JP7346305B2 - ピリジルアミノ酢酸化合物を含有する医薬製剤 - Google Patents
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Description
さらに、特許文献3及び4には、オミデネパグにチモロール等の他の緑内障治療薬を組み合わせることで眼圧下降作用が増強されることが記載され、特許文献5には、オミデネパグが特定の含有量のときに特に優れた眼圧下降作用を示すことが記載され、特許文献6には、オミデネパグが高度に上昇した眼圧を伴う疾患の治療剤として有用であることが記載されている。
また、特許文献7~9には、オミデネパグを有効成分として含有する特定の製剤が記載されている。
オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩を有効成分として含有する緑内障若しくは高眼圧症を治療または予防するための医薬製剤であって、他の緑内障または高眼圧症治療薬が効果不十分な患者に投与される医薬製剤。
〔2〕
前記緑内障若しくは高眼圧症を治療または予防が、前記他の緑内障または高眼圧症治療薬によって緑内障若しくは高眼圧症の治療または予防を行った後、さらに前記有効成分によって眼圧を下げて緑内障若しくは高眼圧症を治療または予防するものである、前記〔1〕に記載の医薬製剤。
〔3〕
前記他の緑内障または高眼圧症治療薬の有効成分がプロスタグランジンF2α誘導体である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の医薬製剤。
〔4〕
前記他の緑内障または高眼圧症治療薬有効成分がラタノプロストである、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の医薬製剤。
〔5〕
オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩の含有量が、0.001~0.003%(w/v)である、前記〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の医薬製剤。
〔6〕
オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩の含有量が、0.002%(w/v)である、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の医薬製剤。
〔7〕
オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩が、オミデネパグ イソプロピルである、前記〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の医薬製剤。
〔8〕
点眼剤である、前記〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の医薬製剤。
〔9〕
オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩を有効成分として含有する緑内障若しくは高眼圧症を治療または予防するための医薬製剤であって、前記緑内障が、オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩以外の他の有効成分による緑内障治療に抵抗性の緑内障であり、前記高眼圧症が、前記他の有効成分による高眼圧症治療に抵抗性の高眼圧症である、医薬製剤。
〔10〕
オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩を有効成分として含有する医薬製剤を患者に投与することを含む、緑内障若しくは高眼圧症を治療または予防する方法であって、前記患者が、他の緑内障または高眼圧症治療薬が効果不十分な患者である、方法。
〔11〕
前記緑内障若しくは高眼圧症を治療または予防が、前記他の緑内障または高眼圧症治療薬によって緑内障若しくは高眼圧症の治療または予防を行った後、さらに前記有効成分によって眼圧を下げて緑内障若しくは高眼圧症を治療または予防するものである、前記〔10〕に記載の方法。
〔12〕
前記他の緑内障または高眼圧症治療薬の有効成分がプロスタグランジンF2α誘導体である、前記〔10〕又は〔11〕に記載の方法。
〔13〕
前記他の緑内障または高眼圧症治療薬有効成分がラタノプロストである、前記〔10〕~〔12〕のいずれか一項に記載の方法。
〔14〕
前記医薬製剤中におけるオミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩の含有量が、0.001~0.003%(w/v)である、前記〔10〕~〔13〕のいずれか一項に記載の方法。
〔15〕
前記医薬製剤中におけるオミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩の含有量が、0.002%(w/v)である、前記〔10〕~〔14〕のいずれか一項に記載の方法。
〔16〕
前記オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩が、オミデネパグ イソプロピルである、前記〔10〕~〔15〕のいずれか一項に記載の方法。
〔17〕
前記投与が点眼投与である、前記〔10〕~〔16〕のいずれか一項に記載の方法。
〔18〕
オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩を有効成分として含有する医薬製剤を患者に投与することを含む、緑内障若しくは高眼圧症を治療または予防するための方法であって、前記緑内障が、オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩以外の他の有効成分による緑内障治療に抵抗性の緑内障であり、前記高眼圧症が、前記他の有効成分による高眼圧症治療に抵抗性の高眼圧症である、方法。
〔19〕
オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩を有効成分として含有する医薬製剤を患者に投与することを含む、緑内障若しくは高眼圧症を治療または予防する方法であって、以下の工程
(1)オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩以外の他の緑内障または高眼圧症治療薬を患者に投与する第一の処置工程、
(2)上記第一の処置工程では治療が不十分若しくは予防効果が不十分であるか否か判断する工程、
(3)上記第一の処置工程では治療が不十分若しくは予防効果が不十分である場合、オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩を有効成分として含有する医薬製剤を患者にさらに投与する第二の処置工程、
を含む方法。
〔20〕
緑内障若しくは高眼圧症を治療または予防するための薬剤の製造における、前記〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載の医薬製剤の使用。
本発明の医薬製剤に含有されるオミデネパグは、下記式(1):
で表される化合物(CAS登録番号;1187451-41-7)であり、(6-{[4-(ピラゾール-1-イル)ベンジル](ピリジン-3-イルスルホニル)アミノメチル}ピリジン-2-イルアミノ)酢酸ともいう。
で表される化合物(CAS登録番号;1187451-19-9)であり、オミデネパグ イソプロピル又は(6-{[4-(ピラゾール-1-イル)ベンジル](ピリジン-3-イルスルホニル)アミノメチル}ピリジン-2-イルアミノ)酢酸イソプロピルともいう。
本発明の医薬製剤には、必要に応じて添加剤を用いることができる。添加剤としては、例えば、界面活性剤、緩衝剤、等張化剤、安定化剤、防腐剤、抗酸化剤、粘稠化剤、基剤、pH調整剤等を加えることができる。
界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ビタミンE TPGS、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
より具体的には、ポリオキシエチレンヒマシ油としては、酸化エチレンの重合数の異なる種々のポリオキシエチレンヒマシ油を用いることができ、酸化エチレンの重合数は5~100が好ましく、20~50がより好ましく、30~40が特に好ましく、35が最も好ましい。ポリオキシエチレンヒマシ油の具体例としては、ポリオキシル5ヒマシ油、ポリオキシル9ヒマシ油、ポリオキシル15ヒマシ油、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40ヒマシ油等が挙げられ、ポリオキシル35ヒマシ油が最も好ましい。
ビタミンE TPGSは、トコフェロールポリエチレングリコール1000コハク酸エステルともいう。
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしては、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール等が挙げられる。
ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖ステアリン酸エステル等が挙げられる。
緩衝剤の例としては、リン酸又はその塩、ホウ酸又はその塩、クエン酸又はその塩、酢酸又はその塩、炭酸又はその塩、酒石酸又はその塩、ε-アミノカプロン酸、トロメタモール等が挙げられる。より具体的には、リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム等が挙げられ、ホウ酸塩としては、ホウ砂、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム等が挙げられ、クエン酸又はその塩としては、クエン酸一水和物、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム等が挙げられ、酢酸塩としては、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等が挙げられ、炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられ、酒石酸塩としては、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム等が挙げられる。中でも、ホウ酸若しくはその塩、又は、クエン酸若しくはその塩が好ましい。
等張化剤の例としては、イオン性等張化剤や非イオン性等張化剤等が挙げられる。
