JPH0523869A - 溶接管の製造方法 - Google Patents
溶接管の製造方法Info
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- JPH0523869A JPH0523869A JP18232091A JP18232091A JPH0523869A JP H0523869 A JPH0523869 A JP H0523869A JP 18232091 A JP18232091 A JP 18232091A JP 18232091 A JP18232091 A JP 18232091A JP H0523869 A JPH0523869 A JP H0523869A
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- welded
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Abstract
(57)【要約】
【目的】溶接部の健全な溶接管を製造する。
【構成】オープンパイプOPの相対向する両エッジ部
E、Eを誘導コイル2等で加熱溶融させ、スクイズロー
ル3、3によってアップセットをかけつつ衝合溶接して
溶接管Pとするに際し、オープンパイプOPが衝合溶接
される直前の上方に配置されたガスシールド消耗電極式
アーク溶接装置5で、アークを点弧することによって連
続供給されるワイヤ7を溶融させつつ、その溶融金属を
オープンパイプの両エッジ部E、Eの間隙が前記アーク
溶接で使用するワイヤの直径以下となる地点で被溶接面
に添加する。 【効果】ペネトレータ等の溶接欠陥、溶接部の脱合金成
分層、アップセット不足による溶接割れなどのない品質
に優れた溶接管が得られる。
E、Eを誘導コイル2等で加熱溶融させ、スクイズロー
ル3、3によってアップセットをかけつつ衝合溶接して
溶接管Pとするに際し、オープンパイプOPが衝合溶接
される直前の上方に配置されたガスシールド消耗電極式
アーク溶接装置5で、アークを点弧することによって連
続供給されるワイヤ7を溶融させつつ、その溶融金属を
オープンパイプの両エッジ部E、Eの間隙が前記アーク
溶接で使用するワイヤの直径以下となる地点で被溶接面
に添加する。 【効果】ペネトレータ等の溶接欠陥、溶接部の脱合金成
分層、アップセット不足による溶接割れなどのない品質
に優れた溶接管が得られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶接部の健全な溶接管
を安定して製造する方法に関する。
を安定して製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】製管溶接法には、サブマージアーク溶接
法、プラズマ溶接法、TIG溶接法、高周波電縫溶接法
などがあり、このうち高周波電縫溶接法は製管溶接プロ
セスの中で最も高能率であることから、広く採用されて
いる。
法、プラズマ溶接法、TIG溶接法、高周波電縫溶接法
などがあり、このうち高周波電縫溶接法は製管溶接プロ
セスの中で最も高能率であることから、広く採用されて
いる。
【0003】高周波電縫溶接法によって製造される溶接
管いわゆる電縫管は、図6に示すように帯鋼を成形ロー
ル群(成形終期のフィン付のシームガイドロール1のみ
を示す)に通して両側エッジ部E、Eが相対向する断面
略O形状に曲成してなるオープンパイプOPを、誘導加
熱コイル2に通し、あるいはオープンパイプOPの両側
エッジ部E、Eの近傍の外面を図示しないコンタクトチ
ップに摺接させ、エッジ部E、Eが形成するV形の部分
を高周波電流で加熱溶融させつつスクイズロール3間に
通し、所定のアップセットを付与しつつ衝合溶接して管
Pに形成することにより得られる。なお、図中4は衝合
溶接点である。
管いわゆる電縫管は、図6に示すように帯鋼を成形ロー
ル群(成形終期のフィン付のシームガイドロール1のみ
を示す)に通して両側エッジ部E、Eが相対向する断面
略O形状に曲成してなるオープンパイプOPを、誘導加
