意外にも、低粘度の反応性液体を基材層に繰り返し液滴の形態で画像に合わせて施与し、引き続き拡散および固定することに基づく方法で、レリーフ構造を製造できることが判明した。
層構造物上での画像レリーフ構造の製造方法が提案される。該方法は、以下の段階を含む:
a) 基材層を含む層構造物を準備する段階、
b) 場合によりマスク層を部分的に除去し、少なくとも1つの基材層を画像に合わせて露出させる段階、
c) 前記基材層上に、少なくとも1つの第1の反応性成分を含有する少なくとも1つの液体を画像に合わせて施与する段階、ここで、画像に合わせた施与は液滴の体積2μl未満を有する複数の液滴の形態で行われ、前記液滴が画像に合わせて配置される、
d) 前記少なくとも1つの第1の反応性成分を前記基材層中へ予め定められた作用時間の間、少なくとも部分的に拡散させ、且つ/または、少なくとも1つの第2の反応性成分を、画像に合わせて配置された前記液体の液滴中へ予め定められた作用時間の間、少なくとも部分的に拡散させる段階、ここで、前記基材層が少なくとも1つの第2の反応性成分を含む、
e) 場合により、前記基材層上に残留する液体を除去する段階、
f) 生じたレリーフを熱および/または放射線の作用下で、第1の反応性成分および/または第2の反応性成分が関与する反応によって固定する段階、および
g) 場合により、レリーフを後処理する段階。
段階a)で、少なくとも1つの基材層を含む層構造物を準備する。前記層構造物は、基材層のみからなってもよいし、追加的な層を有してもよい。基材層の一方の側の上で、例えば支持体層、圧縮層、付着促進層、バリア層および保護層、およびそれらの任意の組み合わせが存在し得る。反対の側では、例えばマスク層、付着層、剥離層、中間層、バリア層、マスク層および保護層、およびそれらの任意の組み合わせが任意の順で配置され得る。
支持体層として寸法安定性の支持体材料を使用でき、それは場合によってはさらなる層を有し得る。適した寸法安定性の支持体の例は、金属、例えば鋼、アルミニウム、銅またはニッケル製またはプラスチック、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミドおよびポリカーボネート製のプレート、フィルム、並びに円錐形および円筒形の管(スリーブ)、織布および不織布、例えばガラス繊維織布、並びにガラス繊維とプラスチックとの複合材料である。寸法安定性の支持体として、特に寸法安定性の支持体フィルムまたは金属板、例えばポリエチレンフィルムまたはポリエステルフィルム、もしくは鋼板またはアルミニウム板が考えられる。これらの支持体フィルムまたは板は、一般に50μm~1100μm、有利には75μm~400μm、例えば約250μm厚である。鋼を支持体材料として使用する場合、0.05μm~0.3mmの厚さを有する鋼板が好ましい。腐食に対して保護するために、好ましくはスズめっきされた鋼板を使用する。これらの支持体フィルムまたは支持体板は、支持体フィルムの基材層に向いている側の上で、薄い付着促進層、例えば1~5μm厚の層によってコーティングされていてよい。この付着層は例えば、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂および多官能性イソシアネートの混合物からなることができる。
これらの支持体フィルムまたは支持体板は、予め既に薄い付着促進層(プライマー)を備え付けていてもよいし、後からこれを備えることもできる。支持体層と基材層との間に付着層があってよい。付着ラッカー層として例えば、ポリイソシアネート架橋されたポリエーテルラッカーまたはポリエステルラッカーに基づくポリウレタン付着ラッカー(例えば独国特許出願公開第3045516号明細書(DE3045516)による)が、0.1μm~50μm、特に2μm~30μmの層厚で利用できる。
中間層は、支持体層とは反対の接着剤層の側の上に存在でき、層厚0.1μm~50μm、特に1μm~10μmを有し、例えば、(例えば80mol%まで)部分的に鹸化されたポリビニルエステル、フェニルグリセリンエーテルモノアクリレートおよびグリオキサールの希釈された水・アルコール溶液から、塗布、乾燥および焼き付けによって得ることができる。寸法安定性の支持体と基材層との間の付着性は、剥離角度90°且つ剥離速度30mm/分の剥離試験で測定される場合に0.5N/cmを上回るべきである。
前記基材層は1層より多い層からなってもよく、その際、一般に2~20層、有利には2~5層、特に好ましくは2~3層、非常に特に好ましくは2層を含む。それらの層は同じ成分または異なる成分を、同じおよび/または異なる割合で含有できる。有利には、これらの層は同じ成分を含有する。有利には、支持体層に最も近いところにある単数または複数の基材層は、既に固定され、架橋され、および/または反応し終わっている。この固定され、架橋され、反応し終わった層の上に、少なくとも1つの基材層が配置され、それも固定され、および/または架橋され、および/または反応し終わっていてもよい。
バリアまたは保護層を使用して、基材層を環境の悪影響、例えば光、湿気、酸素またはオゾン、またはそれらの組み合わせから保護することができる。しかしながら、種々のバリア特性を1つの層に統合することも可能であり、且つこの層が支持体層であってもよい。
光に対するバリア層は、それ自体が相応の波長を吸収するプラスチック(例えばUV領域において吸収するポリエチレンナフタレート)もしくは反射するプラスチックから、または相応の波長を吸収する、または反射する材料を含有するプラスチック(例えばDuPontの欧州特許出願公開第0504824号明細書(EP0504824A1)またはBASFの欧州特許出願公開第0767406号明細書(EP0767406A1)に記載)からなることができる。
湿気に対するバリア層は、水について低い拡散係数を有するポリマーからなることができる。例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、およびそれらの任意の組み合わせである。
酸素に対するバリア層は、電磁波で後に露光する場合に大きな役割を果たすことができ、なぜなら酸素によってラジカル反応は強く影響を及ぼされ且つ減速されるからである。光重合可能ではないバリア層のための材料として、水溶性結合剤も有機溶剤中で可溶性の結合剤も提案され、つまり、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ヒドロキシアルキルセルロース、エチレン・酢酸ビニルコポリマー、両性インターポリマー、セルロースアセテートブチレート、アルキルセルロース、ブチラール、環化ゴムおよびそれらの組み合わせが提案される。好ましくは、ポリビニルアルコール、部分鹸化および高鹸化ポリビニルカルボキシレート、ポリ(エチレンオキシド・ビニルアルコール)グラフトコポリマーまたはポリ(エチレン・ビニルアルコール)コポリマーが使用される。バリア層の厚さは通常、0.25μm~76μm、好ましくは0.38μm~64μmである。
保護層は慣例的に支持体層から最も外側の層であり、主に基材層を機械的な損傷(例えば引っ掻き傷)および汚れまたは埃から保護するという課題を有し、且つ通常、段階a)の範囲でのさらなる加工段階の前に除去される。前記保護層は、大抵は薄く且つ有利には寸法安定性でもあるポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート)、ポリアミド、ポリウレタンまたはポリエチレン製のプラスチックフィルムである。下にある層を光から保護するために、保護層は光吸収性材料を含有して、層内での早すぎる望ましくない反応およびそこに存在する材料の分解を防ぐことができる。
付着改善層または中間層は、個々の層の間の付着性を高め、層構造物を安定化させるべきである。この場合、両方の層に対して相互作用を構築できる材料が選択されるべきである。これについて好ましい例は、界面活性剤、疎水領域と親水領域とを有する両親媒性分子、およびブロックコポリマー、およびブロックを含有するオリゴマーであって、両方の層と適合性があるかまたは層中のポリマーと適合するものである。
剥離層は、個々の層の間の付着を低下させ、例えば少なくとも1つの他の層の剥離を容易にするべきである。それらの層は層構造物内の非常に様々な位置に局在していてよく、1以上の層を簡単に除去するために用いられる。
マスク層が非常に特に重要となることがあり、なぜなら、前記マスク層により、基材層を液体で画像に合わせて処理し且つ/または照射できるからである。前記マスク層は、好ましくはレーザーを用いてアブレーション可能であり、且つ液体中で用いられる反応性成分もしくは用いられるモノマーを遮断すべきであり、つまり、マスクを通じたモノマーの拡散が起きるべきではない。
レーザーアブレーション可能なマスク層は、少なくとも1つのポリマー結合剤と、少なくとも1つの光吸収性成分とからなり、ここで、第2のポリマー結合剤は、同時に光吸収性成分であってもよい。マスク層のポリマー結合剤の選択は、印刷版のそれぞれの用途に依存する。本発明による方法で柔らかい弾性の非極性のフレキソ印刷版を製造しようとする場合、マスク層のための結合剤として極性の結合剤を選択して、非極性のモノマーに対する遮断作用を確実にする。
本発明による方法の際に前記支持体がアブレーションのためにドラムレーザーに取り付けられる場合、マスク層は十分にフレキシブルでなければならない。この場合、ドラム上の支持体の曲げで裂け目が見られず、且つポリマーの支持体を取り外す際にマスク層が、波、皺またはその他の表面構造を示さない場合に、そのマスク層は十分にフレキシブルであると判断される。
マスク層は良好にアブレーション可能であるべきである。アブレーション工程の際、鋭い端部の構造が生じるべきである。特に、アブレーションされた構造の周りに、溶融した端部、またはアブレーションの排気からの析出物が見られるべきではない。
マスク層のために良好に適した極性結合剤は例えば、ポリビニルアルコール、低鹸化、中鹸化または高鹸化ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、例えばポリビニルブチラール、水またはアルコール可溶性ポリアミド、アルコール可溶性ポリウレタンまたはポリエステル、ポリアクリル酸、セルロースまたはセルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースまたはニトロセルロース、エチレン・ビニルアルコールコポリマー、ポリシアノアクリレート、ポリエチレンオキシドもしくはポリエチレンオキシドコポリマーである。
マスク層のための結合剤は例えば、エチレン酢酸ビニル、柔らかい弾性のポリアミド、柔らかい弾性のポリウレタン、ニトロセルロース、ポリビニルアセタール、例えばポリ(ビニルブチラール・ビニルアルコール)コポリマー(Butvar(登録商標)、Mowital(登録商標))またはポリ(ビニルブチラール・ビニルエチラールビニルアルコール)コポリマー(Pioloform(登録商標))である。当然のことながら、他の柔らかい弾性の材料、例えば部分鹸化ポリ酢酸ビニルも結合剤として用いることができる。マスク層のための好ましい結合剤は、柔らかい弾性のポリアミドMakromelt(登録商標)6900である。IRアブレーションマスクを用いたフレキソ印刷部品の画像形成についての例は、例えば米国特許第5262275号明細書(US5262275)、国際公開第1994/00383号(W01994/00383)、欧州特許第0741330号明細書(EP0741330)または欧州特許第1069475号明細書(EP1069475)内に開示されている。
