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JP7297643B2 - 光ファイバテープ心線の製造方法及び光ファイバテープ心線の製造装置 - Google Patents

光ファイバテープ心線の製造方法及び光ファイバテープ心線の製造装置 Download PDF

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JP7297643B2 JP2019200879A JP2019200879A JP7297643B2 JP 7297643 B2 JP7297643 B2 JP 7297643B2 JP 2019200879 A JP2019200879 A JP 2019200879A JP 2019200879 A JP2019200879 A JP 2019200879A JP 7297643 B2 JP7297643 B2 JP 7297643B2
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Description

本発明は、光ファイバテープ心線の製造方法及び光ファイバテープ心線の製造装置に関する。
ファイバ内に複数のコアを有する「マルチコアファイバ」が知られている。マルチコアファイバを伝送路として用いることによって、伝送容量を増やすことができる。このようなマルチコアファイバを長手方向に垂直な断面で見たとき、中心以外にもコアが配置されているため、複数のコアのコア配置に方向性があることになる。このため、マルチコアファイバ同士を接続する場合や、マルチコアファイバと光素子とを接続する場合には、マルチコアファイバのコア配置(言い換えると、マルチコアファイバの周方向の回転位置)を所定方向に合わせる必要がある。特許文献1には、複数本のマルチコアファイバのそれぞれのコア配置を一定方向に揃えて光ファイバテープを構成することが記載されている。
特開2017-173514号公報
特許文献1では、コアから外部に漏洩する漏洩光を検知することによって、マルチコアファイバの周方向の回転位置を検出し、マルチコアファイバを送り出すボビンの姿勢を制御することによって、マルチコアファイバの周方向の回転位置を制御している。但し、特許文献1に記載の方法では、マルチコアファイバの周方向の回転位置の制御が複雑となってしまう。
本発明は、簡易な方法で複数のマルチコアファイバの周方向の回転位置を合わせることを目的とする。
本発明の幾つかの実施形態は、複数のコアと、前記複数のコアに対して周方向の所定位置に形成されたキー部とを有するマルチコアファイバを送り出すこと、位置決め部が形成された挿通穴に前記マルチコアファイバを挿通させ、前記キー部と前記位置決め部とを接触させることによって、複数の前記マルチコアファイバを周方向の所定の回転位置に合わせること、及び複数の前記マルチコアファイバを連結して光ファイバテープ心線を形成することを行う光ファイバテープ心線の製造方法である。
本発明の他の特徴については、後述する明細書及び図面の記載により明らかにする。
本発明の幾つかの実施形態によれば、簡易な方法で複数のマルチコアファイバの周方向の回転位置を合わせることができる。
図1Aは、第1実施形態の光ファイバテープ心線1の斜視図である。図1Bは、第1実施形態の光ファイバテープ心線1の断面図(図1AのA-A断面図)である。 図2Aは、第1実施形態のマルチコアファイバ2の拡大断面図である。図2Bは、複数のコア3のコア配置の方向性に関する説明図である。 図3は、第1実施形態のファイバ製造装置60の説明図である。 図4Aは、第1実施形態のテープ心線製造装置80の説明図である。図4Bは、テープ化部82の説明図である。図4Cは、第1実施形態の入線部89の正面図である。図4Dは、位置決め部85に形成されたテーパ部85Aを示す説明図である。 図5A及び図5Bは、位置合わせ前後の複数のマルチコアファイバ2の様子の説明図である。 図6Aは、第1実施形態の変形例のマルチコアファイバ2の拡大断面図である。図6Bは、第1実施形態の変形例の入線部89の正面図である。 図7Aは、第1比較例の光ファイバテープ心線1の断面図である。図7Bは、第2比較例の光ファイバテープ心線1の断面図である。 図8Aは、第2実施形態の光ファイバテープ心線1の斜視図である。図8Bは、第2実施形態の光ファイバテープ心線1の断面図(図8AのA-A断面図)である。図8Cは、第2実施形態の光ファイバテープ心線1の断面図(図8AのB-B断面図)である。 図9Aは、第2実施形態の光ファイバテープ心線1の拡大断面図である。図9Bは、第2実施形態の変形例の光ファイバテープ心線1の拡大断面図である。 図10Aは、第2実施形態の別の変形例の光ファイバテープ心線1の斜視図である。図10Bは、第2実施形態の別の変形例の光ファイバテープ心線1の断面図(図10AのA-A断面図)である。図10Cは、第2実施形態の別の変形例の光ファイバテープ心線1の断面図(図10AのB-B断面図)である。 図11は、第2実施形態の別の変形例の光ファイバテープ心線1を構成するマルチコアファイバ2のキー部6Aを示す説明図である。
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
複数のコアと、前記複数のコアに対して周方向の所定位置に形成されたキー部とを有するマルチコアファイバを送り出すこと、位置決め部が形成された挿通穴に前記マルチコアファイバを挿通させ、前記キー部と前記位置決め部とを接触させることによって、前記マルチコアファイバを周方向の所定の回転位置に合わせること、及び前記複数のマルチコアファイバを連結して光ファイバテープ心線を形成することを行う光ファイバテープ心線の製造方法が明らかとなる。このような光ファイバテープ心線の製造方法によれば、簡易な方法で複数のマルチコアファイバの周方向の回転位置を合わせることができる。
前記マルチコアファイバの外周面において、前記マルチコアファイバの径方向に段差部を有するように前記キー部を形成することが望ましい。これにより、簡易な方法で複数のマルチコアファイバの周方向の回転位置を合わせることができる。
前記複数のコアのうち最も外側に配置され、かつ周方向に隣接する2つの前記コアの間に前記キー部が形成されることが望ましい。これにより、キー部の層の厚みの影響による伝送損失(マイクロベンド損失)を抑制することができる。