熱コイル2に通し、あるいはオープンパイプOPの両側
エッジ部E、Eの近傍の外面を図示しないコンタクトチ
ップに摺接させ、エッジ部E、Eが形成するV形の部分
を高周波電流で加熱溶融させつつスクイズロール3間に
通し、所定のアップセットを付与しつつ衝合溶接して管
Pに形成することにより得られる。なお、図中4は衝合
溶接点である。
【0004】ところが、このような高周波電縫溶接法に
よる溶接管の製造においては、ペネトレータと呼ばれる
エッジ部の高温酸化による溶接面上の酸化物残留の問題
がある。このペネトレータは、適正な溶接条件を選択す
ることによってある程度までは低減するが、従来の高周
波電縫溶接法による溶接管の製造において、皆無にする
ことは困難である。溶接管にこのようなペネトレータが
発生すると、溶接部の加工性能が劣化して拡管や曲げ等
の加工が困難となるばかりか、溶接部の靭性や耐食性も
劣化して使用上問題となる。そのため、実生産において
ペネトレータの発生しやすい材料の溶接を行う場合に
は、一般に加熱部を不活性ガスでシールドする方法がと
られているが、ペネトレータを完全に防止するまでに至
っていないのが現状である。
よる溶接管の製造においては、ペネトレータと呼ばれる
エッジ部の高温酸化による溶接面上の酸化物残留の問題
がある。このペネトレータは、適正な溶接条件を選択す
ることによってある程度までは低減するが、従来の高周
波電縫溶接法による溶接管の製造において、皆無にする
ことは困難である。溶接管にこのようなペネトレータが
発生すると、溶接部の加工性能が劣化して拡管や曲げ等
の加工が困難となるばかりか、溶接部の靭性や耐食性も
劣化して使用上問題となる。そのため、実生産において
ペネトレータの発生しやすい材料の溶接を行う場合に
は、一般に加熱部を不活性ガスでシールドする方法がと
られているが、ペネトレータを完全に防止するまでに至
っていないのが現状である。
【0005】このようなことから、ペネトレータの発生
を防止する幾つかの方法が提案されている。例えば、特
開昭56−168981号公報に、高周波電流による第1の加熱
手段によりエッジ部を溶融温度またはその近傍の温度ま
で加熱し、次いで、低周波電流による第2の加熱手段に
よりエッジ部を溶融温度以上の温度に加熱して衝合溶接
する方法が提案されている。また、特公昭51−33512 号
公報に、このような電縫溶接とプラズマ溶接等の組み合
わせによって電縫溶接の効率化等をはかる方法が提案さ
れている。この特公昭51−33512 号公報記載の発明は、
ペネトレータの発生を防止することを目的としたもので
はないが、ペネトレータの防止効果があると考えられ
る。しかしながら、これらの方法にあっては、電縫溶接
法に付加する溶融溶接法は単に溶接部を加熱溶融させる
ための手段として用いられているため、一般の電縫溶接
法と同様に溶接面上にフェライトバンドと呼ばれる厚さ
数百μm の脱合金成分層が生成するという問題がある。
このため、これらの方法では、溶接部の靭性および耐食
性能等の特性が母材と同等である溶接管を得るのが困難
である。
を防止する幾つかの方法が提案されている。例えば、特
開昭56−168981号公報に、高周波電流による第1の加熱
手段によりエッジ部を溶融温度またはその近傍の温度ま
で加熱し、次いで、低周波電流による第2の加熱手段に
よりエッジ部を溶融温度以上の温度に加熱して衝合溶接
する方法が提案されている。また、特公昭51−33512 号
公報に、このような電縫溶接とプラズマ溶接等の組み合
わせによって電縫溶接の効率化等をはかる方法が提案さ
れている。この特公昭51−33512 号公報記載の発明は、
ペネトレータの発生を防止することを目的としたもので
はないが、ペネトレータの防止効果があると考えられ
る。しかしながら、これらの方法にあっては、電縫溶接
法に付加する溶融溶接法は単に溶接部を加熱溶融させる
ための手段として用いられているため、一般の電縫溶接
法と同様に溶接面上にフェライトバンドと呼ばれる厚さ
数百μm の脱合金成分層が生成するという問題がある。
このため、これらの方法では、溶接部の靭性および耐食
