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JP7579646B2 - SiC粉末及びその製造方法、電気加熱式ハニカム構造体及びその製造方法 - Google Patents

SiC粉末及びその製造方法、電気加熱式ハニカム構造体及びその製造方法 Download PDF

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本発明はSiC粉末及びその製造方法に関する。また、本発明は電圧を印加することによりヒーターとしても機能することができるハニカム構造体及びその製造方法に関する。
従来、セラミックス製のハニカム構造体は、排ガス浄化用の電気加熱式触媒(EHC)及びセラミックヒータの基材等として用いられている。このような用途においては、ハニカム構造体が有する一対の電極部に対して金属端子を接続し、電圧を印加することで、ハニカム構造体を加熱する操作を伴う。例えば、EHCは、自動車等の排気経路中に設けられ、エンジンから排出される排ガスを浄化する排気浄化装置である。このEHCには、触媒が担持されており、EHCを加熱することにより、活性化に必要な温度まで触媒が加熱される。
従来、EHCに流れる電流の均一性を高めるために、電極部の電気抵抗率に着目した技術が知られている。特開2014-198320号公報(特許文献1)においては、電極部が、骨材としての炭化珪素からなる粒子が結合材により結合された多孔体からなり、前記電極部を構成する前記骨材としての炭化珪素が、積層欠陥が2%以下のβ-SiCを含み、且つ、前記電極部を構成する前記結合材が、珪素、及び金属珪化物を含むことを提案している。特許文献1には、当該構成によって、電極部の電気抵抗率を、従来のハニカム構造体の電極部に比して、低くすることができることが記載されている。そして、これにより、一対の電極部のうちの一方の電極部に供給された電流が、当該電極部全域に良好に伝達し、電極部からハニカム構造体全体に均一に電流が流れることになると記載されている。
また、特許文献1の段落0047には、「骨材としての炭化珪素からなる粒子の平均粒子径が、10~70μmであることが好ましく、10~50μmであることが更に好ましく、15~40μmであることが特に好ましい。電極部に含まれる炭化珪素からなる粒子の平均粒子径が、10μm未満であると、電極部の電気抵抗率が高くなる傾向にある。また、電極部に含まれる炭化珪素からなる粒子の平均粒子径が、70μm超であると、電極部の強度が低下する傾向にある。」と記載されている。
特開2014-198320号公報
特許文献1には、ハニカム構造体全体へ均一に電流が流れるようにするために、電極部の電気抵抗率を低くするという技術思想が開示されている。そして、電極部の電気抵抗率を低くするために、電極部を構成する骨材として積層欠陥が2%以下のβ-SiCを使用することや、骨材粒子の平均粒子径を10~70μmに制御することが具体的に提案されている。
しかしながら、特許文献1には、電気抵抗率の経時変化に関する考察が不足しており、当初は低い電気抵抗率が得られたとしても、長期的に使用し続けると電気抵抗率が上昇する懸念があった。本発明者の検討結果によると、特許文献1において記載されるβ-SiCは、長期的な使用によって電気抵抗率が上昇しやすく、ハニカム構造体の加熱性能を低下させるおそれがあることが分かった。このため、長期的に使用しても電気抵抗率の上昇しにくい電気加熱式ハニカム構造体が提供されることが望ましい。
上記事情に鑑みて、本発明は一実施形態において、電気抵抗率が経時的に上昇しにくいSiC粉末及びその製造方法を提供することを課題とする。本発明は別の一実施形態において、そのようなSiC粉末を用いて製造される電気加熱式ハニカム構造体及びその製造方法を提供することを課題とする。
[1]
β-SiCを70質量%以上含有し、
レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布におけるD50が8~35μmであり、D10が5μm以上であるSiC粉末。
[2]
レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布における粒度5μm以下の粒子の積算体積が7%以下である[1]に記載のSiC粉末。
[3]
レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布におけるD50が15~35μmであり、D10が7~20μmである[1]又は[2]に記載のSiC粉末。
[4]
レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布におけるD90が100μm以下である[1]~[3]の何れか一項に記載のSiC粉末。
[5]
前記粉末中に含まれるβ-SiCの積層欠陥が5%以下である[1]~[4]の何れか一項に記載のSiC粉末。
[6]
前記粉末中に含まれるβ-SiCの積層欠陥が2%超である[1]~[5]の何れか一項に記載のSiC粉末。
[7]
金属珪素及びシリサイドの一方又は両方を更に含有する[1]~[6]の何れか一項に記載のSiC粉末。
[8]
Ni、Al、B、N、Ga、Ge、Ti、Cu、Co、P、Cr及びZrよりなる群から選択される1種又は2種以上の第三元素を含有する[1]~[7]の何れか一項に記載のSiC粉末。
[9]
前記粉末中の前記第三元素の合計濃度が6質量%以下である[8]に記載のSiC粉末。
[10]
SiC化原料粉末及び第三元素含有粉末を含む混合物を成形して成形体を作製する工程と、
前記成形体を不活性雰囲気下、1800℃以下の温度で焼成してβ-SiCを含有する焼成体を得る工程と、
前記焼成体を粉砕して粉砕された焼成体を得る工程と、
前記粉砕された焼成体を分級して、レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布におけるD50が8~35μmであり、D10が5μm以上である粉末を得る工程と、
を含むSiC粉末の製造方法。
[11]
前記粉末は、レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布における粒度5μm以下の粒子の積算体積が7%以下である[10]に記載のSiC粉末の製造方法。
[12]
前記粉末は、レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布におけるD50が15~35μmであり、D10が7~20μmである[10]又は[11]に記載のSiC粉末の製造方法。
[13]
前記粉末は、レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布におけるD90が100μm以下である[10]~[12]の何れか一項に記載のSiC粉末の製造方法。
[14]
前記第三元素含有粉末は、Ni、Al、B、N、Ga、Ge、Ti、Cu、Co、P、Cr及びZrよりなる群から選択される1種又は2種以上の第三元素を含有する[10]~[13]の何れか一項に記載のSiC粉末の製造方法。
[15]
前記焼成体の気孔率が35~80%である[10]~[14]の何れか一項に記載のSiC粉末の製造方法。
[16]
前記焼成体の平均気孔径が5~300μmである[10]~[15]の何れか一項に記載のSiC粉末の製造方法。
[17]
坏土を成形及び乾燥することにより、外周側壁と、当該外周側壁よりも内周側に配設され、第一底面から第二底面まで延び、流体の流路となる複数のセルを区画形成する隔壁とを有する柱状のハニカム成形体を得る工程と、
前記ハニカム成形体又は前記ハニカム成形体を焼成して得られたハニカム焼成体の側面の第一の領域及び第二の領域に、電極部形成ペーストをそれぞれ塗工し、塗工した前記電極部形成ペーストを乾燥及び焼成して、一対の電極部を形成する電極部形成工程を備え、