複数のコアを有するマルチコアファイバとなるように線引きすること、及び前記マルチコアファイバを線引きする際に、前記複数のコアに対して周方向の所定位置にキー部を形成することを行うマルチコアファイバの製造方法が明らかとなる。このようなマルチコアファイバの製造方法によれば、光ファイバテープ心線を形成する際に、簡易な方法で複数のマルチコアファイバの周方向の回転位置を合わせることができる。
複数のコアと、前記複数のコアに対して周方向の所定位置に形成されたキー部とを有するマルチコアファイバを送り出す送り出し部と、位置決め部が形成された挿通穴に前記マルチコアファイバを挿通させ、前記キー部と前記位置決め部とを接触させることによって、前記マルチコアファイバを周方向の所定の回転位置に合わせると共に、前記複数のマルチコアファイバを連結して光ファイバテープ心線を形成するテープ化部とを有する光ファイバテープ心線の製造装置が明らかとなる。このような光ファイバテープ心線の製造装置によれば、簡易な方法で複数のマルチコアファイバの周方向の回転位置を合わせることができる。
複数のコアを備えるマルチコアファイバを複数有する光ファイバテープ心線であって、前記マルチコアファイバは、前記複数のコアに対して周方向の所定位置に形成されたキー部を備え、前記キー部が前記周方向の所定の回転位置に配置されるように前記複数のマルチコアファイバが連結されていることを特徴とする光ファイバテープ心線が明らかとなる。このような光ファイバテープ心線によれば、光ファイバテープ心線を構成するマルチコアファイバ同士を接続する場合や、マルチコアファイバと光素子とを接続する場合に、接続作業が容易となる。
複数のコアと、前記複数のコアに対して周方向の所定位置に形成されたキー部とを有するマルチコアファイバが明らかとなる。このようなマルチコアファイバによれば、光ファイバテープ心線を形成する際に、簡易な方法で複数のマルチコアファイバの周方向の回転位置を合わせることができる。
複数のコアを備えるマルチコアファイバを複数有する光ファイバテープ心線の固定方法であって、前記マルチコアファイバは、前記複数のコアに対して周方向の所定位置に形成されたキー部を備え、前記キー部が前記周方向の所定の回転位置に配置されるように前記複数のマルチコアファイバが連結された光ファイバテープ心線を準備すること、前記複数のマルチコアファイバを一括して固定することを行う光ファイバテープ心線の固定方法が明らかとなる。このような光ファイバテープ心線の固定方法によれば、マルチコアファイバを固定する作業が容易である。
===第1実施形態===
<光ファイバテープ心線>
図1Aは、第1実施形態の光ファイバテープ心線1の斜視図である。図1Bは、第1実施形態の光ファイバテープ心線1の断面図(図1AのA-A断面図)である。図2Aは、第1実施形態のマルチコアファイバ2の拡大断面図である。なお、図2Aでは、図1A及び図1Bに示す第1実施形態の光ファイバテープ心線1からテープ化材7を除去し、単心分離した後のマルチコアファイバ2を図示している。
以下では、図に示す方向に従って説明を行うことがある。すなわち、図1Aに示すように、光ファイバテープ心線1の長手方向のことを単に「長手方向」と呼ぶ。ここで、長手方向とは、光ファイバテープ心線1を構成する光ファイバ(マルチコアファイバ2)の中心軸に沿った方向である。なお、複数のマルチコアファイバ2を長手方向が略平行になるように平面上に並べて配置した状態(図1Aに示す状態)でのマルチコアファイバ2に平行な方向を「長手方向」と呼ぶこともある。また、図1Aに示す状態での複数のマルチコアファイバ2の並ぶ方向を「テープ幅方向(幅方向に相当)」と呼ぶ。さらに、図1Aに示す状態での光ファイバテープ心線1のテープ面に垂直な方向を「テープ厚方向」と呼ぶ(すなわち、テープ厚方向は、テープ面の法線方向に相当する)。ここで、テープ面とは、図1Bに示すように、光ファイバテープ心線1の表面のうち、「長手方向」及び「テープ幅方向」に平行な面である。なお、上記の「長手方向」、「テープ幅方向」、「テープ厚方向」及び「テープ面」の各用語は、光ファイバテープ心線1の製造時に、複数のマルチコアファイバ2が並んで配置されている状態においても使用することがある。
また、図2Aに示すように、マルチコアファイバ2を長手方向に垂直な断面で見た状態で、マルチコアファイバ2の外周面(着色層6の外周面)に沿う方向を「周方向」と呼ぶ。さらに、図2Aに示すように、マルチコアファイバ2を長手方向に垂直な断面で見た状態で、長手方向に垂直な断面に平行な方向であって、かつマルチコアファイバ2の中心10を通る方向を「径方向」と呼ぶ。径方向において、中心10から離れる側を「外」と呼び、中心10に向かう側を「内」と呼ぶ。本実施形態では、マルチコアファイバ2の中心10は、着色層6(または被覆層5)の外周面を円とした場合の円の中心に位置している。なお、マルチコアファイバ2の中心軸は、マルチコアファイバ2の長手方向に垂直な各断面における中心10を通る線である。
本実施形態の光ファイバテープ心線1は、いわゆる一括被覆型の光ファイバテープ心線である。一括被覆型の光ファイバテープ心線1は、複数の光ファイバ(ここでは、マルチコアファイバ2)を並列させてテープ化材で一括被覆した光ファイバテープ心線である。光ファイバテープ心線1は、複数(ここでは、4心)のマルチコアファイバ2と、テープ化材7とを有する。図1Aに示すように、本実施形態の光ファイバテープ心線1では、4心のマルチコアファイバ2が、長手方向が略平行になるように平面上に並べて配置されている。また、このように並べて配置された4心のマルチコアファイバ2が、テープ化材7によって一括被覆されている。複数のマルチコアファイバ2を一括被覆することにより、複数のマルチコアファイバ2の取り扱いが容易になる。例えば、複数のマルチコアファイバ2を一括被覆することにより、光ファイバテープ心線1ごとに一括で融着接続ができるため、接続作業時間の大幅な短縮が可能となる。
なお、一括被覆型の光ファイバテープ心線1は、図1Aに示す構成に限られるものではない。例えば、テープ化材7によって一括被覆されるマルチコアファイバ2の心数は4心に限られず、複数であれば4心以外の心数であっても良い。また、光ファイバテープ心線1は、一括被覆型の光ファイバテープ心線でなくても良い。例えば、後述する第2実施形態の光ファイバテープ心線1のように、いわゆる間欠連結型(間欠固定型)の光ファイバテープ心線であっても良い。
