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JP7337273B2 - 電力制御装置、電力制御装置を備えた電動機、および、電動機を備えた空気調和機 - Google Patents

電力制御装置、電力制御装置を備えた電動機、および、電動機を備えた空気調和機 Download PDF

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JP7337273B2 JP2022531152A JP2022531152A JP7337273B2 JP 7337273 B2 JP7337273 B2 JP 7337273B2 JP 2022531152 A JP2022531152 A JP 2022531152A JP 2022531152 A JP2022531152 A JP 2022531152A JP 7337273 B2 JP7337273 B2 JP 7337273B2
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Description

本開示は、供給電力を制御する電力制御装置、電力制御装置を備えた電動機、および、電動機を備えた空気調和機に関するものである。
従来から、電動機は、回転子および固定子などからなるモータ本体の駆動を制御する電力制御装置を有している。電力制御装置は、パワートランジスタおよびマイクロコンピュータ(以下、マイコンと称する)などが実装された基板を備えており、基板としては、例えば、回転子の回転軸などを貫通させる貫通穴が形成された円環状のものが採用される(例えば、特許文献1参照)。
特開2015-171200号公報
特許文献1のような従来技術では、パワートランジスタなど発熱する部品からの熱がマイコンに伝わりマイコンが動作保証温度以上に温度上昇する。そして、特に基板と固定子とが樹脂にて一体成型される場合、発熱する部品からの熱が樹脂を介してマイコンに伝わりやすくなるため、マイコンの温度上昇が顕著となる。その結果、電動機の高出力化および小型化が困難であるという課題があった。
本開示は、以上のような課題を解決するためになされたもので、マイコンの温度上昇を抑制することができる電力制御装置、電力制御装置を備えた電動機、および、電動機を備えた空気調和機を提供することを目的としている。
本開示に係る電力制御装置は、回転軸が挿入される回転子と、前記回転子の外周側に設けられた固定子と、を備えた電動機を駆動する電力制御装置であって、前記回転軸を貫通させる貫通穴が形成され、前記回転子および前記固定子に対向して配置された基板と、前記基板に実装され、駆動回路を含むパワー半導体モジュールと、前記基板に実装され、前記電動機へ供給する電力を制御するマイコンと、を有し、前記基板は、前記固定子とモールド樹脂により一体形成されており、前記パワー半導体モジュールと前記マイコンとの間の前記基板上に、前記モールド樹脂よりも熱伝導率が低い第一部品が配置されているものである。
また、本開示に係る電動機は、回転軸が挿入される前記回転子と、前記回転子の外周側に設けられた前記固定子と、上記の電力制御装置と、を備えたものである。
また、本開示に係る空気調和機は、室内機と室外機とを備え、前記室内機および前記室外機のうち少なくとも一方が送風機を有し、前記送風機の動力源として上記の電動機を備えたものである。
本開示に係る電力制御装置によれば、パワー半導体モジュールとマイコンとの間の基板上に、モールド樹脂よりも熱伝導率が低い第一部品が配置されている。そのため、パワー半導体モジュールとマイコンとの間の熱伝導率が低くなり、パワー半導体モジュールからの熱がマイコンに伝わりにくくなるため、マイコンの温度上昇を抑制することができる。その結果、この電力制御装置を備えた電動機をより高出力化および小型化することが可能となる。