50mol%~90mol%の平均鹸化度を有するポリ酢酸ビニルが特に良好に適している。この結合剤は、厳密に言うと、酢酸ビニルおよびビニルアルコール単位のコポリマーである。これらの結合剤は、十分に極性であり、非極性のモノマーに対する遮断作用があり、且つ良好な柔軟性を有し、さらに良好にアブレーション可能である。当然、上記の結合剤の混合物も用いることができる。
レーザーアブレーション可能なマスク層は、前記の単数または複数の結合剤を、マスク層の全成分に対して35質量%~99質量%の割合で含有する。さらに、マスク層は、光吸収性成分を含有する。どのレーザーがアブレーションのために用いられるか次第で、マスク層は第2のポリマー結合剤に追加してUV吸収剤またはUV吸収色素または顔料(UVレーザー)、VIS色素またはNIR色素またはNIR顔料またはIR顔料(VISレーザー、赤外線レーザー)を含有する。好ましくは、光吸収性成分としてカーボンブラック、グラファイト、ナノカーボンブラック粒子またはカーボンナノチューブを使用する。マスク層から下にあるポリマー基材層へのマイグレーションが起こらない、光吸収性成分としてのカーボンブラックが有利である。
光吸収性成分がマスク層のポリマー結合剤と同一ではない場合は、光吸収性成分の質量割合は1質量%~65質量%であってよい。その量は、マスク層の層厚次第であり、それは0.5μm~最大10μm、好ましくは0.5μm~5μmの厚さを有する。層厚が0.5μmを下回る場合、均質で密であり且つ遮断する層を製造することが困難である。層厚が10μmを上回ると、高すぎるアブレーションエネルギーが必要とされ、且つアブレーション時間が長くなりすぎる。用いられるレーザーの波長範囲におけるマスク層の光吸収は、10%を上回るべきである。前記マスク層は任意にさらなる成分、例えば可塑剤、架橋成分、分散助剤、流動助剤、付着成分または界面活性剤物質も含有し得る。
さらに、前記マスク層は、良好な加工性、膜形成および現像のために役立つさらなる成分、例えば結合剤および添加剤を含有する。レーザーを用いたアブレーションが、画像形成のための良好な選択肢であることが判明している。この場合、マスク層はレーザー光線による高いエネルギーの投入によって除去されるが、ただしレーザー光線がマスク層に当たった場所でのみ除去される。このように、マスク内で生成されるべきレリーフ構造のネガ像が製造される。特に、マスク層のアブレーションのためのIRレーザーの使用、およびUV領域の電磁放射での露光が、強く且つ効率的であることが判明している。そのような層は例えば、国際公開第94/03839号(WO94/03839)、米国特許第5262275号明細書(US5262275)、国際公開第94/03838号(WO94/03838)および欧州特許第0767406号明細書(EP0767406)内に記載されている。マスク層は同時に、バリア層として役立つこともでき、酸素または他の障害物質の拡散を阻止または減速させる。
段階a)において準備された層構造物が保護層を含む場合、これは引き続く段階b)~g)の実施前に除去され、それは機械的な処理でも、溶剤、水または水溶液を用いた化学的な処理でも可能である。有利には、保護層は剥離される。
任意の段階b)において、マスク層が存在する場合、これは少なくとも部分的に除去され、且つ下にある基材層が画像に合わせて露出される。マスク層の画像形成は、層の除去によって行われる。有利には、高エネルギーの放射線を用いてアブレーション可能なマスク層が使用される。高エネルギーの放射線を用いたアブレーションの際、放射線がコンピュータ制御で放射線感受性層上をガイドされ、照射された領域で材料が除去される。その際、入射電磁波の波長は200nm~100μmの範囲、好ましくはIRの範囲、特に好ましくは500nm~50μmの範囲、非常に特に好ましくは800nm~20μmの範囲である。その際、有利には、狭い帯域または単色の波長範囲が使用され、それらは例えばレーザーまたは発光ダイオード(LED)を使用して生成できる。この場合、355nm、405nm、415nm、490nm、532nm、830nm、980nm、1064nmおよび10.6μmの範囲の個々の波長、または組み合わせが好ましい。
画像に合わせた基材層の露出とは、マスク層を部分的に除去することによって露出された基材層の領域が、製造されるべき画像レリーフ構造の形態に本質的に相応することであると理解される。この場合、本質的とは、マスク層内の開口部が、製造されるべきレリーフ構造よりも大きいかまたは小さくてもよく、その構造を収縮または拡大して合わせることができることを意味する。
段階c)において、前記基材層の表面に、少なくとも1つの第1の反応性成分を含有する少なくとも1つの液体の、画像に合わせた施与を行う。これは、液体を液滴の形態で狙い通りに表面の特定の位置に施与することを可能にするあらゆる手段、例えばインクジェット法を用いた液滴の施与、可動性のノズルによる施与、およびそれらの任意の組み合わせを用いて行うことができる。ここで、画像に合わせた液体の施与を、任意の段階b)において部分的に除去された任意のマスク層の存在によって支援できる。マスク層の開口部は、施与される液体をさらに限定するために用いられ、製造される構造の解像度を高めることができる。一般に、1つだけの液体が施与されるが、2つ以上の異なる液体を施与して異なる領域において、例えばレリーフの高さ、レリーフの物理的および/または科学的特性に局所的に影響を及ぼすことが有利であることもある。
少なくとも1つの液体の画像に合わせた施与とは、液滴の量および配置が、製造されるべきレリーフ構造の形態に従うことであると理解される。
好ましい実施態様において、少なくとも1つの液体を、インクジェット法を用いて施与し、ここでジェットまたは液滴を狙い通り且つ画像に合わせて基材層上に連続的および/または「ドロップ・オン・デマンド」で施与する。全てのインクジェット法が前記液体の施与のために適しており、且つ公知の印字ヘッドの設計および液滴の生成方法を用いることができる。連続的なインクジェット法(連続インクジェット)においては、インクのジェットがノズルを介して印字ヘッドから出てくる。このジェットは、ノズルの後ろにあるピエゾ変換器を介して変調されて、個々の液滴への一様な分解(レイリーの液滴分解)が達成される。そのように形成された液滴は、充電電極を介して多かれ少なかれ強く静電帯電される。引き続き、液滴はより大きな偏向電極を通過し、ここで該液滴はそれらの特定の電荷に依存して、側方に偏向される。装置の種類次第で、帯電された、または帯電されていない液滴が基材に達する。不要な液滴は、印字ヘッドで既に回収され、改めてインクの循環に供給される。さらに、バイナリ偏向法とマルチ偏向法とが区別される。前者の場合、液滴は基材に達するか、または液滴捕捉器へと偏向される。マルチ偏向法の場合、液滴は、異なる帯電状態によって異なって偏向されることができる。このようにして、ノズルを介してより広いラインを印刷することが可能である。ラインの幅は基材に対するノズルの距離に依存し、距離が大きいほうが解像度は低下する。「ドロップ・オン・デマンド」法は、1つの好ましい実施態様である。この際、実際に必要とされる液滴だけがノズルから出て、必要とされる場所で配置される。
バブルジェット印字ヘッドは、小さな液体の液滴を、インク液を加熱する加熱要素を用いて生成する。この場合、小さな蒸気泡が爆発的な手法で形成され、その圧力によってインクの液滴をノズルから押す。ここでもまた、2つのシステムが使用される。1つのシステムにおいては、ノズルが加熱要素に対して直角に存在するバブルジェット技術を用いて動作される(エッジシューター)。この方法はピエゾ法と非常に類似しており、吐出圧がピエゾ要素ではなく蒸気泡によって生成されるだけである。個々の加熱要素は、24kHzまでの周波数で動作する。第2のシステムにおいては、本質的に2つのプレートからなる平面のノズル要素が用いられる。基材の方に向いたプレートは小さなノズル孔を有し、蒸気泡はこの孔に対して形成される(サイドシューター)。この方法で動作する印字ヘッドは、非常に容易に製造できるので経済的である。しかし、この印字ヘッドは寿命が限定的であるという欠点を有する。この方法は、全て交換可能な印字ヘッドの際に使用される。圧力バルブプリンタの場合、個々のバルブがノズルに取り付けられ、それは液滴がノズルを離れるべきときに開く。
好ましくいピエゾ印字ヘッドは圧電効果を利用して、微細なノズルを通じて液体を押し、ここで、セラミック部品が電圧下で変形される。インクは液滴を形成し、その体積は印加される電気インパルスの大きさによって調節できる。ピエゾ結晶の動作周波数は23kHzまでに達する。
この場合、液滴の施与は、基材層の表面が水平に配列された面状の配置で行われるので、液滴が流出しない。構造化されるべき面の全体の領域は、少なくとも1つのノズルを有するインクジェットヘッドが最短の所要作用時間内で画像形成できるように、より小さな領域に細分化される。場合により、このために複数の印字ヘッドが必要とされる。
前記液滴の大きさは広い範囲で変化でき、且つ0.1pl(ピコリットル)~2μlの範囲、有利には0.5pl~0.5μlの範囲、特に好ましくは1pl~300nl(ナノリットル)の範囲、および特に好ましくは1pl~100nlの範囲である。特定の場合、液滴の大きさは100pl未満であってもよい。レリーフを構築する際、有利には初めに比較的大きな液滴を用いて開始し、より広く且つより高い下地を達成し、引き続く層で液滴の大きさを低減して、必要な解像度を達成する。
液体の施与を室温で、または相応の状況に適合された他の温度で行うことができる。特に、非常に反応性の成分を用いた非常に反応性の系が使用される場合には、高温の他に低温が必要であることもある。前記温度は-20℃~200℃の範囲、好ましくは0℃~200℃の範囲、特に好ましくは20℃~180℃の範囲、非常に特に好ましくは20℃~150℃の範囲で変化してよい。この際、より冷たい液体をより温かい基材に施与するか、より温かい液体をより冷たい基材に施与するか、または温かい液体を温かい基材に施与することができる。好ましくは基材および液体は、施与の際に同じ温度を有するが、その温度が異なっていてもよい。
段階d)において、施与された液体の少なくとも一部を基材層中へ、および/または基材層の拡散可能な成分、特に少なくとも1つの第2の反応性成分を液滴中へ、少なくとも部分的に拡散またはマイグレーションさせる。このプロセスを、広い時間範囲にわたって行うことができる。作用時間は、1秒~30分、好ましくは1秒~10分、特に好ましくは10秒~10分、非常に特に好ましくは1分~5分で変化することができる。特別な場合では、前記の拡散が数時間にわたって行われてもよい。温度の調節によって拡散に影響を及ぼすことができ、その際、温度は、下限は施与されるべき液体の凝固点、上限はその沸点で限定される。前記温度は-20℃~200℃の範囲、好ましくは0℃~200°Cの範囲、特に好ましくは20℃~180℃の範囲、非常に特に好ましくは20℃~150℃の範囲で変化してよい。
