以下、適宜図面が参照されつつ、実施形態が詳細に説明される。なお以下では、「水」及び「湯」との文言が用いられる。湯供給孔からの液体と水供給孔からの液体とを区別する観点から、必要に応じて、「湯」と「水」とが使い分けられる。一方、湯供給孔からの液体と水供給孔からの液体とを総称して「水」としている記載もある。
本願では、実施形態における使用状態を考慮して、「上」、「下」、「上側」、「下側」等の文言が用いられる。使用状態、水栓の仕様、水栓が取り付けられる設備の仕様等により、水栓の姿勢は変化しうる。また、水栓の機種によっては、通常の使用状態において、ハウジング部の中心線が水平に配向している場合もある。このような場合、上記文言は、当該水栓の使用状態に応じて解釈される。よって本開示の水栓は、例えば、可動弁体が固定弁体に対して上側でなくてもよい。特に説明しない限り、本願において「周方向」とは、上ケースの周方向を意味する。
図1は、一実施形態に係る水栓10の斜視図である。水栓10は、シングルレバー水栓である。水栓10は、ハウジング部12を備えた水栓本体11、レバーハンドル14、吐出部16、導入管17、吐出管22及び吐水口23を有する。導入管17は、湯導入管18と水導入管20とを有する。吐出部16は、ヘッド24を有する。ヘッド24は、吐水口23と、切替レバー26とを有する。この切替レバー26の操作により、シャワー吐出と通常吐出との切り替えが可能である。水栓10は、例えば、キッチン、洗面台等で使用される。本実施形態の水栓10は、湯水混合栓である。水栓10は、例えば単水栓であってもよい。単水栓では、導入管17は1本である。
ヘッド24は、切替ボタン28と表示部30を有する。吐出部16には、浄水カートリッジ(図示されず)が内蔵されている。切替ボタン28により、浄水カートリッジにより浄化された水が通る浄水流路と、浄水カートリッジにより浄化されない水が通る原水流路とが切り換えられる。浄水流路に切り換えられると、浄水が吐出される。原水流路に切り換えられると、原水が吐出される。表示部30では、吐水が浄水か原水かを判別しうる表示がなされる。
水栓10では、レバーハンドル14の前後回動(上下回動)により、吐出量が調整される。水栓10では、レバーハンドル14を上側に動かすほど吐出量が増加し、レバーハンドル14を最も下側にすると止水される。レバー左右位置に拘わらず、レバーハンドル14が最も下側にあるとき、止水状態となる。逆に、レバーハンドル14を下側に動かすほど吐出量が増加してもよい。レバーハンドル14の左右回動により、湯と水との混合割合が変化する。レバー左右位置により、吐水温度が調整される。なお、吐出量を調整するときのレバーハンドル14の動きは、前後回動というよりも上下回動である。ただし、このレバーハンドル14の回動に伴う傾斜レバー46の動きは前後回動である。この点に鑑み、文言を統一して分かりやすくする観点から、本願では、レバーハンドル14の上記回動を前後回動と称する。なお、水栓10が単水栓である場合、吐水温度は調整されず、吐出量が調整される。水栓10が単水栓である場合、レバーハンドル14の左右回動により吐出量が調整されてもよいし、レバーハンドル14の前後回動により吐出量が調整されてもよい。
図2(a)及び図2(b)は、バルブ組立体38の斜視図である。図2(a)は止水状態における斜視図であり、図2(b)は吐水状態における斜視図である。図2(b)は、吐水量が最大の状態(最大吐水状態)を示している。
図3(a)は止水状態におけるバルブ組立体38及びその近傍の側面図である。図3(b)は図3(a)のb-b線に沿った断面図である。図3(c)は図3(a)のc-c線に沿った断面図である。図4(a)は吐水状態(最大吐水状態)におけるバルブ組立体38及びその近傍の側面図である。図4(b)は図4(a)のb-b線に沿った断面図である。図4(c)は図4(a)のc-c線に沿った断面図である。
バルブ組立体38は、水栓本体11のハウジング部12に内蔵されている。ハウジング部12は、側面壁部12aと、ハウジング底部12bとを有する。ハウジング部12は、バルブ組立体38を収容する収容部13を構成している。側面壁部12aとハウジング底部12bとで、収容部13が形成されている。またハウジング部12は、バルブ組立体38を上側から押さえるバルブ固定部材12cを有する。バルブ固定部材12cはネジ部(雄ネジ)を有しており、このネジ部が側面壁部12aの内面に設けられたネジ部(雌ネジ)とネジ結合されている。このネジ結合を締め付けることで、バルブ固定部材12cは、バルブ組立体38を上側から押さえることができる。このバルブ固定部材12cにより、バルブ組立体38が収容部13に固定されている。バルブ固定部材12cの締め付け度合いによりインナーシール部材64のつぶし代(後述)が調整されうる。なお、ハウジング部12は、水栓本体11の他の部分と一体で成形されてもよいし、水栓本体11の他の部分とは別に成形されていてもよい。
図5は、バルブ組立体38の分解斜視図である。図5が示すように、バルブ組立体38は、上シール部材40、上ケース42、回動体44、傾斜レバー46及びレバーシール部材48を有する。傾斜レバー46は、レバー軸46aと、レバーキャップ46bとを有する。レバー軸46aは、上部50、球面部52及び下部54を有する。球面部52は上部50と下部54との間に位置する。上部50には、レバーハンドル14が取り付けられている。上部50とレバーハンドル14との間に、レバーキャップ46bが介在している。
傾斜レバー46に対するレバーハンドル14の固定には、止めネジ53が用いられている(図3(b)参照)。図示されないが、レバーハンドル14には傾斜レバー46の上部50に対応した形状のレバー挿入部とネジ孔とが設けられている。このレバー挿入部に傾斜レバー46(上部50)が挿入された状態で、前記ネジ孔に止めネジ53がねじ込まれている。この止めネジ53の軸力F1により、止めネジ53の先端が傾斜レバー46を押圧している。この押圧により、レバーハンドル14が傾斜レバー46に固定されている。同時に、この止めネジ53の押圧は、レバー軸46aに対するレバーキャップ46bの固定にも寄与している。止めネジ53は、レバーキャップ46bのカバー部144を介してレバー軸46aを押圧している。この結果、止めネジ53が押圧する部分において、レバーキャップ46bがレバー軸46aに強く押し当てられている。結果として、レバー軸46aに対するレバーキャップ46bの固定力が高められている。
更に、バルブ組立体38は、クリック回転体56を有する。クリック回転体56は、上ケース42の上部(後述の小径円筒部120)に被せられている。
更に、バルブ組立体38は、ラチェットプレート58を有する。ラチェットプレート58は、上ケース42の上向き面124aに固定されている。ラチェットプレート58は金属製である。
更に、バルブ組立体38は、可動弁体60、固定弁体62、インナーシール部材64、ボトムシール部材66及び下ケース68を有する。
インナーシール部材64は、インナー湯孔シール部64aと、インナー水孔シール部64bと、インナー吐水側シール部64cとを有する。本実施形態では、インナー湯孔シール部64a、インナー水孔シール部64b及びインナー吐水側シール部64cは、互いに繋がっていない。インナー湯孔シール部64a、インナー水孔シール部64b及びインナー吐水側シール部64cは、それぞれ独立している。インナー湯孔シール部64a及びインナー水孔シール部64bは、インナー給水側シール部65の一例である。本実施形態では、インナー吐水側シール部64cはインナー給水側シール部65に繋がっていない。インナー吐水側シール部64cとインナー給水側シール部65とは、それぞれ独立している。本実施形態では、水栓10は湯水混合栓であり、インナー給水側シール部65として2つのシール部64a、64bが設けられている。水栓10が単水栓である場合、インナー給水側シール部65は1つとされる。
インナー吐水側シール部64cとインナー給水側シール部65とがそれぞれ独立していなくてもよい。インナー吐水側シール部64cとインナー給水側シール部65とが繋がっていてもよい。インナー湯孔シール部64a、インナー水孔シール部64b及びインナー吐水側シール部64cが繋がっていてもよい。例えば、インナーシール部材64は、ボトムシール部材66と同様の、3つの環状部を有する一体部材とされてもよい。
下ケース68は、導入孔69として、湯導入孔70及び水導入孔72を有する。更に、下ケース68は、吐出孔74を有する。本実施形態の水栓10は湯水混合栓であり、導入孔69は2つである。導入孔69は、1つであってもよい。水栓10が単水栓である場合、導入孔69は1つである。下ケース68の上面に、インナーシール部材64が取り付けられている。下ケース68の下面に、ボトムシール部材66が取り付けられている。
ボトムシール部材66は、下ケース68の各孔70,72,74と、ハウジング底部12bの各孔との間をシールしている。ボトムシール部材66は、ボトム湯孔シール部66aと、ボトム水孔シール部66bと、ボトム吐水側シール部66cとを有する。本実施形態では、ボトムシール部材66が一体部材である。ボトム湯孔シール部66a、ボトム水孔シール部66b及びボトム吐水側シール部66cは、繋がっている。ボトム湯孔シール部66a及びボトム水孔シール部66bは、ボトム給水側シール部67の一例である。本実施形態では、水栓10は湯水混合栓であり、ボトム給水側シール部67として2つのシール部66a、66bが設けられている。水栓10が単水栓である場合、ボトム給水側シール部67は1つとされる。
ボトムシール部材66は、3つの環状部を有する一体部材である。第1の環状部が、ボトム湯孔シール部66aを構成する。第2の環状部が、ボトム水孔シール部66bを構成する。第3の環状部が、ボトム吐水側シール部66cを構成する。
ボトムシール部材66は、ボトム給水側シール部67とボトム吐水側シール部66cとを兼ねる兼用部66dを有する。兼用部66dは、ボトム給水側シール部67でもありボトム吐水側シール部66cでもある部分である。兼用部66dは、ボトム給水側シール部67の一部を構成し、且つ、ボトム吐水側シール部66cの一部を構成している。
兼用部66dは、ボトム湯孔シール部66aとボトム吐水側シール部66cとに兼用されている第1兼用部66acと、ボトム水孔シール部66bとボトム吐水側シール部66cとに兼用されている第2兼用部66bcとを有する。第1兼用部66acは、ボトム湯孔シール部66aの一部を構成し、且つ、ボトム吐水側シール部66cの一部を構成している。第2兼用部66bcは、ボトム水孔シール部66bの一部を構成し、且つ、ボトム吐水側シール部66cの一部を構成している。
ハウジング部12のハウジング底部12bは、導入孔69及び吐出孔74のそれぞれに接続される底部接続孔210を有している。底部接続孔210は、導入孔69に連通する底部導入孔210aと、吐出孔74に連通する底部吐出孔210bとを有する(図3(b)、(c)及び図4(b)、(c)参照)。ボトムシール部材66により、底部導入孔210aは導入孔69に接続され、底部吐出孔210bは吐出孔74に接続される。本実施形態では、底部導入孔210aは、底部湯導入孔と底部水導入孔とに分かれている。底部湯導入孔は湯導入孔70に接続され、底部水導入孔は水導入孔72に接続される。底部湯導入孔には、湯導入管18から湯が供給される。底部水導入孔には、水導入管20から水が供給される。底部吐出孔210bの水は、吐出管22を経て、吐水口23から排出される。
固定弁体62は、下ケース68の上側に位置する。固定弁体62は、インナーシール部材64を上側から押圧して圧縮している。固定弁体62は、インナーシール部材64により下方から支持されている。固定弁体62は、インナーシール部材64の弾性回復力により、可動弁体60に押し付けられている。下ケース68には、固定弁体62の回転を防止する係合凸部76と、上ケース42を下ケース68に固定するための係合凸部77とが設けられている。固定弁体62には、係合凸部76と係合する係合凹部78が設けられている。
