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JPH07121981B2 - 開環重合体水素添加物およびその製造方法 - Google Patents

開環重合体水素添加物およびその製造方法

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JPH07121981B2
JPH07121981B2 JP1464988A JP1464988A JPH07121981B2 JP H07121981 B2 JPH07121981 B2 JP H07121981B2 JP 1464988 A JP1464988 A JP 1464988A JP 1464988 A JP1464988 A JP 1464988A JP H07121981 B2 JPH07121981 B2 JP H07121981B2
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正義 大島
禎二 小原
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、透明性、耐溶剤性、耐薬品性に優れ、かつ機
械的強度と可撓性のバランスのとれた新規な開環重合体
水素添加物に関し、さらに詳しくは、多環ノルボルネン
系開環重合体水素添加物およびその製造方法に関する。
従来の技術 従来、光学用高分子材料としてポリメタクリル酸メチル
やポリカーボネート等が使用されてきたが、前者は吸水
性に、また、後者は射出成形時の複屈折等の問題を抱え
ており、ますます高度化する要求に応えることが困難に
なってきている。
また、可撓性に優れた軟質透明シートとしては、塩化ビ
ニル系樹脂やポリエチレン、ポリプロピレンなどのシー
トがある。しかしながら、塩化ビニル系樹脂シートは、
可塑剤を含むため耐溶剤性が不良であり、ポリエチレン
やポリプロピレンなどのシートは透明性に劣る。
近年、これらの欠点を改良した高分子材料として、多環
ノルボルネン系モノマーを用いた重合体が開発されてい
る。例えば、特開昭60−26024号公報にはテトラシクロ
ドデセン類の開環重合体またはテトラシクロドデセン類
とノルボルネン類の開環共重合体の水素化物が透明性、
耐水性、耐熱性に優れていることが記載されている。
しかしながら、テトラシクロドデセン類の開環重合体の
水素化物は、成形性が必ずしも良いとはいえず、また、
テトラシクロドデセン類とノルボルネン類の開環共重合
体の水素化物は、機械的強度と可撓性のバランスが不充
分である。
また、特公昭58−43412号公報には、ジシクロペンタジ
エン開環重合体の水素化物が容易に熱溶融成形加工する
ことができ、透明で強靭なシートを与えることが記載さ
れているが、この水素化物は、強靭ではあるけれども可
撓性に劣る。
一方、ノルボルネン開環重合体(米国特許第2,721,189
号明細書、米国特許第2,932,630号明細書)やノルボル
ネンとジシクロペンタジエンとの開環共重合体(特開昭
51−124189号公報)などの多環ノルボルネン系モノマー
を用いた重合体または共重合体は公知であるが、これら
はいずれも水素添加していないものであって、耐酸化劣
化性に劣り、光学用材料などとしては不適当である。
発明が解決しようとする問題点 本発明の目的は、透明性、耐溶剤性、耐薬品性、耐酸化
劣化性に優れ、かつ機械的強度と可撓性のバランスのと
れた新規な開環重合体水素添加物を提供することにあ
る。
本発明者らは、多環ノルボルネン系モノマーを用いて光
学用高分子またはその原料として好適な新規な合成樹脂
を開発すべく鋭意研究した結果、ノルボルネン類または
ノルボルネン類とジシクロペンタジエン類を開環重合し
て得られる開環重合体の水素添加物が透明性、耐溶剤
性、耐薬品性、耐酸化劣化性に優れ、かつ機械的強度と
可撓性のバランスのとれたポリマーであることを見い出
し、その知見に基づいて本発明を完成するに至った。
問題点を解決するための手段 すなわち、本発明の要旨は、 (1) (A) 下記一般式〔I〕で表わされる繰返し
単位、そのアルキル置換体またはアルキリデン置換体か
ら選ばれる少なくとも1種の繰返し単位100〜10モル
%、および (B) 下記一般式〔II〕で表わされる繰返し単位また
はそのアルキル置換体0〜90モル%とを含み、 かつ、25℃、トルエン中で測定した極限粘度[η]が0.
