JPH0648172Y2 - 棒状樹脂部材 - Google Patents
棒状樹脂部材Info
- Publication number
- JPH0648172Y2 JPH0648172Y2 JP1986173069U JP17306986U JPH0648172Y2 JP H0648172 Y2 JPH0648172 Y2 JP H0648172Y2 JP 1986173069 U JP1986173069 U JP 1986173069U JP 17306986 U JP17306986 U JP 17306986U JP H0648172 Y2 JPH0648172 Y2 JP H0648172Y2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- rod
- mandrel
- resin
- metal
- fiber
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Shafts, Cranks, Connecting Bars, And Related Bearings (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
【考案の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本考案は、車両のプロペラシャフトやドライブシャフト
等に使用し得る棒状樹脂部材に関する。
等に使用し得る棒状樹脂部材に関する。
(従来の技術) 従来、車両のプロペラシャフトやドライブシャフト等の
駆動力の伝達に用いられる棒状部材には捩れや曲げに対
する強度、剛性が必要とされるため、主として鋼材等の
金属材料によって形成されたものが使用されていた。
駆動力の伝達に用いられる棒状部材には捩れや曲げに対
する強度、剛性が必要とされるため、主として鋼材等の
金属材料によって形成されたものが使用されていた。
しかしながら強度剛性を有する金属製部材は比較的重量
が大きいため駆動時の駆動トルクが大きく、動力源の負
担を増大していた。また、金属材料よりなる金属棒や金
属管は振動吸収性が悪く、捩り振動や曲げ振動が発生し
やすく、振動による騒音の発生源となることがあり、ま
た金属はその特性から音や振動の伝導性がよいため、動
力源側の振動や音を被駆動側に伝達してしまうという問
題があった。
が大きいため駆動時の駆動トルクが大きく、動力源の負
担を増大していた。また、金属材料よりなる金属棒や金
属管は振動吸収性が悪く、捩り振動や曲げ振動が発生し
やすく、振動による騒音の発生源となることがあり、ま
た金属はその特性から音や振動の伝導性がよいため、動
力源側の振動や音を被駆動側に伝達してしまうという問
題があった。
そこで、これら金属製部材によって生じる問題点を解消
するため、金属と樹脂を組み合わせた複合部材が創案さ
れた。第9図は鉄系金属管10の内部に発泡性樹脂11を充
填して棒状に形成した例を示し、金属管10の両端部に栓
状のマンドレル12を装着し、金属管10の両端近傍の最低
2ヶ所に小孔13、14を穿設し、一方の端部近傍の小孔を
樹脂剤注入用とし、他端側の小孔を空気抜き用として、
注入用の小孔から液状の樹脂剤を所定量注入して金属管
10の内部で発泡固化し、金属管10内に充填して、棒状に
形成したものである。
するため、金属と樹脂を組み合わせた複合部材が創案さ
れた。第9図は鉄系金属管10の内部に発泡性樹脂11を充
填して棒状に形成した例を示し、金属管10の両端部に栓
状のマンドレル12を装着し、金属管10の両端近傍の最低
2ヶ所に小孔13、14を穿設し、一方の端部近傍の小孔を
樹脂剤注入用とし、他端側の小孔を空気抜き用として、
注入用の小孔から液状の樹脂剤を所定量注入して金属管
10の内部で発泡固化し、金属管10内に充填して、棒状に
形成したものである。
このように棒状部材の外層部を金属管10で形成し内層を
発泡樹脂11によって形成したことにより、部材の強度、
剛性を保持した状態で軽量化が図れ、また発泡樹脂の振
動吸収効果によって、振動や音の発生、伝達を低減する
ことができる。
発泡樹脂11によって形成したことにより、部材の強度、