イオン性等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられ、非イオン性等張化剤としてはグリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マンニトール等が挙げられる。本発明の医薬製剤に等張化剤を配合する場合、その含有量は、等張化剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.01~10%(w/v)が好ましく、0.02~7%(w/v)がより好ましく、0.1~5%(w/v)がさらに好ましく、0.5~4%(w/v)が特に好ましく、0.8~3%(w/v)が最も好ましい。
安定化剤の例としては、エデト酸、エデト酸一ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられ、エデト酸二ナトリウムが特に好ましい。エデト酸ナトリウムは水和物であってもよい。本発明の医薬製剤に安定化剤を配合する場合、その含有量は、安定化剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.001~1%(w/v)が好ましく、0.005~0.5%(w/v)がより好ましく、0.01~0.1%(w/v)が最も好ましい。
防腐剤の例としては、ベンザルコニウム塩化物、ベンザルコニウム臭化物、ベンゼトニウム塩化物、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノール等が挙げられる。本発明の医薬製剤に防腐剤を配合する場合、その含有量は、防腐剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.0001~1%(w/v)が好ましく、0.0005~0.1%(w/v)がより好ましく、0.001~0.05%(w/v)がさらに好ましく、0.005~0.010%(w/v)が最も好ましい。また、防腐剤を含有しない場合も好ましい。
抗酸化剤の例としては、アスコルビン酸、トコフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。本発明の医薬製剤に抗酸化剤を配合する場合、その含有量は、抗酸化剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.0001~1%(w/v)が好ましく、0.0005~0.1%(w/v)がより好ましく、0.001~0.05%(w/v)が最も好ましい。
粘稠化剤の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
本発明の医薬製剤に粘稠化剤を配合する場合、その含有量は、粘稠化剤の種類などにより適宜調整することができるが、0.001~5%(w/v)が好ましく、0.01~1%(w/v)がより好ましく、0.1~0.5%(w/v)が最も好ましい。
基剤の例としては、水、生理食塩水、ジメチルスルホキシド、PEG400等のポリエチレングルコール、クエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリブチル、安息香酸ベンジル、白色ワセリン、流動パラフィン等が挙げられ、水、生理食塩水、ジメチルスルホキシド、PEG400が好ましい。
本発明における医薬製剤は、他の緑内障または高眼圧症治療薬が効果不十分な患者に対しても優れた眼圧下降作用を示すことから、緑内障治療若しくは予防剤、及び/又は、高眼圧症治療若しくは予防剤、及び/又は眼圧下降剤として有用である。本発明における緑内障としては、原発開放隅角緑内障、続発開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、房水産生過多緑内障、原発閉塞隅角緑内障、続発閉塞隅角緑内障、プラトー虹彩緑内障、混合型緑内障、発達緑内障、ステロイド緑内障、落屑緑内障、アミロイド緑内障、血管新生緑内障、悪性緑内障、水晶体の嚢性緑内障、plateau iris syndrome等が、好ましくは原発開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、原発閉塞隅角緑内障が挙げられ、特に本発明の医薬製剤は原発開放隅角緑内障に有効である。
また、本発明の医薬製剤によって、本発明の医薬製剤による治療前の眼圧に対する治療後の眼圧の下降幅(眼圧変化量)は、少なくとも1.0mmHg以上、好ましくは1.2mmHg以上、より好ましくは1.4mmHg以上、さらに好ましくは1.6mmHg以上、もっと好ましくは1.8mmHg以上、殊更好ましくは2.0mmHg以上、特に好ましくは2.5mmHg以上、最も好ましくは2.9mmHg以上であることが好適である。本発明の医薬製剤による当該眼圧変化量の上限値としては、例えば10.0mmHg以下、好ましくは8.0mmHg以下、より好ましくは6.0mmHg以下、さらに好ましくは5.5mmHg以下、もっと好ましくは5.0mmHg以下、殊更好ましくは4.5mmHg以下、特に好ましくは4.0mmHg以下、最も好ましくは3.2mmHg以下を挙げることができ、上記下限値と上限値を適宜組みあわせた範囲を適宜選択できる。好ましい本発明の医薬製剤による当該眼圧変化量は、例えば、1.0~10.0mmHg、好ましくは1.4~8.0mmHg、より好ましくは1.8~6.0mmHgである。
なお、ここで定義した「本発明の医薬製剤による治療前の眼圧に対する治療後の眼圧の下降率(眼圧下降率)」及び「下降幅(眼圧変化量)」は、後述する[投与方法]の(3)に示すような第二の処置工程での眼圧の下降率及び下降幅を意味し、[投与方法]の(1)に示す第一の処置工程のような、前記他の緑内障または高眼圧症治療薬による治療による眼圧降下率及び眼圧変化量を含まない。従って、オミデネパグ等を有効成分とする本発明の医薬製剤は、ラタノプロスト等を有効成分とする他の緑内障または高眼圧症治療薬の治療効果に上乗せして眼圧を下降できる。
