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JPH0649905B2 - 薄手低鉄損一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

薄手低鉄損一方向性電磁鋼板の製造方法

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Publication number
JPH0649905B2
JPH0649905B2 JP21073386A JP21073386A JPH0649905B2 JP H0649905 B2 JPH0649905 B2 JP H0649905B2 JP 21073386 A JP21073386 A JP 21073386A JP 21073386 A JP21073386 A JP 21073386A JP H0649905 B2 JPH0649905 B2 JP H0649905B2
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JP
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annealing
seconds
cold rolling
hot
temperature range
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JP21073386A
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洋介 黒崎
健一 西脇
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Publication date
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Publication of JPH0649905B2 publication Critical patent/JPH0649905B2/ja
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  • Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は変圧器等の鉄心に使用される鉄損特性の優れた
高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法に関するもので
ある。
〔従来の技術〕
一方向性電磁鋼板は主に変圧器や発電機の鉄心材料に使
用され、低鉄損高磁束密度という特徴を有しているが、
省エネルギー化が要求されている昨今、更に鉄損の少な
いものが市場から要求されている。
低鉄損を達成するためには、Si含有量を極力高め素材
の固有抵抗を上げてうず電流損を下げる方法と、製品板
厚を極力薄くすることでうず電流損を下げる方法が一般
的に知られている。ところがSi含有量を高め、かつ製
品板厚を薄くすると、仕上焼鈍での2次再結晶が不安定
となり、0.25mm未満の磁気特性の優れた成品を工業的に
安定して得ることは困難であった。2次再結晶を安定し
て行わせるためには、仕上焼鈍を行なうまでに鋼中に均
一微細に析出分散相を存在させ、更には、結晶粒界に粒
界偏析元素を偏析させ、1次再結晶の粒成長を極力抑制
し、続く仕上焼鈍で(110)〔001〕方位の2次再結晶
粒を優先的に成長させることが肝要である。ところで、
析出分散相としては、MnS,MnSe,CuxS及びAlN等が一
般的に知られており、これらのサイズは100〜1000Å程
度の非常に微細なものを均一に分散させなければならな
い。また、粒界偏析元素としては、Sn,Sb,P,Te,Mo,Se等
が知られている。
製品板厚が薄くなると2次再結晶が不安定となる原因の
一つは、同一熱延板からより薄い製品を得る場合にはよ
り大きい冷延圧下を施すところとなり、集合組織上の不
利が生じることである。かかる原因の解決策としては、
製品板厚に応じて熱延板の板厚を減少させる方法が考え