固定弁体62は、供給孔79として、湯供給孔80及び水供給孔82を有する。更に、固定弁体62は、排出孔84を有する。湯供給孔80は、固定弁体62を貫通している。湯供給孔80は、下ケース68の湯導入孔70に接続されている。インナーシール部材64(インナー湯孔シール部64a)は、この接続のシール性を担保している。水供給孔82は、固定弁体62を貫通している。水供給孔82は、下ケース68の水導入孔72に接続されている。インナーシール部材64(インナー水孔シール部64b)は、この接続のシール性を担保している。排出孔84は、固定弁体62を貫通している。排出孔84は、下ケース68の吐出孔74に接続されている。インナーシール部材64(インナー吐水側シール部64c)は、この接続のシール性を担保している。本実施形態の水栓10は湯水混合栓であり、供給孔79は2つである。供給孔79は、1つであってもよい。水栓10が単水栓である場合、供給孔79は1つである。
可動弁体60は、上側部材86と、下側部材88とを有する。上側部材86は、下側部材88に固定されている。この固定は、上側部材86の凸部90と、下側部材88の凹部92との係合によって達成されている。本実施形態では、上側部材86と下側部材88とが互いに別部材である。別部材とすることで、上側部材86と下側部材88とのそれぞれにおいて、最適な材質及び製法が選択されうる。可動弁体60は全体として一体的に成形されていてもよい。
図3(b)及び図4(b)が示すように、可動弁体60(下側部材88)の下面には、流路形成凹部94が形成されている。流路形成凹部94は、下方に向かって開口している。流路形成凹部94の上方は閉じている。なお、本実施形態では、下側部材88に形成された有底の凹部が流路形成凹部94であるが、この凹部に変えて貫通孔が設けられてもよい。例えば、この貫通孔の上側の開口がOリング等のシール部材を用いて上側部材86で塞がれることで、流路形成凹部が構成されうる。
図3(b)及び図4(b)が示すように、固定弁体62の上面には、第1摺動面PL1が設けられている。第1摺動面PL1は、平面である。一方、下側部材88(可動弁体60)の下面には、第2摺動面PL2が設けられている。第1摺動面PL1と第2摺動面PL2との面接触により、摺動合わせ面PL3が形成されている。この摺動合わせ面PL3は、水密性を発揮する。
図5が示すように、上側部材86の上面には、傾斜レバー46(レバー軸46a)の下部54と係合するレバー係合凹部98が設けられている。傾斜レバー46の下部54は、このレバー係合凹部98に挿入されている。前述の通り、レバーハンドル14は傾斜レバー46に固定されている。レバーハンドル14が前後回動すると、傾斜レバー46も前後回動する。この前後回動により、傾斜レバー46のレバー傾斜位置が変化する。レバーハンドル14が左右回動すると、傾斜レバー46も左右回動する。この左右回動により、傾斜レバー46のレバー左右位置が変化する。
傾斜レバー46の動きに連動して、可動弁体60が固定弁体62の上を摺動する。傾斜レバー46の左右回動に連動して、可動弁体60は回転する。よって、可動弁体60の流路形成凹部94が回転する。傾斜レバー46の前後回動に連動して、可動弁体60は移動する。よって、可動弁体60の流路形成凹部94が移動する。
流路形成凹部94が湯供給孔80及び/又は水供給孔82と排出孔84とに重複することで、吐水状態が達成される。吐水状態は、混合吐出状態、湯吐出状態及び水吐出状態を含む。流路形成凹部94が湯供給孔80及び水供給孔82に重複しているとき、混合吐出状態が達成される。混合吐出状態では、湯供給孔80からの湯と水供給孔82からの水とが混合されて吐出される。流路形成凹部94が、湯供給孔80のみに重複し、水供給孔82に重複していないとき、湯吐出状態が達成される。湯吐出状態では、湯供給孔80からの湯のみが吐出され、水供給孔82からの水は吐出されない。流路形成凹部94が、水供給孔82のみに重複し、湯供給孔80に重複していないとき、水吐出状態が達成される。水吐出状態では、水供給孔82からの水のみが吐出され、湯供給孔80からの湯は吐出されない。流路形成凹部94が湯供給孔80及び水供給孔82に重複していないとき、止水状態が達成される。
湯供給孔80は、固定弁体62の外縁に至る連通路を有していない。水供給孔82は、固定弁体62の外縁に至る連通路を有していない。排出孔84は、固定弁体62の外縁に至る連通路を有していない。水栓10は、ドライ摺動型である。一般に水栓のディスクバルブは、水中摺動型とドライ摺動型とに分類される。水中摺動型は、摺動合わせ面を水没させて使用する水栓である。水中摺動型の水栓は、摺動合わせ面の周囲の空間に水を供給する水供給路を有している。前記連通路は、この水供給路の例である。水栓10は、摺動合わせ面PL3の周囲の空間に水を供給する水供給路を有さない。水栓10では、摺動合わせ面PL3により、摺動合わせ面PL3の周囲の空間への水漏れが規制されている。ドライ摺動型では、摺動合わせ面PL3を故意に水没させることはない。
図5が示すように、回動体44は、球面支持部102と、係合部104と、円周外面105とを有する。図3(b)及び図4(b)が示すように、球面支持部102は、球面の凹面であり、傾斜レバー46の球面部52と面接触している。係合部104は、可動弁体60(の上側部材86)のスライド係合部106に、スライド可能に取り付けられている。回動体44は、所定の角度範囲で回転可能な状態で、上ケース42に支持されている。回動体44は、上ケース42の内部に収容されている。回動体44の全体が、上ケース42の内側に位置する。
図3(b)及び図4(b)が示すように、レバーシール部材48は、回動体44の上端面108と上ケース42とに挟まれることで、固定されている。傾斜レバー46の球面部52は、レバーシール部材48に密着している。
レバーハンドル14の左右回動に伴い、傾斜レバー46が左右回動する。傾斜レバー46と共に回動体44が回転し、可動弁体60も回転する。傾斜レバー46の左右回動に伴い、レバーシール部材48も回転する。傾斜レバー46の左右回動において、レバーシール部材48は、球面部52と共に回転し、球面部52と摺動しない。なお、レバーシール部材48は、傾斜レバー46の左右回動に伴い回転しなくてもよい。あらゆるレバー左右位置において、球面部52はレバーシール部材48に密着している。
レバーハンドル14の前後回動に連動して、傾斜レバー46は前後回動する。傾斜レバー46の前後回動では、傾斜レバー46の傾きが変化する。傾斜レバー46の前後回動に伴い、可動弁体60は回動体44に対してスライド移動する。傾斜レバー46の前後回動に伴い、レバーシール部材48は球面部52と摺動する。
傾斜レバー46の前後回動より、傾斜レバー46の傾きが変化する。本願では、傾斜レバー46の傾きにより変化する傾斜レバー46の位置が、レバー傾斜位置とも称される。あらゆるレバー傾斜位置において、レバーシール部材48は球面部52に密着している。レバー傾斜位置は、止水位置と最大吐水位置とを有する。止水位置は、止水状態におけるレバー傾斜位置である。最大吐水位置は、吐水量が最大の状態におけるレバー傾斜位置である。
傾斜レバー46は、レバーシール部材48に密着するシール面を有している。このシール面は球面部52である。シール性の観点からは、レバーシール部材48に密着するシール面は球面部52であるのが好ましい。このシール面は球面部52でなくてもよい。例えば、追従性の高いシール部材を用いることで、シール面は球面部以外とされうる。
図5が示すように、レバーシール部材48は、無端の環状部材である。レバーシール部材48は、環状のパッキンである。レバーシール部材48は、Xリングである。レバーシール部材48は、内周面48aと、外周面48bとを有する。更に、レバーシール部材48は、上面48cと下面48dとを有する。外周面48bは、凹みを有している。図3(b)及び図4(b)が示すように、外周面48bは小径円筒部120(上ケース42)の内面に密着している。内周面48aは、球面部52に密着している。上面48cは、上ケース42(シール支持部126)に密着している。下面48dは、回動体44に密着している。
レバーシール部材48(Xリング)の位置は、球面部52の大円を覆う位置である。レバーシール部材48は、その内周面48aの幅方向中心が球面部52の大円に一致するように配置されている。大円に密着させることで、シール性が高まる。レバーシール部材48(Xリング)は、球面部52の大円から外れた位置に密着していてもよい。
シール性の観点から、球面部52は高い精度で成形されているのが好ましい。この観点から、球面部52は、レバー軸46aに形成されているのが好ましい。本実施形態では、レバー軸46aの材質は金属である。レバー軸46aの材質を金属とすることで、球面部52の材質を金属とすることができる。金属の場合、研磨によって高精度の球面を形成することができ、球面を鏡面とすることもできる。
レバーシール部材48は、傾斜レバー46に連動するレバー連動部と上ケース42との間をシールしている。本実施形態では、レバー連動部が球面部52である。レバーシール部材48にシールされるレバー連動部は球面部52に限定されない。このレバー連動部は、傾斜レバー46の一部であってもよいし、傾斜レバー46以外であってもよい。例えば、レバーシール部材48にシールされるレバー連動部は、回動体44であってもよい。すなわち、レバーシール部材48は、上ケース42と回動体44との間、及び、回動体44と上側部材86との間をシールしていてもよい。
図5が示すように、上ケース42は、小径円筒部120と、大径円筒部122と、連結部124とを有する。小径円筒部120は、上ケース42の上部を構成している。小径円筒部120は、大径円筒部122の上側に位置する。連結部124は、上ケース42の半径方向に延在している。連結部124は、小径円筒部120と大径円筒部122との境界に位置する。連結部124は、小径円筒部120と大径円筒部122とを繋いでいる。連結部124の外面は、上向き面124aを構成している。
ラチェットプレート58は、上ケース42の上向き面124aに配置されている。ラチェットプレート58は、上向き面124aと略同じ大きさの環状部材である。図5が示すように、ラチェットプレート58は、環状の基部58aと、周方向における複数箇所(5箇所)から延びる歯止め部58bとを有する。歯止め部58bは、周方向において等間隔で配置されている。各歯止め部58bは、基部58aから斜め上側に延びており、その上端は自由端である。全ての歯止め部58bは、周方向に対して等価に形成されている。
基部58aは係合部58c(凸部)を有している。係合部58cが上ケース42の係合部132(凹部)と係合した状態で、ラチェットプレート58は上向き面124aの上に置かれる。この係合により、上ケース42に対するラチェットプレート58の回転が防止される。
図3(b)及び図4(b)が示すように、ラチェットプレート58は、バルブ固定部材12cの底面に当接する。図示されないが、バルブ固定部材12cの底面には、ラチェットギヤが形成されている。ラチェットギヤは、下方に突出する複数の歯が周方向に多数並ぶことで形成されている。歯のそれぞれは、周方向の一方側に位置する比較的緩やかな斜面と、周方向の他方側に位置する比較的急な斜面とを有している。これら2つの斜面が、歯の頂点で交差しつつ終端している。このラチェットギヤとラチェットプレート58とで、バルブ固定部材12cの回転方向を締め付け方向のみに規制するラチェット機構が構成されている。バルブ固定部材12cが緩み方向に回転しようとすると、歯止め部58bがラチェットギヤの歯に係合し、当該回転が規制される。より詳細には、歯止め部58bの先端が前記比較的急な斜面に当接して、バルブ固定部材12cの緩み方向への回転が規制される。バルブ固定部材12cが締め付け方向に回転するときは、歯止め部58bは前記歯の頂点によって押し下げられ、当該回転は規制されない。
前述の通り、バルブ固定部材12cは雄ネジ部を有しており、この雄ネジ部が側面壁部12aの内面に設けられた雌ネジ部とネジ結合されている(図3(b)及び図4(b)参照)。前記締め付け方向はネジ結合を締め付ける方向であり、前記緩み方向は前記ネジ結合を緩める方向である。バルブ固定部材12cを締め付け方向に回転させると、バルブ固定部材12cが下方に移動し、バルブ組立体38への押圧力が高まる。バルブ固定部材12cを緩み方向に回転させると、バルブ固定部材12cが上方に移動し、バルブ組立体38への押圧力が低下する。前記ラチェット機構は、前記緩み方向へのバルブ固定部材12cの回転を規制する。すなわち、前記ラチェット機構は、前記ネジ結合が緩む方向への前記バルブ固定部材12cの回転を規制している。
