JPH063332Y2 - 複合ボイラ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はボイラ構造がそれぞれ異なる２形態の貯湯式ボ
イラと貫流式ボイラとを有機的に結合し、各種の洗浄に
応じた高熱・高圧の温水を連続的に供給できる複合ボイ
ラに関するものである。

従来の技術 従来、缶内に長い管を配し一端から送り込まれた水を順
次加熱して給湯する種々の形態の貫流式ボイラは公知で
ある。又ボイラ炉筒と内部の燃焼室との間を水室として
給水し、受熱後若干時間を経て所定温度に達したものを
給湯する貯湯式ボイラも公知である。

考案が解決しようとする問題点 上記従来の貫流式ボイラは瞬間湯沸かし器と同様に給水
と同時に湯が取り出せると言う利点がある反面、加熱水
量の調節により湯水の温度の高、低を加減するので、大
量の高熱・高温の温水を連続的に供給する給湯能力、容
量の点で問題がある。一方、貯湯式ボイラは大容量の温
水供給能力があり、しかも所定温度の温水を常時溜めて
おき、給湯できる利点があるが、反面、急速に高熱温水
による殺菌洗浄、高熱・高圧の強力洗浄等の高熱・高圧
温水を即時連続的に供給するには不向きである等の問題
がある。

このため、貯湯式ボイラと貫流式ボイラとを組合せた種
々のボイラも考案されているが、これらはいずれも加熱
コイルを缶内の燃焼室の回りに巻くか、或いは加熱コイ
ルの端部を缶内で水室と連結して一体形に形成していた
ため、スケール詰まりがおこり易い加熱コイル部の分解
取り出しが難しく、その点検、補修、清掃に難がある。

本考案はこれら貫流式ボイラと貯湯式ボイラとを、それ
れの持ち前の特徴を大きく崩さずに巧みに結合させるこ
とにより、急速に高熱・高圧温水が得られ、更に中間取
り水圧送の送水ポンプの能力に応じて高圧及び低圧の温
水を自由に出湯させることができる用途範囲の広いボイ
ラを提供することを目的とするものである。

問題点を解決するための手段 本考案の構成を、実施例に対応する第１〜８図を用いて
説明すると、炉筒３ａと、その上部に貫設した数個のボ
イラ煙管６を備えた内部の燃焼室２との間を、上、下に
一次出湯口５、一次給水口４を設けた水室３ｂとした貯
湯ボイラ３を設け、炉筒３ａの上端には前記ボイラ煙管
６より高い位置に結合用フランジ１０を設ける。

前記貯湯ボイラ３の炉筒３ａの上には結合用フランジ１
０を以て結合した外筒８ａの内部に、その内周に沿って
加熱コイル１３と該コイル上部から内側に下方に向かっ
て漸次径を縮小したすり鉢巻加熱コイル１３ａとを一連
に連続して設けると共に、これらを加熱コイル１３と１
３ａの下部をそれぞれ外筒８ａの下部内側に設けた加熱
コイル受板８ｂとすり鉢巻コイル底面を閉鎖する燃焼ガ
ス上昇防止板９上に設置し、更に外筒８ａの底部に前記
貯湯式ボイラ３のボイラ煙管６の真上位置を避けて周囲
数箇所にガス通路穴７ａを設けた抵抗加熱板７を、ボイ
ラ煙管６の上端と間隔をあけて設置する。

外筒８ａの上部内側には燃焼ガス下降板１４とその中央
にすり鉢巻加熱コイル１３ａ内に垂下した煙管１４ａを
設け、外筒８ａの頂面に蓋１５及び煙管１４ａに嵌合し
た煙突１６を設置してなる貫流式ボイラ８を設け、前記
加熱コイル１３とすり鉢巻加熱コイル１３ａの管下端を
外筒８ａ外に出して二次給水口１２と二次出湯口１７を
設け、前記一次出湯口５と二次給水口１２とを配管、又
は中間に送水ポンプ２２、または温水タンク１９と送水
ポンプ２２を繋いだ配管を以て接続したものである。

作用 一次給水口４より水室３ｂに給水し、バーナ取付け口に
装着したバーナ（図示せず）による燃焼ガスは燃焼室２
より燃焼ガス通過経路１１で貯湯式ボイラのボイラ煙管
６，６・・を通り上昇され、抵抗加熱板７に当たり、ま
た、抵抗加熱板７のガス通路穴７ａがボイラ煙管６の真
上に無いので、その燃焼ガスは抵抗加熱板７に当たり、
迂回してガス通路穴７ａを通過すると共に、すり鉢形加
熱コイル１３ａの下端面が燃焼ガス上昇防止板９で塞い
であるので、その燃焼ガスは加熱コイル１３とすり鉢形
加熱コイル１３ａ間の上に行くほど幅狭に狭窄されたガ
ス通路を通過し、さらに、最上部の燃焼ガス下降板１４
に当たってすり鉢巻加熱コイル１３ａ内を煙管１４ａの
下方へと下降され、その下方域から煙管１４ａを経て煙
突１６方向へ燃焼ガスは曲りくねって上昇されると共に
燃焼ガスの急上昇を防止して放出するから、一つのバー
ナによる燃焼ガスは貯湯ボイラ３から貫流式ボイラ８の
２缶を紆余曲折して熱効率を高められる。

