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JP7227477B2 - 薄膜リチウム二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、薄膜リチウム二次電池に関する。
小型の電子機器やICカードなどでは、バックアップ電源として容積が小さい薄膜二次電池が開発されている(例えば特許文献1~3)。上記薄膜二次電池としては、リチウムイオンを用いた薄膜リチウム二次電池が主に利用される。薄膜リチウム二次電池は、正極層がLiCoO、LiNiO、又はLiMnなどで形成され、電解質層が主としてLiPO+N(LiPON)で形成され、負極層がLi金属、V、Nb、又はInなどで形成されている。
特開2005-251417号公報 国際公開第2002/089236号 国際公開第2011/018980号
従来の薄膜リチウム二次電池では、正極層、負極層の膜厚を厚くしても、充放電容量があまり大きくならないという問題があった。充放電容量が大きくならないのは、正極層、負極層の膜厚を厚くすると、内部抵抗が大きくなってリチウムイオンの動きが鈍くなるためである。また、正極層、負極層の膜厚を厚くした薄膜リチウム二次電池は、内部抵抗が大きいため、大きな電流で充放電を行うと充放電容量が低下するという課題がある。
本発明は、正極層及び/又は負極層の膜厚を増加させることによって充放電容量を大きくすることができ、また、大きな電流で充放電を行っても充放電容量の低下が少ない薄膜リチウム二次電池を提供することを目的とする。
本発明の第1の観点に係る薄膜リチウム二次電池は、正極層と、固体電解質層と、負極層とを備え、前記正極層及び/又は前記負極層は窒素(N)を含む。
本発明の第2の観点に係る薄膜リチウム二次電池は、上記第1の観点に対し、前記正極層がリチウム-マンガン酸化物、リチウム-コバルト酸化物、又はリチウム-マンガン-コバルト酸化物を含み、前記負極層が酸化ニオブ又はリチウム-チタン酸化物を含み、前記固体電解質層がリン酸リチウムに窒素(N)が添加されたLiPONを含む。
本発明の第1及び第2の観点によれば、窒素がドープされた前記正極層及び/又は前記負極層を備えることによって、前記正極層及び/又は前記負極層のイオン伝導度が向上し、前記正極層及び/又は前記負極層の膜厚を厚くしても、内部抵抗の上昇が抑制される。したがって前記正極層及び/又は前記負極層において厚さ方向にリチウムイオンがスムーズに移動することができるので、薄膜リチウム二次電池は、充放電容量を大きくすることができる。また薄膜リチウム二次電池は、内部抵抗が小さいので、大きな電流で充放電を行っても充放電容量の低下が少ない。
本実施形態に係る薄膜リチウム二次電池を模式的に示す縦断面図である。 実施例に係る薄膜リチウム二次電池の電圧-充放電容量特性を示すグラフである。 実施例に係る薄膜リチウム二次電池のサイクル特性を示すグラフである。
本発明に係る薄膜リチウム二次電池は、正極層と、固体電解質層と、負極層とを備え、前記正極層及び/又は前記負極層は窒素(N)を含む。すなわち薄膜リチウム二次電池は、正極層又は負極層がNを含む場合と、正極層及び負極層の両方がNを含む場合がある。薄膜リチウム二次電池は、前記正極層及び/又は前記負極層のイオン伝導度が向上し、前記正極層及び/又は前記負極層の膜厚を増加させることによって充放電容量を大きくすることができる。
薄膜リチウム二次電池は、正極集電体層と、正極層と、固体電解質層と、負極層と、負極集電体層とを備える場合を含む。この場合、薄膜リチウム二次電池は、基板上に設けられるのが好ましい。薄膜リチウム二次電池は、基板に接する側から正極集電体層と、正極層と、固体電解質層と、負極層と、負極集電体層とが順に設けられている場合と、基板に接する側から負極集電体層と、負極層と、固体電解質層と、正極層と、正極集電体層とが順に設けられている場合とを含む。薄膜リチウム二次電池は、正極集電体層又は負極集電体層を基板として用いてもよく、この場合、上記基板を省略することができる。
また、正極集電体層や負極集電体層は、必ずしも必要ではなく、例えば、正極層が正極集電体層を兼ねる場合もあるし、負極層が負極集電体層を兼ねる場合もある。すなわち正極層と正極集電体層は、一体であって1層で形成される場合を含む。また負極層と負極集電体層は、一体であって1層で形成される場合を含む。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1に示す薄膜リチウム二次電池10は、正極集電体層14と、正極層16と、固体電解質層18と、負極層20と、負極集電体層22とを備える。薄膜リチウム二次電池10は、基板12上に設けられ、当該基板12に接する側から正極集電体層14と、正極層16と、固体電解質層18と、負極層20と、負極集電体層22とが順に設けられている。
