JPH0517723A - 接着剤組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 螺着部材の螺合面の少なくとも一方に塗布し
て螺着時に螺合面を接合する螺着部材の緩み止めや密封
を目的とした接着剤組成物であって、反応性モノマーと
該モノマーの重合開始剤乃至活性剤からなる反応性接着
成分のうち少なくとも上記モノマーをマイクロカプセル
に内包して光硬化性樹脂組成物からなるバインダー中に
分散させた接着剤組成物。 【効果】 反応性接着成分のうち少なくとも反応性モノ
マーはマイクロカプセル内に含まれているため、螺着部
材の締め付け時にマイクロカプセルを破壊すると、上記
モノマーがバインダー中に流出し、ここで重合開始剤乃
至その活性剤の作用で重合反応を行なうので、螺着部材
の緩み止めや密封を確実に行なうことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えばネジ、ボル
ト、ナット等の螺着部材の螺合面（ネジ山）に塗布して
螺着時における緩み止めや密封を目的とする接着剤組成
物に関する。

【０００２】

【従来の技術】ネジ、ボルト、ナット等の螺合面に塗布
して螺着時における緩み止めや密封を目的とした接着剤
組成物は従来より多くのものが知られている。このう
ち、反応性接着剤を内包したマイクロカプセルとバイン
ダーとしての樹脂を有機溶剤又は水に分散させてスラリ
ー状の液体又はペースト状の接着剤組成物が特公昭45-1
1051号、 特公昭54-1737 号、 特公昭52-46339号、 特開昭
1-27684 号、 特開昭1-128918号等の公報に開示されてい
る。

【０００３】これらの接着剤組成物は螺着時にマイクロ
カプセルを破壊してカプセル内の接着剤を流出せしめて
螺着部材相互の接着を強固なものとすることを目的とす
るものである。

【０００４】しかし、これらの接着剤組成物は螺着部材
の螺合面にコーティングするために乾燥を必要とし、ま
た乾燥工程において有機溶剤を含む組成物であれば有機
溶剤のガスが発生するという作業衛生上の問題がある。

【０００５】また、水を含む組成物であれば、普通の乾
燥温度であれば乾燥工程に時間が掛かるため、加熱が必
要となり、このためマイクロカプセルに内包された反応
性接着剤の保存安定性が損なわれる欠点を持つ。

【０００６】一方、乾燥工程を室温で短時間に行なわせ
る目的で、紫外線等の放射線による光硬化性樹脂のモノ
マー乃至オリゴマーをバインダーとして、このなかに不
透明な充填剤、放射線に露出したときに前記モノマー乃
至オリゴマーの重合を開始する光開始剤と、前記重合体
またはオリゴマーの重合を開始する遊離基重合開始剤乃
至その活性剤を内包したマイクロカプセルを含ませるよ
うにした接着剤組成物が特公平3-8393号公報に開示され
ている。

【０００７】この接合機構は、光硬化性樹脂よりなるバ
インダー中に不透明な充填剤が含まれているため、紫外
線等の放射線はバインダーの内部にまで届かず、紫外線
で露出されるバインダーの表面で光開始剤によってバイ
ンダーの重合が行なわれる。この状態では螺合面に塗布
した接着剤組成物は表面だけがフィルム状に硬化して内
部はマイクロカプセルを含んだペースト状態のままであ
る。

【０００８】即ち、螺合面にコーティングされた接着剤
はフィルムに覆われたペースト状のため、ネジの締め付
けの初期に抵抗が少なく、そして締め付けによりマイク
ロカプセルを破壊し、これに内包される重合開始剤乃至
その活性剤により重合体、オリゴマー、モノマーを重合
反応させてネジの接着・密封効果を発揮させるものであ
る。

【０００９】

【発明の解決しようとする問題点】しかし、この接着剤
においては螺合面にコーティングされて長期間放置され
ると、未硬化の接着剤が日光や熱により硬化してしま
い、したがってネジを締めてマイクロカプセル内の重合
開始剤、活性剤が出てきても重合反応は起らず、ネジの
接着・密封効果が得られないという欠点がある。

【００１０】また、上記のフィルムは無機の充填剤を含
んでいるため、破れやすく、ボルト等の螺着部材を持ち
運ぶ流通の段階でベースト状の未硬化の接着剤が流失す
るという欠点がある。

【００１１】

【問題点を解決するための手段】そこで、この発明では
螺着部材の螺合面の少なくとも一方に塗布して螺着時に
螺合面を接合する接着剤組成物において、反応性モノマ
ーと該モノマーの重合開始剤と必要に応じて加えられる
上記重合開始剤の活性剤とからなる反応性接着成分のう
ち少なくとも反応性モノマーをマイクロカプセルに内包
して光硬化性樹脂組成物からなるバインダー中に分散さ
せた接着剤組成物を提案するものである。

