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JP3220914B2 - 記録媒体製造方法 - Google Patents

記録媒体製造方法

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JP3220914B2
JP3220914B2 JP27769592A JP27769592A JP3220914B2 JP 3220914 B2 JP3220914 B2 JP 3220914B2 JP 27769592 A JP27769592 A JP 27769592A JP 27769592 A JP27769592 A JP 27769592A JP 3220914 B2 JP3220914 B2 JP 3220914B2
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芳浩 柳沢
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走査型トンネル顕微鏡
の原理を用いた情報処理装置に用いられる超高密度記録
媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、メモリー素子の用途はコンピュー
タ及びその関連機器、ビデオディスク、ディジタルオー
ディオディスク等のエレクトロニクス産業の中核をなす
ものであり、その開発も活発に進んでいる。メモリー素
子に要求される性能は一般的には (1)高密度で、記録容量が大きい (2)記録・再生の応答速度が速い (3)エラーレートが小さい (4)消費電力が少ない (5)生産性が高く、価格が安い 等が挙げられる。
【0003】従来までは、磁性体や半導体を素材とした
磁気メモリー、半導体メモリーが主流であったが、近年
レーザー技術の進展に伴い、有機色素、フォトポリマー
などの有機薄膜を用いた安価で高密度な記録媒体を用い
た光メモリー素子などが登場してきた。
【0004】一方、最近、導体の表面原子の電子構造を
直接観測できる走査型トンネル顕微鏡(以後STMと略
す)が開発され〔ジー.ビーニッヒ等,フェルベティカ
フィジカ アクタ,55,726(1982).〕、
単結晶、非晶質を問わず実空間像の高い分解能の測定が
できるようになり、しかも媒体に電流による損傷を与え
ることなく低電力で観測できる利点をも有し、更に大気
中でも動作させることが可能であるため広範囲な応用が
期待されている。
【0005】かかるSTMは、金属の探針(プローブ電
極)と導電性物質の間に電圧を加えて1nm程度の距離
まで近づけると、その間にトンネル電流が流れることを
利用している。この電流は両者の距離変化に非常に敏感
であり、トンネル電流を一定に保つように探針を走査す
ることにより、実空間の表面構造を描くことができると
同時に、表面原子の全電子雲に関する種々の情報をも読
みとることができる。
【0006】この際、面内方向の分解能は0.1nm程
度である。従って、STMの原理を応用すれば十分に原
子オーダー(0.数nm)での高密度記録再生を行うこ
とが可能である。この際の記録再生方法としては、粒子
線(電子線、イオン線)或いはX線等の高エネルギー電
磁波及び可視・紫外光等のエネルギー線を用いて適当な
記録層の表面状態を変化させて記録を行いSTMで再生
する方法や、記録層として電圧・電流のスイッチング特
性に対してメモリ効果をもつ材料、例えばπ電子系有機
化合物やカルコゲン化物類の薄膜層を用いて、記録・再
生をSTMを用いて行う方法等が提案されている。
【0007】上記の様な記録・再生方法に於いて、実際
に多量の情報を記録・再生する為には、プローブ電極の
XY方向(記録媒体面内方向)の位置検出及び補正制御
(トラッキング)が必要となる。このトラックの形成方
法としては、既に記録媒体基板の原子配列を利用して、
高密度かつ高精度に行う方法が提案されているが、原子
配列の検出を極めて高精度に行う必要があるため、取扱
上簡便とはいい難かった。
【0008】そこで、トラッキングを簡便に行うため
に、記録媒体の基板にあらかじめ凹凸を設けることによ
り案内溝(トラック)を形成し、そのトラックの凹状部
