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JPH0540968A - 記録及び/又は再生装置 - Google Patents

記録及び/又は再生装置

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JPH0540968A
JPH0540968A JP3194124A JP19412491A JPH0540968A JP H0540968 A JPH0540968 A JP H0540968A JP 3194124 A JP3194124 A JP 3194124A JP 19412491 A JP19412491 A JP 19412491A JP H0540968 A JPH0540968 A JP H0540968A
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recording
recording medium
probe electrode
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Kiyoshi Takimoto
Akira Kuroda
亮 黒田
Toshihiko Miyazaki
俊彦 宮▲崎▼
Kunihiro Sakai
邦裕 酒井
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  • Measurement Of Length, Angles, Or The Like Using Electric Or Magnetic Means (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 プローブ電極と記録媒体との間に印加して記
録(含消去)を行ない、両者間のトンネル電流を検出し
て再生を行なう装置において、両者間のトンネル電流を
用いずに簡易な構成で間隔制御を実現する。 【構成】 媒体1とプローブ電極2を、間隔変動を補正
する方向に力がかかって梁3が変形する様に、相互間に
斥力が働く距離に配置し、この状態でプローブ電極2に
より媒体1を走査しながら電圧を印加して、記録、再生
を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は情報の記録及び/又は情
報の再生を行う為の装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】情報記憶素子ないし情報記憶装置、いわ
ゆるメモリーは、コンピュータおよびその関連機器の中
核をなすものであるのみならず、ビデオディスク、ディ
ジタルオーディオディスク等に見られるように映像装
置、音響装置の中でも重要な地位を占めている。このメ
モリーに要求される性能は、その用途によって異なる
が、一般的には、
【0003】高密度で、記録容量が大きい。 記録再生の応答速度が速い。 消費電力が少ない。 生産性が高く、価格が低い。 等が挙げられ、現在もこうした性能を実現するメモリー
方式やメモリー媒体の開発が極めて活発に進められてい
る。
【0004】従来、メモリーの中心は磁性体、半導体を
素材とした磁気メモリー、半導体メモリーであったが、
近年、レーザー技術の進展に伴い、有機色素、フォトポ
リマーなどの有機薄膜を用いた、安価で高密度な光メモ
リーが登場している。
【0005】現在これらのメモリーをさらに高密度で大
容量にするために単位メモリービットの微細化に向けて
の技術開発が進められているが、これらの従来のメモリ
ーとは全く別の原理に基づくメモリーの提案もされてい
る。例えば、個々の有機分子に論理素子やメモリー素子
の機能を持たせた分子電子デバイスの概念もその1つで
ある。分子電子デバイスは単位メモリービットの微細化
を極限まで進めたものと見ることができるが、これまで
個々の分子に如何にアクセスするかが問題とされてき
た。
【0006】一方、最近、導体の表面原子の電子構造を
直接観察できる走査型トンネル顕微鏡(以下、STMと
略す)が開発され、[G.Bining et a
l.,Helvetica Physica Act
a,55,726(1982)]単結晶、非晶質を問わ
ず実空間像を高い分解能で観察できるようになった。S
TMは試料に電流による損傷を与えずに低電力で観察で
きる利点を有しており、さらに、大気中でも動作させる
ことができ、種々の材料に対して用いることができるた
