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JP7295521B2 - 放射性薬剤投与装置 - Google Patents

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JP7295521B2 JP2019025689A JP2019025689A JP7295521B2 JP 7295521 B2 JP7295521 B2 JP 7295521B2 JP 2019025689 A JP2019025689 A JP 2019025689A JP 2019025689 A JP2019025689 A JP 2019025689A JP 7295521 B2 JP7295521 B2 JP 7295521B2
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Description

本発明は、放射性薬剤を投与する放射性薬剤投与装置に関する。
放射性薬剤の投与では、放射性薬剤の投与形態が正しいか否かを判定することが重要である。ここで、投与形態とは、放射性薬剤と放射性薬剤が投与される被投与者との組み合わせや、放射性薬剤の投与量等が考えられる。
特許文献1には、薬剤庫から放射性薬剤を出庫する際と、被投与者に放射性薬剤を投与する際の二回に亘って放射性薬剤のバーコードと被投与者のIDの照合を行うことが記載されている。このような特許文献1に記載の発明は、放射性薬剤と被投与者の組み合わせの一致を確認するものである。
特開2002-123600号公報
ところで、放射性薬剤の適正な投与量は、同じ放射性薬剤の製品を用いた場合であっても被投与者の体格等に応じて被投与者毎に相違する。放射性薬剤の投与の現場では、被投与者の体格に応じて投与量を調整し、過剰な放射線被ばくを回避している。
しかしながら、特許文献1に記載の薬剤投与システムは、被投与者に適正な量の放射性薬剤を投与することを目的とするものではない。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、被投与者毎に適正な量の放射性薬剤を簡易に投与することができる放射性薬剤の投与装置に関する。
本発明の放射性薬剤投与装置は、液状の放射性薬剤を収容し、前記放射性薬剤に係る薬剤情報が少なくとも表面に記された容器がセットされるステージと、前記ステージにセットされた前記容器から前記放射性薬剤を抽出する抽出部を保持する保持部と、前記容器に記された前記薬剤情報を読取る読取部と、前記放射性薬剤が投与される被投与者に関する情報を取得する被投与者情報取得部と、前記薬剤情報及び前記被投与者情報に基づいて前記放射性薬剤の最適抽出量を決定する投与量決定部と、を備える。
本発明は、被投与者毎に適正な量の放射性薬剤を簡易に投与することができる放射性薬剤投与装置を提供することができる。
本発明の第一実施形態の放射性薬剤投与装置の正面図である。 図1に示した放射性薬剤投与装置の右側面図である。 図1に示した放射性薬剤投与装置の模式的な断面図である。 図2に示した放射性薬剤投与装置の模式的な断面図である。 図3及び図4に示した遮蔽容器及びバイアル瓶を説明するための図である。 第一実施形態の放射性薬剤投与装置における遮蔽容器の収容状態を説明するための斜視図である。 図1から図4に示した操作部を説明するための図である。 第一実施形態の放射性薬剤投与装置の投与量を決定する構成を説明するための機能ブロック図である。 第二実施形態の放射性薬剤投与装置の投与量を決定する構成を説明するための機能ブロック図である。
以下、本発明の第一実施形態、第二実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。また、第一実施形態及び第二実施形態の図面は、本発明の放射性薬剤投与装置の構成部材、各構成部材の配置や機能及び位置関係等を例示する図であって、第一実施形態及び第二実施形態の放射性薬剤投与装置の具体的な構成を限定するものではない。