剛性を保持した状態で軽量化が図れ、また発泡樹脂の振
動吸収効果によって、振動や音の発生、伝達を低減する
ことができる。
第10図は、軽合金製金属管又は、鉄系簿肉金属管よりな
る心部材22の外周面に繊維強化樹脂層23を被覆形成し一
体成形した管状部材21の例である。
る心部材22の外周面に繊維強化樹脂層23を被覆形成し一
体成形した管状部材21の例である。
良く知られているように繊維強化樹脂23は、軽量である
と共に強靱であるため、心部材22に軽合金や簿肉の金属
管を用いることができ、必要とされる強度剛性を保持し
た状態で、より軽量化が図れる。
と共に強靱であるため、心部材22に軽合金や簿肉の金属
管を用いることができ、必要とされる強度剛性を保持し
た状態で、より軽量化が図れる。
(考案が解決しようとする問題点) ところで、第9図に示した金属管10内に発泡性樹脂11を
充填して、形成される棒状部材の場合、発泡樹脂11が完
全に充填され且つ金属管10の内壁と密着し一体化した状
態にあることが必要とされるが注入方式で充填する場
合、発泡樹脂11の注入時に気泡が発生しやすく、また、
隙間を残さずに完全に充填することも難しいため発泡樹
脂内に比較的大きな空洞部15や金属管10との密着不良部
分が生じやすく、所望の強度、剛性を有する棒状部材を
形成することは困難であり、また、注入方式では使用で
きる樹脂の種類に制約を受ける。また、金属管10と発泡
樹脂11では熱膨張率にかなりの差があるため、温度変化
の激しい環境下で使用した場合、金属管10の内壁と発泡
樹脂11との界面の接着力が低下し接着不良が生じやすく
棒状部材としての強度、剛性が低下し、破損に到る場合
がある。特に回転力を伝達するプロペラシャフト等の捩
りトルクを受ける部材として使用した場合に、金属管と
発泡樹脂との間の接着力が低下すると、回転力の大部分
が外層の金属管側に集中し、回動力による捩れトルクに
よって外層の金属管に捩れ破損が生じやすくなる。
充填して、形成される棒状部材の場合、発泡樹脂11が完
全に充填され且つ金属管10の内壁と密着し一体化した状
態にあることが必要とされるが注入方式で充填する場
合、発泡樹脂11の注入時に気泡が発生しやすく、また、
隙間を残さずに完全に充填することも難しいため発泡樹
脂内に比較的大きな空洞部15や金属管10との密着不良部
分が生じやすく、所望の強度、剛性を有する棒状部材を
形成することは困難であり、また、注入方式では使用で
きる樹脂の種類に制約を受ける。また、金属管10と発泡
樹脂11では熱膨張率にかなりの差があるため、温度変化
の激しい環境下で使用した場合、金属管10の内壁と発泡
樹脂11との界面の接着力が低下し接着不良が生じやすく
棒状部材としての強度、剛性が低下し、破損に到る場合
がある。特に回転力を伝達するプロペラシャフト等の捩
りトルクを受ける部材として使用した場合に、金属管と
発泡樹脂との間の接着力が低下すると、回転力の大部分
が外層の金属管側に集中し、回動力による捩れトルクに
よって外層の金属管に捩れ破損が生じやすくなる。
このように、第9図に示すような、金属管中に発泡樹脂
を注入し、発泡固化して形成される棒状部材はプロペラ
シャフトやドライブシャフト等の駆動力伝達用部材とし
て使用するには不適当である。
を注入し、発泡固化して形成される棒状部材はプロペラ
シャフトやドライブシャフト等の駆動力伝達用部材とし
て使用するには不適当である。
次に、第10図に示した、金属管22外周面に繊維強化樹脂
層23を被覆形成した管状部材21の場合、金属管22自体を
マンドレルとして使用し、その外周面に繊維強化樹脂層
23を被覆形成し一体成形するため、気泡等が発生する可
能性はほとんどなく、また、製造方法も簡単で製造工程
の合理化等が図りやすく、また、繊維強化樹脂層23を被
覆したことにより動力伝達用部材として必要とされる強
度、剛性を保持した状態で軽量化が図れる。ところが、
このように形成された管状部材21を温度変化の激しい部
位に使用した場合や、年間の気温差が大きい地域で使用
した場合、金属管22と繊維強化樹脂23の熱膨張率の違い
によって両者の界面部の接着力が低下しやすい。このた
め、駆動力を伝達するための部材として使用したとき