め広い領域にわたって応用が期待されている。最近で
は、導体表面に吸着した有機分子の分子像観察すら可能
であることが報告されている。
【0007】また、一方STMの技術を応用した原子間
力顕微鏡(以後AFMと略す)が開発され、[G.Bi
nnig et al.,Pluys Rev.Let
t.,56,930(1985)]STMと同様、表面
の凹凸情報を得ることができるようになった。AFM
は、絶縁性の試料に対しても原子オーダーで測定が可能
なため、今後の発展が望まれている。
【0008】STMは金属の探針(プローブ電極)と導
電性物質の間に電圧を加えて、両者の距離を1mm程度
まで近づけるとトンネル電流が流れることを利用してい
る。この電流は両者の距離変化に極めて敏感であって、
このトンネル電流を一定に保つように両者の距離を制御
しながら探針を導電性物質の表面上で走査することによ
り、この導電性物質の実空間の表面構成を描くことがで
きると同時に表面原子の全電子雲に関する種々の情報を
も読みとることができる。この際、面内方向の分解能は
1Å程度である。従って、STMの原理を応用すれば、
十分に原子オーダー(数Å)での高密度記録再生を行な
うことが可能である。この際の記録再生方法としては、
粒子線(電子線、イオン線)あるいは、X線等の高エネ
ルギー電磁波、及び可視・紫外光等のエネルギー線を用
いて適当な記録層の表面状態を変化させて記録を行な
い、STMで再生する方法や、記録層として電圧印加に
よって電導度の異なる状態へ遷移するスイッチング特性
を有し、かつ、電導度の異なる各状態が、電圧を印加し
ない状態でも保持されるメモリー特性を有している媒
体、例えば、π電子共役系を豊富に含む有機化合物やカ
ルコゲン化合物の薄膜層を用いて記録、再生を共にST
M装置で行なう方法等が提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする問題点】上述の様な記録又は
再生を行なう装置における再生方法としては、プローブ
電極と記録媒体表面の間を流れる電流を、一定に保持し
ながら媒体表面上でプローブ電極を走査すると、電導度
の高い領域上ではプローブ電極が媒体表面から遠ざかる
ことを利用し、このプローブ電極の動き量を検知して記
録ビットを再生するか、もしくは、プローブ電極と記録
媒体間の距離を一定に保持しながら媒体表面上でプロー
ブ電極を走査し、電導度の高い領域上で、プローブ電極
と記録媒体表面間を流れる電流が増すことを利用し、こ
の電流量を検知して記録ビットを再生するものがある。
【0010】しかし、前者の再生方法をとった場合、記
録媒体のわずかな凹凸に対しても、プローブ電極が追従
するため、媒体表面の凹凸と記録ビットの区別をプロー
ブ電極の動き量だけから行なうことは困難であった。ま
た電流を一定に保持するための帰還制御回路の帯域の上
限によって、制御可能な走査周波数が制限されるため、
高速走査が困難であった。また、後者の再生方法によっ
た場合も、高速走査が可能であるものの、媒体表面の凹
凸によっても、電流量が変化してしまい前者同様区別が
困難であった。更にプローブ電極と媒体表面間は一定距
離だけ離れており、これが絶縁障壁として働いている
が、この障壁は記録ビット書き込み部とそうでない領域
とに共通であり、実効的にはトンネル抵抗として直列に
挿入されることになる。このためプローブ電極と媒体表
面の距離が変化してしまった場合書き込み部と非書き込
み部とで検出される電流量の比が大きく異なってしまう
ため、ビットを正確に読み出す際に問題となる可能性が
あった。
【0011】したがって、再生信号は記録媒体の凹凸よ
る成分が分離されたものである必要があり、また、プロ
ーブ電極と記録媒体表面間の絶縁障壁によるトンネル抵
抗を可能な限り小さく、一定に保持して、記録ビットの
有無による再生信号比を可能な限り大きくする必要があ
る。又、記録に際しても、記録による印加電圧変化が、
プローブ電極と媒体との間隔制御に影響を与えにくい事
が好ましい。
【0012】更に、記録媒体とプローブ電極間の距離が
大きい場合、STMとしての分離能が下がり、すなわち
記録密度の点からも記録媒体とプローブ電極は極力接近
する方が好ましい。
【0013】媒体表面の凹凸による成分を再生信号から
除き、かつ記録時の間隔制御が印加電圧に左右されない
ようにするためには、媒体表面とプローブ間の距離を両
者間を流れる電流以外の量によって一定に制御する方法
が考えられ、その1つとして両者間に働く原子間力によ
って距離を制御する原子間力顕微鏡(AFM)の利用が