実施の形態1に係る電動機の構成を示す概略断面図である。 実施の形態1に係る電動機が備えた電力制御装置の回路構成例を示す回路図である。 実施の形態1に係る電動機が備えた電力制御装置の基板を反ステータ側から見た概略構成を示す模式図である。 従来の電動機が備えた電力制御装置の基板を反ステータ側から見た概略構成を示す第1の模式図である。 実施の形態1に係る電動機が備えた電力制御装置の基板の第1の変形例を反ステータ側から見た概略構成を示す模式図である。 実施の形態1に係る電動機が備えた電力制御装置の基板の第2の変形例を反ステータ側から見た概略構成を示す模式図である。 実施の形態1に係る電動機の概略構成の断面を示す模式図である。 実施の形態1に係る電動機が備えた電力制御装置の基板を反ステータ側から見た概略構成を示す第2の模式図である。 実施の形態1に係る電動機の第1の変形例の概略構成の断面を示す模式図である。 実施の形態1に係る電動機の第2の変形例の概略構成の断面を示す模式図である。 実施の形態2に係る空気調和機の構成例を示す模式図である。
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本開示が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る電動機100の構成を示す概略断面図である。図2は、実施の形態1に係る電動機100が備えた電力制御装置10の回路構成例を示す回路図である。
電動機100は、例えば、インバータで駆動されるブラシレスDCモータであり、後述する回転軸1に接続された負荷へ動力を出力するものである。図1に示すように、電動機100は、モータ本体100aと、電動機100の上位システムからの速度指令信号に応じて、モータ本体100aの駆動用の電力を生成する電力制御装置10と、を有している。ここで、電動機100の上位システムとは、電動機100が内蔵されている機器の制御基板のことである。例えば、電動機100がエアコンに内蔵された場合、エアコンのユニット側の制御基板が、電動機100の上位システムに相当する。
モータ本体100aは、回転軸1と、回転軸1が挿入される回転子2と、回転子2の外周側に円環状に設けられた固定子3と、回転軸1を回転自在に支持する出力側軸受4aおよび反出力側軸受4bと、を有している。出力側軸受4aは、回転軸1の一端に設けられており、回転軸1の一端において回転軸1を回転自在に支持するものである。反出力側軸受4bは、回転軸1の他端に設けられており、回転軸1の他端において回転軸1を回転自在に支持するものである。
電力制御装置10は、固定子3の出力側に配置された基板5を有している。基板5は、パワー半導体モジュール11、マイコン12(後述する図2参照)、および、回転子2の位置を検知するホールICなどの磁気センサ19を含む回路を備えている。基板5は、固定子3と出力側軸受4aとの間において、回転軸1の軸線方向に対して垂直に配置され、後述するインシュレータ3bに固定されている。また、固定子3と基板5とは、ハウジングを構成するモールド樹脂14により一体形成されており、モールド樹脂14を外郭とするモールド固定子30が形成されている。ここで、モールド樹脂14は、例えばエポキシなどの熱硬化性樹脂が1~2割に対し、シリカフィラーが8~9割の割合で混ぜられて構成されている。
モールド固定子30は、固定子3と基板5とを一体成型すると共に、内部に回転子2を収容可能に形成された凹部(図示せず)が設けられている。また、モールド固定子30の凹部の開口部を塞ぐようにして、導電性ブラケット31がモールド固定子30の内周部に嵌め込まれると共に、反出力側軸受4bの外輪が内側に嵌め込まれる。基板5には、回転軸1および出力側軸受4aを貫通させる貫通穴5aが形成されている。すなわち、基板5は、環状に形成され、回転子2および固定子3に対向して配置されている。また、基板5のパワー半導体モジュール11と後述する巻線3cとが、巻線端子を介して接続される。
