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JPH05163289A - 新規な免疫抑制物質、mi710−51f6物質およびその製造法 - Google Patents

新規な免疫抑制物質、mi710−51f6物質およびその製造法

Info

Publication number
JPH05163289A
JPH05163289A JP3215451A JP21545191A JPH05163289A JP H05163289 A JPH05163289 A JP H05163289A JP 3215451 A JP3215451 A JP 3215451A JP 21545191 A JP21545191 A JP 21545191A JP H05163289 A JPH05163289 A JP H05163289A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substance
culture
methanol
medium
immunosuppressive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3215451A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaaki Ishizuka
雅章 石塚
Mitsuhiro Ueno
充博 上野
Hironobu Iinuma
寛信 飯沼
Masa Hamada
雅 濱田
Kenji Maeda
謙二 前田
Tomio Takeuchi
富雄 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Microbial Chemistry Research Foundation
Original Assignee
Microbial Chemistry Research Foundation
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Microbial Chemistry Research Foundation filed Critical Microbial Chemistry Research Foundation
Priority to JP3215451A priority Critical patent/JPH05163289A/ja
Publication of JPH05163289A publication Critical patent/JPH05163289A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Compounds Of Unknown Constitution (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】免疫抑制活性と抗菌活性をもつ新規な抗生物
質、MI710−51F6物質に関し、またその製造法
に関する。 【構成】土壌から新たに分離したアミコラトプシス属に
属する微生物の培養液中に優れた免疫抑制活性を有する
抗生物質が生産され蓄積されることが認められた。その
物質は単離してMI710−51F6物質と命名され
た。この物質は免疫抑制活性とグラム陽性細菌に対する
高い抗菌活性を有する新規化合物である。それの化学構
造は未決定である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は免疫抑制活性と抗菌活性
をもつ新規な抗生物質、MI710−51F6物質に関
し、またその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、微生物が生産する免疫抑制物質と
してサイクロスポリンA、FK506および15−デオ
キシスパガリン等が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は臓器移植や免
疫不全疾患に有用な新規な免疫抑制物質を得ることを目
的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは微生物生産
物中に有用な免疫抑制物質を見出す目的で、天然の土壌
より数多くの微生物を単離し、その生産物について種々
の研究を行なった。その結果、本発明者らが土壌から新
たに分離したアミコラトプシス属に属する微生物の培養
液中に優れた免疫抑制活性を有する抗生物質が生産され
蓄積されることを認め、その物質を単離してMI710
−51F6物質と命名し、そしてそれの生物学的および
物理化学的性状を調べてこの物質が免疫抑制活性とグラ
ム陽性細菌に対する高い抗菌活性を有することおよび新
規化合物であることを見出した。
【0005】すなわち、第1の本発明によると、下記の
理化学的性質を有する新規な免疫抑制物質、MI710
−51F6物質が提供されるものである。
【0006】第1の本発明によるMI710−51F6
物質の物理化学的性質は下記の通りである。