本発明の医薬製剤は、経口でも、非経口でも投与することができ、例えば、点眼投与、硝子体内投与、結膜嚢内投与、前房内投与、結膜下投与、テノン嚢下投与又は涙点プラグ投与であってもよい。本発明の医薬製剤の剤形としては、点眼剤、眼軟膏、注射剤、涙点プラグ、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等が挙げられ、特に点眼剤、眼科用注射剤、涙点プラグが好ましい。眼科用注射剤としては、硝子体内投与、前房内投与、結膜嚢内投与、前房内投与、結膜下投与又はテノン嚢下投与用の注射剤が挙げられる。本発明の医薬製剤の剤形は、薬品の技術分野における通常の方法に従って製造することができる。錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の経口剤は、上記の添加剤のほか、乳糖、結晶セルロース、デンプン、植物油等の増量剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤、カルボキシメチルセルロース カルシウム、低置換ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の崩壊剤、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、シリコン樹脂等のコーティング剤、ゼラチン皮膜等の皮膜剤等を必要に応じて使用して、製剤化することができる。
本発明の医薬製剤の用法・用量は、所望の薬効を奏するのに十分な用法・用量であれば特に制限はなく、疾患の症状、患者の年齢や体重、医薬製剤の剤形等に応じて適宜選択できる。
具体的には、点眼剤の場合、1回量1~5滴、好ましくは1~3滴、より好ましくは1~2滴、特に好ましくは1滴を、1日1~4回、好ましくは1日1~3回、より好ましくは1日1~2回、特に好ましくは1日1回を、毎日~1週間毎に点眼投与することができる。1日1回1滴を毎日、点眼投与することが好ましい。ここで、1滴は、通常、約0.01~約0.1mLであり、好ましくは、約0.015~約0.07mLであり、より好ましくは、約0.02~約0.05mLであり、特に好ましくは約0.03mLである。
本発明の医薬製剤は、上記他の緑内障または高眼圧症治療薬による治療又は予防で十分な効果が得られない又は得られないと見込まれる場合に、続いて投与される。すなわち、本発明の医薬製剤の投与方法は、
(1)オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩以外の上記他の有効成分により緑内障若しくは高眼圧症を治療または予防する第一の処置工程、
(2)上記第一の処置工程では治療が不十分若しくは予防効果が不十分であるか否か判断する任意工程、
(3)前記第一の処置工程に続き、オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩を有効成分として含有する医薬製剤を投与して緑内障若しくは高眼圧症を治療または予防する第二の処置工程、
を含む。
上記のような投与方法に基づいて本発明の医薬製剤を患者に投与することにより、上記他の有効成分による治療または予防による効果にかかわらず、若しくは当該効果が不十分であった場合に、本発明の医薬製剤により追加的に眼圧降下作用等が得られることとなり、さらに緑内障若しくは高眼圧症を治療または予防することができる。
例えば、他の有効成分としてラタノプロストを挙げると、ラタノプロストによって緑内障若しくは高眼圧症の治療及び予防を行った後、さらに眼圧の下降が必要な場合、又は、ラタノプロストでは治療または予防後に眼圧の再上昇(リバウンド)が起こる又は見込まれる場合に、本発明の医薬製剤によって当該眼圧下降の要求又は眼圧の再上昇(リバウンド)防止に対する効果が期待できる。
本発明のオミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩は、上記のような医薬製剤の製造に使用することができる。以下に本発明の医薬製剤における代表的な製剤例を示す。なお、下記製剤例において各成分の配合量は製剤100mL中の含量である。
点眼剤1(100mL中)
オミデネパグ イソプロピル 0.002g
ホウ酸 0.2g
グリセリン 2.0g
ポリソルベート80 0.5g
エデト酸二ナトリウム 0.05g
ベンザルコニウム塩化物 0.005g
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
点眼剤2(100mL中)
オミデネパグ イソプロピル 0.002g
リン酸二水素ナトリウム 0.2g
グリセリン 2.0g
ビタミンE TPGS 0.8g
エデト酸二ナトリウム 0.05g
ベンザルコニウム塩化物 0.005g
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
点眼剤3(100mL中)
オミデネパグ イソプロピル 0.002g
クエン酸三ナトリウム 0.2g
グリセリン 2.0g
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60 0.3g
エデト酸二ナトリウム 0.05g
ベンザルコニウム塩化物 0.005g
