JPH06316791A - アルミニウム合金製摺動部材の表面処理方法 - Google Patents
アルミニウム合金製摺動部材の表面処理方法Info
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- JPH06316791A JPH06316791A JP12347493A JP12347493A JPH06316791A JP H06316791 A JPH06316791 A JP H06316791A JP 12347493 A JP12347493 A JP 12347493A JP 12347493 A JP12347493 A JP 12347493A JP H06316791 A JPH06316791 A JP H06316791A
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- plating film
- composite plating
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 良好な密着性を有しているめっき皮膜を安定
して得ることができ、かつ、めっきの前処理工程を短縮
できるアルミニウム合金製摺動部材の表面処理方法を提
供する。 【構成】 アルミニウム合金製シリンダの内周面に、炭
化シリコン粒子が分散されているニッケル−リン複合め
っきを施した。複合めっきの前処理工程は脱脂、液体ホ
ーニング加工、混酸洗浄である。複合めっき後、シリン
ダにHIP処理を行った。 【効果】 HIP処理時に複合めっき皮膜3中のニッケ
ルがアルミニウム合金2中に拡散することによってアル
ミニウム−ニッケル合金層4が形成される。この合金層
4によって複合めっき皮膜3とアルミニウム合金2は冶
金的に接合されるため、アルミニウム合金とめっき皮膜
は良好な密着性を得ることができる。
して得ることができ、かつ、めっきの前処理工程を短縮
できるアルミニウム合金製摺動部材の表面処理方法を提
供する。 【構成】 アルミニウム合金製シリンダの内周面に、炭
化シリコン粒子が分散されているニッケル−リン複合め
っきを施した。複合めっきの前処理工程は脱脂、液体ホ
ーニング加工、混酸洗浄である。複合めっき後、シリン
ダにHIP処理を行った。 【効果】 HIP処理時に複合めっき皮膜3中のニッケ
ルがアルミニウム合金2中に拡散することによってアル
ミニウム−ニッケル合金層4が形成される。この合金層
4によって複合めっき皮膜3とアルミニウム合金2は冶
金的に接合されるため、アルミニウム合金とめっき皮膜
は良好な密着性を得ることができる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム合金製摺
動部材の表面処理方法に関し、例えば自動車、二輪車、
船外機、雪上車等において、内燃機関のシリンダやロー
タリエンジンのセンターハウジング等の表面処理に利用
して有効な技術に関する。
動部材の表面処理方法に関し、例えば自動車、二輪車、
船外機、雪上車等において、内燃機関のシリンダやロー
タリエンジンのセンターハウジング等の表面処理に利用
して有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム合金製摺動部材の摺動面
に、硬質粒子が分散されている複合めっきあるいは硬質
クロムめっきを施すことによって、摺動面に耐摩耗性を
付与することが知られている。この場合、めっきの前処
理として、以下に述べるジンケート処理が一般に行われ
ている。
に、硬質粒子が分散されている複合めっきあるいは硬質
クロムめっきを施すことによって、摺動面に耐摩耗性を
付与することが知られている。この場合、めっきの前処
理として、以下に述べるジンケート処理が一般に行われ
ている。
【0003】(ジンケート処理) 脱脂→水洗→混酸洗浄→水洗→硝酸洗浄→水洗→亜鉛置
換めっき→混酸洗浄→水洗→硝酸洗浄→水洗→亜鉛置換
めっき→水洗→混酸洗浄→水洗→硝酸洗浄→水洗→湯洗
→亜鉛置換めっき→水洗。
換めっき→混酸洗浄→水洗→硝酸洗浄→水洗→亜鉛置換
めっき→水洗→混酸洗浄→水洗→硝酸洗浄→水洗→湯洗
→亜鉛置換めっき→水洗。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このジンケート処理は
下記の不都合を有している。すなわち、公害防止費用が
