JP7338281B2 - 樹脂製部品を含む製品及びそのリサイクル方法 - Google Patents
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Description
前記製品の外装面を構成する前記樹脂製部品に蛍光剤が塗布されており、
特定の波長の光を照射すると前記蛍光剤が発光し、その発光量が紫外線曝露により経時で低下し、
前記蛍光剤が、キセノンアーク光源を用いた10年間屋外での曝露に相当する光照射テスト後の蛍光発光量が、光照射前の蛍光発光量に比較して10~80%の範囲内である
ことを特徴とする樹脂製部品を含む製品。
前記樹脂製部品に塗布された蛍光剤に紫外線を照射して蛍光発光量を測定することにより、当該樹脂製部品の劣化度を評価する工程を有することを特徴とする樹脂製部品を含む製品のリサイクル方法。
が、評価の精度を向上する観点から、好ましい。
本発明の樹脂製部品を含む製品は、使用後は回収して再利用される樹脂製部品を含む製品であって、前記製品の外装面を構成する前記樹脂製部品に蛍光剤が塗布されており、前記蛍光剤が、特定の波長の光を照射すると発光し、その発光量が紫外線曝露により経時で低下し、前記蛍光剤が、キセノンアーク光源を用いた10年間屋外での曝露に相当する光照射テスト後の蛍光発光量が、光照射前の蛍光発光量に比較して10~80%の範囲内であることを特徴とする。
本発明に用いられる「樹脂製部品(以下、簡単に「樹脂」ともいう。)の劣化度評価試験方法」は、蛍光剤を用いる樹脂の劣化度評価試験方法であって、少なくとも下記ステップ(1)、(2)及び(3)を含むことが好ましい。
(1)前記製品の外装面を構成する前記樹脂製部品に、蛍光剤を塗布するステップ。
(2)前記蛍光剤を外装面に塗布された樹脂を用いて、当該樹脂の前記蛍光剤に紫外線を照射して蛍光発光量を測定するステップ。
(3)前記蛍光発光量から、前記樹脂の劣化度を評価するステップ。
以下、図2で示す製品のリサイクルシステムの工程フロー図に沿って、本発明の樹脂の劣化度評価試験方法の詳細を説明する。また、下記説明におけるリペレット工程とは、図1の「回収」から「リペレット化」する工程までをいう。
ステップ(1)は、樹脂を用いる製品の生産工程において、前記製品の外装面を構成する前記樹脂製部品に、蛍光剤を塗布するステップである。
が、評価の精度を向上する観点から、好ましい。
本発明に係る蛍光剤は、紫外線などのエネルギーが付与されて励起し、励起エネルギーを光として放出する物質であり、有機蛍光剤や無機蛍光剤に分けられる。有機蛍光剤の場合は、製品の外観維持のために可視光域で透明のものが好ましい。無機蛍光剤の場合は、一般的に有機蛍光剤よりも耐久性が高い。また、蛍光剤には蛍光を発生する発光中心があり、ユーロピウム(Eu)やセリウム(Ce)、サマリウム(Sm)、イッテルビウム(Yb)などの希土類金属化合物が挙げられる。
2013-010227号公報、特開2014-058171号公報、特開2014-097644号公報、特開2015-142979号公報、特開2015-142980号公報、特開2016-002675号公報、特開2016-002682号公報、特開2016-107401号公報、特開2017-109476号公報、及び特開2017-177626号公報等に記載されている構成からなるインクジェット印刷法を適宜選択して適用することができる。
蛍光発光量測定装置10は、樹脂11上に塗布された蛍光剤12に主に紫外線を照射するUVランプである紫外線光源部13と、それによって蛍光発光する光量を測定するカメラ部14とからなる。
ステップ(3)は、前記蛍光発光量から、前記樹脂の劣化度を評価するステップである。以下、樹脂の劣化度評価の原理を説明する。
ゲルパーミエーション(GPC)による分子量測定は、以下のように行う。樹脂に溶媒液を添加した後、超音波を30分間かけ、溶けた部分をGPC装置の測定に用いた。数平均分子量(Mn)(ポリスチレン換算)は、GPC装置として、東ソー(株)製HLC-8120GPC、SC-8020装置を用い、カラムはTSKgei,SuperHM-H(6.0mmID×15cm×2)を用い、溶離液として和光純薬社製クロマトグラフ用THF(テトラヒドロフラン)を用いた。測定条件としては、流速0.6mL/min、サンプル注入量10μL、測定温度40℃、RI検出器を用いて測定を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:A-500、F-1、F-10、F-80、F-380、A-2500、F-4、F-40、F-128、F-700の10サンプルから作製した。また試料解析におけるデータ収集間隔は300msとした。なお、樹脂の種類によって、必要に応じて適正な条件(使用する溶媒やカラムの種類、測定機を変更)にて測定する。
衝撃試験機にて、JIS K7110(1999)の試験条件で、温度23℃、湿度50%RHに16時間試験片を放置した後測定する。例えば、衝撃試験機は神栄テストマシナリー製PST-300を用い、温度23℃、湿度55%RHの条件下で行う。
本ステップは、前記ステップ(3)で評価した劣化度によって、樹脂を分別する工程である。例えば、樹脂の劣化度を数段階に区分けし、その範囲に入る樹脂部品を分別する。例えば、劣化度0%以上5%未満の範囲、劣化度5%以上10%未満の範囲、劣化度10%以上15%未満の範囲、及び劣化度15%以上の範囲などを設定し、樹脂を分別する。作業工程を考慮すると、3~4段階程度に分別することが好ましい。
