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JP6732903B2 - 凸版印刷版の生成的製造方法 - Google Patents

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Description

先行技術
本発明は、ポリマー基材層を備えた支持体を準備し、かつ基材層の表面にレリーフを層状に形成する、凸版印刷版の製造方法に関する。
例えばフレキソ印刷版のような凸版印刷版は、例えば低粘度の印刷インキを用いて極めて多様な包装の印刷のために使用される。印刷インキとして、大抵は水性のまたはアルコールベースの極性インキが使用される。印刷方法に基づき、軟質であり、弾性であり、かつ極性のフレキソ印刷インキに対して耐性であるフレキソ印刷版が必要とされる。
したがって、通常のフレキソ印刷版は、軟質弾性の無極性結合剤、大抵は、モノマー、可塑剤および1つ以上の光開始剤と組合せたスチレン−イソプレンまたはスチレン−ブタジエンを基礎とするブロックコポリマーを含む(例えばUS 4,323,636参照)。この光重合可能な層は、一般に数ミリメートルの厚みであり、かつ寸法安定性の支持体、大抵はPETシート上に存在する。このレリーフは、フィルムネガを通したUV光による露光によって作製される。露光の際に、露光された領域は架橋するが、それに対してフレキソ印刷版の未露光の領域は可溶性のままであり、かつ適切な有機溶媒中での洗い流しにより除去される。
フィルム露光とは別に、フレキソ印刷版は、レーザーを用いて作製されたマスクを通して露光されてもよい。アブレーション可能な薄いマスク層が、光重合可能な層上に存在する(例えばUS 5,262,275参照)。画像にしたがったアブレーションによりマスクを作製し、引き続きこのマスクを通してUV光で露光する。
光重合可能な層のUV露光が、フィルムを通して行われるか、またはレーザーにより作製された組込式マスクを通して行われるかとは無関係に、引き続き適切な有機溶媒中での洗い流しによりレリーフを作製しなければならない(例えばEP 332 070参照)。
レリーフの洗い流しの際に、フレキソ印刷版の架橋した領域も膨潤する。この溶媒は、乾燥工程で再び除去されなければならない。PET支持体シートの温度敏感性により、フレキソ印刷版の乾燥は最大60℃で実施することができる。必要な乾燥時間は長い。フレキソ印刷版の層の厚みに応じて、30分から数時間までの乾燥時間を必要とする。
したがって、より迅速に現像することができるフレキソ印刷版を開発する試みはなされていないわけではなかった。例えば、フレキソ印刷版は熱的に現像することができる(例えばEP 1 239 329またはEP 1 170 121参照)。この場合、フレキソ印刷版は、画像にしたがった露光の後に溶融温度にまで加熱される。フレキソ印刷版の未露光の領域は、それにより粘着性になり、次いで不織布または織布の載置により引き剥がされる。しかしながら、この方法は、装置的に煩雑である、というのも、十分なレリーフを作製するためには、いくつかの層を順々に引き剥がさなければならないためである。さらに、こうして製造されたフレキソ印刷版の解像度は、溶剤中で洗い流したフレキソ印刷版の解像度よりも低い。
したがって、原則として、レリーフを現像工程により作製するのではなく、生成的に(つまりレリーフを構築するように)製造する方法が望ましい。これにより、凸版印刷版の製造時間をかなり短縮することができ、かつ簡素化することができる。さらに、かなりわずかな材料が必要とされるだけであり、かつこのように製造された印刷版のライフサイクルアセスメントは本質的に改善される。
印刷レリーフをインクジェットを用いて層状に構築する多様な方法が公知である(例えば、EP0641648、US2004/0131778、EP2033778、WO2012/175525、WO2014/095361、US2008/0053326参照)。
これらの特許文献の一般的な原理は、反応性モノマー混合物、例えばモノマー/光開始剤混合物を、インクジェット印刷法を用いて、画像にしたがって適切な基材上に塗布し、かつできる限り即座にUV光を用いて固定化または硬化させるため、塗布された液滴は拡がることがないか、または混ざり合うことがないことである。レリーフは、例えばいくつかの層を順々に塗布することにより構築される。
しかしながら、フレキソ印刷版をインクジェット印刷法により構築することは、重大な欠点を有する。インクジェット印刷ヘッドを介して、低粘度の液体を適用することができるにすぎない。通常では、限界粘度は、<15mPasの粘度である。したがって、比較的小さな分子だけを、反応性モノマー混合物の調製のために使用することができるにすぎない。これらのモノマーは、フレキソ印刷版のために必要であるような軟質弾性の、耐久性の材料を形成することができない。この反応性モノマーは、大抵はアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの部類から選択されるため、構築された材料は硬質すぎるか、または十分に柔軟であるが、極性のフレキソ印刷インキに対して耐久性ではない。
US2008/0053326は、弾性プレポリマーまたはポリマーをインクジェット印刷法によって塗布しかつ架橋させ、かつフレキソタイプのレリーフ材料を層状に構築する方法を記載している。これらの材料は、インクジェット法を介して適用することができる流動性の溶融物を得るために、加熱されなければならない。
EP 1552922は、固体粒子をキャリア液体中に分散させ、次いでこの分散液をインクジェット印刷法で層状に適用することにより、粘度の問題を回避している。しかしながら、この方法の場合に、キャリア液体を再び除去しなければならず、この方法は手間がかかる。
US6641772は、フレキソタイプの材料を構築することができる立体リソグラフィー法を記載している。この場合、温度敏感性の樹脂溶液または溶融物を、IRレーザーで点状に加熱し、かつ三次元構造物に熱的に硬化させる。この方法は、装置的に手間がかかる。
したがって、フレキソ印刷版を簡単でかつ確実に製造することができる生成的な(つまりレリーフを構築するような)方法の必要性が生じる。ことに、必要な軟質弾性およびエタノールベースのまたは水性の印刷インキに対して必要な耐膨潤性を有する、生成的なフレキソ印刷版の必要性が生じる。
