JPH0529714Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は特に生理食塩液、リンゲル液等の血液
代用液、糖類液、蛋白アミノ酸液またはその他の
注射液を収納する合成樹脂製注射液用容器に関す
る。

〔従来の技術〕

従来、この種の注射液用容器においてはガラス
壜が多く使用されていたが、ガラス壜は破損しや
すい、重い等取扱いが不便であること、空容器の
廃棄処理がしにくいこと等の理由から近年、ポリ
エチレンあるいはポリプロピレン等の合成樹脂製
のブロー成形壜が広く使用されている。しかしブ
ロー成形壜はガラス壜と同様に、通気針を使用せ
ずに内容液を排出すると容器内が陰圧になり、内
容液の流出が停止する。このため通気針を使用し
て外気を容器内へ供給する必要があるが、この際
外気とともに大気中の細菌や塵埃が容器内に流入
して内容液が汚染されるという問題がある。

この問題に対して通気針を使用しないで、内容
液が排出する形式のブロー成形壜が提案されてい
る。この形式の容器においては、柔軟性のある素
材を用いることにより、内容液の排出に伴つて、
容器の胴部が偏平に潰れうる構造となつている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、通気針を使用しないで内容液が
排出する従来のブロー成形壜の構成は容器胴部の
横断面の形状が容器底部から肩部にわたつて、い
ずれも一定であるため、実際に内容液を排出した
場合、胴部のほぼ中央部から偏平に潰れて内容液
が減少するにもかかわらず、容器の上部に内容液
が残つて液面が低下せず、正確な残液量を目視に
て確認することができなかつた。

更に上記した従来の構成のものでは、内容液の
みの場合と、これに他の注射液を加えた場合のよ
うに内容量の大小に対応して変形する形状をとる
ことができない。したがつて、内容液のある容器
に他の薬剤をさらに混注する場合は、通気針を使
用して容器内の空気を排出する必要があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

そこで本考案者は、以上の従来技術の問題点を
解決するため、先に、通気針を使用することなく
他の注射液の混注あるいは内容液の排出が可能で
あり、更に内容液を排出するにあたり残液量を正
確に目視にて確認することができる注射液用容器
を提案した（実願昭60−162136号、実開昭62−
70525号）。

該考案は一端に吊下具、他端に注排出口を有
し、容器胴部の横断面の形状が長円形である合成
樹脂製容器であつて、容器肩部と容器底部との間
の中間胴部の横断面長円形状が該肩部及び該底部
よりも偏平な長円形状であり、容器肩部から容器
底部にわたる容器胴部の長円形の円周の長さが一
定である注射液用容器に関するものである。

本考案者は更に検討の結果、通気針を使用する
ことなく他の注射液の混注、或いは内容液の排出
は容器胴部の横断面長円形状が該肩部及び該底部
よりも偏平なものであれば達成し得ること及び容
器の生産、管理或いは貯蔵、保存過程ではその容
器の側面部が肩部から底部にわたりほぼ直線とな
るように設計すること、即ち胴部の長円形の長径
軸が一定とすることが有利であることを見出し、
本発明に到達したものである。

即ち、本考案は一端に吊下具、他端に注排出口
を有し、容器胴部の横断面の形状が長円形である
合成樹脂製容器であつて、容器肩部と容器底部と
の間の中間胴部の横断面長円形状が全域にわたり
該肩部及び該底部よりも扁平な長円形状であり、
容器肩部から容器底部にわたる容器胴部の長円形
の長径軸の長さが一定である合成樹脂製注射液用
容器に関する。

本考案において、吊下具は通常容器の底部の中
央に設けられる。容器底部は中央部が凹みを有
し、該吊下具を横にした時、底部表面下に納まる
ように構成され、容器内に注射液が注入された場
合は容器が自立できるように設計される。注排出
口は栓体で封ができる構造のものであつて、注射
針に連通する輸液セツトが挿入される。

本考案における容器胴部は横断面長円形状であ
る。この長円形状はその円周において、長径軸方
向に直線部分を有するものであり、容器肩部と底
部間の中間胴部の偏平な長円形ではその直線部分
が長くなる。ここで偏平な長円形とはその短径軸
の長さがより短くなつた状態の長円形を言い、し
たがつて前記のとおり、長径軸方向の直線部分は
長くなるものである。

又、本考案では容器肩部から容器底部にわたる
胴部の長円形の長径軸の長さを、一定とし、容器
の側面部が容器肩部から容器胴部にわたりほぼ直
線とするものであり、これにより容器自体の生
産、管理或いは容器の保存、保管過程での容器の
取扱いが極めて容易となり、前記容器胴部の構造
による作用により内容液の排出が円滑となる。

従来、この種の容器の横断面形状は楕円形であ
り、楕円形の場合には容器の長径軸に平行する容
器壁面は凸状（⌒）になつている。楕円形状の場
合に内容液が排出すると、短径軸が短くなつて偏
平な形をとろうとするが、壁面が凸状となつてい
るために偏平となりにくく、したがつて容器液面
部位と同時に容器底部の短径軸も短くなるか、あ
るいは、内容液の排出が進んだ時点で急激な容器
壁面の反転が起こる。そのため、残液が容器上部
に残り、正確な残液量を確認することができず、
又、均一な排出速度が得られない。

