JP7331457B2 - 撥液性樹脂組成物、並びに、それを用いた撥液性フィルム、撥液性積層体および包装材 - Google Patents
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Description
フィルム、撥液性積層体、包装材を提供することを課題とする。
(A)ポリエチレン樹脂、(B)シリル化ポリオレフィン、および(C)ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体を含むことを特徴とする撥液層形成用樹脂組成物を提供する。
る。また、撥液層の薄膜化が可能となり、コストダウンも可能である。
本実施形態に係る撥液性積層体は、基材と、該基材上に設けられた撥液性フィルムと、を備え、撥液層が少なくとも一方の最表面に配置された構造を有するものである。図1及び図2は、本実施形態に係る撥液性積層体の概略断面図である。本実施形態に係る撥液性積層体は、図1に示す撥液性積層体1のように、撥液層11からなる撥液性フィルム10と、基材14とが、接着剤13を介して積層された構造を有するものであってもよい。また、本実施形態に係る撥液性積層体は、図2に示す撥液性積層体2のように、撥液層11及び第2の樹脂層12からなる撥液性フィルム10と、基材14とが、接着剤13を介して積層された構造を有するものであってもよい。撥液性フィルム10が第2の樹脂層12
を備える場合、撥液性フィルム10は、撥液層11が撥液性積層体2の最表面となるように、第2の樹脂層12が基材14と対向するように配置される。
撥液層11は撥液性を有する層である。撥液層11は、加熱によりヒートシール性を発現することができる層であってもよい。ここで、撥液性とは、撥水性及び撥油性の両特性を包含する概念であり、具体的には、液体状、半固体状、もしくはゲル状の水性又は油性材料に対し撥液する特性である。水性又は油性材料としては、水、油、ヨーグルト、ゼリー、プリン、シロップ、お粥、スープ、カレー、パスタソース等の食品、ハンドソープ、シャンプー等の洗剤、医薬品、化粧品、化学品などが挙げられる。また、ヒートシール性とは、一例として、100~200℃、0.1~0.3MPa、1~3秒間の条件にてヒートシールが可能である性質をいう。ヒートシールの条件は、撥液性積層体のヒートシールに要する条件に応じて容易に変更することが可能である。
本発明の一実施形態に係る撥液層形成用樹脂組成物は、(A)ポリエチレン樹脂(以下、「(A)成分」ともいう)、(B)シリル化ポリオレフィン(以下、「(B)成分」ともいう)、並びに、(C)ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体(以下、「(C)成分」ともいう)を含むものである。
ポリエチレン樹脂としては特に制限されず、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合体等が挙げられる。αオレフィン成分としては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテンなどを例示することができる。
シリル化ポリオレフィンは、撥液層11に撥液性を付与する成分である。シリル化ポリオレフィンは、ポリオレフィンユニットにシリコーン部位を持たせたものである。
ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体は、(A)ポリエチレン樹脂と相溶する部位及び上記(B)シリル化ポリオレフィンと相溶する部位を有する成分である。ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体を用いることにより、ポリオレフィン部位が(A)ポリエチレン樹脂と非相溶である(B)シリル化ポリオレフィンと(A)ポリエチレン樹脂との相溶性を向上させることができる。
(C)ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体のポリエチレン部位とが相溶し、(B)シリル化ポリオレフィンのポリオレフィン部位がポリプロピレンであれば、当該部位と(C)ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体のプロピレンもしくはエチレン・ブチレン共重合体部位とが相溶する。
第2の樹脂層12は、ヒートシール性、耐熱性及び耐衝撃性、酸素・水蒸気バリア性等を向上させるために撥液層11と基材14との間に設けられる層である。第2の樹脂層12は、ヒートシール性を有する熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