図5が示すように、上ケース42は、シール支持部126を有する。シール支持部126は、小径円筒部120に設けられている。小径円筒部120は環状である。シール支持部126は、小径円筒部120の内面から、小径円筒部120の半径方向内側に向かって突出している。シール支持部126の下面にレバーシール部材48の上面48cが接触している。
大径円筒部122は、シール配置部128を有する。シール配置部128は、周溝である。シール配置部128は、大径円筒部122の外周面に設けられている。シール配置部128は、大径円筒部122の上部に設けられている。シール配置部128に、上シール部材40が配置される。
上ケース42は、下ケース68に固定されている。大径円筒部122は、係合孔130を有する。この係合孔130が、下ケース68の係合凸部77と係合している。この係合により、上ケース42は、下ケース68に固定されている。
図6(a)及び図6(b)は、レバーキャップ46bの斜視図である。図6(a)は斜め上側から見た斜視図であり、図6(b)は斜め下側から見た斜視図である。
レバーキャップ46bは、レバー軸46aに取り付けられて用いられる。レバーキャップ46bは、キャップ上部140とキャップ下部142とを有する。キャップ上部140は、カバー部144を有する。カバー部144の内部は空洞である。図3(b)及び図4(b)が示すように、カバー部144の内部に、レバー軸46a(上部50)が挿入されている。
カバー部144はレバー軸46aを覆っている。カバー部144の内面の断面形状は、カバー部144に挿入される部分におけるレバー軸46aの断面形状に対応している。カバー部144の内面の寸法は、カバー部144に挿入される部分におけるレバー軸46aの寸法よりも(僅かに)小さい。レバー軸46aは、カバー部144に圧入されている。レバー軸46aはカバー部144の内側に嵌め込まれている。この嵌め込みにより、カバー部144はレバー軸46aに固定されている。更に前述の通り、止めネジ53により、当該固定が一層強固とされている。
キャップ下部142は、鍔部150と、底面形成部152と、突出延在部154とを有する。鍔部150は、カバー部144の中心軸に対して垂直な方向に延びている。鍔部150は、外側に向かって延びている。鍔部150は、側面150aと底面150bとを有する。突出延在部154は、斜め下方に延びている。突出延在部154は、カバー部144の中心軸に対して傾斜した方向に延びている。突出延在部154は、側面154aと先端154bとを有する。
レバーキャップ46bの内部は空洞である。この空洞は、キャップ上部140とキャップ下部142とを貫通している。この空間は下方に開放されており、キャップ上部140の内側へのレバー軸46aの挿入を可能としている。
図7は、クリック回転体56の斜視図である。クリック回転体56は、基部162と、円筒形成部164と、中央開口166と、下方延在部168とを有する。基部162は、その中央部が中央開口166によって欠落した環状部である。中央開口166は、クリック回転体56を上下方向に貫通する貫通孔を構成している。中央開口166に傾斜レバー46が挿通される。
円筒形成部164は、基部162の周縁から下方に延びている。円筒形成部164は、その周方向において部分的に欠落している。下方延在部168は、基部162の周縁から下方に延びている。下方延在部168は、円筒形成部164の一部であってもよい。本実施形態でも、下方延在部168は円筒形成部164の一部である。下方延在部168は、円筒形成部164がその周方向において欠落した部分に設けられていてもよい。下方延在部168の両側において、円筒形成部164は欠落している。
クリック回転体56は、クリック係合部170を有する。本実施形態では、クリック係合部170は、円筒形成部164の径方向内側に向かって突出する係合凸部である。クリック係合部170は、下方延在部168に設けられている。本願において、クリック回転体56に設けられたクリック係合部170は、第1クリック係合部とも称される。
クリック回転体56は、第1レバー当接面180を有する。本実施形態では、2つの第1レバー当接面180が設けられている。2つの第1レバー当接面180は、中央開口166に面している。第1レバー当接面180は、傾斜レバー46の両側(右側及び左側)に位置する。
クリック回転体56は、上向き曲面182を有する。本実施形態では、2つの上向き曲面182が設けられている。上向き曲面182は、傾斜レバー46の両側(右側及び左側)に位置する。
クリック回転体56は、第2レバー当接面184を有する。第2レバー当接面184は、第1レバー当接面180とは異なる位置にある。本実施形態では、2つの第2レバー当接面184が設けられている。第2レバー当接面184は、傾斜レバー46の両側(右側及び左側)に位置する。
本実施形態では、クリック回転体56は、複数の部材を組み合わせることで構成されている。クリック回転体56は、金属部材190と樹脂部材192とを有する。樹脂部材192は、右側樹脂部材192aと左側樹脂部材192bとを有している。右側樹脂部材192aと左側樹脂部材192bとは、互いに鏡像の関係にある。クリック回転体56は、全体として一体成形されていてもよい。
なお本願において、「右側」及び「左側」は、傾斜レバー46に対して両側に位置する部分を互いに区別することを目的として用いられている。「右側」及び「左側」は、絶対的な意味ではなく、相対的な意味で用いられている。
図8(a)及び図8(b)は金属部材190の斜視図である。図8(a)は斜め上方から見た斜視図であり、図8(b)は斜め下方から見た斜視図である。
金属部材190は、全体として板材により形成されている。金属部材190は、板材から打ち抜かれた部材を曲げることで形成されている。金属部材190は、前述した基部162と円筒形成部164とを有している。金属部材190は、下方延在部168を有している。金属部材190は、第1クリック係合部170を有している。
樹脂部材192は、前述した第1レバー当接面180と上向き曲面182と第2レバー当接面184とを有している。右側樹脂部材192aが、右側の第1レバー当接面180a、右側の上向き曲面182a及び右側の第2レバー当接面184aを有している。左側樹脂部材192bが、左側の第1レバー当接面180b、左側の上向き曲面182b及び左側の第2レバー当接面184bを有している。
右側樹脂部材192aは上下方向の間隔を有するスリット193aを有しており、このスリット193aに金属部材190の基部162が挿入されている。この結果、金属部材190の基部162が右側樹脂部材192aに挟み込まれる。また、このスリット193a内にある壁部が金属部材190の係合凹部194に差し込まれている。これらの構造により、右側樹脂部材192aは金属部材190に固定されている。左側樹脂部材192bも、上下方向の間隔を有するスリット193bを有する。左側樹脂部材192bも右側樹脂部材192aと同様に金属部材190に固定されている。
このようなクリック回転体56は、上ケース42の上部を構成する円筒部(小径円筒部120)に被せられている(図2(a)、図2(b)、図3(b)及び図4(b)参照)。クリック回転体56の基部162が小径円筒部120の上に載置される。クリック回転体56の円筒形成部164は小径円筒部120に沿って小径円筒部120の外側に配置される。円筒形成部164が小径円筒部120にガイドされることで、クリック回転体56は回転する。クリック回転体56の回転中心は、上ケース42(小径円筒部120)の中心線に等しい。傾斜レバー46はクリック回転体56の中央開口166を貫通している。
クリック回転体56が回転すると、クリック係合が生じる。図2(b)及び図5が示すように、小径円筒部120の外周面には、クリック係合部200が設けられている。上ケース42に設けられたクリック係合部200は、第2クリック係合部とも称される。この第2クリック係合部200は、凸部である。クリック回転体56が所定の回転位置に達したとき、第2クリック係合部200と、クリック回転体56の第1クリック係合部170とが接触する。更にクリック回転体56の回転が進行すると、第1クリック係合部170が第2クリック係合部200に乗り上げる。このとき、クリック回転体56において、下方延在部168は弾性変形する。この弾性変形は、クリック係合部170が円筒形成部164の径方向外側に変位するような変形である。更にクリック回転体56の回転が進行すると、第1クリック係合部170が第2クリック係合部200を乗り越える。このとき、下方延在部168の前記弾性変形が一気に解消され、クリックが生じる。このように、第1クリック係合部170とクリック係合部200との係合に起因してクリックが生ずる。
このクリックは、音であってもよいし、レバーハンドル14を持つ手に伝わる感覚(振動等)であってもよい。好ましくは、このクリックは、音(クリック音)及び振動を含む。クリック回転体56の回転は、傾斜レバー46の左右回動により生ずる。このため、このクリックは左右クリックと称される。左右クリックは、レバー左右位置が特定の位置にあることを使用者に伝達する。
なお、左右クリックが生じるときのレバー左右位置は限定されない。上記実施形態では、左右クリックが生じるときのレバー左右位置は、正面位置よりも若干(10°未満)湯側の位置である。この左右クリックは、湯の混合の有無を使用者に告知しうる。2つの第1クリック係合部170は、同一のレバー左右位置で同時に作動する。このためクリック音がより一層大きくなる。
図4(b)等が示すように、バルブ組立体38は、弁体周囲空間S1を有する。この水栓10では、弁体周囲空間S1が密閉空間とされている。弁体周囲空間S1は、複数のシール部材によって密閉されている。弁体周囲空間S1は、摺動合わせ面PL3の周囲の空間を含む。弁体周囲空間S1は、インナーシール部材64の周囲の空間(隙間)を含む。弁体周囲空間S1は、バルブ組立体38と収容部13との間の空間(隙間)を含む。これらの空間は、部材間の隙間によって繋がっている。弁体周囲空間S1には、摺動合わせ面PL3、インナーシール部材64及びボトムシール部材66から漏れた漏れ水が貯留されうる。
図9(a)は図3(b)と同じ断面図であり、図9(b)はバルブ組立体38をハウジング部12の収容部13から分離した状態を示す断面図である。
ハウジング部12の収容部13は、上側に開放された収容空間を構成している。収容部13は、ハウジング底部12bと、このハウジング底部12bの周囲から上側に延びる側面壁部12aとで形成されている。ハウジング底部12bには、下ケース68の導入孔69及び吐出孔74のそれぞれに接続される底部接続孔210が設けられている。図9(a)及び図9(b)の断面位置では、これらの底部接続孔210のうち、吐出孔74に連通する底部吐出孔210bが図示されている。収容部13は、上側が開放され且つ底部接続孔210が塞がれれば水を貯留しうる器形状を構成している。ボトムシール部材66は、湯導入孔70、水導入孔72及び吐出孔74のそれぞれが底部接続孔210のそれぞれに水密に接続されるようにシールしている。上シール部材40は、側面壁部12aと上ケース42との間の隙間をシールしている。
弁体周囲空間S1の上側は、レバーシール部材48と上シール部材40とで密閉されている。上シール部材40は、上ケース42とハウジング部12との間をシールしている。本実施形態では、上シール部材40は、収容部13の内面と上ケース42との間をシールしている。上シール部材40は、上ケース42(大径円筒部122)と側面壁部12aとの間をシールしている。レバーシール部材48は、レバー連動部(球面部52)と上ケース42との間をシールしている。上シール部材40及びレバーシール部材48は、摺動合わせ面PL3よりも上側に位置している。バルブ組立体38の内側に位置するレバーシール部材48と、バルブ組立体38の外側に位置する上シール部材40とで、弁体周囲空間S1の上側の密閉が実現されている。