性能等の特性が母材と同等である溶接管を得るのが困難
である。
【0006】更に、特開昭63−220977号公報に、オープ
ンパイプの両エッジ部を高周波電流で加熱するととも
に、逆極性の消耗式ガスシールド溶接で溶接前のエッジ
間隙部へ埋もれアークを点弧させつつ衝合溶接を行うこ
とによってペネトレートを防止する方法が提案されてい
る。しかし、この特開昭63−220977号公報記載の製造方
法には下記に述べるような問題点がある。
ンパイプの両エッジ部を高周波電流で加熱するととも
に、逆極性の消耗式ガスシールド溶接で溶接前のエッジ
間隙部へ埋もれアークを点弧させつつ衝合溶接を行うこ
とによってペネトレートを防止する方法が提案されてい
る。しかし、この特開昭63−220977号公報記載の製造方
法には下記に述べるような問題点がある。
【0007】高周波電流によってエッジ部の加熱を行っ
た場合、衝合溶接点直前においてエッジ部が充分な溶融
温度に達している場合は、相対向する両エッジ部に流れ
る高周波電流が常に逆向きであるために両エッジ部に反
発力が生じ、溶融金属がオープンパイプの内面および外
面に押し出され、衝合溶接されるときに溶融金属を押し
出す力(アップセット力)はこの分だけ減少する。上記
の特開昭63−220977号公報記載の製造方法の場合、高周
波電流による両エッジ部の加熱は溶融温度以下である
が、埋もれアークによって端面表層部の溶融を図ってい
るため衝合点直前における端面は十分な溶融温度に到達
しているはずである。そのため埋もれアークによって端
面の垂直方向に強いプラズマ気流が発生すると、溶融金
属の内外面への押し出しが助長され、最終的な衝合溶接
時のアップセット力の低下は著しいものとなる。このよ
うなアップセット力の減少は酸化溶融金属の排出を困難
ならしめるため、酸化物が接合面上に残留し、溶接強度
が低下して最も好ましからざる平面的な溶接割れを発生
させることになる。このアップセット力の低下を、アッ
プセット量の増大によって補うことは内外面のビード量
増加による操業性悪化を招くため困難であり、仮に操業
性が悪化しなくても、アップセット量のコントロールは
極めて難しいものとなる。以上の理由により、このよう
な従来方法では常に良好な溶接品質を有する溶接管を得
ることは容易ではない。
た場合、衝合溶接点直前においてエッジ部が充分な溶融
温度に達している場合は、相対向する両エッジ部に流れ
る高周波電流が常に逆向きであるために両エッジ部に反
発力が生じ、溶融金属がオープンパイプの内面および外
面に押し出され、衝合溶接されるときに溶融金属を押し
出す力(アップセット力)はこの分だけ減少する。上記
の特開昭63−220977号公報記載の製造方法の場合、高周
波電流による両エッジ部の加熱は溶融温度以下である
が、埋もれアークによって端面表層部の溶融を図ってい
るため衝合点直前における端面は十分な溶融温度に到達
しているはずである。そのため埋もれアークによって端
面の垂直方向に強いプラズマ気流が発生すると、溶融金
属の内外面への押し出しが助長され、最終的な衝合溶接
時のアップセット力の低下は著しいものとなる。このよ
うなアップセット力の減少は酸化溶融金属の排出を困難
ならしめるため、酸化物が接合面上に残留し、溶接強度
が低下して最も好ましからざる平面的な溶接割れを発生
させることになる。このアップセット力の低下を、アッ
プセット量の増大によって補うことは内外面のビード量
増加による操業性悪化を招くため困難であり、仮に操業
性が悪化しなくても、アップセット量のコントロールは
極めて難しいものとなる。以上の理由により、このよう
な従来方法では常に良好な溶接品質を有する溶接管を得
ることは容易ではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の実情
を背景としてなされたものであって、その目的とすると
ころは、ペネトレータ等の溶接欠陥の発生を防止でき、
溶接面上に脱合金成分層を生成させることなく、溶接部
の靭性および耐食性に優れ、埋もれアーク状態に起因す
るような平面的な溶接割れもない、健全な溶接部を有す