拡散条件を特定の状況に合わせることができ、例えば大きな液滴を使用する場合は、小さい液滴の場合よりも長い。より大きな液滴をより速く拡散導入させるためには、前記方法を、より小さい液滴を用いて精密な構造を製造する場合に用いられるよりも高い温度で実施することができる。基材層からの成分の液滴中への部分的な拡散が生じるか、またはこの拡散方向が支配的である場合、作用時間は、どれだけ速くこの拡散が進行し、引き続く固定の際に安定な構造がもたらされる状態が達成されるかに依存する。液滴を繰り返し施与する場合、拡散時間は各々の段階で同じ長さであってもよいし、状況に合わせて異なる長さであってもよい。液滴をほぼ同じ位置で繰り返し施与する場合、または液滴の領域が重複する場合、拡散時間が、繰り返し数の増加と共に連続的または段階的に変更され、有利には長くされることが有利であることがある。
前記液体またはその成分の拡散によって、処理された領域において基材層の体積が高められ、高められた領域、レリーフ構造が製造される。基材層表面の平面における膨張部は、施与に使用された液滴の大きさまたは材料の量、および/またはマスク層の開口部の大きさ、および表面上での液体の広がり挙動に影響される。通常、前記の膨張部は施与された液滴またはマスク層の開口部と同じか、またはそれよりも大きい。前記膨張部は、10μm2~50mm2の範囲、好ましくは10μm2~20mm2の範囲、特に好ましくは20μm2~10mm2の範囲、非常に特に好ましくは50μm2~10mm2の範囲である。液体の一回の施与後に達成され得るレリーフ構造の高さは、0.01μm~50μmの範囲、好ましくは0.1μm~20μmの範囲、特に好ましくは1μm~10μmの範囲、非常に特に好ましくは5μm~10μmの範囲である。液体の複数回の施与後に、レリーフの高さは、0.05μm~1000μmの範囲、好ましくは1μm~500μmの範囲、特に好ましくは1μm~200μmの範囲、非常に特に好ましくは1μm~10μmの範囲である。
個々の液滴を、それらが重複し且つ互いに流れ込むように、つまり1つの閉じた面を形成するか、または個々の盛り上がり部が生じるように分離するように配置できる。引き続く層において、生じた凹部に液滴を配置でき、緻密な構造を製造できる。盛り上がり部の場合、これらが直接重なり合って施与されて、基材表面に対して垂直または傾いた凹部またはネットワークが生成され、その空洞部は弾性に寄与するか、および/または他の材料を取り込むことができる。上記の施与の任意の組み合わせも可能である。1つの実施態様において、前記液体が大部分、拡散導入され、且つ好ましくは完全に基材層に吸収されるように、作用時間を選択する。引き続き、さらなる液滴を施与するか、または例えば生じたレリーフを固定するさらなる段階を行うことができる。
生じるレリーフ、例えばラインのレリーフの高さおよび形態は、選択された作用時間、もしくは選択された液体およびその成分の選択された基材中での拡散速度に本質的に依存する。最適な作用時間は、表面に残留する液体の量またはエネルギーの作用後に得られるレリーフの高さを測定し、作用時間に対してプロットすることにより、実験的に決定できる。
液体の拡散は基材層の深い部分だけでなく、側方にも生じるので、レリーフ表面上の構造の幅(例えばラインの幅)は常に、施与された液滴の幅もしくはマスク層における開口部よりも幾分小さい。ラインのレリーフの場合、これは、ガウス分布曲線にほぼ相応するラインのプロファイルを有する。この作用は、例えば表面上に50μm幅のレリーフのラインを構築するために、液滴の大きさを、側方の拡散の距離の分だけ大きく選択することによって考慮に入れることができる。例えば5μmのレリーフ高さを構築したい場合、側方の拡散も5μmのオーダーである。従って、幅50μm且つ高さ5μmのラインのレリーフを構築するには、液滴によって製造されるべきラインのライン幅(もしくはマスク層内の開口部の幅)は好ましくは10μm(側方の拡散の2倍)ぶん広く作られ、つまり、60μmのラインが施与される。従って、形態および寸法が、製造されるべき画像要素に本質的に相応する液滴を施与する際、それらの寸法は製造されるべき画像要素の寸法よりも大きく選択されることが好ましい。この際、液滴の寸法は、液体の側方の拡散の2倍に相応する量だけ拡大される。ここで、寸法とは、特に点の直径並びにラインの長さおよび幅であると理解される。側方の拡散は一次近似においてレリーフの高さに相応するので、好ましくは、前記寸法はレリーフの高さの2倍の量だけ拡大される。
個々のレリーフ要素の側方の拡散よりも大きいレリーフ高さを構築すべき場合(例えば高さが100μmであるべき50μm幅のライン)、構築されたレリーフ要素はここでもまた非常に広げられ、もはや必要なレリーフ高さに達成しないことが見て取れる。ここでもまた、原因は液体の側方の拡散である。液体は隣接する非画像部に拡散する。従って、形成された微細なレリーフ要素は、側方の拡散が無視し得る際のより大きなレリーフ要素が有するレリーフ高さには達しない。この場合は、液体を繰り返し施与して、所望のレリーフ高さを達成できる。液滴の大きさを相応に選択することによって、レリーフ構造を、底部ではより広く且つ先端部ではより狭いレリーフに構成することも可能である。当業者はレリーフ要素の高さの仕上げについて述べる。印刷において全てのレリーフ要素について同じ圧縮応力を達成するためには、要素が微細になるほどレリーフは低くなるべきである。ただし、仕上げは最大10μmの範囲であるべきである。
微細なレリーフ要素をより大きなレリーフ要素と同じ高さにするには、微細なレリーフ要素の周囲を走査(aufrastern)することが必要であることがある。周囲の走査により、単位面積あたりの拡散流を望ましい値に調節でき、例えば望ましいレリーフの土台をレリーフ要素の周りに構築できるか、またはレリーフ要素の側面をより急峻または平坦に構成できる。換言すれば、レリーフ構築の速度は、作用時間あたりに形成されたレリーフのμmとして表され、基材表面のあらゆる位置での単位面積あたりの液滴(もしくはマスク層の開口部)の数によって狙い通りに調節できる。微細なレリーフ要素の周りに土台を形成することによって液体の側方の流出が低減され、且つ微細なレリーフ要素が、より大きなレリーフ要素のレリーフ高さに相応するレリーフ高さを有する。
高いレリーフ高さを有する微細なレリーフ要素を構築する際、さらに、特別な幾何学的作用が生じることがある。液体の拡散流は、使用可能な表面積に依存する。拡散プロセスの間に形成されるレリーフの角または強いレリーフの丸まりは、モノマーに対してより大きな作用面をもたらすので、レリーフ要素の角または丸まりのところでは、元の平坦な面上よりも高い拡散流が生じる。この結果、明確に顕著な角を有するレリーフ構造が製造され得る。これらの作用も、レリーフ構造自体の走査によって、または周辺の適したスキャンによって補償され得る。場合によってはレリーフ要素の表面のレベリングを機械的処理によって達成することもでき、その際、この処理は、膨潤した状態(段階dまたはeの後)で、例えばローラーを用いて、または段階f)の後に例えばフライスまたは研磨を用いた機械的な研削によって行われる。
液体の拡散の際に全ての材料が浸透したか、またはその一部が基材表面に残るかに依存して、任意の段階e)において、過剰な液体を除去することが有利であることがある。その際、過剰な液体とは、施与された液体の、拡散によって基材に移行していない部分である。過剰な液体の除去を、吸い取り、吹き出し、掻き取り、振り落とし、スピンオフ、洗い落とし、取り込み、拭き取り、媒体を用いた取り込みおよびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される方法によって行うことができる。しかしながらその段階は、全ての液体が拡散導入されない場合であっても、完全に省略できることがある。
段階f)による固定を行う前に、引き続く熱および/または放射線の作用に際して、その作用の際に進行する反応に悪影響を及ぼす成分を周囲から排除するために役立ち得る少なくとも1つのバリア層を施与することができる。上記の成分は、反応を阻害または減速させるか、または、不利な作用をもたらすか不所望の副生成物を生成する副反応をもたらす物質または分子である。特に、酸素または湿気がこれに属し、酸素はラジカルを介して中間段階が進行する反応を減速し影響を及ぼして、不所望の過酸化物の形成をみちびくことがあり、湿気は例えばカチオン重合を減速する。この場合、バリア層としても、上記の層および材料が考えられる。好ましくはO2バリアが用いられる。しかしながら、バリア層を用いないことが有利であることもあり、なぜなら、その際、まだ反応し終わっていない成分が存在し、それは、引き続く任意の段階g)による後処理において、さらなる層がレリーフに良好に結合することを可能にするからである。そのような層の施与はさらに、高められたレリーフ領域表面上のレベリング作用も有し、平坦且つ同じ高さの表面を有する構造をもたらすことができる。印刷用途の場合、印刷領域の平坦な表面は、良好な色の転写に有利である。
バリア層を施与するために、固体層および/または液体層のための全ての慣例的な施与方法、例えば設置、ラミネート、ローラー塗布(Aufwalzen)、噴霧、流し込み、ロールオン(Aufrollen)、塗り付け、浸漬、押し出し、表面での基材層の成分のマイグレーションによるバリア形成、およびそれらの任意の組み合わせを利用できる。場合により、特に液体配合物を施与する場合、さらなる処理段階、例えば乾燥、圧延、冷却および任意の組み合わせが必要となることがある。有利には、これらの層は、容易な方法で、例えば剥離、こすり落とし、研磨、フライス削り、および/またはアブレーションによって物理的にも、例えば溶剤、水または水溶液およびそれらの任意の組み合わせを用いた処理によって化学的にも除去できる。有利には、保護層は剥離または濯ぎ落とされる。
バリア層の代わりに、段階f)によるレリーフの固定を、不活性雰囲気、例えば希ガス、CO2および/または窒素中で、または液体、例えば水中で実施することもできる。
段階f)において、エネルギー源を作用させることによって、レリーフに熱および/または放射線を照射して、生じたレリーフ構造を固定する少なくとも1つの反応を引き起こす。反応として、重合および/または架橋反応、例えばラジカル反応、イオン反応、縮合反応、付加反応、およびそれらの任意の組み合わせを用いることができる。ラジカル重合および/または架橋が好ましい。
エネルギー源として、熱源および/または電磁放射源を用いることができる。熱源について、当業者に公知の全ての源、例えばオーブン、IR放射装置またはランプ、マイクロ波生成装置およびそれらの任意の組み合わせが使用可能である。エネルギー源として、プラズマを用いることもでき、その際、それは高圧プラズマ、常圧プラズマおよび/または低圧プラズマ、低温プラズマおよび/または高温プラズマ、非理想プラズマおよび/または高密度プラズマであってよい。励起のために、当業者に公知の全ての方法、例えば熱による励起、化学的な励起、静電気による励起、放射線による励起、電磁的な励起、誘導励起および/またはマイクロ波励起を使用できる。