マルチコアファイバ2は、本実施形態の光ファイバテープ心線1を構成する光ファイバである。本実施形態のマルチコアファイバ2は、1つの共通のクラッドの中に複数のコアを有する光ファイバである。マルチコアファイバ2は、コア3と、クラッド4と、被覆層5と、着色層6と、キー部6Aと、識別マーク6Cとを有する。なお、以下の説明では、1つの共通のクラッド4の中に複数のコア3が配置された構成を、「光ファイバ裸線」と呼ぶ。
コア3は、マルチコアファイバ2において光が伝播する部材である。コア3の屈折率は、クラッド4の屈折率よりも高く形成されている。本実施形態のマルチコアファイバ2では、複数(ここでは、4個)のコア3(図2Aのコア3A~コア3D)が配置されている。ここで、シングルコアの光ファイバの場合、一般的には光ファイバの中心軸上にコアが1つ配置されている。これに対し、図2Aに示すように、本実施形態のマルチコアファイバ2では、中心10以外の部分に複数のコア3(コア3A~コア3D)が配置されている。また、図2Aに示すように、本実施形態のマルチコアファイバ2では、複数のコア3は、マルチコアファイバ2の中心10を基準とした同一の円周(図2A中の一点鎖線)上に配置され、周方向のコア3同士の間隔が均等になっている。すなわち、マルチコアファイバ2を長手方向に垂直な断面で見たときに、複数のコア3が均等に配置されている。このように複数のコア3を均等に配置することにより、複数のコア3の光学的性質を均質にすることができる。
なお、複数のコア3は、図2Aに示すコア配置に限られるものではない。例えば、図2Aに示す4個のコア3の他に、中心10上にもコア3が配置されても良い。また、コア3の個数は4個に限られず、複数であれば4個以外であっても良い。さらに、マルチコアファイバ2を長手方向に垂直な断面で見たときに、複数のコア3が均等に配置されていなくても良い。
図2Bは、複数のコア3のコア配置の方向性に関する説明図である。図2Bの左側では、周方向における、ある回転位置でのマルチコアファイバ2を示している。図2Bの右側では、周方向における、別の回転位置でのマルチコアファイバ2を示している。本実施形態のマルチコアファイバ2は複数のコア3を有しているので、中心10以外の部分に少なくとも1個以上のコア3が位置することになる。図2Bの左側に示すマルチコアファイバ2と、図2Bの右側に示すマルチコアファイバ2とで周方向の回転位置が互いに異なっているため、図2Bの左側に示すマルチコアファイバ2と、図2Bの右側に示すマルチコアファイバ2とで複数のコア3のコア配置(複数のコア3の周方向の回転位置)が互いに異なっている。具体的には、図2Bの右側に示すマルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置は、図2Bの左側に示すマルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置と比べて、時計回りに角度Aだけ回転した状態である。このように、複数のコア3を有するマルチコアファイバ2の場合、マルチコアファイバ2を長手方向に垂直な断面で見たときに、複数のコア3のコア配置に方向性がある。
クラッド4は、マルチコアファイバ2において複数のコア3を覆う部材である。クラッド4の屈折率は、コア3の屈折率よりも低く形成されている。クラッド4は、単一の屈折率でも良いし、屈折率の異なる複数の層から構成されていても良い。
被覆層5は、マルチコアファイバ2において光ファイバ裸線の外周を覆う部材である。なお、被覆層5として、例えば紫外線硬化型の樹脂を用いることが可能である。被覆層5は、複数の層(例えば、プライマリ層、セカンダリ層など)で構成されていても良い。
着色層6は、他のマルチコアファイバ2と識別するための識別色によって着色される部材である。着色層6は、被覆層5の外周を覆っている。なお、着色層6は、被覆層5と別に設けられるのではなく、被覆層5を兼ねても良い。また、着色層6が形成されなくても良い。着色層6が形成されない場合、後述するキー部6Aは、被覆層5に形成されても良い。
キー部6Aは、マルチコアファイバ2を周方向の所定の回転位置に位置決めするための部材である。図2Aに示すように、本実施形態のマルチコアファイバ2では、キー部6Aは、段差部6Bを有する。段差部6Bは、マルチコアファイバ2の外周面において径方向に段差(高低差)を生じさせる部分である。すなわち、段差部6Bは、凹凸の境界部分である。本実施形態のマルチコアファイバ2では、キー部6Aは、着色層6(着色層6が形成されない場合は、被覆層5)の外周面に対して凸状に形成された部材(凸部)である。したがって、キー部6Aが凸部である場合、凸部の側面が段差部6Bとなる。但し、キー部6Aは、凸状に形成された部材でなくても良い。例えば、後述する第1実施形態の変形例のマルチコアファイバ2(図6A参照)のように、キー部6Aは、凹状に形成された部材(凹部)であっても良い。
ところで、図2Aに示すマルチコアファイバ2の断面は、4個のコア3(コア3A~コア3D)の、ある状態でのコア配置(周方向の回転位置)を示している。具体的には、図2Aで中心10から径方向に見たときのコア3A~コア3Dが、時計周りに45度、135度、225度、315度の方向に位置している。このようなコア配置を有するマルチコアファイバ2において、キー部6Aは、中心10から径方向に見たときに0度の方向に配置されている。すなわち、本実施形態のマルチコアファイバ2では、キー部6Aは、複数のコア3に対して周方向の所定位置に配置されている。逆に言うと、本実施形態のマルチコアファイバ2では、キー部6Aの周方向の位置を基準として見たとき、複数のコア3は周方向の所定の回転位置に配置されている。すなわち、中心10から見たキー部6Aの回転位置を0度(基準)としたとき、コア3A~コア3Dが、時計周りに45度、135度、225度、315度の所定の回転位置に配置されている。但し、複数のコア3とキー部6Aとの位置関係は、図2Aに示す関係に限られるものではない。
また、図2Aに示すマルチコアファイバ2の断面で見たとき、キー部6Aは、着色層6(着色層6が形成されない場合は、被覆層5)と一体的に形成されている。但し、キー部6Aは、着色層6(被覆層5)の一部分として形成されなくても良い。さらに、図2Aに示すマルチコアファイバ2の断面で見たとき、キー部6Aは、周方向に隣接する2つのコア(ここでは、コア3A及びコア3D)の間に配置されている。コア3の径方向外側にキー部6Aが配置されてないので、キー部6Aの層の厚みの影響による伝送損失(マイクロベンド損失)を抑制することができる。なお、本実施形態では全てのコア3が中心10から等距離に配置されているが、仮にコア3と中心10との距離が異なるものがある場合には、キー部6Aは、複数のコア3のうち最も外側に配置されたコア3のうちの周方向に隣接する2つのコア3の間に配置されていることが望ましい。但し、キー部6Aは、このような2つのコア3(複数のコア3のうち最も外側に配置され、かつ周方向に隣接する2つのコア3)の間に配置されなくても良い。