る溶接管が安定して製造できる方法を提供することにあ
る。
を背景としてなされたものであって、その目的とすると
ころは、ペネトレータ等の溶接欠陥の発生を防止でき、
溶接面上に脱合金成分層を生成させることなく、溶接部
の靭性および耐食性に優れ、埋もれアーク状態に起因す
るような平面的な溶接割れもない、健全な溶接部を有す
る溶接管が安定して製造できる方法を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は「オープ
ンパイプの相対向する両エッジ部を加熱溶融させ、スク
イズロールによってアップセットをかけつつ衝合溶接す
る溶接管の製造方法において、ガスシールド消耗電極式
アーク溶接装置を前記オープンパイプが衝合溶接される
直前の上方に配置し、オープンパイプの両エッジ間隙が
前記アーク溶接で使用するワイヤの直径以下となる地点
で、アークを点弧することによって連続供給されるワイ
ヤを溶融させつつ、その溶融金属を被溶接面に添加する
ことを特徴とする溶接管の製造方法」にある。
ンパイプの相対向する両エッジ部を加熱溶融させ、スク
イズロールによってアップセットをかけつつ衝合溶接す
る溶接管の製造方法において、ガスシールド消耗電極式
アーク溶接装置を前記オープンパイプが衝合溶接される
直前の上方に配置し、オープンパイプの両エッジ間隙が
前記アーク溶接で使用するワイヤの直径以下となる地点
で、アークを点弧することによって連続供給されるワイ
ヤを溶融させつつ、その溶融金属を被溶接面に添加する
ことを特徴とする溶接管の製造方法」にある。
【0010】
【作用】以下、添付図面を参照して本発明を更に詳細に
説明する。
説明する。
【0011】図1および図2は、本発明に係る溶接管の
製造方法の実施態様を示す模式図であって、図1は上面
図、図2は側面図である。
製造方法の実施態様を示す模式図であって、図1は上面
図、図2は側面図である。
【0012】図中OPはオープンパイプであって、この
オープンパイプOPは帯鋼を成形ロール群(成形終期の
フィン付のシームガイドロール1のみを示す)に通して
断面U形から両側エッジ部E,Eが相対向する断面O形
にまで曲形してなる。オープンパイプOPは、シームガ
イドロール1から送り出された後、誘導加熱コイル2を
通過する際に、高周波電流特有の表皮効果および近接効
果によりV形を形成する両側エッジ部E、Eが溶融温度
以上に加熱される。
オープンパイプOPは帯鋼を成形ロール群(成形終期の
フィン付のシームガイドロール1のみを示す)に通して
断面U形から両側エッジ部E,Eが相対向する断面O形
にまで曲形してなる。オープンパイプOPは、シームガ
イドロール1から送り出された後、誘導加熱コイル2を
通過する際に、高周波電流特有の表皮効果および近接効
果によりV形を形成する両側エッジ部E、Eが溶融温度
以上に加熱される。
【0013】次いで、オープンパイプOPは一対のスク
イズロール3の間に入り、所定のアップセットを付与し
つつ衝合溶接されて溶接管Pとなるが、本発明では誘導
加熱コイル2により加熱されたオープンパイプOPの相
対向するエッジ部E、Eがスクイズロール3によって衝
合溶接される地点、すなわち衝合溶接点4と誘導加熱コ
イル2との間に配置されたガスシールド消耗電極式アー
ク溶接装置5の溶接トーチ6で、アークを点弧すること
によって連続供給されるワイヤ7を溶融させつつ、その
溶融金属を被溶接面に添加しつつ衝合接合を行う。詳し
くは、加熱後のオープンパイプOPの両エッジ部E、E
の間隙が0mm乃至溶接トーチ6に供給するワイヤ7の直
径以下となる地点においてアークを点弧して連続供給さ
れるワイヤ7を溶融させ、その溶融金属を被溶接面に添
加しつつ衝合接合を行って溶接管Pとする。なお、溶融
させて被溶接面に添加するワイヤは対象とする母材およ
び要求される溶接部性能に合致するように成分を調整し
ておくのがよい。また、図示していないが前記溶接トー
チ6は所定のワイヤ供給装置および溶接電源に接続され
ており、溶接トーチへ供給されるワイヤ7はガスシール
ド消耗電極式アーク溶接では電極としての役目をも兼ね