前記温度は20℃~200℃の範囲、好ましくは30℃~200℃の範囲、特に好ましくは40℃~180℃の範囲、非常に特に好ましくは50℃~150℃の範囲で変化し得る。電磁放射源として、ランプ、フラッシュランプ、蛍光ランプ、放射装置、レーザー、および発光ダイオード(LED)が使用できる。照射を大面積で行ってもよいし、またはガイドされたレーザー光線または電磁放射の空間分解投影を用いて小面積(ほぼ点状)で行ってもよい。その際、入射電磁波の波長は、200nm~20000nmの範囲、好ましくは250nm~1100nmの範囲、特に好ましくはUV範囲、非常に特に好ましくは300nm~450nmの範囲である。広い帯域の電磁波の入射以外に、有利には、狭い帯域または単色の波長範囲を使用することが有利であることがあり、それらは例えば相応のフィルタ、レーザーまたは発光ダイオード(LED)を使用して生成できる。この場合、350nm、365nm、385nm、395nm、400nm、405nm、532nm、830nm、1064nm(および約5nm~10nm上および/または下)の範囲の個々の波長、または組み合わせが好ましい。
前記照射を連続的またはパルスで、もしくは複数の短時間での連続放射を用いて行うことができる。放射強度は広い範囲にわたって変化でき、その際、膨潤した基材層を後の使用のために十分に安定化させるために十分な線量を使用することを確実にすべきである。放射線により誘導される反応は、場合によりさらなる熱処理の後、基材層の膨潤された領域が少なくとも部分的に不溶性および/または非溶融性/非液化性になる程度まで進行することができる。放射強度および線量は、配合物の反応性および現像の腐食性に依存する。放射強度は、1mW/cm2~15000mW/cm2の範囲、好ましくは5mW/cm2~5000mW/cm2の範囲、特に好ましくは10mW/cm2~1000mW/cm2の範囲である。放射線量は、0.3J/cm2~6000J/cm2の範囲、好ましくは3J/cm2~100J/cm2の範囲、特に好ましくは6J/cm2~20J/cm2の範囲である。エネルギー源の作用を、不活性雰囲気、例えば希ガス、CO2および/または窒素中で、または液体、例えば水中で実施することもできる。
層構造の形態に依存して、電磁放射を用いた処理のために種々の装置を使用できる。面の形態の場合、いわゆる面露光装置を用いることができ、曲がった、もしくは円筒状の形態の場合はドラム露光装置を用いることができる。ドラム露光装置の場合、レリール構造を回転するドラム上で、1つまたは複数の光源を1回または複数回通過させ、その際、回転速度および回数を変化させることができる。面露光装置においては、面を均一に照射するように複数の源が配置されているか、または全ての領域が同じ線量で露光されるようにレリーフ構造上を1つまたは複数の源が導かれる。有利には、長細い光源(例えばLEDのライン)、およびレリーフを一定の速度で互いに相対的に動かす。さらに好ましい選択肢は、光源をノズルと組み合わせて動かし、最後の層の施与の際、液滴の落下直後に露光する。
場合により、先行する段階に引き続き、後処理のためのさらなる処理段階を実施できる(段階g)。例えば、機械的処理、熱処理、乾燥、電磁放射を用いた処理、識別マークの施与、裁断、コーティングおよびそれらの任意の組み合わせがこれに属する。熱処理を、例えば反応の開始および/または完了のため、レリーフ構造の機械的耐性および/または耐熱性を高めるため、および揮発性成分を除去するために利用できる。熱処理のために公知の方法、例えば加熱されたガスまたは液体による加熱、赤外線およびそれらの任意の組み合わせを使用できる。この際、オーブン、送風機、ランプ、放射装置およびそれらの任意の組み合わせを使用できる。
電磁放射を用いた処理を、例えばレリーフ構造の表面を非粘着性にするため、重合反応および/または架橋反応を開始および/または完了させるために使用できる。入射電磁波の波長は、200nm~2000nmの範囲、好ましくはUVの範囲、特に好ましくは250nm~550nmの範囲、非常に特に好ましくは300nm~450nmの範囲である。広い帯域の電磁波の入射以外に、有利には、狭い帯域または単色の波長範囲を使用することが有利であることがあり、それらは例えば相応のフィルタ、レーザーまたは発光ダイオード(LED)を使用して生成できる。この場合、350nm、365nm、385nm、395nm、400nm、405nm、532nm、830nm、1064nm(および約5nm~10nm上および/または下)の範囲の個々の波長、または組み合わせが好ましい。非粘着化は有利には、UV-C光での照射を用いて達成され、その際、有利には蛍光ランプが使用される。UV-C光は100nm~280nmの範囲の波長を有する。レリーフ構造の一部を除去するために、例えばレリーフ構造の高さを高めるかまたは盛り上がった領域の表面を構造化するためには、高エネルギーレーザー光線を使用できる。
液体、例えば溶剤および/または水溶液(アルカリ液または酸)、または研磨媒体、例えば粒子または噴流を用いた処理を、レリーフ構造の相対的な高さをさらに高めるために用いることができ、なぜなら、基材層の未処理の領域はより敏感且つ安定性が低く、且つより速く、もしくはより多く除去および/または溶解されるからである。
さらなる後処理は、基材層または層構造物の、レリーフ構造と反対にある側を全面的に、第1の反応性成分を含有する液体で処理し、これを少なくとも部分的に作用させ、引き続きエネルギー源に供することであってよい。
さらなる可能な後処理においては、熱処理を行って、前記の少なくとも1つの液体で処理されていない領域を少なくとも部分的に液化することができる。これらの固定されていない領域を除去することにより、レリーフの高さをさらに高めることができる。(粘性の)液体領域を除去するために、当業者に公知の全ての方法および手段、例えば吹き出し、吸い取り、拭き取り、(粒子および/または液滴での)ブラスト、こすり落とし、拭い落とし、現像媒体上への転写およびそれらの任意の組み合わせを使用できる。有利には、液体材料を、層構造の表面と連続的に接触される現像媒体で取り込む(吸収および/または吸着する)。現像媒体として、紙、織布、不織布、フィルムを使用でき、それらは液化された材料を取り込むことができ、且つ天然物および/またはプラスチックの繊維からなることができる。有利には、現像の際に用いられる温度で安定である、ポリマー、例えばセルロース、綿、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンおよびそれらの任意の組み合わせからの不織布または不織繊維ウェブが使用される。
機械的処理は、レリーフ構造の表面をレベリングするため、レリーフ構造の表面を構造化するため、および/またはレリーフ構造の高さに影響を及ぼすために利用できる。レベリングのために、面状に除去する全ての機械的方法、例えばフライス削り、研磨、平削り、型押しおよびそれらの任意の組み合わせを使用できる。表面の構造化を例えば型押し、研磨およびそれらの任意の組み合わせによって達成できる。レリーフ高さの機械的な変更は、好ましくは、レリーフのあまり安定ではない領域を除去する研磨方法によって達成される。ここで、特に研磨粒子または噴流を用いたブラストが挙げられる。この方法を用いて、高められたレリーフ領域の均一な高さおよび平坦な表面を達成できる。これは表面を粗くするために用いることもでき、このことは、印刷用途において色の転写を高めることができる。
好ましくは、前記方法に際し、段階c)およびd)をそれぞれ一回だけ実施する。
場合により、特に高いレリーフ高さが達成されるべき場合、段階c)~f)、またはc)~g)を1回または複数回繰り返してよい。個々の段階および段階の組み合わせの繰り返し数は、達成されるべきレリーフ高さに依存し、1~100の範囲、好ましくは1~50の範囲、特に好ましくは1~10の範囲、および非常に特に好ましくは1~5の範囲である。例えば段階f)による固定の前にバリア層が用いられた場合、これは、段階c)により液体を改めて施与する前に除去される。
さらに、段階c)およびd)を、段階e)の前に少なくとも1回または複数回繰り返し、且つ引き続く段階f)およびg)を実施することができる。個々の段階および段階の組み合わせの繰り返し数は、達成されるべきレリーフ高さに依存し、好ましくは1~100の範囲、特に好ましくは1~50の範囲、非常に特に好ましくは1~10の範囲、および最も好ましくは1~5の範囲である。この繰り返しは、より多量の液体を施与し且つ基材層中にもたらし、より高いレリーフ高さを達成することを可能にする。
前記方法に際し、段階c)およびd)またはc)~e)を、段階f)の前に少なくとも1回または複数回繰り返し、且つ任意の引き続く段階g)を実施することも可能である。個々の段階および段階の組み合わせの繰り返し数は、達成されるべきレリーフ高さに依存し、好ましくは1~100の範囲、特に好ましくは1~50の範囲、非常に特に好ましくは1~10の範囲、および最も好ましくは1~5の範囲である。この場合、もたらされる液体量を高めることもでき、その際、段階e)による過剰な液体の繰り返しの濯ぎ落としの際にも、解像度はあまり強く影響を及ぼされない。
さらに、前記方法に際し、段階c)およびd)またはc)~e)をそれぞれ、段階f)の前に少なくとも1回または複数回繰り返し、且つ任意の段階g)を実施することも可能である。個々の段階および段階の組み合わせの繰り返し数は、達成されるべきレリーフ高さに依存し、好ましくは1~100の範囲、特に好ましくは1~50の範囲、非常に特に好ましくは1~10の範囲、および最も好ましくは1~5の範囲である。この際、段階f)による固定による高すぎるエネルギー投入が回避され、そうでなければレリーフまたは基材層の剛性が高くなりすぎることがある。
基材層は、結合剤、場合により少なくとも1つの第2の反応性成分、並びに場合によりさらなる成分を含む。
少なくとも1つの第1の反応性成分および/または第2の反応性成分は、好ましくは、ポリマー、オリゴマー、モノマー、低分子化合物、触媒、開始剤、およびこれらの成分の少なくとも2つの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、前記第1の反応性成分および第2の反応性成分は、それぞれ互いに独立してこの群から選択される。
好ましくは、前記液体は少なくとも第1の反応性成分の他に、さらなる成分、例えば溶剤および添加剤を含む。