図1Aに示すように、キー部6Aは、マルチコアファイバ2の長手方向の一部分に形成されている。また、キー部6Aは、長手方向に沿って形成されている。但し、キー部6Aの長手方向における配置についてはこれに限られず、例えば、キー部6Aが長手方向に沿っていれば、マルチコアファイバ2の長手方向の全てにわたって形成されていても良い。なお、図1Aでは、長手方向の一部分に形成されたキー部6Aが長手方向に1つ配置されている。但し、キー部6Aの数や長さは、これに限られるものではない。
本実施形態では、キー部6Aは、マルチコアファイバ2の外周面に形成されている。本実施形態では、キー部6Aは、着色層6の外周面に形成されている。着色層6が形成されない場合は、キー部6Aを被覆層5の外周面に形成することが出来る。このため、キー部6Aをマルチコアファイバ2の外側に設けられる基準位置(ここでは、後述する入線部89の位置決め部85)に接触させることで、マルチコアファイバ2自体を移動させることができる。例えば、一方の側に設けられた位置決め部にキー部6Aを接触させることで、当該一方の側にキー部6Aを位置決めし、複数のマルチコアファイバ2の周方向の回転位置を合わせることができる。すなわち、複数のマルチコアファイバ2の、それぞれのコア3のコア配置を合わせることができる。なお、複数のマルチコアファイバ2のそれぞれのコア3のコア配置を合わせることについて、詳細は後述する。
また、図1Bに示すように、本実施形態の光ファイバテープ心線1では、各マルチコアファイバ2のキー部6Aは、一方のテープ面の側に揃って配置されている。これは、後述するように、当該一方のテープ面の側に配置された位置決め部85とキー部6Aとを接触させることによって、キー部6Aを当該一方のテープ面の側に位置決めしつつ、テープ化しているためである。
図1Bに示すように、本実施形態の光ファイバテープ心線1では、各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置が揃っている。光ファイバテープ心線1を構成する各マルチコアファイバ2において、キー部6Aの周方向の位置を基準として見たとき、各マルチコアファイバ2の複数のコア3は周方向の所定の回転位置に配置されている。すなわち、光ファイバテープ心線1を構成する各マルチコアファイバ2において、中心10から見たキー部6Aの回転位置を0度(基準)としたとき、コア3A~コア3Dが、時計周りに45度、135度、225度、315度の所定の回転位置に配置されている。
識別マーク6Cは、光ファイバテープ心線を識別するための部材である。識別マーク6Cは、ある光ファイバテープ心線と、他の光ファイバテープ心線とを識別するための、例えばテープ番号を示している。識別マーク6Cは、所定のパターンに従って形成されている。例えば、識別マーク6Cは、マルチコアファイバ2の長手方向に3~30mm程度の大きさ(幅)を有する。そして、複数個の識別マーク6Cが一組として配置され、その識別マーク6Cの個数により光ファイバテープ心線1が識別される。これにより、識別マーク6Cの配置によって、ある光ファイバテープ心線と、他の光ファイバテープ心線とを識別することができる。なお、2個の識別マーク6Cのそれぞれの長手方向の幅は、同じ長さに揃えなくても良く、異なる幅の識別マーク6Cを組み合わせても良い。また、識別マーク6Cが全体として一つの文字列を形成していても良い。なお、識別マーク6Cが設けられなくても良い。このとき、キー部6Aが識別マーク6Cの機能を備えていても良い。
なお、光ファイバテープ心線1の各マルチコアファイバ2の識別マーク6Cが、幅方向に並んで配置されていることが望ましい。言い換えると、本実施形態の光ファイバテープ心線1では、各マルチコアファイバ2の識別マーク6Cの長手方向の位置が共通していることが望ましい。これにより、識別マークを視認しやすくなる。但し、各マルチコアファイバ2の識別マーク6Cの長手方向の位置が異なっていても良い。
テープ化材7は、複数の光ファイバ(ここでは、マルチコアファイバ2)を並列させて一括被覆する部材である。テープ化材7は、例えば紫外線硬化樹脂で形成されている。また、テープ化材7は、透明な材料で形成されている。これにより、識別マーク6Cを視認可能となる。但し、識別マーク6Cを視認する必要が無い場合、テープ化材7は、不透明な材料で形成されていても良い。
<光ファイバテープ心線の製造方法(製造装置)>
図3は、第1実施形態のファイバ製造装置60の説明図である。図中には、本実施形態の光ファイバテープ心線1を構成するマルチコアファイバ2を製造するための紡糸工程(線引き工程)が示されている。また、図中の着色層コーティング装置64の右側には、マルチコアファイバ2の長手方向(送り方向)に垂直な断面で見たときのキー部6Aの形成の様子が示されている。なお、図中の紡糸工程(線引き工程)は、図4Aに示すファイバ用ボビン67に巻き取られているマルチコアファイバ2の製造工程である。なお、以下の説明では、マルチコアファイバ2の送り方向に従って「上流」及び「下流」の用語を使用している。
ファイバ製造装置60は、マルチコアファイバ2を製造する装置である。ファイバ製造装置60で製造されたマルチコアファイバ2は、本実施形態の光ファイバテープ心線1の製造に用いられることになる(図4A参照)。本実施形態のファイバ製造装置60は、マルチコアファイバ2を製造する際にキー部6Aを形成する。すなわち、本実施形態では、紡糸工程(線引き工程)においてマルチコアファイバ2にキー部6Aが形成される。
ファイバ製造装置60は、プリフォーム61と、加熱炉62と、外径モニタ63と、被覆層形成装置68と、着色層形成装置69と、ファイバ用ボビン67とを有する。プリフォーム61は、マルチコアファイバ2の母材である。加熱炉62は、プリフォーム61を溶融紡糸させるためにプリフォーム61を加熱する炉であり、例えば電気炉である。外径モニタ63は、所定の外径を持つマルチコアファイバ2を形成するために、溶融紡糸されたプリフォーム61の外径を監視するモニタである。