【００１２】具体的には、この発明に係る接着剤組成物
としては、反応性モノマーと重合開始剤を別々にマイ
クロカプセルに内包して光硬化性樹脂組成物からなるバ
インダー中に分散させた接着剤組成物、反応性モノマ
ーと重合開始剤を内包するマイクロカプセルと活性剤を
内包するマイクロカプセルを光硬化性樹脂組成物からな
るバインダー中に分散させた接着剤組成物、反応性モ
ノマーと重合開始剤を内包するマイクロカプセルと反応
性モノマーと活性剤を内包するマイクロカプセルを光硬
化性樹脂組成物からなるバインダー中に分散させた接着
剤組成物、反応性モノマーと重合開始剤を内包するマ
イクロカプセルと活性剤を光硬化性樹脂組成物からなる
バインダー中に分散させた接着剤組成物、反応性モノ
マーと活性剤を内包したマイクロカプセルと重合開始剤
を内包したマイクロカプセルを光硬化性樹脂組成物から
なるバインダー中に分散させた接着剤組成物、反応性
モノマーと活性剤を内包したマイクロカプセルと重合開
始剤を光硬化性樹脂組成物からなるバインダー中に分散
させた接着剤組成物、反応性モノマーを内包したマイ
クロカプセルと重合開始剤乃至活性剤を光硬化性樹脂組
成物からなるバインダー中に分散させた接着剤組成物等
を挙げることができる。

【００１３】また、上述ように重合開始剤乃至その活性
剤を光硬化性樹脂組成物に混ぜ込んで使用する替りに、
重合開始剤乃至その活性剤の官能基を有する光硬化性樹
脂を使用することもできる。例えば、アミノ基を持つ有
する光硬化性樹脂を使用することができる。

【００１４】ここで反応性モノマーとしては、反応性ビ
ニルモノマー或はオリゴマー好ましくはアクリルエステ
ルモノマー或はオリゴマーまたはメタアクリルエステル
モノマー或はオリゴマー等を挙げることができ、またエ
ポキシ樹脂を挙げることができる。

【００１５】また、反応性モノマーの重合開始剤として
は、モノマーがアクリル系接着剤である場合には、ラジ
カル発生剤、例えば過酸化ベンゾイル等の過酸化物を挙
げることができる。この場合の重合開始剤の活性剤とし
ては過酸化物のレドックス触媒であるアミンまたはサル
チル酸誘導体等である。

【００１６】モノマーがエポキシ系接着剤である場合に
は、モノマーの重合開始剤としてはアミン、サルチル酸
を挙げることができる。

【００１７】一方、バインダーとして使用する光硬化性
樹脂組成物としては周知の紫外線で硬化する樹脂に光重
合開始剤を含有したである。

【００１８】例えば、反応性ビニルモノマー好ましく
はアクリルエステルモノマーまたはメタアクリルエステ
ルモノマーにベンゾフェノン等の光重合開始剤を含有す
る組成物エポキシ樹脂にオニウム塩などの光重合開始
剤を含有する組成物などを挙げることができる。

【００１９】なお、反応性ビニルモノマー、エポキシ樹
脂、光重合開始剤としては種々のものが知られており、
この発明ではこれらの使用について制限されない。

【００２０】また、バインダーである光硬化性樹脂を選
択することにより、例えば可とう性又はゴム状弾性体を
使用すれば締め付けの抵抗の小さい接着剤組成物とな
り、ガラス転移点の高い樹脂を使用すれば耐熱性の優れ
た接着剤組成物となる。

【００２１】この発明の反応性接着剤のマイクロカプセ
ルと光硬化性樹脂のバインダーの配合比率はこの発明の
組成に対してバインダーが70% 以下であり、70% 以上で
は十分な接着力が得られないからである。

【００２２】この発明においては、便宜、充填剤や潤滑
剤やカプリング剤を添加して対薬品性や接着力の改良、
潤滑性などの機能付与等ができる。

【００２３】

【発明の効果】以上要するに、この発明によれば反応性
接着成分のうち少なくともモノマーはマイクロカプセル
内に含まれているため、螺着部材の締め付け時にマイク
ロカプセルを破壊すると、モノマーがバインダー中に流
出し、ここで重合開始剤乃至その活性剤の作用で重合反
応を行なうので、螺着部材の緩み止めや密封を確実に行
なうことができる。

【００２４】また、バインダーとして光硬化性樹脂組成
物を使用するため、加熱することなく、室温で紫外線等
の放射線を照射するだけでマイクロカプセルを含むバイ
ンダーを螺着部材の螺合面に短時間にコーティングする
ことができる。このため、有機溶剤を含むことなく、作
業衛生上優れており、また加熱がないのでマイクロカプ
セル内の反応性接着剤の保存性が損なわれず、低コスト
で接着効果を挙げることができる。