[第一実施形態]
図1から図4は、第一実施形態の放射性薬剤投与装置1の構成を説明するための図である。図1は、放射性薬剤投与装置1を図中に示したx,y,z座標のy方向に向かって見た正面図である。図2は、図1に示す放射性薬剤投与装置1を-x方向に向かって見た右側面図である。図3は、図1に示した放射性薬剤投与装置1の模式的な断面図であり、図4は、図2に示した放射性薬剤投与装置1の模式的な断面図である。図3及び図4の断面図は、放射性薬剤投与装置1において放射線を遮蔽する遮蔽壁部21a-21d及び放射性薬剤投与装置1にセットされた遮蔽容器5を断面で示している。
図1から図4に示すように、放射性薬剤投与装置1は、内部に液状の放射性薬剤27を収容したバイアル瓶7が遮蔽容器5ごとセットされ、放射性薬剤27を抽出して投与する装置である。放射性薬剤投与装置1は、筐体10を有している。筐体10は、放射性薬剤27を抽出する構成を収容する本体10aと、本体の外枠に取り付けられて左右に開放される二つの扉部10b、10bとを有している。扉部10bには把持部11が設けられている。放射性薬剤投与装置1の上面には操作部6(図7)が設けられていて、投与者が放射性薬剤27の投与量を決定するための操作を行う。
放射性薬剤投与装置1には放射性薬剤投与装置1が外部と通信するための外部通信コネクタ63、電源の投入、停止を切り換える電源スイッチ64、放射性薬剤投与装置1を緊急停止するための非常停止スイッチ62が設けられている。
また、放射性薬剤投与装置1には放射性薬剤27を押し出すための生理食塩水が収容された生食バッグ3と、生食バッグ3を懸架するための懸架部35と、生食バッグ3と第一輸液チューブ31aとを接続する生食バッグ針33と、第二輸液チューブ31bと接続するチェックバルブ34とを備えている。
さらに、放射性薬剤投与装置1は、図4に示すように、電子機器を含み、放射性薬剤投与装置1に電力を供給する無停電電源装置(UPS)70aと、放射性薬剤27の抽出量及び放射性薬剤の投与のための各構成の駆動を制御する制御部70bと、を有している。制御部70bは、放射性薬剤27の抽出量を決定するための演算処理を実行する小型のCPU(Central Processor Unit)、メモリ装置、放射性薬剤投与装置1の内部に設けられているモータやアクチュエータのドライバユニット等を含んでいる。
また、放射性薬剤投与装置1は、液状の放射性薬剤27を収容したバイアル瓶7を収容し、放射性薬剤27に係る薬剤情報が少なくとも表面に記された遮蔽容器5がセットされるステージ73と、ステージ73にセットされた遮蔽容器5から放射性薬剤27を抽出する抽出部である抽出針16を保持する保持部である第一針ベース12と、遮蔽容器5に記された薬剤情報を読取る読取部であるバーコードリーダー81と、を備えている。第一針ベース12に対する抽出針16の保持強度は、クランプつまみ121により調整することが可能である。第一針ベース12は、副基板9に取り付けられ、モータ15によって上下動している。図示しない第二針ベースは、遮蔽容器5内のバイアル瓶7(図5)を常圧にするための通気針13を保持している。
また、放射性薬剤投与装置1は、放射性薬剤27が投与される被投与者に関する被投与者情報を取得する被投与者情報取得部である情報取得部68(図8)と、薬剤情報及び被投与者情報に基づいて、抽出針16が抽出すべき放射性薬剤27の最適抽出量を決定する投与量決定部69(図8)と、最適抽出量の放射性薬剤27を被投与者に投与する投与部であるシリンジ38、39、シリンジ駆動部35a、35bと、を備えている。最適抽出量は、放射性薬剤27の液量で表されるものであってもよいし、放射能量で表されるものであってもよい。