分あるいは凸状部分にプローブ電極を追従させることに
より、トラッキングを行う方法が提案されている。
【0009】かかる基板上に凹型または、凸型の段差を
形成する方法としては、従来のレジストを用いたリソグ
ラフィー技術を利用した金属、無機物、有機物等のエッ
チングやリフトオフ、或いはレジストそのものを段差と
して利用することも可能である。また、電子ビームやイ
オンビーム等の高エネルギーの放射線を照射することに
より基板電極や基板を加工して、これらに直接段差を形
成することも考えられる。
【0010】このイオンビームによって電極を加工する
方法は、一般には、集束させたビームを利用するため
に、集束イオンビーム法(以下、FIB法と略す)と呼
ばれる。この方法は、ビームで直接電極などに所定のト
ラックパターンの猫画をするだけの工程であるため、極
めて簡便なトラック形成方法であるといえる。
【0011】しかし、このFIB法によるトラックの形
成においては、イオンビームを照射した影響がイオンビ
ームの径の外側にも生じる場合があり、記録媒体の記録
面となるところの電極表面の平滑性が悪化し、記録・再
生時のビットエラーレートを増加させるおそれがあっ
た。
【0012】このため、基板電極上にあらかじめマス
ク層を形成してからFIB加工することにより基板電極
表面のビーム径の外側への影響をなくす方法やFIB
加工した後、基板電極面をエッチングすることにより、
ビーム径の外側への影響を取り除く方法があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たの方法では、マスク層を取り除くためにのエッチン
グや溶剤による除去の際、使用する基板等の材料により
基板が変形,溶解される問題があり、の方法もエッチ
ングを行うので、同様の問題があった。
【0014】従って、本発明の目的とするところは、上
述した従来技術の問題点に鑑み、プローブ電極を用いた
電気的な高密度記録・再生を行う情報処理装置に用いら
れる記録媒体の信頼性を高めるとともに、材料に限定さ
れることのない、より簡易な記録媒体製造方法を提供す
ることにある。
【0015】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明によれ
ば、FIB法で電極にトラックを形成する際に生じてい
たダメージの受けていない面を、記録層を積層する電極
面として利用することにより、記録媒体表面の平滑性を
高めたものである。
【0016】即ち、本発明は、トンネル電流を検知して
情報の記録再生を行う情報処理装置に用いられ基板電極
上に記録層を有する記録媒体の製造方法であって、第1
の基板上に基板電極を形成する過程、集束イオンビーム
で該基板電極側から第1の基板まで貫通する溝を形成す
る過程、第2の基板を基板電極表面に接着する過程、基
板電極を第1の基板より剥離する過程、第1の基板表面
の転写面である基板電極面に記録層を積層する過程を順
次行うことを特徴とする記録媒体製造方法である。
【0017】次に、図面を用いながら本発明を詳細に説
明する。
【0018】図1は本発明の記録媒体製造方法の一例を
示す工程図である。図1(a)に示すように、まず、第
1の基板104上に基板電極103を形成する。本発明
に用いられる第1の基板は、基板電極を支持した状態で
トラックを形成する為に用いるので、表面が平滑であれ
ばどの様な材料を用いても良いが、トラック、基板電極
の形成法によって、ある程度利用できる基板材料は限定
される。
【0019】本発明で用いられる基板電極103の材料
は、高い導電性を有するものであればよく、例えばA
u,Pt,Ag,Pd,Al,In,Sn,Pb,Wな
どの金属やこれらの合金、さらにはグラファイトやシリ
サイド、またさらにはITOなどの導電性酸化物を始め
として数多くの材料が挙げられ、これらの本発明への適
用が考えられる。かかる材料を用いた電極形成法として
は従来公知の薄膜技術で十分である。但し、基板電極の
材料は表面が記録層形成の際、絶縁性の酸化物をつくら
ない導電材料、例えば貴金属やITOなどの酸化物導電
体を用いることが好ましく、なおかつ何れの材料を用い
るにしてもその表面が平滑であることが好ましい。
【0020】次に、図1(b)に示すように、基板電極