られる。しかしながら、熱延板を薄くすることは熱延終
了温度が必然的に低くなり、AlN,MnS等の析出を促進す
るため過剰な析出サイズとなって磁気特性が劣化する欠
点が生じるためこの方法には限界がある。
上記の問題点を解決する手段として、米国特許第3,632,
456号では、熱延板を1000〜1200℃の温度範囲で30秒
〜10分間保持し、AlNを析出せしめる焼鈍を行なっ
た後、中間焼鈍を含み、最終強冷延を含む2回以上の冷
延を施す方法が提案されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
前記の米国特許第3,632,456号の方法により得られる鉄
損は満足できるものではなく、本発明は、前記従来の技
術のもつ欠点を解決し、薄手低鉄損一方向性電磁鋼板を
工業的に極めて安定製造する方法を提供するものであ
る。
〔問題点を解決するための手段〕
〔C〕0.015〜0.090%、〔Si〕2.0〜4.0%、〔Mn〕
0.03〜0.12%、〔S〕0.010〜0.040%、〔Sol.Al〕0.01
0〜0.065%、〔N〕0.0040〜0.0100%、〔Cu〕0.03〜
0.5%、〔Sn〕0.03〜0.5%残部鉄及び不可避的不純物
を含有する珪素鋼スラブを熱延し、熱延板焼鈍、予備冷
延、中間焼鈍及び圧下率81%〜95%の強圧下最終冷
間圧延により0.25mm以下の最終板厚とし、脱炭焼鈍、最
終仕上焼鈍によって高磁束密度一方向性電磁鋼板を製造
する方法において、熱延板焼鈍は、1080〜1200℃の均熱
温度域に60秒内保った後の冷却において前記均熱温度
域から900〜980℃の温度域までの滞留時間を20秒以上
500秒以内とし、次いで室温までを10℃/秒以上の速
度で急冷するというものであり、予備冷延の圧下率は10
〜50%であり、続く中間焼鈍は、800〜1100℃の温度域
で行なう焼鈍であることが特徴であり、AlNや他の析
出物のサイズをインヒビターとして有効な100〜1000Å
に従来よりも高い割合でコントロールし、かつ、適切な
集合組織を得、低鉄損な製品を得るものである。
本発明者は、著しく鉄損の低い製品を得る方法として、
熱延板を焼鈍し、予備冷延、中間焼鈍及び、圧下率81〜
95%の強圧下最終冷間圧延により0.25mm以下の最終板厚
とし、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍によって高磁束密度一方
向性電磁鋼板を製造する方法を前提に、熱延板焼鈍、予
備冷延及び中間焼鈍について、AlNや他の析出物のサ
イズをインヒビターとして有効な100〜1000Åに高い割
合でコントロールし、かつ、適切な集合組織を得、磁気
特性の良好な、例えば、製品板厚0.17mmで鉄損W17/50
0.80W/kg以下という製品を製造する方法を検討した。
本発明者は、AlNを均一微細に析出させる熱延板焼鈍
方法について検討した結果、米国特許第3,632,456号に
示される1000〜1200℃の温度範囲で30秒〜10分間保
持する方法よりも、1080〜1200℃の均熱温度域に60秒
以内保った後の冷却において前記均熱温度域から900〜9
80℃の温度域までの滞留時間を20秒以上500秒以内と
し、次いで室温までを10℃/秒以上の速度で急冷する
という方法がAlNのサイズをインヒビターとして有効
な100〜1000Åに高い割合でコントロールするという点
で優れていることが分かった。しかしながら、この方法
を用いても1000Åを越えるサイズのAlNは存在し、そ
の個数は少ないものの析出体積分率という面では少なく
ない割合を占める。ところが、熱延板に1080〜1200℃の
均熱温度域に60秒以内保った後の冷却において前記均
熱温度域から900〜980℃の温度域までの滞留時間を20
秒以上500秒以内とし、次いで室温までを10℃/秒以上
の速度で急冷するという方法を用いAlNを析出させた
後、これに圧下率10%以上の冷間圧延を施せば、この
1000Åを越えるサイズのAlNや他の析出物が破砕、微
細化され、インヒビターとして有効なサイズになること
を新たに見出したのである。
ここで問題となるのが中間焼鈍条件である。中間焼鈍を