弁体周囲空間S1の下側は、ボトムシール部材66で密閉されている。ボトムシール部材66は、下ケース68とハウジング部12との間をシールしている。ボトムシール部材66は、収容部13の内面と下ケース68との間をシールしている。本実施形態では、ボトムシール部材66は、下ケース68とハウジング底部12bとの間をシールしている。ボトムシール部材66は、摺動合わせ面PL3よりも下側に位置している。上シール部材40よりも下側に位置するボトムシール部材66により、弁体周囲空間S1の下側の密閉が実現されている。
このように、バルブ組立体38と、ハウジング部12の収容部13との間は、上側では上シール部材40でシールされ、下側ではボトムシール部材66でシールされている。更に、レバー連動部は、レバーシール部材48でシールされている。また、固定弁体62と下ケース68との間は、インナーシール部材64でシールされている。これらのシール部材により、弁体周囲空間S1は密閉されている。
ドライ摺動型の水栓10では、摺動合わせ面PL3からの水の流出は望まれていない。しかし、摩耗やグリースの流出などの影響で、摺動合わせ面PL3からの水漏れは生じうる。また、劣化により、各シール部からの水漏れが生じる。通常のドライ摺動側の水栓では、弁体周囲空間S1は密閉されていない。このため、漏れ水は、弁体周囲空間S1を満たした後、ハウジング部12の外部に溢れ出す。溢れ出した漏れ水は、水栓10の外壁を伝って流れ落ち、水栓根元部に溜まる。水栓根元部とは、ハウジング部12と水栓設置部(流し台など)との境界部を意味する。溜まった水は、この水栓根元部を腐食させる。
本開示の水栓10では、弁体周囲空間S1が密閉されている。このため、摺動合わせ面PL3等からの漏れ水が外部に流出しない。
上記密閉により、弁体周囲空間S1が外部から遮断される。このため、水栓10を洗浄する際に用いられる洗浄水が弁体周囲空間S1の内部に侵入することが防止される。また、洗剤の侵入が防止される。この結果、グリースの流出が抑制される。
吐水の温度が高い場合、弁体周囲空間S1内の空気及びその周辺部材が暖められて膨張する。この膨張に起因する高い空気圧は、可動弁体60を押し下げる。この結果、吐水時における、弁体周囲空間S1への水漏れが抑制される。
漏れ水が増加するにつれて、密閉された弁体周囲空間S1内の圧力が上昇する。この圧力によりシール部材の内側と外側との圧力差が小さくなると、水漏れが抑制される。また、この圧力がシール部材の内側の圧力と同じになると、シール部材の内側と外側との圧力差がなくなり、水漏れが生じない。また、弁体周囲空間S1内の圧力が上昇すると、シール部材は内側と外側とから押圧されて薄くなり、上下方向に延びようとするので、シール圧が高まる。摺動合わせ面PL3からの水漏れについても、弁体周囲空間S1の圧力が漏れ水圧と同じになれば、水漏れが防止される。このように、弁体周囲空間S1が密閉された構造は、内圧の上昇によって漏れ水を抑制しうる。
上シール部材40の形状は限定されない。上記実施形態のように、側面壁部12aの内周面と上ケース42の外周面との間をシールする場合、上シール部材40は環状であるのが好ましい。この環状シールとして、Oリング及びリップパッキンが例示される。上記実施形態では、Oリングが用いられている。
レバーシール部材48の形状は限定されない。レバーシール部材48は環状であるのが好ましい。
インナーシール部材64の形状は限定されない。前述の通り、インナーシール部材64は、上記実施形態のように3つの環状シールであってもよいし、3つの環状部を有して一体化されていてもよい。分離した3つの環状シールが用いられる場合、各環状シールは円筒形状であってもよい。上記実施形態でも、インナー湯孔シール部64a、インナー水孔シール部64b及びインナー吐水側シール部64cは円筒形状である(図4参照)。インナーシール部材64は、固定弁体62と下ケース68との間で圧縮されて用いられる。インナーシール部材64の存在に起因して、固定弁体62と下ケース68との間には隙間が確保されている。インナーシール部材64は、この隙間を維持しつつ、固定弁体62を上側(可動弁体60側)に押圧している。この押圧力は、摺動合わせ面PL3における接触圧を高め、摺動合わせ面PL3からの漏れ水を抑制している。
図5において両矢印Hsで示されるのは、インナーシール部材64の高さである。上述したインナーシール部材64の機能を考慮すると、インナーシール部材64(インナー湯孔シール部64a、インナー水孔シール部64b及びインナー吐水側シール部64c)の高さHsは、4.05mm以上が好ましく、4.20mm以上がより好ましく、4.35mm以上がより好ましい。後述される耐圧性能Aの調整性(内倒れの容易性等)の観点からも、インナー吐水側シール部64cの高さHsは大きい方が好ましい。バルブ組立体38の小型化の観点から、高さHsは、4.95mm以下が好ましく、4.80mm以下がより好ましく、4.65mm以下がより好ましい。高さHsは、インナーシール部材64が圧縮変形されていない状態で測定される。高さHsは、インナーシール部材64を水平面上に静置した状態において、鉛直方向に沿って測定される。
インナー湯孔シール部64aの高さHsがHs1とされ、インナー水孔シール部64bの高さHsがHs2とされ、インナー吐水側シール部64cの高さHsがHs3とされる。本実施形態では、高さHs3は、高さHs1及び高さHs2と同じである。
上述したインナーシール部材64の機能を考慮すると、インナーシール部材64(インナー湯孔シール部64a、インナー水孔シール部64b及びインナー吐水側シール部64c)のつぶし代は、0.3mm以上が好ましく、0.35mm以上がより好ましく、0.4mm以上がより好ましい。レバーハンドル14の操作荷重が過大となることを抑制する観点から、インナーシール部材64(インナー湯孔シール部64a、インナー水孔シール部64b及びインナー吐水側シール部64c)のつぶし代は、0.7mm以下が好ましく、0.65mm以下がより好ましく、0.6mm以下がより好ましい。
ボトムシール部材66の形状は限定されない。ボトムシール部材66は、3つの環状シールであってもよいし、上記実施形態のように、3つの環状部を有して一体化されていてもよい。
上記実施形態では、傾斜レバー46から付与される回転力により、クリック回転体56が回転(左右回動)する。傾斜レバー46が直接クリック回転体56に当接し、この当接で回転力が付与される。したがって、回動体44によってクリック回転体56を回転させる必要がない。回動体44を上側に露出させる必要がないので、バルブ組立体38の設計自由度が向上する。この結果、例えば、上シール部材40を用いた密閉構造が可能となる。
クリック機構がバルブ組立体38の内側に位置すると、クリック音が聞こえにくくなる。これに対して、クリック回転体56は、バルブ組立体38において露出している。すなわち、図2(a)及び図2(b)が示すように、バルブ組立体38では、クリック機構を構成するクリック回転体56が露出している。このため、耳に届くクリック音が大きくなり、左右クリックの明瞭性が高まる。
上記密閉構造は、遮音性が高い。この密閉構造の中にクリック機構を設けても、クリック音が遮蔽されてしまい、クリック音が小さくなる。上記実施形態では、密閉構造を採用しつつ、クリック機構を露出させている。このためクリック音を大きくすることができる。
上記実施形態では、回動体44ではなく、傾斜レバー46が、クリック回転体56に回転を伝達する。このため、回動体44を露出させることなく、左右クリックに係るクリック回転体56を露出させることができる。
上記実施形態では、傾斜レバー46の回転(左右回動)は、2つの当接部によって伝達される。即ち、傾斜レバー46は、クリック回転体56に回転力を伝達する第1当接部214と、前記第1当接部214とは異なる位置においてクリック回転体56に回転力を伝達する第2当接部216とを有している。第1当接部214は、クリック回転体56に直接当接して、クリック回転体56に回転力を伝達する。第2当接部216は、クリック回転体56に直接当接して、クリック回転体56に回転力を伝達する。
上記実施形態では、第1当接部214は、突出延在部154の側面154aである(図2(a)及び図2(b)参照)。この第1当接部214は、第1レバー当接面180(図7参照)に当接してクリック回転体56に回転力を伝達する。上記実施形態では、第2当接部216は、鍔部150の側面150aである(図2(a)及び図2(b)参照)。この第2当接部216は、第2レバー当接面184(図7参照)に当接してクリック回転体56に回転力を伝達する。2つの当接部により、傾斜レバー46に回転力が確実にクリック回転体56に伝達される。
なお、この回転伝達は、いずれの回転方向においても達成される。図7を参照して、傾斜レバー46の左右回転が第1方向である場合、クリック回転体56において回転力を受ける面は、右側の第1レバー当接面180aと左側の第2レバー当接面184bである。傾斜レバー46の左右回転が第2方向である場合、クリック回転体56において回転力を受ける面は、左側の第1レバー当接面180bと右側の第2レバー当接面184aである。回転力を受ける面が傾斜レバー46の左側と右側とに分散されることで、より安定的で確実な回転伝達が可能となる。なお、前記第1方向の回転とは、左回転又は右回転のいずれか一方を意味する。前記第2方向の回転とは、前記第1方向とは逆の回転を意味する。
前述の通り、バルブ組立体38は、密閉構造を有する。図3(b)及び図4(b)が示すように、回動体44は、レバーシール部材48の下側に位置する。バルブ組立体38において回動体44は露出していない。回動体44は密閉部の内側に位置する。上述の通り、本実施形態では、傾斜レバー46がクリック回転体56に回転を伝達する。このため、回動体44によってクリック回転体56に回転を伝達する必要がない。よって、回動体44を上側に露出させる必要がなく、容易に密閉構造を構成することができる。
前述の通り、クリック回転体56は小径円筒部120の上に載せられている。クリック回転体56は小径円筒部120に案内されて回転するが、単に載せられているだけで、固定されていない。この非固定の状態は、クリック回転体56の回転に加え、クリック回転体56の微細な振動を容易とする。この微細な振動は、発生するクリック音の音圧を高める。しかし、固定されていないため、クリック回転体56は容易に小径円筒部120から抜けて脱落しうる状態にある。
本実施形態では、クリック回転体56の抜けが効果的に防止されている。図6が示す通り、傾斜レバー46(レバーキャップ46b)は、鍔部150及び底面形成部152を有している。これらの部分の少なくとも一部は、クリック回転体56(上向き曲面182)の上側に位置している(図2(a)、図2(b)、図3(c)及び図4(c)参照)。全てのレバー傾斜位置において、傾斜レバー46(レバーキャップ46b)のいずれかの部分が、クリック回転体56の上側に位置する。すなわち、傾斜レバー46(レバーキャップ46b)は、レバー傾斜位置に関わらずクリック回転体56の上側に位置するクリック抜け止め部220を有している。本実施形態では、鍔部150及び底面形成部152がクリック抜け止め部220である(図3(c)、図4(c)及び図6(b)参照)。
クリック抜け止め部220である底面形成部152は、上向き曲面182の上側に位置する。底面形成部152は、上向き曲面182に沿った曲面を有している(図3(c)及び図4(c)参照)。底面形成部152と上向き曲面182との間の隙間の上下方向距離は、レバー傾斜位置に関わらず一定である。
クリック抜け止め部220とクリック回転体56の上面(上向き曲面182等)との間には(僅かな)隙間が設けられている。よって、クリック抜け止め部220はクリック回転体56と接触せず、クリック抜け止め部220がレバー操作力を増大させることはない。何らかの理由でクリック回転体56が上方に変位すると、クリック回転体56がクリック抜け止め部220に当たり、クリック回転体56の抜けが防止される。
レバーハンドル14の操作力が過剰である場合、レバー傾斜位置の限界において傾斜レバー46に過剰な負荷が作用しうる。本実施形態では、これに対応する構成が設けられている。図6(a)及び図6(b)が示すように、レバーキャップ46b(傾斜レバー46)は、突出延在部154を有する。図3(b)が示すように、レバー傾斜位置が止水位置にあるとき、突出延在部154が上ケース42(小径円筒部120)に当接している。より詳細には、突出延在部154の先端154bが上ケース42(小径円筒部120)に当接している。この当接により、傾斜レバー46が過度に倒れることが防止されている。止水位置は、レバー傾斜位置の限界である。突出延在部154は、レバー傾斜位置の限界において上ケース42に当接する過倒防止部222である。
