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JPH0616025B2 - 空燃比検出装置 - Google Patents

空燃比検出装置

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Publication number
JPH0616025B2
JPH0616025B2 JP60169841A JP16984185A JPH0616025B2 JP H0616025 B2 JPH0616025 B2 JP H0616025B2 JP 60169841 A JP60169841 A JP 60169841A JP 16984185 A JP16984185 A JP 16984185A JP H0616025 B2 JPH0616025 B2 JP H0616025B2
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air
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清光 鈴木
政之 三木
隆生 笹山
大須賀  稔
宜茂 大山
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Hitachi Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は、空燃比検出装置に係り、特に、内燃機関の空
燃比を広範囲を制御するのに用いるのに好適な空燃比検
出装置に関する。
〔発明の背景〕
従来、内燃機関用の空燃比検出装置としては、理論空燃
比を検出する装置が、広く内燃機関の制御用に用いられ
ている。
しかし、近年、燃料消費率の改善のためにリーンバーン
制御用の空燃比検出装置の開発が進められている。その
一例としては、例えば、米国特許4282080(特開昭55−1
25448号)に記載のように、拡散抵抗体から拡散してく
る酸素を固体電解質セルによりくみ出す時流れる限界電
流値によりリーン空燃比を検出するものが知られてい
る。
また、米国特許4158166(特開昭53−66292号)によつ
て、拡散抵抗体から拡散してくる一酸化炭素等と固体電
解質セルによりくみ入れる酸素とを反応させ、この時固
体電解質セルを流れる限界電流により、リツチ空燃比を
検出するものが知られている。
しかしながら、リーンからリツチまでの幅広い空燃比範
囲の検出の可能なものは知られていない。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、リーンからリツチまでの空燃比検出の
可能な空燃比検出装置を提供するにある。
〔発明の概要〕
本発明は、センサ部分の起電力の測定と、この起電力を
一定するような制御とを交互に行い、この制御時にセン
サ部分に流れる電流により空燃比を検出するものであ
る。
〔発明の実施例〕
本発明の一実施例について、以下図面を用いて説明す
る。
最初に、本発明に用いるセンサ部分の一例について、第
1図を用いて説明する。袋管状の検出部10は孔11を
有する保護管12内に配置され、ネジ13を有する栓体
14内に固着されている。そして、排ガスの流動する排
気管15に装着される。また、16は電極端子、17は
ヒータ端子であり、これらの端子を介して検出部は電子
回路と接続される。なお、袋管状の検出部であるジルコ
ニア固体電解質10の内部には、これを加熱するための
棒状のヒータ(アルミナ棒に形成したWヒータなど)が
装着される。このヒータは検出部のジルコニア固体電解
質を少なくとも600℃以上の高温にして、そのインピ
ーダンスを小さくするためである。検出部10は袋管状
のジルコニア固体電解質の内側と外側にそれぞれ電極
(白金などで構成される)をもうけ、外側の電極上に多
孔質状の拡散抵抗体を形成したものである。そして、固
体電解質の内側には大気が導入され、外側は排ガス雰囲
気中にされされる。
本発明に使用されるセンサ部分の他の一例を第2図に示
す。この図はジルコニア固体電解質が平板、拡散抵抗体
が1個の孔よりなる場合を示している。大気はジルコニ
ア固体電解質20内の通路32を介して、第1の電極2
2部へ導入される。排ガス中の残存酸素や未燃ガスは孔
形状の拡散抵抗体24を介して、拡散室31内の第2の
電極23部へ拡散で流入するものである。ジルコニア固