特開平1−245445号公報に開示されている。
【0014】AFMにおいては、プローブ電極を弾性体
で支持し、プローブ電極先端と記録媒体表面間に働く力
を弾性体の変形によるばね力とつりあわせ、この変形量
を一定に保持するように帰還制御が行なわれる。
【0015】本発明は上述従来例の応用発明であり、そ
の目的とするところは、原子間力を用い、より簡易な形
で、プローブ媒体を可能な限り一定に保持して情報記録
及び/又は再生を行なえる装置を提供することである。
【0016】
【問題点を解決する為の手段】上述目的を達成する為本
発明は、情報記録媒体にプローブを介して情報の記録及
び/又は再生を行う装置で、前記プローブを支持する弾
性部材を前記プローブ・情報記録媒体の間隔変動を補正
する方向に変形させる力が前記プローブ・情報記録媒体
間に作用する様に前記プローブ・情報記録媒体を配置す
ることによって前記プローブ・情報記録媒体間隔を制御
し、該制御状態で前記プローブ・情報記録媒体間に電圧
を印加して情報の記録を行う及び/又は前記プローブ・
情報記録媒体間の電流を検出することによって再生を行
う様にしている。又、情報記録媒体に対向するプローブ
を介して情報の記録及び/又は再生を行う装置において
プローブを支持する弾性部材が変形することにより媒体
とプローブとの間隔が可変であり、前記媒体とのプロー
ブとの間で作用する力が生ずる近接した配置状態とし、
該作用する力自体により弾性部材を可撓自在とし、該状
態で前記プローブ・媒体間に電圧を印加して情報の記録
を行う及び/又は前記プローブ・媒体間の電流を検出す
ることによって再生を行う様にしている。
【0017】
【実施例】以下に述べる実施例では、プローブ電極を弾
性体で支持し、プローブ電極と記録媒体間に働く斥力を
弾性体の変形によるばね力とつりあわせる構成を用い
る。弾性体としては、例えば、両持ち梁の中央や片持ち
梁の自由端側にプローブ電極を設けるなどが挙げられ
る。また梁の材料としては、Au,Ni,SuS,Be
CuPなどの箔を用いるのが良く、更に微小な梁を作る
にはマイクロメカニクスでよく行われるSiO2薄膜な
どが挙げられる。
【0018】プローブ電極と記録媒体との間に働く力は
非常に小さいので、プローブ電極及び弾性支持体の質量
はできるだけ小さくした方が好ましく、また変化を大き
くするために弾性支持体は柔らかく、しかも外部からの
振動に対しては強い事が望ましい。
【0019】上記プローブ電極と記録媒体の間の距離を
両者の間に斥力が作用するまで近接した状態で、プロー
ブ電極を記録媒体表面上で走査し、かつ両者間に電圧印
加回路によって所望の電圧を加え、記録、再生、及び消
去を行なう。
【0020】プローブ電極の先端は記録、再生、消去の
分解能をあげるためできるだけ尖らせることが好まし
い。本発明では、SiO2基板上にSiをフォーカスト
・イオンビームで打ち込み、Siの上に選択的にSiを
結晶させ、Auを蒸着して導電性処理を行なったプロー
ブを用いているが、プローブの形状や処理方法は何らこ
れに限定するものではない。
【0021】本発明に用いる記録媒体は電圧印加によっ
て、その導電状態が変化しかつ、かかる導電状態が、電
圧を印加しない状態で保持されるものであれば、いかな
る媒体でも良いが、特に好適な媒体としては、特開昭6
3−161552号公報及び特開昭63−161553
号公報に開示された、π電子準位をもつ群を有する有機
材料から構成された媒体が挙げられ、更に好ましくはラ
ングミュアプロジェット法(LB法)によって形成され
た前記有機材料の単分子累積膜が挙げられる。
【0022】上記の様な単分子累積膜43を金属電極4
1,42で挟持したMIM構造素子(図7)は図8と図
9に示すような電流電圧特性を示す(特開昭63−96
956号公報参照)。2つの状態(ON状態とOFF状
態)は、しきい値以上の電圧印加によって相互に遷移
し、かつ、それぞれの状態は、しきい値電圧以下で保持
される。これらの特性は数Å〜数1000Åの膜厚のも
のに発現されているが、後述実施例における記録媒体と
しては、特開昭63−161552号及び特開昭63−
161553号公報に開示されたごとく、数Å〜500
Åの範囲の膜厚のものが良く、最も好ましくは10Å〜
200Åの膜厚をもつものが良い。
【0023】また、後述する実施例で用いられる電極材
料も高い電導性を有するものであれば良く、例えば、A
u,Pt,Ag,Pd,Al,In,Sn,Pb,Wな
どの金属やこれらの合金、さらにはグラファイトやシリ
