に対する応答により測定する段
    階を含み、ここに前記実際の固有振動数は対象固有振動
    数の領域にあり、また実際の固有振動数と対象固有振動
    数の予想したシフトとを比較して、両者の間の相関関係
    を求める段階を含み、ここにそのような相関関係は、軸
    系内の亀裂の存在とその重大度を示している。静止中の
    被検軸系内の亀裂を検知する方法。
  28. 【請求項28】 軸系の実際の固有振動数を測定する段
    階が、接線方向に沿って軸系の振動応答の測定を行うこ
    とを含む、請求項27の方法。
  29. 【請求項29】 前記起振力が軸系の第1の円周上位置
    で接線方向に沿って加えられ、振動応答の測定が軸系の
    第2の円周上位置で接線方向に沿って行われ、ここに前
    記第2の円周上位置が第1の円周上位置から180度ず
    れて置かれている、請求項28の方法。
  30. 【請求項30】 静止中の被検軸系内の亀裂を検知する
    方法であって、 (a)軸系の多測点解析モデルを用いて、指定された位
    置にある対象1次の固有振動数を求め、横振動解析のた
    めに亀裂の深さの関数として前記対象1次の固有振動数
    のスプリットおよびシフトを予想する段階と、 (b)静止時の被検軸系の実際の固有振動数を、起振力
    を起こす横振動に対する応答により測定する段階と、こ
    こに前記実際の固有振動数は対象1次の固有振動数に近
    い領域にあり、 (c)前記実際の固有振動数と対象1次の固有振動数の
    予想したスプリットおよびシフトとを比較して、両者の
    間の相関関係を求める段階と、 (d)軸系の多測点解析モデルを用いて、亀裂のための
    対象2次の固有振動数を求め、また捩り振動解析のため
    に亀裂の深さの関数として対象2次の固有振動数の低下
    方向のシフトを予想する段階と、 (e)静止時の被検軸系の実際の固有振動数を起振力を
    起こす捩り振動に対する応答により測定する段階を含
    み、ここに前記実際の固有振動数は対象2次の固有振動
    数に近い領域にあり、また (f)前記実際の固有振動数と対象2次の固有振動数の
    予想した低下方向のシフトとを比較して、それらの間の
    相関関係を求める段階と、 を含む、静止中の被検軸系内の亀裂を検知する方法。
  31. 【請求項31】 被検軸系に起振力が加えられ、実際の
    固有振動数が、(b)の段階で軸系の共通の直径に沿っ
    て測定され、ここに(b)の段階は、亀裂の円周上位置
    を求めるために軸系の多様な直径に沿って実行される、
    請求項30の方法。
  32. 【請求項32】 静止中の被検軸系内の亀裂を検知する
    方法であって、被検軸系の起振箇所に起振力を加える段
    階と、前記起振力に対する軸系の振動応答を応答測定箇
    所において測定する段階と、前記測定した振動応答を処
    理して、対象とする固有振動数の近傍領域における被検
    軸系の実際の固有振動数を求める段階と、ここに対象固
    有振動数は、亀裂のない被検軸系を模擬する多測点構造
    力学モデルから求められているものであり、前記対象固
    有振動数は、推定軸方向の亀裂の位置および応答測定箇
    所における顕著な曲げの領域を表す関連振動モード形状
    を有しており、前記軸系内の亀裂の存在を特定するため
    に、前記実際の固有振動数と軸系の(a)対象固有振動
    数および(b)早期に同様にして求めた実際の固有振動
    数のうちの一つとを比較する段階と、を含む、静止中の
    被検軸系内の亀裂を検知する方法。
  33. 【請求項33】 前記起振力は捩り力であり、さらに軸
    系の実際の固有振動数と対象固有振動数との差に基づく
    亀裂の深さを求める段階を含む、請求項32の方法。
  34. 【請求項34】 亀裂の深さを求める段階が、前記の差
    と、亀裂の深さの関数としての前記対象固有振動数の予
    想したシフトとを関連づける段階を含む、請求項33の
    方法。
  35. 【請求項35】 前記対象固有振動数の前記予想したシ
    フトが、前記推定軸方向位置における亀裂を模擬して修
    正された多測点構造力学モデルから求められる、請求項
    34の方法。