01〜20dl/gであり、主鎖を構成する の少なくとも50%が単結合である多環ノルボルネン系開
環重合体水素添加物、および (ただし、式中 は単結合または二重結合を示す。) (2) (A)下記一般式〔I′〕で表わされる繰返し
単位、そのアルキル置換体またはアルキリデン置換体か
ら選ばれる少なくとも1種の繰返し単位100〜10モル
%、および (B)下記一般式〔II′〕で表わされる繰返し単位また
はそのアルキル置換体0〜90モル%とを含み、 かつ、25℃、トルエン中で測定した極限粘度[η]が0.
01〜20dl/gである多環ノルボルネン系開環重合体に含ま
れるオレフィン系不飽和基の一部または全部を、水素化
触媒を用いて水素により水素化することを特徴とする主
鎖を構成する の少なくとも50%が単結合である多環ノルボルネン系開
環重合体水素添加物の製造方法、にある。
(ただし、式中 は単結合または二重結合を示す。) 本発明で使用する開環重合体は、単量体として、(A)
未置換または置換ノルボルネン(以下、「A成分」とい
うことがある)単独か、あるいはノルボルネン類と
(B)ジシクロペンタジエン類すなわち、ジシクロペン
タジエンとそのアルキル置換体、および/またはジヒド
ロジシクロペンタジエン類すなわち、2,3−ジヒドロジ
シクロペンタジエンおよびそのアルキル置換体(以下
「B成分」ということがある)とを必須成分として用い
たものであり、環状オレフィンの公知の開環重合法によ
り製造することができる。そして、これら開環重合体の
水素添加物は、通常の水素添加反応方法を利用して製造
することができる。
以下、本発明の各構成要素について詳述する。
(単量体) 本発明で用いるA成分は、未置換または置換ノルボルネ
ン(以下、「NB」と略称することがある)である。置換
ノルボルネンとしては、5−メチル−2−ノルボルネ
ン、5,6−ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−
2−ノルボルネン、5−ブチル−2−ノルボルネンなど
のアルキル置換ノルボルネン、またはエチリデンノルボ
ルネンなどのアルキリデン置換ノルボルネンがある。
本発明で用いるB成分は、ジシクロペンタジエン(以
下、「DCP」と略称することがある)、2,3−ジヒドロジ
シクロペンタジエン(「4,7−メタノ−2,3,3a,4,7,7a−
ヘキサヒドロインデン」、以下、「HDCP」と略称するこ
とがある)、これらのメチル、エチル、プロピル、ブチ
ルなどのアルキル置換体である。
これらの各単量体成分は、それぞれ単独で用いてもよ
く、また適宜混合して用いることもできる。
本発明においては、上記A成分100〜10モル%、好まし
くは90〜20モル%、および上記B成分0〜90モル%、好
ましくは10〜80モル%の割合で使用される。
B成分の使用比率が上昇するにつれて機械的強度が上昇
するが、あまり多過ぎると機械的強度の向上が不充分と
なり、しかも可撓性が低下する傾向が見られる。
本発明においては、上記A成分およびB成分の他に、本
発明の効果を実質的に妨げない範囲内において開環重合
可能な他のシクロオレフィン類を使用することができ
る。使用可能なシクロオレフィンの具体例として、例え
ばシクロペンテン、シクロオクテン、5,6−ジヒドロジ
シクロペンタジエンなどのごとき反応性の二重結合を1
個有する化合物が例示される。
また、多環ノルボルネン系モノマーの中には反応性の二
重結合を2個以上有する化合物も存在するが、そのよう
な化合物の場合は重合体のゲル化を惹起しやすいので、
できるだけ除去することが好ましい。
さらに、重合に際しては、A成分およびB成分の他にブ
テン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−
1、ブテン−2、ペンテン−2、1,4−ヘキサジエンな
どの鎖状のモノオレフィン、鎖状の非共役ジオレフィン
類を分子量調節のために10モル%程度までの範囲で添加
してもよい。
(重合触媒) これらの単量体の開環重合体は、通常のノルボルネン類
の重合法により製造されるが、重合触媒としては、例え
ば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、
イリジウム、白金などのごとき白金族金属化合物(例え
ば、特公昭46−14910号)または、チタン、バナジウ