【0007】(1)元素分析:元素分析の実測値を次に
示す。
【0008】 C H O N 60.33% 9.52% 27.48% 2.44% (2)FAB(Fast Atom Bombardment)マススペクト
ル:m/z 1343[M+H]+ (3)高分解FAB−MS(EF−FAB[Pos. ]:
71127 212 が推定された。なお、基準物質はP
EG1500を用いた。
【0009】(4)融点:137〜139℃
【0010】
【0011】(8) 1H−NMRスペクトル(400M
Hz):添付図面の図5に示す通りである。重メタノー
ル中メタノール(3.30ppm)を基準物質として測
定した。
【0012】(9)13C−NMRスペクトル(100M
Hz):添付図面の図6に示す通りである。重メタノー
ル中メタノール(49.00ppm)を基準物質として
測定した。
【0013】(10)溶解性:メタノールに可溶、水、
アセトン、エーテル、n−ヘキサンに難溶または不溶で
ある。
【0014】(11)薄層クロマトグラフィー (メルク社製シリカゲル60F254 Art.5554使
用):Rf値を次表に示す。
【0015】
【0016】(12)呈色反応:バニリン硫酸およびア
ニスアルデヒド硫酸に対して陽性である。
【0017】(13)物質の色および性状:無色〜白色
の固体である。
【0018】第1の本発明によるMI710−51F6
物質は後記の如き生物学的活性を有するので、下記の用
途に用いられる。すなわち、本発明によるMI710−
51F6物質は、グラム陽性菌に対して強い抗菌作用を
示すとともにT細胞に選択的なマイトジェンであるコン
カナバリンAによるマウス脾細胞の増殖反応に対し阻害
活性を示し、また混合リンパ球培養反応(Mixed Lymphoc
yte Culture Reaction) において、組織適合抗原依存性
のT細胞増殖反応に対し阻害活性を示した。更に、in v
ivo において、羊赤血球を抗原としたマウスの遅延型過
敏症に抑制活性を示し、またラットの皮膚移植拒絶反応
抑制実験において、拒絶反応を強く阻害し移植片の生着
日数を延長した。
【0019】これらの結果から、T細胞を選択的に阻害
するMI710−51F6物質は、臓器移植や細胞性免
疫反応を介する過敏免疫状態である自己免疫疾患治療に
有用な薬剤としての用途がある。要約すると、MI71
0−51F6物質はグラム陽性菌感染症の治療に有用で
あり、またそれとともに臓器移植や自己免疫疾患に有用
な免疫抑制剤としての用途がある。
【0020】本発明によるMI710−51F6物質の
生理活性を後記の試験で評価した。試験例1 マイトジェンによる脾細胞の増殖反応に対する阻害活性 CDF1 マウスの脾細胞をRPMI1640培地(10
%、牛胎児血清を含む)中にけん濁し、それに供試化合
物としてのMI710−51F6物質を種々な濃度で添
加し、マイトジェン(コンカナバリンAまたはLPS)
添加または無添加にて37℃、5%炭酸ガス濃度条件下
にて脾細胞を72時間培養後、細胞増殖を 3H−チミジ
ンの細胞内取り込み率を基準として判定した。その結果
を表1に示す。
【0021】
【0022】試験例2 混合リンパ球培養反応(Mixed Lymphocyte CultureReact
ion) に対する阻害活性 混合リンパ球培養反応の刺激細胞としてWKYラットの
脾細胞をマイトマイシンC50μg/mlで37℃、2
0分間処理したもの、および反応細胞としてフィッシャ
ーF344ラットの脾細胞のナイロンウール非付着細胞
を用いて、それらの細胞をRPMI1640培地(5
%、牛胎児血清を含む)中にけん濁させ、供試化合物と
してのMI710−51F6物質を種々の濃度で添加し
37℃、5%炭酸ガス濃度条件下で5日間培養した。培
養終了の16〜18時間前に 3H−チミジンを添加し、
それの反応細胞への取り込み率を液体シンチレーション
カウンターにて測定した。その結果を表2に示す。
【0023】
【0024】試験例3 マウス遅延型過敏症に対する効果 CDF1 マウスに羊赤血球(105 個/マウス)を静注
感作後、4日目に羊赤血球(108 個/マウス)を足蹠
に皮下注射し遅延型過敏症を惹起した。試料は感作後1
〜3日目まで各濃度でMI710−51F6物質を含む
溶液を腹腔内投与し、感作5日目にマウス足蹠の厚さを
測定する事により効果を判定した。その結果を表3に示
す。
【0025】
【0026】試験例4 ラット皮膚移植拒絶反応に対する抑制効果 WKYラット(オス、13週令)の尾部より皮膚を採取
し、F344ラット(オス、11週令)の背に移植し
た。移植後1〜9日目までMI710−51F6物質を
腹腔内投与した。判定は薬剤無投与群の移植片離脱平均
日数を100として評価した。その結果を表4に示す。
【0027】
【0028】更に、本発明によるMI710−51F6
物質は或る種の細菌に対して抗菌活性を有する。
【0029】寒天平板希釈法によって測定した各種細菌
および糸状菌に対するMI710−51F6物質の最小
生育阻止濃度(μg/ml)の測定結果を表5a及び表
5bに示す。
【0030】
【0031】