体電解質20はこれに固着されたアルミナ絶縁層211
内のヒータ212によつて、高温度に加熱制御される。
いずれにしても、ジルコニア固体電解質は一対の電極を
有し、一方には大気が導入され、他方には拡散抵抗体を
介して排ガスが拡散で流入する構造であれば、どのよう
な形状でも基本的には良い。
次に、本発明の原理について、第3図を用いて説明す
る。
第3図(a),(b)においては、1は酸素イオン伝導
性の固体電解質であり、その両面には白金電極3a,3
bが形成されている。電極3aは、大気に接し、電極3
bは、多孔質の拡散抵抗体2を介して排気に接してい
る。
本検出装置は、同図(a)に示したように、固体電解質
1に電圧Vを印加して電流Iを流し、拡散抵抗体2内
に酸素を出し入れする動作と、同図(b)に示したよう
に、固体電解質1に発生する起電力Eのみを測定する動
作を、時分割的に回路を交互にしや断することにより行
うものである。同図(a)に示した電流Iは、絶対値
や方向が空燃比によつて変化する。これは、同図(b)
に示した期間に測定した起電力Eが常に一定値になるよ
うに、電圧Vの値を増減し、拡散抵抗体2内の酸素を出
し入れしているためである。同図(c)に示したよう
に、電極3aの端子電圧を見ると、電流Iを流す期間
の電圧は、空燃比により変化する(V,Vのよ
うに)。一方、起電力Eを測定する期間tの電圧は、
空燃比が変化しても、E一定のまま保たれる。つまり、
この起電力Eが一定になるように印加電圧Vを変化させ
るのである。
次に、空燃比が変化した場合の拡散抵抗体2内の酸素濃
度分布の変化と、酸素の移動やIの関係を第4図によ
り説明する。第4図(a)は、リーン域の動作を示した
もので、空燃比がλの場合のI、Oの移動、O
度の分布のそれぞれを実線で示し、λ′の場合を点線で
示した。ここで、λ′>λ>1の関係と仮定する。空燃
比がλの場合は、排気中の酸素濃度は、PO2となつて
いるため、拡散抵抗体2の排気側の酸素濃度はPO2
なつている。ここで、あらかじめ別の期間に測定された
起電力が一定になるように電流Iを流すので、拡散抵
抗体2内の酸素は、大気側に引き抜かれ、電極3b近傍
の酸素濃度が常に一定値Pになる。ここで例えば、起
電力Eを0.5Vとすると、Pは10-12%程度とな
る。次に、空燃比がλ′(λ′>λ)に変化すると、拡
散抵抗体2の排気側の酸素濃度はPO2′と大きくなる
が、ここでも起電力Eを常に一定にするように、I
りも大きな電流I′を流すため、電極3b近傍の酸素
濃度は、一定値Pに保たれる。このように、酸素濃度
がPO2からPO2′(PO2′>PO2)に変化した
場合、Pを一定に保つために、多くの酸素量を移動す
る必要がある。すなわち、電圧VをV′(V′>V)に
変化させて、IをI′(I′>I)に増加す
る。このため、この時の電流値、すなわち電圧値は、空
燃比に比例するようになる。
第4図(b)は、リツチ域での動作を示している。空燃
比がλ″(λ″<1)のリツチ域では、COなどの可燃
性ガスが発生するために、電極3b近傍の酸素濃度をP
にするには、Oを大気側から、排気側に送り込む必
要がある。このため、固体電解質1に加わる電圧を極性
を反転し、電流I″をリーン域とは逆方向に流す。こ
の動作により、電極3b近傍の酸素濃度はPに保たれ
る。拡散抵抗体2中に示した実線は、一酸化炭素COの
濃度分布を示したもので、排気側がPCOで、電極3b
側がほぼ零のPとなる。空燃比がλ″よりもさらに小
さくなると、多くのCOが存在し、拡散抵抗体2内に拡
散してくるため、電極3b近傍の酸素濃度をPに保つ
ためには、より多くの酸素を送り込む必要がある。この
ため、V″を増加し、I″を増加する。すなわち、空
燃比が変化すれば、V″は変化する。
以上の原理により、リツチからリーン域において空燃比
が測定できるわけであるが、ここで電流の方向を反転す
る必要がある。本発明では、この動作を、λ=1.0の
点を検出することなく、自動的に行うようにした。以
下、これについて説明する。
第5図(a)は、リーン域の動作である。排気側の電極
3bは、ある一定の電位VPGを持つたポテンシヤルグ
ランド4に接続されている。リーン域ではIを矢印の
方向に流すため、電極3aの電圧VをVPGよりも大
きくする。つまり、V>VPGとすれば拡散抵抗体2
内の酸素が大気側に引き抜かれる。次に、第5図(b)
に示したリツチ時には、VをV<VPGとなるよう
に小さくすると、Iはリーン時とは逆に流れ、拡散抵
抗体2内に酸素が送り込まれている。