意外にも、塗布された反応性の液体ができる限り即座に固定化されないかまたはUV放射線で硬化されずに、反応性の液体が適切なポリマー支持材料内へ拡散侵入するために十分な時間が与えられ、その後、次の液体層が塗布され、かついくつかの層または全ての層が適用された後に初めて硬化を実施する場合に、印刷インキに対して良好な耐久性を有しかつ必要な軟質弾性を有するレリーフが得られることが見出された。
したがって、ポリマー基材層を有する支持体を準備し、基材層の表面にレリーフを層状に形成する凸版印刷版の製造方法が提案される。レリーフは、
a) ポリマー基材層の表面上へ少なくとも1つの反応性モノマーを含む液体を1回または数回適用し、
b) ポリマー基材層内へ反応性モノマーを、所定の作用時間拡散侵入させ、かつ
c) レリーフを硬化させることにより形成され、
ここで、工程a)において、液体を画像にしたがって表面上へ塗布し、かつ所定の作用時間後に場合によりまだ表面上に残留する拡散侵入していない液体を表面から除去し、かつ工程c)において、基材層のポリマーおよび拡散侵入した反応性モノマーを含むレリーフの硬化が行われる。
レリーフを形成するために塗布された液体は、少なくとも1つの反応性モノマーを含み、このモノマーは提案された方法で基材層内へ拡散侵入する。反応性モノマーが基材層に吸収された後に初めて、反応性モノマーを固定化する硬化が行われる。硬化後には、反応性モノマーの基材層内へのさらなる拡散は行われない。反応性モノマーがポリマー基材層内へ侵入することにより、レリーフがポリマー基材層上に構築されるのではなく、ポリマー基材層自体が拡散侵入した材料に基づき持ち上げられ、かつレリーフが形成される。先行技術による方法とは反対に、レリーフの材料は適用された液体によるだけかまたは反応性モノマーによるだけで定められるのではなく、レリーフまたは個々のレリーフ層は、ポリマー基材層の材料と反応性モノマーとの混合物によって構築される。したがって、レリーフの材料は、液体中に含まれる反応性モノマーとポリマー基材層の材料との組合せから生じる。
レリーフは層状に構築され、その際、レリーフのために使用されるレリーフ層の数は、個々のレリーフ層の高さと、レリーフの所望の全体の高さまたは深さとに依存する。この場合、レリーフの深さは、印刷版の使用目的に依存する。フレキソ印刷の場合には、300μm〜3000μmの範囲内のレリーフ深さを有する凸版印刷版が使用される。フレキシブルな包装の印刷の際に、レリーフ深さは300μm〜700μmである。他の用途の場合には、例えばプリント配線板または他の基材上に導電性構造を作製する電子工学分野の場合には、10μm〜100μmの範囲内のレリーフ深さを有する凸版印刷版が必要とされる。
表面上に液体を適用しかつ基材層内に反応性モノマーを拡散侵入させる工程は、場合により複数のレリーフ層によって完全なレリーフが構築されるまでしばしば繰り返される。個々のレリーフ層の各々は、この場合、全体のレリーフを貫く水平方向の断片を表す。したがって、レリーフ層の形成のために、作製されるべきレリーフにより予め設定された塗布パターンが生じるように、液体を画像にしたがって表面上に適用する。塗布パターンは、例えば、作製されるべきレリーフの形状を貫く水平方向の断片を算出することにより得ることができ、この際、作製されるべきレリーフ層のための塗布パターンは、相応する高さまたはレリーフ深さでレリーフの形状を貫く水平方向の断片の形によって与えられる。この場合、この方法の実施バリエーションに応じて、全てのレリーフ層の厚みは同じにまたは異なるように選択することができる。例えば、レリーフ層の厚みはレリーフ深さが増大すると共に減少することも可能である。同様に、レリーフ層の特性を、レリーフ深さが増大すると共に、例えば他の反応性モノマーを含む他の液体の使用により変更することも考えられる。
液体の適用に続いて、ポリマー基材層内への反応性モノマーの拡散侵入が所定の作用時間行われる。典型的に、作用時間は、10秒〜3600秒の範囲内にある。作用時間は、この場合、ポリマー基材層内への反応性モノマーの拡散速度に依存し、つまり反応性モノマーがポリマー基材層によってどの程度速く吸収されるかに依存する。拡散速度は、また、使用される反応性モノマー、およびポリマー基材層の使用される材料に依存する。レリーフの材料は反応性モノマーだけからなるべきではないので、好ましくは、適用された反応性モノマーが、作用時間の経過後には基材層により吸収されているように作用時間を設定することが予定される。この場合、反応性モノマーは、作用時間の経過後に、反応性モノマーの適用された量の10%未満がポリマー基材層の表面上にまだ存在する場合に、基材層により吸収されたと見なされる。特に好ましくは、適用された液体または反応性モノマーは、作用時間の経過後に、完全に吸収されるので、基材層の表面上に反応性モノマーは残らない。
作用時間の経過後に、基材層の表面上に反応性モノマーがまだ存在する場合、表面上に残留する反応性モノマーを除去することが予定される。したがって、レリーフの材料は、基材層の材料と、基材層内へ拡散侵入した反応性モノマーとから形成される。したがって、レリーフ層の厚みは、反応性モノマーの基材層の材料内への拡散速度、作用時間、および場合により適用された液体の量、または適用された反応性モノマーの量に依存する。
反応性モノマーの基材層内への拡散速度は、さらに、レリーフまたはレリーフ層の側面のプロフィールに影響を及ぼす。これは、拡散が基材層の表面に対して垂直方向に行われるだけでなく、基材層の平面内にある方向でも行われることに基づいている。低い拡散速度でかつ短い作用時間の場合には、急峻な側面が生じる。作用時間が増大しかつ拡散速度が増大すると共に、側面の急峻性は低下する。したがって、最後に適用される最上のレリーフ層について、最初に適用される下側のレリーフ層についての場合よりも低い拡散速度を有する反応性モノマーを選択することが好ましい。あるいはまたはさらに、最後に適用される最上のレリーフ層についての作用時間を、最初に適用される下側のレリーフ層についての場合よりも短く選択することが好ましい。このようにして、レリーフ内の画像の鮮鋭度は高められ、この場合、同時に全体のレリーフの構築のために必要な時間は最短にされる。
好ましくは、まずポリマー基材層内で高い拡散速度を有する反応性モノマーを使用し、後でポリマー基材層内でより低い拡散速度を有する他の反応性モノマーを使用することを予定することができる。このように、レリーフ層の各々についてほぼ同じ作用時間で、まず大きな厚みを有するレリーフ層を作製することができるので、全体のレリーフはできる限り迅速に構築される。さらに外側にある層の場合には、レリーフ内での所望の画像を精密に描画するために、より低い拡散速度を有する反応性モノマーに交換される。
