JPH0521078Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は歯科のＸ線写真撮影に用いられる歯科
用Ｘ線フイルム包装体に関する。

［従来の技術］ 一般に、歯科用Ｘ線フイルムは、Ｘ線は透過す
るが光線は透過しない袋状の包装体に収納され、
このＸ線フイルムを収納した包装体を口腔内に挿
入して患部のＸ線写真撮影が行なわれる。このよ
うな歯科用Ｘ線フイルム包装体を図により説明す
る。

第３図ａは従来の歯科用Ｘ線フイルム包装体の
平面図、第３図ｂは第３図ａの線ｂに沿う断面
図である。図で、１は不透明で、かつ、Ｘ線を透
過する合成樹脂シートを用いて構成された包装体
である。２は包装体１の上面、３は下面、４は上
面２の一端部を折り返して下面３の内側に挿入さ
れた折返し部、５，６は包装体１の側縁、７は下
面３と折返し部４とを接着する接着剤、８は包装
体１内に包み込まれたＸ線フイルムである。側縁
５，６において上面２と下面３を溶着することに
より、Ｘ線フイルム８は包装体１内に密封され、
これにより歯科用Ｘ線フイルム包装体が構成され
る。この歯科用Ｘ線フイルム包装体は歯の患部の
撮影において、第４図に示すように使用される。

第４図は口腔の一部断面図である。図で、１１
は上下の歯、１２は歯肉、１３は歯１１内の歯
髄、１４は頬、１５は舌である。又、１は第３図
ａ，ｂに示す歯科用Ｘ線フイルム包装体、８は同
じくＸ線フイルムである。１６は歯科用Ｘ線フイ
ルム包装体１を支持するための支持部材を示す。

Ｘ線撮影を行なう場合、まず、支持部材１６の
端面を接着剤により歯科用Ｘ線フイルム包装体１
の適宜個所に接着する。次に、歯科用Ｘ線フイル
ム包装体１を患部近傍における頬１４とは反対側
の舌側部に位置せしめる。このとき、支持部材１
６は歯科用Ｘ線フイルム包装体１からほぼ垂直に
頬１４の方向に突出する。次いで、この突出した
支持部材１６を上下の歯１１で噛む。この状態
で、歯科用Ｘ線フイルム包装体１は口腔内におい
て支持されており、矢印Ｘに示すようにＸ線を照
射することにより、Ｘ線フイルム８上に患部のＸ
線像を得ることができる。

しかしながら、このような支持部材１６の使用
は１回の撮影毎に、これを支持部材収納個所から
取り出して歯科用Ｘ線フイルム包装体１に取付け
る手間を要し、極めて面倒である。しかも、撮影
の目的によつては、このような支持部材１６の使
用が不可能な場合も生じる。このような場合を第
５図により説明する。

第５図は歯内療法時の口腔内の一部断面図であ
る。図で、第４図に示す部分と同一部分には同一
符号を付して説明を省略する。１８は炎症部、１
９は歯１１にあけられた穴、２０は歯髄を抜き取
るクレンザーである。歯内療法は次のようにして
行なわれる。即ち、歯１１の歯根の根端部に炎症
部１８が生じている場合、歯科医師は歯１１の歯
冠部咬合面に穴１９をあけ、ここからクレンザー
２０（抜髄針）を歯髄１３まで挿入して歯髄１３
を抜き取り（抜髄）、同時にリーマ等により歯髄
腔を拡大し（根管拡大）、患部である炎症部１８
に到達する。以後、抜髄後の拡大された歯髄腔を
通して炎症部１８の治療を行なう。炎症部１８の
治療完了後は穴１９に適宜の充填材が充填され、
次いで歯１１に覆いがかぶせられる。

［考案が解決しようとする課題］ ところで、このような歯内療法において、クレ
ンザ２０の先端が歯髄部のどの位置に達していて
炎症部１８までどれだけの間隔があるかを知るこ
とは、治療を適正に実施するために極めて重要な
事項である。そして、これを知るためには、クレ
ンザー２０又はリーマを挿入した状態でＸ線撮影
を行なう。このような状態でのＸ線撮影では、上
下の歯１１を噛み合わせることはできないので、
歯科用Ｘ線フイルム包装体１を支持するために第
４図に示す支持部材１６を使用することはできな
いのは明らかである。そこで、上記歯内療法にお
けるＸ線撮影時のＸ線フイルム包装体の支持固定
は、従来においては、Ｘ線フイルム包装体を指で
抑えたり、単に歯１１に寄りかかるように載置す
る等の手段がとられていた。しかしながら、この
ような手段では、歯科用Ｘ線フイルム包装体１の
支持は非常に不安定なものとなり、撮影中に歯科
用Ｘ線フイルム包装体１が動いて明瞭なＸ線像を
得ることができない事態がしばしば生じていた。