高くつく。使用する薬品が有毒のため、周囲の機器を腐
食させるおそれがある。ジンケート処理後、スイッチオ
ン通電でめっきを開始しなければならない。さらに、工
程が20工程にも及ぶほど長くて長時間を要する。この
ため自動化が困難で、処理条件がばらつき易く、アルミ
ニウム合金とめっき皮膜との間の良好な密着性が安定し
て得られない。
下記の不都合を有している。すなわち、公害防止費用が
高くつく。使用する薬品が有毒のため、周囲の機器を腐
食させるおそれがある。ジンケート処理後、スイッチオ
ン通電でめっきを開始しなければならない。さらに、工
程が20工程にも及ぶほど長くて長時間を要する。この
ため自動化が困難で、処理条件がばらつき易く、アルミ
ニウム合金とめっき皮膜との間の良好な密着性が安定し
て得られない。
【0005】本発明の目的は、良好な密着性を有してい
るめっき皮膜を安定して得ることができ、かつ、めっき
の前処理工程を短縮できるアルミニウム合金製摺動部材
の表面処理方法を提供することにある。
るめっき皮膜を安定して得ることができ、かつ、めっき
の前処理工程を短縮できるアルミニウム合金製摺動部材
の表面処理方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の構成は、硬質粒
子が分散されている複合めっき皮膜あるいは硬質クロム
めっき皮膜を少なくとも摺動面に被覆するアルミニウム
合金製摺動部材の表面処理方法において、めっき後にH
IP(HOT ISOSTATIC PRESSIN
G)処理を行うことを特徴とする。
子が分散されている複合めっき皮膜あるいは硬質クロム
めっき皮膜を少なくとも摺動面に被覆するアルミニウム
合金製摺動部材の表面処理方法において、めっき後にH
IP(HOT ISOSTATIC PRESSIN
G)処理を行うことを特徴とする。
【0007】本発明を実施する場合、HIP処理の圧力
は少なくとも300kg/cm2 以上が望ましく、加熱
温度は250℃〜500℃が望ましい。加熱時間は加熱
温度との関係によるが、一般的に0.5時間〜4時間が
適当である。
は少なくとも300kg/cm2 以上が望ましく、加熱
温度は250℃〜500℃が望ましい。加熱時間は加熱
温度との関係によるが、一般的に0.5時間〜4時間が
適当である。
【0008】
【作用】アルミニウム合金とめっき皮膜は、めっき後に
行われるHIP処理によって冶金的に接合するため、両
者は良好な密着性を得ることができる。したがって、め
っきの前処理としてジンケート処理を行う必要はなく、
めっきの前処理工程を短縮できる。
行われるHIP処理によって冶金的に接合するため、両
者は良好な密着性を得ることができる。したがって、め
っきの前処理としてジンケート処理を行う必要はなく、
めっきの前処理工程を短縮できる。
【0009】HIP処理によって二つの部材を拡散接合
する場合、通常は二部材の端部を電子ビーム溶接等によ
って封止することにより、ガスの浸入を防止する必要が
ある。しかし、本発明の場合には、HIP処理前のアル
ミニウム合金とめっき皮膜がある程度の密着性を備えて
いるため、特別な封止工程は必要でない。
する場合、通常は二部材の端部を電子ビーム溶接等によ
って封止することにより、ガスの浸入を防止する必要が
ある。しかし、本発明の場合には、HIP処理前のアル
ミニウム合金とめっき皮膜がある程度の密着性を備えて
いるため、特別な封止工程は必要でない。
【0010】
(実施例1)内径が86.3mm、外径が103.5m
m、長さが105mmのアルミニウム合金(住友軽金属
株式会社:PA406)製シリンダの内周面に、炭化シ
リコン(SiC)粒子が分散されているニッケル−リン
複合めっきを施した。上記アルミニウム合金の組成は次
の通りである。 Si: 17% Fe: 6% Cu: 4.5% Mn: 0.4% Mg: 0.5% Al: Bal
m、長さが105mmのアルミニウム合金(住友軽金属
株式会社:PA406)製シリンダの内周面に、炭化シ
リコン(SiC)粒子が分散されているニッケル−リン
複合めっきを施した。上記アルミニウム合金の組成は次
の通りである。 Si: 17% Fe: 6% Cu: 4.5% Mn: 0.4% Mg: 0.5% Al: Bal
【0011】複合めっきの前処理工程は次の通りであ
る。脱脂→液体ホーニング加工→混酸洗浄。
る。脱脂→液体ホーニング加工→混酸洗浄。