高温で実施すれば、熱延板焼鈍及び予備冷延により微細
化したAlNや他の析出物がオストワルド成長し粗大化
してしまう。従って中間焼鈍の条件は、AlNや他の析
出物が粗大化せず、かつ、予備冷延による圧延組織が回
復、再結晶する800〜1100℃でなければならないことを
熱延板焼鈍と予備冷延との組合せにおいて重要であるこ
とを見出した。即ち、予備冷延による圧延組織の回復、
再結晶という観点からは800℃以上が必要であるが、110
0℃を越えるとせっかく微細化した析出物が粗大化し、1
00〜1000Åのサイズの発生割合を増加させてしまい本発
明の目的が達成できないものである。
前記米国特許第3,632,456号の思想は、熱延板焼鈍のみ
で好ましいサイズのAlNをコントロールするというも
のである。これに対し本発明は、熱延板焼鈍、予備冷
延、中間焼鈍の全てによりAlNや他の析出物のサイズ
をコントロールするという思想であり、これにより初め
て磁気特性の良好な、例えば、製品板厚0.17mmで鉄損W
17/50が0.80W/kg以下という製品を製造する方法を新た
に見出したのである。
さて第1図は、本発明者が行なった実験結果の一例であ
る。本発明に従った成分範囲にある〔C〕0.075%、
〔Si〕3.25%、〔Mn〕0.080%、〔S〕0.025%、
〔Sol.Al〕0.025%、〔N〕0.0085%、〔Cu〕0.07
%、〔Sn〕0.12%を含有する板厚0.3mmの熱延板を113
0℃で10秒間保持した後、50秒間で900℃まで冷却
し、900℃で50秒間保った後室温まで100℃/秒で急冷
したサンプルAと、これを30%の圧下率で冷間圧延し
たサンプルBと45%の圧下率で冷間圧延したサンプル
Cの析出物を電子顕微鏡で観察した結果である。サンプ
ルAの写真は、中央の球状のMnSに針状のAlNが複合
析出しているものである。サンプルBとCの写真は、中
央の球状のMnSに針状のAlNが複合析出していたもの
が、30%と45%の冷間圧延を付加する場合AlNが
冷間圧延により破砕、微細化された様子を示したもので
ある。
次に第2図は、第1図の実験と同一の熱延板を用い、こ
れを1130℃で10秒間保持した後、50秒間で900℃ま
で冷却し、900℃で50秒間保った後室温まで100℃/秒
で急冷し、41%の圧下率の予備冷延を施し、種々の温
度で中間焼鈍を実施し、87%の圧下率の強圧下最終冷
間圧延で0.170mm厚とし、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍そし
て最終コーティングを施す工程によって製品となし、そ
れらの鉄損W17/50と種々の中間焼鈍条件との関係を示す
ものである。これより、800〜1100℃の温度範囲で良好
な磁気特性が得られることが分かる。本発明者は、この
実験の中間焼鈍板の金属組織と析出分散相を観察した結
果、800℃よりも温度が低い場合、冷間圧延組織が残っ
ており、1次再結晶組織となっておらず、1100℃よりも
温度が高い場合、析出物が粗大化していることが分かっ
た。
〔従来公知技術との関連〕 特公昭40-15644号、特開昭59-126722号 特公昭40-15644号では、熱延板の板厚を1.5mm〜7mmと
し、これに最終冷間圧延工程に於ける圧下率を81〜95
%、それ以外の冷間圧延工程の圧下率を5〜40%の範囲
で行なう。いわゆる2工程以上の冷間圧延と共に1回以
上の焼鈍を施す方法が提案されている。また、特開昭59
-126722号では、熱延板を15〜40%の冷延率で予備冷延
を行なった後、焼鈍し次いで80〜90%で最終冷延を行な
う方法が提案されている。しかしながら、これらの方法
では熱延板焼鈍については記載されていないが、本発明
では熱延板焼鈍は必須であり、特公昭40-15644号、特開
昭59-126722号とは異なる技術と解される。
特開昭57-198214号 特開昭57-198214号では、最終冷延のすぐ前の析出焼鈍
方法について昇温過程の800℃から1080℃〜1200℃の均
熱温度域までを2〜10℃/秒で昇温し、この均熱温度域
に60秒以内保った後の冷却において、前記均熱温度域