なお、放射性薬剤27は、液状のものである。放射性薬剤27の種類は特に限定されないが、放射性薬剤27としては、例えば、PET(陽電子断層診断法:Positron Emission Tomography)検査用の短寿命核種を含む放射性薬剤、例えばFDG(フッ素18で標識されたグルコース誘導体:[18F]-2-deoxy-2-fluoro-D-glucose)、[18F]フルテメタモル、[18F]フロルベタピル、[18F]fluciclovine、[18F]フロロエチルチロシン(FLT)、[18F]フルオロミソニダゾール、FDOPA(フッ素18で標識された製剤:L-3,4-dihydroxy-6-[18F]-fluorophenylalanine)、FDA(6-[18F]-fluorodopamine)、[18F]フッ化ナトリウム等がある。また、放射性薬剤27は、[11C]メチオニン、[11C]酢酸、[11C]コリン誘導体、[13N]アンモニア、若しくは99mTc、123I、131I、201Tl、67Ga、51Cr等の放射性同位元素核種からなる治療用または診断用の注射液であってもよい。
放射性薬剤27の放射能量は、RI検出器85によって検出されている。
図5は、遮蔽容器5及びバイアル瓶7を説明するための図であって、遮蔽容器5を開放した状態の斜視図である。
遮蔽容器5は、第一針ベース12に取り付けられた抽出針16が挿通されるバイアル瓶7を収容し、ステージ73に載置される放射線の遮蔽容器である。図5に示すように、遮蔽容器5は、容器本体56と、容器本体56のねじ蓋である容器蓋体51と、を有している。容器本体56は、バイアル瓶7を収容するための収容部55と、収容部55の外周に配置されている壁部である容器側壁部57と、収容部55と容器側壁部57との間に配置される遮蔽部材101と、容器側壁部57の底部と、を有している。なお、バイアル瓶7は、ゴム製の栓71によって内部が密閉されている。
容器本体56は、収容部55を有する略有底円筒状の放射線遮蔽金属(鉛合金、タングステン合金等)製の遮蔽部材101にプラスチック製の外装容器を施したものである。
第一実施形態の遮蔽容器5は、薬剤情報が書き込まれた表示体50を有している。表示体50に書き込まれる薬剤情報としては、例えば、薬剤の製品名、未使用の状態でバイアル瓶7に収容されている容量、包装単位(放射能量)、検定時刻といった薬剤そのものの情報が考えられる。図5に示す表示体50は、一次元のバーコードの形式で薬剤情報を記している。このような薬剤情報は、バーコードリーダー81によって読み取られる。また、薬剤情報は、放射性薬剤27に関する情報が取得できるサイトのURL、放射性薬剤27の製造番号、若しくは放射性薬剤27の受注に応じて付与される個別の識別番号等であってもよい。個別の識別番号とは、例えば医療機関での放射性薬剤27の取り違えを防止するために付与される番号であって、被投与者ごと、検定時刻ごと、若しくは医療機関ごとに付与される番号であってもよく、また、被投与者ごとの検査スケジュールと紐づけられて管理される番号であってもよい。さらに、薬剤情報は、予め設定された設定タイミングにおける放射性薬剤27の放射能量を含むものであってもよい。設定タイミングとは、例えば、放射性薬剤27の製造後から所定の時間が経過したタイミングであり、設定タイミングにおける放射能量は、既知の減衰曲線等で表される放射性薬剤27の特性により予測される値である。
設定タイミングは該放射性薬剤27の検定時刻でもよい。ここで、検定時刻とは放射性薬剤27の放射能量を規定するために設定された時刻若しくは日付及び時刻であり、既知の減衰曲線等に従って減衰する放射性薬剤27の放射能量が所定の放射能量(例えば包装単位で示す放射能量)と等しくなる時刻若しくは日付及び時刻である。
第一実施形態は、表示体50に全ての薬剤情報を書き込むものであってもよいし、表示体50に一部の薬剤情報を書き込んで他の一部を投与者が放射性薬剤投与装置1に手動で入力するものであってもよい。