前記坏土及び前記電極部形成ペーストの一方又は両方が、[1]~[9]の何れか一項に記載のSiC粉末を含む、
電気加熱式ハニカム構造体の製造方法。
[18]
[17]に記載の製造方法によって得られた電気加熱式ハニカム構造体。
[19]
[1]~[9]の何れか一項に記載のSiC粉末を含む、電気加熱式ハニカム構造体。
本発明の一実施形態によれば、電気抵抗率が経時的に上昇しにくいSiC粉末及びその製造方法が提供される。このSiC粉末を電気加熱式ハニカム構造体の原料として使用することにより、長期間使用しても電気抵抗が上昇しにくい、耐久性に優れた電気加熱式ハニカム構造体を得ることが可能となる。
本発明に係るハニカム構造体の一実施形態を模式的に示す斜視図である。 通電抵抗を測定する方法を説明する模式図である。
次に本発明を実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
(1.SiC粉末)
本発明に係るSiC粉末は一実施形態において、
β-SiCを70質量%以上含有し、
レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布におけるD50が8~35μmであり、D10が5μm以上である。
(1-1 SiC粉末の粒度分布)
本発明に係るSiC粉末は一実施形態において、レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布におけるD50が8~35μmであり、D10が5μm以上である。好ましくは、D50が15~35μmであり、D10が7~20μmである。より好ましくは、D50が20~30μmであり、D10が12~20μmである。D50とは、上記で測定された累積粒度分布における累積体積50%の粒度のことである。D10とは、上記で測定された累積粒度分布における累積体積10%の粒度のことである。SiC粉末のD50が8μm以上であり、且つ、D10が5μm以上であることで、SiCの酸化が抑制され、SiC粉末自体の電気抵抗率が経時的に上昇しにくくなり、これを原料粉として製造した焼成体の電気抵抗率の経時的な上昇が抑制されるという利点が得られる。また、D10が20μm以下であったり、D50が35μm以下であったりすることで、成形性を確保することができる。
本発明に係るSiC粉末は一実施形態において、レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布における粒度5μm以下の粒子の積算体積が7%以下である。D50及びD10に加えて、粒度5μm以下の粒子の積算体積が少ないことで、SiCの酸化が更に抑制され、SiC粉末自体の電気抵抗率が経時的に上昇しにくくなる効果が一層向上し、これを原料粉として製造した焼成体の電気抵抗率の経時的な上昇が更に抑制されるという利点が得られる。粒度5μm以下の粒子の積算体積は好ましくは5%以下であり、より好ましくは2%以下であり、更により好ましくは1%以下である。
本発明に係るSiC粉末は一実施形態において、レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布におけるD90が100μm以下である。SiC粉末のD90が100μm以下であることで、SiC粉末の成形性が向上する。SiC粉末のD90は好ましくは80μm以下であり、より好ましくは60μm以下であり、更により好ましくは50μm以下である。D90とは、上記で測定された累積粒度分布における累積体積90%の粒度のことである。
(1-2 SiC粉末の組成)
本発明に係るSiC粉末は一実施形態において、β-SiCを70質量%以上含有する。SiC粉末がβ-SiCを主成分とすることで、SiC粉末自体の初期の電気抵抗率を低く抑えることができ、これを原料粉として製造した焼成体の初期の電気抵抗率を低くすることができる。SiC粉末は好ましくはβ-SiCを75質量%以上含有し、より好ましくはβ-SiCを80質量%以上含有する。SiC粉末中のβ-SiCの含有濃度に上限はなく、実質的に100質量%とすることもできるが、積層欠陥を抑制するために後述する第三元素(典型的には金属元素)を添加することや、未反応原料の残留を考慮すると、SiC粉末中のβ-SiCの濃度は90質量%以下であるのが通常であり、85質量%以下であることが典型的である。
本発明に係るSiC粉末は一実施形態において、金属珪素及びシリサイド(典型的には金属シリサイド)の一方又は両方を更に含有してもよい。金属珪素は特に必要ではないが、SiC粉末の原料として使用する金属珪素が残留し得る。また、シリサイドは、β-SiCの積層欠陥を抑制するために添加する後述の第三元素(典型的には金属元素)がSiC粉末の原料として使用する金属珪素と反応して形成され得る。
本発明に係るSiC粉末は一実施形態において、Ni、Al、B、N、Ga、Ge、Ti、Cu、Co、P、Cr及びZrよりなる群から選択される1種又は2種以上の第三元素を含有する。これらの中でも、Ti、Cr、Co、Ni、Al及びCuよりなる群から選択される1種又は2種以上の第三元素を含有することがより好ましい。これらの第三元素はβ-SiCの積層欠陥を抑制することで、SiC粉末自体の初期の電気抵抗率を低く抑えるのに寄与し、そして、これを原料粉として製造した焼成体の初期の電気抵抗率を低く抑えるのに寄与することができる。上記に加え、SiC粉末はN、P、Al及びBよりなる群から選択される1種又は2種以上の元素がさらに共存することでも、焼成体の初期の電気抵抗率を低く抑える点で有利である。この場合、N、P、Al及びBよりなる群から選択される1種又は2種以上の元素の合計質量は、SiCの質量に対して、0.0001~1質量%であることが好ましく0.001~1質量%であることがより好ましい。
β-SiCの積層欠陥を抑制する効果を高めるため、SiC粉末中の上記第三元素の合計濃度は、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましい。一方で、SiC粉末中の上記第三元素の濃度が高くなりすぎると、SiC粉末を原料粉として製造した焼成体の熱膨張率が大きくなるおそれがある。そこで、SiC粉末中の上記第三元素の合計濃度は、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、6質量%以下であることが更により好ましい。
(1-3 積層欠陥)
本発明に係るSiC粉末は一実施形態において、前記粉末中に含まれるβ-SiCの積層欠陥を5%以下とすることができ、3%以下とすることもでき、2%以下とすることもできる。一方で、本発明に係るSiC粉末は一実施形態において、前記粉末中に含まれるβ-SiCの積層欠陥を2%超とすることができ、3%以上とすることもでき、4%以上とすることもでき、例えば3~5%とすることができる。SiC粉末の粒度分布を上述した範囲に制御することで、β-SiCの積層欠陥が多くても、SiC粉末自体の電気抵抗率が経時的に上昇しにくくなる効果に悪影響を及ぼすことはほとんどない。
ここで、β-SiCの積層欠陥について説明する。まず、積層欠陥とは、面状の格子欠陥(面欠陥)の一種であり、完全結晶が原子面の周期的な積み重ねによって作られていると考えるとき、この積み重ねの規則性(順序)に乱れを生じていることをいう。本明細書において、β-SiCの積層欠陥(%)は、下記式(1)によって算出される値のことをいう。ここで、下記(1)におけるAは、下記式(2)によって算出される値である。