本考案は、このような事情に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、従来の問題を解決し、Ｘ
線フイルムを容易かつ確実に支持することができ
る歯科用Ｘ線フイルム包装体を提供するにある。

［課題を解決するための手段］ この目的を達成するため、本考案は、Ｘ線フイ
ルムと、Ｘ線を透過する不透明シートであつて当
該Ｘ線フイルムを収納する包装体とで構成された
歯科用Ｘ線フイルム包装体において、前記包装体
の一方側面上に粘膜に貼着可能な接着剤を設けた
ことを特徴とする。

［作用］ 歯科用Ｘ線フイルム包装体に設けられた接着剤
をＸ線撮影対象部分の歯肉に押し付けると、歯科
用Ｘ線フイルム包装体は歯肉に接着した状態で保
持される。

［実施例］ 以下、本考案を図示の実施例に基づいて説明す
る。

第１図ａは本考案の実施例に係る歯科用Ｘ線フ
イルム包装体の平面図、第１図ｂは第１図ａの線
ｂに沿う断面図である。図で、第３図ａ，ｂに
示す部分と同一部分には同一符号を付して説明を
省略する。２２は人体の皮膚や粘膜に接着するこ
とができる粘膜接着剤であり、歯科用Ｘ線フイル
ム包装体１の上面２の一部に塗布されている。こ
のような接着剤は近年種々研究されている接着剤
であり、水溶性ポリマーを主成分とし、例えば心
電図を作成する場合の電極を人体へ接着する場合
の接着剤として研究されており、実用の段階に達
している。このような接着剤は合成樹脂が主成分
であり、鉛等の混入がないことから、Ｘ線を透過
する性質を有する。２３は粘膜接着剤２２上を覆
う剥離紙である。

このような歯科用Ｘ線フイルム包装体の使用方
法を第２図に基づいて説明する。第２図は第４図
および第５図に示すものと同じく口腔内の一部断
面図であり、第４図および第５図に示す部分と同
一部分には同一符号を付して説明を省略する。Ｘ
線撮影時、まず本実施例の歯科用Ｘ線フイルム包
装体をとり出して剥離紙２３を剥離する。この状
態で粘膜接着剤２２が表面に露出する。次に、撮
影対象となる患部近辺において、歯科用Ｘ線フイ
ルム包装体１を歯１１の舌側部の適正位置に位置
づけし、その位置において、露出している粘膜接
着剤２２を歯肉１２に押しつける。これにより歯
科用Ｘ線フイルム包装体１は歯肉１２に接着さ
れ、確実に支持される。この状態でＸ線が照射さ
れ、照射後歯科用Ｘ線フイルム包装体１は歯肉１
２から剥離される。この剥離は歯肉１２を傷つけ
ることなく容易になされる。

このように、本実施例では、粘膜接着剤を歯科
用Ｘ線フイルム包装体の一方の面の一部に塗布
し、Ｘ線撮影時に当該粘膜接着剤を歯肉に接着し
て歯科用Ｘ線フイルム包装体を支持するようにし
たので、何等の支持部材も使用することなく、容
易かつ確実に支持することができる。又、歯内療
法における歯科用Ｘ線フイルム包装体の支持も歯
内療法の施行に何等支障なく行なうことができ
る。

なお、上記実施例の説明では、粘膜接着剤は一
方の面の一部に塗布するものとして説明したが、
塗布の個所は任意に選択することができ、又、一
方の面の全面や両方の面の一部又は全面に塗布す
ることもできる。

［考案の効果］ 以上述べたように、本考案では、歯科用Ｘ線フ
イルム包装体の側面上に、粘膜に接着可能な接着
剤を設けたので、Ｘ線撮影時に、容易かつ確実に
歯科用Ｘ線フイルム包装体を支持することがで
き、又、歯内療法におけるＸ線撮影も何等支障な
く行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂは本考案の実施例に係る歯科用Ｘ
線フイルム包装体の平面図および断面図、第２図
は第１図ａ，ｂに示す歯科用Ｘ線フイルム包装体
を使用したときの口腔内の一部の断面図、第３図
ａ，ｂは従来の歯科用Ｘ線フイルム包装体の平面
図および断面図、第４図は従来の歯科用Ｘ線フイ
ルム包装体を使用したときの口腔内の一部の断面
図、第５図は歯内療法時の口腔内の一部の断面図
である。 １……包装体、２……上面、３……下面、４…
…折返し部、７……接着剤、８……Ｘ線フイル
ム、２２……粘膜接着剤、２３……剥離紙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. Ｘ線フイルムと、Ｘ線を透過する不透明シート
   より成りかつ前記Ｘ線フイルムを収納する包装体
   とで構成される歯科用Ｘ線フイルム包装体におい
   て、前記包装体の側面上に粘膜に貼着可能な接着
   剤を設けたことを特徴とする歯科用Ｘ線フイルム
   包装体。