以上のように、電極3bをポテンシヤルグランド4に接
続し、電極3a側の電圧を上下することにより、自動的
にIの方向を反転させることができる。このポテンシ
ヤルグランドの構成については後述する。
第6図に、本発明の一実施例の検出装置の駆動回路の全
体の構成を示す。5はA端子とB端子にON−OFF信
号を交互に出力するマイクロコンピュータであるが、通
常のコンデンサーと抵抗を用いた発振回路でも良い。A
端子にON信号が出力されると、スイツチSWはON
(導通)し、この期間B端子にOFF信号が出力され、
スイツチSWはOFF(非導通)となる。スイツチS
がONになると、固体電解質1に電流Iが流れ
る。次の期間に、A,B端子のON−OFF状態が逆転
し、スイツチSWがON,スイツチSWがOFFと
なる。このスイツチSWがONとなる期間は起電力E
を測定する期間である。この期間に検出された起電力E
は、ホールド回路6によりホールドされ、スイツチSW
がOFFした時でも起電力Eの値は維持される。次
に、差動積分回路7により、起電力Eとリフアレンス値
refが比較され、E<Erefの場合は差動積分回路7の
出力VPHが増加し続ける。ここで、固体電解質1には、
スイツチSWがONしたときに、この出力Vが印加
される。またE>Erefの場合は、差動積分器7の出力
は減少し続ける。以上のように、起電力EがEref
になるように、出力VPHを上下して電流Iを制御す
る。なお、前述したように、リツチ域では、出力V
PGよりも小さくなるように、出力Vを減少させる。
また、回路の出力としては、ポテンシヤルグランド4と
電極3bの間に固定抵抗Rを設けて、その端子電圧を
ホールド回路8によりホールドし、出力Voutとする。
出力outは、抵抗Rが固定抵抗のため、電流値I
比例した値となる。
第7図には、空燃比がリツチからリーンまで変化した場
合の各部の信号レベルと、スイツチSW,SWの動
作を示した。(a)は実際の空燃比の変化であり、λ<
1からλ>1まで変化している。(b)はスイツチSW
を介して電極3aに印加される電圧V′、(c)
は、差動積分回路7に入力される起電力Eを示した。空
燃比が、急にリーン側に変化すると、拡散抵抗体2内の
酸素量が増加するため、起電力EはErefよりも小さく
なる。このため差動積分回路17の出力Vは、増加し
続ける。やがて、空燃比が一定値におちつくと、出力V
も一定値に収束する。このとき、起電力Eは、Eref
に収束している。(d)と(e)は、スイツチSW
SWのONする期間であり、ON−OFFの周期は、
通常の空燃比の変化時間より十分に小さくしておけば良
い。また、(f)は、Voutを示し、リツチ域ではVout
<VPGとなつているが、リーン域に変化すると、Vout
>VPGとなる。
以上のように回路は、起電力EがErefになるように出
力Vを上下する。また、リーンからリツチ域に空燃比
が変化した場合は、出力Vは減少し、出力Voutも減
少する。
第8図には、空燃比(空気過剰率)λに対するVout
関係を示した、λ=1.0では、理論的に、I=0と
なるために、Vout=VPGとなる。λ<1では、Vout
PGで、λ>1では、Vout>VPGとなる。つまり、λ
=1.0を境として、電流Iの方向が自動的に反転
し、リツチからリーンまでの空燃比が連続的に測定でき
る。
次に、この検出装置の動作の物理的な意味を説明する。
第9図では、固体電解質に印加する電圧Vを増加させて
いつた場合の、電流値Iを示した特性である。電圧Vを
零から増加していくと、(a)の範囲では、酸素イオン
伝導により、電圧Vに比例して電流Iが増加する。さら
に電圧Vを増加すると拡散抵抗体2の作用で酸素の流れ
が律せられ、電圧Vを増加しても電流Iが変化しなくな
る((b)の範囲)。この時の電流Iは限界電流値と呼
ばれる値である。
今、空燃比がある一定の値となつているときの第6図の
回路の動作原理を、第9図の実線の特性により示す。差
動積分回路7の出力Vが、今、(a)の範囲の電圧だ
つたとすると、この時端子間に発生する起電力Eはほぼ
零となつている。このため、差動積分回路7は出力V
を増加させる。やがて、出力Vが(b)の範囲に入つて
くると端子間には起電力が発生し始め、起電力がEref
になつた時に出力Vの増加は停止し、Vに収束す
る。この時、固体電解質1には、電流Iが流れる。こ
の電流Iは、前述した限界電流値と等しく、空燃比に
比例した値となる。