レバー傾斜位置の限界は、止水位置及び最大吐水位置である。止水位置では、上述の通り、過倒防止部222が上ケース42に当接する。図5が示すように、上ケース42は、内側角部42bを有する。この内側角部42bは、シール支持部126の上面と小径円筒部120の内周面とが交差して形成された角部である。この内側角部42bに、過倒防止部222の先端(先端154b)が当接する。内側角部42bは、過倒防止部222を安定的に支持する。
過倒防止部222は、あらゆるレバー左右位置において機能する。図5が示すように、内側角部42bは、周方向の所定範囲に拡がっている。内側角部42bは、あらゆるレバー左右位置において過倒防止部222に当接しうる。
最大吐水位置では、上ケース42が傾斜レバー46(レバー軸46a)に当接する(図4(b)参照)。上ケース42は、レバー傾斜位置の限界において傾斜レバー46(レバー軸46a)に当接する過倒防止当接面42aを有する。この当接により、傾斜レバー46が過度に倒れることが防止されている。過倒防止当接面42aは、最大吐水位置の傾斜レバー46に面接触できるように配向(傾斜)している。
過倒防止当接面42aは、あらゆるレバー左右位置において機能する。図5が示すように、過倒防止当接面42aは、周方向の所定範囲に拡がっている。過倒防止当接面42aは、あらゆるレバー左右位置において傾斜レバー46(レバー軸46a)に当接しうる。
傾斜レバー46は、全体として一体成形されていてもよい。上記実施形態では、傾斜レバー46がレバー軸46aとレバーキャップ46bとを組み合わせることで構成されている。この場合、レバー軸46aとレバーキャップ46bとのそれぞれにおいて、最適な材質及び製法を選択することができる。レバーキャップ46bを樹脂製とすることで、複雑な形状であっても容易に形成することができる。よって、第1当接部214、第2当接部216、クリック抜け止め部220及び過倒防止部222を有するレバーキャップ46bを容易に形成することができる。この観点から、レバーキャップ46bが第1当接部214及び第2当接部216を有するのが好ましい。この観点から、レバーキャップ46bがクリック抜け止め部220を有するのが好ましい。この観点から、レバーキャップ46bが過倒防止部222を有するのが好ましい。
レバー軸46aとレバーキャップ46bとを用いることで、バルブ組立体38の組み立てが容易とされうる。バルブ組立体38の製造方法(組み立て工程)は、次の第1工程及び第2工程を含みうる。
(1)レバーキャップ46bが取り付けられていない状態のレバー軸46aに、クリック回転体56の中央開口166を下方から通過させる第1工程。
(2)前記第1工程により前記中央開口166の上側に突出したレバー軸46aに、上側からレバーキャップ46bを取り付ける第2工程。
この第1工程及び第2工程では、レバーキャップ46bを中央開口166に通過させることなく、レバーキャップ46bをクリック回転体56の上側に配置することができる。また、レバーキャップ46bは、上側からレバー軸46aに取り付けることができる。よって、このクリック抜け止め部220がクリック回転体56の上側に位置する構成が容易に実現されうる。この観点からも、レバーキャップ46bがクリック抜け止め部220を有するのが好ましい。
図10(a)は可動弁体60の下側部材88を上側から見た斜視図であり、図10(b)は下側部材88を下側から見た斜視図であり、図10(c)は下側部材88の平面図であり、図10(d)は下側部材88の底面図である。前述の通り、下側部材88の下面には、流路形成凹部94が形成されている。また、下側部材88の下面には、第2摺動面PL2が形成されている。流路形成凹部94が存在していない部分に、第2摺動面PL2が設けられている。第2摺動面PL2は平面である。流路形成凹部94は、第2摺動面PL2に囲まれている。
図11(a)は固定弁体62を上側から見た斜視図であり、図11(b)は固定弁体62を下側から見た斜視図であり、図11(c)は固定弁体62の平面図であり、図11(d)は固定弁体62の底面図である。前述の通り、固定弁体62の上面には、第1摺動面PL1が設けられている。第1摺動面PL1は、平面である。湯供給孔80、水供給孔82及び排出孔84が存在していない部分に、第1摺動面PL1が形成されている。この第1摺動面PL1と、可動弁体60の第2摺動面PL2との面接触により、摺動合わせ面PL3が形成されている。
固定弁体62の下面には、底面PL4が設けられている。底面PL4は平面である。底面PL4は、固定弁体62の下端面を構成している。底面PL4は、第1摺動面PL1に平行である。固定弁体62の下面には、底面PL4よりも下側に位置する部分は存在しない。
固定弁体62の下面は、下ケース68の突出部251(後述)を受け入れる凹部85を有する。
図12(a)は下ケース68を上側から見た斜視図であり、図12(b)は下ケース68の平面図である。図13(a)はインナーシール部材64が装着された下ケース68を上側から見た斜視図であり、図13(b)はインナーシール部材64が装着された下ケース68の平面図である。
前述の通り、下ケース68は、湯導入孔70、水導入孔72及び吐出孔74を有する。下ケース68の上面は、高位面224と、段差形成面226と、低位面228とを有する。低位面228は、高位面224よりも下側に位置する。段差形成面226は、高位面224と低位面228との境界に位置し、高位面224と低位面228とを繋いでいる。段差形成面226は、湯導入孔70の周囲に形成されている。低位面228は、段差形成面226と湯導入孔70との間に形成されている。段差形成面226は、水導入孔72の周囲に形成されている。低位面228は、段差形成面226と水導入孔72との間に形成されている。段差形成面226は、吐出孔74の周囲に形成されている。低位面228は、段差形成面226と吐出孔74との間に形成されている。
図12(b)が示すように、下ケース68は、湯孔シール配置部230と、水孔シール配置部232と、吐出孔シール配置部234とを有する。湯孔シール配置部230は、段差形成面226と湯導入孔70との間に位置する。湯孔シール配置部230に、インナー湯孔シール部64aが配置されている。水孔シール配置部232は、段差形成面226と水導入孔72との間に位置する。水孔シール配置部232に、インナー水孔シール部64bが配置されている。吐出孔シール配置部234は、段差形成面226と吐出孔74との間に位置する。吐出孔シール配置部234に、インナー吐水側シール部64cが配置されている。
下ケース68は、湯孔シール内側支持部240と、水孔シール内側支持部242と、吐出孔シール内側支持部244とを有する。湯孔シール内側支持部240は、湯導入孔70の周辺に設けられている。湯孔シール内側支持部240は、低位面228に立設された壁部により構成されている。水孔シール内側支持部242は、水導入孔72の周辺に設けられている。水孔シール内側支持部242は、低位面228に立設された壁部により構成されている。吐出孔シール内側支持部244は、吐出孔74の周辺に設けられている。吐出孔シール内側支持部244は、低位面228に立設された壁部により構成されている。吐出孔シール内側支持部244は、後述される吐出孔シール内側支持部272と共に、単にシール内側支持部とも総称される。
下ケース68は、湯孔シール外側支持部250と、水孔シール外側支持部252と、吐出孔シール外側支持部254とを有する。湯孔シール外側支持部250は、段差形成面226により構成されている。更に、湯孔シール外側支持部250は、高位面224に立設された突出部251により構成されている。湯孔シール外側支持部250と湯孔シール内側支持部240との間には隙間が形成されている。水孔シール外側支持部252は、段差形成面226により構成されている。更に、水孔シール外側支持部252は、高位面224に立設された突出部251により構成されている。水孔シール外側支持部252と水孔シール内側支持部242との間には隙間が形成されている。吐出孔シール外側支持部254は、段差形成面226により構成されている。更に、吐出孔シール外側支持部254は、高位面224に立設された突出部251により構成されている。吐出孔シール外側支持部254と吐出孔シール内側支持部244との間には隙間が形成されている。
湯孔シール配置部230は、湯孔シール内側支持部240と湯孔シール外側支持部250との間に形成されている。水孔シール配置部232は、水孔シール内側支持部242と水孔シール外側支持部252との間に形成されている。吐出孔シール配置部234は、吐出孔シール内側支持部244と吐出孔シール外側支持部254との間に形成されている。
湯孔シール配置部230に配置されたインナー湯孔シール部64aは、圧縮変形されつつ、固定弁体62の底面PL4に密着している。インナー湯孔シール部64aの上縁は底面PL4に密着しており、インナー湯孔シール部64aの下縁は湯孔シール配置部230の底面(低位面228)に密着している。これらの密着により、湯供給孔80と湯導入孔70との水密な接続が達成されている。
水孔シール配置部232に配置されたインナー水孔シール部64bは、圧縮変形されつつ、固定弁体62の底面PL4に密着している。インナー水孔シール部64bの上縁は底面PL4に密着しており、インナー水孔シール部64bの下縁は水孔シール配置部232の底面(低位面228)に密着している。これらの密着により、水供給孔82と水導入孔72との水密な接続が達成されている。
吐出孔シール配置部234に配置されたインナー吐水側シール部64cは、圧縮変形されつつ、固定弁体62の底面PL4に密着している。インナー吐水側シール部64cの上縁は底面PL4に密着しており、インナー吐水側シール部64cの下縁は吐出孔シール配置部234の底面(低位面228)に密着している。これらの密着により、排出孔84と吐出孔74との水密な接続が達成されている。
インナーシール部材64及びボトムシール部材66の圧縮変形の変形量は、つぶし代とも称される。つぶし代は、縦方向に沿って測定されうる。この縦方向とは、第1摺動面PL1に垂直な方向である。つぶし代は、外力が作用していない状態でのシール部の高さ(上記Hs)と、使用状態で圧縮されたときの当該シール部の高さとの差である。
下ケース68の高位面224と固定弁体62の底面PL4との間には、隙間が形成されている。この隙間は、圧縮変形されているインナーシール部材64の弾性回復力によって維持されている。突出部251は固定弁体62の凹部85に受け入れられており、インナーシール部材64の圧縮変形を妨げない。
本願では、排出孔84及び吐出孔74を含む流路が吐水系流路とも称され、供給孔79及び導入孔69を含む流路が給水系流路とも称される。また、インナー吐水側シール部64cとボトム吐水側シール部66cとが吐水側シール部と総称される。また、インナー給水側シール部65とボトム給水側シール部67とが給水側シール部と総称される。
給水系流路には、常に水圧が作用している。給水系流路には、吐水時には動水圧が作用しており、止水時には静水圧が作用している。一方、吐水系流路には、止水時において水圧が作用しない。吐水系流路は、止水時において大気圧である。吐水時には、吐水系流路に動水圧が作用している。
摩耗、経時劣化等に起因して、摺動合わせ面PL3、インナーシール部材64及びボトムシール部材66において水漏れが生じうる。水圧が掛かる部分で、水漏れが生じやすい。よって、インナーシール部材64では、給水系流路をシールするインナー給水側シール部65(インナー湯孔シール部64a、インナー水孔シール部64b)において水漏れが生じやすい。ボトムシール部材66では、ボトム給水側シール部67(ボトム湯孔シール部66a、ボトム水孔シール部66b)において水漏れが生じやすい。漏れた水は、弁体周囲空間S1に流出する。前述の通り、弁体周囲空間S1は密閉されており、漏れ水が外部に流出しない。
本実施形態では、次の関係Xが成立している。この関係Xは、下記の関係Y及び関係Zを含む概念である。