回転子2は、例えば樹脂製であり、回転軸1の外周側に設けられたロータ本体2aと、モールド固定子30の内側に配置され、後述する固定子鉄心3aと対向して配置された永久磁石で構成される回転子マグネット2bと、回転子マグネット2bの基板5側の端部に磁気センサ19と対向して配置されるセンサマグネット2cとにより構成されている。ロータ本体2aは、回転軸1と回転子マグネット2bとを絶縁すると共に、回転軸1と固定子鉄心3aとを絶縁するものである。回転子マグネット2bは、フェライト磁石または希土類磁石を熱可塑性の樹脂材料と混合して構成されるボンド磁石を射出成形することによって作製される。なお、射出成形用の金型には磁石が組み込まれており、配向をかけながら射出成形が行われる。センサマグネット2cは、基板5の磁気センサ19の近傍に配置されるように、回転軸1を円中心とした回転子2の所定の位置に配置されている。
なお、固定子3において、センサマグネット2cの外径は回転子マグネット2bの外径より小さくなっており、基板5に実装される磁気センサ19に磁束が流入しやすくなっている。磁気センサ19は固定子3の巻線3cから発生する磁束の影響を極力小さくするため、巻線3cから遠い位置、つまり、回転軸1に近い位置に配置される。なお、図1では回転子マグネット2bとセンサマグネット2cとが一つのマグネットで構成されているが、別々のマグネットで構成されていてもよい。
固定子3は、固定子鉄心3aと、インシュレータ3bと、巻線3cとにより構成されている。固定子鉄心3aは、複数の電磁鋼板が積層されて形成されている。インシュレータ3bは、固定子鉄心3aと巻線3cとを絶縁するためのものであり、固定子鉄心3aと一体成型されている。巻線3cは、インシュレータ3bと一体成型された固定子鉄心3aの各スロットに巻きつけられている。
基板5には、上位システムと接続するリード線6を有するリード口出し部17が配置されている。また、基板5には、オペアンプ、コンパレータ、レギュレータ、ダイオード、抵抗、コンデンサ、ヒューズなどの受動部品が配置されている。
図2に示すように、パワー半導体モジュール11は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのスイッチング素子からなる6つのパワートランジスタ11x(11x1~11x6)を備えた駆動回路110を有している。駆動回路110は、外部入力された電圧を、各パワートランジスタ11xの動作により三相交流電圧に変換してモータ本体100aに供給するインバータ回路である。また、パワー半導体モジュール11は、ゲートドライブ回路11yおよび保護回路11zなどの回路を含んで構成されている。
なお、パワー半導体モジュール11は、IPM(インテリジェント・パワー・モジュール)とも称する。また、パワートランジスタ11xが6つ個別に構成される場合があるが、このときゲートドライブ回路11yは1つのICで構成される場合と三相別々の3つのICで構成される場合とがある。
また、ゲートドライブ回路11yとマイコン12とが1つのICで構成される場合もある。パワートランジスタ11xは、スーパージャンクションMOSFET、プレーナMOSFET、および、IGBTなどで構成される。マイコン12は、電動機100へ供給する電力を制御するものである。マイコン12としては、例えば不揮発性メモリであるフラッシュメモリ(Flash memory)を内蔵したものを採用することができる。
ブラシレスDCモータからなる電動機100は、回転子マグネット2bの磁極位置に応じて、パワー半導体モジュール11内の6つのパワートランジスタ11xを適切なタイミングでスイッチングすることにより回転動力を得る。6つのパワートランジスタ11xのON/OFF動作のためのスイッチング信号は、マイコン12が生成して出力する。
ここで、電動機100の動作原理を以下に示す。