基板12表面に正極集電体層14が設けられている。正極集電体層14の表面に、正極層16が設けられている。正極集電体層14と正極層16は、電気的に接続されている。正極層16の表面に固体電解質層18が設けられ、当該固体電解質層18を挟んで反対側に負極層20が設けられている。負極層20の表面に、負極集電体層22が設けられている。負極層20と負極集電体層22は、電気的に接続されている。
基板12は、耐熱性を有する基板や、可撓性を有する樹脂基板を用いることができる。耐熱性を有する基板の材料は、例えば、ガラス、シリコン(Si)、セラミック、ステンレスなどから選択できる。可撓性を有する樹脂基板の材料は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などから選択できる。
正極集電体層14と、負極集電体層22は、抵抗が低い金属、すなわち導電体で形成され、互いに同じ材料でも異なる材料でもよい。正極集電体層14と負極集電体層22の材料は、例えば、チタン(Ti)、バナジウム(V)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)などから選択するのが好ましい。
正極層16は、リチウム(Li)を含み、リチウムの吸蔵と、吸蔵されたリチウムの脱離が可能な材料で形成され、さらにNを含む。正極層16は、例えば、リチウム-コバルト酸化物(LiCoO)、リチウム-ニッケル酸化物(LiNiO)、リチウム-マンガン酸化物(LiMn、LiMn)、リチウム-マンガン-コバルト酸化物(LiMnCoO)などのLiを含む金属酸化物に、Nがドープされている。正極層16におけるNのドープ量は、0.1at%~10.0at%であるのが好ましく、1.0at%~5.0at%であるのがより好ましい。Nのドープ量が0.1at%以上であることにより、より確実にイオン伝導度を向上する効果が得られる。Nのドープ量が10.0at%を超えると、イオン伝導度を向上する効果が飽和する。
固体電解質層18は、リチウムイオンを含有し、リチウムイオンが移動可能な材料で形成される。固体電解質層18は、例えば、リン酸リチウム(LiPO)にNをドープしたLiPONを用いるのが好ましい。
負極層20は、リチウムイオンを吸蔵及び脱離し得る材料で形成され、酸化ニオブ(Nb)、酸化バナジウム(V)、酸化インジウム(In)、リチウム-チタン酸化物(LiTi12)、酸化インジウムスズ(ITO)などの金属酸化物薄膜によって形成されるのが好ましい。
また、上記以外にも、金属リチウム(Li)や金属スズ(Sn)などを用いることもできる。なお、金属リチウム(Li)、金属スズ(Sn)や酸化インジウムスズ(ITO)を負極層20として用いた場合、負極層20が負極集電体層22を兼ねることができる。
負極層20は、さらにNがドープされているのがより好ましい。負極層20におけるNのドープ量は、0.1at%~10.0at%であるのが好ましく、1.0at%~5.0at%であるのがより好ましい。Nのドープ量が0.1at%以上であることにより、より確実にイオン伝導度を向上する効果が得られる。Nのドープ量が10.0at%を超えると、イオン伝導度を向上する効果が飽和する。
薄膜リチウム二次電池10は、スパッタリング法、蒸着法、塗布法などにより作製することができる。塗布法は、有機金属化合物を有機溶媒とともに基板12上に塗布し、加熱、分解することによって所望の酸化物層が得られる。本実施形態の場合、組成のずれが少なく、比較的大きな面積に均一に膜を形成できるスパッタリング法が好ましい。
各層の厚さは数10nm~数μmであるのが好ましい。正極層16および負極層20の厚さは、それぞれの層の単位体積当たりの容量に膜厚と面積を乗じて得られるお互いの層全体の容量が一致するようにするのが好ましい。正極層16の厚さは、100nm~1000nmがより好ましい。正極層16の厚さは、固体電解質層18の厚さに対し、50%~1000%であるのが好ましい。固体電解質層18の厚さは10nm~1000nmであることが好まく、抵抗を下げて伝導度を上げるために、ピンホール等の欠陥によるショートが生じない範囲で、できる限り薄くすることがより好ましい。
負極層20の厚さは、その層全体の容量が正極層16の層全体の容量と一致するようにすることが好ましい。例えば、負極層20の単位体積あたりの容量が正極層16の単位体積あたりの容量より大きい場合、負極層20の厚さは正極層16の厚さより薄いのが好ましい。具体的には、負極層20の単体積あたりの容量が正極層16の単位体積あたりの容量の2倍であって、正極層16の厚さが100nm~1000nmの場合、負極層20の厚さは、50nm~500nmで正極層16の厚さの半分であるのがより好ましい。負極層20の厚さは、固体電解質層18の厚さに対し、50%~1000%であるのが好ましい。