103にトラックとなる凹型の溝を、FIB法により基
板104まで貫通する深さで形成する。
【0021】このFIB法において、イオン種は、基板
電極に溝を形成できれば良く、元素としては、Au,S
i,Be等の数多くの種類を挙げることができる。但し
この時、基板電極に第1の基板まで達する溝を形成する
ため、イオン種及びドーズ量を適当に設定する必要があ
る。
【0022】次に、図1(c)に示すように、基板電極
上に接着層(不図示)を形成した後、接着層上に第2の
基板105を貼り付ける。本発明に係る接着層としては
無溶剤型の体積収縮がないものが好ましく、例えばエポ
キシ樹脂系、α−シアノアクリレート系などの絶縁性接
着剤やエポテック銀シリーズなどの導電性接着剤などが
挙げられる。
【0023】この基板電極に第2の基板を貼り付ける工
程に於いて、第2の基板と電極層が直接接合される場
合、例えば共晶結合・電鋳などの場合は、接着層を省く
ことができる。本発明に係る第2の基板としては、接着
層を介する場合は、金属・ガラス・セラミック・プラス
チック材料等いずれの材料も使用できる。また、共晶結
合・電鋳などにより接合させる場合は、比較的平滑な材
料が好ましい。さらに、電極層が厚い場合は、第2の基
板を省くことも可能である。
【0024】以上のように基板電極に第2の基板を貼り
付けた後、図1(d)に示すように基板電極を第1の基
板から引きはがし、第2の基板上に基板電極を残す。
【0025】最後に、図1(e)に示すように、記録層
101を、基板電極上に形成する。
【0026】本発明で用いる記録層101の形成に関し
ては、具体的には、蒸着法やクラスターイオンビーム法
等の適用も可能であるが、制御性、容易性そして再現性
から公知の従来技術の中ではLB法が極めて好適であ
る。
【0027】このLB法によれば、1分子中に疎水性部
位と親水性部位とを有する有機化合物の単分子膜または
その累積膜を基板上に容易に形成することができ、分子
オーダーの厚みを有し、かつ大面積にわたって均一、均
質な有機超薄膜を安定に供給することができる。
【0028】かかるLB法は、分子内に親水性部位と疎
水性部位とを有する構造の分子において、両者のバラン
ス(両親媒性のバランス)が適度に保たれているとき、
分子水面上で親水性基を下に向けて単分子の層になるこ
とを利用して単分子膜またはその累積膜を形成する方法
である。
【0029】ここで、疎水性部位を構成する基として
は、一般に広く知られている飽和及び不飽和炭化水素基
や縮合多環芳香族基及び鎖状多環フェニル基等の各種疎
水基が挙げられる。これらは各々単独又はその複数が組
み合わされて疎水性部位を構成する。
【0030】一方、親水性部位の構成要素として最も代
表的なものは、例えばカルボキシル基、エステル基、酸
アミド基、イミド基、ヒドロキシル基、更にはアミノ基
(1,2,3級及び4級)等の親水性基等が挙げられ
る。これらも各々単独又はその複数が組み合わされて上
記分子の親水性部分を構成する。
【0031】これらの疎水性基と親水性基をバランス良
く併有し、絶縁性を有する有機分子であれば、水面上で
単分子膜を形成することが可能であり、本発明に対して
極めて好適な材料となる。
【0032】本発明で用いる記録層としては、特開昭6
3−161552号公報、及び特開昭63−16155
3号公報に於いて開示したような、電流−電圧特性に於
いてメモリースイッチング現象(電気メモリー効果)を
有する材料、例えば、π電子準位をもつ群とσ電子準位
をもつ群とを有する分子を電極上に積層した有機単分子
膜あるいはその累積膜を用いることが可能となる。
【0033】一般に、有機材料のほとんどは絶縁性もし
くは半絶縁性を示すことから、本発明に適用可能なπ電
子準位を持つ群を有する有機材料は著しく多岐にわた
る。
【0034】本発明に好適なπ電子系を有する色素の構
造としては、例えばフタロシアニン、テトラフェニルポ
ルフィリン等のポルフィリン骨格を有する色素、スクア
リリリウム基及びクロコニックメチン基を結合鎖として
持つアズレン系色素及びキノリン、ベンゾチアゾール、
ベンゾオキサゾール等の2個の含窒素複素環をスクアリ
リウム基及びクロコニックメチン基により結合したシア
ニン系類似の色素、またはシアニン色素、アントラセン