【0012】複合めっきの条件は次の通りである。 SiCの平均粒径 3.5 μm SiCの分散量 5 体積% めっき厚さ 200 μm
【0013】複合めっき後に、以下の条件で、シリンダ
にHIP処理を行った。 雰囲気ガス:アルゴンガス 圧力・温度:常温で圧力を300kgf/cm2 まで昇
圧し、以後、圧力と温度を、圧力が500kgf/cm
2 、温度が360℃になるまで並行して昇圧、昇温し
た。 保持時間 :60分
にHIP処理を行った。 雰囲気ガス:アルゴンガス 圧力・温度:常温で圧力を300kgf/cm2 まで昇
圧し、以後、圧力と温度を、圧力が500kgf/cm
2 、温度が360℃になるまで並行して昇圧、昇温し
た。 保持時間 :60分
【0014】上記処理が行われたシリンダを図1に示
す。図1において、2はシリンダ1の母材であるアルミ
ニウム合金、3はシリンダ1の内周面に被覆されてお
り、SiCが分散されているニッケル−リン複合めっき
皮膜、4はHIP処理時に複合めっき皮膜3中のニッケ
ルが母材であるアルミニウム合金中に拡散することによ
って形成されたアルミニウム−ニッケル合金層である。
複合めっき皮膜3の硬度はビッカース硬さでHV 748
であった。ニッケル−リン複合めっき皮膜3はHIP処
理においてめっき皮膜の人工時効が起こるので、皮膜の
硬度が上昇する。この皮膜硬度の上昇を考慮して、HI
P処理条件を選ぶ。
す。図1において、2はシリンダ1の母材であるアルミ
ニウム合金、3はシリンダ1の内周面に被覆されてお
り、SiCが分散されているニッケル−リン複合めっき
皮膜、4はHIP処理時に複合めっき皮膜3中のニッケ
ルが母材であるアルミニウム合金中に拡散することによ
って形成されたアルミニウム−ニッケル合金層である。
複合めっき皮膜3の硬度はビッカース硬さでHV 748
であった。ニッケル−リン複合めっき皮膜3はHIP処
理においてめっき皮膜の人工時効が起こるので、皮膜の
硬度が上昇する。この皮膜硬度の上昇を考慮して、HI
P処理条件を選ぶ。
【0015】上記のように、めっき後のHIP処理時
に、アルミニウム−ニッケル合金層4が形成されること
によって、母材であるアルミニウム合金2と複合めっき
皮膜3が冶金的に接合されるため、母材であるアルミニ
ウム合金2と複合めっき皮膜3は良好な密着性を得るこ
とができる。
に、アルミニウム−ニッケル合金層4が形成されること
によって、母材であるアルミニウム合金2と複合めっき
皮膜3が冶金的に接合されるため、母材であるアルミニ
ウム合金2と複合めっき皮膜3は良好な密着性を得るこ
とができる。
【0016】(実施例2)実施例1と同じ材料および寸
法を備えたシリンダの内周面に、炭化シリコン(Si
C)粒子が分散されているニッケル−コバルト−リン複
合めっきを施した。複合めっきの前処理工程は実施例1
と同じである。
法を備えたシリンダの内周面に、炭化シリコン(Si
C)粒子が分散されているニッケル−コバルト−リン複
合めっきを施した。複合めっきの前処理工程は実施例1
と同じである。
【0017】複合めっきの条件は次の通りである。 SiCの平均粒径 3.5 μm SiCの分散量 7 体積% めっき厚さ 200 μm
【0018】複合めっき後に、以下の条件で、シリンダ
にHIP処理を行った。 雰囲気ガス:アルゴンガス 圧力・温度:常温で圧力を300kgf/cm2 まで昇
圧し、以後、圧力と温度を、圧力が1000kgf/c
m2 、温度が360℃になるまで並行して昇圧、昇温し
た。 保持時間 :90分
にHIP処理を行った。 雰囲気ガス:アルゴンガス 圧力・温度:常温で圧力を300kgf/cm2 まで昇
圧し、以後、圧力と温度を、圧力が1000kgf/c
m2 、温度が360℃になるまで並行して昇圧、昇温し
た。 保持時間 :90分
【0019】上記処理によって、シリンダの内周面に、
SiCが分散されているニッケル−コバルト−リン複合
めっき皮膜が被覆された。複合めっき皮膜の硬度はビッ
カース硬さでHV 864であった。ニッケル−コバルト
−リン複合めっき皮膜はHIP処理においてめっき皮膜
の人工時効が起こるので、皮膜の硬度が上昇する。この
皮膜硬度の上昇を考慮して、HIP処理条件を選ぶ。
SiCが分散されているニッケル−コバルト−リン複合
めっき皮膜が被覆された。複合めっき皮膜の硬度はビッ
カース硬さでHV 864であった。ニッケル−コバルト
−リン複合めっき皮膜はHIP処理においてめっき皮膜
の人工時効が起こるので、皮膜の硬度が上昇する。この