備えている。
イズロール3の間に入り、所定のアップセットを付与し
つつ衝合溶接されて溶接管Pとなるが、本発明では誘導
加熱コイル2により加熱されたオープンパイプOPの相
対向するエッジ部E、Eがスクイズロール3によって衝
合溶接される地点、すなわち衝合溶接点4と誘導加熱コ
イル2との間に配置されたガスシールド消耗電極式アー
ク溶接装置5の溶接トーチ6で、アークを点弧すること
によって連続供給されるワイヤ7を溶融させつつ、その
溶融金属を被溶接面に添加しつつ衝合接合を行う。詳し
くは、加熱後のオープンパイプOPの両エッジ部E、E
の間隙が0mm乃至溶接トーチ6に供給するワイヤ7の直
径以下となる地点においてアークを点弧して連続供給さ
れるワイヤ7を溶融させ、その溶融金属を被溶接面に添
加しつつ衝合接合を行って溶接管Pとする。なお、溶融
させて被溶接面に添加するワイヤは対象とする母材およ
び要求される溶接部性能に合致するように成分を調整し
ておくのがよい。また、図示していないが前記溶接トー
チ6は所定のワイヤ供給装置および溶接電源に接続され
ており、溶接トーチへ供給されるワイヤ7はガスシール
ド消耗電極式アーク溶接では電極としての役目をも兼ね
備えている。
【0014】このように、加熱後のオープンパイプOP
の両エッジ部E、Eの間隙が0mm乃至トーチ6に供給す
るワイヤ7の直径以下となる地点において、アークを発
生させてワイヤ6を溶融し、その溶融金属を被溶接面に
添加しつつ衝合溶接を行うことにより、ペネトレータ等
の溶接欠陥、脱合金成分層およびアップセット力不足に
起因する割れ発生などが防止される。これは、加熱され
たオープンパイプOPの両側エッジ部E、Eの直上に配
置された溶接トーチ6により発生するアークによって、
両側エッジ端面に生成した酸化物が蒸発除去され、ペネ
トレータ等の溶接欠陥の発生が防止されるとともにアー
ク中へ連続供給されるワイヤが溶融し、この溶融金属が
電縫溶接部に添加されるので、電縫溶接部特有の脱合金
成分層の成分改質が図られるのである。また、アークを
使用ワイヤの直径以下のエッジ部面間ギャップ上で点弧
させるため、埋もれアーク状態が防止され、アップセッ
ト不足に起因する割れが発生することなく、常に安定し
た溶接部性能を得ることが可能となる。しかし、アーク
を点弧することによって連続供給されるワイヤを溶融さ
せつつ、その溶融金属を被接合面間に添加する地点が両
エッジE、Eの間隙が0mm乃至トーチ6に供給するワイ
ヤ7の直径以下となる地点以外であれば溶接欠陥などは
改善されない。すなわち、エッジ端面の衝合が終わった
溶接点4より下流側でアークを点弧してワイヤを溶融さ
せても、エッジ端面にアークが当たらず溶接欠陥の発生
が防止できないばかりか、被溶接面への溶融ワイヤ成分
の添加も不可能となる。また逆にエッジ端面間ギャップ
が使用ワイヤの直径よりも広いところでアークの点弧を
行えば、前述の理由により安定した溶接品質の確保が困
難となる。
の両エッジ部E、Eの間隙が0mm乃至トーチ6に供給す
るワイヤ7の直径以下となる地点において、アークを発
生させてワイヤ6を溶融し、その溶融金属を被溶接面に
添加しつつ衝合溶接を行うことにより、ペネトレータ等
の溶接欠陥、脱合金成分層およびアップセット力不足に
起因する割れ発生などが防止される。これは、加熱され
たオープンパイプOPの両側エッジ部E、Eの直上に配
置された溶接トーチ6により発生するアークによって、
両側エッジ端面に生成した酸化物が蒸発除去され、ペネ
トレータ等の溶接欠陥の発生が防止されるとともにアー
ク中へ連続供給されるワイヤが溶融し、この溶融金属が
電縫溶接部に添加されるので、電縫溶接部特有の脱合金
成分層の成分改質が図られるのである。また、アークを
使用ワイヤの直径以下のエッジ部面間ギャップ上で点弧
させるため、埋もれアーク状態が防止され、アップセッ
ト不足に起因する割れが発生することなく、常に安定し
た溶接部性能を得ることが可能となる。しかし、アーク
を点弧することによって連続供給されるワイヤを溶融さ
せつつ、その溶融金属を被接合面間に添加する地点が両