また、表示体50は、遮蔽容器5に貼り付けられたものであってもよいし、遮蔽容器5の表面に直接印字されたものであってもよい。
このように、薬剤情報から設定タイミング(例えば検定時刻)と放射能量が得られるようにするのは、放射性薬剤27の放射能は比較的短時間で減衰し、投与時刻によって放射能量が異なるためである。設定タイミングと放射能量が得られれば、放射性薬剤投与装置1において投与時刻から放射性薬剤27の放射能量を推定し、放射能量の減衰を考慮して放射性薬剤27の最適抽出量を得ることができる。
第一実施形態では、さらに、放射性薬剤投与装置1が、遮蔽容器5の少なくとも薬剤情報(表示体50)が記された表面の部分を映す鏡80をさらに備えている。バーコードリーダー81は、鏡80に映った薬剤情報を読取っている。
このような構成は、放射性薬剤27を収容する遮蔽容器5から放射線が放出されて、この放出線が電子機器であるバーコードリーダー81の動作に影響を与えることを防ぐため、遮蔽容器5とバーコードリーダー81との距離を離すことができる。また、鏡80は、表示体50とバーコードリーダー81との間の光の進路を変更することができるので、バーコードリーダー81のレイアウトの自由度を高めることができる。
また、第一実施形態は、遮蔽容器5の表示体50が記された部分から鏡80に向かう光の通路及び鏡80からバーコードリーダー81に向かう光の通路と異なる位置に設けられ、ステージ73に遮蔽容器5がセットされた場合に遮蔽容器5から放出される放射線を遮蔽する遮蔽壁部21cをさらに備えている。つまり、第一実施形態は、遮蔽容器5から放出される放射線の遮蔽効果を有する遮蔽壁部21cを備えている。遮蔽壁部21cは、遮蔽容器5の上方とバーコードリーダー81との境界とを少なくとも覆っている。第一実施形態は、鏡80が表示体50を映すことできなくなることを避けるため、遮蔽壁部21cに光の通路を避けるように、切欠き部22が形成されている。また、第一実施形態では、遮蔽容器5とバーコードリーダー81とを遮蔽壁部21cにより隔て、鏡80からバーコードリーダー81に向かう光の通路上に遮蔽壁部21cが位置しないように配置されている。
さらに、放射性薬剤投与装置1は、遮蔽壁部21cの他、遮蔽壁部21a、21b、21dを備えている。遮蔽壁部21aは、第二輸液チューブ31bの周囲を覆い、遮蔽壁部21bは、後述する主基板8及び主基板8に取り付けられたシリンジ38、39等の周囲を遮蔽する。遮蔽壁部21dは、遮蔽壁部21cと一部が重なって、さらにバーコードリーダー81の上方に延出している。
第一実施形態では、遮蔽壁部21aから遮蔽壁部21cに鉛を用い、遮蔽壁部21dにはアルミニウムを用いている。ただし、遮蔽壁部はこのような材料に限定されず、金、イリジウム、タリウム、鉛、ビスマス及びタングステン等の金属であってもよいし、遮蔽すべき放射線によってはコンクリート壁や水を収容した壁であってもよい。
また、放射性薬剤投与装置1は、図3に示すように、主基板8に2つのシリンジ駆動部35a、35bを備えている。シリンジ駆動部35a、35bは、図示しないモータまたはシリンダ等のアクチュエータを駆動源として上下動可能となっている。
シリンジ駆動部35a、35bによってそれぞれ駆動される二つのシリンジ38、39のうち、シリンジ38は、放射性薬剤27を貯留するためのシリンジである。シリンジ39は、生理食塩水を貯留するためのシリンジである。シリンジ38、39は、放射性薬剤27または生理食塩水を貯留するシリンジ本体36と、シリンジ本体36と連結されていて、このシリンジ本体36に対して押し込み可能なプランジャ部37と、を備えて構成されている。
主基板8の前面側には、三つの流路切換機構14と、各流路切換機構14を保持する流路切換機構保持部140が設けられている。流路切換機構保持部140は、図示しないモータ等のアクチュエータにより回転駆動可能となっている。
第二輸液チューブ31b上には、エアベンテッドフィルタ32が設けられている。