皮膜硬度の上昇を考慮して、HIP処理条件を選ぶ。
【0020】この場合も、めっき後のHIP処理時に、
複合めっき皮膜中のニッケルとコバルトが母材であるア
ルミニウム合金中に拡散することによってアルミニウム
−ニッケル−コバルト合金層が形成される。この合金層
によって母材であるアルミニウム合金と複合めっき皮膜
が冶金的に接合されるため、母材であるアルミニウム合
金と複合めっき皮膜は良好な密着性を得ることができ
る。
複合めっき皮膜中のニッケルとコバルトが母材であるア
ルミニウム合金中に拡散することによってアルミニウム
−ニッケル−コバルト合金層が形成される。この合金層
によって母材であるアルミニウム合金と複合めっき皮膜
が冶金的に接合されるため、母材であるアルミニウム合
金と複合めっき皮膜は良好な密着性を得ることができ
る。
【0021】なお、複合めっきに分散される硬質粒子は
実施例1および実施例2ではSiC粒子が用いられた
が、硬質粒子はこれに限られるものではなく、一般的に
酸化物、炭化物、窒化物等が用いられる。
実施例1および実施例2ではSiC粒子が用いられた
が、硬質粒子はこれに限られるものではなく、一般的に
酸化物、炭化物、窒化物等が用いられる。
【0022】(実施例3)実施例1と同じ材料および寸
法を備えたシリンダの内周面に硬質クロムめっきを施し
た。
法を備えたシリンダの内周面に硬質クロムめっきを施し
た。
【0023】硬質クロムめっきの前処理工程は次の通り
である。脱脂→液体ホーニング加工→銅置換めっき→濃
硝酸洗浄。上記前処理工程において、銅めっきは濃硝酸
洗浄によって除去される。
である。脱脂→液体ホーニング加工→銅置換めっき→濃
硝酸洗浄。上記前処理工程において、銅めっきは濃硝酸
洗浄によって除去される。
【0024】硬質クロムめっき後に、実施例2と同じ条
件で、シリンダにHIP処理を行った。
件で、シリンダにHIP処理を行った。
【0025】上記処理によって、シリンダの内周面に硬
質クロムめっき皮膜が被覆された。硬質クロムめっき皮
膜の硬度はビッカース硬さでHV 820であった。
質クロムめっき皮膜が被覆された。硬質クロムめっき皮
膜の硬度はビッカース硬さでHV 820であった。
【0026】この場合も、めっき後のHIP処理時に、
硬質クロムめっき皮膜中のクロムが母材であるアルミニ
ウム合金中に拡散することによってアルミニウム−クロ
ム合金層が形成される。この合金層によって母材である
アルミニウム合金と硬質クロムめっき皮膜が冶金的に接
合されるため、母材であるアルミニウム合金と硬質クロ
ムめっき皮膜は良好な密着性を得ることができる。
硬質クロムめっき皮膜中のクロムが母材であるアルミニ
ウム合金中に拡散することによってアルミニウム−クロ
ム合金層が形成される。この合金層によって母材である
アルミニウム合金と硬質クロムめっき皮膜が冶金的に接
合されるため、母材であるアルミニウム合金と硬質クロ
ムめっき皮膜は良好な密着性を得ることができる。
【0027】以下、めっき皮膜の密着性試験を説明す
る。試験は次の4種類の矩形状試験片を使用して行っ
た。 試験片A:実施例1と同じ表面処理が施されることによ
って、SiC粒子が分散されているニッケル−リン複合
めっき皮膜が片面に被覆されたアルミニウム合金(住友
軽金属株式会社:PA406)製試験片。 試験片B:実施例2と同じ表面処理が施されることによ
って、SiC粒子が分散されているニッケル−コバルト
−リン複合めっき皮膜が片面に被覆されたアルミニウム
合金(住友軽金属株式会社:PA406)製試験片。 試験片C:実施例3と同じ表面処理が施されることによ
って、硬質クロムめっき皮膜が片面に被覆されたアルミ
ニウム合金(住友軽金属株式会社:PA406)製試験
片。 試験片D:めっきの前処理としてジンケート処理が施さ
れた後、実施例1と同じ複合めっき条件で複合めっきさ
れることによって、SiC粒子が分散されているニッケ
ル−リン複合めっき皮膜が片面に被覆されたアルミニウ
ム合金(住友軽金属株式会社:PA406)製試験片。
めっき後のHIP処理は行われていない。
る。試験は次の4種類の矩形状試験片を使用して行っ
た。 試験片A:実施例1と同じ表面処理が施されることによ
って、SiC粒子が分散されているニッケル−リン複合
めっき皮膜が片面に被覆されたアルミニウム合金(住友
軽金属株式会社:PA406)製試験片。 試験片B:実施例2と同じ表面処理が施されることによ