エッジE、Eの間隙が0mm乃至トーチ6に供給するワイ
ヤ7の直径以下となる地点以外であれば溶接欠陥などは
改善されない。すなわち、エッジ端面の衝合が終わった
溶接点4より下流側でアークを点弧してワイヤを溶融さ
せても、エッジ端面にアークが当たらず溶接欠陥の発生
が防止できないばかりか、被溶接面への溶融ワイヤ成分
の添加も不可能となる。また逆にエッジ端面間ギャップ
が使用ワイヤの直径よりも広いところでアークの点弧を
行えば、前述の理由により安定した溶接品質の確保が困
難となる。
【0015】なお、図1および図2に示す実施態様で
は、誘導加熱コイル2による高周波電流でオープンパイ
プOPの相対向するエッジ部E、Eを加熱する例を示し
たが、コンタクトチップによる高周波電流でオープンパ
イプOPの相対向するエッジ部E、Eを加熱するように
してもよい。或いは高周波電流にかえて中周波電流を供
給して加熱するようにしてもよい。
は、誘導加熱コイル2による高周波電流でオープンパイ
プOPの相対向するエッジ部E、Eを加熱する例を示し
たが、コンタクトチップによる高周波電流でオープンパ
イプOPの相対向するエッジ部E、Eを加熱するように
してもよい。或いは高周波電流にかえて中周波電流を供
給して加熱するようにしてもよい。
【0016】
【実施例】C:0.07%、Mn:1.30%、Nb:0.066
%、Ti:0.046 %を含有する鋼帯から外径168.3mm 、
肉厚5.6mm の電縫鋼管および外径50.8mm、肉厚5.6mm の
電縫鋼管を製造した。製造に際しては、誘導加熱コイル
と衝合溶接点との間に配置されたガスシールド消耗電極
式アーク溶接装置で、C:0.19%、Mn:2.09%、N
b:0.066 %、Ti:0.046%を含有する径1.2mm およ
び径1.6mm のワイヤを溶融させつつ、その溶融金属を加
熱後のオープンパイプの被溶接面に添加した。
%、Ti:0.046 %を含有する鋼帯から外径168.3mm 、
肉厚5.6mm の電縫鋼管および外径50.8mm、肉厚5.6mm の
電縫鋼管を製造した。製造に際しては、誘導加熱コイル
と衝合溶接点との間に配置されたガスシールド消耗電極
式アーク溶接装置で、C:0.19%、Mn:2.09%、N
b:0.066 %、Ti:0.046%を含有する径1.2mm およ
び径1.6mm のワイヤを溶融させつつ、その溶融金属を加
熱後のオープンパイプの被溶接面に添加した。
【0017】ワイヤの溶融金属の添加は、エッジ端面ギ
ャップが0乃至2mmの地点においてアークを点弧し、ワ
イヤを溶融させて行った。
ャップが0乃至2mmの地点においてアークを点弧し、ワ
イヤを溶融させて行った。
【0018】比較のため、前記の化学組成の鋼帯から同
じサイズの電縫鋼管を一般の電縫溶接法および高周波電
流による加熱部全体を箱で覆いN2 ガスを通流すること
によって加熱部酸化を防止したN2 シールド電縫溶接法
によって製造した。
じサイズの電縫鋼管を一般の電縫溶接法および高周波電
流による加熱部全体を箱で覆いN2 ガスを通流すること
によって加熱部酸化を防止したN2 シールド電縫溶接法
によって製造した。
【0019】図3および図4に総溶接欠陥長さとワイヤ
直下のエッジ端面間ギャップ(アークを点弧し、ワイヤ
の溶融金属を添加した地点)との関係を調べた結果を、
一般の電縫溶接法およびN2 シールド電縫溶接法で製造
した電縫鋼管における総溶接欠陥長さのレベルとともに
示す。また、図5に加熱後のオープンパイプのエッジ端
面ギャップが0.5mm の地点で、径 1.2mmの前記ワイヤの
溶融金属を被溶接面へ添加して衝合溶接した外径168.3m
m 、肉厚5.6mm の電縫鋼管および一般の電縫溶接法で製
造した同サイズの電縫鋼管におけるそれぞれの溶接部断
面について、EPMAにてMnの線分析を行った結果を
示す。
直下のエッジ端面間ギャップ(アークを点弧し、ワイヤ
の溶融金属を添加した地点)との関係を調べた結果を、
一般の電縫溶接法およびN2 シールド電縫溶接法で製造
した電縫鋼管における総溶接欠陥長さのレベルとともに
示す。また、図5に加熱後のオープンパイプのエッジ端