サイド、またさらには、ITOなどの導電性酸化物を始
めとして数多くの材料が挙げられ、これらの本発明への
適用が考えられる。かかる材料を用いた電極形成方法と
しても従来公知の薄膜技術で十分である。但し、基板上
に直接形成される電極材料は表面がLB膜形成の際、絶
縁性の酸化膜を作らない導電材料、例えば貴金属やIT
Oなどの酸化物導電体を用いることが好ましい。
【0024】なお記録媒体の金属電極は、記録層の絶縁
性が高い場合、用いた方が好ましいが、該金属層がMΩ
以下の半導体的性質を示すものであれば、該金属電極は
用いなくてもよい。
【0025】以下、図面により実施例を詳しく説明す
る。
【0026】図1は本発明の記録再生装置を示すブロッ
ク構成図である。1は記録媒体、2は記録媒体1に対向
して設けられたプローブ電極、3はプローブ電極2が取
りつけられている片持ち梁、4は片持ち梁3の支持体で
ある。この片持ち梁3によってプロブ電極2はZ軸方向
に変位できるようになっている。媒体1はxyz微動装
置5によって、x,y及びz軸方向に微小量動かすこと
ができ、更に、xyz粗動装置6によって動かすことが
できる。片持ち梁の支持体4とxyz粗動装置6はベー
ス7に固定されている。ベース7は図示されていない
が、除震台上に設置してある。
【0027】片持ち梁3はシリコンのエッチング技術を
用いて作成した。シリコンの結晶の性質を高度に利用し
た異方性エッチングの手法で、長さ100μm、幅20
μm、厚さ1μmのSiO2の片持ち梁を形成した。こ
の手法は公知である[K.E.Petersen,Pr
oc.IEEE 70,420(1982)]。プロー
ブ電極Zは前記異方性エッチングで作成したSiO2
片持ち梁3の一端にSiイオンを打ち込み、このSi上
に選択的にSi結晶成長させて先端の鋭利なピラミッド
状の結晶202を形成したのち、Au真空蒸着法により
厚さ300Å蒸着し導電層201を形成して作成した。
xyz微動装置5は、円筒形圧電素子を用いており、任
意の電圧を印加することでx,y及びz軸方向に記録媒
体1を微動できる。
【0028】xyz粗動装置6は、xyzステージを使
用している。
【0029】プローブ電極2と記録媒体1の下地電極1
02は、記録、消去用の電圧を印加する電圧印加回路と
プローブ電極2と記録媒体1の間を流れる電流を検知す
る電流検知回路からなる、電圧印加及び電流検知回路1
0に接続されている。
【0030】xyz微動装置5及びxyz粗動装置6は
制御回路8,9によってそれぞれ駆動される。これらの
回路と、電圧印加及び電流検知回路10はマイクロコン
ピュータ12と接続され、制御される。
【0031】記録媒体は以下の如く作成した。
【0032】光学研磨したガラス基板(基板103)を
中性洗剤およびトリクレンを用いて洗浄した後、下引き
層としてCrを真空蒸着法により厚さ50Å堆積させ、
更にAuを同法により、400Å蒸着した下地電極(A
u電極102)を形成した。
【0033】次にスクアリリウム−ビス−6−オクチル
アズレン(以下SOAZと略す)を濃度0.2mg/m
lで溶かしたクロロホルム溶液を20℃の水相上に展開
し、水面上に単分子膜を形成した。溶媒の蒸発を待ち、
係る単分子膜の表面圧を20mN/mまで高め、更にこ
れを一定に保ちながら前記電極基板を水面を横切るよう
に速度5mm/分で静かに浸漬し、さらに引き上げて2
層のY型単分子膜の累積を行なった。この操作を4回繰
り返すことでSOAZ8層を累積した記録層101を有
する記録媒体1が作成される。
【0034】次に記録、再生、消去の具体的な仕方につ
いて述べる。
【0035】記録媒体1をxyz微動装置5の上に固定
した後、プローブ電極2とAu電極102の間にバイア
ス電圧100mVを印加し、xyz粗動装置6、そして
xyz微動装置5を駆動し媒体1をプローブ電極2に近
づける。プローブ電極2と記録媒体1の間を流れる電流
をモニターしながら両者間の距離を変えてゆくと図3に
示すような電流特性(図中のIで示す曲線)が得られ
た。
【0036】一方、プローブ電極2と記録媒体1が接近
すると両者の間に力が働き、この力によって片持ち梁3
が変形する。この変形量を、レーザービームの片持ち梁
での反射ビームのずれによって検出する光てこ方式を用
いて、前記電流特性と同時に測定した結果も同時に図3
に示してある(図中のFで示す曲線)。
【0037】プローブ電極2と記録媒体1の間に斥力が
働く図3のa領域では、両者間に流れる電流は両者間の
距離に対してほぼ一定となっている。そこで以後の操作