これに対して、長円形状の場合には長径軸に平
行とする容器壁面が平面であるため容易に偏平な
形状となり、即ち、容器上部から順次、偏平な形
状をとり、正確な残液量の確認及び安定した排出
速度が得られる。

容器胴部の横断面の短径軸の長さは胴部全体に
おいて均一であつてもよく、又該胴部の上部、中
間部或いは下部に該短径軸の長さの最も短い部分
があつてもよい。

容器肩部と底部間の中間胴部において、その偏
平な長円形の短径軸を容器を吊り下げた状態で液
面部位、又はこれよりも上方部位が最も短く、こ
の部位を外れるに従い次第に長くなるように設計
すると内容液の排出の点で更に好ましいものとな
る。

容器本体を形成する素材としては、注射液と接
触して何ら反応せず、また注射液を変質させず、
100℃以上の減菌に耐え得る熱可塑性の合成樹脂
であり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体及び軟質塩化
ビニール等があげられる。

〔作用〕

本考案では、合成樹脂製容器肩部と底部との間
の中間胴部を該肩部及び底部よりも偏平な長円形
の横断面形状となし、又容器肩部から底部にわた
る胴部の該横断面長円形の長径軸の長さを一定と
することにより、容器より内容液が排出される
と、液面上部より確実に偏平に潰れ始め、液面上
方部が順次偏平となり、常時、容器内部が負圧に
なることがなく、内容液は均一に低下し、内容液
の排出が円滑となり、種々の内容量に対応して変
形する形状をとることができるため、通気針を使
用して空気置換することなく、他の注射液を混注
することが可能である。

そして、容器肩部から底部にわたる胴部の長円
形の長径軸の長さを一定とし、容器の側面部がほ
ぼ直線となしたため、容器本体の生産、管理或い
は保存、保管を容易なものとすることができる。

〔実施例〕

以下図面に示した一実施例に基づいて本考案を
詳細に説明する。

第１図は、本考案の注射液用容器の正面図であ
り、第２図は該注射液用容器の側面図である。

図面において、１は注射液を収納するための容
器本体を示しており、２は横断面図の形状が長円
形である容器胴部、３は容器底部、４は吊下具、
５は容器肩部である。６は注射液注排出口であ
り、７は注射液注排出口を封する栓体である。容
器胴部２は容器肩部５と底部３との間の中間部が
偏平となつている。

第３図は、注排出口６側からみた平面図であ
り、第４図は容器底部３側からみた平面図であ
る。第５図、第６図及び第７図は第２図における
容器胴部Ａ−Ａ，Ｂ−Ｂ，及びＣ−Ｃ位置での横
断面図である。これら第３図から第７図に示すと
おり、本考案の容器胴部の横断面の形状はその円
周において長径軸方向に直線部分８を有する長円
形である。容器胴部Ａ−Ａの位置即ち肩部及び同
Ｃ−Ｃの位置即ち底部の横断面の長円形はそれぞ
れ直線部分８は短く、該肩部と該底部との間の中
間胴部の１つＢ−Ｂの位置での横断面の長円形は
最も偏平であり直線部分８が最も長くなつてい
る。そして、第１図ではそのＢ−Ｂ位置の位置は
胴の中間部にあり、第８図１及び第８図２ではそ
のＢ−Ｂ部位が胴上部及び胴下部にあるようにそ
れぞれ設計されている。このＢ−Ｂ部を設けるこ
とにより針刺しなしで混注及び排水を容易にする
ことができる。

このＢ−Ｂの位置により排出時の目盛りの見易
さが若干異なるが、一般には容器底部近傍にある
ものが好ましい。

これら容器胴部の長円形の長径軸の長さは容器
肩部から底部にわたつてすべて同一となるように
構成される。

第９図１は本考案の内容液（血液代用液）の入
つた注射液用容器に他の注射液を混注する前の状
態を示す容器の横断面図であり、容器胴部２の容
器肩部と容器底部との間の中間部位例えばＢ−Ｂ
の横断面の短径軸の長さが最も短く、その断面積
が最も小さくなるように構成される。この中間部
位（Ｂ−Ｂ）を外れるに従い次第に短径軸の長さ
は長くなり、断面積は次第に大きくなつて、短径
軸の長さが最も大きい部位Ａ−Ａ（容器肩部）、Ｃ
−Ｃ（容器底部）でその断面積は最も大きくなつ
ている。第９図２は本考案の注射液用容器に他の
注射液を混注した時の縦断面図である。容器本体
の素材の有する柔軟性のため、混注された注射液
の容量によつて容器胴部中間部位Ｂ−Ｂの短径軸
の長さは長くなり、断面積は大きくなり、容器肩
部或いは底部の長円形に近い胴部を有する容器と
なる。