被覆層形成装置68は、マルチコアファイバ2に被覆層5を形成する装置である。被覆層形成装置68は、被覆層コーティング装置65と、被覆層硬化装置66とを有する。被覆層コーティング装置65は、マルチコアファイバ2に被覆層5をコーティングする装置である。被覆層コーティング装置65は、着色層形成装置69よりも上流に配置されている。これにより、本実施形態では、図2Aに示すように、着色層6が被覆層5よりも外側に配置されることになる。なお、加熱炉62と被覆層コーティング装置65との間でマルチコアファイバ2が冷却されることになる。被覆層硬化装置66は、被覆層コーティング装置65でコーティングした樹脂(被覆層5)を硬化させるための装置であり、例えば紫外線照射装置である。
着色層形成装置69は、マルチコアファイバ2に着色層6を形成する装置である。着色層形成装置69は、着色層コーティング装置64と、着色層硬化装置70とを有する。着色層コーティング装置64は、マルチコアファイバ2に着色層6をコーティングする装置である。図3の右側に示した拡大断面図のように、本実施形態の着色層コーティング装置64では、着色層6と共にキー部6Aが一体的に形成される。マルチコアファイバ2の複数のコア3に対して周方向の所定位置にキー部6Aが配置されるように、着色層6が形成される。これにより、着色層コーティング装置64は、マルチコアファイバ2の複数のコア3に対して周方向の所定位置にキー部6Aを形成することができる。前述したように、キー部6Aをマルチコアファイバ2の長手方向の一部分に形成する場合、着色層コーティング装置64は、キー部6Aを形成するときと、形成しないときとを制御することになる。なお、着色層コーティング装置64は、被覆層形成装置68よりも下流側に配置されており、マルチコアファイバ2への被覆層5のコーティング後に着色層6をマルチコアファイバ2に形成する。これにより、着色層6と一体的に形成されるキー部6Aをマルチコアファイバ2の外周面に形成することができる。なお、着色層6が形成されない場合は、前述の被覆層コーティング装置65においてキー部6Aが形成されても良い。着色層6が形成されない場合、マルチコアファイバ2の複数のコア3に対して周方向の所定位置にキー部6Aが配置されるように、被覆層5が形成されることになる。また、着色層6(被覆層5)の上にキー部6Aとなる樹脂を塗布しても良い。このようにキー部6Aが着色層6(被覆層5)の一部分として形成されない場合、すなわち、キー部6Aが着色層6(被覆層5)と別に形成される場合、キー部6Aの形成装置が着色層形成装置69(被覆層形成装置68)とは別に設けられても良い。着色層硬化装置70は、着色層コーティング装置64でコーティングした樹脂(着色層6)を硬化させるための装置であり、例えば紫外線照射装置である。
ところで、本実施形態では、少なくとも加熱炉62でプリフォーム61が加熱されてから着色層コーティング装置64によりマルチコアファイバ2へ着色層6が形成されるまでの間に、例えば偏波モード分散(PMD)の抑制を目的とするマルチコアファイバ2へのスピンの付与が行われていない。すなわち、この間にマルチコアファイバ2は周方向に回転していないことになる。したがって、キー部6Aの形成場所を複数のコア3に対して周方向の所定位置となるように配置するだけで、キー部6Aを複数のコア3に対して周方向の所定位置に配置することができる。
ファイバ用ボビン67は、コーティングされた被覆層5が硬化し、着色層6が形成されたマルチコアファイバ2が巻き取られるボビンである。本実施形態では、ファイバ用ボビン67には、複数のコア3に対して周方向の所定位置にキー部6Aが形成されたマルチコアファイバ2が巻き取られることになる。
図4Aは、第1実施形態のテープ心線製造装置80の説明図である。図4Bは、テープ化部82の説明図である。図4Aに示すテープ心線製造装置80では、紡糸工程において製造された複数本(ここでは、4本)のマルチコアファイバ2を一括被覆して、一括被覆型の光ファイバテープ心線1を形成する工程(テープ化工程)を示している。
テープ心線製造装置80は、複数本のマルチコアファイバ2をテープ化材7で被覆して、一括被覆型の光ファイバテープ心線1を形成する装置である。テープ心線製造装置80は、送り出し部81と、テープ化部82と、テープ心線用ボビン90とを有する。
送り出し部81は、複数のマルチコアファイバ2を送り出す装置である。本実施形態の送り出し部81は、複数のファイバ用ボビン67と、コントローラ83と、マーク検出装置84とを有する。ファイバ用ボビン67は、前述のファイバ製造装置60にてマルチコアファイバ2が巻き取られたボビンである。本実施形態では、それぞれのファイバ用ボビン67からマルチコアファイバ2が送り出される。但し、送り出し部81が複数のファイバ製造装置60を備え、紡糸工程(線引き工程)にて製造されたマルチコアファイバ2をファイバ用ボビン67に巻き取らずに直接送り出しても良い。コントローラ83は、マーク検出装置84にて検出したマルチコアファイバ2の識別マーク6Cの位置に基づいて、それぞれのマルチコアファイバ2の送り出し速度を制御する装置である。ここでは、コントローラ83は、それぞれのファイバ用ボビン67の回転速度を制御することによって、それぞれのマルチコアファイバ2の送り出し速度を制御する。マーク検出装置84は、マルチコアファイバ2に設けられた識別マーク6Cの位置を検出する装置である。本実施形態では、コントローラ83は、それぞれのマルチコアファイバ2の識別マーク6Cの長手方向の位置が揃うように、マーク検出装置84にて検出したマルチコアファイバ2の識別マーク6Cの位置に基づいて、それぞれのマルチコアファイバ2の送り出し速度を制御する。
テープ化部82は、複数のマルチコアファイバ2に一括してテープ化材7を塗布し、硬化する装置である。テープ化部82は、テープ化材塗布装置87と、テープ化材硬化装置88とを有する。
テープ化材塗布装置87は、テープ化材7を塗布する装置である。テープ化材7は、前述したように例えば紫外線硬化樹脂であり、テープ化材7が硬化することによって複数のマルチコアファイバ2が一括被覆される。テープ化材塗布装置87は、並列させた複数のマルチコアファイバ2にテープ化材7を塗布する。本実施形態のテープ化材塗布装置87には、入線部89(挿通穴)が設けられている。入線部89は、各マルチコアファイバ2をテープ化材塗布装置87の内部に導入する部分である。テープ化材塗布装置87は、液状のテープ化材7を充填させたコーティングダイスに各マルチコアファイバ2を入線部89から挿通させることによって、長手方向にわたって、複数のマルチコアファイバ2を一括してテープ化材7を塗布する。
