JP7342358B2 - 樹脂組成物、それを用いたキャリア付樹脂膜、プリプレグ、積層板、プリント配線基板および半導体装置 - Google Patents
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Description
回路基板用の樹脂組成物であって、
エポキシ樹脂と、
インデン-クマロン樹脂と、
無機充填材と、を含み
10GHzで測定したときの当該樹脂組成物の硬化物における誘電正接は、3.5×10-3以下である、樹脂組成物が提供される。
キャリア基材と、
前記キャリア基材上に設けられた、上記の樹脂組成物からなる樹脂膜と、
を備える、キャリア付樹脂膜が提供される。
上記プリント配線基板と、
前記プリント配線基板の回路層上に搭載された、または前記プリント配線基板に内蔵された半導体素子と、を備える、半導体装置が提供される。
また、最低複素粘度(最低溶融粘度)の上限値は、例えば、950Pa・s以下でもよく、500Pa・s以下でもよく、300Pa・s以下でもよい。最低複素粘度(最低溶融粘度)の下限値は、特に限定されないが、10Pa・s以上でもよい。
メカニズムは定かではないが、このように溶融粘度を適切に制御することで、硬化反応が適当に進行するため、樹脂組成物からなる樹脂膜の硬化物における誘電正接や吸水率を低減できる、と考えられる。
なお、本明細書中、「~」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す。
本実施形態において、SAP特性とは、デスミア処理後における回路層の表面粗さが小さいこと、ビルドアップ層と回路層とのめっき密着性が高いことを示す。SAP特性を向上させることにより、高密度回路を形成することができるとともに、接続信頼性を高めることができる。また、本実施形態の樹脂組成物で構成されたビルドアップ層は、誘電正接を低減できるため、低伝送損失を実現することが可能である。
本実施形態の樹脂組成物は、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含む。このような樹脂組成物は、熱硬化性樹脂組成物となる。
上記樹脂組成物は、インデン-クマロン樹脂を含む。
上記インデン-クマロン樹脂は、インデ系モノマー由来の構造単位Aおよびクマロン系モノマー由来の構造単位Bを含むものである。上記インデン-クマロン樹脂は、他のモノマー由来の構造単位を有していてもよい。上記インデン-クマロン樹脂は、例えば、スチレン系モノマー由来の構造単位Cを有していてもよい。これらの構造単位の繰り返し構造を有することができる。
水素及び炭素以外の原子としては、具体的には、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、フッ素原子、塩素原子などが挙げられる。水素及び炭素以外の原子としては、上記具体例のうち、1種または2種以上を含むことができる。
上記反応性基としては、OH基、COOH基などが挙げられる。
また、上記インデン-クマロン樹脂は、内部または末端にフェノール性水酸基を有する芳香族構造を有していてもよい。
上記樹脂組成物は、硬化剤を含む。
上記硬化剤としては、例えば、エポキシ樹脂と反応する硬化剤を含むことができる。
上記硬化剤の具体例としては、例えば、アミン系硬化剤、グアニジン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、フェノール系硬化剤、ナフトール系硬化剤、酸無水物系硬化剤又はこれらのエポキシアダクトやマイクロカプセル化したもの、活性エステル系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤等を挙げることができる。これらは1種又は2種以上を使用することができる。この中でも、フェノール系硬化剤または活性エステル系硬化剤を用いることができる。低誘電正接の観点から、活性エステル系硬化剤を用いることができる。
上記ナフタレン骨格を有する活性エステル系硬化剤の一例としては、ナフタレン構造とアリールカルボニルオキシ基を有しさえすれば特に限定されないが、ポリナフチレンオキサイド構造とアリールカルボニルオキシ基を有する活性エステル化合物を用いてもよく、ポリナフチレンオキサイド構造のナフタレン核にアリールカルボニルオキシ基が結合した活性エステル化合物を用いてもよい。ポリナフチレンオキサイド構造としては、炭素数1~4のアルキル基で置換されたポリナフチレンオキサイド構造でもよく、さらにはポリフェニレンオキサイド構造を有していても良い。上記のような活性エステル化合物は、核置換ヒドロキシル基を有するナフタレン構造の化合物と、ナフタレン核又はベンゼン核にカルボキシル基を有するカルボン酸化合物との縮合反応で製造することができる。
具体的には、下記一般式(1)のものが挙げられる。