って、SiC粒子が分散されているニッケル−コバルト
−リン複合めっき皮膜が片面に被覆されたアルミニウム
合金(住友軽金属株式会社:PA406)製試験片。 試験片C:実施例3と同じ表面処理が施されることによ
って、硬質クロムめっき皮膜が片面に被覆されたアルミ
ニウム合金(住友軽金属株式会社:PA406)製試験
片。 試験片D:めっきの前処理としてジンケート処理が施さ
れた後、実施例1と同じ複合めっき条件で複合めっきさ
れることによって、SiC粒子が分散されているニッケ
ル−リン複合めっき皮膜が片面に被覆されたアルミニウ
ム合金(住友軽金属株式会社:PA406)製試験片。
めっき後のHIP処理は行われていない。
【0028】上記各試験片A〜Dは内径6.5mmの穴
がめっき皮膜と反対側の表面からめっき皮膜との境界付
近(めっき皮膜との境界から1.5mm以下の距離)ま
で形成されている。
がめっき皮膜と反対側の表面からめっき皮膜との境界付
近(めっき皮膜との境界から1.5mm以下の距離)ま
で形成されている。
【0029】試験方法を図2に基づいて説明する。図2
に示されているように、試験片10がリング状の受台1
1に載せられる。それから、外径6.3mmの押し出し
棒12が試験片10に形成されている穴13に挿入され
てめっき皮膜14を打ち抜く。この際に、押し出し棒1
2によって打ち抜かれた試験片10のめっき皮膜14に
生じた剥離の大小で密着性が評価される。
に示されているように、試験片10がリング状の受台1
1に載せられる。それから、外径6.3mmの押し出し
棒12が試験片10に形成されている穴13に挿入され
てめっき皮膜14を打ち抜く。この際に、押し出し棒1
2によって打ち抜かれた試験片10のめっき皮膜14に
生じた剥離の大小で密着性が評価される。
【0030】各試験片A〜Dについて複数個の試験片を
試験した結果は次の通りであった。各試験片A〜Dとも
剥離の発生は認められず、密着性は良好であった。試験
片A、B、Cは、めっきの前処理としてジンケート処理
を行った試験片D(比較例)と比較して、密着性は同等
であり、しかもばらつきが少なかった。
試験した結果は次の通りであった。各試験片A〜Dとも
剥離の発生は認められず、密着性は良好であった。試験
片A、B、Cは、めっきの前処理としてジンケート処理
を行った試験片D(比較例)と比較して、密着性は同等
であり、しかもばらつきが少なかった。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように本発明の表面処理方
法によれば、アルミニウム合金製摺動部材の少なくとも
摺動面に、良好な密着性を有しているめっき皮膜を安定
して得ることができ、かつ、めっきの前処理工程の短縮
化を図ることができる。
法によれば、アルミニウム合金製摺動部材の少なくとも
摺動面に、良好な密着性を有しているめっき皮膜を安定
して得ることができ、かつ、めっきの前処理工程の短縮
化を図ることができる。
【図1】本発明の一実施例である表面処理方法を使用し
て処理されたシリンダの一部分を示す縦断面図である。
て処理されたシリンダの一部分を示す縦断面図である。
【図2】めっき皮膜の密着性の試験方法を示す縦断面図
である。
である。
1 シリンダ 2 母材(アルミニウム合金) 3 SiCが分散されているニッケル−リン複合めっき
皮膜 4 アルミニウム−ニッケル合金層
皮膜 4 アルミニウム−ニッケル合金層
Claims (5)
- 【請求項1】 硬質粒子が分散されている複合めっき皮
膜を少なくとも摺動面に被覆するアルミニウム合金製摺
動部材の表面処理方法において、複合めっき後にHIP
処理を行うことを特徴とするアルミニウム合金製摺動部
材の表面処理方法。 - 【請求項2】 前記複合めっきがニッケル−リン合金あ
るいはニッケル−コバルト−リン合金に硬質粒子が分散
されているめっきであることを特徴とする請求項1記載
のアルミニウム合金製摺動部材の表面処理方法。 - 【請求項3】 前記複合めっきが摺動面のアルミニウム
合金素地上に施されることを特徴とする請求項1または
2記載のアルミニウム合金製摺動部材の表面処理方法。 - 【請求項4】 硬質クロムめっき皮膜を少なくとも摺動
面に被覆するアルミニウム合金製摺動部材の表面処理方
法において、硬質クロムめっき後にHIP処理を行うこ
とを特徴とするアルミニウム合金製摺動部材の表面処理
方法。 - 【請求項5】 前記硬質クロムめっきが摺動面のアルミ
