JPH0447709Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、歯のＸ線撮影に用いられる歯科用Ｘ
線フイルム包装体を撮影時に収納する歯科用Ｘ線
フイルム包装体の収納具に関する。

〔従来の技術〕

歯のＸ線撮影を行う場合には、Ｘ線フイルム
を、Ｘ線は透過するが光線に対しては不透過な包
装体で包装した歯科用Ｘ線フイルム包装体が用い
られる。このような歯科用Ｘ線フイルム包装体を
図により説明する。

第４図は歯科用Ｘ線フイルム包装体の平面図で
ある。図で、１は不透明で柔軟な合成樹脂等を用
いて作られた包装体であり、Ｘ線は透過するが光
線は透過しない。２は包装体１内に密封されたＸ
線フイルムである。

歯のＸ線撮影を行う場合には、歯科医師は、歯
科用Ｘ線フイルム包装体を患者の口腔中に挿入し
て撮影対象となる歯に当接し、歯科用Ｘ線フイル
ム包装体の反対側からＸ線を照射する。これによ
り、Ｘ線フイルム２に歯のＸ線潜像が得られる。
歯科医師は、患者の口腔中から歯科用Ｘ線フイル
ム包装体を取り出し、暗室又は暗箱内で包装体１
を破つてＸ線フイルム２を取り出し、現像処理を
行う。このようにして、Ｘ線フイルム２上に前記
撮影対象となる歯のＸ線像を得ることができる。
歯科医師は、このＸ線像に基づいて診断や治療を
行う。

〔考案が解決しようとする課題〕

ところで、Ｘ線撮影を行う場合、歯科医師は、
口腔中へ歯科用Ｘ線フイルム包装体を挿入し、口
腔中からこれを取り出し、さらに、現像処理のた
め包装体１を破つてＸ線フイルムを取り出すとい
う作業を行うので、歯科用Ｘ線フイルム包装体に
大量に付着した患者の唾液が、歯科医師にも付着
するのを避けることは出来なかつた。そして、こ
のような唾液の付着は、歯科医師にとつて不快感
を生ぜしめるばかりでなく、歯科医師の指に傷が
ある場合には、唾液中のウイルスが傷から侵入し
て歯科医師自身が病に犯されるという慮があつ
た。

本考案の目的は、上記従来技術の問題点を解決
し、唾液の付着を防止することができる歯科用Ｘ
線フイルム包装体の収納具を提供するにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するため、本考案は、歯科用
Ｘ線フイルム包装体の収納具を、開口部を除く周
辺が互いに溶着された２枚の柔軟なシートより成
る収納部と、この収納部に前記開口部から挿入さ
れた歯科用Ｘ線フイルム包装体と、前記開口部の
各シートに連結され前記収納部が口腔内に挿入さ
れたときこの口腔外に突出する２枚の柔軟なシー
トより成る掴み部とで構成され、前記開口部の一
方のシート及びこのシートに連結された掴み部の
シートの各連結部近辺の部分を前記歯科用Ｘ線フ
イルム包装体を封じる折り込み部としたことを特
徴とする。

又、本考案は、上記収納部に符号部を設けたこ
とをも特徴とする。

〔作用〕

Ｘ線撮影を行う場合、歯科用Ｘ線フイルム包装
体は収納部に挿入され、連結部近辺の開口部シー
ト及び掴み部シートは挿入されている歯科用Ｘ線
フイルム包装体をつつみ込むように折り込まれ
る。この状態で、歯科医師は、収納部を患者の撮
影対象の歯の所定位置におく。Ｘ線照射後、歯科
医師は掴み部を持つて収納部を患者の口腔中から
取り出し、掴み部を両側に引張つて又は引き裂い
て収納部を開きあるいは収納部を引き裂く。これ
により、歯科用Ｘ線フイルム包装体は収納部から
脱落し又は取り出すことができる。脱落し又は取
り出した歯科用Ｘ線フイルム包装体には唾液は付
着していない。この歯科用Ｘ線フイルム包装体を
引き剥がして、Ｘ線フイルムを取り出し現象処理
を行う。

〔実施例〕

以下、本考案を図示の実施例に基づいて説明す
る。

第１図ａ，ｂ，ｃ，ｄは本考案の実施例に係る
歯科用Ｘ線フイルム包装体の収納具の平面図及び
線１ｂ〜１ｂ，１ｃ〜１ｃ，１ｄ〜１ｄに沿う断
面図である。図で、３は収納部を示す。３ａ，３
ｂはそれぞれＸ線を透過する柔軟な合成樹脂のシ
ートである。シート３ａ，３ｂの縁部は、図で下
部を残して溶着され、これにより袋状の収納部３
が形成される。４は掴み部を示す。４ａ，４ｂは
それぞれシート３ａ，３ｂと連続したシートであ
りシート３ａ，３ｂよりも幅が狭く、かつ、長さ
が長く形成されている。シート４ａ，４ｂは分離
されている。７は、シート３ａ，３ｂの縁部の溶
着部分を示す。８は収納部の開口部（溶着されて
いない部分）、９は開口部８の近辺のシート３ａ，
３ｂの一方、及びそのシートに連続する掴み部の
シート４ａ，４ｂの１方により形成される折り込
み部を示す。この折り込み部については後述す
る。１０は収納部３のシート３ａに設けられた符
号部である。符号部１０は第１図ｃに示されるよ
うに、シート１０ａ、このシート１０ａ上に鉛イ
ンクで形成された符号（図では数字「50」１０
ｂ、およびシート３ａに付着するための接着剤層
１０ｃで構成されている。なお、符号部１０はシ
ート３ｂに設けてもよいし、又、収納部３の内面
に設けてもよい。