なお、上記式(1)及び(2)のXの少なくとも一つは、ベンゾイル基又はナフチルカルボニル基であってもよい。
一例として、上記硬化剤中の全活性エステル基数および全フェノール性水酸基数の和に対する、上記エポキシ樹脂の全エポキシ基数を示す当量比〔エポキシ樹脂中の全エポキシ基数/硬化剤中の(全活性エステル基数+全フェノール性水酸基)〕の下限値は、例えば、1.0以上でもよく、1.1以上でもよく、1.2以上でもよい。これにより、絶縁層の金属密着性を高められるため、SAP特性を向上させることができる。一方、上記当量比〔エポキシ樹脂中の全エポキシ基数/硬化剤中の(全活性エステル基数+全フェノール性水酸基)〕の上限値としては、特に限定されないが、例えば、3.0以下でもよい。
上記樹脂組成物は、カルボジイミドを含むことができる。これにより、低誘電特性およびSAP特性を向上させることができる。
Rとしては、炭素数1~20の直鎖、分岐または環状のアルキレン基が挙げられる。Rの一例として、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、シクロプロピレン基、n-ブチレン基、イソブチレン基、s-ブチレン基、t-ブチレン基、シクロブチレン基等が挙げられる。
Arとしては、炭素数6~20のアリーレン基が挙げられる。Arの具体例として、フェニレン基、ナフチレン基、又はアントリレン基等が挙げられる。
なお、上記一般式(h)のAにおいて、RやArは、繰り返し構造中、互いに同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(h)中、nは、1~50でもよく、2~30でもよく、3~10の整数でもよい。
なお、下記一般式(j)で示される環状カルボジイミドは、1つの分子中、2つのカルボジイミド基を有してもよく、1つのカルボジイミド基を有してもよい。
(i)単環の環状カルボジイミドは、たとえば、下記工程(1)から工程(3)を含む製造工程により製造することができる。まず、上記Ar1およびAr2を含むニトロ体を準備する(工程(1))。続いて、ニトロ体からアミン体を製造する(工程(2))。その後、アミン体から、トリフェニルホスフィン体またはウレア体を経由して、単環の環状カルボジイミドを製造することができる(工程(3))。
(ii)複環の環状カルボジイミドは、たとえば、上記工程(1)において、上記Ar1~Ar4を含むニトロ体を準備する点を除いて、(i)と同様にして、製造することができる。
また、上記環状カルボジイミドは従来公知の方法により製造することができる。例として、アミン体からイソシアネート体を経由して製造する方法、アミン体からイソチオシアネート体を経由して製造する方法、カルボン酸体からイソシアネート体を経由して製造する方法等が挙げられる。
上記樹脂組成物は、無機充填材を含む。
上記無機充填材としては、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラス等のケイ酸塩;酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、シリカ、溶融シリカ等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等の炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の水酸化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素等の窒化物;チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等のチタン酸塩等を挙げることができる。
これらの中でも、タルク、アルミナ、ガラス、シリカ、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましく、シリカが特に好ましい。無機充填材としては、これらの中の1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記樹脂組成物は、シアネート樹脂をさらに含むことができる。
シアネート樹脂は、分子内にシアネート基(-O-CN)を有する樹脂であり、シアネート基を分子内に2個以上を有する樹脂を用いることができる。このようなシアネート樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン化シアン化合物とフェノール類やナフトール類とを反応させ、必要に応じて加熱等の方法でプレポリマー化することにより得ることができる。また、このようにして調製された市販品を用いることもできる。
シアネート樹脂を用いることにより、樹脂膜の硬化物の線膨張係数を小さくすることができる。さらに、樹脂膜の硬化物の電気特性(低誘電率、低誘電正接)、機械強度等を高めることができる。