【0032】更に、第2の本発明によると、アミコラト
プシス属に属するMI710−51F6物質生産菌を培
養し、その培養物からMI710−51F6物質を採取
することを特徴とする新規な免疫抑制物質、MI710
−51F6物質の製造法が提供される。
【0033】本発明の方法に用いるMI710−51F
6物質生産菌はアミコラトプシス属の菌株でMI710
−51F6物質生産能を有するものであれば良く、特に
限定はない。使用できるMI710−51F6物質生産
菌の一例には昭和63年3月、神奈川県葉山町の土壌よ
り分離された放線菌でMI710−51F6の菌株番号
が付された菌株がある。
【0034】以下、MI710−51F6株の菌学的性
状について述べる。
【0035】1.形態 よく分枝した基生菌糸は、しばしばジクザグ状を呈し、
また分断が認められる。気菌糸は直状あるいは波状で、
分断を認め、10個以上の円筒形の胞子を形成する。胞
子の大きさは約0.3〜0.5×1.4ミクロンで、表
面は平滑である。なお、胞子のうおよび輪生枝形成は認
められない。非抗酸生である。 2.各種培地における生育状態 色の記載について[ ]内に示す標準は、コンティナー
・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー・ハーモ
ニー・マニュアル(Container Corporationof America
のcolor harmony manual) を用いた。
【0036】(1)シュクロース・硝酸塩寒天培地(3
0℃培養) 無色〜うす黄だいだい[3ea,Lt Melon Yellow ]の発
育上に、うす黄だいだい[3ca,Shell ]の気菌糸を着
生する。溶解性色素は認められない。
【0037】(2)グルコース・アスパラギン寒天培地
(30℃培養) 無色〜うす黄[2gc,Bamboo]の発育上に、茶白[3b
a,Pearl ]〜うす黄だいだい[3ca,Shell ]の気菌
糸を着生し、溶解性色素は認められない。
【0038】(3)グリセリン・アスパラギン寒天培地
(ISP−培地5、30℃培養) うす黄だいだい[3ea,Lt Melon Yellow ]の発育上
に、黄味灰[2ca,LtIvory]〜うす黄だいだい[3e
a,Lt Melon Yellow ]の気菌糸を着生し、溶解性色素
は認められない。
【0039】(4)スターチ・無機塩寒天培地(ISP
−培地4、30℃培養) うす黄の発育上に、黄味白〜黄味灰[2ca,Lt Ivory]
の気菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。
【0040】(5)チロシン寒天培地(ISP−培地
7、30℃培養) うす黄[2ic,Honey Gold]〜うす黄だいだい[3ea,
Lt Melon Yellow 〜3pc,Amber ]の発育上にうす黄だ
いだい[3ea,Shell 〜3ea,Lt Melon Yellow ]の気
菌糸を着生する。溶解性色素は認められない。
【0041】(6)栄養寒天培地(30℃培養) うす黄[2ic,Honey Gold]の発育上に、白の気菌糸を
うっすらと着生する。 溶解性色素は認められない。
【0042】(7)イースト・麦芽寒天培地(ISP−
培地2、30℃培養) うす黄だいだい[3gc,Lt Tan]の発育上に、ピンク白
[5ba,Shell Pink] の気菌糸を着生する。溶解性色
素は認められない。
【0043】(8)オートミール寒天培地(ISP−培
地3、30℃培養) 無色〜うす黄の発育上に、白の気菌糸を着生し、溶解性
色素は認められない。
【0044】(9)グリセリン・硝酸塩寒天培地(30
℃培養) うす黄だいだい[3ea,Lt Melon Yellow ]〜うすオリ
ーブ〔1 1/2 ie ,Lt Olive]の発育上に、黄味白〜う
す黄だいだい[3ca,Shell 〜3ea,Lt Melon Yellow
]の気菌糸を着生し、溶解性色素は認められない。
【0045】(10)スターチ寒天培地(30℃培養) 無色〜うす黄の発育上に、黄味白の気菌糸を着生する。
溶解性色素は認められない。
【0046】(11)リンゴ酸石灰寒天培地(30℃培
養) うす黄[2ic,Honey Gold]〜うす黄だいだい[3ea,
Lt Melon Yellow ]の発育上に、白〜うす黄だいだいの
気菌糸を着生する。溶解性色素は認められない。
【0047】(12)セルロース(濾紙片添加合成液、
30℃培養) 発育は無色、白の気菌糸を着生し、溶解性色素は認めら
れない。
【0048】(13)ゼラチン穿刺培養 15%単純ゼラチン培地(20℃培養)では、無色〜う
す黄の発育上に、黄味白の気菌糸を着生する。グルコー
ス、ペプトン、ゼラチン培地(27℃培養) において
は、発育はうす黄だいだい、白の気菌糸をわずかに着生
する。溶解性 色素は両者とも認められない。
【0049】(14)脱脂牛乳(37℃培養) 発育はうす黄だいだい、白の気菌糸をわずかに着生し、
溶解性色素は認められない。
【0050】3.生理的性質 (1)生育温度範囲 グルコース・アスパラギン寒天培地(グルコース 1.