から900〜980℃の温度域までの滞留時間を20秒以上50
0秒以内とし、次いで室温までを10℃/秒以上の速度
で急冷する方法が提案されている。この方法の思想は、
最終冷延のすぐ前の析出焼鈍方法を限定することにより
好ましいサイズの析出物特にAlNを析出させるという
ものである。そして、特開昭57-198214号のように最終
冷延のすぐ前に記載されている析出焼鈍方法により析出
物特にAlNを析出させても、最終冷延によりAlNや
他の析出物は微細化される。しかしながら、本発明では
熱延板焼鈍の焼鈍方法を限定し100〜1000Åのサイズに
AlNを従来よりも高い割合でコントロールした後、冷
間圧延は10%以上の予備冷延と強圧下最終冷延の2回
行なうこととなり、AlNや他の析出物のサイズは特開
昭57-198214号の方法よりもはるかに高い割合で100〜10
00Åにコントロールすることに成功したものであり、ま
た、特開昭57-198214号は製品板厚0.30mmの厚手の製品
について提案されている方法であり、本発明は特開昭57
-198214号とは異なる技術と解される。
以下本発明の方法の各工程について具体的に述べる。
本発明の鋼を溶製する方法は、転炉、電気炉、平炉等の
公知の製鋼方法を用いることができ、RH、DH等の2
次精練を併用することができる。続いてスラブの製造
は、現在では一般的に連続鋳造法が適用されることが多
いが、従来の造塊−分塊法も勿論適用可能である。この
ようにして得られたスラブは、通常の方法でスラブ加熱
され、熱間圧延される。この際、特公昭59-37330号に示
すように、連続鋳造法により連続鋳造したままのスラブ
の中心温度が1200℃〜600℃にある間に直接1250℃〜140
0℃の温度でスラブ加熱する方法を取れば更に好まし
く、また、熱間圧延条件としては、特開昭60-197819号
に示すように、仕上前面温度を1150〜1250℃、仕上後面
温度を950〜1050℃及び捲取温度を500〜600℃の温度領
域に制御する方法を取れば更に好ましい。熱間圧延後の
板厚は、続く予備冷延、強圧下最終冷間圧延の冷間圧延
率に応じて決められるが、あまり薄いと仕上前面温度が
下がりすぎるため通常は1.5〜7mmが有利である。さ
て、熱延板焼鈍、予備冷延、中間焼鈍は、前述したよう
に低鉄損な製品を得るため特に重要であり、熱延板焼鈍
は、1080〜1200℃の均熱温度域に60秒以内保った後の
冷却において前記均熱温度域から900〜980℃の温度域ま
での滞留時間を20秒以上500秒以内とし、次いで室温
までを10℃/秒以上の速度で急冷するというものであ
り、予備冷延の圧下率は10〜50%であり、中間焼鈍は、
800〜1100℃の温度域で行なう焼鈍でなければならな
い。続く、強圧下最終冷間圧延の冷間圧下率は、81%
〜95%でなければならない。この圧延は、通常の方法
でも良いが、特公昭54-13866号に示すようにパス毎に10
0〜300℃程度の熱効果を与える方法を取ると更に好まし
い。最終板厚となった冷延板には脱炭焼鈍を施すが、通
常の方法、例えば750〜950℃で2分〜15分程度湿水素
中で焼鈍する方法等公知の方法を適用できる。脱炭焼鈍
の後、2次再結晶を発現させるために最終仕上焼鈍を施
す。この焼鈍は、通常は鋼板にマグネシアを主成分とす
る焼鈍分離剤を塗布し、箱型焼鈍により1200℃程度に昇
温し、その温度に10〜30時間保持する方法が取らるが、
他の公知の如何なる方法でもかまわない。最終仕上焼鈍
を終わった鋼板には、通常絶縁コーティングが塗布さ
れ、このコーティングは、公知の如何なる物も適用でき
る。もちろん、コーティングを塗布しなくても構わな
い。
以下本発明の諸条件および限定理由を説明する。
〔C〕は、下限0.015未満であれば2次再結晶が不安定
となり、上限の0.090%は、これより〔C〕が多くなる
と脱炭所要時間が長くなり経済的に不利となるために限
定した。〔Si〕は、下限2%未満では良好な鉄損が得
られず、上限4%を越えると冷延性が著しく劣化する。
〔Mn〕は、MnSを形成するために必要な元素で、下
限0.03%未満であればMnSの絶対量が不足し、上限0.
