JP7582749B2 - 温度制御方法及び温度制御装置 - Google Patents
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Description
本開示は、温度制御方法及び温度制御装置に関する。
特許文献1には、クリーニング処理終了後のウェハ処理に先立って、処理室内にプラズマを処理履歴にしたがってあらかじめ設定した処理時間生成し処理室の内表面を加熱して内表面温度を制御するプラズマ処理装置が開示されている。
本開示は、基板を処理する際に、基板処理性能が変動することを抑制する技術を提供する。
本開示の一の態様によれば、プラズマ処理装置のチャンバの温度制御方法であって、(a)基板を前記チャンバの内部に提供する工程と、(b)前記チャンバの内部構成部材の処理開始前温度を測定する工程と、(c)測定した前記処理開始前温度及びあらかじめ設定した目標温度との差に基づき、温度制御条件を決定する工程と、(d)前記温度制御条件に基づき、前記内部構成部材をプラズマにより昇温するか、及び冷却ガスのパージにより冷却するかの少なくともいずれか一方を実施する工程と、(e)前記基板をプラズマ処理する工程と、を含む温度制御方法が提供される。
本開示によれば、基板を処理する際に、基板処理性能が変動することを抑制できる。
以下、本開示を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。なお、理解を容易にするために、図面における各部の縮尺は、実際とは異なる場合がある。
平行、直角、直交、水平、垂直、上下、左右などの方向には、実施形態の効果を損なわない程度のずれが許容される。角部の形状は、直角に限られず、弓状に丸みを帯びてもよい。平行、直角、直交、水平、垂直には、略平行、略直角、略直交、略水平、略垂直が含まれてもよい。
最初に、本実施形態に係るプラズマ処理システムについて説明する。図1は、本実施形態に係るプラズマ処理システムの一例の構成例を説明する図である。
一実施形態において、プラズマ処理システムは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP;Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(Direct Current)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(Radio Frequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、200kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aを含んでもよい。コンピュータ2aは、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)2a1、記憶部2a2、及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。処理部2a1は、記憶部2a2に格納されたプログラムに基づいて種々の制御動作を行うように構成され得る。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合プラズマ処理装置の構成例について図2を用いて説明する。
容量結合プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。側壁10aは接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10筐体とは電気的に絶縁される。
プラズマ処理チャンバ10は、側壁10aの基板支持部11側に、側壁保護部材115を備える。側壁保護部材115は、側壁10aを保護する。側壁保護部材115は、例えば、石英及びセラミックスからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの材料を含む。また、プラズマ処理装置1は、側壁保護部材115の温度を測定する温度センサ116を備える。温度センサ116は、例えば、蛍光式光ファイバ温度計である。
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板(ウェハ)Wを支持するための中央領域(基板支持面)111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域(リング支持面)111bとを有する。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。一実施形態において、本体部111は、基台及び静電チャックを含む。基台は、導電性部材を含む。基台の導電性部材は下部電極として機能する。静電チャックは、基台の上に配置される。静電チャックの上面は、基板支持面111aを有する。リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。