[関係X]:上シール部材40及びレバーシール部材48の耐圧性能が、吐水側シール部64c、66cにおける外側から内側への耐圧性能よりも高い。
関係Xの下では、弁体周囲空間S1の内圧を上げていくときに最初にシール性が崩壊するのが、吐水側シール部64c、66cである。換言すれば、弁体周囲空間S1の内圧を上げていくとき、最初にシール性が崩壊するのが、インナー吐水側シール部64c又はボトム吐水側シール部66cである。関係Xが成立する場合、弁体周囲空間S1に溜まった漏れ水は、インナー吐水側シール部64c又はボトム吐水側シール部66cのシール面を通過して吐水系流路に流れ、吐水口23から排出される。
本実施形態では、弁体周囲空間S1の内圧を上げていくとき、最初にシール性が崩壊するのが、インナー吐水側シール部64cである。本実施形態では、次の関係Yが成立している。この場合、弁体周囲空間S1に溜まった漏れ水は、インナー吐水側シール部64cのシール面を通過して吐水系流路に流れ、吐水口23から排出される。
[関係Y]:上シール部材40及びレバーシール部材48の耐圧性能、並びに、ボトム吐水側シール部66cにおける外側から内側への耐圧性能が、インナー吐水側シール部64cにおける外側から内側への耐圧性能よりも高い。
次の関係Zが成立してもよい。この場合、弁体周囲空間S1に溜まった漏れ水は、ボトム吐水側シール部66cのシール面を通過して吐水系流路に流れ、吐水口23から排出される。
[関係Z]:上シール部材40及びレバーシール部材48の耐圧性能、並びに、インナー吐水側シール部64cにおける外側から内側への耐圧性能が、ボトム吐水側シール部66cにおける外側から内側への耐圧性能よりも高い。
外側から内側への耐圧性能とは、換言すれば、流路外から流路への耐圧性能である。この耐圧性能は、吐水側シール部64c、66cの外側(流路外の弁体周囲空間S1)に水圧が作用し且つ内側(吐水系流路)が大気圧とされたときの耐圧性能である。すなわち、この耐圧性能は、吐水系流路が大気圧とされたときの耐圧性能であり、止水時における耐圧性能である。この耐圧性能は、水栓10の現物で測定される。この耐圧性能は、具体的数値として測定されうる。この測定値は、シール性が崩壊するときの、吐水側シール部64c、66cの外側における水圧である。前述の通り、吐水系流路は止水時において大気圧である。吐水側シール部64c、66cの外側から内側への耐圧性能を低下させることで、弁体周囲空間S1の漏れ水を吐水系流路に流すことができる。このため、漏れ水が吐水口23から排出されることになり、漏れ水がレバーハンドル14の下側から溢れ出すことが防止される。また、漏れ水が吐水口23から排出されることで、水漏れに対する使用者の気づきを促すことができる。
なお、上述の通り、給水系流路には水圧が作用している。このため、給水側シール部65、67のシール性が崩壊して水が給水系流路に漏れ出すことはない。給水側シール部65、67は、給水系流路の水圧によって内側から支持される。この水圧に起因して、給水側シール部65、67における外側から内側への耐圧性能は高い。給水側シール部65、67における外側から内側への耐圧性能は、吐水側シール部64c、66cにおける外側から内側への耐圧性能よりも高い。
外側(流路外)から内側(流路)への耐圧性能とは別の耐圧性能として、内側(流路)から外側(流路外)への耐圧性能が測定されうる。吐水系流路では、止水時の圧力は大気圧であるが、吐水時の圧力は動水圧である。よって、吐水時には、吐水側シール部64c、66cの内側(流路)が外側(流路外)よりも高圧となりうる。吐水側シール部64c、66cにおいて、内側から外側への耐圧性能が低いと、流路から流路外への水漏れが生じうる。
本願では、外側から内側への耐圧性能が耐圧性能Aとも称され、内側から外側への耐圧性能が耐圧性能Bとも称される。吐水側シール部64c、66cにおいては、耐圧性能Aが耐圧性能Bよりも低いのが好ましい。耐圧性能Aを低下させることで、漏れ水を吐水系流路に逃がすことができる。耐圧性能Bを高めることで、水漏れが抑制される。
耐圧性能Aを低く調整する構成は、限定されない。また、耐圧性能Aは、インナー吐水側シール部64cにおいて低くされてもよいし、ボトム吐水側シール部66cにおいて低くされてもよい。本実施形態では、インナーシール部材64の高さHsがボトムシール部材66の高さよりも大きい。このため、インナーシール部材64のほうが、耐圧性能の調整方法に自由度があり、耐圧性能Aを調整しやすい。また、前述の通り、固定弁体62と下ケース68との間にはインナーシール部材64に起因して形成される隙間があり、この隙間を通路として漏れ水が回収されうる。加えて、インナーシール部材64は、ボトムシール部材66に比べて、水漏れが起こる摺動合わせ面PL3に近く、漏れ水の回収に有利である。これらの観点からは、耐圧性能Aは、インナー吐水側シール部64cにおいて低くされるのが好ましい。
耐圧性能Aを低く調整する構成の一例は、上記第1実施形態における図12及び図13で示されている。下ケース68において、シール内側支持部244は、欠け部M1を有する。欠け部M1は、シール内側支持部244の一部が欠落した部分である。欠け部M1は、吐出孔シール内側支持部244の高さが部分的に低くなることで形成されている。本実施形態の欠け部M1は、吐出孔シール内側支持部244の高さがゼロとなることで形成されている。欠け部M1は、切り欠き状に形成されている。シール内側支持部244では、2箇所に欠け部M1が設けられている。
欠け部M1では、インナー吐水側シール部64cが内側から支持されない。よって、インナー吐水側シール部64cに内倒れが生じやすい。内倒れとは、シール部が内側(流路側)に倒れるように変形することを意味する。欠け部M1の存在に起因して、インナー吐水側シール部64cに、その内側が支持されていない内倒れ容易部E1が形成される。欠け部M1に対応する位置に、内倒れ容易部E1が形成される。内倒れ容易部E1は、インナー吐水側シール部64cの他の部分に比べて、内側(吐出孔74側)に倒れやすい。弁体周囲空間S1内の圧力が吐水系流路内の圧力よりも高いと、インナー吐水側シール部64cには外側から内側への力が作用する。この力により、内倒れ容易部E1は内側に倒されうる。インナー吐水側シール部64cが内側に倒れることで、耐圧性能Aが低下する。内倒れ容易部E1の幅、高さ、数、位置等を変えることで、インナー吐水側シール部64cの内倒れの容易性が調整されうる。欠け部M1は、例えば金型により容易に且つ精度良く形成されうる。欠け部M1により耐圧性能Aを調整することで、耐圧性能Aが、容易に、精度良く且つ低コストで調整されうる。
このように、内倒れ容易部E1の内側は支持されていないが、内倒れ容易部E1の外側は、吐出孔シール外側支持部254(図12(a)参照)によって支持されている。よって、内倒れ容易部E1は、内側(吐出孔74側)に倒れやすいが、外側には倒れにくい。また、吐水系流路に水圧が掛かり、水が内側から外側に漏出しうる状況になると、内側に倒れた内倒れ容易部E1が元に戻り、内倒れが解消しうる。この構成は、耐圧性能Bを耐圧性能Aよりも高くするのに寄与している。
図13(a)が良く示すように、インナー吐水側シール部64cには、切り欠き等の欠け部は設けられていない。インナー吐水側シール部64c自体にシール性を弱める部分を設けると、耐圧性能Aのみならず耐圧性能Bも低下し、水漏れが発生しやすくなる。インナー吐水側シール部64cは、部分的にシール性を低下させる要素を有していない。
欠け部M1により、吐水系流路の流路断面積が大きくなる。欠け部M1は流量の増大に寄与している。
なお、図12(a)及び(b)が示すように、湯孔シール内側支持部240及び水孔シール内側支持部242にも欠け部が設けられている。給水系流路には常に水圧が作用しているので、これらの欠け部は、耐圧性能Aの観点からは、無視されうる。流量の観点では、これらの欠け部も、流量の増大に寄与している。
図13(b)において両矢印Ts3で示されるのは、インナー吐水側シール部64cの厚さである。内倒れの容易性の観点から、この厚さTs3に対する前記高さHs3の比(Hs3/Ts3)は、2以上が好ましく、2.5以上がより好ましく、3以上がより好ましい。厚さTs3が過小であると、耐圧性能Bが過小となり、また、固定弁体62への支持性が低下する。これらの観点から、比(Hs3/Ts3)は、7以下が好ましく、6以下がより好ましく、5以下がより好ましい。なお、厚さTs3は、インナー吐水側シール部64cに外力が作用していない自然状態で測定される。
図14(a)は、第2実施形態に係る下ケース681を上側から見た斜視図であり、図14(b)は下ケース681の平面図である。図15(a)はインナーシール部材64が装着された下ケース681を上側から見た斜視図であり、図15(b)はインナーシール部材64が装着された下ケース681の平面図である。
シール内側支持部244に欠け部M1が設けられていない他は、下ケース681は、第1実施形態の下ケース68と同じである。欠け部M1が設けられていないため、インナー吐水側シール部64cには内倒れ容易部E1が形成されていない(図15(a)参照)。
この下ケース681では、欠け部M1が無いため、上記関係Yを成立させにくい。ただし、下ケース681でも、上記関係Yが成立しうる。例えば、吐出孔シール内側支持部244の材質を軟らかくすることにより、上記関係Yが成立しうる。また例えば、インナー吐水側シール部64cのつぶし代を小さくすることで、上記関係Yが成立しうる。よって、欠け部M1がない下ケース681も、上記関係Y(上記関係X)が成立する実施形態となりうる。
図16(a)は、第3実施形態に係る下ケース682を上側から見た斜視図であり、図16(b)は下ケース682の平面図である。図17(a)はインナーシール部材64が装着された下ケース682を上側から見た斜視図であり、図17(b)はインナーシール部材64が装着された下ケース682の平面図である。
欠け部M1の高さが異なる他は、下ケース682は、第1実施形態の下ケース68と同じである。第1実施形態の下ケース68では、欠け部M1は、シール内側支持部244の高さの全体に亘って形成されている。換言すれば、欠け部M1は、吐出孔シール内側支持部244の高さがゼロになるように形成されている。これに対して、下ケース682では、欠け部M1が、シール内側支持部244の高さの一部に形成されている。換言すれば、欠け部M1の下側に、他の部分よりも低い吐出孔シール内側支持部244が存在している。欠け部M1の高さが小さいと、内倒れ容易部E1における内側への倒れやすさは少なくなる。このように、例えば欠け部M1の高さを変えることで、内倒れ容易部E1における内側への倒れやすさを調整することができる。簡単に、精度よく且つ低コストで、耐圧性能Aが調整されうる。欠け部M1により、上記関係Y(上記関係X)が成立する構成が容易に実現される。
図18(a)は、第4実施形態に係る下ケース683を下側から見た斜視図であり、図18(b)は下ケース683の底面図である。図19(a)はボトムシール部材66が装着された下ケース683を下側から見た斜視図であり、図19(b)はボトムシール部材66が装着された下ケース683の底面図である。
下ケース683の下面は、ボトムシール配置部260を有する。ボトムシール配置部260は溝によって形成されている。ボトムシール配置部260の形状は、ボトムシール部材66に対応している。ボトムシール配置部260に、ボトムシール部材66が嵌め込まれている。
ボトムシール配置部260は、湯孔シール配置部262と、水孔シール配置部264と、吐出孔シール配置部266とを有する。
湯孔シール配置部262に、ボトム湯孔シール部66aが配置されている。水孔シール配置部264に、ボトム水孔シール部66bが配置されている。吐出孔シール配置部266に、ボトム吐水側シール部66cが配置されている。
下ケース683は、湯孔シール内側支持部268と、水孔シール内側支持部270と、吐出孔シール内側支持部272とを有する。ボトムシール配置部260を構成する溝の第1の側面が、内側支持部268、270、272を構成している。下ケース683は、湯孔シール外側支持部274と、水孔シール外側支持部276と、吐出孔シール外側支持部278とを有する。ボトムシール配置部260を構成する溝の第2の側面が、外側支持部274、276、278を構成している。吐出孔シール内側支持部272は、前述した吐出孔シール内側支持部244と共に、単にシール内側支持部とも総称される。