まず始めに、磁気センサ19が、回転子マグネット2bの磁極位置を示す磁極位置検出信号をマイコン12へ出力し、磁極位置検出信号がマイコン12に入力される。次に、マイコン12は、磁気センサ19から入力された磁極位置検出信号をもとに、回転子2の磁極位置を推測する。次に、マイコン12は、推測した回転子2の磁極位置、および上位システムから出力される速度指令信号に応じたスイッチング信号を生成して、パワー半導体モジュール11に出力する。
マイコン12は、過電流検出用抵抗11Rの両端電圧を監視し、過電流検出用抵抗11Rの両端電圧が設定電圧以上となったときに、パワートランジスタ11xを強制的にOFFすることにより、過電流保護を実現する。また、マイコン12は、感温素子(図示せず)からの過電流検出信号を受けて、パワートランジスタ11xを強制的にOFFすることにより、過熱保護を実現する。
上記のとおり、電力制御装置10は、電力制御用として、専用ICではなくマイコン12を用いているため、細かな制御パラメータの調整、および複雑な制御アルゴリズムにより、高精度なモータ制御が可能となる。
また、電力制御装置10が、フラッシュメモリ内蔵のマイコン12を有し、かつ電動機100の完成後にフラッシュメモリ内のデータを書き換えるフラッシュ書き換え機能を有している場合、電動機100の完成後に種々のズレ量を補正することができる。この場合、マイコン12には、フラッシュメモリの書き換え用の信号の通信に用いる専用リード線が設けられ、例えばI2C通信により、専用リード線を介してフラッシュメモリ内のデータが書き換えられる。
電動機100の完成後に補正可能なズレ量としては、磁極位置と磁極位置検出信号との位相ズレの量、および過電流リミット値などの設計値からのズレ量などがある。すなわち、フラッシュ書き換え機能をもつ電力制御装置10は、上記のような種々のズレ量を測定し、ズレ量を補正するパラメータをフラッシュメモリに書き込んだ上でモータ制御を行うことができる。そのため、電力制御装置10によれば、磁極位置と磁極位置検出信号との位相ズレ、および過電流リミット値などのばらつきを抑制することができる。
磁気センサ19には、出力信号がデジタルのもの(以下、ホールICと称する)とアナログのもの(以下、ホール素子と称する)との2つの方式がある。さらに、ホールICには、センサ部と増幅部とが別々の半導体チップで構成され、センサ部がシリコン以外の半導体で構成され、増幅部がシリコンで構成されるもの(以下、非シリコン型ホールICと称する)と、センサ部と増幅部とが1つのシリコン半導体チップで構成されるものとの2つの方式がある。
非シリコン型ホールICは、2つのチップが内蔵されるため、センサ中心位置がICボディの中心と異なった位置に配置される。非シリコン型ホールICのセンサ部は、アンチモン化インジウム(InSb)などの半導体が用いられる。これらの非シリコン半導体は、シリコン半導体と比べ、感度向上、応力歪みによるオフセットが小さいなどの長所がある。
マイコン12あるいはゲートドライブ回路11yには、過電流検出部(図示せず)が内蔵されている。過電流検出部は、過電流検出抵抗の電圧を監視し、一定以上の電圧となったらパワートランジスタ11xをOFFすることにより過電流保護を実現する。
ブラシレスDCモータは、回転子マグネット2bの磁極位置に応じて、パワー半導体モジュール11内の6つ(3相の場合)のパワートランジスタ11xを適切なタイミングでスイッチングすることにより回転動力を得る。このスイッチング信号はマイコン12が生成する。
この動作原理を以下に示す。
磁気センサ19により回転子2の磁極位置を推測する。そして、回転子2の磁極位置、および、システム(例えば、ユニット側の基板)から出力される速度指令信号に応じてパワートランジスタ11xをスイッチングする。
過電流検出部は、過電流検出抵抗の両端電圧が一定電圧以上になったとき、パワートランジスタ11xを強制的にOFFすることにより過電流保護を実現する。また、感温素子からの信号を受け、パワートランジスタ11xを強制的にOFFすることにより過熱保護を実現する。