Ｘ線撮影を行う場合、歯科医師は開口部８を開
いて歯科用Ｘ線フイルム包装体を収納部３に挿入
する。歯科用Ｘ線フイルム包装体を挿入した後、
折り込み部９を折り込んで、歯科用Ｘ線フイルム
包装体をこの部分９で包み込むようにして収納部
に封じ込む。この状態が第２図に示されている。
第２図で、第１図ａ〜ｄに示す部分と同一部分に
は同一符号が付してある。折り込む部分は、シー
ト３ａとシート４ａの連続部分、または、シート
３ｂとシート４ｂの連続部分であり、第２図では
後者の場合が示されている。これにより、歯科用
Ｘ線フイルム包装体の抜け出しと、唾液の侵入を
防止することができる。

撮影終了後歯科医師は掴み部４を持ち、収納部
３を患者の口腔中から取り出し、一方の手でシー
ト４ａを、他方の手でシート４ｂを掴み、これら
を両方に引つ張ると、折り込み部９が引き出され
てもとの状態（第１図ｂに示す状態）に戻り開口
部８が開く。さらにこの引つ張りを継続すると、
収納部３の溶着部７が引き剥がされてゆく。この
状態を第５図の収納具の斜視図で示す。シート３
ａ，３ｂの引き剥ぎが継続すると、ついには歯科
用Ｘ線フイルム包装体は収納部３から脱落する。
脱落した歯科用Ｘ線フイルム包装体は、それまで
収納部３内に収納されていたので、患者の唾液は
付着していない。この歯科用Ｘ線フイルム包装体
は、暗室又は暗箱内で包装体１を破かれ、Ｘ線フ
イルム２が取り出され、現象処理される。これに
よりＸ線フイルム２上に歯のＸ線像及び符号のＸ
線像が得られる。尚、上記実施例では符号部を設
ける例を挙げたが、符号部は必ずしも必要でな
く、必要に応じて設ければよい。

〔考案の効果〕

以上述べたように、本考案では、歯科用Ｘ線フ
イルム包装体を収納部に収納してＸ線撮影を行う
ようにしたので、患者の唾液が歯科医師に付着す
るのを確実に防止することができる。また、収納
部に柔軟なシートを用いることにより、歯科用Ｘ
線フイルム包装体を直接口腔内に入れた場合に比
べて、患者の不快感をより一層和らげることがで
きる。さらに、患者の不快感の緩和は、収納部の
周辺を溶着により丸みを帯びた形状とすることに
より効果あるものとなる。さらにまた、歯科用Ｘ
線フイルム包装体を収納部に封じるため、接着剤
を使用せず、単に、折り込み部を折り込むだけで
あるので、製造も取り扱いも極めて容易となる。

又、符号部を設けた場合は、現像済みのＸ線フ
イルムの識別に極めて便利である。

【図面の簡単な説明】

第１図ａ，ｂ，ｃ，ｄは本考案の実施例にかか
る歯科用Ｘ線フイルム包装体の収納具の平面図及
び線１ｂ〜１ｂ，１ｃ〜１ｃ，１ｄ〜１ｄに沿う
断面図、第２図は第１図ｂに示す収納部に歯科用
Ｘ線フイルム包装体を封入した状態の断面図、第
３図は収納具を引き剥がす状態を示す斜視図、第
４図は歯科用Ｘ線フイルム包装体の平面図であ
る。 １……包装体、３……収納部、３ａ，３ｂ，４
ａ，４ｂ……シート、４……掴み部、８……開口
部、９……折り込み部、１０……符号部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 開口部を除く周辺が互いに溶着された２枚の
   柔軟なシートより成る収納部と、この収納部に
   前記開口部から挿入された歯科用Ｘ線フイルム
   包装体と、前記開口部の各シートに連結された
   前記収納部が口腔内に挿入されたときこの口腔
   外に突出する２枚の柔軟なシートより成る掴み
   部とで構成され、前記開口部の一方のシート及
   びこのシートに連結された掴み部のシートの各
   連結部近辺の部分を前記歯科用Ｘ線フイルム包
   装体を封じる折り込み部としたことを特徴とす
   る歯科用Ｘ線フイルム包装体の収納具。 (2) 請求項(1)記載の歯科用Ｘ線フイルム包装体の
   収納具において、前記収納部の所定個所に、Ｘ
   線フイルムに符号のＸ線像を付与する符号部を
   設けたことを特徴とする歯科用Ｘ線フイルム包
   装体の収納具。