式(2)における「33.6°ピーク強度」は、X線回折(XRD)によるX線回折スペクトルにおいて、散乱角(2θ)が33.6°でのピーク強度のことである。また、「41.4°ピーク強度」は、X線回折(XRD)によるX線回折スペクトルにおいて、散乱角(2θ)が41.4°でのピーク強度のことである。上記のX線回折においては、黒鉛モノクロメーターを使用し、波長が1.54ÅのCuKα線によってX線回折分析を行う。管電圧は50kV、管電流は300mAとする。走査速度は、2θ=2°min-1とし、受光スリット(Recieving Slit)は0.3mmとする。このようにして、X線回折スペクトルにおける散乱角2θ=33.6°でのピーク強度と散乱角2θ=41.4°でのピーク強度を測定し、上記式(2)により「A」を算出し、上記式(1)に従い、β-SiCの積層欠陥を求めることができる。当該測定は、SiC粉末から複数回(例:5回以上)サンプリングして行い、その平均値を測定値とする。なお、β-SiCの積層欠陥について記載された参考文献として、例えば、下記の参考文献1及び2を挙げることができる。参考文献1:日本セラミックス協会学術論文誌 99[12],p1179-1184,(1991)。参考文献2:Journal of the Ceramic Society of Japan,106[5],p483-487,(1998)。
(1-4 β-SiCの結晶子サイズ)
β-SiCの結晶子サイズは、900Å以上であることが好ましく、900~500000Åであることが更に好ましく、1000~500000Åであることが特に好ましい。β-SiCの結晶子サイズは、下記式(3)によって算出される値のことをいう。下記式(3)は、シェラーの式である。通常、1個の結晶粒は複数の単結晶と見なせるような微細結晶からなり、この微細結晶を結晶子と呼ぶ。この結晶子の大きさが、上記「結晶子サイズ」である。β-SiCの結晶子サイズが900Å以上であると、SiC粉末自体の初期の電気抵抗率を低く抑えるのに寄与し、これを原料粉として製造した焼成体の初期の電気抵抗率を良好に低下させることができる。
式(3)における「t(Å)」は、結晶子サイズ(Å)を示す。「λ」は、X線波長(1.54Å)を示す。「B」は、散乱角(2θ)が35.6°のピークの半値幅を示す。「θB」は、散乱角(2θ)の1/2の値、即ち、θB=17.8°である。X線回折(XRD)によるX線回折スペクトルは、上述したβ-SiCの積層欠陥の算出方法にて説明した方法と同様の方法によって測定することができる。当該測定は、SiC粉末から複数回(例:5回以上)サンプリングして行い、その平均値を測定値とする。結晶子サイズについて記載された参考文献として、以下の参考文献3を挙げることができる。参考文献3:早稲田 嘉夫、及び松原 英一郎著,「X線構造解析 原子の配列を決める(材料学シリーズ)」,内田老鶴圃,1999年9月30日,第2版発行,p119-123。
(2.SiC粉末の製造方法)
上述した実施形態に係るSiC粉末は、例えば以下の製造方法によって製造することができる。
SiC化原料粉末及び第三元素含有粉末を含む混合物を成形して成形体を作製する工程と、
前記成形体を不活性雰囲気下、1800℃以下の温度で焼成してβ-SiCを含有する焼成体を得る工程と、
前記焼成体を粉砕して粉砕された焼成体を得る工程と、
前記粉砕された焼成体を分級して、レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布におけるD50が8~35μmであり、D10が5μm以上である粉末を得る工程と、
を含むSiC粉末の製造方法。
まず、SiC化原料粉末及び第三元素含有粉末を含む混合物を成形して成形体を作製する。混合物には適宜、造孔材を添加してもよい。SiC化原料粉末としては、焼成後にSiCを作製可能な原料粉末であれば特に制限はないが、典型的には金属珪素粉末及び炭素質粉末の組み合わせが挙げられる。金属珪素粉末のD50は、焼成体の気孔径を制御し、粉砕しやすくするという理由から5μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましい。また、金属珪素粉末のD50は、成形体の作りやすさの理由から300μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。従って、金属珪素粉末のD50は5~300μmとすることが好ましく、15~100μmとすることがより好ましい。金属珪素粉末のD50はレーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布における累積体積50%の粒度である。
金属珪素粉末の純度は好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上である。金属珪素粉末中の酸素量は好ましくは3.0質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。
炭素質粉末としては、結晶質及び非晶質の何れでも構わないが、非晶質な炭素質粉末が好ましく、カーボンブラックが特に好ましい。炭素質粉末は1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよいが、SiC化しやすいという理由から、炭素質粉末としては、黒鉛(即ち、グラファイト)のような結晶質な炭素(別言すれば、結晶構造が発達している炭素)よりも、非晶質な炭素質粉末が好ましい。炭素質粉末の比表面積は、SiC化しやすいという理由から30m2/g以上が好ましく、50m2/g以上がより好ましい。また、炭素質粉末の比表面積は、上限は特に設定されないが、通常は2000m2/g以下であり、典型的には1000m2/g以下であり、より典型的には200m2/g以下である。炭素質粉末の比表面積は窒素吸着法により測定される。
更に第三元素含有粉末(典型的には金属珪素以外の金属粉末)を使用することで、生成するβ-SiCの積層欠陥を低下させることができる。第三元素含有粉末は、限定的ではないが、Ni、Al、B、N、Ga、Ge、Ti、Cu、Co、P、Cr及びZrよりなる群から選択される1種又は2種以上の第三元素を含有することが好ましい。これらの中でも、第三元素含有粉末は、Ti、Cr、Co、Ni、Al及びCuよりなる群から選択される1種又は2種以上の金属第三元素を含有することがより好ましい。
炭素質粉末の純度は好ましくは95質量%以上であり、より好ましくは98質量%以上である。
SiC化原料粉末及び第三元素含有粉末を含む混合物は、例えばこれらの粉末を水と共に混合することで得ることができる。例示的には、金属珪素粉末100質量部に対して、炭素質粉末が20~40質量部となるように混合することが好ましく、25~35質量部となるように混合することがより好ましく、30~35質量部となるように混合することが更により好ましい。また、金属珪素粉末100原子数に対して、第三元素含有粉末が合計で1~10原子数となるように混合することが好ましく、3~8原子数となるように混合することがより好ましく、3~5原子数となるように混合することが更により好ましい。また、金属珪素粉末、炭素質粉末、及び第三元素含有粉末の合計質量を100質量部としたときに、水を20~100質量部添加することが好ましい。
混合方法には特に制限はないが、例えば、縦型の撹拌機を用いることができる。得られた混合物をプレス成形、押出成形等により成形して成形体を作製する。成形体の形状には特に制限はないが、円柱、円盤、角盤等が挙げられる。成形体は乾燥することが好ましく、例えば、乾燥温度で50~100℃で乾燥することができる。
次いで、前記成形体を不活性雰囲気下、1800℃以下の温度で焼成してβ-SiCを含有する焼成体を得る。成形体の焼成は、酸化防止のためにアルゴンなどの不活性雰囲気又は真空中で行うことが好ましい。焼成温度は、α-SiCの生成を抑制し、β-SiCを優先的に生成するという観点から、1800℃以下の温度とすることが好ましく、1300~1500℃がより好ましい。焼成時間は例えば1~20時間とすることができる。一般的に、当該方法で作製されたSiCは、反応焼結SiCと呼ばれている。反応焼結SiCは、原料間の反応を利用して生成させたSiCである。
