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JPH05161471A - 酸性水中油型乳化物 - Google Patents

酸性水中油型乳化物

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JPH05161471A
JPH05161471A JP3332273A JP33227391A JPH05161471A JP H05161471 A JPH05161471 A JP H05161471A JP 3332273 A JP3332273 A JP 3332273A JP 33227391 A JP33227391 A JP 33227391A JP H05161471 A JPH05161471 A JP H05161471A
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oil
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田 晴 康 木
Yoichi Tashiro
代 洋 一 田
Yoshitaka Ebihara
善 隆 海老原
Junichi Muroi
井 淳 一 室
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Kewpie Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 マヨネーズ等の酸性水中油型乳化物におい
て、パーム系油脂を多量に配合しても耐寒性を有する乳
化物を提供することを目的とする。 【構成】 本発明の酸性水中油型乳化物は、油相の油脂
成分としてパーム系油脂を含み、かつ該パーム系油脂中
のトリグリセリドに対して、構成脂肪酸として飽和脂肪
酸−飽和脂肪酸及び/又は飽和脂肪酸−不飽和脂肪酸の
組合せから成るジグリセリドを3%以上含むことを構成
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は酸性水中油型乳化物に関
し、詳しくは油相成分としてパーム系油脂を多量に配合
しても耐寒性を有するマヨネーズ・ドレッシング等の酸
性水中油型乳化物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】マヨネーズやドレッシング等の酸性水中
油型乳化物には、通常、いわゆる「耐寒性」と呼ばれる
性能が必要とされている。この「耐寒性」とは、乳化物
を寒冷地や冷凍庫内のような氷点下の環境下に短期間置
いたのちでもその乳化状態が安定に維持されているよう
な性質、即ち、短期間凍結し、解凍したときでも油脂や
水相の分離が生ずることのない性質をいう。
【0003】ところで、上記したような酸性水中油型乳
化物には、その油脂成分として、従来、大豆油、菜種
油、米油、綿実油等のサラダ油が一般的に用いられてき
ていたが、近年、パーム油の分別技術の向上及び乳化技
術の向上等に伴い、パーム油の低融点部が一部使用され
るようになってきた。ところがその使用は、現在の分別
技術によって最も低融点化したパームスーパーオレイン
(融点10℃)でも油相中20%(重量基準、以下同
じ)程度が限界であり、それを越えて使用すると耐寒性
は低下するようになり、凍結・解凍時に乳化破壊を起こ
すようになることが知られている。
【0004】一方、パーム油はその生産量が近年著しく
増加され、安価でしかも大量生産が可能な食用油脂とし
て注目されている。しかしマヨネーズ等への利用につい
ては、上記したような理由により、その使用は非常に限
定されているのが現状である。従って、パーム系油脂を
多量に使用しても依然として「耐寒性」を有するような
酸性水中油型乳化物が開発されたならば産業上益するこ
とは多大であるといえよう。
【0005】ところで、「耐寒性」に関しては、マヨネ
ーズ等の酸性水中油型乳化物に該性質を付与する試みが
従来から種々行なわれている。例えば、油脂成分中に構
成脂肪酸として特定のトランス酸を含む油脂を使用する
方法(特公昭54−7870号)、或いは油脂成分中に
一部極度硬化油を使用する方法(特公昭62−2534
0号)などが知られている。また、油脂成分以外のアプ
ローチとしては、例えば、ゼラチンとデンプン分解物を
使用する方法(特開昭49−26439号)、ポリグリ
セリン脂肪酸エステルを使用する方法(特開昭60−1
18164号)、ゼラチン、ミルクホエー蛋白質、カゼ
イネート、ポリグリセリン脂肪酸エステルのうち何れか
を使用する方法(特開昭60−137260号)等、種