薄膜リチウム二次電池10は、充電する際、正極集電体層14と負極集電体層22を図示しない電源に接続し、正極集電体層14と負極集電体層22間に電圧が印加される。そうすると、正極層16におけるリチウムが正極層16から脱離してリチウムイオンとなって固体電解質層18を介して負極層20へ移動する。上記反応が継続することによって、正極層16ではリチウムが減り、負極層20ではリチウムイオンが電子と結びついて負極層20内に蓄積する。
薄膜リチウム二次電池10は、放電する際、正極集電体層14と負極集電体層22が図示しない外部回路に接続され、正極集電体層14と負極集電体層22間に電位差が生じる。そうすると、負極層20のリチウムがリチウムイオンとなって固体電解質層18を介して正極層16へ移動するとともに、電子が外部回路を通って負極層20から正極層16へ移動する。正極層16では、リチウムイオンと電子が結びついて正極層16内に蓄積される。上記の反応によって外部回路に電流が流れる。
本来的にNがドープされていない正極層は、微結晶の集合体である。Nがドープされることによって、正極層16は、アモルファス化し、イオン伝導度が向上すると考えられる。本実施形態に係る薄膜リチウム二次電池10は、Nがドープされた正極層16を備えることによって、正極層16のイオン伝導度が向上し、正極層16の膜厚を厚くしても、内部抵抗の上昇が抑制される。したがって正極層16において厚さ方向にリチウムイオンがスムーズに移動することができるので、薄膜リチウム二次電池10は、正極層16を有効に活用することができ、結果として充放電容量を大きくすることができる。また薄膜リチウム二次電池10は、内部抵抗が低いので、大きな電流で充放電を行っても充放電容量の低下が少なく、素早く充放電でき、従来にくらべ高出力化を実現することができる。
薄膜リチウム二次電池10は、負極層20にもNをドープすることによって、負極層20でもイオン伝導度が向上し、充放電容量をより大きくすることができる。このように、正極層16及び負極層20の両方にNをドープしてもよい。
また薄膜リチウム二次電池10は、正極層16ではなく、負極層20のみにNをドープしてもよい。薄膜リチウム二次電池10は、Nがドープされた負極層20を備えることによって、負極層20のイオン伝導度が向上し、負極層20の膜厚を厚くしても、内部抵抗の上昇が抑制される。したがって負極層20において厚さ方向にリチウムイオンがスムーズに移動することができるので、薄膜リチウム二次電池10は、負極層20を有効に活用することができ、結果として充放電容量を大きくすることができる。Nのドープ量は、上記実施形態と同様に、0.1at%~10.0at%であるのが好ましく、1.0at%~5.0at%であるのがより好ましい。
以上のとおり、薄膜リチウム二次電池10は、正極層16及び負極層20の少なくともいずれか一方がNを含むことによって、正極層16及び/又は負極層20のイオン伝導度が向上する。したがって、薄膜リチウム二次電池10は、正極層16及び/又は負極層20の膜厚を増加させることによって充放電容量を大きくすることができ、また、大きな電流で充放電を行っても充放電容量の低下を小さくできる。
(実施例1)
実際に薄膜リチウム二次電池を作製し、その効果を検証した。基板としてガラス基板を用い、当該ガラス基板上に薄膜リチウム二次電池をスパッタリング法(マグネトロンスパッタ装置、(株)アルバック製、CS-200)によって、以下の手順によって作製した。
まず、ガラス基板(無アルカリガラス、50mm×50mm、厚さ1mm)上に、Ti金属のターゲットを用いて、正極集電体層として厚さ100nmのTi膜を形成した。詳細なスパッタリング条件は、表1に示す通りである。成膜時の基板温度は、室温とした。
Ti膜(正極集電体層)上に、LiMn酸化物焼結体をターゲットとし、Nを含むスパッタリングガスを用いて、正極層として所定の厚さのLiMn膜を形成した。正極層の厚さは、200nm、400nm、600nmの3種類とした。
LiMn膜(正極層)上にLiPO酸化物焼結体のターゲットを用いて、Nを含むスパッタリングガスを導入して固体電解質層として厚さ100nmのLiPON膜を形成した。LiPON膜(固体電解質層)上にNb酸化物焼結体のターゲットを用いて、負極層として所定の厚さのNb膜を形成した。負極層の厚さは、厚さ200nmの正極層に対し100nm、厚さ400nmの正極層に対し200nm、厚さ600nmの正極層に対し300nmとした。