面ギャップが0.5mm の地点で、径 1.2mmの前記ワイヤの
溶融金属を被溶接面へ添加して衝合溶接した外径168.3m
m 、肉厚5.6mm の電縫鋼管および一般の電縫溶接法で製
造した同サイズの電縫鋼管におけるそれぞれの溶接部断
面について、EPMAにてMnの線分析を行った結果を
示す。
【0020】図3および図4から、いずれのパイプサイ
ズにおいても、エッジ端面ギャップが使用ワイヤの直径
以下の地点でアークを点弧し、ワイヤを溶融させつつそ
の溶融金属を接合面に添加して衝合溶接したものは、一
般の電縫溶接法およびN2 シールド電縫溶接法で製造し
たものに比べ、単位長さ当たりの総溶接欠陥長さが大幅
に減少していることがわかる。しかし、ワイヤを溶融さ
せつつその溶融金属を接合面に添加して衝合溶接して
も、エッジ端面ギャップが使用ワイヤの径を超える地点
で添加したものは、前述の理由により顕著な溶接欠陥防
止効果は得られていない。
ズにおいても、エッジ端面ギャップが使用ワイヤの直径
以下の地点でアークを点弧し、ワイヤを溶融させつつそ
の溶融金属を接合面に添加して衝合溶接したものは、一
般の電縫溶接法およびN2 シールド電縫溶接法で製造し
たものに比べ、単位長さ当たりの総溶接欠陥長さが大幅
に減少していることがわかる。しかし、ワイヤを溶融さ
せつつその溶融金属を接合面に添加して衝合溶接して
も、エッジ端面ギャップが使用ワイヤの径を超える地点
で添加したものは、前述の理由により顕著な溶接欠陥防
止効果は得られていない。
【0021】また、図5から、一般の電縫溶接法で製造
したもの(従来例)は溶接面上にフェライトバンドと呼
ばれる脱合金成分層が形成され、溶接部におけるMnの
低下が認められるが、加熱後のオープンパイプのエッジ
端面ギャップが0.5mm の地点でアークを点弧し、ワイヤ
を溶融させつつその溶融金属を接合面に添加して衝合溶
接した本発明例ではMn濃度の低下は認められず、溶接
部のMn濃度は母材のそれとほとんど差がないことがわ
かる。これは電縫溶接部へワイヤの成分が添加されたこ
とを意味しており、エッジ端面間ギャップを使用ワイヤ
の径以上として埋もれアーク状態をとらなくてもワイヤ
成分の添加が可能であることを示している。なお、Mn
以外の元素についても同様に濃度低下は認められなかっ
た。
したもの(従来例)は溶接面上にフェライトバンドと呼
ばれる脱合金成分層が形成され、溶接部におけるMnの
低下が認められるが、加熱後のオープンパイプのエッジ
端面ギャップが0.5mm の地点でアークを点弧し、ワイヤ
を溶融させつつその溶融金属を接合面に添加して衝合溶
接した本発明例ではMn濃度の低下は認められず、溶接
部のMn濃度は母材のそれとほとんど差がないことがわ
かる。これは電縫溶接部へワイヤの成分が添加されたこ
とを意味しており、エッジ端面間ギャップを使用ワイヤ
の径以上として埋もれアーク状態をとらなくてもワイヤ
成分の添加が可能であることを示している。なお、Mn
以外の元素についても同様に濃度低下は認められなかっ
た。
【0022】
【発明の効果】以上説明したごとく、本発明の電縫管の
製造方法によれば、ベネトレータ等の溶接欠陥の発生は
無論のこと、従来の製造方法で達成し得なかったアップ
セット不足に起因する溶接部割れの発生が確実に防止さ
れ常に安定した溶接品質が得られるとともに溶接面上に
生成される脱合金成分層の改質が可能となるため、溶接
部靭性および耐食性が飛躍的に向上する。
製造方法によれば、ベネトレータ等の溶接欠陥の発生は
無論のこと、従来の製造方法で達成し得なかったアップ
セット不足に起因する溶接部割れの発生が確実に防止さ
れ常に安定した溶接品質が得られるとともに溶接面上に
生成される脱合金成分層の改質が可能となるため、溶接
部靭性および耐食性が飛躍的に向上する。
【図1】本発明に係わる溶接管の製造方法を示す上面か
らみた模式図である。
らみた模式図である。
【図2】本発明に係わる溶接管の製造方法を示す側面か
らみた模式図である。
らみた模式図である。
【図3】それぞれの電縫溶接法で外径168.3mm 、肉厚5.