上述した撥液層11単層、又は、撥液層11及び第2の樹脂層12の2層により、撥液性を有する撥液性フィルム10が形成される。撥液性フィルム10は、基材14の表面の一部又は全部を覆うように形成されている。なお、撥液性フィルム10は、用途に応じて、基材14と積層せずに撥液性フィルム10単独で使用してもよい。
基材14は、支持体となる物であれば特に制限はなく、例えば紙、樹脂フィルム、金属箔等が挙げられる。紙としては、上質紙、特殊上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、模造紙、クラフト紙等が挙げられる。樹脂フィルムとしては、ポリオレフィン(例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等)、酸変性ポリオレフィン、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等)、ポリアミド(PA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、セルロースアセテート、セロファン樹脂の少なくとも一種を含むフィルムが挙げられる。このフィルムは延伸フィルムでもよいし、非延伸フィルムでもよい。金属箔としては、例えばアルミ箔、ニッケル箔等が挙げられる。基材14は、材質の異なる複数の基材を積層したものであってもよい。
接着剤によるラミネート方法としては、ドライラミネート、ウェットラミネート、ノンソルベントラミネートなどの各種公知のラミネート方法を用いることができる。これらのラミネート方法に用いられる接着剤13としては以下のものが挙げられる。
接着剤13は、撥液性フィルム10と基材14とを接着するものである。接着剤13としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、カーボネートポリオールなどの主剤に対し、2官能以上のイソシアネート化合物を作用させたポリウレタン樹脂等が挙げられる。上述した各種ポリオールは、一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
熱処理によるラミネート方法としては、大きく以下の方法が挙げられる。
(1)あらかじめ製膜した撥液性フィルム10を接着性樹脂と共に基材14上に押出ラミネートする方法。
(2)撥液性フィルム10を構成する樹脂層と接着性樹脂とを基材14上に押出ラミネートする方法。
(3)上記(1)もしくは(2)の方法で得られたラミネート基材を、更に熱ロールで加熱・加圧することにより接着させる方法。
(4)上記(1)もしくは(2)の方法で得られたラミネート基材を、更に高温雰囲気下で保管する、あるいは高温雰囲気下の乾燥・焼付け炉を通過させる方法。
本実施形態に係る包装材は、上述した撥液性積層体を用いて形成されたものである。包装材として具体的には、ヨーグルト、ゼリー、シロップ等の容器の蓋材、お粥、スープ、カレー、パスタソース等のレトルト食品包装材(レトルトパウチ)などが挙げられる。包装材の内面(内容物側)に撥液層が配置されるように包装材を形成することで、液体や半
固体、ゲル状物質等の内容物の包装材内面への付着や残存を抑制することができる。また、レトルト食品包装材のような袋状の包装材においては、包装材の最内層同士がブロッキングすることで内容物が排出され難くなる場合があるが、本実施形態に係る包装材によれば、最内層である撥液層同士がブロッキングし難く、内容物を効率的に排出することができる。
<撥液層形成用樹脂組成物の作製>
(A)成分である直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、商品名「エボリュー」、株式会社プライムポリマー製)と、(B)成分であるシリル化ポリエチレン(PE-Siのグラフト共重合体、東レ・ダウコーニング株式会社製、または、PE-Si-PEのトリブロック共重合体、商品名「イクスフォーラ」、三井化学ファイン株式会社製)と、(C)成分である、PP-PEのブロック共重合体またはエチレンとエチレン・ブチレン共重合体とのブロック共重合体、とを混合し、(B)成分と(C)成分の種類及び含有量を表1に示すように変更し、残部が(A)成分となるように調整して撥液層形成用樹脂組成物を調製した。
3層共押出し機を用いて、撥液層形成用樹脂組成物を押出し製膜し、厚さ100μmの撥液層からなる撥液性フィルムを得た。得られた撥液性フィルムと、基材である厚さ38μmのPETフィルム(商品名「エンブレット」、ユニチカ株式会社製)とを、ポリウレタン系接着剤(三井化学株式会社製)を用いてドライラミネートし、50℃で5日間エージングして、撥液性積層体を得た。