高温水取得は貯湯式ボイラ３と貫流式ボイラ８の加熱コ
イル１３とが組合わされた形で、貯湯式ボイラ３の一次
出湯口５から一旦外部の配管を経て送水ポンプ２２で貫
流式ボイラ８の二次給水口１２へ圧送しすり鉢巻き加熱
コイル１３ａの二次出湯口１７から取り出す場合（第３
図参照）と、一次出湯口５からの温水を配管で温水タン
ク１９に導出し、次いで該温水タンクと配管接続した送
水ポンプ２２を介して配管で二次給水口１２へ必要に応
じた送水圧力で圧送する（第４図参照）ことにより、前
記の加熱コイル１３、すり鉢巻コイル１３ａを経て二次
給湯口１７から連続して、大量の温水や、瞬間的に１０
０℃を越える高圧・高熱温水を給湯することができる。

実施例 以下、図面について本考案の実施例を説明すると、３は
貯湯式ボイラで、一側にバーナ取付口１を備え、上部に
中央とその周囲６箇所に等分にボイラ管６，６を設けた
燃焼室２と炉筒３ａとの間に水室３ｂを形成している。
４は水室３ｂの下部一側に設けた一次給水口で、適宜に
水源と接続する。５は水室３ｂの上部に設けた一次出湯
口である。

８は貫流式ボイラで、貯湯式ボイラ３の炉筒３ａの上に
フランジ１０を以て結合される外筒８ａと、その内周に
沿うて配置した加熱コイル１３と、該加熱コイルは上端
部から加熱コイル１３の内側を通り下方に漸次小径のす
り鉢状に巻曲したすり鉢巻加熱コイル１３ａを連続形成
して設置する。

加熱コイル１３とすり鉢巻加熱コイル１３ａの間は上方
が狭く下部が広いすり鉢形状の空間を形成しており、ま
たこれら加熱コイル１３と１３ａの管下部は外筒８ａ外
に貫通して、二次給水口１２と二次出湯口１７とする。

すり鉢巻加熱コイル１３ａの下端面は、外筒８ａの底部
の中央に設置した燃焼ガス垂直上昇防止板９で閉鎖し、
また加熱コイル１３は外筒８ａの内周に固定したコイル
受止板８ｂで支持する。

前記コイル受止板８ｂ及び燃焼ガス垂直上昇防止板９の
下部には、外筒８ａの底部に渡り貯湯式ボイラ３のボイ
ラ煙管６の真上を避けて外周囲の６箇所に燃焼ガス通路
穴７ａを設けた抵抗加熱板７を、ボイラ煙管６の上端と
間隔をあけて取付けてある。

更に外筒８ａの上部には燃焼ガス下降板１４とその中央
にすり鉢巻加熱コイル１３ａ内に垂下した煙管１４ａを
設け、その上の外筒８ａ上端に蓋１５及び煙突１６が装
着されている。

貯湯式ボイラ３の一次出湯口５と貫流式ボイラ８の二次
給水口１２とは、間に送水ポンプ２２を設置した配管で
接続する（第３図参照）。

また、一次出湯口５から出た温水を外部に設置した水位
調整弁２０を有する温水タンク１９に配管で導入し、温
水タンク１９にストレーナ２１を介し連結された配管の
途中に送水ポンプ２２を設置して、該送水ポンプにより
二次給水口１２圧送するように配管接続（第４図参照）
もできる。

貯湯式ボイラ３の一次給水口４は水源と適宜接続して水
室３ｂに貯水し、バーナ取付口１に取付けたバーナ（図
示せず）の稼働によってその燃焼ガスは燃焼室２からボ
イラ煙管６・・を通って上昇され、水室３ｂの水は加熱
され一次出湯口５から配管と送水ポンプ２２により二次
給水口１２へ圧送され（第３図参照）、また、第４図に
示す実施例では、温水タンク１９に水位調整弁２０を介
して一旦取出され、次いで送水ポンプ２２によって圧力
を高めて二次給水口１２から加熱コイル１３、すり鉢巻
加熱コイル１３ａに送り込まれる。