1又は複数の環状部材のうち少なくとも1つはエッジリングである。また、図示は省略するが、基板支持部11は、静電チャック、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と基板支持面111aとの間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。また、シャワーヘッド13は、導電性部材を含む。シャワーヘッド13の導電性部材は上部電極として機能する。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号及びバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を基板支持部11の導電性部材に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、13MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、基板支持部11の導電性部材及び/又はシャワーヘッド13の導電性部材に供給される。第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して基板支持部11の導電性部材に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、基板支持部11の導電性部材に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、基板支持部11の導電性部材に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、基板支持部11の導電性部材に印加される。一実施形態において、第1のDC信号が、静電チャック内の電極のような他の電極に印加されてもよい。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、シャワーヘッド13の導電性部材に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、シャワーヘッド13の導電性部材に印加される。種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
<本実施形態に係るプラズマ処理装置の温度制御方法>
本実施形態に係るプラズマ処理装置の温度制御方法について説明する。図3は、本実施形態に係るプラズマ処理システムの一例の制御部2の温度制御について説明する図である。
本実施形態に係るプラズマ処理装置の温度制御方法について説明する。図3は、本実施形態に係るプラズマ処理システムの一例の制御部2の温度制御について説明する図である。
図3の縦軸は温度、横軸は時間を表す。また、図3の左側は最初のロットである第1ロット、右側は第1ロットの次の第2ロットを表す。
第1ロット及び第2ロットのそれぞれは、順に、ドライクリーニング期間(期間Pdc)と、冷却期間(期間Pc)と、基板処理期間(期間Pp)と、を有する。なお、図3では、基板処理期間(期間Pp)としてひとつの期間を記載しているが、第1ロット及び第2ロットのそれぞれの基板の処理枚数に応じて、続けて複数の基板処理期間(期間Pp)を備えてもよい。なお、基板処理期間(期間Pp)の後に基板搬送期間(期間Pw)を有してもよい。基板搬送期間においては、プラズマの入熱がないため、チャンバの温度は下がる。
第1ロットと第2ロットとの間には、空き時間が設定されていなくてもよいし、数時間、あるいは数日単位で空き時間が設定されていてもよい。
ドライクリーニング期間(期間Pdc)は、プラズマを用いてプラズマ処理チャンバ10の内部を洗浄する期間である。ドライクリーニング期間(期間Pdc)では、制御部2は、所定の処理条件で、プラズマ処理装置1においてプラズマ処理を行う。なお、ドライクリーニング期間(期間Pdc)では、複数の処理項目で処理を行ってもよい。
例えば、ドライクリーニング期間(期間Pdc)におけるプラズマ処理装置1の処理条件は、圧力を100ミリトル(13.3パスカル)、高周波電力のパワーを600ワット、処理ガスを酸素、処理温度を120℃とする条件である。
また、上記の処理条件に加えて、例えば、昇温速度、昇温時間等を処理条件として追加してもよい。すなわち、制御部2は、プラズマにより昇温する場合に、高周波電力のパワー、チャンバの内部の圧力、処理ガスの種類、処理ガスの流量、昇温速度及び昇温時間からなる群より選ばれる少なくとも1つの条件を設定する。
ドライクリーニング処理を行うと、プラズマ処理チャンバ10の内部の温度が上昇する。ドライクリーニング期間(期間Pdc)に続けて、冷却期間(期間Pc)において、制御部2は、プラズマ処理装置1の内部の冷却処理を行う。