【００２５】更に、バインダーである光硬化性樹脂を完
全硬化させてマイクロカプセルを保護・固定するので、
螺着部材の流通段階でマイクロカプセルを含むペースト
状の接着剤が流出することがない。また、締付け時の抵
抗が一定値となり、個々の螺着部材間の締付け力にバラ
ツキがなくなる。

【００２６】以下、この発明の実施例を示す。 実施例１〜３ ＴＨＲＥＥ ＢＯＮＤ３０５７Ｄ［光重合開始剤を含む
ＵＶ硬化型アクリル樹脂（株）スリーボンド社製］にマ
イクロカプセル１（ビスフェノールＡ型ジメタクリレー
トとラジカル発生剤を内包したカプセル）とマイクロカ
プセル２［ビスフェノールＡ型ジメタクリレートとＤＭ
ＰＴ（N,N-ジメチル-P- トルイジン：活性剤）を内包し
たカプセル］を下記表１に示す割合で配合、分散し、ボ
ルトに塗布した後、ＵＶ照射（積算光量600mJ/cm²)して
加工ボルトを得た。

【００２７】これに、平ワッシャーを２枚掛け、ナット
にて29.4N・m で締付けた。締付して室温で24時間経過後
破壊トルクを測定した。

【００２８】比較例１ 未加工ボルトに平ワッシャー２枚掛け、ナットにて29.4
N・m で締付して破壊トルクを測定した。

【００２９】実施例４、５ ＴＨＲＥＥ ＢＯＮＤ３０５７Ｄにマイクロカプセル１
と活性剤［サルチル酸誘導体とＤＭＰＴ（N,N-ジメチル
-P- トルイジン) ］を下記表１に示す割合で配合し実施
例１〜３と同様にして破壊トルクを測定した。

【００３０】実施例６ ＴＨＲＥＥ ＢＯＮＤ３０５７Ｄにマイクロカプセル３
（ビスフェノールＡ型エポキシ樹脂内包カプセル）と芳
香族ジアミン［重合開始剤 日本化薬（株）製］とサル
チル酸誘導体（活性剤）を下記表１で示した配合し、締
付して室温で72時間経過後破壊トルクを測定したことを
除いては実施例１〜３と同様にして破壊トルクを測定し
た。

【００３１】実施例７ バインダーをＳＩＮＸ［光重合開始剤を含むＵＶ硬化型
エポキシ樹脂 （株）スリーボンド社製］としたことを
除いては実施例１〜３と同様にして破壊トルクを測定し
た。

【００３２】実施例８ バインダーをＳＩＮＸとしたことを除いては実施例４と
同様にして破壊トルクを測定した。

【００３３】実施例９ ジアルキルアミノアクリルアミド（ＵＶ硬化可能エポキ
シ重合開始剤）とＤＡＲＯＣＵＲＥ １１７３（光重合
開始剤 メルクジャパン社製）をバインダーとしたこと
を除いては実施例６と同様にして破壊トルクを測定し
た。上記実施例及び比較例で測定された破壊トルクは下
記表１に示す。なお、下記表１中Ａ成分とはコーティン
グ膜を形成する成分、Ｂ成分とは接着剤として働く成分
を示す。

【００３４】

【表１】

【００３５】保存安定性試験 実施例２について、加工ボルトを屋外暴露一ケ月間及び
40℃×１ケ月間放置後、平ワッシャーを２枚掛け、29.4
N・m で締付け、24時間後破壊トルクを測定したところ、
下記の如く良好な結果だった。

【００３６】

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁵ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ０９Ｊ 163/00 ＪＦＫ 8416−4Ｊ (72)発明者 中島 国彦 東京都八王子市狭間町1456 株式会社スリ ーボンド内

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 螺着部材の螺合面の少なくとも一方に塗
   布して螺着時に螺合面を接合する接着剤組成物であっ
   て、反応性モノマーと該モノマーの重合開始剤と必要に
   応じて加えられる上記重合開始剤の活性剤からなる反応
   性接着成分のうち少なくとも反応性モノマーをマイクロ
   カプセルに内包して光硬化性樹脂組成物からなるバイン
   ダー中に分散させたことを特徴とする接着剤組成物。
2. 【請求項２】 重合開始剤乃至活性剤の官能基を有する
   光硬化性樹脂組成物を使用する特許請求の範囲第１項の
   接着剤組成物。
3. 【請求項３】 光硬化性樹脂が反応性ビニルモノマーま
   たはエポキシ樹脂で構成される特許請求の範囲第１項記
   載の接着剤組成物。