図6は、放射性薬剤投与装置1における遮蔽容器5の収容状態を説明するための斜視図である。図6に示すように、第一実施形態では、遮蔽容器5を、筐体10の扉部10bの内側に配置し、扉部10bを閉じた場合に遮蔽容器5が放射性薬剤27を抽出可能な位置にセットされるようにしている。
より詳細には、放射性薬剤投与装置1の本体10aは、ステージ73及び第一針ベース12が収容される収容部を備えている。この収容部は、開口を有する本体10aと、開口111の縁部111aに回動可能に軸支されて開口111を開閉する扉部10bと、を含んでいる。第一実施形態では、ステージ73を扉部10bの開口111に向かう面に設け、第一針ベース12を本体の側に設けている。そして、扉部10bが開口111を閉じた場合に第一針ベース12がステージ73の上方に位置するように構成している。
このようにすれば、第一実施形態は、遮蔽容器5の設置スペースを省スペース化し、筐体10をコンパクト化することができる。
図7は、操作部6を説明するための図である。操作部6は、投与者が放射性薬剤投与装置1に対して処理の指示等を入力し、その結果を得るための構成である。図7に示した操作部6は、投与者が放射性薬剤投与装置1に対して指示を入力するためのモード選択キー66や、指示により行われた処理の結果等を表示するディスプレイ画面65を備えている。モード選択キー66は、放射性薬剤27の種類等に応じた投与モードを、「modeA」を指定する指定キー66a、「modeB」を指定する指定キー66b及び「modeC」を指定する指定キー66cの中から選択するためのキーである。テンキー67、モード選択キー66及びディスプレイ画面65は、パネル61上に形成されて一体化している。
投与者は、このような操作部6から投与モードを選択し、被投与者を特定可能な氏名やID情報、さらには投与に必要な被投与者の身長、体重、年齢、性別等の情報をテンキー67により入力することができる。なお、第一実施形態は、被投与者に関する情報を投与者が入力することに限定されず、操作部6に入力された被投与者のID情報等に紐づいた施設内の電子カルテが読み込まれて被投与者に関する詳細な情報が取得されるものであってもよい。なお、被投与者のID情報等に紐づいた施設内の電子カルテを読み込む場合は、外部通信コネクタ63を介して通信を行って読み込んでもよい。
図8は、放射性薬剤投与装置1の投与量を決定する構成を説明するための機能ブロック図である。図8は、図3に示した制御部70bの機能のうち、投与量の制御に関する機能を模式的に示している。
図8に示したように、制御部70bは、情報取得部68と、投与量決定部69と、を有している。情報取得部68は、被投与者に関する被投与者情報を示す被投与者信号Ssと、放射性薬剤27に関する薬剤情報を示す薬剤信号Spとを取得する。被投与者信号Ssは、操作部6に入力された情報を示すものであってもよいし、操作部6に入力された情報に紐づいて電子カルテのデータベースから読み出された情報を示す信号であってもよい。薬剤信号Spは、表示体50に書き込まれている情報を示す信号であってもよいし、表示体50に書き込まれている情報に紐づいて読み出された情報を示す信号であってもよい。
情報取得部68は、被投与者信号Ss及び薬剤信号Spを取得して、最適抽出量の算出に必要な情報を投与量決定部69に出力する。投与量決定部69は、被投与者信号Ssと薬剤信号Spから放射性薬剤投与装置1にセットされている放射性薬剤27が被投与者に適正な薬剤であるか否かを確認した後、被投与者の身長、体重、性別及び検査内容等に応じて被投与者に適正な放射性薬剤27の最適抽出量を算出する。続いて、投与量決定部69は、設定タイミングと、現時点との時間差に基づいて放射性薬剤27の現時点での放射能量を推定する。このような推定は、放射性薬剤27の既知の減衰のデータに基づいて行われる。減衰のデータは、投与量決定部69が有しているものであってもよいし、表示体50が示す薬剤情報に含まれているものであってもよい。投与量決定部69は、算出された最適抽出量を放射性薬剤27の現時点での放射能量で補正し、補正後の最適抽出量を最終的な投与量に決定する。