好ましくは、基材層は、開始剤、触媒、ポリマー、オリゴマー、モノマー、およびそれらの任意の組み合わせから選択され得る少なくとも1つの第2の反応性成分を含む。前記少なくとも1つの第2の反応性成分は反応する能力があり、その反応能力は、その成分自体または相応の化学基または官能性により存在し得る。反応として、重合および/または架橋反応、例えばラジカル反応、イオン反応、縮合反応、付加反応、およびそれらの任意の組み合わせを用いることができる。縮合反応の際、特に、酸、有利には多官能性の酸、例えばジカルボン酸とアルコール、有利には多価アルコール、例えばジオール、ポリオール、アミン、有利には多官能性アミン、ポリアミンとの、フェノール、有利には多官能性フェノール、例えばジヒドロキシフェノール、ビスフェノールA、ポリフェノールと、アルデヒド、有利には多官能性アルデヒドとの反応が好ましく、それは金属触媒されてもよい。さらには、シラノール同士の、およびアルコキシシランまたはSi-OR、Si-C(=O)-OR、Si-NR2基(前記式中、Rは有機基であってよい)を有する他の化合物との縮合反応である。
付加反応の場合、イソシアネートとアルコールとの反応、エポキシドとアルコールとの反応、およびアミンおよび/または無水物の存在下でのそれらの反応、および/または不飽和二重結合の、有利には多官能性化合物、例えばジエンまたはポリエン、例えば少なくとも2つのC=C二重結合を有するポリシロキサンとSi-H基との、有利には多官能性化合物と複数のSi-H基との、例えばポリシロキサンとSi-基との、有利には触媒、例えば貴金属化合物の存在下での反応が好ましい。さらには、環化付加反応、例えばディールス・アルダー付加、いわゆる「クリックケミストリー」、またはアジド・アルキン環化付加が使用可能である。さらに、金属、特に遷移金属により触媒可能であるホモカップリング反応およびヘテロカップリング反応、例えば有機金属化合物または活性化されたCH結合を用いたC-Cクロスカップリング反応(例えば熊田、根岸、鈴木、ヘック、薗頭カップリング)、酸化性のホモカップリング反応およびヘテロカップリング反応(例えばグレーサー反応)、N-C(バックワルド・ハートウィグアミノ化)、O-H、S-H、Si-Cカップリングまたはオレフィンメタセシス反応(例えば開環メタセシス重合ROMP)が使用可能である。
特に反応性の組み合わせの場合、成分を液体中と基材層中とに分離けることによって、系全体の貯蔵安定性が高められ、なぜなら、両方の反応相手が一緒になったときに初めて反応が生じるからである。例えば、イソシアネートとアルコールとが用いられる場合、イソシアネートは基材層中に存在し、アルコールは液体中に存在する、あるいはその逆であってよい。触媒される反応の場合、触媒を液体と共にもたらすことができ、反応は熱の形でのエネルギー投入によって開始される。
有利には、前記反応はラジカル重合および/または架橋である。これには、制御されたフリーラジカル重合、例えばいわゆるRAFT重合(Reversible Addition-Fragmentation chain Transferまたは可逆的付加開裂連鎖移動反応)、いわゆる原子移動ラジカル重合(ATRP)およびニトロキシド媒介重合(NMP)が含まれる。
第2の反応性成分は、低分子化合物、オリゴマー化合物または高分子化合物、またはそれらの任意の組み合わせであってよい。オリゴマーまたはポリマー化合物の場合、それは、ブロック状に、交互に、またはランダムに配置され得る1つまたは複数の基本構造ブロックから構成され得る、線状、分枝、星型および/または樹状の構造であってよい。
好ましくは、少なくとも1つの第2の反応性成分は、C-C二重結合、C-C三重結合、アクリル基、メタクリル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、チオビニルエステル基、ビニルカーボネート基、-S-H基、-N-Hn(CHxRy)m(前記式中、n+m=2およびm≧1且つx+y=3且つx≧1)およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性基を含有する。C-C二重結合、C-C三重結合、アクリル基、メタクリル基、ビニルエーテル基が特に好ましく、アクリル基およびメタクリル基が非常に特に好ましい。第2の反応性成分は、少なくとも1つの先述の反応性基を有するべきであるが、2つ以上の反応性基を有してもよく、これは特に架橋の際に有利であり、その際に有利に用いられる。
低分子の第2の反応性成分についての例は、ポリブタジエン油、アクリル化またはメタクリル化ポリブタジエン、液状のイソプレンポリマーおよび/またはスチレン・ジエンコポリマーである。
好ましくは、基材層は、少なくとも1つのエチレン性不飽和基を含有するエチレン性不飽和化合物の形態での1つの第2の反応性成分を含有する。エチレン性不飽和化合物として、各々選択されたポリマー結合剤と適合性があるものが考えられる。一般に、それは室温で気体状ではない化合物である。好ましくは、前記エチレン性不飽和化合物は、少なくとも2つのエチレン性不飽和基、特に好ましくは2~6つのエチレン性不飽和基、非常に特に好ましくは2つのエチレン性不飽和基を含有する。特別な場合においては、例えばポリブタジエン中で、非常に多くのエチレン性不飽和基が存在し得る。C-C三重結合を有する化合物を基材層中で用いることもできる。有利には、そのエチレン性不飽和基は、少なくとも1つのアクリレート基および/またはメタクリレート基であるが、アクリルアミドおよびビニルエーテルも用いられる。エチレン性不飽和化合物は、モノマー、オリゴマーまたはポリマーとして、且つ線状、分枝、星型または樹状の形態で存在でき、且つ50000g/mol未満の範囲の分子量を有する。前記分子量は、好ましくは30000g/mol未満、特に好ましくは10000g/mol未満、非常に特に好ましくは5000g/mol未満であり、且つ300g/mol未満であってもよい。
特に、アクリル酸および/またはメタクリル酸の誘導体、例えばそれらと一価または多価アルコールとのエステル、例えば1~20個の炭素原子を有するアルカナールとのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、例えばメチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2~20個の炭素原子を有する多価アルコールとの(メタ)アクリルエステル、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオール-1,4-ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール-ジ(メタ)アクリレート、3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ジ-、トリ-およびテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、さらにポリ(エチレンオキシド)ジ(メタ)アクリレート、m-メチルポリ(エチレンオキシド)-イル-(メタ)アクリレート、Ν,Ν-ジエチルアミノエチルアクリレート、1molのグリセリンと1molのエピクロロヒドリンと3molのアクリル酸とからの反応生成物、並びにグリシジルメタクリレートおよびビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルアクリレート。
アクリルアミドの誘導体およびメタクリルアミドの誘導体、例えば一価および多価アルコール、例えばエチレングリコール、グリセリン、1,1,1-トリメチロールプロパン、オリゴマーまたはポリマーのエチレンオキシド誘導体とのそれらのN-メチロール誘導体のエーテルも適している。これらは、ポリアミドまたはポリビニルアルコールが結合剤として用いられる場合に特に適している。
いわゆるエポキシド(メタ)アクリレートおよびウレタン(メタ)アクリレート、例えばビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応によって、またはジイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの、またはヒドロキシ基含有ポリエステルまたはポリエーテルとの反応によって得られるものも適している。さらに、使用可能なオレフィン性不飽和化合物は、アクリル酸またはメタクリル酸のエステル、特に低沸点を有し且つ、相溶化剤で、例えばヒドロキシ基、アミド基、スルホエステル基またはスルホンアミド基で変性されているものである。上記で挙げられた共重合性エチレン性不飽和有機化合物の混合物も使用できる。
1つの実施態様において、第2の反応性成分として用いられるエチレン性不飽和化合物は、基材層の全質量に対して0.5質量%~60質量%の範囲、好ましくは1~50質量%の範囲、特に好ましくは1質量%~40質量%の範囲、非常に特に好ましくは5質量%~40質量%の範囲の濃度で含有される。
好ましくは、第1の反応性成分と第2の反応性成分とは同一ではない。通常、第1の反応性成分は、高い拡散速度、ひいては低い作用時間がもたらされるように選択される。第2の反応性成分は高い拡散速度を有さず、なぜなら、それは基材層中に均質に分布しているからである。従って、第1の反応性成分は低分子量であるべきである。しかし、第1の反応性成分と第2の反応性成分とが同一であってもよい。この場合、第2の反応性成分の基材層中での濃度を調節することによって、拡散速度を部分的に調整できる。
第1の反応性成分の基材層中への拡散速度が低く、第2の反応性成分の液滴中への拡散速度のほうが高い場合、第2の反応性成分は有利には開始剤および/または触媒である。この際、エネルギー源が作用する際に、液体が基材表面で固定される。
好ましくは、少なくとも1つの基材層は、第2の反応性成分として、投入されるエネルギーを吸収することによって反応が開始でき且つ/または触媒できる少なくとも1つの触媒または開始剤を含有する。特に、熱処理または電磁波での照射で活性種を形成する触媒および開始剤が使用可能である。反応性種として、ラジカル、イオン、錯体および配位化合物を利用できる。触媒についての例は、縮合反応を触媒するコバルト塩および亜鉛塩、ヒドロシリル化を触媒する白金錯体、エポキシドの架橋を触媒するアミンであり、イオン反応を開始できる開始剤についての例は、例えばフェロセン(例えば(5-シクロペンタジエニル)(6-イソプロピルベンゼン)鉄ヘキサフルオロホスフェート)およびオニウム塩、例えば熱負荷および/または照射でイオンを生成し且つカチオン重合および/または架橋を開始できるヨードニウム(Iononium)塩およびスルホニウム塩である。これらのオニウム塩のいくつかは、イオンの形成がラジカルの中間段階を介して行われる場合、ラジカル生成のためにも利用できる。熱的または光化学的にラジカルを生成し、それがラジカル重合および/または架橋を引き起こすことができる、開始剤または2つ以上の成分からの開始剤系が特に好ましい。例えばジアゾ化合物(例えばAIBN)、過酸化物(過酸化ベンゾイル)が、熱的に活性化可能な開始剤とみなされる。1つより多くの成分からの開始剤系を使用する場合、1つの成分、好ましくはよりゆっくりと拡散する成分を、第2の反応性成分として基材層中で使用し、およびさらなる、好ましくはより速く拡散する成分をさらなる成分として少なくとも1つの液体中で使用することが有利であることがある。特に反応性の組み合わせの場合、成分を液体中と基材層中とに分けることによって、系全体の貯蔵安定性が高められ、なぜなら、両方の反応相手が一緒になったときに初めて反応が生じるからである。