々の方法が提案されている。しかし、上記方法の何れに
おいても、油脂のベース油としては液状油脂を用いたも
のであって、パーム系油脂を積極的に配合するという記
載は見出し得ず、ましてパーム油を高配合した場合の従
来の「耐寒性」上の問題点に関しては何ら言及するもの
ではなかった。以上の如く、今日、パーム系油脂の重要
性(価格及び生産安定性等の利点)が注目されているに
もかかわらず、マヨネーズ等の酸性水中油型乳化物の用
途にはその「耐寒性」上の問題点の故に、使用されてい
るのは、高々、分別により最も低融点化したパームスー
パーオレインであり、しかも非常に限られた量(油相中
約20%以下)でしか使用されてないのが現状であり、
この観点からもパーム系油脂の利用拡大が切望されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】よって、本発明は、マ
ヨネーズ等の酸性水中油型乳化物の油相にパーム系油脂
を高配合したときに生ずる「耐寒性」の低下という問題
点を解決することを目的とするものである。加えて、本
発明は、安価で且つ大量生産可能な油脂源であるパーム
油の利用拡大をも指向するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究をした結果、耐寒性の低下原因
がパーム系油脂の特有なトリグリセリド(2‐オレオ‐
1,3‐ジパルミチン等)にあり、このトリグリセリド
の結晶成長をある種のジグリセリドが抑制しうることを
知見し、この知見に基づいて本発明を完成するに至っ
た。即ち本発明は、油相の油脂成分としてパーム系油脂
を含み、かつ該パーム系油脂中のトリグリセリドに対し
て、構成脂肪酸として飽和脂肪酸−飽和脂肪酸及び/又
は飽和脂肪酸−不飽和脂肪酸の組合せから成るジグリセ
リドを3%以上含むことを特徴とする酸性水中油型乳化
物を提供するものである。
【0008】本発明において、パーム系油脂としては、
パーム油自体の他、パーム油を溶剤を用いて分画して得
られる種々の分画油、及びその他の各種のパーム油由来
の油脂などが例示できる。これらパーム系油脂の中で、
とりわけ、水中油型乳化物に多量に配合使用する観点か
ら好ましいのは、パーム油を種々の方法を用いて分画し
て得られるパーム低融点画分である。上記パーム系油脂
は単独で油相に使用しても良いが、単独使用のものは結
晶量が多く低温で固さを増す傾向が認められることか
ら、固さを低下させる目的で、従来当分野で用いられて
いる液状油を配合するのが好ましい。この目的で用いる
液状油としては、大豆油、ナタネ油、ヒマワリ油、綿実
油、落花生油、コーン油、サフラワー油等の5℃で液状
の油脂が好ましい。
【0009】ジグリセリドとしては、パーム系油脂の前
記した耐寒性の問題点を解決させる上で有効であるの
は、該ジグリセリドを構成する結合脂肪酸基が飽和脂肪
酸−飽和脂肪酸の組合せ及び/又は飽和脂肪酸−不飽和
脂肪酸の組合せから成るものであり、不飽和脂肪酸−不
飽和脂肪酸の組合せのものはその効果が期待し難い。ま
た、飽和脂肪酸の種類としては、炭素数12〜22の飽
和酸が好ましく、更には炭素数16又は18の飽和酸が
より好ましい。また、不飽和脂肪酸の種類としては、炭
素数16から22の不飽和酸が好ましく、更には炭素数
18のオレイン酸がより好ましい。これは、耐寒性の低
下の原因であるパーム系油脂のトリグリセリド(2‐オ
レオ‐1,3‐ジパルミチンあるいは1,2‐ジオレオ
‐3‐パルミチン等)と上記したジグリセリド類の構造
が極めて類似しているためか、トリグリセリドの結晶成
長を阻害し、延いては最終製品に耐寒性を付与するよう
に作用するものと考えられる。また、これらジグリセリ
ドの含有量は、パーム系油脂のトリグリセリドに対し3
%以上であることが必須であるが、該ジグリセリド自体
高融点であり、また多量に含有するとやや硬くなる傾向
があるために50%以下であることが好ましく、更に好
ましくは5〜30%である。このようなジグリセリド
は、グリセリンと脂肪酸とのエステル合成、トリグリセ
リドとグリセリンとのエステル交換、トリグリセリドの
加水分解等何れの方法を用いても製造しうる。また、パ
ーム油自体ジグリセリドを多量に含んでいることから、
パーム油由来の油脂を溶剤分別や吸着等の方法によって
目的とするジグリセリドを濃縮物として得ることもでき
る。
【0010】上記したような油脂を配合してなる本発明
の酸性水中油型乳化物は、油相として上記条件を満たす
油脂を使用することを除いて、すべて従来の酸性水中油
型乳化物を製造する方法に準ずればよいのであって、特