ニウム合金素地上に施されることを特徴とする請求項3
または4記載のアルミニウム合金製摺動部材の表面処理
方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12347493A JPH06316791A (ja) | 1993-04-27 | 1993-04-27 | アルミニウム合金製摺動部材の表面処理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12347493A JPH06316791A (ja) | 1993-04-27 | 1993-04-27 | アルミニウム合金製摺動部材の表面処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06316791A true JPH06316791A (ja) | 1994-11-15 |
Family
ID=14861527
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12347493A Pending JPH06316791A (ja) | 1993-04-27 | 1993-04-27 | アルミニウム合金製摺動部材の表面処理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06316791A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007197831A (ja) * | 2006-01-26 | 2007-08-09 | Hamilton Sundstrand Corp | 物品の磨耗性能を改良するコーティングおよび物品のコーティング方法 |
JP2012513356A (ja) * | 2008-12-23 | 2012-06-14 | オーチス エレベータ カンパニー | 昇降路内のシーブの表面再形成 |
CN113895164A (zh) * | 2021-09-01 | 2022-01-07 | 清远南方制版科技有限公司 | 一种无缝铝合金管制的辊筒及制备方法和在凹版印刷版辊中的应用 |
-
1993
- 1993-04-27 JP JP12347493A patent/JPH06316791A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007197831A (ja) * | 2006-01-26 | 2007-08-09 | Hamilton Sundstrand Corp | 物品の磨耗性能を改良するコーティングおよび物品のコーティング方法 |
JP2010270402A (ja) * | 2006-01-26 | 2010-12-02 | Hamilton Sundstrand Corp | 物品の磨耗性能を改良するコーティングおよび物品のコーティング方法 |
JP4644214B2 (ja) * | 2006-01-26 | 2011-03-02 | ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション | 物品の磨耗性能を改良するコーティングおよび物品のコーティング方法 |
US8246807B2 (en) | 2006-01-26 | 2012-08-21 | Hamilton Sundstrand Corporation | Low cost, environmentally favorable, chromium plate replacement coating for improved wear performance |
JP2012513356A (ja) * | 2008-12-23 | 2012-06-14 | オーチス エレベータ カンパニー | 昇降路内のシーブの表面再形成 |
CN113895164A (zh) * | 2021-09-01 | 2022-01-07 | 清远南方制版科技有限公司 | 一种无缝铝合金管制的辊筒及制备方法和在凹版印刷版辊中的应用 |
CN113895164B (zh) * | 2021-09-01 | 2022-06-14 | 清远南方制版科技有限公司 | 一种无缝铝合金管制的辊筒及制备方法和在凹版印刷版辊中的应用 |
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