12%を越えるとMnSを全て固溶させるためのスラブ加
熱温度が高くなりすぎるため、工業化が困難となる。
〔S〕は、MnS,CuxSを形成するために必要な元素で、下
限0.010%未満ではMnS,CuxSの絶対量が不足し、上限0.0
40%を越えると熱間割れを生じ、また、最終仕上焼鈍で
脱硫が困難となる。〔Sol.Al〕は、AlNを形成するた
めに必要な元素で、下限0.010%未満ではAlNの絶対
量が不足し、上限0.065%を越えるとAlNの適当な分
散状態が得られない。〔N〕は、AlNを形成するため
に必要な元素で、下限0.0040%未満ではAlNの絶対量
が不足し、上限0.0100%を越えるとAlNの適当な分散
状態が得られない。〔Cu〕は、CuxSを形成する元素で
ある。下限0.03%未満ではCuxSの絶対量が不足し、上限
0.5%を越えると、酸洗性、脱炭性が悪くなる。好まし
くは0.080%未満である。〔Sn〕は、粒界に偏析さ
せ、2次再結晶を安定化させるが、下限0.03%未満では
偏析量が不足し、上限0.5%は経済的理由と脱炭性の悪
化によるものである。
熱延板焼鈍は、1080〜1200℃の均熱温度域に60秒以内
保った後の冷却において前記均熱温度域から900〜980℃
の温度域までの滞留時間を20秒以上500秒以内とし、
次いで室温までを10℃/秒以上の速度で急冷するとい
うものでなければならない。均熱温度は1080℃未満であ
ると、この焼鈍の効果が弱く、一方1200℃を越えるとA
lNのサイズ変化が起こりやすくなる上、金属組織の面
からも好ましくない。均熱時間も同様な理由で60秒未
満とした。次に一次冷却の滞留時間は冷却過程のAlN
の析出量をコントロールするもので、この時間が長い方
が析出量は増え2次再結晶は安定する。上限を500秒と
した理由はこれより時間をかけても磁気特性の向上は見
られず、また工業性からも不利になるからである。一方
下限を20秒としたのは、これ未満では析出量が少なく
従って2次再結晶が不安定になり磁気特性が得られな
い。次ぎに2次冷却開始温度を900〜980℃とした理由
は、上限の980℃よりも温度が高いとAlNの粗大化が
起こりやすくなり、下限の900℃未満であるとAlNの
析出量が少なくなるからである。900〜980℃の温度域か
ら室温までは強制的に例えば水等により10℃/秒以上
の速度で急冷しなければならず、10℃/秒未満である
と適量の固溶〔C〕、〔N〕が得られず良好な磁気特性
が得られない。
予備冷延の圧下率は、10%未満であると冷間圧延によ
るAlNや他の析出物の破砕、微細化することができな
い。50%を越えると集合組織が不適当となり磁束密度
の低下が著しい。中間焼鈍は、温度が800℃未満である
と予備冷延による冷間圧延組織が回復、再結晶しない。
1100℃を越えると冷間圧延組織の回復、再結晶には十分
であるが、AlNや他の析出物がオストワルド成長し粗
大化してしまう。なお、保持時間も再結晶やAlNや他
の析出物のサイズに影響を与え、30〜200秒が好まし
い。
強圧下最終冷間圧延の冷間圧下率は、81%未満でも9
5%を越えても集合組織が不適当となるので2次再結晶
に不安定性が生じる。
なお、製品板厚を0.25mm以下に限定したのは、最近の需
要ニーズに対応して低鉄損一方向性電磁鋼板を得るため
である。
また、出発材料にMo,B,P,Ni,Bi,Sb,Asの1種又は、2種
以上を含有させ、更に鉄損を少なくすることを図ること
もできる。
〔実施例〕
〔実施例1〕 〔C〕0.079%、〔Si〕3.24%、〔Mn〕0.081%、
〔S〕0.025%、〔Sol.Al〕0.027%、〔N〕0.0080%、
〔Cu〕0.07%、〔Sn〕0.12%を含有するスラブを13
50℃で2.5時間加熱した後、熱間圧延し2.0mm厚のホット
コイルとした。熱延板焼鈍と中間焼鈍は第1表に示す条
件で行ない、予備冷延は33%の圧下率で1.35mmまで冷
間圧延し、強圧下最終冷間圧延は87%の圧下率で行な
い、板厚を0.170mmとした。その後、得られた冷延板に
水素25%、窒素75%、露点43℃の雰囲気中で840
℃で200秒保持し脱炭焼鈍を行ない、次いで焼鈍分離剤