では、まず、回路10によって電流をモニターして、マ
イクロコンピュータ11による制御によってプローブ電
極2と記録媒体1とを両者間に斥力(具体的には10-8
〔N〕程度)が働く距離まで接近させる。
【0038】この状態でxyz微動装置5は媒体1の軸
方向の位置を固定させx軸及びy軸方向に媒体1を媒体
1を移動させることにより、プローブ電極2で媒体1を
走査させる。情報記録時にはこの走査中に記録情報に応
じて所定の位置で媒体をON状態にするしきい値電圧以
下の電圧を回路10で印加していく。これにより媒体1
上に情報記録がなされていく。(オール0信号の記録で
ある)消去時には媒体をOFF状態にもどすしきい値電
圧以上の電圧を、消去情報に応じて記録時と同様に印加
していけば良い。再生時はこの走査中に上述のしきい値
以下の電圧を印加しながら、回路10でプローブ電極2
と媒体1との間に流れる電流を検出していく。この時の
検出電流の変化状態が媒体上に記録された情報を示す事
になる。
【0039】この様に実施例は、プローブ電極の先端と
記録媒体表面とを、この間に斥力が働く距離まで近づ
け、該斥力によってプローブ電極の支持体を弾性変形さ
せた状態でプローブ電極2を記録媒体1表面上で走査さ
せ、同時にプローブ電極2と記録媒体1間に媒体変化電
圧を加えて記録、消去を行ない、かつ微小電圧を印加し
て記録媒体を流れる電流を検知することによって電導度
の異なる領域、すなわち記録ビットを検出する。
【0040】プローブ電極の支持体をプローブ電極先端
と記録媒体表面との間に働く斥力による弾性変形状態で
使用するため、媒体表面の凹凸によって、プローブ電極
先端が媒体表面に近づき斥力が大きくなれば、支持体の
変形は増して、プローブ電極先端は媒体表面から遠ざか
り、また、プローブ電極先端が媒体表面から遠ざかって
斥力が小さくなれば、支持体の変形が減りプローブ電極
先端は媒体表面に近づき、走査中の表面凹凸によるプロ
ーブ電極支持体の変形量が弾性変形の範囲にあれば、プ
ローブ電極2と媒体表面1との距離は、支持体にアクチ
ュエータをとりつけ、支持体の変形量によって帰還制御
をしなくても略一定に保たれることになる。
【0041】更にこの状態でプローブ電極と記録媒体間
に微小電圧を印加することによって検出される電流信号
には記録媒体表面の凹凸に起因する電流信号は含まれな
いため、正確な記録ビットの再生が可能となる。
【0042】次にこの装置において行なった記録、再
生、消去の実験について述べる。
【0043】検出電流をモニターしながらプローブ電極
2と記録媒体1との距離を図3のa領域で示す状態まで
接近させ、この状態でxyz微動装置5、xyz粗動装
置6の制御回路8,9の出力を保持し、ON状態を生じ
るしきい値電圧Vth ON以上の電圧である図4に示した
波形をもつ三角波パルス電圧をプロフー電極2とAu電
極102との間に印加したのち再び100mVのバイア
スを印加して電流を測定したところ8μA程度の電流が
流れ、ON状態となったことを示した。
【0044】次にON状態からOFF状態へ変化するし
きい値電圧Vth OFF以上の電圧である図5に示した波形
をもつ三角波パルス電圧を印加したのち、再び100m
Vのバイアスを印加したところ、電流値1nA程度で、
OFF状態へ戻ることが確認された。
【0045】次に前記と同様にプローブ電極2と記録媒
体1との距離を図3のa領域で示される状態まで接近さ
せた状態で、xyz微動装置5のy,z軸を固定し、x
軸方向のみ駆動して電流をモニターしたところ電流値は
ほぼ1nAの一定値を示した。次に、x軸方向のみを駆
動しながら、10nm間隔に図4の波形を有するしきい
値電圧Vth ON以上の三角波パルス電圧をプローブ電極
2とAu電極102の間に印加した後、バイアス100
mV一定下で、再びx軸方向のみの駆動をくり返し、プ
ローブ電極2とAu電極102の間を流れる電流を測定
したところ、10nm周期で、4桁程度に変化する電流
が観測され、ON状態が周期的に書き込まれたことが確
認された。更にON状態とOFF状態とでの電流の比も
ほぼ一定値を保持していた。
【0046】また、上記ON状態が周期的に書き込まれ
た領域を再びx軸駆動のみによって走査し、任意のON
状態領域上でxyz微動装置5を停止させこの位置を保
持した状態で、図5の波形を有するしきい値電圧V
th OFF以上の三角波パルス電圧を印加した。x軸方向の
みの走査をくり返し、電流を測定したところパルスを印
加した領域のON状態が消去され、1nA程度の電流を
示すOFF状態に戻っていることが確認された。この任