好ましくは、前記基材層は第2の反応性成分として、開始剤、または少なくとも2つの成分からの開始剤系を含有し、それは電磁波での照射の際にラジカルを生成し、それが重合および/または架橋を引き起こす。そのような開始剤は当業者に公知であり、且つ例えば以下の文献内に記載されている: Bruce M.Monroe et al.、Chemical Review、93、435(1993); R.S.Davidson、Journal of Photochemistry and Biology A: Chemistry、73、81(1993); J.P.Faussier、Photoinitiated Polymerization-Theory and Applications: Rapra Review、Vol.9、Report、RapraTechnology(1998);M.Tsunooka et al.、25 Prog. Polym. Sci.、21、1(1996); F.D.Saeva、Topics in Current Chemistry、1 56、59(1990);G.G. Maslak、Topics in Current Chemistry、168、1(1993); H.B.Shuster et al.、JAGS、112、6329(1990); およびI.D.F.Eaton et al.、JAGS、102、3298(1980);P.Fouassier and J.F.Rabek、Radiation Curing in Polymer Science and Technology、77~117ページ(1993); またはK.K.Dietliker、Photoinitiators for free Radical and Cationic Polymerisation、Chemistry&Technology of UV&EB Formulation for Coatings、Inks and Paints、Volume、3、Sita Technology LTD、London 1991; またはR.S.Davidson、Exploring the Science、technology and Applications of U.V.and E.B.Curing、Sita Technology LTD、London 1999。さらなる開始剤は、特公昭45-037377号公報(JP45-37377)、特願昭44-086516号公報(JP44-86516)、米国特許第3567453号明細書(US3567453)、米国特許第4343891号明細書(US4343891)、欧州特許第109772号明細書(EP109772)、欧州特許第109773号明細書(EP109773)、特開昭63-138345号公報(JP63138345)、特開昭63-142345号公報(JP63142345)、特開昭63-142346号公報(JP63142346)、特開昭63-143537号公報(JP63143537)、特公昭46-042363号公報(JP4642363)、特開昭59-152396号公報(JP59152396)、特開昭61-151197号公報(JP61151197)、特開昭63-041484号公報(JP6341484)、JP2249、JP24705、特公昭62-006223号公報(JP626223)、特公昭63-014340号公報(JPB6314340)、JP1559174831、JP1304453およびJP1152109内に記載されている。
一般に、水素の引き抜きまたは電子移動に基づく、ノリッシュI型またはノリッシュII型と称される開始剤の群に由来する開始剤または開始剤系が好ましい。ノリッシュI型の開始剤には、例えばベンゾイルラジカル形成開始剤、α-ヒドロキシケトン、α-アミノケトン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、トリアジンおよびヘキサアリールビスイミダゾールが属し、これらをさらに色素または増感剤と組み合わせて、感度を高めることができる。ノリッシュII型の開始剤の場合は、特に、ケトンまたはアルデヒドと、水素移動物質、例えばアミンまたはチオールとの組み合わせが挙げられる。好ましくは、前記開始剤はベンジルジメチルケタール、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート; ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,-1,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシド、ミヒラーケトン、ベンゾフェノン単独および/または増感剤、アミンまたはチオールとの組み合わせ、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。さらなる使用可能な開始剤は、オニウム塩、有機ペルオキシド、チオ化合物、ケトキシム、ボラート、アジニウム化合物およびアゾ化合物、メタロセンおよび炭素・ハロゲン基を有する化合物であり、それらを組み合わせても、または増感剤、アミンまたはチオールと一緒に用いてもよい。前記増感剤は例えばキサントン、チオキサントン、アントラセン、ペリレン、フェノチアジン、ベンゾフェノン、アセトフェノンおよび色素が使用可能である。増感のための前提条件は、増感剤の三重項エネルギーが、増感されるべき開始剤のものよりも高いか、または増感剤の励起状態からの電子移動が起きることができることである。好ましくは、基材層は開始剤または開始剤系を、基材層の全質量に対して0.1質量%~20質量%の範囲の濃度で含有する。好ましい濃度は、1~10質量%、特に好ましくは1質量%~8質量%の範囲、非常に特に好ましくは2質量%~6質量%の範囲である。
基材層は任意に、溶剤、安定剤、色素、顔料、添加剤、表面活性物質、UV吸収剤、調節剤、可塑剤、結合剤、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択できるさらなる成分を含有できる。
さらなる実施態様において基材層は、可塑剤、溶剤、結合剤、着色剤、安定剤、調整剤、UV吸収剤、分散助剤、架橋剤、粘度調整剤、表面活性物質、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるさらなる成分を含有できる。それらの添加剤または補助物質および添加物質は基材層中で、基材層の全質量に対して0.001質量%~60質量%の範囲、好ましくは0.01質量%~50質量%の範囲、特に0.1~50質量%の範囲、非常に特に1質量%~50質量%の範囲の全濃度で含有される。個々の添加剤は、基材層の全質量に対して0.001質量%~40質量%、好ましくは0.01質量%~40質量%の範囲、特に0.1質量%~40質量%の範囲、非常に特に0.1質量%~35質量%の範囲の濃度で含有される。
種々の可塑剤の混合物も使用できる。適した可塑剤についての例は、変性された、および変性されていない天然油および樹脂、例えば高沸点パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油または芳香族系鉱油、合成オリゴマーまたは樹脂、例えばオリゴスチレン、高沸点エステル、オリゴマーのスチレン・ブタジエンコポリマー、オリゴマーのα-メチルスチレン/p-メチルスチレンコポリマー、液体のオリゴブタジエン、特に分子量500g/mol~5000g/molを有するもの、または液体のオリゴマーのアクリロニトリルブタジエンコポリマーまたはオリゴマーのエチレン・プロピレン・ジエンコポリマーを含む。ポリブタジエン油(液体のオリゴブタジエン)、特に分子量500g/mol~5000g/molを有するもの、高沸点脂肪族エステル、例えば特にアルキルモノ-およびジカルボン酸エステル、例えばステアレートまたはアジペート、および鉱油が好ましい。高沸点の、本質的にパラフィン系および/またはナフテン系の鉱油が特に好ましい。例えば、いわゆるパラフィン基溶媒和物、および特殊オイルがShell Catenex SおよびShell Catenex PHの名称で市販されている。当業者は、鉱油につき、非常に少ない芳香族化合物含有率を有し得る工業用ホワイト油と、本質的に芳香族化合物不含である医療用ホワイト油とを区別する。それらは市販されており、且つ同様に良く適している。特に、可塑剤として、ホワイト油またはオリゴマーの可塑剤、例えば特にポリブタジエン油、カルボン酸エステル、フタレートが普及しており、これについて欧州特許第992849号明細書(EP992849)および欧州特許第2279454号明細書(EP2279454)が教示される。場合により存在する可塑剤の量は、基材層の所望の特性次第で当業者により決定される。それらは通常の場合、基材層の全成分の合計の50質量%を上回らず、一般に0.1質量%~50質量%、好ましくは0.05質量%~40質量%である。
基材層のために適したエラストマーの結合剤は当業者に公知である。親水性の結合剤も疎水性の結合剤も使用できる。例として、エチレン・アクリル酸コポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコールグラフトコポリマー、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン・ブタジエンゴム、ニトリル・ブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレン・イソプレンゴム、スチレン・ブタジエン・イソプレンゴム、ポリノルボルネンゴムまたはエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)が挙げられる。好ましくは疎水性結合剤が用いられる。そのような結合剤は、有機溶剤中で可溶性であるか、または少なくとも膨潤可能である一方で、水中では主に不溶性であり且つ水中で膨潤可能ではないか、または少なくとも本質的に膨潤可能ではない。
好ましくは、エラストマーはアルケニル芳香族化合物と1,3-ジエンとからの熱可塑性エラストマーブロックコポリマーである。前記ブロックコポリマーは、線状、分枝またはラジアルブロックコポリマーであってよい。通常はA-B-A型のトリブロックコポリマーであるが、A-B型のジブロックポリマー、または複数の交互のエラストマーおよび熱可塑性ブロック、例えばA-B-A-B-Aを有するものであってもよい。2つ以上の異なるブロックコポリマーの混合物も用いることができる。市販のトリブロックコポリマーは、多くの場合、特定の割合のジブロックコポリマーを含有する。そのジエン単位は、1,2-または1,4-結合されていてよい。スチレン・ブタジエンまたはスチレン・イソプレン型のブロックコポリマーも、スチレン・ブタジエン・イソプレン型のブロックコポリマーも用いることができる。それらは、例えばKratonの名称で市販されている。さらに、スチレンの末端ブロックおよびランダムなスチレン・ブタジエンの中央ブロックを有する熱可塑性エラストマーブロックコポリマーであって、Styroflexの名称で販売されているものも使用可能である。ブロックコポリマーは、例えばSEBSゴムにおけるように、完全または部分的に水素化されていてもよい。A-B-A型のトリブロックコポリマーまたは(AB)n型のラジアルブロックコポリマー(前記式中、Aはスチレンであり且つBはジエンである)が非常に特に好ましい。A-B-A型のトリブロックコポリマーまたは(AB)n型のラジアルブロックコポリマー(前記式中、Aはスチレンであり且つBはジエンである)、並びにスチレンおよびジエンからの統計学的コポリマーおよびランダムコポリマーが非常に特に好ましい。