なお、実施の形態1では、上記の通り回転子マグネット2bの磁極位置を磁気センサ19にて検出しているが、それに限定されず、センサレス制御にて回転子マグネット2bの磁極位置を検出してもよい。センサレス制御では、巻線3cに流れる電流、あるいは、巻線3cに印加および発生する電圧より、回転子マグネット2bの磁極位置を推測する。
このセンサレス制御では、電流検出のため、シャント抵抗、および、電流センサの信号をオペアンプなどで増幅する場合がある。また、この電流信号から過電流保護のためのマイコン12への割り込み信号を生成するためコンパレータを用いる場合がある。パワートランジスタ11xのゲートを駆動する電圧(例えば、15V)とマイコン電源電圧(例えば、5V)とが異なる場合があるので、その場合、外部から供給される1つの電源からもう1つの電源を生成するため、レギュレータを用いる。例えば、外部から15V電源が供給され、レギュレータで5V電源を生成する。このレギュレータはゲートドライブ回路11y、または、パワー半導体モジュール11に内蔵される場合もある。
図3は、実施の形態1に係る電動機100が備えた電力制御装置10の基板5を反ステータ側から見た概略構成を示す模式図である。図4は、従来の電動機が備えた電力制御装置の基板50を反ステータ側から見た概略構成を示す第1の模式図である。
図3に示すように、基板5の固定子3側(以下、ステータ側と称する)とは反対側(以下、反ステータ側と称する)の面には、パワー半導体モジュール11とマイコン12とが実装されており、パワー半導体モジュール11とマイコン12との間の基板5上には、モールド樹脂14よりも熱伝導率が低い第一部品13が配置されている。第一部品13は、例えば、オペアンプ、コンパレータなどの消費電力の少ないIC、内部が空洞のヒューズなどであり、熱伝導率が1W/mk以下の部品である。ここで、上記ICの熱伝導率が低いのは、半導体封止材として用いられるエポキシ樹脂の熱伝導率が低いためである。なお、第一部品13は、複数の部品で構成されてもよい。また、パワー半導体モジュール11とマイコン12との間とは、パワー半導体モジュール11よりもマイコン12側、かつ、マイコン12よりもパワー半導体モジュール11側のことである。このように、パワー半導体モジュール11とマイコン12との間の基板5上にモールド樹脂14よりも熱伝導率が低い第一部品13を配置する。そうすることで、図4に示す、従来のパワー半導体モジュール11とマイコン12との間の基板5上に第一部品13を配置しない場合と比べて、パワー半導体モジュール11からマイコン12へ熱が伝わる経路16の断面積、つまり熱が伝わる経路16を構成するモールド樹脂14の断面積が小さくなり、かつ、パワー半導体モジュール11からマイコン12へ熱が伝わる経路16が長くなる。そのため、パワー半導体モジュール11からマイコン12への熱が伝わりにくくなるので、実施の形態1では、従来よりもマイコン12の温度上昇を抑制することができる。
また、マイコン12を基板5の反ステータ側の面に配置することで、巻線3cからの熱が伝わりにくくなり、さらにマイコン12の温度上昇を抑制することができる。
図5は、実施の形態1に係る電動機100が備えた電力制御装置10の基板5の第1の変形例を反ステータ側から見た概略構成を示す模式図である。
ここで、マイコン12は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、ASSP(Application Specific Standard Product)などの専用ICと異なり、回路規模が大きく、かつ、クロック周波数が高く高速動作するため、保証温度を上げるのが困難であり、多くのコストがかかる。そのため、専用ICに比べマイコン12は最大動作保証温度が低い。例えば、専用ICの最大動作保証温度は115℃であり、マイコン12の最大動作保証温度は85℃である。これは、特殊なプロセスが必要となるFlashメモリを内蔵している場合、さらに顕著となる。基板5をモールド樹脂14にて一体成型する構成の場合、マイコン12にパワー半導体モジュール11および巻線3cの熱が伝わりやすくなり、マイコン12の温度上昇が顕著となる。