焼成体は、粉砕しやすいという理由により、多孔質であることが好ましい。具体的には焼成体の気孔率は、粉砕しやすさの観点から、35%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。また、焼成体の気孔率に上限は特段設定されないが、成形体の作製容易性や形状保持の観点から、80%以下であることが好ましく、75%以下であることがより好ましい。従って、一実施形態において、焼成体の気孔率は35~80%とすることができ、40~75%とすることが好ましい。焼成体の気孔率は例えば成形圧を変化させる方法によって制御することができる。焼成体の気孔率を上げるには造孔材を添加したり、成形圧を低くしたりすればよく、逆に焼成体の気孔率を下げるには成形圧を高くすればよい。
また、焼成体の平均気孔径は、粉砕しやすいという理由により5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。また、焼成体の平均気孔径は、成形時に流動しやすく、成形体が得やすいという理由により300μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。従って、一実施形態において、焼成体の平均気孔径は5~300μmとすることができ、10~150μmとすることが好ましい。焼成体の平均気孔径は例えば、原料である金属珪素粉末及び/又は造孔材の粒径を変える方法によって制御することができる。焼成体の平均気孔径を大きくするには当該粒径を大きくすればよく、逆に焼成体の平均気孔径を小さくするには当該粒径を小さくすればよい。
次いで、このようにして得られた焼成体を粉砕して、粉砕された焼成体を得る。粉砕方法には特に制限はないが、例えば衝撃式粉砕機、乳鉢によって粉砕することができる。粉砕しただけでは粒度分布の制御がなされていないため、粉砕された焼成体を、篩、空気分級機などによって分級し、所望の粒度分布をもつSiC粉末を得る。SiC粉末は、β-SiCの他、金属珪素、第三元素(典型的には金属珪素以外の金属)、及びシリサイド(典型的には金属シリサイド)を含有し得る。
(3.電気加熱式ハニカム構造体の製造方法)
本発明に係るSiC粉末を原料として用いることで、例えば電気加熱式ハニカム構造体を製造することができる。
従って、本発明は一実施形態において、
坏土を成形及び乾燥することにより、外周側壁と、当該外周側壁よりも内周側に配設され、第一底面から第二底面まで延び、流体の流路となる複数のセルを区画形成する隔壁とを有する柱状のハニカム成形体を得る工程と、
前記ハニカム成形体又は前記ハニカム成形体を焼成して得られたハニカム焼成体の側面の第一の領域及び第二の領域に、電極部形成ペーストをそれぞれ塗工し、塗工した前記電極部形成ペーストを乾燥及び焼成して、一対の電極部を形成する電極部形成工程を備え、
前記坏土及び前記電極部形成ペーストの一方又は両方が、上述した本発明に係るSiC粉末を含む、
電気加熱式ハニカム構造体の製造方法を提供する。
(3-1 ハニカム成形体の作製工程)
本工程では、坏土を成形及び乾燥することにより、外周側壁と、当該外周側壁よりも内周側に配設され、第一底面から第二底面まで延び、流体の流路となる複数のセルを区画形成する隔壁とを有する柱状のハニカム成形体を得る。ハニカム成形体の作製は、公知のハニカム構造体の製造方法におけるハニカム成形体の作製方法に準じて行うことができる。例えば、まず、SiC粉末(炭化珪素粉末)及び金属珪素粉末等のセラミックス原料の他に、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を混合して成形原料を作製する。一実施形態においては、SiC粉末の少なくとも一部に、上述した本発明に係るSiC粉末を使用することができる。また、別の一実施形態においては、SiC粉末として上述した本発明に係るSiC粉末のみを使用することができる。なお、金属珪素粉末は、ハニカム構造部の材質を、珪素-炭化珪素複合材とする場合に添加する必要があるが、ハニカム構造部の材質を実質的に炭化珪素とする場合には、添加する必要はない。
金属珪素粉末の含有量は、特に制限はないが、SiC粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、15~50質量部とすることができる。また、金属珪素粉末のD50は、特に制限はないが、3~50μmとすることができる。金属珪素粉末のD50はレーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布における累積体積50%の粒度である。なお、SiC粉末のD50は、先述した通り、8~35μmとするのが好ましい。
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、SiC粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、2~15質量部であることが好ましい。
水の含有量は、SiC粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、20~60質量部であることが好ましい。
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、SiC粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1~2.0質量部であることが好ましい。
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。造孔材の含有量は、SiC粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.5~10.0質量部であることが好ましい。造孔材のD50は、10~30μmであることが好ましい。造孔材のD50は、レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布における累積体積50%の粒度を意味する。造孔材が吸水性樹脂の場合には、造孔材の平均粒子径は吸水後の平均粒子径のことである。
次いて、得られた成形原料を混練して坏土を形成する。ハニカム成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。
次いで、坏土を押出成形してハニカム成形体を作製する。押出成形に際しては、所望の全体形状、セル形状、隔壁厚み、セル密度等を有する口金を用いることができる。得られたハニカム成形体について、乾燥を行うことが好ましい。乾燥後のハニカム成形体を「ハニカム乾燥体」と称することがある。乾燥の方法は特に限定されず、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。これらの中でも、成形体全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥することができる点で、電磁波加熱方式で一定量の水分を乾燥させた後、残りの水分を外部加熱方式により乾燥させることが好ましい。乾燥の条件として、電磁波加熱方式にて、乾燥前の水分量に対して、30~99質量%の水分を除いた後、外部加熱方式にて、3質量%以下の水分にすることが好ましい。電磁波加熱方式としては、誘電加熱乾燥が好ましく、外部加熱方式としては、熱風乾燥が好ましい。以下、乾燥後のハニカム成形体を「ハニカム乾燥体」と称することがある。ハニカム成形体(ハニカム乾燥体)の中心軸方向長さが、所望の長さではない場合は、ハニカム成形体の両底部を切断して所望の長さとすることができる。