特に好ましくは、熱可塑性エラストマー結合剤は、少なくとも1つのスチレン・イソプレンブロックコポリマー、特にスチレン・イソプレン・スチレンブロックコポリマーであり、その際、ポリマーはジブロックコポリマーのスチレン・イソプレンの部分も含有し得る。スチレン・イソプレン型の好ましい結合剤は、通常、10質量%~30質量%、好ましくは12質量%~28質量%、および特に好ましくは14質量%~25質量%のスチレンを含有する。それらのブロックコポリマーは通常、100000~300000g/molの平均分子量Mw(質量平均)を有する。当然のことながら、種々のスチレン・イソプレンブロックコポリマーの混合物も使用できる。
さらに、ラジアルのイソプレン・スチレンブロックコポリマーを好ましく用いることができる。ポリイソプレンブロック中で、イソプレン単位は1,4-結合されていてよく、つまり、残りの二重結合が鎖内に配置されているか、または3,4-結合しており、つまり、残りの二重結合が側方に配置されている。本質的に1,4-結合を有するブロックコポリマー、および特定の割合の3,4-結合を有する結合剤を用いることができる。3,4-結合されたイソプレン単位を有する結合剤中の側方のビニル基は、基材層の架橋の間に反応でき、それに応じて高い架橋を有するプレートをもたらす。例えば、20%~70%のビニル基含有率を有するスチレン・イソプレンブロックコポリマーを用いることができる。
好ましくは、結合剤として、10mol%未満のビニル基割合を有するラジアルのスチレン・イソプレンコポリマーを用いることができる。特に好ましくは、2つの異なるスチレン・イソプレンブロックコポリマーの混合物を用いる。好ましくは、そのうちの1つは、少なくとも20mol%、特に20mol%~70mol%、好ましくは25mol%~45mol%のビニル基含有率を有する。他方は、例えば10mol%未満の、低いビニル基含有率を有することができる。さらに好ましくは、2つのスチレン・イソプレンコポリマーの混合物を用いることができ、その1つは40質量%を上回る高いジブロック割合(スチレン・イソプレン)を有し、且つ2番目のものは30質量%未満のより低いジブロック割合を有する。上記の熱可塑性エラストマーブロックコポリマー、特にスチレン・イソプレンブロックコポリマーの他に、光重合性層は、ブロックコポリマーとは異なるさらなるエラストマー結合剤も含み得る。第2の結合剤とも称されるそのような追加的な結合剤で、基材層の特性を変更できる。第2の結合剤についての例はビニルトルエン-α-メチルスチレンコポリマーである。通常、そのような第2の結合剤の量は、用いられる全ての結合剤の総量に対して25質量%を上回るべきではない。好ましくは、そのような第2の結合剤の量は、15質量%を上回らず、特に好ましくは10質量%を上回らない。結合剤の総量は通常、基材層の全成分の合計に対して40質量%~90質量%、好ましくは50質量%~90質量%、および特に好ましくは60質量%~85質量%である。
光開始剤が吸収される化学線領域において顕著な基礎吸収を有さない熱重合に対する阻害剤を基材層に添加でき、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ヒドロキノン、p-メトキシフェノール、β-ナフトール、フェノチアジン、ピリジン、ニトロベンゼン、m-ジニトロベンゼンまたはクロラニル; チアジン色素、例えばチオニンブルーG(C.l.52025)、メチレンブルーB(C.l.52015)またはトルイジンブルー(C.l.52040); またはN-ニトロソアミン、例えばN-ニトロソジフェニルアミン、または塩、例えばN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミンのカリウム塩、カルシウム塩またはアルミニウム塩である。さらにまた、他の阻害剤または安定剤、例えばA.Valet、Lichtschutzmittel fuer Lacke、33以降 Vincentz Verlag Hannover 1996内に記載されるもの、特に立体障害フェノールおよびアミンも用いることができる。
適した着色剤、色素、顔料またはフォトクロミック添加剤も、基材層の全質量に対して0.0001質量%~2質量%の量で基材層に添加されていてよい。それらは、調整剤として露光特性の調節、同定、露光結果の直接的な制御、または審美的目的のために利用される。そのような添加剤の選択および量についての前提条件は、それらが、熱により開始された重合の阻害剤と同程度にわずかに、混合物の光重合を妨害することである。例えば可溶性フェナジニウム色素、フェノキサジニウム色素、アクリジニウム色素およびフェノチアジニウム色素、例えばニュートラルレッド(C.l.50040)、サフラニンT(C.l.50240)、ローダニルブルー、ローダミンD(ベーシックバイオレット10、C.l.45170)の塩もしくはアミド、メチレンブルーB(C.l.52015)、チオニンブルーG(C.l.52025)、またはアクリジンオレンジ(C.l.46005)、並びにソルベントブラック3(C.l.26150)が適している。これらの色素を、化学光の不在下では色素を還元しないが、露光の際に色素を励起電子状態において還元できる十分な量の還元剤と一緒に使用できる。そのような穏やかな還元剤の例は、アスコルビン酸、アネトール、チオ尿素、例えばジエチルアリルチオ尿素、特にN-アリルチオ尿素、並びにヒドロキシルアミン誘導体、特にN-ニトロソシクロヘキシルヒドロキシルアミンの塩、有利にはカリウム塩、カルシウム塩およびアルミニウム塩である。上記のとおり、後者は熱的に開始された重合の阻害剤として同時に役立つことができる。還元剤は一般に、基材層の全質量に対して0.005質量%~5質量%の量で添加され、多くの場合、併用される色素の量の3~10倍の添加が有効であることが実証されている。
基材層へのUV吸収剤の添加も利点を有し、且つレリーフの構築に良い影響を及ぼすことができる。UV吸収剤として、例えばA.Valet, Lichtschuzumittel fuer Lacke、20以降、Vincentz Verlag Hannover 1996内に記載される化合物、例えばヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシフェニル-s-トリアジン、オキサルアニリド、ヒドロキシフェニルピリミジン、サリチル酸誘導体およびシアノアクリレート、およびそれらの任意の組み合わせが用いられる。
特定の組成物中で基材層の材料の表面で集まろうとする化合物が、表面活性物質に属する。特に、界面活性剤、疎水性領域と親水性領域とを有する両親媒性分子、および低減された表面エネルギーを有するブロックを含有するブロックコポリマーおよびオリゴマーがこれに属する。しかしながら、基材層の配合物と不相溶性であり且つ/またはその特に低い表面エネルギーに基づき表面に移動する低分子~高分子の物質、例えばワックス、シリコーン、シランおよびフッ素化化合物を用いることもできる。好ましくは、ワックス、例えばパラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスおよびそれらの任意の混合物が用いられる。好ましくは、基材層は少なくとも1つのワックスを、基材層の全質量に対して0.1質量%~10質量%の範囲の濃度で含有する。好ましくは、前記のワックス濃度は、0.2~5質量%、特に好ましくは0.5質量%~5質量%の範囲、非常に特に好ましくは0.5質量%~4質量%の範囲である。
これらの界面活性物質および特にワックスは、酸素についての可動性の遮断層としての作用を発揮でき、且つ/または施与された液体の液滴の過剰な広がりを防ぐことができる。このことによって、酸素阻害固定化反応が速くなり且つその精密度が高くなる。比較的低分子のワックスおよび界面活性物質を使用する場合の利点は、それらが常に、新たに生成された表面に移動しようとし、それによって、個々の施与段階の間に障壁もしくは広がり防止機能が何度も回復され得ることである。有利には、エラストマー結合剤、例えばスチレン・ブタジエンゴム、ニトリル・ブタジエンゴム、ブチルゴム、スチレン・イソプレンゴム、スチレン・ブタジエン・イソプレンゴム、ワックス、例えばパラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスが使用される。
好ましくは、少なくとも1つの液体の粘度は0.1mPa・s~10Pa・sの範囲、好ましくは0.1mPa・s~1Pa・sの範囲、特に好ましくは0.1~500mPa・sの範囲、非常に特に好ましくは0.1mPa・s~200mPa・sの範囲である。特別な実施形態において、前記粘度は0.1mPa・s~10mPa・sの範囲である。粘度についての記載は、温度20℃に基づく。
好ましくは、基材表面と液体との表面張力は、基材層表面と液体との間でできるだけ高い接触角が生じ、且つ液体が大面積で広がることが回避されるように選択される。接触角は好ましくは5°~110°の範囲、好ましくは5°~90°の範囲、特に好ましくは5°~50°の範囲である。これは、基材層の表面張力を、例えば低い表面張力を有する結合剤および/または表面活性物質、例えばワックスを用いて低下させることによって可能である。さらに、低い表面張力を有する材料を施与することによって、例えばワックスまたはフッ素化化合物を施与することによって、基材層の表面張力を変えることができる。
例えば極性物質を用いることによって、および/または極性の添加剤、例えば極性溶剤および添加剤を用いることによって、液体の表面張力を高めることもできる。その際に生成される混合物は、溶液、エマルションおよび/または懸濁液であってよい。液体および基材層の適した組み合わせの選択は、簡単な接触角の測定を介して最適化できる。このために、基材層の主成分および/または基材層をフィルム形態で、個々の成分および/または液体の液滴と共に準備し、接触角を測定できる。
前記少なくとも1つの液体は、ポリマー、オリゴマー、モノマー、およびそれらの任意の組み合わせから選択され得る少なくとも1つの第1の反応性成分を含む。前記少なくとも1つの第1の反応性成分は、反応することができる。その反応能力は、その成分自体または相応の化学基または官能性により存在し得る。反応として、重合および/または架橋反応、例えばラジカル反応、イオン反応、縮合反応、付加反応、およびそれらの任意の組み合わせを用いることができる。有利には、前記反応はラジカル重合および/または架橋である。前記第1の反応性成分は、低分子化合物または希薄なオリゴマー化合物、またはそれらの任意の組み合わせであってよい。オリゴマー化合物の場合、ブロック状に、交互に、またはランダムに配置され得る1つまたは複数の基本構造ブロックから構成され得る、線状、分枝、星型および/または樹状の構造であってよい。前記第1の反応性成分は一般に、1000g/mol未満の範囲の分子量を有する。前記分子量は、好ましくは800g/mol未満、特に好ましくは600g/mol未満、非常に特に好ましくは500g/mol未満であり、且つ300g/mol未満であってもよい。第2の反応性成分が液体中に拡散する場合、分子量に上限はない。