に、駆動力源からの振動や駆動トルクによる捩り応力
や、たわみの発生等により、繊維強化樹脂23と金属管22
との界面が剥離し、本来の強度、剛性が保持されなくな
り、耐久性が低下する。また、心材として金属管を使用
するため、音や振動の伝達性はあまり減少せず、また、
管内に気中共鳴等も発生しやすい。このように、金属管
を繊維強化樹脂で被覆し、強化した管状部材は、製造直
後には駆動力伝達用部材として、必要とされる強度、剛
性を有し且つ軽量化を図ることができるが、耐久性や振
動、音の吸収性の点で問題が残る。
層23を被覆形成した管状部材21の場合、金属管22自体を
マンドレルとして使用し、その外周面に繊維強化樹脂層
23を被覆形成し一体成形するため、気泡等が発生する可
能性はほとんどなく、また、製造方法も簡単で製造工程
の合理化等が図りやすく、また、繊維強化樹脂層23を被
覆したことにより動力伝達用部材として必要とされる強
度、剛性を保持した状態で軽量化が図れる。ところが、
このように形成された管状部材21を温度変化の激しい部
位に使用した場合や、年間の気温差が大きい地域で使用
した場合、金属管22と繊維強化樹脂23の熱膨張率の違い
によって両者の界面部の接着力が低下しやすい。このた
め、駆動力を伝達するための部材として使用したとき
に、駆動力源からの振動や駆動トルクによる捩り応力
や、たわみの発生等により、繊維強化樹脂23と金属管22
との界面が剥離し、本来の強度、剛性が保持されなくな
り、耐久性が低下する。また、心材として金属管を使用
するため、音や振動の伝達性はあまり減少せず、また、
管内に気中共鳴等も発生しやすい。このように、金属管
を繊維強化樹脂で被覆し、強化した管状部材は、製造直
後には駆動力伝達用部材として、必要とされる強度、剛
性を有し且つ軽量化を図ることができるが、耐久性や振
動、音の吸収性の点で問題が残る。
(問題点を解決するための手段) 本考案は、上記棒状、管状部材の問題点を解決し、駆動
力伝達用等の部材としての強度、剛性を有し、軽量且つ
耐久性をも有する棒状部材を提供することを目的とし、
以下の手段を設ける。
力伝達用等の部材としての強度、剛性を有し、軽量且つ
耐久性をも有する棒状部材を提供することを目的とし、
以下の手段を設ける。
本考案では、硬質発泡樹脂よりなる心棒の外周面に繊維
強化樹脂層を管状に被覆形成し一体成形した棒状樹脂部
材において、補強用の金属棒を上記心棒の軸線(中心
部)に一致し同金属棒の端部が上記心棒の端部から突出
するように上記心棒内に埋設した。
強化樹脂層を管状に被覆形成し一体成形した棒状樹脂部
材において、補強用の金属棒を上記心棒の軸線(中心
部)に一致し同金属棒の端部が上記心棒の端部から突出
するように上記心棒内に埋設した。
(作用) 心棒及び外層を共に樹脂系材料で形成したため両者の界
面での接着強度は強く、また熱膨張率の差も小さいた
め、界面での接着力低下は生じにくい。また、心棒とし
て硬質発泡性樹脂を用いたため、断面形状を円形、多角
形等任意に形成できる。また、硬質発泡製樹脂の撓み強
度及び衝激、振動等の吸収性と繊維強化樹脂の強靱性と
の相乗効果によって、軽量且つ強度、剛性、耐衝撃性及
び振動吸収性を有する棒状部材が実現される。そして、
本考案では、上記心棒の軸線(すなわち中心部)に一致
させて補強用の金属棒を埋設させ、棒状樹脂部材を三重
構造としたことにより、棒状樹脂部材の強度・剛性をよ
り強化することができる。
面での接着強度は強く、また熱膨張率の差も小さいた
め、界面での接着力低下は生じにくい。また、心棒とし
て硬質発泡性樹脂を用いたため、断面形状を円形、多角
形等任意に形成できる。また、硬質発泡製樹脂の撓み強
度及び衝激、振動等の吸収性と繊維強化樹脂の強靱性と
の相乗効果によって、軽量且つ強度、剛性、耐衝撃性及
び振動吸収性を有する棒状部材が実現される。そして、
本考案では、上記心棒の軸線(すなわち中心部)に一致
させて補強用の金属棒を埋設させ、棒状樹脂部材を三重
構造としたことにより、棒状樹脂部材の強度・剛性をよ
り強化することができる。
(実施例) 以下、本考案を図面を参照して説明する。
第1図及び第2図は本考案の基礎となる棒状樹脂部材1
の例を示すもので、予め丸棒状に成形加工された硬質発