0%、アスパラギン0.05%、リン酸二カリウム
0.05%、紐寒天 3.0%、pH7.0) を用
い、6℃、20℃、24℃、27℃、30℃、37℃、
50℃の各温度で 試験した結果、6℃、50℃を除い
て、そのいずれの温度でも発育したが、生 育至適温度
は27℃〜30℃付近と思われる。
【0051】(2)ゼラチンの液化(15%単純ゼラチ
ン培地、20℃培地;グルコース、ペプトン、ゼラチン
培地、27℃培養) 共に、培養後5日目頃より液化を認め、その作用は強い
方である。
【0052】(3)スターチの加水分解(スターチ・無
機塩寒天培地およびスターチ寒天培地、 いずれも30
℃培養) スターチ・無機塩寒天培地においては培養後14日目頃
より、水解性が認められるが、その作用は極めて弱く、
スターチ寒天培地では認められない。
【0053】(4)脱脂牛乳の凝固・ペプトン化(脱脂
牛乳、37℃培養) 培養後9日目頃、凝固することなくペプトン化が始ま
り、2〜3日で完了する。その作用は中等度〜強い方で
ある。
【0054】(5)メラニン様色素の生成(トリプトン
・イースト・ブロス、ISP−培地1; ペプトン、イ
ースト、鉄寒天培地、ISP−培地6;ISP−培地
7;いずれ も30℃培養) いずれの培地でも陰性である。
【0055】(6)炭素源の利用性(プリドハム、ゴド
リーブ寒天培地、ISP−培地9;30℃で培養) D−グルコース、L−アラビノース、D−キシロース、
D−フルクトース、シュクロース、イノシトール、ラム
ノース、D−マンニトールを利用して生育する。ラフィ
ノース、ラクトースもおそらく利用する。
【0056】(7)リンゴ酸石灰の溶解(リンゴ酸石灰
寒天培地、30℃培養) 培養後3日目頃よりリンゴ酸石灰の溶解を認め、その作
用は中等度〜強い方である。
【0057】(8)硝酸塩の還元反応(0.1%硝酸カ
リウム含有ペプトン水、ISP−培地8、30℃培養) 陽性である。
【0058】(9)セルロースの分解(濾紙片添加合成
液、30℃培養) 陰性である。
【0059】以上の性状を要約すると、MI710−5
1F6株は、基生菌糸および気菌糸に分断を認め、また
基生菌糸は、しばしばジグザグ状を呈する。気菌糸上に
10個以上の円筒形の胞子を形成し、その表面は平滑で
ある。らせん形成、輪生枝、胞子のうは認められない。
非抗酸生である。種々の培地で、うす黄だいだいの発育
上に、黄味白〜うす黄だいだいの気菌糸を着生する。溶
解性色素は認められない。メラニン様色素の生成は陰性
である。スターチの水解性は、極めて弱く、蛋白分解力
は中等度〜強い方である。硝酸塩の還元反応は陽性であ
る。
【0060】ところで、MI710−51F6株の菌体
成分は細胞壁に含まれる2,6−ジアミノピメリン酸が
メソ型であり、全菌体中の還元糖はアラビノース、ガラ
クトースを含むA型である。また、ミコール酸を含ま
ず、リン脂質はPII型(ホスファチジルエタノールアミ
ンを含みホスファチジルコリンおよび未知のグルコサミ
ン含有リン脂質を含まない)、主要なメナキノンはMK
−9(H4 )であり、MK−9(H2 )も認められた。
【0061】以上の性状より、MI710−51F6株
は、アミコラトプシス(Amycolatop sis ,文献,Intern
ational Journal of Systematic Bacteriology,36
巻,29〜37頁,1986年)属に属するものと考え
られる。アミコラトプシス属の既知菌種を検索すると、
アミコラトプシス・オリエンタリス(Amycolatopsis or
ientalis, 文献同上)およびアミコラトプシス・メディ
テラネイ(Amycolatopsi s mediterranei,文献同上)
が、近縁の種としてあげられた。現在、MI710−5
1F6株と上記2種の本研究所保存菌株とを実地に比較
検討中である。そこで、現時点では、MI710−51
F6株をアミコラトプシス・エスピー(Amyco latopsis s
p.) とする。
【0062】なお、MI710−51F6株を工業技術
院微生物工業技術研究所に寄託申請し、平成3年2月2