(3-2 電極部形成工程)
電極部形成工程では、前記ハニカム成形体又は前記ハニカム成形体を焼成して得られたハニカム焼成体の側面の第一の領域及び第二の領域に、電極部形成ペーストをそれぞれ塗工し、塗工した前記電極部形成ペーストを乾燥及び焼成して、一対の電極部を形成する。電極部形成ペーストは、本発明に係るSiC粉末を含有することが好ましい。また、電極部形成ペースト中のSiC粉末としては、本発明に係るSiC粉末のみを含有することがより好ましい。
電極部形成ペーストは、例えば、本発明に係るSiC粉末及び金属珪素粉末に加えて、バインダ、保湿剤、分散剤、水等の添加物を添加し、混練して調製することができる。典型的には、SiC粉末は骨材として機能し、金属珪素粉末は骨材同士の結合材として機能する。SiC粉末に含まれ得る金属(金属珪素、金属珪素以外の金属)及び/又は金属シリサイドも結合材として機能する。混練の方法は特に限定されず、例えば、縦型の撹拌機を用いることができる。
SiC粉末を金属珪素で効果的に結合するため、金属珪素粉末の含有量は、SiC粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、5~40質量部であることが好ましく、10~30質量部であることがより好ましい。また、金属珪素粉末のD50は、SiC粉末を金属珪素で結合しやすくするという理由から1~50μmとすることが好ましく、4~20μmとすることがより好ましい。金属珪素粉末のD50は、レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布における累積体積50%の粒度を意味する。なお、SiC粉末のD50は、先述した通り、8~35μmとするのが好ましい。
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。バインダの含有量は、SiC粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1~5.0質量部であることが好ましい。
保湿剤としては、グリセリンを挙げることができる。保湿剤の含有量は、SiC粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0~10質量部であることが好ましい。
分散剤としては、例えば、界面活性剤として、グリセリン、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール、ポリアクリル酸系分散剤等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、SiC粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1~2.0質量部であることが好ましい。
水の含有量は、SiC粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、15~60質量部であることが好ましい。
また、電極部形成ペーストは、気孔率を低下させ、これによって電極部の電気抵抗率を低下させるという理由から、酸化物を含有することができる。酸化物としては、特に制限はないが、B、Mg、Al、Si、P、Ti、Zr、Pb、Li、Na、Ba、Ca、Fe及びSrよりなる群から選択される1種又は2種以上の元素の酸化物が挙げられ、好ましくはB、Mg、Al、Si、P、Ti及びZrよりなる群から選択される1種又は2種以上の元素の酸化物が挙げられる。酸化物の中では、Mg、Al及びSiよりなる群から選択される1種又は2種以上の元素の酸化物が、低熱膨張の観点からより好ましい。酸化物の具体例としては、MgO、SiO2、及びAl23等の1種の元素の酸化物の他、MgO、SiO2及びAl23の化合物である2MgO・2Al23・5SiO2(コージェライト)や、MgO-SiO-Al23-B23のようなコージェライトを主成分とする結晶化ガラス、Al23及びTiO2の化合物であるAlTiO5(チタン酸アルミニウム)等の2種以上の元素の酸化物(複合酸化物)が挙げられる。高温耐久性を高める観点からは、電極部内の酸化物の少なくとも一部が結晶質であることが好ましい。酸化物は1種を単独で使用しても良いし、2種以上を組み合わせて使用しても良い。SiC粉末及び金属珪素粉末の合計体積量を100体積部としたときに、上記の酸化物を合計で1~10体積部含むことが好ましく、1~5体積部含むことがより好ましい。
次に、得られた電極部形成ペーストを、前記ハニカム成形体又は前記ハニカム成形体を焼成して得られたハニカム焼成体の側面の第一の領域及び第二の領域に、それぞれ塗工する。電極部形成ペーストは、前記ハニカム成形体又は前記ハニカム焼成体の前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記第一の領域が、前記第二の領域に対して、前記ハニカム成形体又は前記ハニカム焼成体の中心を挟んで反対側に位置するように塗工することが好ましい。
電極部形成原料を前記ハニカム成形体又は前記ハニカム成形体を焼成して得られたハニカム焼成体の側面に塗工する方法は、特に限定されないが、例えば、スクリーン印刷等の印刷方法を用いることができる。塗布厚みは、限定的ではないが、25~500μmとすることができ、典型的には、75~350μmとすることができる。
焼成工程が1回で済むことから、乾燥後のハニカム成形体の側面に電極部形成ペーストを塗工することが好ましい。但し、乾燥させたハニカム成形体を焼成して、ハニカム焼成体を先に作製し、このハニカム焼成体の側面に電極部形成ペーストを塗工することもできる。なお、ハニカム成形体の焼成条件は、後述する電極部形成ペーストの焼成条件と同じ条件を採用することができる。
次に、ハニカム成形体又はハニカム焼成体の側面に塗工した電極部形成ペーストを乾燥させることが好ましい。乾燥条件は、50~120℃で、1~24時間とすることが好ましい。その後、電極部形成ペースト付きのハニカム成形体又は電極部形成ペースト付きのハニカム焼成体を焼成することにより、一対の電極部を有するハニカム構造体を作製することができる。
乾燥後、焼成前に、バインダ等を除去するため、仮焼成を行うことが好ましい。例示的には、仮焼成は大気雰囲気において、400~500℃で、0.5~20時間行うことができる。その後の焼成条件としては、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1350~1500℃で、1~20時間加熱することが好ましい。仮焼成及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。また、焼成後、耐久性向上のために、1000~1350℃で、1~10時間、酸化処理を行うことが好ましい。当該酸化処理は主に金属珪素を酸化することが目的である。SiC粉末も酸化され得るが、先述したように、本発明に係るSiC粉末は酸化されにくいので、当該酸化処理によるSiC粉末の酸化は限定的である。
(4.電気加熱式ハニカム構造体)
上述した製造方法によって製造可能な電気加熱式ハニカム構造体の構造について例示的に説明する。図1は、本発明に係る電気加熱式ハニカム構造体の一実施形態を概略的に示す斜視図である。図示の実施形態に係る電気加熱式ハニカム構造体100は、外周側壁112と、外周側壁112よりも内周側に配設され、第一底面114から第二底面116まで延び、流体の流路を形成する複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁118とを有する柱状のハニカム構造部110、及び、前記柱状のハニカム構造部110の外周側壁112の外面に接合された少なくとも一つの電極部120を備える。