及びピレン等の縮合多環芳香族、及び芳香環及び複素環
化合物が重合した鎖状化合物及びジアセチレン基の重合
体、さらにはテトラシアノキノジメタンまたはテトラチ
アフルバレンの誘導体およびその類縁体およびその電荷
移動錯体、またさらにはフェロセン、トリスビピリジン
ルテニウム錯体等の金属錯体化合物が挙げられる。
【0035】また、本発明で用いる記録層に好適な高分
子材料としては、例えばポリアクリル酸誘導体等の付加
重合体、ポリイミド等の縮合重合体、ナイロン等の開環
重合体、バクテリオロドプシン等の生体高分子が挙げら
れる。
【0036】上述の、本発明で用いられる記録層として
極めて好適な材料の具体例としては、例えば下記のよう
な分子等が挙げられる。 <有機材料> [I]クロコニックメチン色素
【0037】
【化1】
【0038】
【化2】 ここでR1 は前述のσ電子準位をもつ群に相当したもの
で、しかも水面上で単分子膜を形成し易くするために導
入された長鎖アルキル基で、その炭素数nは5≦n≦3
0が好適である。 [II]スクアリリウム色素 [I]で挙げた化合物のクロコニックメチン基を下記の
構造を持つスクアリリウム基で置き換えた化合物。
【0039】
【化3】 [III]ポルフィリン系色素化合物
【0040】
【化4】
【0041】
【化5】
【0042】
【化6】 Rは単分子膜を形成しやすくするために導入されたもの
で、ここで挙げた置換基に限るものではない。又、R1
〜R4 ,Rは前述したσ電子準位をもつ群に相当してい
る。 [IV]縮合多環芳香族化合物
【0043】
【化7】 [V]ジアセチレン化合物
【0044】
【化8】 Xは親水基で一般的には−COOHが用いられるが−O
H,−CONH2 等も使用できる。 [VI]その他
【0045】
【化9】 <有機高分子材料>
【0046】
【化10】 ここで、R1 は水面上で単分子膜を形成し易くするため
に導入された長鎖アルキル基で、その炭素数nは5≦n
≦30が好適である。また、R5 は短鎖アルキル基であ
り、炭素数nは1≦n≦4が好適である。重合度mは1
00≦m≦5000が好適である。
【0047】以上、具体例として挙げた化合物は基本構
造のみであり、これら化合物の種々の置換体も本発明に
おいて好適であることは言うにおよばない。尚、上記以
外でもLB法に適している有機材料、有機高分子材料で
あれば、本発明に好適なのは言うまでもない。例えば、
近年研究が盛んになりつつある生体材料(例えばバクテ
リオロドプシンやチトクロームC)や合成ポリペプチド
(PBLG)等も適用が可能である。
【0048】これらのπ電子準位を有する化合物の電気
メモリー効果は、数10μm以下の膜厚のもので観測さ
れているが、記録・再生時にプローブ電極と基板電極間
に流れるトンネル電流を用いているため、プローブ電極
と基板電極間にトンネル電流が流れるよう両者間の距離
を近づけなければならないので、本発明の記録層の膜厚
は、好ましくは、0.数nm以上10nm以下、より好
ましくは、0.数nm以上3nm以下である。
【0049】
【実施例】以下、本発明を実施例に従って説明する。
【0050】実施例1 本実施例では、図1に示したような製造方法によって、
10ロットの記録媒体を同じ条件で作製して、記録・再
生・消去の実験を行った。
【0051】まず、光学研磨したガラス基板(第1の基
板)を中性洗剤及びエタノールを用いて洗浄した後、蒸
着法により基板電極となるAuを100nm形成した。
【0052】次に、かかる基板上に集積イオンビーム照
射装置を用いて、Auの2価のプラスのイオン・ビーム
を照射して、トラックとなる溝を基板まで達する深さで
形成した。この時のイオン・ビームの描画条件は、加速
電圧40kV、イオン電流30pA、ドーズ量1.0×
1012ions/cmで行い、1.0mm×0.5mm
の領域に2.0μmピッチで幅約0.5μmの溝を形成
した。
【0053】次に、接着剤(コニシ製ハイテンプHT−
10)を基板電極上に塗布した後、別のガラス基板(第
2の基板)を接着剤を挟んで基板電極上に貼り付ける。
第2の基板の接着は、加圧力5Kg/cm2 、温度20
0℃、硬化時間1時間の条件で行った。以上のように基
板電極に第2の基板を貼り付けた後、図1(d)に示す