0日、微工研菌寄第12021号として受託された。
【0063】MI710−51F6物質の製造は、アミ
コラトプシス属に属するMI710−51F6生産菌を
適当な培地で好気的に培養し、培養物から目的物質を採
取することにより達成することができる。
【0064】培地はMI710−51F6物質生産菌が
利用しうる任意の栄養源を含有するものでありうる。具
体的には、例えば、炭素源としてグルコース、フラクト
ース、マルトース、スターチおよび油脂類などが使用で
き、窒素源として大豆粉、綿実粕、乾燥酵母エキス、ポ
リペプトンおよびコーンスティープリカーなどの有機物
並びにアンモニウム塩または硝酸塩、例えば硫酸アンモ
ニウム、硫酸ナトリウムおよび塩化アンモニウムなどの
無機物が使用できる。また必要に応じて食塩、塩化カリ
ウム、炭酸カルシウム、リン酸塩、重金属塩などの無機
塩類を添加することができる。発酵中の発泡を抑制する
ために常法に従って適当な消泡剤、例えばシリコーン系
消泡剤を添加することもできる。
【0065】培養方法としては、一般に行なわれている
生理活性物質等の生産方法であればよく、特に好気的液
体深部培養法が適している。培養温度は20〜37℃が
適当であるが、27〜30℃が好ましい。この方法でM
I710−51F6物質の生産量は、振盪培養、通気攪
拌培養共に培養3〜5日間で最高に達する。このように
してMI710−51F6物質の貯蓄された培養物が得
られる。培養物中では、MI710−51F6物質は菌
体中および培養濾液中に存在するが、菌体中により多く
存在する。
【0066】このような培養物からMI710−51F
6物質を採取するには、合目的な任意の方法が利用可能
である。そのひとつの方法は、抽出の原理に基づくもの
であって、具体的には、例えば、培養濾液中のMI71
0−51F6物質については水不混和性の有機溶媒、例
えば酢酸ブチル、n−ブタノールなどで抽出する方法、
あるいは菌体内のMI710−51F6物質については
濾過または遠心分離などで得た菌体集体をメタノール、
エタノール、アセトンなどで処理して回収する方法があ
る。菌体を分離せずに培養物そのままを上記の抽出操作
に付すこともできる。適当な溶媒を用いた向流分配法も
抽出の範ちゅうに入れることができる。例えばCPC(C
entrifugal Partition Chromatograph) (三鬼エンヂニ
アリング社製)も使用できる。
【0067】培養物からMI710−51F6物質を採
取する他の方法のひとつは、吸着の原理に基づくもので
ある。例えば、培養濾液あるいは上記のようにして抽出
操作を行なうことによって得られる抽出液を対象とし
て、適当な吸着剤、ゲル濾過剤、例えば、シリカゲル、
セファデックスLH−20(ファルマシア社製)、トヨ
パールHW−40(東ソー社製)、ダイヤイオンHP−
20(三菱化成工業社製)などを用いたカラムクロマト
グラフィー、ヌクレオシル5C18(西独ナーゲル社製)
などを用いた高速液体クロマトグラフィーその他によっ
てMI710−51F6物質を吸着させ、その後溶離さ
せることによりMI710−51F6物質を得ることが
できる。このようにして得られたMI710−51F6
物質含有溶液を減圧下に濃縮乾固すれば、MI710−
51F6物質の粗製品が得られる。
【0068】このようにして得られるMI710−51
F6物質の粗製品を更に精製するためには、上記の抽出
法および吸着法を必要に応じて組み合わせ必要回数行な
えばよい。例えば、ダイヤイオンHP−20、セファデ
ックスLH−20などの吸着剤またはゲル濾過剤を用い
たカラムクロマトグラフィー、CPCを用いた遠心液々
分配クロマトグラフィー、シリカゲルを用いた順相クロ
マトグラフィーおよびヌクレオシル5C18などを用いた
高速液体クロマトグラフィーを適宜組合わせて実施する
ことができる。
【0069】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0070】以下において「%」は「w/v %」を示
す。
【0071】実施例1 (1)種母の調製 使用した培地は、下記の表に示された組成の成分を1l