泡樹脂単体より成る心棒2の外周に繊維強化樹脂層3を
管状に被覆形成し、一体化したものである。
の例を示すもので、予め丸棒状に成形加工された硬質発
泡樹脂単体より成る心棒2の外周に繊維強化樹脂層3を
管状に被覆形成し、一体化したものである。
以下具体的な製造方法について述べる。
先ず発泡成形、発泡射出成形等の周知の成形加工法によ
ってポリウレタン、フェノール樹脂若しくはABS樹脂等
の硬質発泡樹脂より成る心棒2を形成する(第5図)。
この心棒2の断面形状は、第2図に示す円形の他、多角
形や楕円形状でも可能である。
ってポリウレタン、フェノール樹脂若しくはABS樹脂等
の硬質発泡樹脂より成る心棒2を形成する(第5図)。
この心棒2の断面形状は、第2図に示す円形の他、多角
形や楕円形状でも可能である。
また、心棒2の両端面2aには心棒2を支持するためのマ
ンドレル接続用の凹部2bを形成しておく。この凹部の形
状はマンドレルと心棒2とのすべりを防止し、両者が一
体的に回転するように正多角形にしておく。第2図は正
方形に形成した例を示す。
ンドレル接続用の凹部2bを形成しておく。この凹部の形
状はマンドレルと心棒2とのすべりを防止し、両者が一
体的に回転するように正多角形にしておく。第2図は正
方形に形成した例を示す。
次に、第6図に示すように心棒2の両端2aに上記凹部2b
の形状に合わせて形成された突出部5aを有するマンドレ
ル5を取付け、第7図に示すように、心棒2の外周面全
面に流動状の接着剤若しくはエポキシ樹脂、ビニルエス
テル樹脂等の繊維強化樹脂に使用する樹脂材を均一に塗
布3aした後、周知のフィラメントワインディング成形装
置に取付け、第8図に示すようにプリプレグ繊維3bを所
定の角度、間隔で網状に巻付ける。
の形状に合わせて形成された突出部5aを有するマンドレ
ル5を取付け、第7図に示すように、心棒2の外周面全
面に流動状の接着剤若しくはエポキシ樹脂、ビニルエス
テル樹脂等の繊維強化樹脂に使用する樹脂材を均一に塗
布3aした後、周知のフィラメントワインディング成形装
置に取付け、第8図に示すようにプリプレグ繊維3bを所
定の角度、間隔で網状に巻付ける。
尚、プリプレグ繊維としては、ガラス繊維、ケプラー繊
維、カーボン繊維等の繊維材を単独若しくは組合わせた
ものに、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂若しくは不
飽和ポリエステル樹脂等を、繊維(Vf)対樹脂(Vp)の
配合比率(容積比%)(Vf:Vp)=(40〜70):(60〜3
0)の割合で含浸したものを使用する。
維、カーボン繊維等の繊維材を単独若しくは組合わせた
ものに、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂若しくは不
飽和ポリエステル樹脂等を、繊維(Vf)対樹脂(Vp)の
配合比率(容積比%)(Vf:Vp)=(40〜70):(60〜3
0)の割合で含浸したものを使用する。
次に、プリプレグ繊維の巻付け完了後、成形品を周知の
ゴムバック等に包み、ホトクレーブ等を用いて加熱硬化
処理を行ない、プリプレグ繊維と樹脂とを融合固化す
る。加熱硬化終了後、両端に取付けたマンドレルを取り
はずし、所定の長さ形状に一体成形する。尚、第1図は
端部切断前の状態を示す。
ゴムバック等に包み、ホトクレーブ等を用いて加熱硬化
処理を行ない、プリプレグ繊維と樹脂とを融合固化す
る。加熱硬化終了後、両端に取付けたマンドレルを取り
はずし、所定の長さ形状に一体成形する。尚、第1図は
端部切断前の状態を示す。
以上の加熱硬化処理によって心棒2の外周には繊維強化
樹脂層3が被覆形成され、また、この時同時に硬質発泡
樹脂よりなる心棒2の外周面と繊維強化樹脂層3とが一
体的に接合し、第1図及び第2図に示すような、棒状樹
脂部材1が形成される。この時接合部は樹脂同士が融合
固化して一体化した状態にあるため、捩れや熱による剥
離は生じない。さて、以上のように形成された第1図及
び第2図に示す棒状樹脂部材1は、内層部を振動衝激及
び音の吸収性の良い硬質発泡樹脂2によって形成され、
その外周を綱材と同等若しくはそれ以上の強度、剛性を
有する繊維強化樹脂層3によって形成されているため、