  36. 【請求項36】 前記起振力は横力であり、前記処理す
    る段階が、前記測定した振動応答を処理して、対象固有
    振動数に近い領域において被検軸系の実際の固有振動数
    の1組を求める段階を含み、さらに前記実際の固有振動
    数の1組の間の振動数の差、および前記実際の固有振動
    数の1組と対象固有振動数との間の振動数の差に基づく
    亀裂の深さを求める段階を含む、請求項32の方法。
  37. 【請求項37】 前記亀裂の深さを求める段階が、前記
    1組の実際の固有振動数に、亀裂の深さの関数としての
    対象固有振動数における予想したシフトおよびスプリッ
    トを関連づける段階を含む、請求項36の方法。
  38. 【請求項38】 前記対象固有振動数における予想した
    シフトおよびスプリットが、前記推定軸方向位置におけ
    る亀裂を模擬して修正された多測点構造力学モデルから
    求められる、請求項37の方法。
  39. 【請求項39】 静止中の被検軸系内の亀裂の存在とそ
    の重大度を決定する方法であって、改良が次の順序の段
    階からなり、亀裂のない被検軸系を模擬する多測点構造
    力学モデルを用いて、亀裂のない軸系の固有振動数とこ
    れに伴う軸系の変位を表す振動モード形状を求める段階
    と、亀裂の推定軸方向位置を特定し、前記モデルから求
    めた固有振動数の中から、亀裂の推定軸方向位置および
    応答測定箇所における顕著な局部的な曲げを示す関連
    モード形状を有する対象固有振動数を選択する段階
    と、前記推定軸方向位置に存在する亀裂を模擬して前記
    モデルを修正する段階と、前記修正したモデルを用い
    て、対象固有振動数のもとで前記模擬亀裂による影響を
    亀裂の深さの関数として計算し、対象固有振動数に近い
    領域における被検軸系の測定された実際の固有振動数
    が、被検軸系内の亀裂の存在とその重大度を決定するた
    めに、対象固有振動数のもとで模擬亀裂による計算され
    た影響と比較できるようにする段階と、を含む、静止中
    被検軸系内の亀裂の存在と重大度を決定する方法。
  40. 【請求項40】 静止中の被検軸系内の亀裂を検知する
    方法であって、振動を起こさせる起振力を起振箇所にお
    いて軸系に加える段階と、前記起振力に対する軸系の振
    動応答を応答測定箇所において測定する段階と、前記振
    動応答において対象固有振動数に近い領域における実際
    の固有振動数を特定する段階と、ここに対象固有振動数
    は、被検軸系を模擬する多測点構造力学モデルから求め
    られ、軸系内の亀裂の存在を決定するために、前記実際
    の固有振動数を対象固有振動数と比較する段階と、を含
    む、静止中の被検軸系内の亀裂を検知する方法。
  41. 【請求項41】 前記多測点構造力学モデル亀裂のない
    静止中の被検軸系を模擬し、また対象固有振動数が、亀
    裂の推定軸方向位置および応答測定箇所における顕著な
    局部的な曲げを示す関連振動モード形状を有する、請求
    項40の方法。
  42. 【請求項42】 被検軸系が静止しており、前記起振力
    は捩り力であり、また前記比較する段階が、実際の固有
    振動数および対象固有振動数の振動数値の差を求める段
    階を含む、請求項41の方法。
  43. 【請求項43】 さらに前記の差を、亀裂の深さの関数
    として対象固有振動数における予想したシフトと関連づ
    ける段階を含む、請求項42の方法。
  44. 【請求項44】 前記被検軸系が静止しており、起振力
    が横力であり、前記特定する段階が、対象固有振動数近
    傍の2つの実際の固有振動数を特定することを含み、ま
    た前記比較する段階が2つの実際の固有振動数の間の振
    動数の差および2つの実際の固有振動数と前記対象固有
    振動数との間の振動数の差を求めることを含む、請求項
    41の方法。
  45. 【請求項45】 前記の差を、亀裂の深さの関数として
    の対象固有振動数の予想したシフトおよびスプリットと
    関連づける段階を含む、請求項44の方法。
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