そこで、図5に示すように、基板5の反ステータ側の面において、第一部品13とパワー半導体モジュール11との間、かつ、基板5の外周寄りにモールド樹脂14よりも熱伝導率が高い第二部品15を配置する。ここで、基板5の外周寄りとは、基板5の内周よりも外周に近い位置のことである。また、第一部品13とパワー半導体モジュール11との間とは、第一部品13よりもパワー半導体モジュール11側、かつ、パワー半導体モジュール11よりも第一部品13側のことである。第二部品15は、例えば、レギュレータ、パワー半導体モジュール11など消費電力の大きいIC、抵抗、コンデンサなどであり、熱伝導率が3W/mk以上の部品である。ここで、上記ICの熱伝導率が高いのは、半導体封止材として用いられるエポキシ樹脂に熱伝導率が高い物質を混合しているためである。なお、第二部品15は、複数の部品で構成されてもよい。このように、基板5の反ステータ側の面において、第一部品13とパワー半導体モジュール11との間、かつ、基板5の外周寄りに第二部品15を配置する。そうすることで、モールド樹脂14よりも熱伝導率が高い第二部品15を介してパワー半導体モジュール11からの熱が基板5の外周側からモータ外部に逃げるため、マイコン12に伝わる熱が少なくなり、マイコン12の温度上昇を抑制することができる。
図6は、実施の形態1に係る電動機100が備えた電力制御装置10の基板5の第2の変形例を反ステータ側から見た概略構成を示す模式図である。
また、図6に示すように、基板5の反ステータ側の面において、第一部品13とパワー半導体モジュール11との間、かつ、基板5の内周寄りに第二部品15を配置する。ここで、基板5の内周寄りとは、基板5の外周よりも内周に近い位置のことである。そうすることで、モールド樹脂14よりも熱伝導率が高い第二部品15を介してパワー半導体モジュール11からの熱が基板5の内周側からモータ外部に逃げるため、マイコン12に伝わる熱が少なくなり、マイコン12の温度上昇を抑制することができる。つまり、上記と同様の効果を得ることができる。なお、第二部品15は、複数の部品で構成されてもよい。
図7は、実施の形態1に係る電動機100の概略構成の断面を示す模式図である。
図7に示すように、基板5に対向し、かつ、反ステータ側となる位置にヒートシンク18を配置し、パワー半導体モジュール11と第一部品13との間の基板5上、かつ、基板5の反ステータ側の面に第二部品15を配置する。そうすることで、モールド樹脂14よりも熱伝導率の低い第一部品13からヒートシンク18への経路で熱が逃げやすくなり、マイコン12により熱が伝わりにくくなる。この場合、モールド樹脂14よりも熱伝導率の高い第二部品15は、基板5の外周寄りあるいは内周寄りに配置されている必要はない。
図8は、実施の形態1に係る電動機100が備えた電力制御装置10の基板5の第3の変形例を反ステータ側から見た概略構成を示す第2の模式図である。
基板5の反ステータ側の面において、パワー半導体モジュール11とマイコン12との間は熱が伝わる経路16であり、図8に示すように、基板5に貫通穴5aが形成されてドーナツ形状を有する場合は、第一部品13の配置は、必ずしもパワー半導体モジュール11とマイコン12とを結んだ直線上でなくてもよい。同様に、第二部品15の配置は、必ずしもパワー半導体モジュール11とマイコン12とを結んだ直線上でなくてもよい。また、熱が伝わる経路16は複数形成されていてもよいし単数のみ形成されていてもよい。
図9は、実施の形態1に係る電動機100の第1の変形例の概略構成の断面を示す模式図である。図10は、実施の形態1に係る電動機100の第2の変形例の概略構成の断面を示す模式図である。