軽量でありながら従来の綱材よりなる棒状部材と同等の
強度剛性を有し、且つ捩りや熱にも強く、また、振動や
衝激及び音の吸収性をも有する。また、上記製造方法に
よれば、硬質発泡性樹脂の硬度を材料や発泡の度合を変
えることによってかなり変化させることができ、また、
プリプレグ繊維巻付時の角度や間隔を自由に変えること
ができるため、強度、剛性や弾性の異なる種々の棒状樹
脂部材を作成することができ、また、心棒2の断面形状
を変えることによって部材全体の断面形状をも変えるこ
とができるため、種々の用途に応じた棒状部材を形成す
ることができる。例えばスタビライザやステアリングホ
イール等に利用できる。以上、本考案の基礎となる棒状
樹脂部材の構成及び製造方法について述べたが、本考案
では上記構成に加えて、補強用の金属棒を上記硬質発泡
樹脂よりなる心棒の軸線(すなわち中心部)に一致し同
金属棒の端部が上記心棒の端部から突出するように上記
心棒内に埋設したものである。
樹脂層3が被覆形成され、また、この時同時に硬質発泡
樹脂よりなる心棒2の外周面と繊維強化樹脂層3とが一
体的に接合し、第1図及び第2図に示すような、棒状樹
脂部材1が形成される。この時接合部は樹脂同士が融合
固化して一体化した状態にあるため、捩れや熱による剥
離は生じない。さて、以上のように形成された第1図及
び第2図に示す棒状樹脂部材1は、内層部を振動衝激及
び音の吸収性の良い硬質発泡樹脂2によって形成され、
その外周を綱材と同等若しくはそれ以上の強度、剛性を
有する繊維強化樹脂層3によって形成されているため、
軽量でありながら従来の綱材よりなる棒状部材と同等の
強度剛性を有し、且つ捩りや熱にも強く、また、振動や
衝激及び音の吸収性をも有する。また、上記製造方法に
よれば、硬質発泡性樹脂の硬度を材料や発泡の度合を変
えることによってかなり変化させることができ、また、
プリプレグ繊維巻付時の角度や間隔を自由に変えること
ができるため、強度、剛性や弾性の異なる種々の棒状樹
脂部材を作成することができ、また、心棒2の断面形状
を変えることによって部材全体の断面形状をも変えるこ
とができるため、種々の用途に応じた棒状部材を形成す
ることができる。例えばスタビライザやステアリングホ
イール等に利用できる。以上、本考案の基礎となる棒状
樹脂部材の構成及び製造方法について述べたが、本考案
では上記構成に加えて、補強用の金属棒を上記硬質発泡
樹脂よりなる心棒の軸線(すなわち中心部)に一致し同
金属棒の端部が上記心棒の端部から突出するように上記
心棒内に埋設したものである。
第3図及び第4図は本考案による棒状樹脂部材の実施例
を示し、硬質発泡樹脂層より成る心棒2の軸線、すなわ
ち中心部に金属棒4を埋設した例である。この金属棒4
は硬質発泡樹脂の成形加工時に埋設され、その両端部は
硬質発泡樹脂の端部2aより突出して設けられる。この金
属棒4の突出部は、繊維強化樹脂層3形成時に使用され
る心棒2支持用のマンドレル取付用に設けられており、
その断面形状は、回転時のマンドレルとの相対的なすべ
りを防止するため、マンドレル側に形成される金属棒4
の突出部嵌合用の凹部とともに、互に多角形に形成され
る。第4図には、正六角形に形成された例を示す。
を示し、硬質発泡樹脂層より成る心棒2の軸線、すなわ
ち中心部に金属棒4を埋設した例である。この金属棒4
は硬質発泡樹脂の成形加工時に埋設され、その両端部は
硬質発泡樹脂の端部2aより突出して設けられる。この金
属棒4の突出部は、繊維強化樹脂層3形成時に使用され
る心棒2支持用のマンドレル取付用に設けられており、
その断面形状は、回転時のマンドレルとの相対的なすべ
りを防止するため、マンドレル側に形成される金属棒4
の突出部嵌合用の凹部とともに、互に多角形に形成され
る。第4図には、正六角形に形成された例を示す。
さて、このように形成された、金属棒4が埋設された硬
質発泡樹脂より成る心棒2の外周には、前述した製造方
法と同様にして繊維強化樹脂層3が被覆形成され、加熱
硬化処理によって心棒2の外周面と繊維強化樹脂層3と
が一体的に接合され、金属棒4が埋設された棒状樹脂部
材1aが形成される。この棒状樹脂部材1aでは、中心部を
金属棒4で補強した三重構造となっているため、強度、