<撥液層形成用樹脂組成物の作製>
実施例1と同様にして、(B)成分と(C)成分の種類及び含有量を表2に示すように変更し、残部が(A)成分となるように調整して撥液層形成用樹脂組成物を作製した。
(A)成分である直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE、商品名「エボリュー」、株式会社プライムポリマー製)を、第2の樹脂層形成用樹脂組成物とした。ただし、表2に示すように融点が第1の樹脂層と同等のものと、第1の樹脂層よりも高い融点のもの、の2点で調整した。3層共押出し機を用いて、撥液層形成用樹脂組成物と第2の樹脂層形成用樹脂組成物とを共押出し製膜し、厚さ15μmの撥液層と厚さ85μmの第2の樹脂層からなる撥液性フィルムを得た。得られた撥液性フィルムの第2の樹脂層と、基材である厚さ38μmのPETフィルム(商品名「エンブレット」、ユニチカ株式会社製)とを、ポリウレタン系接着剤(三井化学株式会社製)を用いてドライラミネートし、撥液性積層体を得た。
撥液層形成用樹脂組成物を(A)成分のみとした以外は実施例1と同様にして、撥液層形成用樹脂組成物、撥液性フィルム及び撥液性積層体を作製した。
撥液層形成用樹脂組成物に(B)成分を添加しない以外は実施例1と同様にして、撥液層形成用樹脂組成物、撥液性フィルム及び撥液性積層体を作製した。
撥液層形成用樹脂組成物に(B)成分を添加しない以外は実施例15と同様にして、撥液層形成用樹脂組成物、撥液性フィルム及び撥液性積層体を作製した。
撥液層形成用樹脂組成物を、(B)成分をPP-Siグラフト共重合体とし、(C)成分を添加しない以外は実施例2と同様にして、撥液層形成用樹脂組成物、撥液性フィルム及び撥液性積層体を作製した。
撥液層形成用樹脂組成物に(C)成分を添加しない以外は実施例2と同様にして、撥液層形成用樹脂組成物、撥液性フィルム及び撥液性積層体を作製した。
(C)成分を、homo-PPとした以外は実施例12と同様にして、撥液層形成用樹脂組成物、撥液性フィルム及び撥液性積層体を作製した。
比較例1と同様の撥液層形成用樹脂組成物、撥液性フィルム及び撥液性積層体を作製した。
比較例2と同様の撥液層形成用樹脂組成物、撥液性フィルム及び撥液性積層体を作製した。
比較例4と同様の撥液層形成用樹脂組成物、撥液性フィルム及び撥液性積層体を作製した。
A1:直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、商品名「エボリュー」、融点116℃、株式会社プライムポリマー製
A2:直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、商品名「ノバテックLL」、融点122℃、日本ポリエチレン株式会社製
B1:PE-Siのグラフト共重合体、東レ・ダウコーニング株式会社製
B2:PE-Si-PEのトリブロック共重合体、商品名「イクスフォーラ」、三井化学ファイン株式会社製
B3:PP-Siのグラフト共重合体、東レ・ダウコーニング株式会社製
C1:プロピレンとエチレンとのブロック共重合体
C2:エチレンとエチレン・ブチレン共重合体とのブロック共重合体
<実施例1~19、23~26及び比較例1~6:ボイル処理後の撥液性>
実施例1~19、23~26及び比較例1~6について、図3に示した方法により、ボイル処理後の撥液性の評価を行った。まず、実施例及び比較例で得られた撥液性積層体を縦150mm×横138mmにカットしたサンプル200を2枚用意した。2枚のサンプル200を、それぞれの撥液層が内側となるように重ね、縦方向端部の1辺と横方向両端部の2辺とを、ヒートシーラーで190℃、0.03MPa、2secの条件で10mm幅にわたって熱封緘してシール部51を形成し、縦方向端部の一辺が開口しているパウチ50を作製した(図3の(a)を参照)。
次に、パウチの開口部から100gの水中油分散型液体54(商品名「ボンカレー」、大塚食品社製)を注液した(図3の(b)を参照)。
その後、開口部をヒートシーラーで190℃、0.03MPa、2secの条件で10mm幅にわたって熱封緘してシール部51を形成してパウチ50を密閉し、鍋52で湯煎によるボイル処理を行った(図3の(c)を参照)。
秤量した排出量から、下記式により残液量(%)を求めた。
残液量(%)={(100-排出量)/100}×100