少なくとも1つの反応性モノマーを含む液体の適用の後でかつ所定の作用時間の経過後に、工程c)に従って、レリーフの硬化を行うことが予定される。レリーフの硬化の際に、反応性モノマーは基材層のポリマーと共に三次元的網目構造を形成し、かつ基材層内での反応性モノマーのさらなる拡散は停止される。典型的に、硬化のために必要な作用は、使用された反応性モノマーおよび場合により使用された光開始剤に依存する。硬化は、例えば熱または放射線の作用により行うことができる。好ましくは、反応性モノマーは、電磁放射線、ことに紫外光の作用により硬化することができる光開始剤と組合せて使用される。好ましくは、光開始剤は、この場合、液体に添加されるのではなく、基材層内に含まれる。紫外光(UV光)は、100nm〜400nmの範囲内の波長を有する。特に、この場合、UV−A放射線の作用により硬化することができる反応性モノマーが好ましい。UV−A放射線は、320nm〜400nmの範囲内の波長を有する。凸版印刷版の表面を非粘着化するために、引き続きUV−C放射線によるさらなる硬化を行うことができる。UV−C放射線は、100〜280nmの範囲内の波長を有する。
硬化のために、例えば、UV光源、ことにUV−A領域内の放射線を有する光源を予定することができる。例えば、UV光源は、支持体の全体の表面にわたり照らすために支持体に対して相対運動するLED(発光ダイオード)ストリップとして構成されていてよい。
好ましくは、工程a)〜c)を1回経過させることが予定される。この場合、好ましくは、工程a)において、基材層の表面上への液体の1回の適用が行われる。工程a)による液体の適用に続いて、工程b)およびc)がこの順序で行われるため、液体と共に適用された反応性モノマーは基材層内へ拡散侵入し、引き続き、反応性モノマーとポリマー基材層の材料とを含むレリーフが硬化される。
これとは別に、好ましくは、工程a)およびb)を2〜100回経過させ、ここで、それぞれ拡散侵入の工程を液体の塗布の工程に続けて行い、工程b)の最後の経過の後に、工程c)による硬化を行うことが予定される。
この場合、工程c)による硬化を、付加的に工程a)およびb)のn回の経過後毎に実施し、ここでnは自然数であり、かつ2〜10から選択されることを予定することができる。工程c)による硬化の付加的な実施は、この場合、中間硬化であり、この中間硬化により、ポリマー基材層内へ拡散侵入した反応性モノマーは硬化されかつそれにより固定化されるため、既に拡散侵入した反応性モノマーのポリマー基材層の材料内でのさらなる拡散は妨げられる。この硬化は、この場合、好ましくは、全てのレリーフ層の適用後に予定される硬化と同じ様式で行われる。
工程a)による液体の適用は、液体を表面上に画像にしたがってまたは構造化する塗布を可能にする全ての方法を用いて行うことができる。この場合、塗布の構造は、レリーフ上に作製されるべき画像に対応する。
反応性の液体の層を適用するために、例えば、ポリマー基材層の表面上にマスクを適用することができ、液体を塗布すべきではない基材層の表面の領域がマスクで覆われる。マスクの適用後に、液体の平面的な塗布を行い、ここで、液体は、マスクを通してポリマー基材層の表面に達し、かつ引き続きマスクの除去が行われる。この場合、マスクの除去は、液体の塗布直後にまたは所定の作用時間の経過後に初めて行うことができる。平面的な塗布は、例えば、支持体を、ポリマー基材層上に適用されたマスクと共に液体浴に通すか、または液体浴内に浸漬することにより行うことができる。あるいは、反応性の液体を、ブレード塗布、吹き付け塗布によるかまたは適切なローラ塗布法を用いて、マスクで覆われた基材層上に平面的に塗布することができる。
この方法の際に使用される液体は、少なくとも1つの反応性モノマーを含む。液体は、ことに、2つ以上の異なるモノマーからなる混合物を含んでいてもよい。任意に、液体は、付加的に光開始剤を含む。液体は、含まれる反応性モノマーに基づき、反応性の液体とも言われる。
好ましくは、少なくとも1つの反応性モノマーは、使用される支持体に対する関係で、反応性モノマーのポリマー基材層の材料内での拡散速度が0.5μm/min〜100μm/minの範囲内、好ましくは2μm/min〜50μm/minの範囲内にあるように選択される。
拡散速度は、通常では温度に依存する。好ましくは、反応性モノマーのポリマー基材層の材料内での所望の拡散速度は、基材層の表面上への液体の塗布が行われる温度で達成される。
例えば、液体の塗布は、20〜120℃の範囲内の温度で行われる。塗布温度の自明の上限は、反応性モノマーの沸点により与えられる。通常では、最大塗布温度は、反応性モノマーの沸点未満である。
反応性モノマーは、例えば、ラジカル硬化することができるエチレン系不飽和化合物であることができる。あるいは、反応性モノマーは、カチオン性のメカニズムにより硬化することができるエポキシ官能基またはアジリジン官能基を含むこともできる。
好ましいモノマーは、少なくとも1つの重合可能なエチレン系不飽和二重結合を有する。アクリル酸もしくはメタクリル酸と単官能性もしくは多官能性アルコール、アミン、アミノアルコールもしくはヒドロキシエーテルおよびヒドロキシエステルとのエステルまたはアミド、フマル酸もしくはマレイン酸のエステル、またはアリル化合物が特に好ましいことが判明した。全く特に好ましいモノマーは、モノアクリラート、ジアクリラート、およびトリアクリラート、ならびにモノメタクリラート、ジメタクリラート、およびトリメタクリラートである。
適切なモノマーの例は、メチルメタクリラート、エチルアクリラート、プロピル(メタ)アクリラート、ブチル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシルアクリラート、ラウリルアクリラート、ブタンジオールジ(メタ)アクリラート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート、ノナンジオールジ(メタ)アクリラート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、エチレングリコール(メタ)アクリラート、エチレングリコールジ(メタ)アクリラート、トリ−もしくはテトラエチレングリコール(メタ)アクリラート、グリセリンジ(メタ)アクリラート、プロピレングリコールモノ−もしくは−ジ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリラートおよびポリ(酸化エチレン)アクリラートもしくは−メタアクリラート、またはポリ(酸化プロピレン)アクリラートもしくは−メタアクリラートである。