また、第9図の点線で示した特性は、固体電解質1の温
度が低くなつた場合のものである。ここで、出力V
のままでは、電流値はIとなり限界電流値を示さ
ないが、本発明の回路では、V=Vの状態では、E
≒0と判定するために、出力Vをさらに増加し続け、
起電力EがErefになる値V′に収束する。このた
め、この時固体電解質1に流れる電流値は、やはり限界
電流値となる。このように、本発明による検出装置は、
固体電解質1の温度が変化しても常に限界電流値に相当
する電流値を固体電解質1に流す。
第10図は、固体電解質1の温度が一定で、空燃比λが
変化した場合の特性を、それぞれの空燃比λ1,λ2,λ
3,λ4について示した(λ1>λ2>λ3>λ4)。空燃比
がλの場合は、端子間の起電力がErefとなるには、
固体電解質1にVP1の電圧を印加する必要があるため、
出力VPHはVP1まで上昇し、VP1に収束する。このとき
の電流値はIP1で、空燃比λにおける限界電流値に一
致している。また、空燃比がλとなつた場合は、出力
PHは減少しVP2に収束し、電流値はIP2となる。以
下、空燃比がλ,λの場合も同様に、それぞれの限
界電流値IP3,IP4を固体電解質1に流す。第6図に示
した回路は、この電流値に比例した出力を出すため、常
に限界電流値がモニターできる。
第11図は、固体電解質1の温度Tを変化させた場合の
出力の変化を示した。なお、ここでは空燃比は一定であ
る。第1図の(b)は、第9図に示したように常に、一
定の電圧Vを固体電解質1に印加した場合の特性であ
り、(a)は本発明による検出装置の出力特性である。
前述したように、温度Tが変化しても、常に限界電流値
をモニターできるために、出力の温度依存性は少ない。
第12図は、温度Tを一定とした空燃比λを変化させた
場合の、出力特性である。(b)は、固体電解質に印加
する電圧を一定とした場合の特性である。第10図から
わかるように、例えば、電圧をVP3一定となると、空燃
比λが大きくなるのにつれて、限界電流値が測定できな
くなり、第12図(b)に示したように、大きな空燃比
λで、空燃比λに対するゲインが低くなる。また、
(a)の特性は、本発明の検出装置によるもので、空燃
比λが変化しても、電圧Vを変化させて常に限界電流
値を測定するために、λが大きくなつても、λに対する
出力値のゲインは変わらない。
第13図は、本発明の一実施例による検出装置の回路の
具体的な構成の一例である。5は、マイクロコンピュー
タか、または発振器である。ホールド回路6は、コンデ
ンサCとバツフアアンプAから成つている。ホール
ド回路6でホールドされた起電力Eは、差動積分回路7
に入力される。この差動積分回路7で、起電力Eと基準
電圧Erefが比較され、E<Erefの場合、電圧Vは増
加し続け、E>Erefの時、電圧Vは減少し続ける。
この積分動作は、起電力EがErefに収束するまで続け
られ、収束すれば、電圧Vもある一定値に収束する。
この電圧Vは、バツフアアンプAとスイツチSW
を介して、電極3aに印加される。一方、ポテンシヤル
グランド4は、バツフアアンプAより成つており、電
圧VPG一定の値を出力している。ここで、スイツチS
がONして、電圧Vが固体電解質1に印加される
場合に、V>VPGの場合は、電流が、バツフアアンプ
、固体電解質1を通り、バツフアアンプA内でグ
ランドに落される。しかし、ポテンシヤルグランドは、
PG一定のまま保たれる。また、V<VPGの場合は、
電流はバツフアアンプA、固体電解質1を通り、バツ
フアアンプA内でグランドに落される。しかし、バツ
フアアンプAの出力はV一定のまま保たれている。
また、出力回路8は、スイツチSWがONした時の抵
抗Rの端子電圧をコンデンサCとバツフアアンプA
によりホールドし、出力(Vout)する。以上の回路
により、本発明による空燃比の検出が可能となる。
第14図は、エンジンの実排気を本発明の上述の一実施
例により測定した結果を示した。検出装置のセンサ部分
はエンジンの排気マニホールドに取り付け、エンジンは
回転数1250rpm、トルク3kg・m一定で運転した。第
14図の横軸が空燃比λで、縦軸は出力である。第14
図からわかるように、λ<1からλ>1までの広い範囲
の空燃比が実測できるが、λ=1を境として出力値のゲ
インが変化している。これは、λ>1では限界電流I
は、排気中の酸素濃度に依存しているが、λ<1では、
電流Iは、排気中の可燃性ガスCO,HC,Hに依