上記樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含むことができる。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂として、これらの中の1種類を単独で用いてもよいし、異なる質量平均分子量を有する2種類以上を併用してもよく、1種類または2種類以上とそれらのプレポリマーとを併用してもよい。
上記樹脂組成物は、硬化促進剤(硬化触媒)を含んでもよい。これにより、樹脂組成物の硬化性を向上させることができる。
上記樹脂組成物は、カップリング剤を含んでもよい。カップリング剤は樹脂組成物の調製時に直接添加してもよいし、無機充填材にあらかじめ添加しておいてもよい。カップリング剤の使用により無機充填材と各樹脂との界面の濡れ性を向上させることができる。したがって、カップリング剤を使用することは好ましく、樹脂膜の硬化物の耐熱性を改良することができる。また、カップリング剤を用いることにより、銅箔との密着性を向上させることができる。さらに、吸湿耐性を向上できるので、湿度環境下においても、銅箔との密着性を維持することができる。
これにより、無機充填材と各樹脂との界面の濡れ性を高くすることができ、樹脂膜の硬化物の耐熱性をより向上させることができる。
(添加剤)
なお、本実施形態の樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、緑、赤、青、黄、および黒等の染料、黒色顔料等の顔料、色素からなる群から選択される一種以上を含む着色剤、低応力剤、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、発泡剤、酸化防止剤、難燃剤、イオン捕捉剤、ゴム成分等の上記の成分以外の添加剤を含んでもよい。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ゴム成分は、ブタジエンゴム、アクリルゴム、およびシリコーンゴムからなる群から選択される一種以上を含むことができる。
上記溶剤としては、たとえばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系、アニソール、およびN-メチルピロリドン等の有機溶剤が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のプリプレグは、樹脂組成物中に繊維基材を含むように構成される。プリプレグは、上記樹脂組成物を繊維基材に含浸してなるものである。
例えば、プリプレグは、樹脂組成物を繊維基材に含浸させ、その後、半硬化させて得られるシート状の材料として利用できる。このような構造のシート状材料は、誘電特性、高温多湿下での機械的、電気的接続信頼性等の各種特性に優れ、プリント配線基板の絶縁層の製造に適している。
繊維基材の厚みが上記上限値以下であると、繊維基材中の樹脂組成物の含浸性が向上し、ストランドボイドや絶縁信頼性の低下の発生を抑制することができる。また炭酸ガス、UV、エキシマ等のレーザーによるスルーホールの形成を容易にすることができる。また、繊維基材の厚みが上記下限値以上であると、繊維基材やプリプレグの強度を向上させることができる。その結果、ハンドリング性が向上できたり、プリプレグの作製が容易となったり、樹脂基板の反りを抑制できたりする。
本実施形態の積層板は、上記プリプレグの硬化物の少なくとも一方の面に金属層が配置された金属張積層板である。
プリプレグまたはプリプレグを2枚以上重ね合わせた積層体の外側の上下両面または片面に金属箔を重ね、ラミネーター装置やベクレル装置を用いて高真空条件下でこれらを接合する、あるいはそのままプリプレグの外側の上下両面または片面に金属箔を重ねる。また、プリプレグを2枚以上積層するときは、積層したプリプレグの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔を重ねる。次いで、プリプレグと金属箔とを重ねた積層体を加熱加圧成形することで金属張積層板を得ることができる。ここで、加熱加圧成形時に、冷却終了時まで加圧を継続することが好ましい。
また、金属箔としては、キャリア付金属箔等も使用することができる。
金属箔の厚みは、好ましくは0.5μm以上20μm以下であり、より好ましくは1.5μm以上18μm以下である。
次いで、本実施形態のキャリア付樹脂膜について説明する。
図1は、キャリア付樹脂膜10の構成の一例を示す図である。
本実施形態のプリント配線基板は、上記の樹脂膜の硬化物(樹脂組成物の硬化物)で構成された絶縁層を備えるものである。