他の適切な反応性モノマーは、グリシジル(メタ)アクリラート、フェニルグリシドエーテル(メタ)アクリラート、ベンジル(メタ)アクリラート、シクロヘキシル(メタ)アクリラート、イソボルニル(メタ)アクリラート、ジヒドロジシクロペンタジエニル(メタ)アクリラート、リモネン(メタ)アクリラート、ヘキセン(メタ)アクリラート、ジメチルアミノ−エチル(メタ)アクリラート、およびビスフェノール−A−ジグリシドエーテルジ(メタ)アクリラートであることができる。さらに、例えばヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミドのようなアクリルアミドまたはメタクリルアミドが適切である。適切なフマラートは、例えばジエチルフマラート、ジブチルフマラート、ジオクチルフマラートである。適切なマレイン酸誘導体は、例えばジブチルマレアート、ジオクチルマレアート、ラウリルマレインイミドである。
さらに、ポリエステル(メタ)アクリラート、ポリエーテル(メタ)アクリラート、ポリウレタン(メタ)アクリラート、ポリブタジエン−(メタ)アクリラート、ポリイソプレン−(メタ)アクリラートが適している。アクリラートまたはメタクリラートは、例えばアミド基、スルホン酸エステル基、またはスルホン酸アミド基のような他の官能基を含んでいてよい。部分フッ素化されたまたは完全にフッ素化されたアクリラートまたはメタクリラート、およびシリコーンアクリラートも適している。
もちろん、いくつかの異なるモノマーの混合物を使用してもよい。
モノマーの選択は、もちろん、ポリマー支持体層の材料にも依存する。本発明による方法を用いて無極性の軟質弾性のフレキソ印刷版を構築すべき場合、特に好ましいモノマーは、エチルヘキシルアクリラート、ヘキサンジオールジアクリラート、ヘキサンジオールジメタクリラート、ドデカンジオールジアクリラート、ドデカンジオールジメタクリラート、シクロヘキシルアクリラート、シクロヘキシルメタクリラート、イソボルニルアクリラート、イソボルニルメタクリラート、およびジヒドロジシクロペンタジエニルアクリラートまたはジヒドロジシクロペンタジエニルメタクリラートである。
少なくとも1つの反応性モノマーは、液体中で、好ましくは50質量%〜100質量%の割合で、特に好ましくは80質量%〜100質量%の割合で含まれている。全く特に好ましくは、反応性の液体は、モノマーを90質量%より多く含む。
任意に、液体は、さらに他の成分を含んでいてよい。他の成分は、好ましくは、光開始剤、可塑剤、乳化剤、拡散助剤、溶媒、および表面活性物質から選択される。表面活性物質により、例えばポリマー基材層の表面上での液体の濡れ挙動を制御することができる。
液体は、任意に光開始剤を含んでいてよい。液体中の光開始剤の量は、0質量%〜10質量%であってよい。
使用された支持体は、好ましくは複合材料として形成されていて、かつポリマー基材層の他に、一般に寸法安定性の支持体、例えばポリエステルシートまたはアルミニウムもしくは鋼のような金属箔のような寸法安定性の支持体シートを含む。本発明の一実施形態の場合に、支持体は、寸法安定性の胴スリーブである。場合により、寸法安定性のシート、寸法安定性の金属支持体または寸法安定性の胴スリーブと基材層との間に別の中間層が配置されていてよい。このような中間層は、例えば接着媒介層であってよい。
寸法安定性の支持体シート用の材料として、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンナフタラート(PEN)、またはポリカルボナート(PC)が挙げられる。ことに、100〜200μmの厚みを有するPETシートが適している。
凸版印刷版が円筒形(スリーブ)を有するフレキソ印刷エレメントである場合、寸法安定性の胴スリーブとして、円形のポリエステルスリーブの他に、ガラス繊維で強化されたポリエステルスリーブ、またはニッケルスリーブのような他の円形の支持体材料も挙げられる。
ポリマー基材層の結合剤は、主にそれぞれの印刷方法の要件に依存する。本発明による方法は、フレキソ印刷法に限定されない。例えば凸版印刷法またはグラビア印刷法で使用される硬質凸版印刷版を製造すべき場合、支持体層用の結合剤として、例えばポリビニルアルコール、部分的にけん化されたもしくは高度にけん化されたポリビニルアセタート、またはポリアミドのような硬質ポリマーが使用される。
フレキソ印刷のために典型的な、印刷版の軟質弾性特性を達成するために、ポリマー基材層の結合剤として、好ましくは軟質エラストマー材料が使用される。
軟質エラストマー材料として、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエンとスチレンとのコポリマー、イソプレンとスチレンとのコポリマー、スチレン−ブタジエン−ブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−ブロックコポリマー、スチレン−エチレン/ブチレン−ブロックコポリマー、スチレン/イソプレン/ブタジエン/スチレン−ブロックコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、シリコーンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ポリイソブチレン、および軟質弾性ポリウレタンが挙げられる。