投与量決定部69によって算出された最適抽出量は、ディスプレイ画面65に表示される。また、ディスプレイ画面65は、最適抽出量を抽出部に抽出させるか否かの指示を受けつける指示ボタン(OKボタン)を表示させる。つまり、ディスプレイ画面65は、最適抽出量を抽出、投与することの確認を求めるOKボタン、投与をキャンセルするキャンセルボタンを表示させることができる。医療従事者からOKボタンが押下された場合、投与量決定部69は、最適抽出量を抽出部に抽出させる指示を受けつけて、決定した最適抽出量の分だけ放射性薬剤27が抽出される駆動量を示す制御信号Scを、制御部70bに出力する。制御部70bは、制御信号Scにしたがって第一針ベース12のモータ15を駆動する。このような処理により、投与量決定部69によって決定された最適抽出量の放射性薬剤27が第一針ベース12に保持された抽出針16により抽出されて、投与部であるシリンジ38、39から被投与者に投与される。
シリンジ38、39が投与した放射性薬剤27に係る投与情報は、投与後に図1から図4に示したプリンタ40により出力される。ここでいう投与情報は、投与時刻、最適抽出嶐及び投与量等を含んでいて、プリンタ40は、このような投与情報を印字出力することができる。
また、投与情報の出力は前述のようにプリンタ40によって行ってもよいし、外部通信コネクタ63を介して被投与者のID情報等と紐づいた電子カルテに対して行ってもよい。電子カルテに対して投与情報を出力する場合は、外部通信コネクタ63を介した通信によって電子カルテ内のID情報等と紐づいた情報を、投与情報を含む情報に直接上書きするように出力してもよいし、電子カルテの入力を行う作業者に対して被投与者のID情報と紐づいた情報に投与情報を入力するように指示するアラートを出力するものであってもよい。
以上説明したように、第一実施形態の放射性薬剤投与装置1は、遮蔽容器5をステージにセットした時点で放射性薬剤27に関する情報が読み込まれ、被投与者の情報と照合することができる。また、第一実施形態の放射性薬剤投与装置1は、被投与者の情報と放射性薬剤27の情報とにより被投与者の体格に合わせた最適抽出量を算出し、算出された最適抽出量分の放射性薬剤27を被投与者に投与することができる。
また、第一実施形態は、放射性薬剤投与装置1に遮蔽容器5をセットするだけで自動的に放射性薬剤27と被投与者の照合、最適抽出量の決定及び投与までの処理をすることができる。このような第一実施形態は、被投与者毎に適正な量の放射性薬剤27を簡易に投与することができるものと言える。
なお、本発明は、上記構成に限定されるものではない。例えば、第一実施形態は、図5において表示体50として一次元バーコードを用いたが、第一実施形態は、表示体50に一次元バーコードを用いることに限定されるものではない。例えば、第一実施形態は、表示体50として二次元のコードを用い、これを読取るものであってもよい。薬剤情報を二次元のコードで表せば、数字以外の文字情報を書き込むことができる。このようにすれば、薬剤情報として放射性薬剤27に関する情報を取得可能なサイトのURL等を用いることができる。設定タイミング及び設定タイミングにおける放射能量の情報等は、薬剤情報(URL)から得られるものであってもよい。
また、第一実施形態は、遮蔽容器5に薬剤情報を文字(数字を含む)によって書き込んでおき、これを光学文字認識するものであってもよい。さらに、第一実施形態は、図画等により遮蔽容器5に薬剤情報を書き込んで、これをパターンマッチングすることによって読み取ってもよい。このような構成を実現するため、第一実施形態の放射性薬剤投与装置1は、バーコードリーダー81に、二次元バーコード等を画像として読み取る機能を備えるものを用いてもよい。このようなバーコードリーダー81によれば、二次元バーコードを撮影し、制御部70bに読み込むことが可能になる。