Nb膜(負極層)上に、正極集電体層と同様に、負極集電体層として厚さ100nmのTi膜を形成した。上記のようにして実施例に係る試料No.1~No.6を作製した。Nb膜(負極層)を形成する際、Nを含むスパッタリングガスを用いる以外は、上記と同じ方法とすることによって、Nを含む正極層及び負極層を備えた実施例に係る試料No.7~No.12を作製した。
比較として、LiMn膜(正極層)を形成する際、Nを含まないスパッタリングガスを用いる以外は、上記試料No.1~No.6と同じ方法とすることによって、比較例に係る試料No.1~No.6を作製した。
Figure 0007227477000001
正極層と負極層におけるNのドープ量は、別途作製した正極層又は負極層の単層膜のサンプルに対し、電子線マイクロアナライザー(EPMA;Electron Probe Micro Analyzer、日本電子(株)製、JEOL JXA-8530F)を用いて分析を行い、測定した。上記サンプルは、各実施例の試料と同様の条件(表1のN有の条件)でガラス基板上に正極層、又は、負極層のみを成膜したものである。その結果を表2の「窒素原子比率」の欄に示す。
作製した薄膜二次電池について、充放電特性を評価した。評価にあたっては、空気中の水分の影響を避けるため、Alと樹脂から成るバリアフィルムで封止した。充放電特性は、充放電測定装置(アスカ電子(株)製)を用いて、25℃の温度で測定した。測定電流は表2の通りとし、電圧範囲は3.5~0.3Vとした。その結果を表2に示す。
Figure 0007227477000002
(実施例2)
正極層をLiMnCoO膜としたこと以外は、上記の実施例1と同様にして、実施例2に係る試料No.13~No.18を作製した。この正極層の形成では、LiMnCoO酸化物焼結体ターゲットを用い、Nを含むスパッタリングガスを導入して、200nm、400nm、600nmの3種類の厚さのLiMnCoO膜を形成した。LiMnCoO膜を形成する際、Nを含まないスパッタリングガスを用いる以外は、上記試料No.13~No.18と同じ方法とすることによって、比較例2に係る試料No.7~No.12を作製した。それらのNのドープ量、充放電特性を上記の実施例1、比較例1と同様にして測定した。その結果を、膜構成、測定電流とともに表3に示す。
Figure 0007227477000003
(実施例3)
正極層をLiCoO膜としたこと以外は、上記の実施例1と同様にして、実施例3に係る試料No.19~No.24を作製した。この正極層の形成では、LiCoO酸化物焼結体ターゲットを用い、Nを含むスパッタリングガスを導入して、200nm、400nm、600nmの3種類の厚さのLiCoO膜を形成した。LiCoO膜を形成する際、Nを含まないスパッタリングガスを用いる以外は、上記試料No.19~No.24と同じ方法とすることによって、比較例3に係る試料No.13~No.18を作製した。それらのNのドープ量、充放電特性を上記の実施例1、比較例1と同様にして測定した。その結果を、膜構成、測定電流とともに表4に示す。
Figure 0007227477000004
(実施例4)
負極層をLiTi12膜としたこと以外は、上記の実施例1と同様にして、実施例4に係る試料No.25~No.30を作製した。この負極層の形成では、LiTi12酸化物焼結体ターゲットを用い、Nを含むスパッタリングガスを導入して、200nm、400nm、600nmの3種類の厚さのLiTi12膜を形成した。LiTi12膜を形成する際、Nを含まないスパッタリングガスを用いる以外は、上記試料No.25~No.30と同じ方法とすることによって、比較例3に係る試料No.19~No.24を作製した。それらのNのドープ量、充放電特性を上記の実施例1、比較例1と同様にして測定した。その結果を、膜構成、測定電流とともに表5に示す。
Figure 0007227477000005
実施例に係る試料No.1~No.6、No.13~No.24が正極層にNを含む例であり、試料No.25~No.30が負極層にNを含む例であり、試料No.7~No.12が正極層及び負極層の両方にNを含む例である。表2~5における充放電容量は、充放電容量が安定する100サイクル目の値を示している。表2~5に示すように、実施例に係る試料No.1~No.30は、正極、負極の膜厚の増加に伴って、充放電容量が増加することが確認された。例えば、実施例1において、膜厚が異なる試料No.1と試料No.3とを比較する。試料No.1は、正極層の膜厚が200(nm)、充電容量が64(μAh)、放電容量が62(μAh)である。これに対し試料No.3は、正極層の膜厚が600(nm)、充電容量が151(μAh)、放電容量が148(μAh)である。したがって、試料No.3は、試料No.1に対し、正極層の厚さが3倍であるのに対し、充放電容量が約2.4倍である。