意のビット消去同様、プローブ電極2とAu電極の間の
電圧をしきい値Vth OFF以上に設定して、記録領域上を
走査し、その後電流測定をしたところ、電流値は1nA
程度でほぼ一定値を示し、10nm周期で記録されたO
N状態が全て消去され、OFF状態となったことが確認
された。
【0047】続いて、xyz微動装置5を制御し1nm
から1μmの間の種々のピッチで長さ1μmのストラッ
プを上記の方法で書き込み、分解能を測定したところ、
3nm以上のピッチでは常に4桁程度の電流変化が書き
込みピッチと同じピッチで確認されたが、3nm未満の
ピッチでは電流量の変化が次第に小さくなった。
【0048】次に本発明の第2の実施例について図2を
用いて説明する。
【0049】本実施例では、実施例1で用いた片持ち梁
の形成方法及び、プローブ電極の形成方法によって1片
のSi基板上に長さ100μm、幅20μm、厚さ1μ
mのSiO2の片持ち梁を複数個形成し、それぞれの片
持ち梁の先端にプローブ電極を設けている。
【0050】図2に示すように片持ち梁が形成されたS
i基板4を支持台13に固定する。支持台13は少なく
とも3個の圧電素子14を介してベース7に取り付けら
れている。これら圧電素子14はマイクロコンピュータ
11によって制御された圧電素子制御回路12によって
個々の駆動される。また電圧印加及び電流検知回路1
0′によって、個々のプローブ電極2に電圧が印加さ
れ、個々のプローブ電極2と記録媒体1の間に流れる電
流がそれぞれ別個に検知される。この他の構成は実施例
1で用いられたものと同じである。
【0051】実施例1と同様、Au電極102上に形成
されたSOAZ−LB膜8層から成る記録層101を有
した記録媒体1をxyz微動装置5の上に固定した。x
yz粗動装置6、そしてxyz微動装置5を駆動し、プ
ローブ電極2とAu電極102の間にバイアス100m
Vを印加した状態で両者を接近させる。この際、圧電素
子14を制御して、全プローブ電極が一様に記録媒体1
に接近するように調節し、全プーロブを図3のa領域の
状態になるまで接近させる。この状態下でxyz微動装
置5により媒体1をxy方向に移動させながら、各プロ
ーブ電極2について第1実施例と同様の記録、再生、消
去操作を行なう。
【0052】次に本装置における実験を述べる。上述し
た様な接近状態下で、xyz微動装置を制御して、記録
媒体をxy面内で駆動しながら個々のプローブ電極2と
Au電極102の間を流れる電流を測定したところ、い
ずれもほぼ1nA程度の電流値を示し、個々のプローブ
電極を流れる電流の走査中の変動は極めい小さかった。
次に図6を用いて記録動作を説明する。上と同様に記録
媒体をxy面内で駆動しながら、個々のプローブ電極に
個別のビット情報(図6中(a))に基づいて図6中の
(b)に示すような書き込みパルス列を生成して、これ
に加えた。ここで、ビット情報の最初のビットは個々の
ビット情報全てについてON状態に対応するビットとし
ておいた(図中a−1で示す)。パルス印加後、再び書
き込み時と同じ方法で記録媒体をxy平面内で駆動し
て、バイアス100mV印加条件下でプローブ電極2と
Au電極102の間を流れる電流を測定したところ4桁
程度の電流変化が各プローブ電極に対して得られ、これ
らの電流測定値を2値化して得たパルス列は、各プロー
ブ電極2に加えた個別のビット情報(図6中の(a))
に一致した。
【0053】次に上で書き込んだ個々の個別ビット情報
に基づいて図6中の(c)に示すような消去パルス列を
生成した。ここで全てのビット情報に対して最初のビッ
トはONのまま消去しないものとしておく。書き込み時
と同じ方法で記録媒体をxy平面内で駆動して、電流値
を測定し、最初のビット、すなわち最初に電流値が4桁
程度変化した位置で媒体の駆動を一時停止した。この
時、初めに定めたビット情報の条件のとおり全てのプロ
ーブ電極2について4桁程度の変化が認められた。つづ
いて、媒体の駆動を再開し、これに同期させて先に生成
した個々のプローブ電極2に対して個別の消去パルス列
を印加した。再び、書き込み時と同じ方法で記録媒体1
をxy平面内で駆動して電流を測定したところ、最初の
ビット以外は全てOFF状態すなわち1nA程度の電流
値を示し、消去が完了した事が確認された。
【0054】ここで使用した消去パルスに変えて、書き
込みに用いたビット情報のうち、最初のビットを除く、
任意のビットを選んで消去パルス列を(図6中の
(d))を生成し、前述の手法と同様にして消去実験を