好ましくは、熱可塑性に加工可能なエラストマーのブロックコポリマーが使用される。熱可塑性エラストマーのブロックコポリマーは、主にアルケニル芳香族化合物からなる少なくとも1つのブロックと、主に1,3−ジエンからなる少なくとも1つのブロックとを含む。アルケニル芳香族化合物は、例えばスチレン、α−メチルスチレン、またはビニルトルエンであることができる。好ましくは、これはスチレンである。1,3−ジエンは、好ましくはブタジエンおよび/またはイソプレンである。これらのブロックコポリマーは、線状、分枝状、または放射状のブロックコポリマーであることができる。一般に、A−B−A型のトリブロックコポリマーであるが、A−B型のジブロックポリマーであることもでき、または複数の交互にエラストマーのブロックと熱可塑性ブロックとを有するブロックコポリマー、例えばA−B−A−B−Aであることもできる。2つ以上の異なるブロックコポリマーの混合物を使用してもよい。市販のトリブロックコポリマーは、頻繁に所定の割合のジブロックコポリマーを含む。ジエン単位は、1,2−結合されていてもよくまたは1,4−結合されていてよい。さらに、スチレンからなる末端ブロックと、統計的スチレン−ブタジエン中間ブロックとを有する熱可塑性のエラストマーのブロックコポリマーも使用できる。もちろん、いくつかの熱可塑性のエラストマーのブロックコポリマーの混合物を使用してもよい。
さらに、部分的にもしくは完全にフッ素化されているか、またはフッ素化された側鎖中に組み込まれている熱可塑性に加工可能なエラストマーのブロックコポリマーを使用することができる。これらのポリマーは、基材層に、低いレリーフを用いた印刷の際に、ことに電子工学分野での用途の場合に好ましく作用するインキ反発性の特性を付与する。
ポリマー基材層の熱可塑性のエラストマー材料は、好ましくは主に、ポリ(スチレン−ブタジエン−スチレン)(SBS)、ポリ(スチレン−イソプレン−スチレン)(SIS)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、および他のSBブロックコポリマーから選択されるポリマーからなる。Styroflex(登録商標)の商品名で市場で入手可能であるポリ(スチレン−ブタジエン/スチレン−スチレン)ブロックコポリマーも良好に適している。
ポリマー基材層内で使用された結合剤もしくはポリマーの全体量は、基材層の全成分の合計を基準として、通常では50〜100質量%、好ましくは50〜90質量%、特に好ましくは60〜85質量%である。
好ましくは、ポリマー基材層は、1つ以上の光開始剤を含む。適切な光開始剤もしくは光開始剤系は、ベンゾインもしくはベンゾイン誘導体、例えばメチルベンゾインもしくはベンゾインエーテル、ベンジル誘導体、例えばベンジルケタール、アシルアリールホスフィンオキシド、アシルアリールホスフィン酸エステル、多核キノン、またはベンゾフェノンを含む。ポリマー基材層内の光開始剤の量は、基材層の全成分の量(質量)を基準として、一般に0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%、特に好ましくは1.5〜3質量%である。
ポリマー基材層の材料が光開始剤を含む際には、反応性モノマーを含む液体は光開始剤を含まない場合が好ましい。反応性モノマーは、基材層の表面に適用した後にこの中に拡散侵入し、かつ基材層内に光開始剤が既に存在するため、液体に光開始剤を添加する必要はない。液体中の光開始剤を省くことにより、この液体はより簡単でかつより確実に取り扱うことができる、というのも、基材層に適用する前の不所望な硬化の危険が低減されるためである。
ポリマー基材層用に使用される材料は、好ましくは、反応性モノマーを含まないか、または反応性モノマーを10質量%未満含む。反応性モノマーは液体と共にポリマー基材層内へ拡散侵入するため、ポリマー基材層は、反応性モノマーを含む必要はない。ポリマー基材層内での反応性モノマーのできる限り低い含有率がさらに好ましい、というのも、作製されたレリーフの特性は、主に結合剤、またはポリマー基材層の材料により決定されるためである。
しかしながら、印刷技術的な視点から、ポリマー基材層が、少量の、好ましくは10質量%未満の反応性モノマーを含んでいることが好ましいことがある。レリーフの構築および硬化の後に、次いで浮き出たレリーフ部分だけが硬化されるばかりか、レリーフ印刷版の全ての領域が硬化されるため、レリーフ基体中でも浮き出たレリーフ領域中でも均質な機械的特性を有する凸版印刷版が生じる。
ポリマー基材層は、任意に1つ以上の可塑剤を含むことができる。可塑剤の例は、パラフィン系、ナフテン系または芳香族系の鉱物油、合成オリゴマーもしくは樹脂、例えばオリゴスチレン、高沸点エステル、オリゴマーのスチレン−ブタジエンコポリマー、オリゴマーのα−メチルスチレン/p−メチルスチレンコポリマー、液状のオリゴブタジエン、液状のポリイソプレン、ことに、500〜5000g/molの平均分子量を有する可塑剤、または液状のオリゴマーのアクリルニトリル−ブタジエン−コポリマーまたはオリゴマーのエチレン−プロピレン−ジエンコポリマーを含む。好ましい可塑剤は、ホワイトオイル、ブタジエン油、およびパラフィン油を含む。
ポリマー基材層中の全可塑剤の量は、原則として1〜50質量%、好ましくは1〜30質量%である。可塑剤の量は、それぞれの結合剤系にも依存する。スチレン−イソプレン−結合剤系を基礎とする凸版印刷板の場合、1〜10質量%の可塑剤量が好ましいことが明らかとなった。スチレン−ブタジエン−結合剤系を基礎とする凸版印刷版の場合、20〜40質量%の可塑剤量が好ましいことが明らかとなった。
任意に、ポリマー基材層は、さらに鉱物性充填剤、圧縮性添加剤、顔料または染料のような別の添加物を含むことができる。充填剤として良好に適しているのは、例えば、基材層の表面トポグラフィーを変更し、かつ印刷において色移りに影響を及ぼすことができるケイ酸塩または石英粉である。微小球の添加により、基材層の圧縮性を高めることができる。
充填剤の量は、通常では、ポリマー基材層の全成分を基準として、50質量%未満、好ましくは20質量%未満である。
さらに、ポリマー基材層は、例えばワックス、シリコーン油、またはフッ素化された化合物のような表面活性物質を含むことができる。上述のように、電子工学分野で使用されるような低いレリーフを有する凸版印刷版のために、ポリマー基材層の表面をインキ反発性にする必要があることがある。これは、ポリマー基材層の表面に拡散しかつそこで疎水性の、つまりインキ反発性の保護フィルムを形成する表面活性物質の添加により達成される。しかしながら、保護フィルムはモノマーに対して透過性であることが好ましい、そうでないと拡散もレリーフ構築も可能でないためである。
ポリマー基材層中の表面活性物質の割合は、通常では5質量%未満、好ましくは2質量%未満である。
ポリマー基材層の表面上に、大抵はさらに保護するカバーシートが存在し、このカバーシートは使用の前、つまり反応性の液体を適用する前に引き剥がされる。ここでも、好ましくは50μm〜150μmの厚みのPETシートが良好に適している。カバーシートの容易な引き剥がしを保証するために、カバーシートに付着防止層が備え付けられているか、またはシリコーン処理されたカバーシートを使用することができる。