図4Cは、第1実施形態の入線部89の正面図である。入線部89には、位置決め部85が設けられている。位置決め部85は、マルチコアファイバ2のキー部6Aと接触することにより、マルチコアファイバ2を周方向の所定の回転位置に位置決めする部分である。ここでは、位置決め部85は、キー部6A(ここでは、凸部)と嵌合するような凹状に形成されている。これにより、位置決め部85は、マルチコアファイバ2のキー部6Aと接触することにより、マルチコアファイバ2を周方向の所定の回転位置に位置決めすることができる。但し、位置決め部85は、キー部6Aと嵌合するような形状であれば、凹状に形成されていなくても良い。図4Cに示すように、本実施形態のテープ心線製造装置80では、複数の入線部89の位置決め部85の周方向の位置が揃っている。具体的には、本実施形態のテープ心線製造装置80では、テープ厚方向において、位置決め部85が一方の側を向くように複数の入線部89が揃って配置されている。これにより、光ファイバテープ心線1を構成する各マルチコアファイバ2のコア配置を揃えることができる。
図5A及び図5Bは、位置合わせ前後の複数のマルチコアファイバ2の様子の説明図である。
図5Aは、マルチコアファイバ2が入線部89に挿通される前の複数のマルチコアファイバ2の様子を示している。図4BのA-A地点における複数のマルチコアファイバ2の様子を示している。
送り出し部81において各マルチコアファイバ2が送り出される際、各マルチコアファイバ2が周方向に回転するおそれがある。すなわち、送り出し部81において各マルチコアファイバ2が送り出される際、複数のコア3のコア配置が、マルチコアファイバ2毎に周方向に異なってしまう可能性がある。これは、例えばファイバ用ボビン67から各マルチコアファイバ2が送り出される際や、各マルチコアファイバ2がマーク検出装置84を通過する際に、マルチコアファイバ2の周方向に捻じれてしまうことがあるからである。各マルチコアファイバ2にそれぞれ捻じれてしまうことにより、図5Aに示すように、複数のコア3のコア配置が、マルチコアファイバ2毎に周方向に異なることがある。この複数のコア3のコア配置のままテープ化されると、マルチコアファイバ2同士を接続する際や、マルチコアファイバ2と光素子とを接続する際に、複数のコア3のコア配置を周方向の回転位置を合わせなければならず、接続作業が煩雑となってしまう。そこで、本実施形態のテープ心線製造装置80では、入線部89の位置決め部85によりテープ化の直前で各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を合わせている。
図5Bは、マルチコアファイバ2が入線部89に挿通される際の複数のマルチコアファイバ2の様子を示している。図4BのB-B地点における複数のマルチコアファイバ2の様子を示している。
入線部89の位置決め部85は、複数のマルチコアファイバ2のそれぞれのキー部6Aを所定方向に位置合わせする。各マルチコアファイバ2のキー部6Aは、複数のコア3に対して周方向の所定位置に配置されている。このため、各マルチコアファイバ2のキー部6Aが同じ方向に位置合わせされることによって、各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を揃えることができる。本実施形態では、入線部89の位置決め部85によって位置合わせさるだけで各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を揃えることができる。このため、各マルチコアファイバ2を周方向に回転させる装置を別に設ける必要がない。すなわち、本実施形態のテープ心線製造装置80は、簡易な装置で複数のコア3のコア配置を揃えることが可能である。
ところで、入線部89では、各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を完全に揃える必要はない。すなわち、複数のコア3のコア配置が周方向に全く揃っていない状態から、ある程度揃うだけでも効果がある。複数のコア3のコア配置がある程度揃っていれば、各マルチコアファイバ2を周方向に回転させる量(調整角度)が少なくて済む。したがって、例えば各マルチコアファイバ2を一括して融着接続する際や、メカニカルスプライス(機械的接続)をする際に、各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を揃えてセットする作業が容易になる。つまり、マルチコアファイバ2のキー部6Aが位置決め部85に接触するようにマルチコアファイバ2が周方向に回転した分だけ、各マルチコアファイバ2を周方向に回転させる量(調整角度)が少なくて済む。
図4Dは、位置決め部85に形成されたテーパ部85Aを示す説明図である。入線部89では、位置決め部85の幅が下流側ほど狭まるようにテーパ状に形成されている。図4Dに示すように、本実施形態の入線部89では、位置決め部85にはテーパ部85Aが形成されている。これにより、マルチコアファイバ2のキー部6Aがテーパ部85Aに接触しながら入線することにより、マルチコアファイバ2を位置決め部85が設けられた入線部89に導入しやすくなる。
テープ化材硬化装置88は、紫外線硬化樹脂で構成されたテープ化材7に紫外線を照射する装置である。テープ化材硬化装置88によりテープ化材7を硬化させることで、光ファイバテープ心線1が製造される。
図6Aは、第1実施形態の変形例のマルチコアファイバ2の拡大断面図である。図6Bは、第1実施形態の変形例の入線部89の正面図である。
本実施形態の変形例のマルチコアファイバ2においても、キー部6Aは、段差部6Bを有する。但し、図6Aに示すように、キー部6Aは、着色層6(着色層6が形成されない場合は、被覆層5)の外周面に対して凹状に形成された部材(凹部)である。したがって、キー部6Aが凹部である場合、凹部の側面が段差部6Bとなる。また、図6Bに示すように、入線部89に形成される位置決め部85は、キー部6A(ここでは、凹部)と嵌合するような凸状に形成されている。これにより、本実施形態の変形例においても、キー部6Aと位置決め部85とが接触することにより、マルチコアファイバ2を周方向の所定の回転位置に位置決めすることができる。