したところ、選択したビットのみの消去が確認できた。
【0055】次に第3の実施例について説明する。
【0056】記録層101としてポリイミド単分子累積
膜を用いて、実施例1,2と同様な記録、再生、消去の
実験を行なった。以下にポリイミド単分子累積膜の形成
方法を記す。
【0057】
【外1】
【0058】(1)式に示すポリアミック酸(分子量約
20万)をN,N−ジメチルアセトアミド溶媒に溶解さ
せた後(単量体換算濃度1×10-3M)、別途調整した
N,N−ジメチルヘキサデシルアミンの同溶媒による1
×10-3M溶液とを1:2(V/V)に混合して、
(2)式に示すポリアミック酸ヘキサデシルアミン塩溶
液を調整した。この溶液を水温20℃の純水からなる水
相上に展開し水面上に単分子膜を形成した。溶媒除去
後、表面圧を25mN/mにまで高め、表面圧を一定に
保ちながら、実施例1で用いたものと同じ電極基板を水
面を横切る方向に速度5mm/minで静かに浸漬した
後、続いて5mm/minで静かに引きあげて2層のY
型単分子累積膜を作成した。この操作を6回繰り返し
て、12層の単分子膜を累積した。次にこの基板を30
0℃で10分間の熱処理を行ない、ポリアミック酸ヘキ
サデシルアミン塩をイミド化し((3)式)、ポリイミ
ド単分子累積膜を得た。
【0059】
【外2】 以上のようにして作成した記録媒体1に対しても、実施
例1,2と同様な記録、再生、消去を行なうことができ
た。
【0060】以上述べてきた実施例中では記録層101
の形成にLB法を使用してきたが、極めい薄く均一な膜
が形成できる成膜法であればLB法に限らず使用可能で
あり、具体的にはMBE法やCVD法等の真空蒸着法が
挙げられる。
【0061】使用可能な材料もπ電子共役系を含む他の
有機化合物の他、電圧印加によって導電状態が変化しう
る材料であれば、例えば、カルコゲン化合物等の無機材
料などにも拡げうる。
【0062】更には半導体を記録媒体側電極として、電
極と記録層を一体化して用いることも可能である。
【0063】なお、本発明は基板材料やその形状および
その表面構造について何ら限定するものではない。
【0064】一方、プローブ電極の材料は導電性を有す
るものであれば、本発明に適用可能である。また、片持
ち梁も兼ねるように線材、例えば白金線を90℃に曲げ
て使用することもできる。弾性部材として用いたSiO
2の片持ち梁は、これに限定されるものではなく両持ち
梁や薄膜構造など様々な形が考えられ、また材料として
もAu,Ni,SuS,BeCu箔など使用可能であ
る。いずれにしても微小な力にによって変移する必要が
ある。
【0065】xyz微動装置は円筒型圧電素子を用いて
いるが、トライポット型の圧電素子やバイモルフ型など
も使用可能である。
【0066】各実施例は記録のみ、再生のみの装置であ
っても良い。
【0067】
【発明の効果】以上述べてきた本発明により、記録媒体
表面の凹凸に再生信号が影響されにくく、記録時の印加
電圧変化がプローブ電極と記録媒体との間隔制御に影響
を与えない、高精度かつ簡易構成の記録及び/または再
生装置が実現した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の情報記録再生装置を図解
的に示した説明図である。
【図2】本発明の第2実施例の情報記録再生装置で複数
のプローブ電極を備えたものを図解的に説明した説明図
である。
【図3】プローブ電極と記録層表面との距離を変えた時
に得られた両者間に流れる電流と両者間に働く力の変化
を示す特性図である。
【図4】記録用のパルス電圧波形である。
【図5】消去用のパルス電圧波形である。
【図6】複数個のプローブ電極を用いた記録、再生、消
去実験においてある1つのプローブ電極に与えられたビ
ット情報、記録用パルス列、消去用パルス列を示す。
【図7】本発明に用いた記録層を金属電極で挟持したM
IM素子の構成略図である。
【図8】図7の素子で得られる電流電圧特性である。
【図9】図7の素子で得られるメモリー効果を表わす電
流電圧特性である。
【符号の説明】
1 記録媒体 2 プローブ電極 3 片持ち梁 4 片持ち梁の支持体 5 xyz微動装置 6 xyz粗動装置 7 ベース 8 xyz微動装置の制御回路 9 xyz粗動装置の制御回路 10 電圧印加及び電流検知回路 11 マイクロコンピュータ 12 圧電素子の制御回路 13 支持台 14 圧電素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒井 邦裕 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤノ ン株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 情報記録媒体にプローブを介して情報の