6mmの溶接管を製造したときの総溶接欠陥長さをワイヤ
直下のエッジ端面間ギャップとの関係で調べた結果を示
すグラフである。
6mmの溶接管を製造したときの総溶接欠陥長さをワイヤ
直下のエッジ端面間ギャップとの関係で調べた結果を示
すグラフである。
【図4】それぞれの電縫溶接法で外径50.8mm、肉厚5.6m
m の溶接管を製造したときの総溶接欠陥長さをワイヤ直
下のエッジ端面間ギャップとの関係で調べた調べた結果
を示すグラフである。
m の溶接管を製造したときの総溶接欠陥長さをワイヤ直
下のエッジ端面間ギャップとの関係で調べた調べた結果
を示すグラフである。
【図5】一般の電縫溶接法および本発明法で製造した溶
接管の溶接部断面について、EPMAにてMnの線分析
を行った結果を示すグラフである。
接管の溶接部断面について、EPMAにてMnの線分析
を行った結果を示すグラフである。
【図6】一般の電縫溶接法による溶接管の製造方法を示
す上面からみた模式図である。
す上面からみた模式図である。
1はシームガイドロール、2は誘導加熱コイル、3はス
クイズロール、4は衝合溶接点、5はガスシールド消耗
電極式アーク溶接装置、6は溶接トーチ、7はワイヤ、
OPはオープンパイプ、Eはエッジ部、Pは溶接管、で
ある。
クイズロール、4は衝合溶接点、5はガスシールド消耗
電極式アーク溶接装置、6は溶接トーチ、7はワイヤ、
OPはオープンパイプ、Eはエッジ部、Pは溶接管、で
ある。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】オープンパイプの相対向する両エッジ部を
加熱溶融させ、スクイズロールによってアップセットを
かけつつ衝合溶接する溶接管の製造方法において、ガス
シールド消耗電極式アーク溶接装置を前記オープンパイ
プが衝合溶接される直前の上方に配置し、オープンパイ
プの両エッジ間隙が前記アーク溶接で使用するワイヤの
直径以下となる地点で、アークを点弧することによって
連続供給されるワイヤを溶融させつつ、その溶融金属を
被溶接面に添加することを特徴とする溶接管の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18232091A JPH0523869A (ja) | 1991-07-23 | 1991-07-23 | 溶接管の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18232091A JPH0523869A (ja) | 1991-07-23 | 1991-07-23 | 溶接管の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0523869A true JPH0523869A (ja) | 1993-02-02 |
Family
ID=16116250
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP18232091A Pending JPH0523869A (ja) | 1991-07-23 | 1991-07-23 | 溶接管の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0523869A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102085987A (zh) * | 2009-12-07 | 2011-06-08 | 株式会社日立制作所 | 双层电梯以及双层电梯的控制方法 |
CN103008843A (zh) * | 2012-12-11 | 2013-04-03 | 上海市电力公司 | 一种大口径管母焊接工艺 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS623879A (ja) * | 1985-06-28 | 1987-01-09 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 電縫鋼管の製造方法 |
-
1991
- 1991-07-23 JP JP18232091A patent/JPH0523869A/ja active Pending
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS623879A (ja) * | 1985-06-28 | 1987-01-09 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 電縫鋼管の製造方法 |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102085987A (zh) * | 2009-12-07 | 2011-06-08 | 株式会社日立制作所 | 双层电梯以及双层电梯的控制方法 |
CN103008843A (zh) * | 2012-12-11 | 2013-04-03 | 上海市电力公司 | 一种大口径管母焊接工艺 |
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