第９図１−ａ、第９図１−ｂ及び第９図１−ｃ
は第９図１における容器胴部Ａ−Ａ部位、Ｂ−Ｂ
部位及びＣ−Ｃ部位の横断面図である。又第９図
２−ａ、第９図２−ｂ及び第９図２−ｃは第９図
２における容器胴部のＡ−Ａ部位、Ｂ−Ｂ部位及
びＣ−Ｃ部位の横断面図である。内容液のない場
合、容器胴部の肩部と底部との間の中間胴部Ｂ−
Ｂ部位では偏平な長円形であり、内容液のある場
合は混注された液量に対応して容器胴部は短径軸
の長さが伸び、長径軸のやや短い長円形状となる
（第９図２−ｂ）。

第１０図１は他の注射液を混注したもので排出
開始する前の状態を示す縦断面図であり、これは
吊下具４を輸液スタンドにかけて容器本体１を吊
り下げ栓体７に輸液セツト９の針を刺して内容液
を排出する時のものである。第１０図２の場合は
内容液が完全に満たされた状態でないものであつ
て、容器胴部の液面部位又はそれより上方部位が
偏平となることを示すものである。即ち、内容液
の排出を開始すると容器内部は陰圧となり、予め
容器胴部２の横断面の短径軸の長さが最も短く形
成されている部分から確実に偏平に潰れ始める。
なお、偏平に潰れた段階で容器内部の負圧はなく
なる。本考案の注射液用容器では容器本体１を吊
り下げた時、液面部位又は、これよりも上方の部
位が偏平となるため、内容液が容器本体１の上部
に残ることはない。

第１０図２及び第１０図３は内容液の排出が進
行している状態での本考案の注射液用容器の縦断
面図である。内容液の排出が進むと容器胴部液面
部位の横断面の短径軸の長さは、これよりも下方
の部位の短径軸の長さよりも常に短くなるため、
上方の部位から順次偏平面１０を形成し、排出終
了時には第１０図４の状態となる。第１０図４は
内容液の排出終了時の状態を示す本考案の注射液
用容器の縦断面図である。

以上の如くして、本考案の注射液用容器ではそ
の内容液は円滑に排出し、液面よりも上方の部位
から順次偏平面を形成することにより、液面は均
一に低下する。

〔本考案の効果〕

以上説明のとおり、本考案は容器胴部の横断面
形状が長円形の合成樹脂製注射液用容器におい
て、容器肩部と底部間の中間胴部の横断面長円形
状を肩部及び底部よりも偏平な長円形とし、又容
器肩部から容器底部にわたる胴部の長円形の長径
軸の長さを一定とすることにより、他の注射液の
混注及び内容液の排出にあたり、空気を置換する
ための通気針を必要としないため、薬剤を混注す
る操作が簡便でありかつ内容液の汚染がなく衛生
的であるとともに、内容液の排出時、容器胴部が
液面よりも上方部位から順次偏平につぶれ、容器
内部が負圧にならないため、内容液が円滑に排出
できて残液量を目視にて正確に確認できる。

そして、容器胴部の長円形の長径軸の長さをす
べてにわたり一定とし、容器の側面部を容器肩部
から底部にわたりほぼ直線としているので、容器
本体の生産、管理或いは保存、保管が容易となる
というすぐれた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかかわる注射液用容器の正面
図、第２図は同側面図、第３図は栓体を有する一
端の同平面図、第４図は吊下具を有する一端の同
平面図、第５図は第２図Ａ−Ａ部位の横断面図、
第６図は第２図Ｂ−Ｂ部位の横断面図、第７図は
第２図Ｃ−Ｃ部位の横断面図、第８図はＢ−Ｂ部
位の位置を示す図であり、第８図１はＢ−Ｂ部位
が上部に、第８図２はＢ−Ｂ部位が下部にあるこ
とを示す図、第９図は本考案にかかわる注射液用
容器の混注における作用態様を示す図であり、第
９図１は注射液用容器の混注前の縦断面図、第９
図２は混注後の縦断面図、第９図１−ａ、第９図
１−ｂ、第９図１−ｃ、及び第９図２−ａ、第９
図２−ｂ、第９図２−ｃはそれぞれ第９図１及び
第９図２の部位Ａ−Ａ，Ｂ−Ｂ，Ｃ−Ｃにおける
横断面図、第１０図は本考案にかかわる注射液用
容器の内容液排出時の作用態様を示す図であり、
第１０図１は内容液を排出する前の容器の縦断面
図、第１０図２及び第１０図３は内容液の排出が
進行中における容器の縦断面図、第１０図４は内
容液排出完了時の容器縦断面図である。 １……注射液用容器、２……容器胴部、３……
容器底部、４……吊下具、５……容器肩部、６…
…注排出口、７……栓体、８……容器胴部横断面
長円形の直線部分、９……輸液セツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端に吊下具、他端に注排出口を有し、容器胴
   部の横断面の形状が長円形である合成樹脂製容器
   であつて、容器肩部と容器底部との間の中間胴部
   の横断面長円形状が全域にわたり該肩部及び該底
   部よりも扁平な長円形状であり、容器肩部から容
   器底部にわたる容器胴部の長円形の長径軸の長さ
   が一定である合成樹脂製注射液用容器。