ポリマー基材層の厚みは、主にそれぞれの用途、または目標とされるレリーフ高さに依存する。ポリマー基材層の厚みは、一般に、目標とされるレリーフ高さよりも高いことが好ましい。わずかなレリーフ高さが必要とされる電子工学分野での用途のために、0.1mm〜1.0mmの厚みのポリマー基材層を使用することができる。典型的なフレキソ印刷のために、0.3mm〜3.0mmのレリーフ高さが必要とされる。ポリマー基材層は、相応して少なくとも0.5mm〜3.0mmの厚みであることが好ましい。段ボールへの印刷のために、6mmまでの厚みのさらにより厚い基材層を使用することもできる。
ポリマー基材層は、キャスティングにより溶液から、または押出およびカレンダー処理により溶融物から製造される。本発明による用途について、被覆幅および被覆長さにわたり、ポリマー基材層の層厚の不変性が決定的に重要である。層厚の最大の偏差は、1mm未満の層厚の場合に、±10μmであることが好ましい。1mm〜3mmの層厚の場合に、この層厚の偏差は、最大で±15μmであることが好ましい。
好ましくは、本発明による実施の前に、それぞれのモノマーまたはそれぞれのモノマー混合物のそれぞれのポリマー基材層内での拡散速度が実験的に測定される。それにより、所望のレリーフ高さを構築するためにどの程度の作用時間が必要とされるかを予想することができる。いくつかのレリーフ層が順々に塗布されるべき場合に、好ましくは、さらに、ポリマー基材層が既に拡散侵入したモノマーを含む場合に、それぞれのモノマーの拡散速度がどのように変わるかを測定する。いくつかのレリーフ層を順々に塗布し、かつその際に中間硬化を実施する場合、好ましくは、既に拡散侵入したモノマーを含みかつ硬化された相応して調製された基材層に関する拡散速度の実験的な決定が実施される。通常では、既に硬化されたポリマーの網目構造を通して拡散が行われる場合には、モノマーの拡散速度は低下する。
本発明の別の態様は、凸版印刷版を製造する装置を提供することである。好ましくは、この装置は、ここに記載された方法を実施するために形成されかつ/または調整されている。したがって、この方法の範囲内で説明された特徴は、装置についても相応して当てはまり、またその逆で、装置の範囲内で説明された特徴は、相応して方法にも当てはまる。この装置は、反応性の液体をポリマー基材層を有する支持体の表面上へ画像にしたがって適用する手段、および支持体層内へ拡散侵入した反応性の液体を硬化する手段を含む。さらに、この装置は、ここに説明された方法の一つを実施するように調整されている。
拡散侵入した反応性の液体を硬化する手段は、好ましくは、支持体の表面を照射することができるUV光源として設計されている。特に好ましくは、UV光源は、LEDストリップの形で構成されていて、このLEDストリップは支持体の幅に架かり、かつ支持体に対して相対運動可能である。
好ましくは、この装置は、さらに、塗布パターンを計算する手段を含み、この場合、この塗布パターンは、反応性の液体が表面のどの領域に塗布されるかを設定する。
本発明および本発明による方法を、次の実施例で詳説する。
液滴の拡散侵入によって形成されたプラトーを示す。 固定化なしで2つのレリーフ層から構築された測定されたレリーフを示す。 固定化ありで2つのレリーフ層から構築された測定されたレリーフを示す。 測定されたレリーフ、試験1、1mmの穿孔ステンシルを通した拡散を示す。 測定されたレリーフ、試験1、3mmの穿孔ステンシルを通した拡散を示す。 測定されたレリーフ、試験1、10mmの穿孔ステンシルを通した拡散を示す。
次の使用物質が使用された(全ての%表示は質量%で表される):
Quintac 3621C、Nippon Zeonのスチレン15%を有する放射状のスチレン−イソプレン−スチレン−ブロックコポリマー。
Kraton KX405、Kratonの24%のスチレン割合を有する線状のスチレン−ブタジエン−スチレン−ブロックコポリマー。
Styroflex 2G66、Styrolutionの65%のスチレン割合を有するスチレン−ブタジエン/スチレン−スチレン−ブロックコポリマー。
Nordel IP4725P、Dowのエチレン70%、プロピレン25%、およびエチリデンノルボルネン5%を有するEPDMゴム。
BDK、BASFのベンジルジメチルケタール。
ホワイトオイルWinog 70、Shellのパラフィン系ホワイトオイル。
Nisso PB1000、Nippon Sodaの>85%の1,2−ビニル割合を有するポリブタジエン油。
Hexamoll DINCH、BASFの1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル。
Syloid ED50、Graceの非晶質二酸化ケイ素、約8μmの平均粒子サイズ。
HDDA、ヘキサンジオールジアクリラート、HDMA2、ヘキサンジオールジメタクリラート、EHA、2−エチルヘキシルアクリラート、BASFのモノマー。
実施例
選択されたモノマーの、選択されたポリマー基材材料内での拡散速度の実験的決定
表1に記載されたポリマー基材層(表1中の全ての表示は質量%で表されている)を次のように製造した。それぞれの結合剤を、記載された可塑剤およびそれぞれ5質量%の光開始剤と一緒にZSK 53二軸スクリュー押出機中で溶融し、均質化し、かつスロットダイを通して搬出し、引き続きに2枚のPETシートの間でカレンダー処理した。カバーシートとして、100μmの厚みのシリコーン処理されたMylar PETシートを使用した。支持体シートとして、予め約5μmの薄いイソシアナートベースの接着塗料層で被覆された125μmの厚みのMelinex D 740支持体シートを使用した。支持体シート、ポリマー基材層およびカバーシートからなる複合材料の全体の厚みは1.8mmであった。この複合材料を、真空吸引ベルト上に引き取り、冷却後に個別のプレートに切断した。
表1
Figure 0006732903
拡散速度の決定のために、それぞれモノマーの巨視的液滴を計量シリンジ(容量50μl)を用いて選択された支持体材料上に適用した。液滴をポリマー基材層上で定義された作用時間放置した。その後、余剰のモノマーをi−プロパノールを用いる洗浄により除去し、かつ生じるレリーフをUVA光での露光(10分、管状露光、Flint Groupのnyloflex FIII露光装置)により固定した。その後、表面をUVC光(nyloflex F III露光装置)でさらに3分間照射し、表面を非粘着化し、生じたレリーフをPerthometer測定により測定した。