冷却期間(期間Pc)は、シャワーヘッド13から冷却ガスを供給してプラズマ処理チャンバ10の内部を冷却する期間である。制御部2は、プラズマ処理装置1に冷却ガスを供給するように制御する。プラズマ処理装置1は、シャワーヘッド13からプラズマ処理空間10sに、冷却ガスを供給する。冷却処理に用いられる冷却ガスは、例えば、ヘリウム及び窒素からなる群より選ばれる少なくともいずれか1つである。
冷却処理における条件として、例えば、冷却ガスのガス流量及び冷却ガスの種類からなる群より選ばれる少なくとも1つの条件を設定してもよい。すなわち、制御部2は、冷却ガスのパージにより冷却する場合に、チャンバの内部の圧力、冷却ガスの流量、冷却ガスの種類及び降温時間からなる群より選ばれる少なくとも1つの条件を設定する。
なお、ドライクリーニング期間(期間Pdc)と冷却期間(期間Pc)を合わせて、温度調整期間(期間Pdcc)という場合がある。
基板処理期間(期間Pp)は、ウェハWの基板処理を行う期間である。例えば、制御部2は、記憶部2a2に記憶されている処理レシピに基づいて、プラズマ処理装置1を制御する。そして、プラズマ処理装置1は、所望の基板処理を実行して、ウェハWに対してエッチング等の処理を行う。
次に、シャワーヘッド13と側壁保護部材115の温度について説明する。図3において、線Lshは、シャワーヘッド13のプラズマ処理空間10s側の壁の温度を表す。線Lswは、側壁保護部材115の温度を表す。なお、側壁保護部材115の温度は、温度センサ116により測定される。温度Tswsは、側壁保護部材115がロットの最後に安定する温度を示す。温度Tshsは、シャワーヘッド13がロットの最後に安定する温度を示す。
プラズマ処理空間10sを構成する部分の温度は、所望の温度で一定となることが望ましい。シャワーヘッド13は、例えば、温調モジュールを備えて、シャワーヘッド13の温度が所望の温度で一定になるように制御されているとする。
ドライクリーニング処理(期間Pdc)において、シャワーヘッド13及び側壁保護部材115のそれぞれは、プラズマからの熱を吸収して、温度が上昇する。例えば、第1ロットでは、側壁保護部材115の温度は温度T11から温度T12に温度差ΔT11上昇する。第2ロットでは、側壁保護部材115の温度は温度T21から温度T22に温度差ΔT21上昇する。
最初の第1ロットの前に基板処理が行われていないことから、第1ロットの温度T11は、第2ロットの温度T21より低くなっている。
なお、シャワーヘッド13は、温調モジュールにより温度が制御されていることから、ドライクリーニング処理によるシャワーヘッド13の温度変動は、側壁保護部材115と比較して小さい。
冷却期間(期間Pc)においては、シャワーヘッド13及び側壁保護部材115のそれぞれは、冷却ガスにより冷やされて、温度が下降する。例えば、第1ロットでは、温度T12から温度T1sに温度差ΔT12下降する。第2ロットでは、温度T22から温度T2sに温度差ΔT22下降する。
そして、基板処理期間(期間Pp)が開始する時は、側壁保護部材115の温度T1s及び温度T2sが、側壁保護部材115の安定温度である温度Tswsを中心として、温度範囲ΔTの範囲内になるように、制御部2はプラズマ処理装置1を制御する。ここで、目標温度を温度Tswsとする。
ドライクリーニング処理を行う前の温度である温度T11及び温度T21のそれぞれと目標温度である温度Tswsとの差を求める。そして、温度T11と温度Tswsとの差に基づいて、プラズマ処理を開始する時の温度T1sが所定の範囲になるように、ドライクリーニング処理における処理条件と冷却処理における処理条件を変更する。また、温度T21と温度Tswsとの差に基づいて、プラズマ処理を開始する時の温度T2sが所定の範囲になるように、ドライクリーニング処理における処理条件と冷却処理における処理条件を変更する。
ドライクリーニング処理における処理条件又は冷却処理における処理条件による内部構成部材の温度変動については、事前に測定して、例えば記憶部2a2に保存してもよい。そして、記憶部2a2に保存しているデータに基づいて、ドライクリーニング処理における処理条件又は冷却処理における処理条件による内部構成部材の温度を推測して、処理条件を定めてもよい。
なお、冷却期間(期間Pc)の後に、慣らし処理を行ってもよい。図4は、本実施形態に係るプラズマ処理システムの一例の制御部2の温度制御について説明する図である。
第1ロット及び第2ロットのそれぞれは、順に、ドライクリーニング期間(期間Pdc)と、冷却期間(期間Pc)と、慣らし処理期間(シーズニング期間)(期間Ps)と、基板処理期間(期間Pp)と、を有する。なお、図4では、基板処理期間(期間Pp)としてひとつ期間を記載しているが、第1ロット及び第2ロットのそれぞれの基板の処理枚数に応じて、続けて複数の基板処理期間(期間Pp)を備えてもよい。
ドライクリーニング期間(期間Pdc)、冷却期間(期間Pc)及び基板処理期間(期間Pp)については、上述の説明と同様であることから省略する。
冷却期間(期間Pc)に続けて、慣らし処理を行う。シーズニング期間(期間Ps)は、所定のプラズマ処理を行って、プラズマ処理チャンバ10の内部の温度や内部の構造物の状態を安定させるための慣らし処理を行うための期間である。