<光ファイバテープ心線の固定方法>
本実施形態のような、キー部6Aが複数のコア3に対して周方向の所定位置に形成され、さらにキー部6Aが周方向の所定の回転位置に配置されるように複数のマルチコアファイバ2を連結した光ファイバテープ心線1を用いることにより、光ファイバテープ心線1のテープ化材を除去し、各マルチコアファイバ2を一括して固定する際に特に有利となる。すなわち、前述したように、複数のコア3のコア配置がある程度揃っていれば、光ファイバテープ心線1を構成する各マルチコアファイバ2同士を一括して融着接続するような際、融着機に各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を揃えてセット(固定)する作業が容易になる。また、各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置がある程度揃っていれば、フェルールに各マルチコアファイバ2を一括固定するような際、フェルールに各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を揃えてセット(固定)する作業が容易になる。
<比較例の光ファイバテープ心線>
図7Aは、第1比較例の光ファイバテープ心線1の断面図である。図7Aでも、本実施形態の光ファイバテープ心線1との相違点を明確にするために、4心の光ファイバテープ心線1が示されている。
第1比較例の光ファイバテープ心線1では、各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置(周方向の回転位置)が、マルチコアファイバ2毎に異なっている。このため、マルチコアファイバ2同士を接続する場合や、マルチコアファイバ2と光素子とを接続する場合には、マルチコアファイバ2のコア配置(言い換えると、マルチコアファイバ2の周方向の回転位置)を所定方向に合わせる作業が不便になる。なお、第1比較例の各マルチコアファイバ2にはキー部6Aが設けられていないため、第1比較例の各マルチコアファイバ2は、周方向の回転位置を合わせることができない。
図7Bは、第2比較例の光ファイバテープ心線1の断面図である。図7Bでも、本実施形態の光ファイバテープ心線1との相違点を明確にするために、4心の光ファイバテープ心線1が示されている。
第2比較例の光ファイバテープ心線1では、各マルチコアファイバ2にキー部6Aが設けられているものの、キー部6Aは、複数のコア3に対して周方向の所定位置に形成されていない。すなわち、複数のコア3に対して、キー部6Aの周方向の位置がマルチコアファイバ2毎に異なってしまっている。したがって、キー部6Aと、入線部89の位置決め部85とが接触することによっても、複数のマルチコアファイバ2の周方向の回転位置を合わせることができない。このため、図7Bに示すように、テープ化の際に、複数のコア3のコア配置(周方向の回転位置)は、マルチコアファイバ2毎に異なってしまう。
これら第1比較例及び第2比較例と比べて、本実施形態の光ファイバテープ心線1では、図1Bに示すように、キー部6Aは、複数のコア3に対して周方向の所定位置に形成されている。このため、マルチコアファイバ2同士を接続する場合や、マルチコアファイバ2と光素子とを接続する場合には、マルチコアファイバ2のコア配置(言い換えると、マルチコアファイバ2の周方向の回転位置)を所定方向に合わせる作業が容易になる。また、第2比較例と比べて、本実施形態の各マルチコアファイバ2のキー部6Aは、複数のコア3に対して周方向の所定位置に配置されているため、各マルチコアファイバ2のキー部6Aと、入線部89の位置決め部85とが接触することによって、各マルチコアファイバ2の複数のコア3のコア配置を揃えることが可能である。
===第2実施形態===
図8Aは、第2実施形態の光ファイバテープ心線1の斜視図である。図8Bは、第2実施形態の光ファイバテープ心線1の断面図(図8AのA-A断面図)である。図8Cは、第2実施形態の光ファイバテープ心線1の断面図(図8AのB-B断面図)である。図9Aは、第2実施形態の光ファイバテープ心線1の拡大断面図である。
前述の第1実施形態の光ファイバテープ心線1は、一括被覆型の光ファイバテープ心線であった。しかし、光ファイバテープ心線1は、一括被覆型の光ファイバテープ心線でなくても良い。例えば、光ファイバテープ心線1は、いわゆる間欠連結型(間欠固定型)の光ファイバテープ心線であっても良い。間欠連結型の光ファイバテープ心線1は、複数のマルチコアファイバ2を並列させて間欠的に連結した光ファイバテープ心線である。図8A~図8Cに示すように、第2実施形態の光ファイバテープ心線1では、隣接する2心のマルチコアファイバ2は、連結部8によって連結されている。隣接する2心のマルチコアファイバ2を連結する複数の連結部8は、長手方向に間欠的に配置されている。また、光ファイバテープ心線1の複数の連結部8は、長手方向及びテープ幅方向に2次元的に間欠的に配置されている。連結部8は、接着剤となる紫外線硬化樹脂を塗布した後に紫外線を照射して固化することによって形成されている。なお、連結部8を熱可塑性樹脂で構成することも可能である。図8A~図8Cに示すように、第2実施形態の光ファイバテープ心線1では、隣接する2心のマルチコアファイバ2間の連結部8以外の領域は、非連結部9(分離部)になっている。非連結部9では、隣接する2心のマルチコアファイバ2同士は拘束されていない。連結部8のテープ幅方向には非連結部9が配置されている。これにより、光ファイバテープ心線1を丸めて筒状(束状)にしたり、折りたたんだりすることが可能になり、多数のマルチコアファイバ2を高密度に収容することが可能になる。なお、図8B及び図8Cに示すように、間欠連結型の光ファイバテープ心線1の場合のテープ面は、長手方向に沿った各マルチコアファイバ2の上縁同士(又は下縁同士)をテープ幅方向に繋いで構成される面である。
図9Aに示すように、第2実施形態の間欠連結型(間欠固定型)光ファイバテープ心線1においても、キー部6Aが複数のコア3に対して周方向の所定位置に形成されている。また、キー部6Aが周方向の所定の回転位置に配置されるように各マルチコアファイバ2が連結されている。このように各マルチコアファイバ2で複数のコア3のコア配置が揃っていると、マルチコアファイバ2同士を接続する場合や、マルチコアファイバ2と光素子とを接続する場合に、接続作業が容易となる。第2実施形態の間欠連結型(間欠固定型)光ファイバテープ心線1においても、マルチコアファイバ2の紡糸工程(線引き工程)、すなわちマルチコアファイバ2の製造方法は、前述の第1実施形態の場合と同様である。