燃焼ガスはボイラ煙管６より上昇するとき加熱抵抗板７
に当たり、第２図の矢印に示すように周囲に拡散され、
外側の燃焼ガス通路穴７ａを通過し、すり鉢巻加熱コイ
ル１３ａの下端面を閉鎖した燃焼ガス上昇防止板９によ
って、すり鉢巻加熱コイル１３ａと加熱コイル１３との
漸次上部が幅狭となる間隙を通り、上部の燃焼ガス下降
板１４により内側に反転下降され第１図と第４図の矢印
の如く通過して、煙管１４ａの下から煙突１６に排気さ
れるので、一つのバーナにより形式の異なる二つのボイ
ラ炉内を効率良く加熱することができる。

考案の効果 以上のように本考案は、貯湯式ボイラの炉筒の上部に、
炉筒内部に加熱コイルと該加熱コイルの上部から内側に
すり鉢巻加熱コイルを連続して配設すると共に該炉筒底
部に、貯湯式ボイラの上部に貫通したボイラ煙管上端と
間隔を存して抵抗加熱板を設け、且つこの抵抗加熱板の
周囲にボイラ煙管の真上を避けて数箇所に燃焼ガス通路
穴を形成し、該炉筒上部には、すり鉢巻加熱コイル内に
垂下した煙管を有する燃焼ガス下降板を配して煙突に連
絡させてなる貫流式ボイラを着脱可能に連結した複合ボ
イラであるから、一つのバーナによる燃焼ガスをもって
二つのボイラ炉内を熱効率よく、曲路に通過させること
によって、速効性の高温水が得られ、更に、貯湯式ボイ
ラの一次出湯口から上部の貫流式ボイラの二次給水口へ
の給水に送水ポンプ又は温水タンクを介し送水ポンプで
圧送せしめるようにしたから、その送水ポンプの能力に
応じて、低圧、高圧の温水、熱水を自在に出湯させるこ
とができ、高熱水による殺菌洗浄、高圧温水による洗
車、機械類の噴射洗浄、温度制御等による給湯ボイラ等
に適し、空調システムの一貫として役割を果たせる等、
従来の専用ボイラに比べ用途が広いボイラを提供でき、
更に、上下炉筒が分離できるので、水室に関係なくスケ
ール詰まり、水漏れ等の故障の起こりやすい加熱コイル
の点検、補修並びに清掃が容易である等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る複合ボイラの構成図で一部を切欠
する、第２図は同貯湯式ボイラと抵抗加熱板を組合せた
平面図で、燃焼ガスの流れを矢印で示す、第３図は本考
案の複合ボイラの一実施例を示す断面図、第４図は同他
の実施例を示す断面図、第５図は本考案に係る複合ボイ
ラの組立て前の分解図、第６図は燃焼ガス垂直上昇防止
板の平面図、第７図は加熱コイル受板の平面図、第８図
は燃焼ガス抵抗加熱板の平面図である。 １…バーナ取付口、２…燃焼室、３…貯湯式ボイラ、３
ａ…炉筒、３ｂ…水室、４…一次給水口、５…一次出湯
口、６…ボイラ煙管、７…抵抗加熱板、７ａ…燃焼ガス
通路穴、８…貫流式ボイラ、８ａ…外筒、９…燃焼ガス
垂直上昇防止板、１０…結合用フランジ、１１…燃焼ガ
ス経路、１２…二次給水口、１３…加熱コイル、１３ａ
…すり鉢巻加熱コイル、１４…燃焼ガス下降板、１５…
炉蓋、１６…煙突、１７…二次出湯口、１８…耐火材、
１９…温水タンク、２０…水位調整弁、２１…ストレー
ナ、２２…送水ポンプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上部に貫設した数個のボイラ煙管を備えた
   燃焼室と炉筒の間を、上、下に一次出湯口、一次給水口
   を有する水室とした貯湯式ボイラと、貯湯式ボイラの炉
   筒の上部に、積重ね連結可能な外筒の内周に沿い加熱コ
   イルとその上部から加熱コイル内に向けて連続にすり鉢
   形加熱コイルを配設し、これらコイルの下部を外筒外に
   貫通して二次給水口と二次出湯口とし、すり鉢巻加熱コ
   イルの下周端面を燃焼ガス上昇防止板で閉鎖し、外筒の
   底部にボイラ煙管上端と間隔を存して抵抗加熱板を設置
   し、該加熱板の周囲にボイラ煙管の真上を避けて数個の
   ガス通路穴を設け、外筒の上部に、加熱コイル上面に渡
   りすり鉢巻加熱コイル内に垂下した煙管を有する燃焼ガ
   ス下降板と蓋及び煙突を装着してなる貫流式ボイラを接
   続し、前記一次出湯口と二次給水口とを、送水ポンプを
   介し配管で接続してなる複合ボイラ。