に制限されるものではない。以上の如く、本発明におけ
る酸性水中油型乳化物は、後述の実施例の結果から明ら
かなように、油相にパーム系油脂を多量に含有している
にもかかわらず、耐寒性を保持するものである。
【0011】
【実施例】以下、実施例及び比較例を例示して本発明の
効果をより一層明瞭にするが、これらは単に例示であっ
て本発明の精神がこれらの例示に限定されるものではな
い。なお、例中、部及び%は何れも重量基準を意味す
る。実施例1〜3及び比較例1〜3 トリパルミチン(沃素価:0.5)80部とグリセリン
20部とを融解・混合し、水酸化カルシウム0.1部を
添加してエステル交換反応を行い、反応物を分子蒸留し
てモノグリセリドを留去したのち、ジグリセリド留分を
収集し、ジグリセリドを得た。また、トリステアリン
(沃素価:0.7)80部とグリセリン20部とを原料
とし、同様にエステル交換および分子蒸留を実施してジ
グリセリドを、さらにトリパルミチン40部および高
オレインヒマワリ油40部とグリセリン20部とを原料
として同様に実施し、ジグリセリドを得た。また、同
様にして、高オレインヒマワリ油(沃素価:85.0)
80部とグリセリン20部とを原料としてジグリセリド
を、さらに紅花油(沃素価:142.5)80部とグ
リセリン20部とを原料としてジグリセリドを得た。
【0012】上記の如くして得た各ジグリセリド〜
は、ジグリセリド含量95%以上、モノグリセリド含量
3%以下であり、各組成別のジグリセリド含量は以下の
通りであった。 ジグリセリド組成 (%) ジグリセリド SS SU UU 計 SS+SU 95.7 − − 95.7 95.7 95.2 − − 95.2 95.2 24.2 48.5 23.7 96.4 72.7 0.3 8.7 87.2 96.2 9.0 0.5 12.2 83.5 96.2 12.7 注)S:飽和脂肪酸 U:不飽和脂肪酸
【0013】パームオレイン(沃素価:57.0)を原
料とし、ヘキサンを用いて溶剤分別を行い、パームスー
パーオレイン(沃素価:67.8、DG含量:6.0
%、融点10℃)を得た。このパームスーパーオレイン
をヘキサンに溶解し、シリカゲル吸着処理してジグリセ
リドを完全に除去したパーム系トリグリセリド画分と精
製大豆油、精製ナタネ油および上記ジグリセリド〜
とを、以下の如く配合して、各々の実験番号に示す配合
油を調製した。なお、ジグリセリドを配合しない配合油
も比較のために調製した。 油 脂 配 合 (部) 実験 パーム系トリ 精 製 精 製 ジグリセリド 番号 グリセリド画分 大豆油 ナタネ油 1 30 30 35 5 − − − − 2 30 30 35 − 5 − − − 3 30 30 35 − − 5 − − 4 30 30 35 − − − 5 − 5 30 30 35 − − − − 5 6 30 35 35 − − − − −
【0014】上記各配合油のパーム系トリグリセリドに
対するジグリセリド含量は以下の通りである。 ジグリセリド含量 (%) 実験番号 SS SU UU 計 SS+SU 1 16.0 0.3 2.3 18.6 16.3 2 16.0 0.3 2.3 18.6 16.3 3 4.0 8.0 6.0 18.0 12.0 4 − 2.0 17.0 19.0 2.0 5 − 2.3 16.0 18.3 2.3 6 − 0.3 2.3 2.6 0.3 注)S:飽和脂肪酸 U:不飽和脂肪酸
【0015】以上の配合油を使用し、常法に従いアジホ
モミキサーを用いて、以下の配合にて油分70%のマヨ
ネーズを製造した。 マヨネーズ配合 (%) 油 脂 70.0 卵 黄 15.0 食 酢 12.5 食 塩 2.0 L‐グルタミン酸ソーダ 0.5
【0016】得られたマヨネーズを−20℃、24時間
保存した後、20℃に戻し乳化状態を観察した。 24時間後の乳化状態 実験番号 乳化状態 1 良 好 2 良 好 3 良 好 4 油脂分離 5 油脂分離 6 油脂分離 この様に、SS+SUジグリセリドの含量がパーム系ト
リグリセリドに対して3%以上の油脂を用いたものにつ
いては、それらが優れた耐寒性を有するのが認められた
が、UUジグリセリドを多量に含む油脂を用いたものに
ついては耐寒性効果は認められなかった。なお、実験番
号1〜3はそれぞれ実施例1〜3であり、実験番号4〜
6は比較例1〜3である。
【0017】実験例4及び比較例4 パームオレインを原料とし、ヘキサンを用いて溶剤分別
を行い低融点部を除去した後、アセトンを用いて溶剤分
別を行い高融点部を除去して高ジグリセリド画分(沃素
価:54.7)を得た。この高ジグリセリド画分の組成