本実施形態において、樹脂膜の硬化物は、例えば、通常のプリント配線基板のビルドアップ層、コア層を有しないプリント配線基板におけるビルドアップ層、PLPに用いられるコアレス基板のビルドアップ層、MIS基板のビルドアップ層等に用いることができる。このようなビルドアップ層を構成する絶縁層は、複数の半導体パッケージを一括して作成するために利用させる大面積のプリント配線基板において、当該プリント配線基板を構成するビルドアップ層にも好適に用いることができる。
図2は、本実施形態の半導体パッケージ200の製造工程の一例を示す工程断面図である。
本実施形態の半導体装置(半導体パッケージ200)は、プリント配線基板と、プリント配線基板の回路層上に搭載された、またはプリント配線基板に内蔵された半導体素子240と、を備えることができる。
まず、図2(a)に示すように、絶縁層102、ビアホール104および金属層108を備えるコア層100を準備する。絶縁層102にはビアホール104が形成されている。ビアホール104には、金属層(ビア)が埋設されている。当該金属層は、無電解金属めっき膜106で覆われていてもよい。絶縁層102の表面に形成された金属層108(所定の回路パターンを有する回路層)は、ビアホール104に形成されたビアと電気的に接続する。図2(a)には、金属層108は、コア層100の一面上に形成されているが、両面に形成されていてもよい。
なお、樹脂膜20は、絶縁膜単層でもよく、絶縁膜およびプライマー層の複数層で構成されてもよい。
以上により、本実施形態のプリント配線基板が得られる。
以上により、図2(f)に示す、半導体パッケージ200が得られる。
表1に示す固形分割合で各成分を溶解または分散させ、メチルエチルケトンで不揮発分70質量%となるように調整し、高速撹拌装置を用い撹拌して、ワニス状の樹脂組成物(樹脂ワニスP)を調製した。
なお、表1における各成分の配合割合を示す数値は、樹脂組成物の固形分全体に対する各成分の配合割合(質量%)を示している。
(無機充填材)
・無機充填材1:シリカ粒子(アドマテックス社製、SC4050、平均粒径1.1μm、表面がアミノフェノキシシラン処理されたもの)
・エポキシ樹脂1:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC社製、EPICLON、830S、エポキシ当量170g/eq)
・エポキシ樹脂2:ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC-3000)
・活性エステル系硬化剤1:ナフタレン骨格を含む活性エステル樹脂(DIC社製、HPC-8150-60T、トルエン固形分60質量%)
・インデン-クマロン樹脂1:末端にフェノール基を含むインデン・クマロン・スチレン共重合体(日塗化学社製、V-120S、重量平均分子量:950、水酸基価:30mg KOH/g)
・インデン-クマロン樹脂2:末端にフェノール基を含むインデン・クマロン・スチレン共重合体(新日鉄住金化学社製、I-100、重量平均分子量:710、水酸基価:60mg KOH/g)
・インデン-クマロン樹脂3:末端にフェノール基を含まないインデン・クマロン・スチレン共重合体(合成例:ガラス製反応容器に、スチレン30質量部、クマロン20質量部、インデン50質量部、溶剤としてトルエン100質量部を仕込み、更に反応触媒として三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体を2質量部添加して、80~85℃で約2時間反応させた。反応終了後、水酸化カルシウム6質量部を加え中和し沈殿物を濾過で除去し、最後に減圧下で溶剤を除去して、重量分子量900の固形樹脂を得た。
・硬化促進剤1:4-ジメチルアミノピリジン(東京化成社製、DMAP)
厚み38μmのPETフィルムの片面に、コンマコーター装置を用いて乾燥後の樹脂層の厚みの総和が30μmとなるように、得られた樹脂ワニスPを塗工し、これを160℃の乾燥装置で3分間乾燥して、PETフィルム上に、樹脂膜が積層された樹脂シート(キャリア付き樹脂膜)を得た。
2ステージビルドアップラミネーター(ニチゴー・モートン社製 CVP300)を用いて、厚さ30μmの樹脂シート(キャリア付き樹脂膜1)から積層体を製造した。具体的には、厚み100μmのELC-4785TH-G(住友ベークライト社製、銅箔12μm)を用いて、ドリル機で所定のところを開孔して、無電解めっきにより、導通を図り、銅箔をエッチングして回路形成面を有する残銅60%のコア層を作製した。また、キャリア付き樹脂膜の樹脂膜を枚葉にカットし、上記CVP300にセットして上記コア層に仮付けし、真空ラミネーター内で120℃、0.7MPa、30秒間真空ラミネーションをおこなった。
その後、ニチゴー・モートン社製CPV300が備えるホットプレス装置を用いて、100℃、0.6MPa、60秒間ホットプレスして平滑化した。