なお、ドライクリーニング期間(期間Pdc)、冷却期間(期間Pc)及びシーズニング期間(期間Ps)を合わせて、温度調整期間(期間Pdcs)という場合がある。
シーズニング期間(期間Ps)後、例えば、基板の入れ替え等を行うために、一定の待機期間(期間Pw)が経過後に、基板処理を行う。
次に、シャワーヘッド13と側壁保護部材115の温度について説明する。
ドライクリーニング処理(期間Pdc)において、ドライクリーニング処理が行われると、シャワーヘッド13及び側壁保護部材115のそれぞれは、プラズマからの熱を吸収して、温度が上昇する。例えば、第1ロットでは、側壁保護部材115の温度は温度T11から温度T12に温度差ΔT11上昇する。第2ロットでは、側壁保護部材115の温度は温度T21から温度T22に温度差ΔT21上昇する。
なお、シャワーヘッド13は、温調モジュールにより温度が制御されていることから、ドライクリーニング処理によるシャワーヘッド13の温度変動は、側壁保護部材115と比較して小さい。
冷却期間(期間Pc)において、冷却処理が行われると、シャワーヘッド13及び側壁保護部材115のそれぞれは、冷却ガスにより冷やされて、温度が下降する。例えば、第1ロットでは、温度T12から温度T13に温度差ΔT12下降する。第2ロットでは、温度T22から温度T23に温度差ΔT22下降する。
シーズニング期間(期間Ps)において、慣らし処理が行われると、シャワーヘッド13及び側壁保護部材115のそれぞれは、プラズマからの熱を吸収して、温度が上昇する。例えば、第1ロットでは、温度T13から温度T14に温度差ΔT13上昇する。第2ロットでは、温度T23から温度T24に温度差ΔT23上昇する。
待機期間(期間Pw)において、シャワーヘッド13及び側壁保護部材115のそれぞれは、温度が下降する。例えば、第1ロットでは、温度T14から温度T1sに下降する。第2ロットでは、温度T24から温度T2sに下降する。
そして、基板処理期間(期間Pp)が開始する時は、側壁保護部材115の温度T1s及び温度T2sは、側壁部材の安定温度である温度Tswsを中心として、温度範囲ΔTの範囲内になるように、制御部2はプラズマ処理装置1を制御する。すなわち、目標温度を温度Tswsとする。
具体的には、ドライクリーニング処理を行う前の温度である温度T11及び温度T21のそれぞれと目標温度である温度Tswsとの差を求める。そして、温度T11と温度Tswsとの差に基づいて、プラズマ処理を開始する時の温度T1sが所定の範囲になるように、ドライクリーニング処理における処理条件と冷却処理における処理条件を変更する。また、温度T21と温度Tswsとの差に基づいて、プラズマ処理を開始する時の温度T2sが所定の範囲になるように、ドライクリーニング処理における処理条件と冷却処理における処理条件を変更する。なお、処理条件を変更する際には、慣らし処理の処理条件を変更してもよい。
図5は、本実施形態に係るプラズマ処理システムの一例の制御部2の温度制御を説明するフローチャートである。以下の説明により、温度制御方法の工程について説明する。
最初に、制御部2は、処理する基板をプラズマ処理チャンバ10の内部の基板支持部11に載置する(ステップS10)。すなわち、制御部2は、基板をチャンバ内に提供する手順を実行する。
次に、制御部2は、温度センサ116により側壁保護部材115の温度を測定する(ステップS20)。すなわち、制御部2は、チャンバ内部材の処理開始前温度を測定する手順を実行する。
次に、制御部2は、温度制御条件を決定する(ステップS30)。すなわち、制御部2は、温度制御条件を決定する手順を実行する。具体的には、ステップS20において測定した処理開始前温度と目標温度の差に基づき、温度制御条件を決定する。温度制御条件は、例えば、ドライクリーニング期間(期間Pdc)における処理条件、冷却期間(期間Pc)における処理条件及びシーズニング期間(期間Ps)における処理条件の少なくともいずれかひとつである。
当該温度制御条件は、基板処理期間(期間Pp)が開始する時に、側壁保護部材115の温度、すなわち、温度センサ116で測定した温度が、目標温度になるように決定する。
次に、制御部2は、ステップS30で温度制御条件に基づいて、プラズマ処理チャンバ10の内部を昇温又は冷却する(ステップS40)。すなわち、制御部2は、温度制御条件に基づき、内部構成部材をプラズマにより昇温するか、及び冷却ガスのパージにより冷却するかの少なくともいずれか一方を実施する手順を実行する。上述のように、温度制御条件は、基板処理期間(期間Pp)が開始する時に、側壁保護部材115の温度が、目標温度になるように決定されていることから、基板処理期間(期間Pp)の開始時には、側壁保護部材115の温度は目標温度を含む所定の範囲内となる。
そして、制御部2は、基板をプラズマ処理する(ステップS50)。すなわち、制御部2は、基板をプラズマ処理する手順を実行する。基板処理期間(期間Pp)の開始時には、側壁保護部材115の温度は目標温度を含む所定の範囲内であることから、基板処理を行う際の基板処理性能の変動を抑制できる。