各セルは、第一底面114及び第二底面116が共に開口することで第一底面114から第二底面116まで貫通していてもよい(フロースルー型ハニカム構造)。しかしながら、電気加熱式ハニカム構造体をフィルタとして使用する場合の粒状物質(PM)の捕集性能を高めるという観点から、ハニカム構造部110は、第一底面114から第二底面116まで延び、第一底面114が開口して第二底面116が目封止された複数の第1セルと、第一底面114から第二底面116まで延び、第一底面114が目封止されて第二底面116が開口する複数の第2セルとを有することが好ましい(ウォールフロー型ハニカム構造)。この場合、ハニカム構造部110は、両底面が市松模様を呈するように、第1セル及び第2セルが隔壁118を挟んで交互に隣接配置することができる。
(4-1 ハニカム構造部)
ハニカム構造部は、電気加熱に有利であるため、Si(金属珪素)及びSiC(炭化珪素)の一方又は両方を含有するセラミックスで形成することができる。Si及びSiCの一方又は両方を含有するセラミックスとしては、例えば、珪素-炭化珪素複合材、珪素-酸化物複合材、炭化珪素-酸化物複合材、及び珪素-炭化珪素-窒化珪素複合材が挙げられる。一実施形態において、ハニカム構造部を構成するSiCは本発明に係るSiC粉末に由来し、より好ましい実施形態において、ハニカム構造部を構成するSiCは実質的に本発明に係るSiC粉末のみに由来する。なお、本発明においては、Siのみで柱状のハニカム構造部が形成される場合も、焼結体である限りセラミックスと呼ぶことにする。
柱状のハニカム構造部は、電気加熱に有利であるため、Si及びSiCの合計体積割合が、60%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更により好ましく、95%以上であることが更により好ましい。
ハニカム構造部に含有させることのできる他のセラミックスとしては、限定的ではないが、コージェライト、ムライト、ジルコン、チタン酸アルミニウム、窒化珪素、ジルコニア、スピネル、インディアライト、サフィリン、コランダム、チタニア等のセラミックスが挙げられる。これらの他のセラミックスは、1種のみを使用してもよいが、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ハニカム構造部110の熱膨張率は、耐熱衝撃性の観点から、3.5~6.0ppm/Kが好ましく、3.5~4.5ppm/Kが更に好ましい。本明細書において、熱膨張率は、特に断りのない限り、JIS R1618:2002に準拠した方法により測定される25~800℃の線熱膨張係数を指す。熱膨張計としては、BrukerAXS社製の「TD5000S(商品名)」を用いることができる。
ハニカム構造部は、一対の電極部間に電圧を印加すると通電してジュール熱により発熱することが可能である。よって、本発明に係る電気加熱式ハニカム構造体はヒーターとして好適に用いることができる。印加する電圧は12~900Vが好ましいが、印加する電圧は適宜変更可能である。
ハニカム構造部は、ジュール熱により発熱することができれば、その体積抵抗率については特に制限はない。ハニカム構造部の体積抵抗率は、電気加熱式ハニカム構造体を使用する用途に合わせて適宜選択すればよい。例示的には、ハニカム構造部の体積抵抗率は、0.01~200Ωcmとすることができ、0.05~50Ωcmであることが好ましく、0.1~5Ωcmであることが更に好ましい。ここでのハニカム構造部の体積抵抗率は、4端子法により室温(25℃)で測定した値である。
隔壁は多孔質とすることができる。この場合、ハニカム構造部の隔壁の気孔率は特に制限はないが、例えば35~60%とすることができ、35~45%であることが好ましい。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
ハニカム構造部の隔壁の平均細孔径は特に制限はないが、例えば2~15μmとすることができ、3~8μmであることが好ましい。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
ハニカム構造部における隔壁の厚みは、例えば0.1~0.3mmとすることができ、0.1~0.15mmであることが好ましい。
セル密度は、セルの流路方向に直交する断面において、例えば40~150セル/cm2とすることができ、60~100セル/cm2であることが好ましい。
セルの流路方向に直交する断面におけるセルの形状に制限はないが、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせ、であることが好ましい。これ等のなかでも、正方形及び六角形が好ましい。セル形状をこのようにすることにより、ハニカム構造部に排ガスを流したときの圧力損失が小さくなり、触媒による浄化性能が優れたものとなる。
ハニカム構造部の外形は柱状である限り特に限定されず、例えば、底面が円形の柱状(円柱形状)、底面がオーバル形状の柱状、底面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の柱状等の形状とすることができる。また、ハニカム構造部の大きさは、耐熱衝撃性の観点から、底面の面積が2000~20000mm2であることが好ましく、4000~15000mm2であることが更に好ましい。また、ハニカム構造部の中心軸方向の長さは、耐熱衝撃性の観点から、30~200mmであることが好ましく、30~120mmであることが更に好ましい。
(4-2 電極部)
本実施形態に係る電気加熱式ハニカム構造体100は、柱状のハニカム構造部110の外周側壁112の外面に接合された一対の電極部120を備える。好ましい実施形態においては、一対の電極部120が、ハニカム構造部110の中心軸を挟んで、ハニカム構造部110の外周側壁112の外面にセルの流路方向に帯状に延設される。これにより、電気加熱式ハニカム構造体100は、一対の電極部120間に電圧を印加した時に、ハニカム構造部110内を流れる電流の偏りを抑制することができ、ハニカム構造部110内の温度分布の偏りを抑制することができる。電極部120には、端子の接続を容易にするための端子接続部122を設けてもよい。
一実施形態において、電極部は、骨材としてのSiC粒子が結合材により結合された多孔質構造を有する。好ましい実施形態において、電極部を構成するSiC粒子は本発明に係るSiC粉末に由来し、より好ましい実施形態において、電極部を構成するSiCは実質的に本発明に係るSiC粉末のみに由来する。また、好ましい実施形態において、電極部を構成する結合材は、金属珪素、金属珪素以外の金属、及び金属シリサイドよりなる群から選択される結合材の1種、2種又は3種を含有する。
電極部の平均厚みは、均一発熱性を高めるという観点から、25μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、75μm以上であることが更により好ましい。また、電極部の平均厚みは、焼成によるクラック及び剥離を防止するという観点から、500μm以下であることが好ましく、350μm以下であることがより好ましく、250μm以下であることが更により好ましい。電極部の平均厚みは、電気加熱式ハニカム構造体のセルの延びる方向に垂直な断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)によって撮像して得られる画像から電極部の厚みを複数個所測定し、算出することができる。
電極部の体積抵抗率は、均一発熱性を高めるという観点から0.01~0.8Ωcmであることが好ましく、0.01~0.4Ωcmであることがより好ましい。電極部の体積抵抗率は4端子法にて求めることができる。