その後、熱風乾燥装置に、得られた積層体を160℃、60分間入れ、ビルドアップ用プリプレグの熱硬化性樹脂の硬化反応をおこなった。
つぎに、得られた積層板に炭酸レーザーによりビア孔を形成した。PETフィルムを剥離した後、ビア内および、樹脂層表面を、60℃の膨潤液(アトテックジャパン社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に5分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン社製、コンセントレート コンパクト CP:過マンガン酸ナトリウム濃度60g/l、NaOH濃度45g/l)に30分浸漬後、中和して粗化処理をおこなった。
これを脱脂、触媒付与、活性化の工程を経た後、無電解銅めっき皮膜を約0.5μm形成し、レジストを形成し、無電解銅めっき皮膜を給電層としてパターン電気めっき銅20μm形成させ、回路加工を施した。つぎに、熱風乾燥装置にて200℃で60分間アニール処理を行った後、フラッシュエッチングで給電層を除去した。次いで、ソルダーレジスト層を形成し、半導体素子搭載パッドなどが露出するように開口部を形成した。最後に、ソルダーレジスト層から露出した回路層上へ、無電解ニッケルめっき層3μmと、さらにその上へ、無電解金めっき層0.1μmとからなるめっき層を形成し、得られた基板を50mm×50mmサイズに切断し、プリント配線板を得た。
半導体パッケージは、得られたプリント配線基板上に半田バンプを有する半導体素子(TEGチップ、サイズ10mm×10mm、厚み0.1mm)を、フリップチップボンダー装置により、加熱圧着により搭載した。次に、IRリフロー炉で半田バンプを溶融接合した後、液状封止樹脂(住友ベークライト社製、CRP-4152S)を充填し、その後、液状封止樹脂を硬化させることで半導体パッケージを得た。尚、液状封止樹脂は、温度150℃、120分の条件で硬化させた。上記半導体素子の半田バンプは、Sn/Pb組成の共晶で形成されたものを用いた。最後に14mm×14mmのサイズにルーターで個片化し、半導体パッケージを得た。
得られたキャリア付き樹脂膜の厚み30μmの樹脂膜を4枚重ね、銅箔を用いてホットプレスを用いて200℃、1kgf/mm2のプレス条件で、2時間加熱加圧し、樹脂膜を硬化させた。次いで、得られた硬化物の銅箔をエッチングにより除去し、サンプルとして硬化物を製造した。
得られた硬化物について、10GHzでの誘電正接を空洞共振器法で測定した。
得られたキャリア付樹脂膜からPETフィルム(キャリア基材)剥離し、Bステージ状態の樹脂膜を測定サンプルとして準備した。
次いで、この測定サンプルに対し、動的粘弾性測定装置(Anton Paar社製、装置名Physica MCR-301)を用い、下記の条件で動的粘弾性試験を行い、複素動的粘度を測定した。
得られた複素動的粘度の測定値に基づいて、50℃~200℃における複素動的粘度ηの最低複素粘度(η0)を算出し、このη0を「最低溶融粘度」(Pa・s)、そして、η0の2倍の粘度をη2と定義した。
測定開始後の複素動的粘度は、初期に粘度が減少し、η2を通過してη0に達した後、粘度が上昇する粘度プロファイルを示した。
ここで、η0に達した時間をT0とし、η0に達した後にη2に達する時間をT2としたときの、[T2-T0](分)を、「最低溶融粘度から2倍の粘度となるまでの時間」として定義した。
「最低溶融粘度」、「最低溶融粘度から2倍の粘度となるまでの時間」の結果を表1に示す。
周波数:62.83rad/sec
測定温度:50~200℃
昇温速度:3℃/min
ジオメトリー:パラレルプレート
プレート直径:10mm
プレート間隔:0.1mm
荷重(ノーマルフォース):0N(一定)
ストレイン:0.3%
測定雰囲気:空気
上記(誘電正接)の評価で得られた硬化物と同じものを用いた。その硬化物からを6mm角に5枚切り出してサンプルとし、85℃の乾燥機内に2時間放置した後のサンプルの初期重量Aを測定し、その後、85℃、湿度85%の槽内に当該サンプルを配置し、サンプルの重量Bを経時的に計測することにより、吸水率の時間変化を算出した。
ここで、サンプルの吸水率(%)は以下の式で示される。
吸水率[%]:((B-A)/A)×100
A:85℃の乾燥機内に2時間放置した後の重量(mg)
B:85℃、湿度85%の槽内に、4時間放置した後の重量(mg)
得られたプリント配線板を用いて、JIS C-6481:1996に準拠して、上述の粗化処理後の23℃における(銅箔)ピール強度を測定した。
実施例1~4のプリント配線板のいずれも、実用上問題ない程度のピール強度を有することが示された。水酸基を有するインデン-クマロン樹脂を含む場合、水酸基を有さないインデン-クマロン樹脂を含む場合よりもピール強度が高かった。
20 樹脂膜
30 キャリア基材
50 カバーフィルム
100 コア層