図9および図10に示すように、基板5の配置面に関して、パワー半導体モジュール11、マイコン12、第一部品13、および、第二部品15が、必ずしも同じ面(ステータ側または反ステータ側)に配置されていなくてもよい。なお、パワー半導体モジュール11とマイコン12とで基板5の異なる面にそれぞれ配置されている場合、パワー半導体モジュール11とマイコン12との間は、パワー半導体モジュール11およびマイコン12のうち一方を基板5の面対称の位置とし、その面対称の位置ともう一方との間を含む。例えば、パワー半導体モジュール11が基板5のステータ側の面、マイコン12が基板5の反ステータ側の面に配置されている場合、パワー半導体モジュール11とマイコン12との間は、基板5の反ステータ側の面において、パワー半導体モジュール11の基板5の面対称となる位置とマイコン12との間、および、基板5のステータ側の面において、パワー半導体モジュール11とマイコン12の基板5の面対称となる位置との間のことである。また、熱伝導率が低い第一部品13とパワー半導体モジュール11との間に関しても同様である。
以上、実施の形態1に係る電力制御装置10は、回転軸1が挿入される回転子2と、回転子2の外周側に設けられた固定子3と、を備えた電動機100を駆動する電力制御装置10である。また、電力制御装置10は、回転軸1を貫通させる貫通穴5aが形成され、回転子2および固定子3に対向して配置された環状の基板5と、基板5に実装され、駆動回路110を含むパワー半導体モジュール11と、基板5に実装され、電動機100へ供給する電力を制御するマイコン12と、を有している。そして、基板5は、固定子3とモールド樹脂14により一体形成されており、パワー半導体モジュール11とマイコン12との間の基板5上に、モールド樹脂14よりも熱伝導率が低い第一部品13が配置されている。なお、実施の形態1では基板5を環状としたが、それに限定されず、環状でなくてもよい。
実施の形態1に係る電力制御装置10によれば、パワー半導体モジュール11とマイコン12との間の基板5上に、モールド樹脂14よりも熱伝導率が低い第一部品13が配置されている。そのため、パワー半導体モジュール11とマイコン12との間の熱伝導率が低くなり、パワー半導体モジュール11からの熱がマイコン12に伝わりにくくなるため、マイコン12の温度上昇を抑制することができる。その結果、この電力制御装置10を備えた電動機100をより高出力化および小型化することが可能となる。
また、実施の形態1に係る電力制御装置10は、パワー半導体モジュール11と第一部品13との間の基板5上、かつ、基板5の外周寄りあるいは内周寄りにモールド樹脂14よりも熱伝導率が高い第二部品15が配置されている。
実施の形態1に係る電力制御装置10によれば、熱伝導率が高い第二部品15を介してパワー半導体モジュール11からの熱を基板5の内周側あるいは外周側からモータ外部に逃げやすくすることができる。そのため、マイコン12に伝わる熱が少なくなり、マイコン12の温度上昇を抑制することができる。その結果、この電力制御装置10を備えた電動機100をより高出力化および小型化することが可能となる。
また、実施の形態1に係る電力制御装置10は、パワー半導体モジュール11と第一部品13との間の基板5上、かつ、基板5の反ステータ側の面にモールド樹脂14よりも熱伝導率が高い第二部品15が配置されており、基板5に対向し、かつ、反ステータ側となる位置にヒートシンク18が配置されている。
実施の形態1に係る電力制御装置10によれば、熱伝導率の低い第一部品13からヒートシンク18への経路で熱が逃げやすくなり、マイコン12により熱が伝わりにくくなるため、さらにマイコン12の温度上昇を抑制することができる。
また、実施の形態1に係る電力制御装置10において、マイコン12は、基板5の反ステータ側の面に配置されている。
実施の形態1に係る電力制御装置10によれば、マイコン12を基板5の反ステータ側の面に配置することで、巻線3cからの熱が伝わりにくくなり、さらにマイコン12の温度上昇を抑制することができる。
実施の形態2.