ように基板電極を第1の基板から引きはがし、第2の基
板上に基板電極を残した。
【0054】次に、STMにより、第1の基板に接して
いた基板電極表面のトラック溝周辺部の平滑性を確認し
たところ、10ロットのすべてが、通常のAu面と同程
度の平滑性であることが確認された。この後、記録層と
なるポリイミドLB膜を形成した。以下に、このLB膜
の成膜方法を示す。
【0055】ポリアミック酸(以下、PAと略す)を繰
り返し単位濃度1.0mmol/リットルで溶かしたジ
メチルアセトアミドとベンゼンの混合溶液を、20℃の
純水上に展開し、水面から溶媒を蒸発除去させた後、そ
の表面圧を25mN/mに高めて水面上単分子膜を形成
させた。次に、この表面圧を一定に保持したまま、前記
基板を水面に横切るように速度5mm/分で静かに浸漬
し、更に引き上げて2層のY形単分子膜の累積を行っ
た。次に、かかる基板を300℃で10分間熱処理する
事によりPA累積膜をイミド化してポリイミド(以下、
PIと略す)薄膜を形成し、記録層101とした。
【0056】次に、上述した方法により作製したすべて
の記録媒体に対して、図2に示されるような記録・再生
装置を用いて記録・再生・消去の実験を行った。
【0057】図2中、201は記録媒体に電圧を印加す
るためのプローブ電極であり、このプローブ電極201
から記録層101に電圧を印加することによって記録・
再生を行う。
【0058】上述の記録媒体は、XYステージ208上
に載置される。このXYステージ208により、記録媒
体上で記録・再生を行う大まかな場所が設定される。2
06はプローブ電流増幅器で、205は、プローブ電極
の記録媒体からの高さが一定になるように圧電素子を用
いたZ方向微動制御機構203を制御するサーボ回路で
ある。207はプローブ電極201と基板電極103と
の間に記録・消去用のパルス電圧を印加するためのパル
ス電源である。なお、パルス電圧を印加するときに、プ
ローブ電流が急激に変化するため、サーボ回路205
は、その間出力電圧が一定になるように、HOLD回路
をONにするように制御している。
【0059】204は、プローブ電極201を、202
のXY方向微動制御機構を用いてXY方向に移動制御す
るためのXY走査駆動回路である。209の粗動機構と
210の粗動駆動回路は、あらかじめ10-9A程度のプ
ローブ電流が得られるようにプローブ電極201と記録
媒体との距離を粗動制御したり、プローブ電極201と
基板とのXY方向相対変位を大きくとる(微動制御機構
の範囲外)のに用いられる。
【0060】これらの各機器は、全てマイクロコンピュ
ータ211により中央制御されている。また212は表
示装置を表している。
【0061】本実施例では、プローブ電極201とし
て、機械研磨法によって作製した白金/ロジウム製のプ
ローブ電極を用いた。
【0062】このプローブ電極の材料は、導電性を示す
ものであれば何を用いてもよく、例えばPt,Pt−I
r,W,Au,Ag等が挙げられる。また、プローブ電
極の先端は、記録・再生・消去の分解能を上げるためで
きるだけ尖らせる必要があるがその作製方法及び形状
は、本実施例に限定されない。
【0063】また、プローブ電極の本数も一本に限る必
要はなく、位置検出用と記録・再生用とを分けるなど、
複数のプローブ電極を用いても良い。
【0064】また、本装置の圧電素子を用いた移動制御
における機械的性能を下記に示す。
【0065】 Z方向微動制御範囲 :0.1nm〜1μm Z方向粗動制御範囲 :10nm〜10mm XY方向走査範囲 :0.1nm〜1μm XY方向粗動制御範囲:10nm〜10mm 計測、制御許容誤差 :<0.1nm (微動制御
時) 計測、制御許容誤差 :<1nm (粗動制御
時) 本装置において、プローブ電極201と記録層101と
の距離(Z)は、サーボ回路205からZ方向微動制御
機構203に適度な電圧を与えることにより制御し、さ
らにこの機能を保持したまま、プローブ電極201が面
内(X,Y)方向にも移動制御できるようにXY方向微
動制御機構202をXY走査駆動回路204によって制
御している。また、記録媒体は高精度のXYステージ2
08の上に置かれ、任意の位置に移動させることができ