図1に示されるように、本実施形態の電気加熱式ハニカム構造体100においては、一対の電極部120のそれぞれが、ハニカム構造部110のセルの流路方向に一方の底面から他方の底面まで延びる帯状に形成されている。このように、一対の電極部120が、ハニカム構造部110の両底面間に亘って配設されていることにより、一対の電極部120間に電圧を印加した時に、ハニカム構造部110内を流れる電流の偏りをより効果的に抑制することができる。そして、ハニカム構造部110内を流れる電流の偏りを抑制することにより、ハニカム構造部110内の温度分布の偏りをより効果的に抑制することができる。「一対の電極部120のそれぞれが、ハニカム構造部110のセルの流路方向に一方の底面から他方の底面まで延びる帯状に形成されている」とは、各電極部120の一方のセル流路方向端部がハニカム構造部110の一方の底面114の周縁に接し、且つ、電極部120の他方のセル流路方向端部がハニカム構造部110の他方の底面116の周縁に接していることを意味する。
本発明に係る電気加熱式ハニカム構造体の一実施形態においては、通電抵抗を100Ω以下とすることができる。通電抵抗は以下の測定条件で求める。各電極部のセルの延びる方向中央部であって、ハニカム構造部の外周方向中央部にそれぞれ端子130を接続する(図2参照)。次いで、両端子間に30Vの電圧を印加してから、30秒経過時の電流値に基づき抵抗値を求める。通電抵抗は好ましくは100Ω以下であり、より好ましくは50Ω以下であり、例えば2~40Ωとすることができる。
(4-3 用途)
本発明に係る電気加熱式ハニカム構造体は、例えば、セラミックヒータとして使用することができ、また、触媒担体として使用することもできる。本発明に係る電気加熱式ハニカム構造体は、触媒を担持することでEHCとして使用することができる。更に、本発明に係る電気加熱式ハニカム構造体は、ウォールフロー型の排ガスフィルタ(DPF、GPF等)として使用することもできる。この場合、フィルタ再生のための加熱時に電気加熱式ハニカム構造体を通電発熱する使用方法が考えられる。
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を例示するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<1.SiC焼成体の製造>
(SiC焼成体1)
D50が79μmの金属珪素粉末(密度2.33g/cm3)を74.5g、比表面積が110m2/gのカーボンブラック粉末を25.5g、D50が35μmのNi粉末を7.8g、及び水を50g用意した。これらを自転公転撹拌機で混合して得られた混合粉末を、プレス成形して、φ25mm×H15mmの円柱状の成形体を作製した。次に、得られた成形体を100℃で乾燥した後、1450℃、アルゴン雰囲気にて、2時間焼成して焼成体を得た。
(SiC焼成体2)
D50が79μmの金属珪素粉末(密度2.33g/cm3)を73.7g、比表面積が110m2/gのカーボンブラック粉末を26.3g、D50が35μmのNi粉末を7.7g、及び水を50g用意した。これらを自転公転撹拌機で混合して得られた混合粉末を、プレス成形して、φ25mm×H15mmの円柱状の成形体を作製した。次に、得られた成形体を100℃で乾燥した後、1450℃、アルゴン雰囲気にて、2時間焼成して焼成体を得た。
(SiC焼成体3)
D50が79μmの金属珪素粉末(密度2.33g/cm3)を74.5g、比表面積が110m2/gのカーボンブラック粉末を25.5g、D50が35μmのNi粉末を4.7g、メチルセルロースを4g及び水を50g用意した。これらを自転公転撹拌機で混合して得られた混合粉末を、押し出し成形して、25mm×5mm×50mmの角柱状の成形体を作製した。次に、得られた成形体を100℃で乾燥した後、300℃大気雰囲気にて5時間で脱脂した後、1450℃、アルゴン雰囲気にて、2時間焼成して焼成体を得た。
(SiC焼成体4)
D50が79μmの金属珪素粉末(密度2.33g/cm3)を73.7g、比表面積が110m2/gのカーボンブラック粉末を26.3g、D50が13μmのAl粉末を3.5g、メチルセルロースを4g及び水を50g用意した。これらを自転公転撹拌機で混合して得られた混合粉末を、押し出し成形して、25mm×5mm×50mmの角柱状の成形体を作製した。次に、得られた成形体を100℃で乾燥した後、300℃大気雰囲気にて5時間で脱脂した後、1450℃、アルゴン雰囲気にて、2時間焼成して焼成体を得た。
(SiC焼成体5)
D50が79μmの金属珪素粉末(密度2.33g/cm3)を73.7g、比表面積が110m2/gのカーボンブラック粉末を26.3g、D50が11μmのZr粉末を12.0g、及び水を50g用意した。これらを自転公転撹拌機で混合して得られた混合粉末を、プレス成形して、φ25mm×H15mmの円柱状の成形体を作製した。次に、得られた成形体を100℃で乾燥した後、1450℃、アルゴン雰囲気にて、2時間焼成して焼成体を得た。
(SiC焼成体6)
D50が79μmの金属珪素粉末(密度2.33g/cm3)を73.7g、比表面積が110m2/gのカーボンブラック粉末を26.3g、D50が28μmのCu粉末を8.3g、及び水を50g用意した。これらを自転公転撹拌機で混合して得られた混合粉末を、プレス成形して、φ25mm×H15mmの円柱状の成形体を作製した。次に、得られた成形体を100℃で乾燥した後、1450℃、アルゴン雰囲気にて、2時間焼成して焼成体を得た。
(SiC焼成体7)
D50が79μmの金属珪素粉末(密度2.33g/cm3)を73.7g、比表面積が110m2/gのカーボンブラック粉末を26.3g、D50が5μmのCo粉末を7.7g、及び水を50g用意した。これらを自転公転撹拌機で混合して得られた混合粉末を、プレス成形して、φ25mm×H15mmの円柱状の成形体を作製した。次に、得られた成形体を100℃で乾燥した後、1450℃、アルゴン雰囲気にて、2時間焼成して焼成体を得た。
(SiC焼成体8)
D50が79μmの金属珪素粉末(密度2.33g/cm3)を73.7g、比表面積が110m2/gのカーボンブラック粉末を26.3g、D50が20μmのTi粉末を6.3g、及び水を50g用意した。これらを自転公転撹拌機で混合して得られた混合粉末を、プレス成形して、φ25mm×H15mmの円柱状の成形体を作製した。次に、得られた成形体を100℃で乾燥した後、1450℃、アルゴン雰囲気にて、2時間焼成して焼成体を得た。
得られたSiC焼成体1~8のそれぞれのサンプルを用いて、気孔率及び平均気孔径をポロシメータ(マイクロメリテックス社製のオートポアIV9520)を用いて測定した。結果を表1に示す。
<2.SiC粉末の製造>
得られたSiC焼成体1~8を表2に記載の試験番号に応じて選択して粉砕し、その後、空気分級機で分級することで、表2に記載の粒度分布をもつ実施例及び比較例のSiC粉末を得た。表2に記載の粒度分布は、HORIBA社製LA-950V2のレーザー回折式粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積粒度分布に基づき求めた。
実施例及び比較例のそれぞれのSiC粉末について、X線回折(XRD)により、SiC結晶相の種別を分析したところ、何れもβ-SiCのみが検出された。また、実施例及び比較例のそれぞれのSiC粉末について、β-SiCの積層欠陥(%)を先述した方法に従って求めた。結果を表2に示す。また、実施例及び比較例のそれぞれのSiC粉末について、結晶子サイズを先述した方法に従って求めたところ、すべて1000Å以上であった。