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
注射剤1(100mL中)
オミデネパグ 0.003g
PEG400 適量
注射剤2(100mL中)
オミデネパグ 0.0003g
PEG400 適量
他の緑内障または高眼圧症治療薬が効果不十分な患者に対するオミデネパグ イソプロピルの効果を検討した。
精製水にオミデネパグ イソプロピル、ポリオキシル35ヒマシ油、グリセリン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、ベンザルコニウム塩化物を溶解させ、pH調整後、精製水を加えて全量調整し、0.002%(w/v)オミデネパグ イソプロピル点眼剤Aを製造した。
原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者を対象に1~4週間のウォッシュアウト(washout)期間の後、導入期(-8週~ベースライン)としてラタノプロスト点眼液0.005%を8週間にわたって1日1回1滴、両眼点眼した。導入期終了時に点眼開始時からの眼圧の下降率が15%以下であったラタノプロスト点眼液治療抵抗性の原発開放隅角緑内障(ヒト、21人)又は高眼圧症患者(ヒト、5人)が治療期(ベースライン~4週)に移行し、上記0.002%(w/v)オミデネパグ イソプロピル点眼剤Aを4週間にわたって、1日1回1滴(約0.03mL)、毎日両眼点眼した。
結果を図1に示す。
以上から、オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩は、他の緑内障または高眼圧症治療薬が効果不十分な患者に対して優れた眼圧下降作用を示すことがわかった。
Claims (12)
- オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩を有効成分として含有する、原発開放隅角緑内障、続発開放隅角緑内障、若しくは正常眼圧緑内障を治療または予防するための医薬製剤であって、ラタノプロストが効果不十分な患者に投与される医薬製剤であり、前記患者が(1)前記ラタノプロストによる治療によって治療前の眼圧に対する治療後の眼圧の下降率が18%以下となる患者、又は、(2)前記ラタノプロストによる治療によって治療前の眼圧に対する治療後の眼圧の下降幅が4.5mmHg以下となる患者である、医薬製剤。
- 前記緑内障の治療または予防が、前記ラタノプロストによって緑内障の治療または予防を行った後、さらに前記有効成分によって眼圧を下げて緑内障を治療または予防するものである、請求項1に記載の医薬製剤。
- オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩の含有量が、0.001~0.003%(w/v)である、請求項1又は2に記載の医薬製剤。
- オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩の含有量が、0.002%(w/v)である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
- オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩が、オミデネパグ イソプロピルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
- 点眼剤である、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
- オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩を有効成分として含有する緑内障を治療または予防するための医薬製剤であって、前記緑内障が、オラタノプロストによる緑内障治療に抵抗性の緑内障であり、前記緑内障治療に抵抗性の緑内障が、(1)前記ラタノプロストによる緑内障治療によって治療前の眼圧に対する治療後の眼圧の下降率が18%以下となる原発開放隅角緑内障、続発開放隅角緑内障又は正常眼圧緑内障、又は、(2)前記ラタノプロストによる緑内障治療によって治療前の眼圧に対する治療後の眼圧の下降幅が4.5mmHg以下となる原発開放隅角緑内障、続発開放隅角緑内障又は正常眼圧緑内障である、医薬製剤。
- 前記緑内障の治療または予防が、前記ラタノプロストによって緑内障の治療または予防を行った後、さらに前記有効成分によって眼圧を下げて緑内障を治療または予防するものである、請求項7に記載の医薬製剤。
- オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩の含有量が、0.001~0.003%(w/v)である、請求項7又は8に記載の医薬製剤。
- オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩の含有量が、0.002%(w/v)である、請求項7~9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
- オミデネパグ若しくはそのエステル又はそれらの塩が、オミデネパグ イソプロピルである、請求項7~10のいずれか一項に記載の医薬製剤。
- 点眼剤である、請求項7~11のいずれか一項に記載の医薬製剤。
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