図9Bは、第2実施形態の変形例の光ファイバテープ心線1の拡大断面図である。図9Bに示すように、第2実施形態の光ファイバテープ心線1では、隣接する2心のマルチコアファイバ2間の連結部8がマルチコアファイバ2の全周(被覆層5の全周)を覆っていても良い。このような場合でも、キー部6Aが複数のコア3に対して周方向の所定位置に配置されており、キー部6Aが周方向の所定の回転位置に配置されるように各マルチコアファイバ2が連結されているのは、図9Aの場合と同様である。このように各マルチコアファイバ2で複数のコア3のコア配置が揃っていると、マルチコアファイバ2同士を接続する場合や、マルチコアファイバ2と光素子とを接続する場合に、接続作業が容易となる。
図10Aは、第2実施形態の別の変形例の光ファイバテープ心線1の斜視図である。図10Bは、第2実施形態の別の変形例の光ファイバテープ心線1の断面図(図10AのA-A断面図)である。図10Cは、第2実施形態の別の変形例の光ファイバテープ心線1の断面図(図10AのB-B断面図)である。図11は、第2実施形態の別の変形例の光ファイバテープ心線1を構成するマルチコアファイバ2のキー部6Aを示す説明図である。
図10A~図11に示すように、第2実施形態の別の変形例では、キー部6Aは、マルチコアファイバ2の長手方向に間欠的に形成されている。また、複数のマルチコアファイバ2のキー部6Aは、長手方向及びテープ幅方向に2次元的に間欠的に形成されている。さらに、図10B及び図10Cに示す各マルチコアファイバ2の断面で見たとき、第2実施形態の別の変形例では、キー部6Aが幅方向に形成されている。具体的には、マルチコアファイバ2の中心10から見たときのキー部6Aの回転位置が90度となるように、キー部6Aが形成されている。第2実施形態の別の変形例の光ファイバテープ心線1では、このように複数のマルチコアファイバ2で2次元的に間欠的に形成されたキー部6Aで連結することにより、2次元的に間欠的に配置される連結部8が形成されている。具体的には、図10B及び図10Cに示すように、光ファイバテープ心線1の断面で見たとき、キー部6Aと隣接するマルチコアファイバ2の側面との間に連結部8が形成されることになる。このような連結部8は、キー部6Aに接着剤となる紫外線硬化樹脂を塗布し、後に紫外線を照射して固化することによって形成されている。
図8A~図8Cに示す第2実施形態の光ファイバテープ心線1のテープ化工程では、連結部8が形成される領域と、非連結部9が形成される領域との両方を含む領域に接着剤となる紫外線硬化樹脂を塗布する。そして、紫外線を照射して紫外線硬化樹脂が固化する前に、非連結部9が形成される領域の紫外線硬化樹脂を除去することによって、非連結部9を形成している。これに対し、第2実施形態の別の変形例の光ファイバテープ心線1のテープ化工程では、連結部8が形成される領域のみに紫外線硬化樹脂を塗布し、紫外線を照射して固化するだけで、連結部8及び非連結部9を形成することができる。すなわち、非連結部9が形成される領域の紫外線硬化樹脂を除去する工程が不要である。これにより、紫外線硬化樹脂を除去する工数を抑制できると共に、紫外線硬化樹脂を使用する量も抑制することができる。また、光ファイバテープ心線1のテープ面に凹凸が生じないので、マイクロベンド損失を抑制することができる。また、キー部6Aの段差部6Bを利用することにより、光ファイバテープ心線1の製造時にマルチコアファイバ2同士の間隔を容易に調整することができる。
===その他===
前述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
1 光ファイバテープ心線、2 マルチコアファイバ(光ファイバ)、
3(3A、3B、3C、3D) コア、4 クラッド、5 被覆層、
6 着色層、6A キー部、6B 段差部、6C 識別マーク、
7 テープ化材、8 連結部、9 非連結部、10 中心、
60 ファイバ供給部、61 プリフォーム、62 加熱炉、
63 外径モニタ、64 着色層コーティング装置、65 被覆層コーティング装置、
66 被覆層硬化装置、67 ファイバ用ドラム、
68 被覆層形成装置、69 着色層形成装置、70 着色層硬化装置、
80 テープ心線製造装置、81 送り出し部、82 テープ化部、
83 コントローラ、84 マーキング検出装置、85 位置決め部、
85A テーパ部、87 テープ化材塗布装置、
88 テープ化材硬化装置、89 入線部、90 テープ心線用ドラム

Claims (4)

  1. 複数のコアと、前記複数のコアに対して周方向の所定位置に形成されたキー部とを有するマルチコアファイバを送り出すこと、
    位置決め部が形成された挿通穴に前記マルチコアファイバを挿通させ、前記キー部と前記位置決め部とを接触させることによって、複数の前記マルチコアファイバを周方向の所定の回転位置に合わせること、及び
    複数の前記マルチコアファイバを連結して光ファイバテープ心線を形成すること
    を行う光ファイバテープ心線の製造方法。
  2. 請求項1に記載の光ファイバテープ心線の製造方法であって、
    前記マルチコアファイバの外周面において、前記マルチコアファイバの径方向に段差部を有するように前記キー部を形成する
    ことを特徴とする光ファイバテープ心線の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の光ファイバテープ心線の製造方法であって、
    前記複数のコアのうち最も外側に配置され、かつ周方向に隣接する2つの前記コアの間に前記キー部が形成される
    ことを特徴とする光ファイバテープ心線の製造方法。
  4. 複数のコアと、前記複数のコアに対して周方向の所定位置に形成されたキー部とを有するマルチコアファイバを送り出す送り出し部と、
    位置決め部が形成された挿通穴に前記マルチコアファイバを挿通させ、前記キー部と前記位置決め部とを接触させることによって、複数の前記マルチコアファイバを周方向の所定の回転位置に合わせると共に、複数の前記マルチコアファイバを連結して光ファイバテープ心線を形成するテープ化部と
    を有する光ファイバテープ心線の製造装置。
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