また、実施例に係る試料No.1~No.30は、測定電流を大きくしても充放電容量の低下が少ないことが確認された。例えば、実施例1において、膜構成が同じで測定電流のみが異なる試料No.1と試料No.4を比較する。試料No.1は、測定電流が20(μA)のとき、充電容量が64(μAh)、放電容量が62(μAh)であるのに対し、試料No.4は、測定電流が100(μA)のとき、充電容量が58(μAh)、放電容量が56(μAh)である。したがって、試料No.4は、試料No.1に対し、測定電流を5倍にしても充放電容量の低下が少ない。
比較例に係る試料No.1~No.24は、正極、負極の膜厚の増加に対し、充放電容量が実施例と比較してあまり増加せず、実施例に係る試料No.1~No.30に比べ充放電容量が小さいことが確認された。例えば、比較例1において、膜厚が異なる試料No.1と試料No.3とを比較する。試料No.1は、正極層の膜厚が200(nm)、充電容量が50(μAh)、放電容量が47(μAh)である。これに対し試料No.3は、正極層の膜厚が600(nm)、充電容量が86(μAh)、放電容量が82(μAh)である。したがって、試料No.3は、試料No.1に対し、正極層の厚さが3倍であるのに対し、充放電容量が2倍未満にとどまり、実施例1に比べ充放電容量が小さい。
また比較例に係る試料No.1~No.24は、測定電流を大きくすると充放電容量が実施例と比較して大きく減少してしまうことが確認された。例えば、比較例1において、膜構成が同じで測定電流のみが異なる試料No.1と試料No.4を比較する。試料No.1は、測定電流が20(μA)のとき、充電容量が50(μAh)、放電容量が47(μAh)であるのに対し、試料No.4は、測定電流が100(μA)のとき、充電容量が26(μAh)、放電容量が23(μAh)である。したがって、試料No.4は、試料No.1に対し、測定電流を5倍にしたことによって充放電容量が約半分に低下し、実施例1に比べ充放電容量が大きく減少した。
上記結果から実施例は、少なくとも正極層の膜厚が200nm以上において、比較例に比べ充放電容量が大きいといえる。また実施例は、正極層の膜厚が200nmから増加するに伴い、充放電容量がほぼ比例して増加し、増加が少ない比較例との差がより大きくなる。
実施例に係る試料No.1~No.30は、全て充放電カーブおよび充放電容量について、1000サイクル以上の安定したサイクル特性が確認された。その一例として、実施例1の試料No.1の電圧-充放電容量特性および充放電容量のサイクル特性を図2および図3に示す。
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。上記実施形態の場合、Nを含むスパッタリングガスを用いたスパッタリング法によって、Nを含む正極層及び負極層を形成する場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、Nを含まない正極層及び負極層に対し、イオン注入によりNをドープしてもよい。
上記実施形態の場合、正極集電体層14と、正極層16と、固体電解質層18と、負極層20と、負極集電体層22とを、それぞれ1つずつ備える場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、固体電解質層の両面に正極層および負極層がそれぞれ配置された構成を基本構成とし、この基本構成を集電体層を挟んで、複数積層してもよい。
なお、薄膜リチウム二次電池10の表面に窒化珪素や酸化珪素などのバリア膜を形成したり、薄膜リチウム二次電池10全体をAlや樹脂のフィルムで封止したり、樹脂でモールドしたりして、空気中の水分による劣化や、汚れを防止する処理を施しても良い。
10 薄膜リチウム二次電池
12 基板
14 正極集電体層
16 正極層
18 固体電解質層
20 負極層
22 負極集電体層

Claims (2)

  1. 正極層と、固体電解質層と、負極層とを備え、
    前記正極層は、膜全体に窒素(N)がドープされた、リチウムを含む金属酸化物のスパッタリング膜である
    薄膜リチウム二次電池。
  2. 前記正極層がリチウム-マンガン酸化物、リチウム-コバルト酸化物、又はリチウム-マンガン-コバルト酸化物を含み、前記負極層が酸化ニオブ又はリチウム-チタン酸化物を含み、前記固体電解質層がリン酸リチウムに窒素(N)が添加されたLiPONを含む請求項1記載の薄膜リチウム二次電池。
JP2019051363A 2018-03-22 2019-03-19 薄膜リチウム二次電池 Active JP7227477B2 (ja)

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