なお、制御部2は、温度制御装置の一例である。
<作用・効果>
本開示のプラズマ処理装置1によれば、複数の基板を処理する際に、基板処理性能の変動を抑制できる。
本開示のプラズマ処理装置1によれば、複数の基板を処理する際に、基板処理性能の変動を抑制できる。
例えば、本実施形態に係る温度制御方法を適用しない場合には、ロット内及びロット間において、基板処理装置の内部に配置される部材の温度が変動する。図6は、本実施形態に係る温度制御方法を適用しない比較例の温度特性を示す図である。
線Lswは、側壁保護部材115の温度を示す。線Lcrは、リングアセンブリ112の環状部材の一つの温度を示す。線Lshは、シャワーヘッド13の温度を示す。また、図中の「Pdcs」とは、ドライクリーニング期間を含む温度調整期間を意味する。
図6に示すように、比較例においては、ロット内及びロット間において、基板処理装置の内部に配置される部材の温度が変動する。特に、積極的に温度調整を行っていないチャンバ内部材である側壁保護部材115及びリングアセンブリ112の環状部材は、ロット内及びロット間において温度が変動する。
本実施形態に係る温度制御方法によれば、基板処理を行う際に、プラズマ処理チャンバの内部の内部構成部材の温度を調整して、基板処理におけるプラズマ処理チャンバ内の内部構成部材の温度による変動を抑制できる。基板処理におけるプラズマ処理チャンバ内の内部構成部材の温度による変動を抑制することによって、基板処理における基板処理性能の変動を抑制できる。
特に、複数の処理基板をロット単位で処理する場合に、ロットと次のロットの間における温度変動を抑えて、ロットと次のロットの間における基板処理性能の変動を抑制できる。また、同一ロット内においても、ロット処理中に温度の変動を抑えて、ロット処理中における基板処理性能の変動を抑制できる。
なお、上述の説明では、ドライクリーニング期間(期間Pdc)及び冷却期間(期間Pc)を有していたが、ドライクリーニング期間(期間Pdc)及び冷却期間(期間Pc)いずれか一方のみの期間を備えてもよい。また、上述の説明では、ドライクリーニング期間(期間Pdc)及び冷却期間(期間Pc)をこの順に有していたが、冷却期間(期間Pc)及びドライクリーニング期間(期間Pdc)の順に有していてもよい。さらに、ドライクリーニング期間(期間Pdc)及び冷却期間(期間Pc)を複数回繰り返してもよい。また、プラズマによる昇温を行う場合には、ドライクリーニングを行う場合に限らず、プラズマを発生させればよい。例えば、プラズマを発生させて、目標温度まで昇温した後に、プラズマの生成を停止して、昇温を停止してもよい。
また、目標温度はあらかじめ設定してもよい。また、目標温度は、安定温度である温度Tswsとしたが、目標温度は、温度Tswsに限らない。あらかじめ設定した目標温度は、例えば、基板を複数処理した場合の飽和温度であってもよい。飽和温度とは、基板を複数処理した場合に到達する安定した温度を意味する。その他、目標温度は、機差に依存して設定してもよいし、温度センサの個体差に依存して設定してもよい。
さらに、上記の説明では、内部構成部材として、側壁保護部材115について説明したが、内部構成部材は、側壁保護部材115に限らない。内部構成部材は、プラズマ処理チャンバ10の内部に設けられる部材、例えば、リングアセンブリ112を構成する環状部材(例えば、カバーリング)でもよいし、シャワーヘッド13の端部を保護する保護部材でもよいし、排気路に設けられるバッフル板でもよい。
今回開示された本実施形態に係る温度制御方法及び温度制御装置は、すべての点において例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で変形及び改良が可能である。上記複数の実施形態に記載された事項は、矛盾しない範囲で他の構成も取り得ることができ、また、矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
1 プラズマ処理装置
2 制御部
10 プラズマ処理チャンバ
11 基板支持部
12 プラズマ生成部
112 リングアセンブリ
115 側壁保護部材
116 温度センサ
S10、S20、S30、S40、S50 ステップ
T1s、T2s、Tsws 温度
ΔT 温度範囲
2 制御部
10 プラズマ処理チャンバ
11 基板支持部
12 プラズマ生成部
112 リングアセンブリ
115 側壁保護部材
116 温度センサ
S10、S20、S30、S40、S50 ステップ
T1s、T2s、Tsws 温度
ΔT 温度範囲
Claims (11)
- プラズマ処理装置のチャンバの温度制御方法であって、
(a)基板を前記チャンバの内部に提供する工程と、
(b)前記チャンバの内部構成部材の処理開始前温度を測定する工程と、
(c)測定した前記処理開始前温度及びあらかじめ設定した目標温度との差に基づき、温度制御条件を決定する工程と、