    記録及び/又は再生を行う装置で、前記プローブを支持
    する弾性部材を前記プローブ・情報記録媒体の間隔変動
    を補正する方向に変形させる力が前記プローブ・情報記
    録媒体間に作用する様に前記プローブ・情報記録媒体を
    配置することによって前記プローブ・情報記録媒体間隔
    を制御し、該制御状態で前記プローブ・情報記録媒体間
    に電圧を印加して情報の記録を行う及び/又は前記プロ
    ーブ・情報記録媒体間の電流を検出することによって再
    生を行うことを特徴とする記録及び/又は再生装置。
  2. 【請求項2】 前記プローブ・情報記録媒体間に作用す
    る力としてプローブ・情報記録媒体間の原子間斥力を用
    いることを特徴とする請求項1の記録及び/又は再生装
    置。
  3. 【請求項3】 前記プローブは複数存在し、おのおのが
    弾性部材で支持されていることを特徴とする請求項1ま
    たは2の記録及び/又は再生装置。
  4. 【請求項4】 前記プローブ・情報記録媒体間の電流検
    出により前記情報記録媒体の電気特性を検出することに
    より再生を行うことを特徴とする請求項1乃至3の記録
    及び/又は再生装置。
  5. 【請求項5】 前記プローブ・情報記録媒体間の電圧印
    加により前記情報記録媒体の電気特性を変化されること
    により記録を行うことを特徴とする請求項1乃至3の記
    録及び/又は再生装置。
  6. 【請求項6】 情報記録媒体に対向するプローブを介し
    て情報の記録及び/又は再生を行う装置においてプロー
    ブを支持する弾性部材が変形されることにより媒体とプ
    ローブとの間隔が可変であり、前記媒体とプローブとの
    間で作用する力が生ずる近接した配置状態とし、該作用
    する力自体により弾性部材を可撓自在とし、該状態で前
    記プローブ・媒体間に電圧を印加して情報の記録を行う
    及び/又は前記プローブ・媒体間の電流を検出すること
    によって再生を行うことを特徴とする記録及び/又は再
    生装置。
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DE69232806T DE69232806T2 (de) 1991-07-17 1992-07-15 Informationsaufzeichnungs-/-wiedergabegerät oder -verfahren zur Informationsaufzeichnung/- wiedergabe auf/von einem Informationsaufzeichnungsmedium unter Verwendung einer Vielzahl von Sondenelektroden
ES92112106T ES2137167T3 (es) 1991-07-17 1992-07-15 Aparato para la grabacion/reproduccion de informaciones, para la grabacion y/o reproduccion de informaciones sobre un soporte para grabacion de informaciones por medio de un electrodo sonda.
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6101164A (en) * 1994-01-31 2000-08-08 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. High density recording by a conductive probe contact with phase change recording layer
KR100623029B1 (ko) * 2005-01-19 2006-09-14 엘지전자 주식회사 정보 소거용 캔틸레버를 포함하는 나노 정보 저장장치의헤더

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