ボトムシール部材66の下縁は、ハウジング底部12bの上面に密着している。ボトムシール部材66の上縁は、ボトムシール配置部260(前記溝の底面)に密着している。これらの密着により、下ケース683の各孔とハウジング底部12bの各孔との水密な接続が達成されている。
吐出孔シール内側支持部272は、欠け部M2を有する。欠け部M2は、シール内側支持部272の一部が欠落した部分である。シール内側支持部272では、2箇所に欠け部M2が設けられている。
欠け部M2では、ボトム吐水側シール部66cが内側から支持されない。よって、ボトム吐水側シール部66cが内側に倒れやすい。欠け部M2の存在に起因して、ボトム吐水側シール部66cに、その内側が支持されていない内倒れ容易部E2が形成される。欠け部M2に対応する位置に、内倒れ容易部E2が形成される。内倒れ容易部E2は、ボトム吐水側シール部66cの他の部分に比べて、内側(吐出孔74側)に倒れやすい。ボトム吐水側シール部66cが内側に倒れることで、耐圧性能Aが低下する。内倒れ容易部E2の幅、高さ、数、位置等を変えることで、ボトム吐水側シール部66cの内倒れの容易性が調整されうる。欠け部M2により、耐圧性能Aが容易に、精度良く且つ低コストで調整されうる。
このように、内倒れ容易部E2の内側は支持されていないが、内倒れ容易部E2の外側は、吐出孔シール外側支持部278によって支持されている。よって、内倒れ容易部E2は、内側に倒れやすいが、外側には倒れにくい。また、吐水系流路に水圧が掛かり、水が内側から外側に漏出しうる状況になると、内側に倒れた内倒れ容易部E2が元に戻り、内倒れが解消しうる。この構成は、耐圧性能Bを耐圧性能Aよりも高くするのに寄与している。
ボトム吐水側シール部66cにおいて、内倒れ容易部E2は、兼用部66dでない部分に形成されている。すなわち、内倒れ容易部E2は、流路外(弁体周囲空間S1)に面した位置に設けられている。よって、流路外に漏れた水を吐水系流路に導くことができる。また、内倒れ容易部E2が兼用部66dに設けられると、兼用部66dが内側(吐出孔74側)に倒れる。これは同時に、給水側シール部67(ボトム湯孔シール部66a、ボトム水孔シール部66b)が外側に倒れることを意味する。この場合、給水系流路から水漏れが生じやすくなる。これらの観点から、内倒れ容易部E2は、兼用部66dでない部分に形成されているのが好ましい。
この下ケース683では、上記関係Zが成立している。弁体周囲空間S1に溜まった漏れ水は、ボトム吐水側シール部66cのシール面を通過して吐水系流路に流れ、吐水口23から排出される。下ケース683の上面の形態は、図14及び15に示される、欠け部M1が無い形態とされうる。欠け部M1が無いことで、インナー吐水側シール部64cの耐圧性能Aが高まり、関係Zが達成されやすい。
なお、第1実施形態の下ケース68の下面の形態は、下ケース683において欠け部M2がない形態とされうる。欠け部M2が無いことで、ボトム吐水側シール部66cの耐圧性能Aが高まり、関係Yが達成されやすい。
このように、上記関係Xを達成し、漏れ水を吐水系流路に流すためには、インナー吐水側シール部64cの耐圧性能Aを低下させるか、又は、ボトム吐水側シール部66cの耐圧性能Aを低下させるのが好ましい。上記関係Yを達成するためには、インナー吐水側シール部64cの耐圧性能Aを低下させるのが好ましい。上記関係Zを達成するためには、ボトム吐水側シール部66cの耐圧性能Aを低下させるのが好ましい。
上記関係Yを達成するための構成として、以下の構成Y1からY5が例示される。
[構成Y1]:インナー吐水側シール部64cを内側から支持するシール内側支持部244に欠け部M1を設ける。
[構成Y2]:インナー吐水側シール部64cのつぶし代が、インナー湯孔シール部64aのつぶし代よりも小さく、且つ、インナー水孔シール部64bのつぶし代よりも小さい。
[構成Y3]:インナー吐水側シール部64cの硬さが、インナー湯孔シール部64aの硬さよりも低く、且つ、インナー水孔シール部64bの硬さよりも低い。
[構成Y4]:インナー吐水側シール部64cの硬さが、上シール部材40の硬さよりも低い。
[構成Y5]:インナー吐水側シール部64cの硬さが、レバーシール部材48の硬さよりも低い。
上述の通り、本開示の水栓は、単水栓であってもよい。本開示の水栓は、給水側の孔が湯孔と水孔とに分かれていなくてもよい。この観点から、関係Yを達成するための構成として、以下の構成Y6及び構成Y7が例示される。構成Y6は構成Y2を含む概念である。構成Y7は構成Y3を含む概念である。
[構成Y6]:インナー吐水側シール部64cのつぶし代が、インナー給水側シール部65のつぶし代よりも小さい。
[構成Y7]:インナー吐水側シール部64cの硬さが、インナー給水側シール部65の硬さよりも低い。
構成Y2は、例えば、インナー吐水側シール部64cの高さHs3を、インナー湯孔シール部64aの高さHs1よりも低くし且つインナー水孔シール部64bの高さHs2よりも低くすることで、達成されうる。
上記関係Zを達成するための構成として、以下の構成Z1からZ5が例示される。
[構成Z1]:ボトム吐水側シール部66cを内側から支持するシール内側支持部272に欠け部M2を設ける。
[構成Z2]:ボトム吐水側シール部66cのつぶし代が、ボトム湯孔シール部66aのつぶし代よりも小さく、且つ、ボトム水孔シール部66bのつぶし代よりも小さい。
[構成Z3]:ボトム吐水側シール部66cの硬さが、ボトム湯孔シール部66aの硬さよりも低く、且つ、ボトム水孔シール部66bの硬さよりも低い。
[構成Z4]:ボトム吐水側シール部66cの硬さが、上シール部材40の硬さよりも低い。
[構成Z5]:ボトム吐水側シール部66cの硬さが、レバーシール部材48の硬さよりも低い。
上述の通り、本開示の水栓は、単水栓であってもよい。本開示の水栓は、給水側の孔が湯孔と水孔とに分かれていなくてもよい。この観点から、関係Zを達成するための構成として、以下の構成Z6及び構成Z7が例示される。構成Z6は構成Z2を含む概念である。構成Z7は構成Z3を含む概念である。
[構成Z6]:ボトム吐水側シール部66cのつぶし代が、ボトム給水側シール部67のつぶし代よりも小さい。
[構成Z7]:ボトム吐水側シール部66cの硬さが、ボトム給水側シール部67の硬さよりも低い。
構成Z2は、例えば、ボトム吐水側シール部66cの高さを、ボトム湯孔シール部66aの高さよりも低くし且つボトム水孔シール部66bの高さよりも低くすることで、達成されうる。
本願において、シール部材の硬さは、JIS K 6253:2012に基づいてタイプAデュロメータで測定されるデュロメータ硬さとされうる。この硬さの測定では、測定対象のシール部材と同じ材質で作製された試験片が用いられる。なお、ボトムシール部材66のような一体化部材であっても、例えばコンプレッション成形を行えば、部分的な材料の変更は可能である。また、インナーシール部材64と同様に、ボトムシール部材66が、3つの独立したシール部材により構成されていてもよい。
インナーシール部材64及びボトムシール部材66の材質(基材)がゴムの場合、そのゴムとして、シリコーンゴム、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)及びCR(クロロプレンゴム)が例示される。これらの材料を使い分けることで、硬さが調整されうる。また、材質がゴム組成物である場合、充填材、可塑剤、架橋剤、架橋助剤等の配合量を変えることでも、硬さが調整されうる。上記第1実施形態では、インナー湯孔シール部64a、インナー水孔シール部64b及びインナー吐水側シール部64cが同じ材質(基材ゴムはEPDM)とされた。また、ボトム湯孔シール部66a、ボトム水孔シール部66b及びボトム吐水側シール部66cが同じ材質(基材ゴムはEPDM)とされた。
第1実施形態において、耐圧性能を確認するテスト1及びテスト2が実施された。
[テスト1]
テスト1では、上シール部材40及びレバーシール部材48の耐水性能が確認された。第1実施形態のバルブ組立体38において、インナー吐水側シール部64c及びボトム吐水側シール部66cが設置された部分を強制的に塞いだ。更に、摺動合わせ面PL3に溝を設けると共にインナー給水側シール部65に切り欠きを設けて、弁体周囲空間S1への水漏れを強制的に生じさせた。この水漏れにより、弁体周囲空間S1の内圧を上昇させた。外部への水漏れが発生するまで内圧を上昇させ、水漏れが発生したときの内圧が測定された。結果は、内圧が5.4MPaのとき、上ケース42の破損により水漏れが発生した。上ケース42が破損するまで、上シール部材40及びレバーシール部材48では水漏れが生じなかった。よって、上シール部材40及びレバーシール部材48の耐圧性能は、5.4MPa以上であることが確認された。
[テスト2]
テスト2では、吐水側シール部64c、66cの耐圧性能Aが確認された。第1実施形態のバルブ組立体38において、摺動合わせ面PL3に溝を設けると共にインナー給水側シール部65に切り欠きを設けて、弁体周囲空間S1への水漏れを強制的に生じさせた。この水漏れにより、弁体周囲空間S1の内圧を上昇させた。外部への水漏れが生ずるまで、内圧を上昇させた。この結果、吐水口23から漏れ水が排出されることが確認された。調査すると、弁体周囲空間S1内の漏れ水は、インナー吐水側シール部64cのシール面から吐水系流路に流れたことが確認された。吐水口23から漏れ水が排出されたときの内圧は、1.6MPaであった。すなわち、インナー吐水側シール部64cの外側から内側への耐圧性能(耐圧性能A)が1.6MPaであった。また、インナー吐水側シール部64c以外では水漏れは生じず、上記関係X及び関係Yが達成された。
上シール部材40及びレバーシール部材48の耐圧性能がP1(MPa)とされる。耐圧性能P1は、上シール部材40の耐圧性能及びレバーシール部材48の耐圧性能のうちの低い方を意味する。
吐水側シール部64c、66cの外側から内側への耐圧性能(耐圧性能A)がP2(MPa)とされる。耐圧性能P2は、インナー吐水側シール部64cの耐圧性能A及びボトム吐水側シール部66cの耐圧性能Aのうちの低い方を意味する。
上述の通り、上記関係Xを満たす水栓では、耐圧性能P1は耐圧性能P2よりも大きい。すなわち、比(P1/P2)は1よりも大きい。上述のテストでは、耐圧性能P1が5.4MPa以上であり、耐圧性能P2は1.6MPaであった。すなわち、比(P1/P2)は3.38以上であった。
上記関係Xを達成する観点から、耐圧性能P1は、2.0MPa以上が好ましく、2.2MPa以上がより好ましく、2.4MPa以上がより好ましい。過大なシール性はコストを増大させる。この観点から、耐圧性能P1は、6.0MPa以下が好ましく、5.8MPa以下がより好ましく、5.6MPa以下がより好ましい。
上記関係Xを達成する観点から、耐圧性能P2は、1.95MPa以下が好ましく、1.8MPa以下がより好ましく、1.65MPa以下がより好ましい。耐圧性能P2が過小であると、吐水系流路に作用する動水圧に耐えうる耐圧性能B(内側から外側への耐圧性能)を確保しにくい場合がある。また、止水時の水撃が発生するとき、流水の慣性エネルギーで吐水系流路の空気が引き込まれ、内倒れが生ずる場合がある。この内倒れの変形量が過大である場合、変形が元に戻らず、吐水時において水漏れが生じうる。これらの観点から、耐圧性能P2は、0.45MPa以上が好ましく、0.6MPa以上がより好ましく、0.75MPa以上がより好ましい。
上記関係Xを達成する観点から、比(P1/P2)は、1.0より大きいのが好ましく、2.1以上がより好ましく、3.2以上がより好ましい。耐圧性能P1及び耐圧性能P2の好ましい範囲を考慮すると、比(P1/P2)は、12.9以下が好ましく、9.3以下がより好ましく、7.2以下がより好ましい。
吐水側シール部64c、66cの内側から外側への耐圧性能(耐圧性能B)がP3(MPa)とされる。耐圧性能P3は、インナー吐水側シール部64cの耐圧性能B及びボトム吐水側シール部66cの耐圧性能Bのうちの低い方を意味する。吐水系流路に作用する動水圧に対する耐性の観点から、耐圧性能P3は、1.6MPa以上が好ましく、1.8MPa以上がより好ましく、2.0MPa以上がより好ましい。水漏れ抑制の観点からは、耐圧性能P3は高いほど好ましい。ただし、耐圧性能P3は耐圧性能P3が過大である場合、耐圧性能P2を小さくしにくい場合がある。この観点から、耐圧性能P3は、3.4MPa以下が好ましく、3.2MPa以下がより好ましく、3.0MPa以下がより好ましい。