以下、実施の形態2について説明するが、実施の形態1と重複するものについては説明を省略し、実施の形態1と同じ部分または相当する部分には同じ符号を付す。
図11は、実施の形態2に係る空気調和機200の構成例を示す模式図である。
図11に示すように、空気調和機200は、室内機210と、室外機220と、を備えている。室内機210と室外機220とは、冷媒配管230を介して接続されている。室内機210は、室内機用送風機(図示せず)を備え、室外機220は、室外機用送風機223を備えている。
室外機用送風機223および室内機用送風機は、それぞれ駆動源として実施の形態1で説明した電動機100を内蔵している。なお、実施の形態2では、室内機210および室外機220がどちらも送風機を備えているが、それに限定されず、室内機210および室外機220のうち少なくとも一方が送風機を備えていればよい。
電動機100は、空気調和機200の他にも、例えば換気扇、家電機器、工作機などに搭載して利用することができる。モータの最大出力が大きくなると(例えば100W以上)パワー半導体モジュール11の発熱が大きくなり、マイコン12にも多くの熱が伝わりやすくなるので、実施の形態1で説明したマイコン12の温度上昇を抑制するという効果が大きくなる。
以上、実施の形態2に係る電動機100は、最大出力が100W以上である。
実施の形態2に係る空気調和機200によれば、モータの最大出力が大きく、パワー半導体モジュール11の発熱が大きいことから、実施の形態1で説明したマイコン12の温度上昇を抑制するという効果が大きくなる。
また、実施の形態2に係る空気調和機200は、室内機210と室外機220とを備え、室内機210および室外機220のうち少なくとも一方が送風機を有し、送風機の動力源として電動機100を備えたものである。
実施の形態2に係る空気調和機200によれば、実施の形態1で説明した電力制御装置10と同様の効果を得ることができる。
1 回転軸、2 回転子、2a ロータ本体、2b 回転子マグネット、2c センサマグネット、3 固定子、3a 固定子鉄心、3b インシュレータ、3c 巻線、4a 出力側軸受、4b 反出力側軸受、5 基板、5a 貫通穴、6 リード線、10 電力制御装置、11 パワー半導体モジュール、11R 過電流検出用抵抗、11x パワートランジスタ、11x1~11x6 パワートランジスタ、11y ゲートドライブ回路、11z 保護回路、12 マイコン、13 第一部品、14 モールド樹脂、15 第二部品、16 熱が伝わる経路、17 リード口出し部、18 ヒートシンク、19 磁気センサ、30 モールド固定子、31 導電性ブラケット、50 基板、100 電動機、100a モータ本体、110 駆動回路、200 空気調和機、210 室内機、220 室外機、223 室外機用送風機、230 冷媒配管。

Claims (7)

  1. 回転軸が挿入される回転子と、前記回転子の外周側に設けられた固定子と、を備えた電動機を駆動する電力制御装置であって、
    前記回転軸を貫通させる貫通穴が形成され、前記回転子および前記固定子に対向して配置された基板と、
    前記基板に実装され、駆動回路を含むパワー半導体モジュールと、
    前記基板に実装され、前記電動機へ供給する電力を制御するマイコンと、を有し、
    前記基板は、前記固定子とモールド樹脂により一体形成されており、
    前記パワー半導体モジュールと前記マイコンとの間の前記基板上に、前記モールド樹脂よりも熱伝導率が低い第一部品が配置されている
    電力制御装置。
  2. 前記パワー半導体モジュールと前記第一部品との間の前記基板上、かつ、前記基板の外周寄りあるいは内周寄りに前記モールド樹脂よりも熱伝導率が高い第二部品が配置されている
    請求項1に記載の電力制御装置。
  3. 前記パワー半導体モジュールと前記第一部品との間の前記基板上、かつ、前記基板の反ステータ側の面に前記モールド樹脂よりも熱伝導率が高い第二部品が配置されており、
    前記基板に対向し、かつ、反ステータ側となる位置にヒートシンクが配置されている
    請求項1に記載の電力制御装置。
  4. 前記マイコンは、前記基板の反ステータ側の面に配置されている
    請求項1~3のいずれか一項に記載の電力制御装置。
  5. 回転軸が挿入される前記回転子と、
    前記回転子の外周側に設けられた前記固定子と、
    請求項1~4のいずれか一項に記載の電力制御装置と、を備えた
    電動機。
  6. 最大出力が100W以上である
    請求項5に記載の電動機。
  7. 室内機と室外機とを備え、
    前記室内機および前記室外機のうち少なくとも一方が送風機を有し、
    前記送風機の動力源として請求項5または6に記載の電動機を備えた
    空気調和機。
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