ム、モリブデン、タングステンなどの遷移金属化合物と
周期律表第I−IV族の有機金属化合物の系などが挙げら
れ、この触媒系に第三級アミンなどの第三成分を組み合
わせてもよい(例えば、特公昭41−20111号、特公昭57
−17883号、特公昭57−61044号、特開昭54−86600号、
特開昭58−127728号公報など)。
重合触媒は、これらの単量体の開環重合が可能な金属化
合物であれば特に制限されないが、好ましくは、四ハロ
ゲン化チタンなどの遷移金属化合物と有機アルミニウム
化合物などの有機金属を含む触媒系あるいは、これに脂
肪族または芳香族第三級アミンなどの第三成分を組み合
わせた触媒系である。
以下に、重合触媒の具体例を挙げる。
遷移金属化合物 金属化合物としては、チタン、バナジウム、タングステ
ン、モリブデン等の遷移金属化合物が好ましく、具体的
には、これら遷移金属のハロゲン化物、オキシハライ
ド、酸化物、カルボニル化合物、有機アンモニウム塩等
がある。
具体例として、 TiCl4、TiBr4、VOCl3、VOBr3、WBr2、WBr4、WBr6、WC
l2、WCl4、WCl5、WCl6、WF4、WI2、WI4、WOBr4、WOC
l4、WOF4、MoBr2、MoBr3、MoBr4、MoCl4、MoCl5、Mo
F4、MoOCl4、MoOF4、WO2、H2WO4、NaWO4、K2WO4、(N
H42WO4、CaWO4、CuWO4、MgWO4、(CO)5WC(OCH3
(CH3)、(CO)5WC(OC2H5)(CH3)、(CO)5WC(OC2
H5)(C4H5)、(CO)5MoC(OC2H5)(CH3)、(CO)5M
o=C(OC2H5) (N(C2H5)、トリデシルアンモニウムモリブデン
酸塩、トリデシルアンモニウムタングステン酸塩等があ
る。
有機金属化合物 有機金属化合物としては、周期律表の第I族から第IV族
までの有機金属化合物、例えば有機アルミニウム化合
物、有機スズ化合物あるいはリチユウム、ナトリウム、
マグネシウム、亜鉛、ガドミウム、ホウ素等の化合物が
ある。
有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニ
ウム、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルア
ルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソ
ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリ
オクチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ト
リベンジルアルミニウム、ジエチルアルミニウムモノク
ロリド、ジ−n−ピロピルアルミニウムモノクロリド、
ジ−イソブチルアルミニウムモノクロリド、ジ−n−ブ
チルアルミニウムモノクロリド、ジエチルアルミニウム
モノブロミド、ジエチルアルミニウムモノイオジド、ジ
エチルアルミニウムモノヒドリド、ジ−n−プロピルア
ルミニウムモノヒドリド、ジイソブチルアルミニウムモ
ノヒドリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチ
ルアルミニウムセスキブロミド、イソブチルアルミニウ
ムセスキクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、エ
チルアルミニウムジブロミド、プロピルアルミニウムジ
クロリド、イソブチルアルミニウムジクロリド、エチル
アルミニウムジブロミド、エチルアルミニウムジイオジ
ド等がある。
有機スズ化合物としては、テトラメチルスズ、ジエチル
ジメチルスズ、テトラエチルスズ、ジブチルジエチルス
ズ、テトラブチルスズ、テトライソクミルスズ、テトラ
フェニルスズ、トリエチルスズフルオリド、トリエチル
スズクロリド、トリエチルスズブロミド、トリエチルス
ズイオジド、ジエチルスズジフルオリド、ジエチルスズ
ジクロリド、ジエチルスズブロミド、ジエチルスズジイ
オジド、エチルスズトリフルオリド、エチルスズトリク
ロリド、エチルスズトリブロミド、エチルスズトリイオ
ジドなどがあげられる。その他n−ブチルリチウム、n
−ペンチルナトリウム、メチルマグネシウムイオジド、
エチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムブロ
ミド、n−プロピルマグネシウムクロリド、t−ブチル
マグネシウムクロリド、アリルマグネシウムクロリド、
ジエチル亜鉛、ジエチルカドミウム、トリメチルホウ
素、トリエチルホウ素、トリ−n−ブチル−ホウ素など
があげられる。
第三成分 上記触媒系に第三成分を加えて、重合活性を高め、開環
重合の選択性を向上させることができる。具体例として
は、分子状酸素、アルコール、エーテル、過酸化物、カ
ルボン酸、酸無水物、酸クロリド、エステル、ケトン、
含窒素化合物、含硫黄化合物、含ハロゲン化合物、分子
状ヨウ素、その他のルイス酸等が挙げられる。その中で
も、脂肪族または芳香族第三級アミンが好ましく、その
具体例としては、トリエチルアミン、ジメチルアニリ
ン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、α−ピコリン
などがある。
(溶媒) 本発明で使用する開環重合体の重合は、溶媒を用いなく
ても可能であるが、不活性有機溶媒中でも実施すること
ができる。
具体例として、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳
香族炭化水素、n−ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなど
の脂肪族炭化水素、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水
素、メチレンジクロリド、ジクロルエタン、ジクロルエ
チレン、テトラクロルエタン、クロルベンゼン、ジクロ
ルベンゼン、トリクロルベンゼンなどのハロゲン化炭化
水素等が挙げられ、これらの二種以上を混合して使用し
てもよい。
(重合温度) 開環重合の温度条件については、特に制限はないが、−
20℃〜100℃の任意の温度を選択するのが通常である。
(重合圧力) 重合圧力の条件は、通常0〜50Kg/cm2の範囲から選択す
ることが好ましい。
(水素添加) 本発明の開環重合体水素添加物は、前記開環重合体また
は開環共重合体を水素添加してそのオレフィン系不飽和
基(主鎖の二重結合および不飽和環の二重結合)の一部
または全部を飽和させることにより得ることができ、そ
れによりポリマーの耐熱劣化性や耐光劣化性をさらに改
善することができる。水素添加率は、開環重合体のすべ
ての二重結合が水素添加により飽和された場合を100%
とすると、理論的には0〜100%の範囲があり、実際に
も、その範囲で任意に選択できるが、耐熱劣化性や耐光
劣化性を向上させるためには、主鎖二重結合の50%以上
が水素添加されることが必要である。この開環共重合体
の水素添加反応は通常の方法により行われる。水素化触
媒としては、オレフィン化合物の水素化に際して一般に
使用されているものであれば使用可能であり、特に制限
されないが、たとえば次のようなものがある。不均一系
触媒としては、ニッケル、パラジウム、白金またはこれ
らの金属をカーボン、シリカ、ケイソウ土、アルミナ、
酸化チタン等の担体に担持させた固体触媒、例えばニッ
ケル/シリカ、ニッケル/ケイソウ土、パラジウム/カ
ーボン、パラジウム/シリカ、パラジウム/ケイソウ
土、パラジウム/アルミナなどが挙げられる。また、均
一系触媒としては、周期律表第VIII族の金属を基体とす
るもの、例えば、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアル
ミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、ニ
ッケルアセチルアセトネート/トリエチルアルミニウム
などのNi,Co化合物と周期律表第I〜III族金属の有機金
属化合物からなるもの、あるいはRh化合物などが挙げら
れる。
水素添加反応は、触媒の種類により均一系または不均一
系で、1〜150気圧の水素圧下、0〜180℃、好ましくは
20〜100℃で行われる。水素添加率は、水素圧、反応温
度、反応時間、触媒濃度などを変えることによって任意
に調節することができるが、水添物が優れた耐熱劣化性
及び耐光劣化性を示すためには重合体中の主鎖二重結合
の50%以上が水素添加されることが必要で、好ましくは