は以下の通りである。 ジグリセリド画分組成 (%) SS SU UU ジグリセリド合計 トリグリセリド 4.1 13.1 3.1 20.3 79.7
【0018】上記高ジグリセリド画分5部とダブルフラ
クションパームオレイン(沃素価:62.1)30部、
精製大豆油30部、精製ナタネ油35部を配合し、下記
配合の油分60%の半固体状ドレッシングをコロイドミ
ルを用いて製造した。また、比較としてジグリセリドを
配合せず、前述のダブルフラクションパームオレイン3
0部、精製大豆油35部、精製ナタネ油35部を配合
し、同様にして油分60%の半固体状ドレッシングを製
造した。 ドレッシング配合 (%) 油 脂 60.0 卵 黄 15.0 食 酢 12.5 食 塩 2.0 L‐グルタミン酸ソーダ 0.5 増 粘 剤 0.2 水 9.8
【0019】上記各例における油脂のパーム系トリグリ
セリドに対するジグリセリド含量は以下の通りである。 ジグリセリド含量 (%) SS SU UU 計 SS+SU 実施例4 0.9 4.4 5.8 11.1 5.3 比較例4 0.3 2.5 5.3 8.1 2.8 上記のドレッシングを−20℃、24時間保存の後、2
0℃に戻し乳化状態を観察したところ、実施例4の製品
は良好であったが、比較例4の製品は油脂分離が認めら
れた。
【0020】実施例5〜7及び比較例5 パームオレイン(沃素価:57.0)を原料とし、アセ
トンを用いて溶剤分別を行い、パームスーパーオレイン
(沃素価:67.5、DG含量:11.2%、融点1
2℃)を得た。また、同様のパームオレインを原料と
し、ヘキサンを用いて溶剤分別を行い、パームスーパー
オレイン(沃素価:67.8、DG含量:6.0%、
融点10℃)を得た。上記パームスーパーオレイン、
パームスーパーオレイン、精製大豆油(沃素価:13
1)及び精製ナタネ油(沃素価:117)を使用し、実
験番号7〜10に示す油脂配合にて各配合油を調製し
た。 油 脂 配 合 (部) 実験番号 大豆油 ナタネ油 7 30 0 35 35 8 20 10 35 35 9 10 20 35 35 10 0 30 35 35 注) はパームスーパーオレインを、はパームスーパーオレインを意 味する。
【0021】実験番号7〜10の各配合油中における、
パーム系油脂のトリグリセリドに対するジグリセリド含
量は以下の通りである。 ジグリセリド含量 (%) 実験番号 SS SU UU 計 SS+SU 7 1.3 7.0 6.6 14.9 8.3 8 1.0 5.5 6.3 12.8 6.5 9 0.5 4.0 6.1 10.6 4.5 10 0.2 2.7 5.8 8.7 2.9 注)S:飽和脂肪酸 U:不飽和脂肪酸
【0022】各配合油を用い、上記実施例1〜3の場合
と同じ配合および方法にて油分70%のマヨネーズを製
造し、−20℃で24時間保存の後、20℃に戻して乳
化状態を観察した。 24時間後の乳化状態 実験番号 乳化状態 7 良 好 8 良 好 9 良 好 10 油脂分離 上記の様に、パーム系油脂のトリグリセリドに対するS
S+SUジグリセリドの含量が3%以上の油脂を用いた
ものについては、それらが優れた耐寒性を有するのが認
められた。なお、実験番号7〜9はそれぞれ実施例5〜
7であり、実験番号10は比較例5である。
【0023】
【発明の効果】以上の如く、本発明の酸性水中油型乳化
物は、耐寒性の低下をもたらす理由で使用が限定されて
いたパーム系油脂を多量に配合しているにもかかわら
ず、耐寒性(凍結耐性)を有する乳化物である。よっ
て、安価でしかも大量生産可能な食用油であるパーム油
の利用拡大に大いに貢献しうることが期待できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 海老原 善 隆 大阪府堺市神南辺町2−76−1 (72)発明者 室 井 淳 一 東京都八王子市横川町108番地

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】油相の油脂成分としてパーム系油脂を含
    み、かつ該パーム系油脂中のトリグリセリドに対して、
    構成脂肪酸として飽和脂肪酸−飽和脂肪酸及び/又は飽
    和脂肪酸−不飽和脂肪酸の組合せから成るジグリセリド
    を3%以上含むことを特徴とする酸性水中油型乳化物。
  2. 【請求項2】飽和脂肪酸がパルミチン酸又はステアリン
    酸であり、不飽和脂肪酸がオレイン酸である、請求項1
    に記載の酸性水中油型乳化物。
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