剛性がより強化される。また、中心部に金属棒4を有す
るため、樹脂材のみによる場合よりも破断強度、引張強
度が強化される。
質発泡樹脂より成る心棒2の外周には、前述した製造方
法と同様にして繊維強化樹脂層3が被覆形成され、加熱
硬化処理によって心棒2の外周面と繊維強化樹脂層3と
が一体的に接合され、金属棒4が埋設された棒状樹脂部
材1aが形成される。この棒状樹脂部材1aでは、中心部を
金属棒4で補強した三重構造となっているため、強度、
剛性がより強化される。また、中心部に金属棒4を有す
るため、樹脂材のみによる場合よりも破断強度、引張強
度が強化される。
以上のように、本考案による棒状樹脂部材は、先ず、補
強用の金属棒が埋設された硬質発泡樹脂を成形加工して
心棒を形成し、この心棒外周面に接着剤や樹脂を途布後
フィラメントワインデング成形装置等を用いてプリプレ
グ繊維を巻付け後、加熱硬化によって繊維強化樹脂層を
一体成形したものである。このように本考案では、繊維
強化樹脂層を後工程で形成するため、心棒の断面形状に
よって種々の断面形状を有する棒状部材を形成すること
ができる。また、繊維強化樹脂層と硬質発泡樹脂よりな
る心棒外周面との接合部は、プリプレグ繊維巻付前に塗
布する接着剤や樹脂が、比較的粗面である発泡樹脂面の
微細な穴部に浸透し、可熱硬化時に化学結合若しくは融
着固化するため、ほとんど一体結合した状態と成り、金
属と樹脂との接着と比べて接着強度は強い。また、樹脂
同士の組合わせのため、熱膨張率や熱伝導度の差は小さ
く、温度変化による接着不良が生じるおそれはほとんど
なく、また、捩りトルクや曲げ力等の外力が加えられた
時にも接着部の破損が生じることはほとんどない。ま
た、第3図に示した実施例の場合、中心部に補強用の金
属棒を有するが、金属棒の外周を発泡樹脂層が覆ってい
るため、一端部より、金属棒に伝達された音や振動は、
途中で吸収された他端側に伝達されることはほとんど無
い。
強用の金属棒が埋設された硬質発泡樹脂を成形加工して
心棒を形成し、この心棒外周面に接着剤や樹脂を途布後
フィラメントワインデング成形装置等を用いてプリプレ
グ繊維を巻付け後、加熱硬化によって繊維強化樹脂層を
一体成形したものである。このように本考案では、繊維
強化樹脂層を後工程で形成するため、心棒の断面形状に
よって種々の断面形状を有する棒状部材を形成すること
ができる。また、繊維強化樹脂層と硬質発泡樹脂よりな
る心棒外周面との接合部は、プリプレグ繊維巻付前に塗
布する接着剤や樹脂が、比較的粗面である発泡樹脂面の
微細な穴部に浸透し、可熱硬化時に化学結合若しくは融
着固化するため、ほとんど一体結合した状態と成り、金
属と樹脂との接着と比べて接着強度は強い。また、樹脂
同士の組合わせのため、熱膨張率や熱伝導度の差は小さ
く、温度変化による接着不良が生じるおそれはほとんど
なく、また、捩りトルクや曲げ力等の外力が加えられた
時にも接着部の破損が生じることはほとんどない。ま
た、第3図に示した実施例の場合、中心部に補強用の金
属棒を有するが、金属棒の外周を発泡樹脂層が覆ってい
るため、一端部より、金属棒に伝達された音や振動は、
途中で吸収された他端側に伝達されることはほとんど無
い。
(考案の効果) 以上説明したように、本考案による棒状樹脂部材は、心
棒として振動音や衝激吸収性の良い硬質発泡樹脂を用い
たことにより、振動や音の伝達、発生を低減することが
できる。また、心棒外周に繊維強化樹脂を被覆形成し一
体化したことにより、金属なみの強度、剛性を有し、且
つ軽量化が図れる。このため、駆動力伝達用のプロペラ
シャフト等に用いた時に、駆動力源への負担を軽減する
ことができ、省エネルギー化が図れる。また、硬質発泡
性樹脂材料や繊維強化樹脂層に使用する材料の種類を種
々選択可能なため、必要に応じた強度、剛性、及び弾性
特性を有する棒状部材を形成することが可能であり、プ
ロペラシャフトやドライブシャフトの他、スタビライザ
やトーションバー等応用が可能である。また、本考案の
棒状樹脂部材では、補強用の金属棒の端部が心棒の端部
から突出するように金属棒を心棒内に埋設させること
で、棒状樹脂部材を製造する際、まず金属棒の両端をマ
ンドレルに固定し、心棒の型が形成されている金型に、