インナー吐水側シール部64cの外側から内側への耐圧性能(耐圧性能A)がP4(MPa)とされる。上記関係Yを達成する観点から、耐圧性能P4は、1.95MPa以下が好ましく、1.8MPa以下がより好ましく、1.65MPa以下がより好ましい。耐圧性能P4が過小であると、吐水系流路に作用する動水圧に耐えうる耐圧性能Bを確保しにくい場合がある。また、止水時の水撃が発生するとき、流水の慣性エネルギーで吐水系流路の空気が引き込まれ、内倒れが生ずる場合がある。この内倒れの変形量が過大である場合、変形が元に戻らず、吐水時において水漏れが生じうる。これらの観点から、耐圧性能P4は、0.45MPa以上が好ましく、0.6MPa以上がより好ましく、0.75MPa以上がより好ましい。
上記関係Yを達成する観点から、比(P1/P4)は、1.0より大きいのが好ましく、2.1以上がより好ましく、3.2以上がより好ましい。耐圧性能P1及び耐圧性能P4の好ましい範囲を考慮すると、比(P1/P4)は、12.9以下が好ましく、9.3以下がより好ましく、7.2以下がより好ましい。
インナー吐水側シール部64cの内側から外側への耐圧性能(耐圧性能B)がP5(MPa)とされる。吐水系流路に作用する動水圧に耐えうるとの観点から、耐圧性能P5は、1.6MPa以上が好ましく、1.8MPa以上がより好ましく、2.0MPa以上がより好ましい。水漏れ抑制の観点からは、耐圧性能P5は高いほど好ましい。ただし、耐圧性能P5が過大である場合、耐圧性能P4を小さくしにくい場合がある。この観点から、耐圧性能P5は、3.4MPa以下が好ましく、3.2MPa以下がより好ましく、3.0MPa以下がより好ましい。
ボトム吐水側シール部66cの外側から内側への耐圧性能(耐圧性能A)がP6(MPa)とされる。上記関係Zを達成する観点から、耐圧性能P6は、1.95MPa以下が好ましく、1.8MPa以下がより好ましく、1.65MPa以下がより好ましい。耐圧性能P6が過小であると、吐水系流路に作用する動水圧に耐えうる耐圧性能Bを確保しにくい場合がある。また、止水時の水撃が発生するとき、流水の慣性エネルギーで吐水系流路の空気が引き込まれ、内倒れが生ずる場合がある。この内倒れの変形量が過大である場合、変形が元に戻らず、吐水時において水漏れが生じうる。これらの観点から、耐圧性能P6は、0.45MPa以上が好ましく、0.6MPa以上がより好ましく、0.75MPa以上がより好ましい。
上記関係Zを達成する観点から、比(P1/P6)は、1.0より大きいのが好ましく、2.1以上がより好ましく、3.2以上がより好ましい。耐圧性能P1及び耐圧性能P6の好ましい範囲を考慮すると、比(P1/P6)は、12.9以下が好ましく、9.3以下がより好ましく、7.2以下がより好ましい。
ボトム吐水側シール部66cの内側から外側への耐圧性能(耐圧性能B)がP7(MPa)とされる。吐水系流路に作用する動水圧に対する耐性の観点から、耐圧性能P7は、1.6MPa以上が好ましく、1.8MPa以上がより好ましく、2.0MPa以上がより好ましい。水漏れ抑制の観点からは、耐圧性能P7は高いほど好ましい。ただし、耐圧性能P7が過大である場合、耐圧性能P6を小さくしにくい場合がある。この観点から、耐圧性能P7は、3.4MPa以下が好ましく、3.2MPa以下がより好ましく、3.0MPa以下がより好ましい。
下ケース68を上から見た平面図(図13(b))において、インナー吐水側シール部64cの内面は曲線280で示される。曲線280は、単純閉曲線である。この曲線280の長さが、インナー吐水側シール部64cの内側の周長である。この周長がL1とされる。一方、曲線280のうち、内倒れ容易部E1により構成されている部分282の長さがL2とされる。部分282は、吐出孔シール内側支持部244に接していない部分である。本実施形態のように、欠け部M1が2箇所に設けられている場合、長さL2は、2箇所の部分282の長さの合計である。
比(L2/L1)を変えることで、インナー吐水側シール部64cの耐圧性能Aを調整することができる。上記関係Yを達成する観点から、比(L2/L1)は、0.05以上が好ましく、0.10以上がより好ましく、0.15以上がより好ましい。流量の観点からも、比(L2/L1)は大きいのが好ましい。インナー吐水側シール部64cの過度な変形を抑制する観点から、比(L2/L1)は、0.35以下が好ましく、0.30以下がより好ましく、0.25以下がより好ましい。
下ケース683を下から見た底面図(図19(b))において、ボトム吐水側シール部66cの内面は曲線284で示される。曲線284は、単純閉曲線である。この曲線284の長さが、ボトム吐水側シール部66cの内側の周長である。この周長がL3とされる。一方、曲線284のうち、内倒れ容易部E2により構成されている部分286の長さがL4とされる。部分286は、吐出孔シール内側支持部272に接していない部分である。本実施形態のように、欠け部M2が2箇所に設けられている場合、長さL4は、2箇所の部分286の長さの合計である。
比(L4/L3)を変えることで、ボトム吐水側シール部66cの耐圧性能Aを調整することができる。上記関係Zを達成する観点から、比(L4/L3)は、0.05以上が好ましく、0.10以上がより好ましく、0.15以上がより好ましい。流量の観点からも、比(L4/L3)は大きいのが好ましい。ボトム吐水側シール部66cの過度な変形を抑制する観点から、比(L4/L3)は、0.35以下が好ましく、0.30以下がより好ましく、0.25以下がより好ましい。
ハウジング部12の材質として、樹脂(繊維強化樹脂を含む)及び金属が例示される。導入管17及び吐出管22が接続され、バルブ組立体38が固定されるハウジング部12には、強度が要求される。また、湯水の温度変化に対する耐性も要求される。これらの観点から、金属が好ましい。耐塩素性、鉛侵出の少なさ等の観点から、金属の中でも黄銅が好ましい。成形性の観点から、樹脂とすることもできる。樹脂の場合、水撃等に対する剛性、耐塩素性、耐薬品性等の観点から、PPO(ポリフェニレンオキシド)及びPPS(ポリフェニレンスルフィド)が特に好ましい。
上ケース42の材質として、樹脂(繊維強化樹脂を含む)及び金属が例示される。成形性の観点から、樹脂が好ましい。上シール部材40の耐圧性能を生かす観点、及び、バルブ固定部材による押圧力に耐える観点から、剛性及び強度が高い材質が好ましい。この観点から、PPO(ポリフェニレンオキシド)及びPPS(ポリフェニレンスルフィド)が特に好ましい。
レバーキャップ46bの材質として、樹脂(繊維強化樹脂を含む)及び金属が例示される。薄肉部に対する成形性の観点から、樹脂が好ましく、PP(ポリプロピレン)が特に好ましい。
レバー軸46aの材質として、樹脂(繊維強化樹脂を含む)、金属及びセラミックが例示される。操作力に対する強度の観点から、金属が好ましい。レバー軸は水がかかる位置にあることから、錆をも考慮すると、ステンレス鋼がより好ましい。
レバーシール部材48の材質として、樹脂及びゴム(弾性ゴム)が例示される。球面部52に対する密着性の観点から、ゴムが好ましい。好ましいゴムとして、シリコーンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)及びエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)が挙げられる。
上シール部材40の材質として、樹脂及びゴム(弾性ゴム)が例示される。シール性の観点から、ゴムが好ましい。好ましいゴムとして、シリコーンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)及びエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)が挙げられる。
インナーシール部材64の材質として、樹脂及びゴム(弾性ゴム)が例示される。シール性の観点から、ゴムが好ましい。このゴムの例は、上述の通りである。
ボトムシール部材66の材質として、樹脂及びゴム(弾性ゴム)が例示される。シール性の観点から、ゴムが好ましい。このゴムの例は、上述の通りである。
上述した実施形態に関して、以下の付記を開示する。
[付記1]
ハウジング部を含む水栓本体と、
吐出量を調整するレバーハンドルと、
前記ハウジング部の収容部に収容されるバルブ組立体と、
を備えており、
前記ハウジング部が、前記収容部の底部を構成し前記バルブ組立体に接続される底部導入孔及び底部吐出孔を備えたハウジング底部を有しており、
前記バルブ組立体が、
前記レバーハンドルに連動する傾斜レバーと、
供給孔及び排出孔を有する固定弁体と、
流路形成凹部を有しており、前記傾斜レバーに連動して前記固定弁体上で動く可動弁体と、
前記固定弁体の下側に配置され、導入孔及び吐出孔を有する下ケースと、
前記下ケースに固定されており、前記下ケースと共に前記バルブ組立体の外面を構成する上ケースと、
前記固定弁体と前記下ケースとの間をシールするインナーシール部材と、
前記下ケースと前記ハウジング底部との間をシールするボトムシール部材と、
前記傾斜レバーに連動するレバー連動部と前記上ケースとの間をシールするレバーシール部材と、
を有しており、
前記上ケースと前記ハウジング部との間をシールする上シール部材を更に有しており、
前記インナーシール部材が、前記供給孔と前記導入孔との間をシールするインナー給水側シール部と、前記排出孔と前記吐出孔との間をシールするインナー吐水側シール部とを有しており、
前記ボトムシール部材が、前記導入孔と前記底部導入孔との間をシールするボトム給水側シール部と、前記吐出孔と前記底部吐出孔との間をシールするボトム吐水側シール部とを有しており、
前記インナー吐水側シール部及び前記ボトム吐水側シール部が吐水側シール部とされるとき、前記吐水側シール部における外側から内側への耐圧性能が、前記上シール部材及び前記レバーシール部材の耐圧性能よりも小さい水栓。
[付記2]
前記下ケースが、前記吐水側シール部を内側から支持するシール内側支持部を有しており、
前記シール内側支持部が、その一部が欠落した欠け部を有しており、
前記欠け部により、前記吐水側シール部に、その内側が支持されていない内倒れ容易部が形成されている付記1に記載の水栓。
[付記3]
前記インナー吐水側シール部における外側から内側への耐圧性能が、前記上シール部材及び前記レバーシール部材の耐圧性能よりも小さい付記1又は2に記載の水栓。
[付記4]
前記インナー吐水側シール部における外側から内側への耐圧性能が、前記インナー吐水側シール部における内側から外側への耐圧性能よりも小さい付記3に記載の水栓。
[付記5]
前記インナー吐水側シール部のつぶし代が、前記インナー給水側シール部のつぶし代よりも小さい付記1から4のいずれか1項に記載の水栓。
[付記6]
前記インナー吐水側シール部の硬さが、前記インナー給水側シール部の硬さよりも低い付記1から5のいずれか1項に記載の水栓。
[付記7]
前記固定弁体の前記供給孔が、湯供給孔と水供給孔とを有しており、
前記下ケースの前記導入孔が、湯導入孔と水導入孔とを有しており、
前記インナーシール部材が、前記湯供給孔と前記湯導入孔との間をシールするインナー湯孔シール部と、前記水供給孔と前記水導入孔とを間をシールするインナー水孔シール部と、前記インナー吐水側シール部とを有しており、
前記インナー湯孔シール部と、前記インナー水孔シール部と、前記インナー吐水側シール部とが、それぞれ独立している付記1から6のいずれか1項に記載の水栓。
本願には、請求項(独立形式請求項を含む)に係る発明に含まれない他の発明も記載されている。本願の請求項及び実施形態に記載されたそれぞれの形態、部材、構成及びそれらの組み合わせは、それぞれが有する作用効果に基づく発明として認識される。
上記各実施形態で示されたそれぞれの形態、部材、構成等は、これら実施形態の全ての形態、部材又は構成をそなえなくても、個々に、本願請求項に係る発明をはじめとした、本願記載の全発明に適用されうる。