存するためである。特に、可燃性ガス中で、Hの拡散
速度が非常に速いため(CO,Oの約4倍)、多くの
電流値が必要となり、出力が大きく傾斜してしまう。
次に、固体電解質1の温度を一定に保つためにその内部
抵抗rを一定に保つための温度制御法について述べる。
第15図(a)には、λ>1における動作を示した。こ
の場合、電流Iは図中の矢印の方向に流れ、電極3a
側の電圧をV、3b側をV、抵抗Rのポテンシヤ
ルグランド4側をGPGとすると、V>V>VPGの関
係となる。この場合、V,V,VPGの間には次の関
係がある。
P−VH=E+rIP …(1) VH−VPG=r・IP …(2) ここで、E:起電力、rc:抵抗Rの抵抗値(1)式
より、内部抵抗rは、 ここで、Vは出力として常に測定しているので既知で
あり、Eは常に一定値になるように制御しているので既
知である。ここで V=VH+E (4) とすると、(3)式は、 また、(2)式により、Iは、 となるために、V,VPG,rが既知なのでIも既
知となる。このため、(6)式と(5)式より固体電解
質1の内部抵抗rが計算される。
次にλ<1における動作を、第15図(b)に示す。こ
こでは、電流Iは(a)とは反対向きに流れるので、
各部の電圧は、V<V<VPGとなる。ここでも、
(1)〜(6)式のような計算を行うと、次のようにな
る。VPとVHとVPGの関係は、 VP−VH=E−rIP …(7) VPG−VH=r・IP …(8) ここで、(7)式を(4)式の関係を用いて書き換える
と、 となる。またIは、(8)式より となる。ここで、VPG,V,r,Vは既知なの
で、(9),(10)式より内部抵抗rは求まる。この
内部抵抗rを計算して、ヒーターを制御し、内部抵抗r
を常に一定に保つようにする。第16図に、ヒーター制
御のフローを示した。この計算は、λ>1とλ<1では
異なるので、始めにこの判断をする。電流Iの方向に
よりVとVPGの大小関係は変わるので、これにより判
断する(ステツプ101)。λ>1では、V>VPG
なるので、(6)式により電流Iを計算する(ステツ
プ102)。次に、この電流Iと(5)式により内部抵
抗rを計算する(ステツプ103)。この内部抵抗r
を、制御しようとする抵抗値rrefと比較する(ステツ
プ104)。ここで、r>rrefならば、固体電解質1
の温度Tは,設定値より低くなつているのでヒーターを
ONさせるHiの信号を出力し、固体電解質1を加熱す
る(ステツプ105)。また、r<rrefの場合は、T
が設定温度より高くなつているので、ヒーターをOFF
させるL信号を出力する(ステツプ106)。その
後、ステツプ101に戻る。
一方、V<VPGの場合は、λ<1.0となつているの
で、電流Iは(10)式により計算する(ステツプ1
07)。このIと(9)式より内部抵抗を計算する
(ステツプ108)。以上により、内部抵抗rを求めた
後は、ステツプ4に進み以下先ほどと同様のフローによ
りヒーターを制御する。以上のフローは、アナログ回路
でも処理できるが、A/D変換してマイクロコンピュー
タ5に入力し、デジタル的に処理する方が有利である。
第17図は、ヒーター制御するための回路の結線図であ
る。検出装置の駆動回路41より前述した出力VPH,V
をA−D変換起42に入力する。VPH,Vに対応し
たデジタル値をマイクロコンピュータ5に入力する。マ
イクロコンピュータ5内では、第16図に示したフロー
が実行され、コンパレータ43に、Hi,L信号が出
力される。Hi信号が出力されると、コンパレータ43
はトランジスタTr1のベースにLが信号され、トラン
ジスタTr1は導通状態になり、ヒーター40に電流が流
れ、固体電解質1が加熱される。
一方、マイクロコンピュータ5からL信号が出力され
ると、コンパレーター43はHi信号を出力し、トラン
ジスタTr1は非導通状態となり、ヒーター40には、電
流が流れない。以上のようなハードによりヒーターの制
御が実行され、固体電解質1の温度は常に一定に制御さ
れる。
第18図には、ヒーターを制御する別の方法を示してい
る。この方法は、第18図(a)に示したように、電流
を流す期間tと、起電力Eを測定する期間t
他に、固体電解質1の内部抵抗rを一定値の電流値を流
すことにより測定するための期間tを新らたに設ける
方法である。第18図(b)に示したように、期間t
には、定電流Iを流しこの時の端子電圧VHCを検出す
ることにより、内部抵抗rを測定する。この時、第18