(d)前記温度制御条件に基づき、前記内部構成部材をプラズマにより昇温するか、及び冷却ガスのパージにより冷却するかの少なくともいずれか一方を実施する工程と、
(e)前記基板をプラズマ処理する工程と、
を含み、
前記(d)工程において、前記冷却ガスのパージにより冷却する場合に、前記チャンバの内部の圧力、前記冷却ガスの流量、前記冷却ガスの種類及び降温時間からなる群より選ばれる少なくとも1つの条件を設定する、
温度制御方法。 - 前記あらかじめ設定した目標温度は、基板を複数処理した場合の飽和温度である、
請求項1に記載の温度制御方法。 - プラズマ処理装置のチャンバの温度制御方法であって、
(a)基板を前記チャンバの内部に提供する工程と、
(b)前記チャンバの内部構成部材の処理開始前温度を測定する工程と、
(c)測定した前記処理開始前温度及びあらかじめ設定した目標温度との差に基づき、温度制御条件を決定する工程と、
(d)前記温度制御条件に基づき、前記内部構成部材をプラズマにより昇温するか、及び冷却ガスのパージにより冷却するかの少なくともいずれか一方を実施する工程と、
(e)前記基板をプラズマ処理する工程と、
を含み、
前記あらかじめ設定した目標温度は、基板を複数処理した場合の飽和温度である、
温度制御方法。 - 前記(e)工程の前に、慣らし処理を実施する工程を更に含む、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の温度制御方法。 - 前記内部構成部材は、石英及びセラミックスからなる群より選ばれる少なくともいずれか1つの材料を含む、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の温度制御方法。 - 前記プラズマ処理装置は、前記内部構成部材の温度を測定するセンサを備え、
前記処理開始前温度は、前記センサにより測定する、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の温度制御方法。 - 前記(d)工程において、前記プラズマにより昇温する場合に、高周波電力のパワー、前記チャンバの内部の圧力、処理ガスの種類、前記処理ガスの流量、昇温速度及び昇温時間からなる群より選ばれる少なくとも1つの条件を設定する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の温度制御方法。 - 前記冷却ガスは、ヘリウム及び窒素からなる群より選ばれる少なくともいずれか1つを含む、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の温度制御方法。 - 前記昇温する場合は、目標温度まで昇温した後に昇温を停止することを含む、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の温度制御方法。 - 処理チャンバと、
前記処理チャンバの内部構成部材と、
前記内部構成部材の温度を測定するセンサと、を備える基板処理装置の温度制御装置であって、
前記温度制御装置は、
(a)基板を前記処理チャンバの内部に提供する手順と、
(b)前記内部構成部材の処理開始前温度を測定する手順と、
(c)測定した前記処理開始前温度及びあらかじめ設定した目標温度との差に基づき、温度制御条件を決定する手順と、
(d)前記温度制御条件に基づき、前記内部構成部材をプラズマにより昇温するか、及び冷却ガスのパージにより冷却するかの少なくともいずれか一方を実施する手順と、
(e)前記基板をプラズマ処理する手順と、
を実行し、
前記温度制御装置は、前記(d)手順において、前記冷却ガスのパージにより冷却する場合に、前記処理チャンバの内部の圧力、前記冷却ガスの流量、前記冷却ガスの種類及び降温時間からなる群より選ばれる少なくとも1つの条件を設定する、
温度制御装置。 - 処理チャンバと、
前記処理チャンバの内部構成部材と、
前記内部構成部材の温度を測定するセンサと、を備える基板処理装置の温度制御装置であって、
前記温度制御装置は、
(a)基板を前記処理チャンバの内部に提供する手順と、
(b)前記内部構成部材の処理開始前温度を測定する手順と、
(c)測定した前記処理開始前温度及びあらかじめ設定した目標温度との差に基づき、温度制御条件を決定する手順と、
(d)前記温度制御条件に基づき、前記内部構成部材をプラズマにより昇温するか、及び冷却ガスのパージにより冷却するかの少なくともいずれか一方を実施する手順と、
(e)前記基板をプラズマ処理する手順と、
を実行し、
前記あらかじめ設定した目標温度は、基板を複数処理した場合の飽和温度である、
温度制御装置。
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JP2019060005A (ja) | 2017-09-28 | 2019-04-18 | 中日本炉工業株式会社 | プラズマ窒化方法 |
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