を塗布した後、水素気流中で1200℃で20時間保持し最
終仕上焼鈍を行ない。コーティング液を塗布し製品とし
た。熱延板焼鈍、中間焼鈍の条件及び得られた製品の磁
気特性(磁束密度B10、鉄損W17/50)を第1表に示す。
これより、本発明例は比較例と比べ良好な磁気特性が得
られることが分かる。
〔実施例2〕 〔C〕0.081%、〔Si〕3.30%、〔Mn〕0.075%、
〔S〕0.025%、〔Sol.Al〕0.026%、〔N〕0.0081%、
〔Cu〕0.07%、〔Sn〕0.13%を含有するスラブを13
50℃で3時間加熱した後、熱間圧延し種々の板厚のホッ
トコイルを得た。続いて熱延板焼鈍は、1130℃で10秒
間保持した後、50秒間で900℃まで冷却し、900℃で5
0秒間保った後室温まで100℃/秒で急冷した。予備冷
延は、ホットコイルの板厚に応じて圧下率を変更し、予
備冷延後の板厚は全て1.55mmとした。続いて中間焼鈍
は、950℃で100秒間保持した後室温まで100℃/秒で急
冷し、強圧下最終冷間圧延は86%の圧下率で行ない、
板厚を0.220mmとした。その後、得られた冷延板を水素
25%、窒素75%、露点43℃の雰囲気中で840℃で1
80秒保持し脱炭焼鈍を行ない、次いで焼鈍分離剤を塗布
した後、水素気流中で1200℃で20時間保持し最終仕上
焼鈍を行ない、コーティング液を塗布し製品とした。ホ
ットコイルの板厚、予備冷延の圧下率及び得られた製品
の磁気特性(磁束密度B10、鉄損W17/50)を第2表に示
す。これより、予備冷延の圧下率が10〜50%の本発明材
は比較例と比べ良好な磁気特性が得られることが分か
る。
〔発明の効果〕 以上詳述の如く、熱延板焼鈍し、予備冷延、中間焼鈍及
び、圧下率81〜95%の強圧下最終冷間圧延により0.25mm
以下の最終板厚とし、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍によって
高磁束密度一方向性電磁鋼板を製造する方法において、
熱延板焼鈍、予備冷延及び中間焼鈍に特定の条件を規定
することにより著しく低鉄損な製品を得ることができ、
その工業的効果は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は、熱延板を1130℃で10秒間保持した後、50
秒間で900℃まで冷却し、900℃で50秒間保った後室温
まで100℃/秒で急冷したサンプルAと、これを30%
の圧下率で冷間圧延したサンプルB及び45%の圧下率
で冷間圧延したサンプルCの析出物を電子顕微鏡で観察
した結果を示す金属顕微鏡組織写真である。第2図は、
中間焼鈍温度と磁気特性の関係図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】〔C〕0.015〜0.090%、〔Si〕2.0〜4.0
    %、〔Mn〕0.03〜0.12%、〔S〕0.010〜0.040%、
    〔Sol.Al〕0.010〜0.065%、〔N〕0.0040〜0.0100%、
    〔Cu〕0.03〜0.5%、〔Sn〕0.03〜0.5%残部鉄及び
    不可避的不純物を含有する珪素鋼スラブを熱延し、熱延
    板焼鈍、予備冷延、中間焼鈍及び、圧下率81%〜95
    %の強圧下最終冷間圧延により0.25mm以下の最終板厚と
    し、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍によって高磁束密度一方向
    性電磁鋼板を製造する方法において、熱延板焼鈍は、10
    80〜1200℃の均熱温度域に60秒以内保った後の冷却に
    おいて前記均熱温度域から900〜980℃の温度域までの滞
    留時間を20秒以上500秒以内とし、次いで室温までを
    10℃/秒以上の速度で急冷するというものであり、予
    備冷延の圧下率は10〜50%であり、続く中間焼鈍は、80
    0〜1100℃の温度域で行なう焼鈍であることを特徴とす
    る薄手低鉄損一方向性電磁鋼板の製造方法。
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