80%以上、さらに好ましくは90%以上の水添率とされ
る。
(開環重合体水素添加物) 本発明で使用する開環重合体は、25℃、トルエン中で測
定した極限粘度[η]が0.01〜20dl/g、好ましくは0.1
〜10dl/gのものであるが、本発明の開環重合体水素添加
物の[η]も同じく0.01〜20dl/g、好ましくは0.1〜10d
l/gである。[η]が上記範囲にあることによって、耐
熱性、耐水性、透明性、耐薬品性、耐溶剤性、加工性お
よび機械的特性が良好である。
ジシクロペンタジエン類(DCP類)のホモポリマーの水
素添加物は、強靭性に優れているが可撓性に劣る。ま
た、ノルボルネン類(NB類)とテトラシクロドデセン類
(TCD類)とを共重合しても、機械的強度の向上が不充
分であり、可撓性が損なわれる。
これに対して、本発明の開環重合体水素添加物は、前記
A成分(NB類)単独重合物またはA成分とB成分(DCP
類、HDCP類)との共重合物を使用することにより、機械
的強度と可撓性のバランスをとることができる。
具体的には、本発明の水素添加物は、引張強度を約500K
g/cm2以上、曲げ弾性率を約7,000〜約11,000Kg/cm2の範
囲で適宜制御でき、かつ両者のバランスがとれている。
したがって、引張強度の向上がなく、曲げ弾性率のみが
増大するといった、機械的強度と可撓性のバランスが損
なわれるようなことはない。
さらに、光線透過性や耐水性、耐薬品性、耐溶剤性など
にも優れており、光学用材料や透明シート、フィルム、
コーティング剤などとして好適である。
また、本発明の開環重合体水素添加物は、使用する開環
重合体と比較して、耐熱劣化性や耐光劣化性がさらに改
善されている。
(成形加工) 本発明の開環重合体水素添加物は、周知の方法によって
成形加工することができる。また、成形加工にあたって
は、各種添加剤、例えば、無機および有機の充填剤、安
定剤、帯電防止剤、滑剤などを添加してもよい。
(用途) 本発明の開環共重合体水素添加物は、不飽和基が水素添
加されていることからも明らかなように耐熱劣化性、耐
光劣化性に優れており、かつ透明性や耐水性、耐薬品性
に優れ、さらに機械的強度と可撓性とのバランスがとれ
た重合体であるから、各種の成形品として広範な分野に
おいて有用である。
たとえば、光学用レンズ、光ディスク、光ファイバー、
ガラス窓用途などの光学分野、電気アイロンの水タン
ク、電子レンジ用品、液晶表示用基板、プリント基板、
高周波用回路基板、透明導電性シートやフィルムなどの
電気分野、注射器、ピペット、アニマルゲージなどの医
療、化学分野、カメラボディ、各種計器類ハウジング、
フィルム、シート、ヘルメットなど種々の分野で利用で
きる。
実施例 以下に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定され
るものではない。なお、部は、特に断りのない限り重量
基準である。
実施例1 充分乾燥し、窒素置換した反応器に、ノルボルネン(N
B)100部およびトルエン300部を仕込んだ。次いで、1
モル濃度のトリエチルアルミニウムのトルエン溶液16
部、トリエチルアミン4部および1モル濃度の四塩化チ
タンのトルエン溶液3部を添加し、20℃で2時間反応さ
せた。反応溶液をアセトン/イソプロピルアルコール
(1/1)中に注ぎ、ポリマーを凝固させ、濾別、乾燥
し、ポリマー70部を得た。このポリマーの25℃、トルエ
ン中で測定した極限粘度は1.37dl/gであった。
上記ポリマー20部をシクロヘキサン480部に溶解し、パ
ラジウム−カーボン触媒2部を使用して、水素圧80Kg/c
m2、温度140℃で4時間水素添加反応を行なった。得ら
れたポリマー溶液を濾過して触媒を除去した後、アセト
ン/イソプロピルアルコール(1/1)中に注いで凝固
し、沈澱を濾別・乾燥して水添ポリマー17部を得た。
この水添ポリマーの1H−NMRスペクトルによる解析の結
果、二重結合に起因するプロトンの吸収が消えており、
ほぼ完全に水添されている(水添率100%)ことが確認
された。
この水添ポリマーの極限粘度は、25℃、トルエン中で測
定したところ、1.34dl/gであった。
この水添ポリマーを130℃で圧縮成形し、直径10cm、厚
さ2mmの板を作成した。成形した板は柔軟であった。引
張強度(ASTM D638に準じて測定)は、500Kg/cm2、曲げ