図1は、モノマーとしてHDDAおよび支持体材料として表1からのSISベースの支持体材料を使用した30℃の温度での実験的な液滴測定を示す。拡散時間は20分であった。このグラフから、20μmの形成されたレリーフ高さを算出することができる。
異なる作用時間についての実験を実施する場合、意外にも、形成されたレリーフの高さは拡散時間に比例して増加することが確認される。したがって、モノマーのポリマー支持体層中への拡散は、飽和濃度に対して進行しない。直線の勾配から、所定のモノマー/基材ペアについての時間単位当たりのμmで表す拡散速度を算出することができる。表2は、室温(22℃)で表1から選択されたモノマーとポリマー基材とについて算出された拡散速度を示す。このように算出された拡散速度は学問的には正確に定義されていないことを指摘する。むしろ、これは、本発明による方法によるレリーフの構築を計算することができる経験的に算出された拡散速度である。
表2
Figure 0006732903
測定精度の範囲で、全てのモノマー/基材ペアについて拡散速度を算出することができなかった。EPDMゴムを基礎とする極めて無極性の支持体層については、比較的無極性のEHAについてだけ測定可能な拡散を確認することができた。
いくつかのレリーフ層の構築
互いに重なり合ったいくつかのレリーフ層の画像にしたがった適用のシミュレーションのために、次の実験を実施した。S−I−Sゴムを基礎とし、充填剤として付加的に2質量%の非晶質二酸化ケイ素(Syloid ED 50)が混入された支持体層(組成は表1参照)上に、30℃でHDA2とHDMA2との1:1混合物20μlを滴下し、この液滴を支持体層上で正確に2分間放置した。その後、支持体層をi−プロパノール中に浸漬し、余剰のモノマーを除去し、圧縮空気で吹き付け乾燥した。引き続き、生じた円形のレリーフプラトー上に、同じモノマー混合物の2μlの液滴を中央に適用し、再びこのプレート上で30℃で正確に2分間放置した。引き続き、このプレートをまたi−プロパノール中に浸漬し、吹き付け乾燥した。その後、このプレートを10分間UVA光および引き続き3分間UVC光(nyloflex F III露光装置)で露光し、生じたレリーフを固定し、表面を非粘着化した。
Perthometerを用いて測定した、生じたレリーフのプロフィールを図2に示す。2つの形成されたプラトーを認識することができる。第1のプラトーのレリーフ高さは約7μmであり、第2のプラトーのレリーフ高さはより高く、約10μmである。既に拡散侵入したモノマーを含む基材材料内へのモノマー混合物の拡散は、モノマーを含まない基材材料中への拡散よりも速く行われる。
この試験を繰り返したが、第2の液滴の適用の前に、短い中間露光(30秒UVA露光、nyloflex FIII露光装置)を、拡散侵入したモノマーの固定化または第1のレリーフ段階の固定のために実施した。Perthometer測定の相応するプロフィールを図3に示す。第1のプラトーのレリーフ高さは、約8μmである。第2のプラトーのレリーフ高さは、ここではより低く、かつ約5μmである。レリーフエッジは明らかにより鮮鋭となっている。中間露光により、第1の段階で拡散侵入したモノマーは固定化され、かつもはや横方向に拡散することはできず、それにより急峻なレリーフエッジが形成される。第1の段階で拡散侵入したモノマーは、支持体層のポリマーの結合剤と架橋し、かつ三次元的網目構造を形成し、それにより後続する拡散を遅くする。
これらの試験は、モノマーの複数回の拡散により、レリーフを層状に構築することができることを示す。レリーフ高さの予測のために、適用されるべき各レリーフ層に対してそれぞれのポリマー支持体層内への1つ以上のモノマーの拡散速度を個別に測定しなければならない。
マスク試験
試験1
約0.5mmの厚みのアルミニウム板内に、1mm、3mmおよび10mmの穿孔を打ち抜き加工し、こうしてステンシルを作製した。このステンシルを、SISベースの支持体層(表1)上に載置し、縁部に重りを載せ、マスクとポリマー支持体層の表面との間の密接した接触を保証した。
ステンシルの穿孔を室温(22℃)でHDA2で充填した。60分間の拡散時間後に、ステンシルを支持体層から取り除いた。余剰のモノマーを、i−プロパノールで洗浄し、レリーフ型を圧縮空気で吹き付け乾燥した。引き続き、レリーフを、UVA光を用いた露光(10分、nyloflex F III露光装置)により固定し、かつこの表面をUVC露光(3分、nyloflex F III露光装置)により非粘着化した。生じたレリーフを、Perthometerで測定した(図4、5および6参照)。
構築されたドットは急峻な側面を有する。このドットの表面は平坦でかつ均質であった。測定されたレリーフ高さは、42μm(10mmドット)、42μm(3mmドット)、および40μm(1mmドット)であった。
試験2
試験1を繰り返すが、モノマーの拡散侵入のための温度を40℃に調節した。
ここでも構築されたドットは急峻な側面および平坦で均質な表面を有した。より高い拡散速度に基づき、より高いレリーフが形成された。レリーフ高さは、108μm(10mmドット)、106μm(3mmドット)および108μm(1mmドット)であった。
この凸版印刷版を、引き続き圧縮可能な接着テープを用いてフレキソ印刷機の胴に接着し、かつアルコールインキで印刷した。印刷パラメータは、表3にまとめられている。
表3
Figure 0006732903
選択された印刷設定で、全てのレリーフドットが均質に印刷された。印刷された個々のドットは覆われ、かつ過度の縁部潰れは示されなかった。印刷版上の、印刷開始時の印刷物中の、ならびに500回印刷した後のサンプル中のドットの表面の直径を、顕微鏡で測定した。さらに、ドットの表面のマイクロショアA高度を測定した(表4参照)。
表4
Figure 0006732903