第1の反応性成分の重要な特性は、基材層中での拡散速度である。それは一方では、短い作用時間を達成するために高くなければならないが、熱または放射線の作用による固定が起きることができる前に、速すぎる拡散によって、膨潤されたレリーフ構造がレベリングされないほど高くてはならない。
第1の反応性成分の選択は、基材層中でのその相溶性もしくは可溶性にも依存する。その際、できるだけ高い相溶性および可溶性が有利である。
好ましくは、少なくとも1つの第1の反応性成分は、C-C二重結合、C-C三重結合、アクリル基、メタクリル基、ビニルエーテル基、ビニルエステル基、チオビニルエステル基、ビニルカーボネート基、-S-H基、-N-Hn(CHxRy)m(前記式中、n+m=2およびm≧1且つx+y=3且つx≧1)およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの反応性基を含有する。好ましくはC-C二重結合、C-C三重結合、アクリル基、メタクリル基、ビニルエーテル基、特に好ましくはアクリル基、メタクリル基、-S-H基、-N-Hn(CHxRy)m基(前記式中、n+m=2且つm≧1且つx+y=3且つx≧1)である。第1の反応性成分は、少なくとも1つの先述の反応性基を有するべきであるが、2つ以上の反応性基を有してもよく、これは特に架橋の際に有利であり、その際に有利に用いられる。
好ましくは、第1の反応性成分は、液体全体に対して5~100質量%の範囲、好ましくは10~100質量%の範囲、特に好ましくは20~99質量%の範囲、非常に特に好ましくは50~99質量%の範囲の濃度で含有される。
好ましくは、第1の反応性成分は、少なくとも1つのエチレン性不飽和基を含有するエチレン性不飽和化合物である。エチレン性不飽和化合物として、各々選択されたポリマー結合剤と適合性があるものが考えられる。一般に、それは室温で気体状ではない化合物である。好ましくは、前記エチレン性不飽和化合物は、少なくとも2つのエチレン性不飽和基、特に好ましくは2~6つのエチレン性不飽和基、非常に特に好ましくは2つのエチレン性不飽和基を含有する。C-C三重結合を有する化合物を放射線感受性混合物中で用いることもできる。有利には、そのエチレン性不飽和基は、少なくとも1つのアクリレート基および/またはメタクリレート基であるが、アクリルアミドおよびビニルエーテルを用いることもできる。エチレン性不飽和化合物は、モノマー、オリゴマーまたはポリマーとして、且つ線状、分枝、星型または樹状の形態で存在できる。
好ましくは、特にアクリル酸および/またはメタクリル酸の誘導体、例えば一価または多価アルコールとのそれらのエステル、例えば1~20個の炭素原子を有するアルカナールのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル、例えばメチルメタクリレート、エチルアクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2~20個の炭素原子を有する多価アルコールの(メタ)アクリルエステル、例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)-アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオール-1,4-ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,1,1-トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ジ-、トリ-およびテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、さらにポリ(エチレンオキシド)ジ(メタ)アクリレート、m-メチルポリ(エチレンオキシド)-イル-(メタ)アクリレート、Ν,Ν-ジエチルアミノエチルアクリレート、1molのグリセリン、1molのエピクロロヒドリンおよび3molのアクリル酸からの反応生成物、並びにグリシジルメタクリレートおよびビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルアクリレートである。
アクリルアミドの誘導体およびメタクリルアミドの誘導体、例えば一価および多価アルコール、例えばエチレングリコール、グリセリン、1,1,1-トリメチロールプロパン、オリゴマーまたはポリマーのエチレンオキシド誘導体とのそれらのN-メチロール誘導体のエーテルも適している。これらは、ポリアミドまたはポリビニルアルコールが結合剤として用いられる場合に特に適している。
いわゆるエポキシド(メタ)アクリレートおよびウレタン(メタ)アクリレート、例えばビスフェノール-A-ジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応によって、またはジイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの、またはヒドロキシ基含有ポリエステルまたはポリエーテルとの反応によって得られるものも適している。さらに、使用可能なオレフィン性不飽和化合物は、アクリル酸またはメタクリル酸のエステル、特に低沸点を有し且つ、相溶化剤で、例えばヒドロキシ基、アミド基、スルホエステル基またはスルホンアミド基で変性されているものである。上記で挙げられた共重合性エチレン性不飽和有機化合物の混合物も使用できる。
-S-H基を有する成分についての例は、線状、分枝、環状または樹状のチオール、芳香族チオールおよびそれらの任意の組み合わせである。有利には、低揮発性のチオールが用いられる。そのようなチオールについての例は、ペンタエリトリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリトリトールテトラメルカプトアセテート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(3-メルカプトプロピオネート)であり、それらを任意の組み合わせで用いることもできる。
-N-Hn(CHxRy)m基(前記式中、n+m=2且つm≧1且つx+y=3且つx≧1)を有する成分についての例は、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、N-メチルジエタノールアミン、モノ-、ジ-およびトリイソプロパノールアミン、モルホリンおよび誘導体であり、それらを任意の組み合わせで用いることもできる。
好ましくは、前記少なくとも1つの液体は、少なくとも1つの開始剤、触媒、開始剤系、安定剤、色素、顔料、添加剤、UV吸収剤、可塑剤およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択されるさらなる成分を含有する。液体中のさらなる成分は、それらが液体の粘度を高めすぎなければ、基材層に関連してそれぞれ記載された成分と同一であってよい。これについての例は、上記で既に記載されている。液体のさらなる成分の濃度は、液体全体に対して0~50質量%の範囲、好ましくは0~50質量%の範囲、特に好ましくは1~20質量%の範囲、非常に特に好ましくは1~5質量%の範囲である。個々のさらなる成分の濃度は、0質量%~10質量%で変化できる。
基材表面に施与する前の液体の反応を回避するために、液体が重合可能または架橋可能な第1の反応性成分と開始剤または触媒との組み合わせを含有しない場合が好ましい。液体は特に好ましくは開始剤不含である。
好ましくは、前記液体は第1の反応性成分として、触媒、開始剤、または少なくとも2つの成分からの開始剤系を含有し、それは電磁波での照射の際にラジカルを生成し、それが重合および/または架橋を引き起こす。そのような触媒、開始剤および開始剤系は当業者に公知である(上記の第2の反応性成分の箇所参照)。
好ましくは、前記液体は触媒、開始剤または開始剤系を、液体の全質量に対して0.1質量%~99.9質量%の範囲の濃度で含有する。好ましい濃度は、1~99質量%の範囲、特に好ましくは1質量%~80質量%の範囲、非常に特に好ましくは2質量%~60質量%の範囲である。
前記液体が触媒、開始剤および/または開始剤系だけを反応性成分として含有する場合、好ましくは、基材層は、その触媒、開始剤および/または開始剤系によって、架橋されるかまたは可溶性が変えられる成分を含有する。
本発明のさらなる態様は、記載された方法の1つにより得られたレリーフ構造に関する。
本発明のさらなる態様は、そのようなレリーフ構造の印刷版としての使用に関する。前記印刷版は、種々の印刷方法、例えば凸版印刷、凹版印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、タンポ印刷、マイクロエンボスおよびそれらの任意の組み合わせにおいて使用できる。製造されるレリーフ構造のさらなる可能な利用は、光学部品(例えばフレネルレンズ)、回折光学部品(例えば光学格子)、ハスの葉構造またはハスの葉効果を有する要素、生物学的構造の配向した成長のためのテンプレート(例えばセル、不織布)、分離工程におけるメンブレン、分離材料、蓄電池および/またはバッテリー用のメンブレン、または電子部品用の構造化された絶縁装置である。
生じたレリーフ構造上に、レリーフの形態に従わないように構成されている少なくとも1つのさらなる層を施与する場合、互いから分離されるかまたは互いに結合され得るチャネルおよび/または中空空間を有する部品が製造される。このために、さらなる層は、それが凹部に嵌まらないように硬いかまたはフレキシブルではないものであってよいが、適した措置によってそのさらなる層が凹部に嵌まらないようにできる場合は、フレキシブルな層を使用することもできる。これは例えば、液体および/または気体で凹部を充填することによって達成できる。さらなる層の施与後、その液体および/または気体を再度除去できる。そのように製造されたチャネルおよび/または中空空間は、任意に他の材料および/または液体を備えることができる。そのような要素は、マイクロ流体素子(例えば微細分析用または高スループットのスクリーニング用)として、マイクロリアクターとして、泳動セルとして(例えば国際公開第2004/015491号(WO2004/015491)内に記載)、カラー表示のための光制御部品として(例えば国際公開第2003/062900号(WO2003/062900)内に記載)、またはフォトニック結晶として使用できる。さらなる層は例えば、段階g)による後処理の範囲で施与できる。
上記の要素および部品は、硬くおよび/またはフレキシブルであってよい。それらが体の上および/または体内で携帯される、および/または組織および/または衣料品において用いられるべき場合、フレキシブルな実施態様が特に好ましい。