本ステップは、前記ステップ(3)で評価した劣化度によって、不要樹脂を除去(廃棄)する工程である。
本発明のリサイクルシステムでは、蛍光剤及びその他不純物を除去する工程を加えることが好ましい。
上記ステップ(6)によって、洗浄された樹脂は、分別された状態で粉砕され、それぞれの粉砕物に対して目的に応じて配合比を決定し、リペレット化のために混合する。
ステップ(7)によって配合比を決定した前記混合物を用いてリペレット化する。
本発明の製品に用いられる樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましく、具体的には、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)又はポリスチレン(PS)系樹脂であることが好ましい。但し、これらに限定されるものではない。
〔2.1〕ポリカーボネート
本発明でいうポリカーボネートは、式:-[-O-X-O-C(=O)-]-で示される炭酸結合を有する基本構造の重合体である。式中、Xは連結基を表し、一般には炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-ブテンブロック共重合体、プロピレン-α-オレフィンブロック共重合体、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-ブテンランダム共重合体、プロピレン-α-オレフィンランダム共重合体、プロピレン-α-オレフィングラフト共重合体等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂にエチレン-α-オレフィン共重合体、スチレン系エラストマー等の公知の樹脂やタルク、マイカ、ワラストナイト、ガラス繊維等のフィラーを含有するものも含まれる。
ポリスチレン系樹脂としては、スチレン、α-メチルスチレン-p-メチルスチレン、p-t-ブチルスチレンなどのモノビニル系芳香族単量体からなる単量体を重合して得られる重合体で、代表的なポリスチレン(GPPS)やゴム状物質をスチレン系モノマーに溶解し、塊状又は塊状懸濁重合法などにより製造したゴム変性スチレン系重合体で、ゴム状物質としては、ポリブタジエン(PBD)、スチレン-ブタジエン共重合体(SBR)等が用いられ、代表的は、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、ミドルインパクトポリスチレン(MIPS)等が挙げられる。
本発明に係る樹脂には、熱可塑性ポリエステル樹脂を配合することもできる。例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリプロピレンテレフタレート樹脂(PPT)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリへキシレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリブチレンナフタレート樹脂(PBN)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタレ-ト)樹脂(PCT)、ポリシクロヘキシルシクロヘキシレート(PCC)等が挙げられる。中でもポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)及びポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)がメルトフローレート、耐衝撃性の点から好ましい。
〔実施例A〕
(1)蛍光剤の選択
下記2種類の蛍光剤を選択した。
B:Sunlumisis SP 赤;セントラルテクノ株式会社
選択した蛍光剤について、キセノンアーク光源を用いた10年間屋外での曝露に相当するキセノン光照射テスト後の蛍光発光量と照射前の蛍光発光量を、図3の蛍光発光量測定装置を用いて測定し、以下の式(1)にて、蛍光発光量の比率を計算した。
なお、上記10年屋外曝露後相当の蛍光発光量は、キセノンアークランプを用いたキセノン光照射テスト(JIS K7350-2:2008 プラスチック実験室光源による曝露試験方法に準拠、但し、水噴霧は実施していない。)により加速試験で行った。具体的には、キセノン光照射テストは、BPT65℃、湿度50%RH下で、照度60W/m2で6905時間照射した。
<実施例1>
下記樹脂製部品を含む複写機を製品組み立てし、上記選定した蛍光剤Aを環境光が照射される外装面において、前記製品の使用時に上部面(真上:0°)から側面(真横:90°)までの範囲の角度において、60°となる前記外装面(角部面)に、0.001g/cm2の塗布量で1cm×1cmの面積にインクジェット印刷法により塗布した。
測定対象となる樹脂を、濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブレンフィルターを用いて濾過し、得られた溶液をGPC測定用のサンプルとして用いた。GPC測定条件は、下記に示すGPC分析条件を採用し、サンプル中に含まれる樹脂の重量平均分子量を測定した。