図(c)に示したように、電流Iは、酸素を拡散抵抗
体2内に送り込むような方向に流す。このため、端子電
圧VHCは、次のように表わされる。
HC=rI−E …(11) VHC∝r …(12) (12)式からわかるように、電圧VHCは、I,Eが
既知のために、内部抵抗rの関数となる。すなわち、こ
の電圧VHCを測定して一定値になるようにヒーターを制
御すれば、精度の高い温調が可能となる。なお、第18
図(a),(b)に示した実線の特性は、λ>1の場合
のもので、一点鎖線の特性は、λ<1のものである。第
18図(b)に示したように、λ<1の場合は、電流I
の方向はλ>1とは反対方向なので負の値で示した。
なお、期間tにおいて、電流Iを第18図(c)の
方向に流すことは、排気側に酸素を送り込む方向なの
で、リツチ域において、固体電解質1を保護する意味に
もなる。
第19図は、第18図の動作を実現するための回路構成
である。マイクロコンピューター5のA端子からは、t
間だけONする信号が出力され、B端子からは、t
間だけONする信号が出力され、C端子からはt間だ
けONする信号が出力される。このため、t間は、ス
イツチSWのみが導通状態となる。このスイツチSW
が導通すると、定電流源44から固体電解質1に定電
流Iが流れる。この時の端子電圧VHCを、コンデンサ
とバツフアアンプAによりサンプルホールドす
る。このためスイツチSWが非導通となつた場合で
も、バツフアアンプAの出力はVHCのまま保持され
る。この出力VHCは、基準電圧Vrefと比較され、VHC
>Vrefの場合は、コンパレータ45がOFF信号をト
ランジスタTr2のベースに出力し、トランジスタTr
を導通状態として、ヒーター40に電流を流し、固体
電解質1を加熱する。一方、VHC<Vrefの場合は、コ
ンパレータ45がON信号を出力するので、トランジス
タTrは非導通となり、ヒーター40に電流は流れな
くなる。なお、このVrefは、(11)式により、設定
したい内部抵抗rに対応する値を、あらかじめ決定して
おく。以上の方法により、固体電解質1の内部抵抗rを
モニターしながら、精度の高い温調が可能となる。
本発明の他の実施例の全体構成を第20図により説明す
る。電位VPGの電圧源64とバツフア・アンプ65によ
りなるポテンシヤルグランド回路84により、アンプ6
5の出力電圧は回路グランドよりポテンシヤルVPGだけ
高い一定値に保持される。この結果、多孔質状の拡散抵
抗体54を介して、排ガス雰囲気と接触する電極53部
の電位は常に回路グランドより高い値である故、ジルコ
ニア固体電解質50中を動く正・負のポンプ電流I
計測が可能になる。抵抗66はポンプ電流Iの検出抵
抗であり、Iを出力電圧eに変換して、バツフア・
アンプ67およびコンデンサ62からなる出力回路88
よりエンジン制御用のマイコンへ送信する。
時分割信号発生器85のパルス列Aがオフ、Bがオンで
あるものとする。このとき、CMOSなどからなるスイ
ツチ68と69はOFFの状態になる。スイツチ69が
OFFになると、積分回路87から電極52へ供給され
る励起電圧はなくなる故、ジルコニア固体電解質50中
を流れるポンプ電流Iは強制的に零にされる。この
時、電極間の差電圧は起電力eλの成分のみである故、
これを抵抗71〜74及びアンプ75からなる差動増幅
回路89で検出する。この結果、オーム損過電圧の影響
を受けることなく、起電力eλを高い精度で検出でき
る。スイツチ76はON状態にあるので、差動増幅回路
89で検出されたeλ値はすばやくコンデンサ77とア
ンプ78からなるホールド回路86へ転送される。この
eλ値は、積分回路87へ入力され基準電圧Erefと比
較される。積分器回路87の時定数τは抵抗79とコン
デンサ80の値から決まり、数〜数十msの値に設定さ
れる。また、基準電圧Erefは0.3〜0.6ボルトの
値に設定される。eλ<Erefのとき、電極52へ印加
される励起電圧が大きくなるように作用する。これに対
して、eλ>Erefのとき、励起電圧が小さくなるよう
に作用する。
次に、時分割信号発生器85のパルス列A及びBが反転
すると、スイツチ69はON状態になり、励起電圧が積
分回路87より電極52へ印される。eλ<Erefのと
き、励起電圧が大きくなる故、リーン状態のとき電極5
3部の酸素を多く引き抜き、リツチ状態のとき電極53
部へ供給する酸素を少なくするように作用し、eλがE
refになるように励起電圧がフイードバツク制御され
る。