る。よって、これらの移動制御機構によりプローブ電極
201で記録媒体の任意の位置で記録・再生及び消去を
行うことができる。
【0066】前述したPI2層を累積した記録層101
を持つ記録媒体を記録・再生装置にセットした。この
時、トラックの長さ方向と記録・再生装置のY方向がほ
ぼ平行となる様に設置した。次に、記録媒体の基板電極
103に対してプローブ電極201に−1.0Vの電圧
を印加し、記録層101に流れる電流をモニターしなが
らプローブ電極201と基板電極103との距離(Z)
を調整した。その後、Z方向微動制御機構203を制御
してプローブ電極と記録層の表面までの距離を変えてい
くと、図3に示すような電流特性が得られた。なお、プ
ローブ電流及び、プローブ電圧を変化させることでプロ
ーブ電極と記録層の表面との距離(Z)を調整すること
ができるが、距離(Z)を適当な値で一定に保持するた
めには、プローブ電流IP が10-7A≧IP ≧10-12
A、好適には10-8A≧IP ≧10-10 Aになるように
プローブ電圧を調整する必要がある。ここでは、プロー
ブ電圧を0.5Vとし、プローブ電流IP を10-9
(図3のb領域に相当する。)に設定して、プローブ電
極と記録層の表面までの距離(Z)を制御した。次に、
この距離(Z)を一定に保ちながら、プローブ電極をX
方向、即ちトラック102を横切る方向に走査させ、記
録媒体にトラックが形成されていることを確認した後、
プローブ電極を任意の隣合う2本のトラックの間(記録
面)で保持した。
【0067】次に、プローブ電極をトラックにそって走
査させながら、10nmピッチで情報の記録を行った。
トラッキングは、サーボ回路205の出力電圧を一定
(HOLD回路ON)でも、サーボ回路205を動作さ
せたまま(HOLD回路OFF)でも行うことができ
る。この時、トラックの検出は、サーボ回路205の出
力電圧を一定(HOLD回路ON)にした場合は、プロ
ーブ電流が測定限界までの減少、サーボ回路205を動
作させたまま(HOLD回路OFF)の場合は、サーボ
回路の出力電圧の変化として、0.1Vの減少をもって
トラックと認識した。かかる情報の記録は、図4に示す
ような波形を有するしきい値電圧VthON以上のパルス
電圧(Vmax =−15V)を印加して、ON状態を書き
込んだ。なお、パルス電圧を印加する際は、サーボ回路
205の出力電圧を一定にしている。書き込まれた情報
は、書き込みの際と同じ条件でプローブ電極201と記
録層101の表面までの距離を制御した後、サーボ回路
205の出力を一定に保持したままで、プローブ電極2
01を走査し、ON状態領域とOFF状態領域とのプロ
ーブ電流の変化で直接読みとるか、または、サーボ回路
205を動作させたまま(HOLD回路OFF)プロー
ブ電極201を走査して、ON状態領域とOFF状態領
域とでのサーボ回路205の出力電圧の変化で読みとる
ことができる。本実施例では、ON状態領域でのプロー
ブ電流が記録前(またはOFF状態領域)と比較して3
桁以上変化していたことを確認した。
【0068】更に、書き込みの際と同じ条件でプローブ
電極201と記録層101の表面までの距離を制御した
後、サーボ回路205の出力を一定に保持し、プローブ
電圧をVthOFF以上の8Vに設定して、再びプローブ
電極201を走査して、記録位置に図5に示すような波
形を有するパルス電圧を印加した結果、全ての記録状態
が消去され、OFF状態に遷移したことも確認した。以
上の再生実験に於いて、ビットエラーレートは3×10
-6程度であった。
【0069】実施例2 実施例1に対して、第2の基板としてシリコン基板を使
用し、基板電極との接着方法として共晶接合によって行
った以外は、同様に形成した記録媒体10ロットに対し
て、実施例1と同様に溝周辺部の平滑性を調べ、また記
録・再生・消去の実験を行った。その結果、平滑性に問
題はなく、また、記録・再生・消去の実験に於いて、ビ
ットエラーレートは3×10-6であり、消去も可能であ
った。尚、上記の共晶接合は、ヒーターで基板電極が形
成された第1の基板を一定温度に加熱しながら、第2の
基板であるシリコン基板を基板電極の表面にこすり付け
ることにより行った。この時、温度を400℃、加圧力