弾性率(ASTM D790に準じて測定)は、7,000Kg/cm2であ
った。この成形板の光透過率(830nmで測定)は、85%
と優れていた。吸水率(25℃、24時間浸漬後の重量変化
率)を測定したところ、0.1%以下であった。
耐溶剤性については、上記成形板をフロンR113、アセト
ンおよび酢酸エチルに、25℃で24時間浸漬した後の板の
外観を観察した。その結果、外観の変化は見られなかっ
た。
以上の結果から、本発明の開環重合体水素添加物は、機
械的強度と可撓性とのバランスがとれた重合体であっ
て、しかも透明性や耐水性、耐溶剤性などの諸物性が良
好であることがわかる。
実施例2〜4 モノマーの組成を第1表に示す組成割合に変えた以外
は、実施例1と同様にして、NBとジシクロペンタジエン
(DCP)との開環共重合、水素添加および圧縮成形を行
なった。
開環共重合体中のNBおよびDCPの各成分に由来する単位
の組成割合(モル%)は、プロトンNMRスペクトルによ
る解析の結果と重合後の残留モノマー量のガスクロマト
グラフィーによる分析を基に算出した。
得られたポリマーおよび成形板について、実施例1と同
様にして測定した物性値を第1表に示した。また、実施
例1における物性値も合せて第1表に示す。
比較例1〜2 比較のため、モノマーとしてDCPのみ、およびNBとテト
ラシクロドデセン(TCD)を用いた場合についても、実
施例1〜4と同様にしてポリマーおよび成形板を得、そ
れらの物性値を測定し、第1表に示した。
第1表から明らかなように、本発明の開環重合体水素添
加物は、引張強度と曲げ弾性率が好適にバランスしてい
る。これに対して、DCPホモポリマーは、強靭性に優れ
ているが、可撓性に劣り、また、DCPの代りにTCDをコモ
ノマーとした場合には、引張強度の向上がなく、曲げ弾
性率のみ増大し、機械的強度と可撓性とのバランスがと
れていないものである。
発明の効果 本発明の新規な開環重合体水素添加物は、透明性、耐水
性、耐溶剤性などに優れた重合体であって、かつ機械的
強度と可撓性とのバランスがとれた重合体であるから、
光学分野をはじめ広範な分野で利用可能であるという優
れた効果を有するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 夏梅 伊男 神奈川県川崎市川崎区夜光1―2―1 日 本ゼオン株式会社研究開発センター内 (56)参考文献 特開 平1−168725(JP,A) 特開 平1−168724(JP,A) 特開 平1−158029(JP,A) 特開 昭64−24826(JP,A) 特開 昭63−218726(JP,A) 特開 昭51−80400(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)下記一般式〔I〕で表わされる繰返
    し単位、そのアルキル置換体またはアルキリデン置換体
    から選ばれる少なくとも1種の繰返し単位100〜10モル
    %、および (B)下記一般式〔II〕で表わされる繰返し単位または
    そのアルキル置換体0〜90モル%とを含み、 かつ、25℃、トルエン中で測定した極限粘度[η]が0.
    01〜20dl/gであり、主鎖を構成する の少なくとも50%が単結合である多環ノルボルネン系開
    環重合体水素添加物。 (ただし、式中 は単結合または二重結合を示す。)
  2. 【請求項2】(A)下記一般式〔I′〕で表わされる繰
    返し単位、そのアルキル置換体またはアルキリデン置換
    体から選ばれる少なくとも1種の繰返し単位100〜10モ
    ル%、および (B)下記一般式〔II′〕で表わされる繰返し単位また
    はそのアルキル置換体0〜90モル%とを含み、 かつ、25℃、トルエン中で測定した極限粘度[η]が0.
    01〜20dl/gである多環ノルボルネン系開環重合体に含ま
    れるオレフィン系不飽和基の一部または全部を、水素化
    触媒を用いて水素により水素化することを特徴とする主
    鎖を構成する の少なくとも50%が単結合である多環ノルボルネン系開
    環重合体水素添加物の製造方法。 (ただし、式中 は単結合または二重結合を示す。)
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