逆に、eλ>Erefのとき、励起電圧が小さくなる故、
リーン状態のとき電極53部の酸素を少なく引き抜き、
リツチ状態のとき電極53部へ多くの酸素を供給するよ
うに作用し、同様にeλがErefになるように励起電圧
がフイードバツク制御される。これらは、電気化学的な
ポンプ作用によつて平衡状態にフイードバツク制御
される。なお、励起電圧がサンプルされないように、ス
イツチ76はOFF状態になる。逆に、スイツチ68は
ON状態になつており、検出抵抗66によつて検出され
たポンプ電流Iに対応した電圧がサンプルされて、コ
ンデンサ62と、バツフア・アンプ67からなる出力回
路88より出力電圧Voutとして出力される。
このように、交互な繰返えすことによつて、リツチ、理
論空燃比及びリーン領域の空燃比を連続的に検出するこ
とができる。
なお、起電力検出の時間は拡散抵抗体54部におけるガ
スの拡散によつて、起電力eλは少しずつ変化する故、
数ms以下にしなければならない。
また、限界電流値Iが大きい値になるように、拡散抵
抗体54を製作した場合、スイツチ69がCMOSなど
で構成されるとき、その内部抵抗によつて生ずる電圧降
下が大きくなるので、トランジスタの如きスイツチが望
しい。このとき、両方向(正,負)の電流を流す必要が
あり、2つのトランジスタをペアに用い双方向の電流移
動を可能にしなければならない。
また、積分回路87はゲインを適当に選んだ差動増幅器
で構成しても良い。
いずれにしても、第20図の構成により両電極間に作用
する励起電圧は器電力eλより数倍大きくなつても、空
気過剰率λを高い精度で検出できた。
この結果、ジルコニア固体電解質50の温度が低くても
(実験では600℃以上)動作することにより、ヒータ
の電力が低減し、その耐久性が向上した。
なお、リツチ状態の環境に数十分から数時間と長い間、
連続的に本センサをおいた場合、電極53部近傍のジリ
コニア固体電解質50が局所的に電子伝導に移行するた
めか、出力特性にヒステリシスが発生した。このような
評価結果の一例を第21図に示す。これは合成ガスを用
い、λ=1.5から空気過剰率λを一様な速度で小さく
し、約10分でλ=0.73まで低下させた。そして、
λ=0.73のリツチ雰囲気に約70分間、連続的に放
置し、その後一様な速度でλを大きくし、約10分でλ
=1.5まで上昇させたときのヒステリシス特性を示し
たものである。図に示すように、出力電圧特性にヒステ
リシス現象が生じた。ヒステリシスの大きさは、リツチ
雰囲気に放置する時間が長い程、また放置するときのλ
値が小さいほど、ヒステリシスが大きくなりやすい傾向
があつた。
実エンジンでも、運転状態によつてはリツチ雰囲気に長
い間さらされることがあり得るので、このようにヒステ
リシス現象の発生は制御上、好ましくないことは言うま
でもない。
実験的なこのような傾向から基本的には、リツチ雰囲気
でジリコニア固体電解質50に印加する励起電圧の時間
を少なくすれば良いことが予想される。この対策方法を
第20図に示した回路構へを適用することにした。
この対策方法を第22図に示す。時分割信号発生器85
を出力電圧Voutの大きさに応じて制御し、パルス列A
及びBを時々、区間Zで示すように休止させる方法であ
る。この結果、第20図中のスイツチ69が区間Zに応
じて比較的長い間(数十〜数百ms)OFFになり、こ
の間ジルコニア固体電解質50への励起電圧の印加が停
止される。区間Zの長さはVoutが小さいほど、即ちλ
値が小さい程長くまた、そのひんどを多くするのが効果
的である。時々刻々の瞬時空気過剰率の測定はある程
度、ぎせいになるが、これは制御上のアルゴリズムに工
夫を施すことにより、実使用上問題がない程度まで制御
精度を改善することが可能である。
次に、本検出装置をエンジンの空燃比制御を用いた場合
の、応用上の利点について説明する。
本検出装置は、拡散抵抗体2が目づまり等の原因によ
り、経時変化した場合には、出力も経時変化する。しか
し、λ=1.0においては、I=0となるために、出
力Voutは、VPGとなる。つまり、この時は、Iを流
していないために、拡散抵抗体2の状態に関係なく、出
力は常にVPGとなる。つまり、λ=1では、Iを流し
酸素を移動させなくても、拡散抵抗体2内の酸素濃度分
布は常にP(P≒0)一定となる。これは、排気中
の酸素濃度がすでにPとなつているためである。以上
のように、λ=1.0では、酸素の移動や拡散がないた