の水に溶解したものである。pHは無調整とした。
【0072】
【0073】上記培地110mlを500mlの三角フ
ラスコに分注し殺菌後、アミコラトプシス・エスピーM
I710−51F6株(微工研菌寄第12021号)を
スラントより1白金耳摂取し、30℃、180rpmの
ロータリシェーカーにて72時間回転培養して得られた
培養物を種母とした。
【0074】(2)培養 使用した培地は種母の調製に用いた培地と同じものを用
いた。この培地を110mlずつ500mlの三角フラ
スコへ分注殺菌したものへ、上記種母2.2mlを添加
し、ロータリーシェーカーを用いて28℃、180rp
mにて回転培養を行なった。
【0075】(3)MI710−51F6物質の採取 上記(2)の条件で4日間の培養の後、培養液約20l
を遠心分離し(3000rpm、15分間)、菌体をメ
タノール処理後、メタノールを溜去した後、アセトニト
リルを添加し、50% アセトニトリル水溶液とし、1
0℃、一夜放置後、沈殿物を濾過分離し、少量のメタノ
ールにて抽出した。メタノール抽出液にアセトンを白濁
するまで加え、10℃、一夜放置した。沈殿物を濾過分
離するとMI710−51F6粗抽出物3.5gが得ら
れた。得られた粗抽出物をセファデックスLH−20
(ファルマシア社製)を用いたゲルクロマトグラフィー
に付した。メタノールにて溶出を行ないMI710−5
1F6物質を含む画分を集め減圧下にて濃縮乾固した。
得られたMI710−51F6粗精製物の約1.8gを
遠心液々分配クロマトグラフ(CPC)(三鬼エンヂニ
アリング社製)に付した。クロロホルム−メタノール−
水(2:2:1)の下層を固定相とし、上層を移動相と
して25℃、400rpm、1ml/分の条件下、上昇
法にて分離精製を行った。正溶出画分にMI710−5
1F6物質は溶出され、これを減圧下に濃縮乾固した。
得られたMI710−51F6物質の粗精製物約350
mgをメタノールに溶解し、その一定量をカプセルパッ
ク5C18(資生堂社製)のカラム(20mmφ×250
mm)を用いた高速液体クロマトグラフィーにかけ、メ
タノール−50mM酢酸アンモニウム−アセトニトリル
(65:30:5)にて溶出し、MI710−51F6
物質フラクションを得る。これを減圧下に濃縮乾固する
とMI710−51F6物質の無色〜白色の固体250
mgが得られた。
【0076】
【発明の効果】以上詳細に説明した通り、本発明により
免疫抑制活性とグラム陽性菌に対する抗菌活性を有する
新規物質としてMI710−51F6物質が得られ、ま
たその製造方法が提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】メタノール溶液中のMI710−51F6物質
の紫外線吸収スペクトル図である。
【図2】0.02N HCl−メタノール溶液中のMI
710−51F6物質の紫外線吸収スペクトル図であ
る。
【図3】0.02N NaOH−メタノール溶液中のM
I710−51F6物質の紫外線吸収スペクトル図であ
る。
【図4】MI710−51F6物質のKBrディスク法
による赤外部吸収スペクトル図である。
【図5】MI710−51F6物質の重メタノール中に
おける400MHzでの 1H−NMRスペクトル図であ
る。
【図6】MI710−51F6物質の重メタノール中に
おける100MHzでの13C−NMRスペクトル図であ
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年10月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】 (1)元素分析:元素分析の実測値を次に示す。 C H O N 60.33% 9.52% 27.48% 2.44%
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】(2)FAB(Fast Atom Bombardment)マ
ススペクトル:m/z 1343[M+H]+ (3)高分解FAB−MS(EF−FAB[Pos.]