金属棒の軸心と金型の心棒形成部の軸心とを一致させる
ように金属棒を設置しさえすれば、金型の心棒形成部に
硬質発泡樹脂を流し込むことで、軸心に金属棒が埋設さ
れた心棒を簡単に形成することができる。
棒として振動音や衝激吸収性の良い硬質発泡樹脂を用い
たことにより、振動や音の伝達、発生を低減することが
できる。また、心棒外周に繊維強化樹脂を被覆形成し一
体化したことにより、金属なみの強度、剛性を有し、且
つ軽量化が図れる。このため、駆動力伝達用のプロペラ
シャフト等に用いた時に、駆動力源への負担を軽減する
ことができ、省エネルギー化が図れる。また、硬質発泡
性樹脂材料や繊維強化樹脂層に使用する材料の種類を種
々選択可能なため、必要に応じた強度、剛性、及び弾性
特性を有する棒状部材を形成することが可能であり、プ
ロペラシャフトやドライブシャフトの他、スタビライザ
やトーションバー等応用が可能である。また、本考案の
棒状樹脂部材では、補強用の金属棒の端部が心棒の端部
から突出するように金属棒を心棒内に埋設させること
で、棒状樹脂部材を製造する際、まず金属棒の両端をマ
ンドレルに固定し、心棒の型が形成されている金型に、
金属棒の軸心と金型の心棒形成部の軸心とを一致させる
ように金属棒を設置しさえすれば、金型の心棒形成部に
硬質発泡樹脂を流し込むことで、軸心に金属棒が埋設さ
れた心棒を簡単に形成することができる。
従って、例えばプロペラシャフト等の駆動力伝達部材に
本考案を用いると、硬質発泡樹脂からなる心棒と繊維強
化樹脂層からなる樹脂層により、振動や衝撃の吸収性が
高いと共に、心棒に金属棒を埋設させた棒状樹脂部材を
三重構造としたことで強度・剛性がより強化される。特
に、金属棒の軸心を心棒の軸心により確実に一致させる
ことができるので、金属棒の軸心が心棒の軸心に対して
偏心することによる駆動伝達時の振動を著しく低減する
ことができる。
本考案を用いると、硬質発泡樹脂からなる心棒と繊維強
化樹脂層からなる樹脂層により、振動や衝撃の吸収性が
高いと共に、心棒に金属棒を埋設させた棒状樹脂部材を
三重構造としたことで強度・剛性がより強化される。特
に、金属棒の軸心を心棒の軸心により確実に一致させる
ことができるので、金属棒の軸心が心棒の軸心に対して
偏心することによる駆動伝達時の振動を著しく低減する
ことができる。
第1図は本考案の基礎となる棒状樹脂部材の要部断面
図、第2図は第1図I−I線断面図、第3図は本考案の
一実施例を示す棒状樹脂部材の要部断面図、第4図は第
3図III−III線断面図、第5図乃至第8図は本考案の基
礎となる棒状樹脂部材の製造方法を説明するための図、
第9図は従来の棒状部材の断面図、第10図は従来の管状
部材の要部断面図をそれぞれ示す。 1,1a……棒状樹脂部材、2……心棒、 3……繊維強化樹脂層、4……金属棒。
図、第2図は第1図I−I線断面図、第3図は本考案の
一実施例を示す棒状樹脂部材の要部断面図、第4図は第
3図III−III線断面図、第5図乃至第8図は本考案の基
礎となる棒状樹脂部材の製造方法を説明するための図、
第9図は従来の棒状部材の断面図、第10図は従来の管状
部材の要部断面図をそれぞれ示す。 1,1a……棒状樹脂部材、2……心棒、 3……繊維強化樹脂層、4……金属棒。
Claims (1)
- 【請求項1】硬質発泡樹脂よりなる心棒の外周面に繊維
強化樹脂層を管状に被覆形成し一体成形した棒状樹脂部
材において、補強用の金属棒を上記心棒の軸線に一致し
同金属棒の端部が上記心棒の端部から突出するように上
記心棒内に埋設したことを特徴とする棒状樹脂部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1986173069U JPH0648172Y2 (ja) | 1986-11-11 | 1986-11-11 | 棒状樹脂部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1986173069U JPH0648172Y2 (ja) | 1986-11-11 | 1986-11-11 | 棒状樹脂部材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6378719U JPS6378719U (ja) | 1988-05-25 |