実施例及び比較例のそれぞれのSiC粉末について、X線回折(XRD)により、組成分析した。組成分析はWPPD(whole-powder-pattern-decomposition)法を用いてパターンフィッティングすることにより行った。結果を表2に示す。SiC焼成体1~3を使用した例ではニッケルシリサイド、SiC焼成体4を使用した例ではアルミニウム、SiC焼成体5を使用した例ではジルコニウムシリサイド、SiC焼成体6を使用した例では銅シリサイド、SiC焼成体7を使用した例ではコバルトシリサイド、SiC焼成体8を使用した例ではチタンシリサイドがそれぞれ検出された。
<3.電気加熱式ハニカム構造体の製造>
(1)電極部形成ペーストの調製
上記で製造した実施例及び比較例の各SiC粉末を72g、金属珪素粉末を28g、酸化物粒子としてのコージェライト粉末を1g、メチルセルロースを1g、グリセリンを5g、ポリアクリル酸系分散剤を0.5g、及び水を30g、自転公転撹拌機で混合して、電極部形成ペーストを調製した。
(2)ハニカム乾燥体の作製
金属珪素粉末を6kg、SiC粉末を14kg、コージェライト粉末を1kg、メチルセルロースを1.6kg、水を8kg、混合し、ニーダー混練してハニカム成形原料を調製した。次に、得られたハニカム成形原料を真空土練して坏土を得、得られた坏土を押出成形して、円柱状のハニカム成形体を得た。得られたハニカム成形体は120℃で乾燥させ、ハニカム乾燥体を得た。
(3)ハニカム構造体の作製
得られたハニカム乾燥体の側面に、予め調製した電極部形成ペーストを厚み200μmで塗工し、80℃で乾燥して、電極形成用スラリー付きハニカム乾燥体を得た。具体的な塗工条件は以下である。電極部形成ペーストは、ハニカム乾燥体をセルの流路方向に直交する断面で観察したときの、各スラリーの両端とハニカム乾燥体の中心軸とを結ぶ二本の線分によって画定される中心角が50°になるように、ハニカム乾燥体の両底面間の全長に亘って帯状に2箇所スクリーン印刷した。また、2箇所の電極部形成ペーストは、ハニカム乾燥体の中心軸を挟んで互いに反対側の位置関係となるように配置した。
次いで、電極部形成ペースト付きハニカム乾燥体を脱脂し、焼成し、酸化処理して、電気加熱式ハニカム構造体を作製した。脱脂は、450℃の大気中で、5時間行った。焼成は、1450℃のアルゴン雰囲気中で、2時間行った。酸化処理は、1000℃の大気中で、5時間行った。
得られた電気加熱式ハニカム構造体のハニカム構造部は、隔壁の厚さが101.6μmで、セル密度が93個/cm2であった。また、ハニカム構造部の両底面の直径は100mmで、セルの延びる方向の長さは100mmであった。
(4)電極部の体積抵抗率
得られた電気加熱式ハニカム構造体から5mm(周方向)×40mm(軸方向)×75μm(厚み)の形状の電極部試験片を採取した。そして、試験片の厚み方向に直角な方向の室温における電気抵抗を4端子法にて測定し、試験片の形状から体積抵抗率を算出した。
また、電極部の体積抵抗率は、得られたハニカム構造体に対して大気雰囲気下、1300℃、50時間のエージングを行った後にも測定した。エージング前後での体積抵抗率の変化率(エージング後体積抵抗率/エージング前体積抵抗率)を表2に示す。想定使用環境下での体積抵抗率の変化率が2.5倍以上であるのは問題である。
100 電気加熱式ハニカム構造体
110 ハニカム構造部
112 外周側壁
114 第一底面
116 第二底面
118 隔壁
120 電極部
122 端子接続部

Claims (17)

  1. β-SiCを70質量%以上含有し、
    レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布におけるD50が8~35μmであり、D10が5μm以上である、電気加熱式ハニカム構造体製造用のSiC粉末。
  2. レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布における粒度5μm以下の粒子の積算体積が7%以下である請求項1に記載のSiC粉末。
  3. レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布におけるD50が15~35μmであり、D10が7~20μmである請求項1又は2に記載のSiC粉末。
  4. レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布におけるD90が100μm以下である請求項1~3の何れか一項に記載のSiC粉末。
  5. 前記粉末中に含まれるβ-SiCの積層欠陥が5%以下である請求項1~4の何れか一項に記載のSiC粉末。
  6. 前記粉末中に含まれるβ-SiCの積層欠陥が2%超である請求項1~5の何れか一項に記載のSiC粉末。
  7. 金属珪素及びシリサイドの一方又は両方を更に含有する請求項1~6の何れか一項に記載のSiC粉末。
  8. Ni、Al、B、N、Ga、Ge、Ti、Cu、Co、P、Cr及びZrよりなる群から選択される1種又は2種以上の第三元素を含有する請求項1~7の何れか一項に記載のSiC粉末。
  9. 前記粉末中の前記第三元素の合計濃度が6質量%以下である請求項8に記載のSiC粉末。
  10. SiC化原料粉末、及びNi、Al、B、N、Ga、Ge、Ti、Cu、Co、P、Cr及びZrよりなる群から選択される1種又は2種以上の第三元素を含有する粉末を含む混合物を成形して成形体を作製する工程と、
    前記成形体を不活性雰囲気下、1800℃以下の温度で焼成してβ-SiCを含有する焼成体を得る工程と、
    前記焼成体を粉砕して粉砕された焼成体を得る工程と、
    前記粉砕された焼成体を分級して、レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布におけるD50が8~35μmであり、D10が5μm以上である粉末を得る工程と、
    を含むSiC粉末の製造方法。
  11. 前記粉末は、レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布における粒度5μm以下の粒子の積算体積が7%以下である請求項10に記載のSiC粉末の製造方法。
  12. 前記粉末は、レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布におけるD50が15~35μmであり、D10が7~20μmである請求項10又は11に記載のSiC粉末の製造方法。
  13. 前記粉末は、レーザー回折法により測定される体積基準の累積粒度分布におけるD90が100μm以下である請求項10~12の何れか一項に記載のSiC粉末の製造方法。
  14. 前記焼成体の気孔率が35~80%である請求項10~13の何れか一項に記載のSiC粉末の製造方法。
  15. 前記焼成体の平均気孔径が5~300μmである請求項10~14の何れか一項に記載のSiC粉末の製造方法。
  16. 坏土を成形及び乾燥することにより、外周側壁と、当該外周側壁よりも内周側に配設され、第一底面から第二底面まで延び、流体の流路となる複数のセルを区画形成する隔壁とを有する柱状のハニカム成形体を得る工程と、
    前記ハニカム成形体又は前記ハニカム成形体を焼成して得られたハニカム焼成体の側面の第一の領域及び第二の領域に、電極部形成ペーストをそれぞれ塗工し、塗工した前記電極部形成ペーストを乾燥及び焼成して、一対の電極部を形成する電極部形成工程を備え、
    前記坏土及び前記電極部形成ペーストの一方又は両方が、請求項1~9の何れか一項に記載のSiC粉末を含む、
    電気加熱式ハニカム構造体の製造方法。
  17. 請求項1~9の何れか一項に記載のSiC粉末を含む、電気加熱式ハニカム構造体。
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