GPC装置として「HLC-8320GPC/UV-8320(東ソー株式会社製)」を用い、カラムとして「TSKgel、SupermultiporeHZ-H(東ソー株式会社製4.6mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてテトラヒドロフラン(THF)を用いた。分析は、流速0.35mL/min、サンプル注入量20μL、測定温度40℃、RI検出器を用いて行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A-500」、「F-1」、「F-10」、「F-80」、「F-380」、「A-2500」、「F-4」、「F-40」、「F-128」、「F-700」の10サンプルから作製した。なお、試料解析におけるデータ収集間隔は300msとした。
また、蛍光発光量の低下割合を下記式(3)にて求めた。
使用した蛍光剤の10年屋外暴露後の蛍光発光量:L10(%)
測定結果(回収された部品の蛍光発光量):Lm(%)
としたとき、劣化割合は以下のような式で表され、10年暴露後相当の蛍光強度の低下幅に対して、回収された部品の蛍光強度がどれだけ低下しているかを表す。
以上の測定データから、図4(c)の右側のグラフ(樹脂の特性と蛍光剤の発光量の相関グラフ)によって、蛍光剤の発光量から推定した樹脂の特性の劣化度1(重量平均分子量の変動)と実際に重量平均分子量を測定した樹脂の劣化度2を比較した。樹脂の劣化度は、下記式(4)によって求めた。
このとき、劣化度1及び2の解離が3%未満である場合を評価精度が特に良好(◎)とし、3%以上5%未満である場合を良好(○)、5%以上10%未満である場合をやや良好(△)、及び10%以上である場合を不良(×)とした。
実施例1の製品作製において、蛍光剤の塗布位置、塗布量、塗布面積、及び塗布形態を、それぞれ表II記載のように変化させた以外は同様にして、実施例2~実施例6の製品を作製した。なお、実施例6では蛍光剤を環境光の照射が弱い外装面として、製品の下方の角部面(120°)に蛍光剤を塗布した。
実施例1の製品の作製において、蛍光剤Bを用いた以外は同様にして、表III記載の比較例1の製品作製を行った。
実施例1の製品の作製において、図1で示す樹脂製部品の非外装面に同様に蛍光剤を塗布した以外は同様にして、比較例2の製品作製を行った。
比較例3は実施例1の製品の作製において、蛍光剤塗布部分と同様な外装面に使用される樹脂製部品を採取し、ハンマーによる破壊評価(樹脂の劣化による破壊の有無を判別する。)を行った。
実施例2では、複数個所の評価を行うため、評価精度が高い。
〔実施例B〕
下記ポリカーボネート樹脂及び金属安定化剤を用いて、実際のリサイクルシステムにおける分別(ステップ(4))、除去(ステップ(5))と配合比決定による混合(ステップ(7))の効果、蛍光剤/不純物の除去(ステップ(6))、及び下記金属安定化剤添加(ステップ(8))の効果を検証した。
金属安定化剤:製品名3-(N-サリチロイル)アミノ-1,2,4-トリアゾール、アデカスタブCDA-1;株式会社ADEKA、樹脂に対して0.1質量%添加。
衝撃試験機にて、JIS K7110(1999)の試験条件で、温度23℃、湿度50%RHに16時間試験片を放置した後測定した。衝撃試験機は安田精機製258を用い、温度23℃、湿度55%RHの条件下で行った。
2 環境光
10 蛍光発光量測定装置
11 樹脂
12 蛍光剤
13 紫外線光源部
14 カメラ部
Claims (8)
- 使用後は回収して再利用される樹脂製部品を含む製品であって、
前記製品の外装面を構成する前記樹脂製部品に蛍光剤が塗布されており、
特定の波長の光を照射すると前記蛍光剤が発光し、その発光量が紫外線曝露により経時で低下し、
前記蛍光剤が、キセノンアーク光源を用いた10年間屋外での曝露に相当する光照射テスト後の蛍光発光量が、光照射前の蛍光発光量に比較して10~80%の範囲内である
ことを特徴とする樹脂製部品を含む製品。 - 前記蛍光剤の塗布量が、1cm2あたり0.0005g以上であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂製部品を含む製品。
- 前記蛍光剤の塗布範囲が、0.5cm×0.5cm以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の樹脂製部品を含む製品。
- 前記蛍光剤が、可視光下では透明であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の樹脂製部品を含む製品。
- 前記蛍光剤が、紫外線を照射することで可視光を発光することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の樹脂製部品を含む製品。
- 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の樹脂製部品を含む製品をリサイクルする樹脂製部品を含む製品のリサイクル方法であって、
前記樹脂製部品に塗布された蛍光剤に紫外線を照射して蛍光発光量を測定することにより、当該樹脂製部品の劣化度を評価する工程を有することを特徴とする樹脂製部品を含む製品のリサイクル方法。 - 前記劣化度の評価工程の次工程に、蛍光剤とその他の不純物を樹脂から除去する工程を有することを特徴とする請求項6に記載の樹脂製部品を含む製品のリサイクル方法。
- 前記樹脂製部品に複数個所蛍光剤が塗布されており、それぞれの劣化度の評価結果が異なる場合に、劣化度の大きい評価結果をその部品の劣化度として判定する工程を有することを特徴とする請求項6に記載の樹脂製部品を含む製品のリサイクル方法。
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