2Kg/cm2 、保持時間1分の条件で行った。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば以
下の効果を有する。
【0071】FIB法で電極にトラックを形成する際
に生ずるダメージを受けていない面を、記録層を積層す
る電極面としているため、情報の再生時において、ビッ
トエラーレートが非常に小さい信頼性の高い記録媒体が
得られる。
【0072】製造過程にエッチングや溶剤による除去
過程を要しないため、記録媒体の部材の材料が限定され
ない。
【0073】光記録に比べてはるかに高密度な記録が
可能な記録媒体を、簡易な方法で製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の記録媒体製造方法の一例を示す工程図
である。
【図2】本発明により製造した記録媒体に対して情報の
記録再生の実験を行った記録・再生装置のブロック構成
図である。
【図3】プローブ電極と記録層表面との距離と、流れる
電流の関係を示す図である。
【図4】本発明による記録媒体に対して記録を行う際に
加えるパルス信号波形である。
【図5】本発明による記録媒体に対して記録の消去を行
う際に加えるパルス信号波形である。
【符号の説明】
101 記録層 102 トラック 103 基板電極 104 第1の基板 105 第2の基板 201 プローブ電極 202 XY方向微動制御機構 203 Z方向微動制御機構 204 XY方向走査駆動回路 205 サーボ回路 206 プローブ電流増幅器 207 パルス電源 208 XYステージ 209 粗動機構 210 粗動駆動回路 211 マイクロコンピュータ 212 表示装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−1947(JP,A) 特開 平5−314551(JP,A) 特開 平4−143941(JP,A) 特開 平5−28547(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 9/14

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トンネル電流を検知して情報の記録再生
    等を行う情報処理装置に用いられ基板電極上に記録層を
    有する記録媒体の製造方法であって、第1の基板上に基
    板電極を形成する過程、集束イオンビームで該基板電極
    側から第1の基板まで貫通する溝を形成する過程、第2
    の基板を基板電極表面に接着する過程、基板電極を第1
    の基板より剥離する過程、第1の基板表面の転写面であ
    る基板電極面に記録層を積層する過程を順次行うことを
    特徴とする記録媒体製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第2の基板の基板電極への接着に接
    着剤を使用することを特徴とする請求項1に記載の記録
    媒体製造方法。
  3. 【請求項3】 前記第2の基板を基板電極に接着する方
    法が共晶接合であることを特徴とする請求項1に記載の
    記録媒体製造方法。
  4. 【請求項4】 前記記録層の膜厚が0.数nm以上10
    nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の記録
    媒体製造方法。
  5. 【請求項5】 前記記録層の膜厚が0.数nm以上3n
    m以下であることを特徴とする請求項1に記載の記録媒
    体製造方法。
  6. 【請求項6】 前記記録層が、有機化合物の単分子膜ま
    たは該単分子膜を累積した累積膜を有することを特徴と
    する請求項1に記載の記録媒体製造方法。
  7. 【請求項7】 前記単分子膜または累積膜を、LB法に
    より成膜することを特徴とする請求項6に記載の記録媒
    体製造方法。
  8. 【請求項8】 前記有機化合物が、分子中にπ電子準位
    を持つ群とσ電子準位を持つ群とを有することを特徴と
    する請求項6に記載の記録媒体製造方法。
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