JPH0648172Y2 true JPH0648172Y2 (ja) | 1994-12-12 |
Family
ID=31110188
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1986173069U Expired - Lifetime JPH0648172Y2 (ja) | 1986-11-11 | 1986-11-11 | 棒状樹脂部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0648172Y2 (ja) |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5993507A (ja) * | 1982-11-16 | 1984-05-30 | Honda Motor Co Ltd | 繊維強化合成樹脂製駆動軸とその製造方法 |
JPS6040819U (ja) * | 1983-08-30 | 1985-03-22 | マツダ株式会社 | 低騒音回転軸 |
-
1986
- 1986-11-11 JP JP1986173069U patent/JPH0648172Y2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6378719U (ja) | 1988-05-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US4836516A (en) | Filled tubular torsion bar and its method of manufacture | |
US3646610A (en) | Fiber glass reinforced golf shaft | |
US5395108A (en) | Simulated wood composite ball bat | |
US4923203A (en) | Composite bicycle frame with crossed tubular portions | |
JPS6352251B2 (ja) | ||
JP3235964B2 (ja) | 管状体 | |
US3592884A (en) | Composite propeller shaft construction and method of making | |
JPS5967040A (ja) | 繊維補強プラスチツク材料より成るロツド状中空部材及びその製造方法 | |
US6277473B1 (en) | Structural member assembly | |
JP3045659B2 (ja) | ゴルフクラブ用シャフト及びその製造方法 | |
JPS6076409A (ja) | 繊維強化樹脂製サスペンシヨンア−ム | |
JPH0648172Y2 (ja) | 棒状樹脂部材 | |
JP2620607B2 (ja) | 繊維強化樹脂製ドライブシャフトおよびその製造方法 | |
JPH03251435A (ja) | Frp製パイプとその製造方法 | |
US20050056503A1 (en) | Filament wound strut and method of making same | |
JPH10272707A (ja) | 樹脂アームおよび樹脂アームの製造方法 | |
JP3183428B2 (ja) | プロペラシャフト | |
JP3269287B2 (ja) | Frp筒体およびその製造方法 | |
JPS59218170A (ja) | ラケツトフレ−ムの成形法 | |
JPS6091008A (ja) | 繊維強化プラスチツク製伝動軸 | |
JPS62191208A (ja) | 繊維強化合成樹脂製自動車用懸架装置 | |
JPH0587118A (ja) | 複合動力伝達軸 | |
JPS5933392B2 (ja) | ラケツトフレ−ムの成形法 | |
JPH04307225A (ja) | 繊維強化樹脂製駆動力伝達用シャフト | |
JP3292350B2 (ja) | プロペラシャフトおよびその製造方法 |