102 絶縁層
104 ビアホール
106 無電解金属めっき膜
108 金属層
200 半導体パッケージ
202 無電解金属めっき膜
204 レジスト
206 開口部
208 電解金属めっき層
210 開口部
220 金属層
230 ソルダーレジスト層
240 半導体素子
250 半田バンプ
260 封止材層
Claims (13)
- 回路基板用の樹脂組成物であって、
エポキシ樹脂と、
インデン-クマロン樹脂と、
無機充填材と、
カルボジイミドと、を含み
10GHzで測定したときの当該樹脂組成物の硬化物における誘電正接は、3.5×10-3以下である、樹脂組成物であり、
前記インデン-クマロン樹脂の含有量は、前記樹脂組成物全体に対して、3質量%以上であり、
前記インデン-クマロン樹脂は、インデン、クマロンおよびスチレンの共重合体を含む、樹脂組成物(ただし、エポキシ樹脂、硬化剤、ビニル基を有する樹脂、及びインデン-クマロン樹脂を含む樹脂組成物であって、前記インデン-クマロン樹脂の含有量が、樹脂成分を100質量%とした場合、5質量%~20質量%である、樹脂組成物を除く)。 - 回路基板用の樹脂組成物であって、
エポキシ樹脂と、
インデン-クマロン樹脂と、
無機充填材と、
シアネート樹脂と、を含み
10GHzで測定したときの当該樹脂組成物の硬化物における誘電正接は、3.5×10-3以下である、樹脂組成物であり、
前記インデン-クマロン樹脂の含有量は、前記樹脂組成物全体に対して、3質量%以上であり、
前記インデン-クマロン樹脂は、インデン、クマロンおよびスチレンの共重合体を含む、樹脂組成物(ただし、エポキシ樹脂、硬化剤、ビニル基を有する樹脂、及びインデン-クマロン樹脂を含む樹脂組成物であって、前記インデン-クマロン樹脂の含有量が、樹脂成分を100質量%とした場合、5質量%~20質量%である、樹脂組成物を除く)。 - 回路基板用の樹脂組成物であって、
エポキシ樹脂と、
インデン-クマロン樹脂と、
無機充填材と、
硬化剤と、を含み
10GHzで測定したときの当該樹脂組成物の硬化物における誘電正接は、3.5×10-3以下である、樹脂組成物であり、
前記インデン-クマロン樹脂の含有量は、前記樹脂組成物全体に対して、3質量%以上であり、
前記インデン-クマロン樹脂は、インデン、クマロンおよびスチレンの共重合体を含み、
前記硬化剤が、活性エステル系硬化剤を含む、樹脂組成物(ただし、エポキシ樹脂、硬化剤、ビニル基を有する樹脂、及びインデン-クマロン樹脂を含む樹脂組成物であって、前記インデン-クマロン樹脂の含有量が、樹脂成分を100質量%とした場合、5質量%~20質量%である、樹脂組成物を除く)。 - 請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物であって、
当該樹脂組成物からなる樹脂膜の、測定周波数62.83rad/sec、昇温速度3℃/分の条件による動的粘弾性試験によって複素粘度を測定したときの、
50~200℃における最低複素粘度をη0、η0の2倍の粘度をη2、
η0に達した時間をT0、η0に達した後にη2に達する時間をT2としたとき、
[T2-T0]で表される差分が、3分以上15分以下である、
樹脂組成物。 - 請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物であって、
前記インデン-クマロン樹脂は、分子内に、前記エポキシ樹脂のエポキシ基と反応する反応性基を備える、樹脂組成物。 - 請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂組成物であって、
ゴム成分を含む、樹脂組成物。 - 請求項6に記載の樹脂組成物であって、
前記ゴム成分は、ブタジエンゴム、アクリルゴム、およびシリコーンゴムからなる群から選択される一種以上を含む、樹脂組成物。 - 請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂組成物であって、
前記無機充填材は、シリカを含む、樹脂組成物。 - キャリア基材と、
前記キャリア基材上に設けられた、請求項1~8のいずれか一項に記載の樹脂組成物からなる樹脂膜と、
を備える、キャリア付樹脂膜。 - 請求項1~8のいずれか一項に記載の樹脂組成物中に繊維基材を含むプリプレグ。
- 請求項10に記載のプリプレグの少なくとも一方の面上に金属層を配置してなる積層板。
- 請求項1~8のいずれか一項に記載の樹脂組成物の硬化物で構成された絶縁層を備える、プリント配線基板。
- 請求項12に記載のプリント配線基板と、
前記プリント配線基板の回路層上に搭載された、または前記プリント配線基板に内蔵された半導体素子と、を備える、半導体装置。
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