表面上のレリーフドットの直径は、例外なく、ステンシルのそれぞれの穿孔直径よりも小さい。印刷されたドットの直径は、それに対して、凸版印刷版上のドット直径よりも0.1mm〜0.2mm大きい。この増大はフレキソ印刷で典型的であり、かつ低粘性のフレキソ印刷インキの潰れに起因する。測定精度の範囲内で、印刷インキによる印刷版の膨潤は確認できなかった、つまり、印刷されたドットの大きさは印刷の間に変化しなかった。比較的大きなレリーフドットについてマイクロショアA硬度を測定した。この値もまた、67または68のショアAで、フレキソ印刷で典型的な範囲内にあった。先行技術により標準的な露光および洗い流しされたフレキソ印刷版(Flint Groupのnyloflex ACE 1.7 mm)は、表面に関して64のマイクロショアA硬度を有する。
この試験は、本発明による拡散法を用いてフレキソ印刷で典型的な凸版印刷型を生成的に構築することができ、かつ本発明による方法を用いて必要な軟質弾性および耐膨潤性を有するフレキソ印刷版が得られることを確認する。

Claims (19)

  1. ポリマー基材層を有する支持体を準備し、かつ前記基材層の表面にレリーフを層状に形成する凸版印刷版の製造方法において、前記レリーフを、
    a) 前記基材層の表面上へ少なくとも1つの反応性モノマーを含む液体を1回または数回適用し、
    b) 前記ポリマー基材層内へ前記反応性モノマーを所定の作用時間拡散侵入させ、かつ
    c) 前記レリーフを硬化させることにより形成し、
    ここで、工程a)において、前記液体を画像にしたがって前記表面上へ塗布し、かつ工程b)による所定の作用時間後に場合により前記表面上に残留する拡散侵入していない液体を前記表面から除去し、かつ工程c)において、前記基材層のポリマーと、拡散侵入した反応性モノマーとを含むレリーフの硬化を行う、凸版印刷版の製造方法。
  2. 工程a)〜c)を1回だけ経過させ、ここで工程a)において前記液体の1回の適用だけを行うことを特徴とする、請求項1記載の方法。
  3. 工程a)およびb)を2〜100回経過させ、かつ工程c)による硬化を、工程b)の最後の経過後に行うことを特徴とする、請求項1記載の方法。
  4. 工程c)を、さらに、工程a)およびb)のn回の経過後毎に工程b)に引き続き実施し、ここで、nは2〜10から選択されることを特徴とする、請求項3記載の方法。
  5. 前記液体の適用を、前記表面上にマスクを適用しかつ前記マスクを通して前記液体を塗布することにより行い、ここで、前記液体は前記表面のマスキングされていない部分上に達し、かつ前記マスクは所定の画像を作製するように構成されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. 前記液体は反応性モノマーを少なくとも50質量%含むことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. 前記液体は、光開始剤、可塑剤、乳化剤、分散助剤、溶媒、および表面活性物質から選択される他の成分を含むことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
  8. 前記反応性モノマーは、アクリル酸もしくはメタクリル酸と、単官能性アルコールもしくは多官能性アルコール、アミン、アミノアルコールもしくはヒドロキシエーテルおよびヒドロキシエステルとのエステルまたはアミド、フマル酸もしくはマレイン酸のエステル、またはアリル化合物から選択される、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
  9. 前記液体の前記反応性モノマーと前記ポリマー基材層とは、前記反応性モノマーの前記ポリマー基材層内での拡散速度が、0.5μm/min〜100μm/minの範囲内にあるように選択されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
  10. 前記ポリマー基材層の前記ポリマーは、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)ブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン/スチレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン(SIBS)ブロックコポリマー、スチレン−ブタジエン(SB)ブロックコポリマー、およびエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)から選択されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. 前記ポリマー基材層の前記ポリマーは、ポリビニルアルコール、部分的にまたは高度にけん化されたポリビニルアセタート、およびポリアミドから選択されることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
  12. 前記基材層は、反応性モノマーを含まないか、または10質量%未満の反応性モノマーを含むことを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
  13. 前記基材層は、ホワイトオイル、ブタジエン油、液状ポリイソプレン、高沸点エステルおよびパラフィン油から選択される可塑剤を含むことを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
  14. 前記基材層は1つ以上の光開始剤を含むことを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
  15. 前記液体は光開始剤を含まないことを特徴とする、請求項14記載の方法。
  16. 前記支持体は、少なくとも1つの寸法安定性の支持体シートと前記基材層とを含む複合材料として形成されていることを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
  17. 工程c)による硬化をUV放射線の作用によって行うことを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
  18. 前記支持体を胴スリーブの形で準備することを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
  19. 請求項1から18までのいずれか1項記載の方法により得られた凸版印刷版。
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