さらに、第一実施形態は、表示体50を一つだけ備えるものに限定されず、複数備えるものであってもよい。複数の表示体50は同一の様式で薬剤情報を示すものであってもよいし、その少なくとも一部が異なる様式で薬剤情報を示し、これをそれぞれ異なる読取部によって読み取るものであってもよい。
[変形例]
次に、以上説明した第一実施形態の変形例を説明する。第一実施形態では、情報取得部68が取得する被投与者に関する情報が操作部6に入力される例や、外部通信コネクタ63を介して電子カルテを読み込む例を挙げて説明した。ただし、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、ネットワークを介して被投与者に関する被投与者情報を取得するものであってもよい。
ネットワークを介して取得する被投与者情報は、上述したように、被投与者の氏名やID情報、身長、体重、年齢、性別等の他、被投与者ごとの核医学検査のスケジュール情報(以下、単に「スケジュール情報」とも記す)を含むものであってもよい。スケジュール情報には、核医学検査の種類や検査開始予定時刻が含まれている。変形例の放射性薬剤投与装置1は、核医学検査の種類に対応する放射性薬剤(以下、「検査放射性薬剤」とも記す)の種類や投与から検査開始までの時間を放射性薬剤投与装置1に予め記憶させておくようにしてもよい。このような構成により、変形例では、情報取得部68が取得したスケジュール情報から、検査放射性薬剤の種類を特定したり、検査開始予定時刻から投与すべき時刻を逆算したりすることが可能となる。これにより、投与量決定部69は、バーコードリーダー81を介して取得した放射性薬剤の種類と、ネットワークを介して取得した被投与者情報に含まれるスケジュール情報が示す核医学検査の種類とを照合し、放射性薬剤の種類が核医学検査に使用される検査放射性薬剤の種類と一致するか否かを判断することができる。また、投与量決定部69は、投与すべき時刻とネットワークを介して取得したスケジュール情報が示す検査開始予定時刻とが乖離していないか否かを判断することができる。
このような変形例は、読取られた薬剤情報に含まれる放射性薬剤と、スケジュール情報に核医学検査の種類を介して間接的に含まれる検査放射性薬剤の情報とが一致するか否かを、判断するものである。
また、放射性薬剤投与装置1は、外部通信コネクタ63を通じて若しくは図示しない通信機器を通じてネットワーク通信することができ、例えば病院情報システム(Hospital Information Systems, HIS)や、放射線科情報システム(Radiology Information Systems, RIS)にアクセスすることができる。例えば、HISからは被投与者IDに紐づいた処方箋の情報等を取得でき、RISからは検査に使用する検査放射性薬剤の名称、投与量、検査開始予定時刻、検査で使用する機器の予約情報等を取得できる。このような変形例の放射性薬剤投与装置1は、スケジュール情報が示す核医学検査で使用される検査放射性薬剤に関する名称等の情報をHISやRISから取得することができる。
変形例における動作は、例えば、以下のとおりである。
まず、第一実施形態で説明したように、ステージ73に遮蔽容器5をセットすると、バーコードリーダー81が遮蔽容器5に記された表示体50の薬剤情報を読み取る。
次いで、情報取得部68は、ネットワークを介してスケジュール情報を含む被投与者に関する情報を取得する。
情報取得部68が取得した被投与者に関する情報は、被投与者信号Ssとして投与量決定部69に出力される。このとき、情報取得部68は、スケジュール情報から、投与すべき放射性薬剤の種類や投与予定時刻を特定してもよい。次いで、投与量決定部69は、被投与者信号Ssに含まれるスケジュール情報の情報から核医学検査の種類を検出し、核医学検査に対応する検査放射性薬剤の種類と、薬剤信号Spに含まれる放射性薬剤の種類とが一致するか否かを判断する。