測定は3回行い、3回の平均残液量から下記評価基準により撥液性を評価した。平均残液量(%)及び撥液性の評価結果を表1及び表2に示す。
◎:平均残液量が3.0%未満
○:平均残液量が3.0%以上3.5%未満
△:平均残液量が3.5%以上4.5%未満
×:平均残液量が4.5%以上
実施例20~22、27、28及び比較例7~9について、図4に示した方法により、熱処理なしでの撥液性の評価を行った。まず、実施例及び比較例で得られた撥液性積層体を縦150mm×横138mmにカットしたサンプル100を2枚用意した。2枚のサンプル100を、それぞれの撥液層が内側となるように重ね、縦方向端部の1辺と横方向両端部の2辺とを、ヒートシーラーで190℃、0.03MPa、2secの条件で10mm幅にわたって熱封緘してシール部61を形成し、縦方向端部の一辺が開口しているパウチ60を作製した(図4の(a)を参照)。
次に、パウチ60の開口部から100gのサラダ油62(商品名「日清サラダ油」、日清オイリオ社製)を注液した(図4の(b)を参照)。
次に、開口部と反対側のシール部を持ち、パウチ60を逆さにして30秒間保持し、容器56にサラダ油62を排出させて、秤57により排出量を秤量した(図4の(c)を参照
)。
秤量した排出量から、下記式により残液量(%)を求めた。
残液量(%)={(100-排出量)/100}×100
測定は3回行い、3回の平均残液量から下記評価基準により撥液性を評価した。平均残液量(%)及び撥液性の評価結果を表3及び表4に示す。
◎:平均残液量が1.5%未満
○:平均残液量が1.5%以上2.0%未満
△:平均残液量が2.0%以上2.5%未満
×:平均残液量が2.5%以上
上記撥液性評価において、パウチ内から液体を排出した際の液体の排出挙動を目視にて観察し、下記評価基準により外観評価を行った。結果を表1から表3に合わせて示す。
◎:綺麗に滑落する様子が見られ、撥液性積層体に付着しない。
○:滑落する様子が見られ、撥液性積層体への付着が少ない。
△:滑落する様子は見られるが、撥液性積層体に付着している。
×:滑落する様子が見られない。
下記の手順にて膨潤量を測定した。結果を表1から表3に合わせて示す。
(1)上述の残液性評価時に、内容物を充填する前の、空の状態のパウチの重量を測定する。
(2)残液性評価後のパウチを、食品用洗剤にて洗浄し、イソプロピルアルコールにてパウチの内側を拭き取り、パウチの重量を測定する。
(3)下記計算式にて膨潤量を算出。(サンプル数n=3)
膨潤量(%)=((2)のパウチ重量-(1)のパウチ重量)÷(1)のパウチ重量
10・・・撥液性フィルム
11・・・撥液層
12・・・第2の樹脂層
13・・・接着剤
14・・・基材
50、60・・・パウチ
51、61・・・シール部
52・・・鍋
54・・・水中油分散型液体
56・・・容器
57・・・秤
62・・・サラダ油
100,200・・・撥液性積層体の評価用サンプル
Claims (7)
- (A)ポリエチレン樹脂、(B)シリル化ポリオレフィン、および(C)ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体を含み、
前記(B)シリル化ポリオレフィンの含有量に対する前記(C)ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体の含有量の質量比((C)ポリエチレン/ポリプロピレン共重合体の質量/(B)シリル化ポリオレフィンの質量)が、0.1~20であることを特徴とする撥液層形成用樹脂組成物。 - 請求項1に記載の撥液層形成用樹脂組成物を用いて形成された撥液層を備える撥液性フィルム。
- 前記撥液層の一方の主面上に設けられた1層以上の樹脂層をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の撥液性フィルム。
- 前記撥液層中の前記(A)ポリエチレン樹脂の融点T1(℃)と、前記1層以上の樹脂層のうち前記撥液層と接する樹脂層に含まれる樹脂の融点T2(℃)とが、T1<T2の関係を満たしていることを特徴とする請求項3に記載の撥液性フィルム。
- 基材と、該基材上に設けられた請求項2から4のいずれかに記載の撥液性フィルムとを備え、前記撥液層が少なくとも一方の最表面に配置されていることを特徴とする撥液性積層体。
- 請求項5に記載の撥液性積層体を用いて、前記撥液層が最内層となるように形成されたことを特徴とする包装材。
- 60℃~100℃の加熱処理を施す用途に用いられるものであることを特徴とする請求項6に記載の包装材。
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