71 126 212 が推定された。なお、基準物質はP
EG1500を用いた。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】1.形態 よく分枝した基生菌糸は、しばしばジグザク状を呈し、
また分断が認められる。気菌糸は直状あるいは波状で、
分断を認め、10個以上の円筒形の胞子を形成する。胞
子の大きさは約0.3〜0.5×1.4ミクロンで、表
面は平滑である。なお、胞子のうおよび輪生枝形成は認
められない。非抗酸である。 2.各種培地における生育状態 色の記載について[ ]内に示す標準は、コンティナー
・コーポレーション・オブ・アメリカのカラー・ハーモ
ニー・マニュアル(Container Corporationof America
のcolor harmony manual) を用いた。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】(13)ゼラチン穿刺培養 15%単純ゼラチン培地(20℃培養)では、無色〜う
す黄の発育上に、黄味白の気菌糸を着生する。グルコー
ス、ペプトン、ゼラチン培地(27℃培養)において
は、発育はうす黄だいだい、白の気菌糸をわずかに着生
する。溶解性色素は両者とも認められない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】3.生理的性質 (1)生育温度範囲 グルコース・アスパラギン寒天培地(グルコース 1.
0%、アスパラギン0.05%、リン酸二カリウム
0.05%、紐寒天 3.0%、pH7.0)を用い、
6℃、20℃、24℃、27℃、30℃、37℃、50
℃の各温度で試験した結果、6℃、50℃を除いて、そ
のいずれの温度でも発育したが、生育至適温度は27℃
〜30℃付近と思われる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正内容】
【0054】(5)メラニン様色素の生成(トリプトン
・イースト・ブロス、ISP−培地1;ペプトン、イー
スト、鉄寒天培地、ISP−培地6;ISP−培地7;
いずれも30℃培養) いずれの培地でも陰性である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0059
【補正方法】変更
【補正内容】
【0059】以上の性状を要約すると、MI710−5
1F6株は、基生菌糸および気菌糸に分断を認め、また
基生菌糸は、しばしばジグザグ状を呈する。気菌糸上に
10個以上の円筒形の胞子を形成し、その表面は平滑で
ある。らせん形成、輪生枝、胞子のうは認められない。
非抗酸である。種々の培地で、うす黄だいだいの発育
上に、黄味白〜うす黄だいだいの気菌糸を着生する。溶
解性色素は認められない。メラニン様色素の生成は陰性
である。スターチの水解性は、極めて弱く、蛋白分解力
は中等度〜強い方である。硝酸塩の還元反応は陽性であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:01) (72)発明者 濱田 雅 東京都新宿区内藤町1番地26 秀和レジデ ンス405号 (72)発明者 前田 謙二 東京都目黒区五本木2丁目46番11号 (72)発明者 竹内 富雄 東京都品川区東五反田5丁目1番11号 ニ ユーフジマンシヨン701

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の理化学的性質を有する免疫抑制物
    質、MI710−51F6物質。 (1)元素分析:元素分析の実測値を下記に示す。 C H O N 60.33% 9.52% 27.48% 2.44% (2)FABマススペクトル:m/z 1343[M+H]+ (3)融点:137〜139℃ (7) 1H−NMRスペクトル(400MHz):添付
    図面の図5に示す通りである。重メタノール中メタノー
    ル(3.30ppm)を基準物質として測定した。 (8)13C−NMRスペクトル(100MHz):添付
    図面の図6に示す通りである。重メタノール中メタノー
    ル(49.00ppm)を基準物質として測定した。 (9)溶解性:メタノールに可溶、水、アセトン、エー
    テル、n−ヘキサンに難溶または不溶である。 (10)物質の色および性状:無色〜白色の固体であ
    る。
  2. 【請求項2】 アミコラトプシス属に属する請求項1記
    載の免疫抑制物質、MI710−51F6物質生産菌を
    培養し、その培養物から免疫抑制物質、MI710−5
    1F6物質を採取することを特徴とする新規な免疫抑制
    物質、MI710−51F6物質の製造法。
  3. 【請求項3】 MI710−51F6物質生産菌がアミ
    コラトプシス・エスピー(Amycolatopsis sp.) MI71
    0−51F6株である請求項2記載の製造法。
JP3215451A 1991-08-27 1991-08-27 新規な免疫抑制物質、mi710−51f6物質およびその製造法 Pending JPH05163289A (ja)

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