めに、拡散等抗体2が経時変化してもVoutは常にVPG
一定となる。
ここで、出力が経時変化したとしても、λ=1.0にお
ける出力はVPGのままである。つまり、本検出装置にお
いては、λ=1.0の空燃比は、従来の理論空燃比を検
出する酸素センサと同様の精度で測定できる。このた
め、エンジンの制御空燃比を負荷によつて変化させる場
合、λ=1.0に制御するときに、燃料噴射弁の噴射量
に加える補正量を決定する。
ここで噴射幅Tは、 TP=TB(1+K1+K2……) …(13) ここで、K:空燃比検出器による補正係数 K以降:空燃比検出以外による補正 係数(例えば水温補正など) となる。λ=1.0において、Kを決定し、他の空燃
比へ制御する場合もこの補正係数Kを利用する。
以上により、精度の高い空燃比補正が可能となる。
以上説明した本発明の各実施例によれば、以下のような
効果がある。
(1)リーンからリツチまでの巾広い空燃比範囲にわた
つて検出が可能となる。
(2)起電力Eλを検出し、このEλが一定となるよう
に、励起電圧Vを制御している。したがつて、第9
図,第11図で説明したように、固体電解質の温度が低
く(約600℃)、内部インピーダンスが比較的大きい
場合でも、測定が可能である。したがつて、ヒータの所
要電力を低下させることができ、センサ部分の耐久性も
向上する。
(3)また、第12図で説明したように、励起電圧V
を可変するため、空燃比が大きくなつても出力のゲイン
はかわることはない。
(4)リツチ領域で長く使用されると、固体電解質が電
子伝導性を帯び、出力特性にヒステリシスを生じるよう
になるが、このような場合にも、時分割タイプにあつて
は、固体電解質中を流れる電流を零とすることにより、
電子伝導化を防止できる。
(5)固体電解質の内部抵抗値を用いて、ヒータへの通
電を制御することにより、固体電解質の温度を一定に保
ち、検出精度を上げられる。
〔発明の効果〕
本発明によれば、リーンからリツチまでの広範囲の空燃
比の検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に用いるセンサ部の一例の部分断面図
である。第2図は、本発明に用いるセンサ部の他の例の
部分断面図である。第3,4,5図は、本発明の原理説
明図である。第6図は、本発明の一実施例の概念図であ
り、第7〜12図は、本発明の一実施例の動作および特
性説明図である。第13図は、本発明の一実施例の構成
図であり、第14図は、その実験結果図である。第15
〜17図は、本発明の他の実施例の説明図である。第1
8,19図は、本発明のその他の実施例の説明図であ
る。第20,21図は、本発明のさらにその他の実施例
の説明図である。第22図は、本発明のさらに、また、
その他の実施例の説明図である。 1,10,20,50……固体電解質、3a,3b,2
2,23,52,53……電極、2,24,54……拡
散抵抗体、5……マイクロコンピュータ、6……サンプ
ルホールド回路、7……差動積分回路、8……出力回
路、4……ポテンシヤルグランド回路、40……ヒー
タ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 7363−2J 327 N (72)発明者 大須賀 稔 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内 (72)発明者 大山 宜茂 茨城県日立市久慈町4026番地 株式会社日 立製作所日立研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固体電解質と、前記固体電解質の一方の面
    に形成された第1の電極と、前記固体電解質の他方の面
    に形成され、大気雰囲気に接触する第2の電極と、前記
    第1の電極上に形成され、前記第1の電極へのガスの拡
    散を律する拡散抵抗体とを備えた空燃比検出装置におい
    て、前記第1の電極と前記第2の電極との間に発生する
    起電力を測定する第1の期間と、前記起電力が所定の値
    となるように前記第1の電極と前記第2の電極との間に
    印加する電圧を制御し、その時に流れる電流を空燃比を
    あらわす信号として検出する第2の期間とを交互に繰り
    返す検出回路を備えたことを特徴とする空燃比検出装
    置。
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