また、投与量決定部69が備える時計(図示しない)に示す現在時刻と、被投与者信号Ssに含まれる投与予定時刻とに乖離がないか否かを判断する。なお、現在時刻と投与予定時刻との乖離は、あらかじめ設定された判断基準に基づき判断することができ、例えば、±30分以上を乖離と判断するといった設定が可能である。
次に、投与量決定部69は、被投与者信号Ssに含まれる放射性薬剤の種類と、薬剤信号Spに含まれる放射性薬剤の種類とが一致すると判断した場合、あるいは、現在時刻と、被投与者信号Ssに含まれる投与予定時刻とに乖離がないと判断した場合、投与量決定部69は投与可能と判断し、第一の実施形態で説明した動作によって最適な抽出量を算出する。最適な抽出量としては放射性薬剤27の液量であってもよいし、薬剤信号Spから取得された設定タイミングにおける放射能量に基づくその被投与者の投与予定時刻に必要な放射能量であってもよい。
投与量決定部69の決定に従い、抽出針16が、ステージ73にセットされた遮蔽容器5から放射性薬剤を抽出する。
投与量決定部69は、現在時刻と、被投与者信号Ssに含まれる投与予定時刻とに乖離があると判断した場合は、その旨を示す信号を出力する。信号の出力先は、ディスプレイ画面65を制御するドライバであってもよいし、他の図示しない警報機器であってもよい。信号をディスプレイ画面65のドライバに出力すると、ディスプレイ画面65に例えば「投与予定時刻と現在時刻が乖離しています。検査スケジュールを確認してください」等のメッセージを表示することができる。
このような変形例によれば、投与される放射性薬剤や投与予定時刻の適合性を被投与者ごとに判断することができるため、放射性薬剤の投与の信頼性を高めることができるとともに、被投与者ごとの検査スケジュール情報の適正化が実現できる。
ただし、変形例は、スケジュール情報が検査放射性薬剤の情報を間接的に含むものに限定されず、直接的に含むものであってもよい。変形例は、例えば、検査放射性薬剤に関する情報を核医学検査の種類と共にスケジュール情報に含めることにより、スケジュール情報が検査放射性薬剤の情報を直接含むようにすることができる。このような構成によれば、投与量決定部69は、スケジュール情報に含まれる検査放射性薬剤の名称等と、薬剤信号Spに含まれる放射性薬剤の名称等との一致を判断することができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。第一実施形態が一つのバイアル瓶7に一人の被投与者に投与される分量の放射性薬剤27が収容されることを前提にしているのに対し、第二実施形態は、一つのバイアル瓶7に複数人分の放射性薬剤27が収容されている場合に適用されるものである。なお、第二実施形態の放射性薬剤投与装置は、第一実施形態と同様の装置構成を有し、制御部の構成が相違している。このため、第二実施形態の放射性薬剤投与装置の外観の図示及び説明を省くものとする。
図9は、第二実施形態の放射性薬剤投与装置1の制御部90を説明するための機能ブロック図である。第二実施形態の制御部90は、情報取得部68及び投与量決定部69に加えて、残存量取得部100を備えている。残存量取得部100は、抽出部である抽出針16による放射性薬剤の抽出後の容器内に残存する放射性薬剤に係る液量または放射能量である残存量を得る構成である。このような残存量取得部100は、制御部90が備える小型のCPUやメモリ装置と、CPU上で動作する専用のプログラムの機能により実現する。なお、第二実施形態でいう残存量は、残存量を液量で測る場合にはバイアル瓶7内に残存する放射性薬剤27の量をいい、抽出針16内に残存する放射性薬剤27の量を含まない。また、放射性薬剤27を放射能量で測る場合、残存量はバイアル瓶7内に残存する放射性薬剤27の量と抽出針16内に残存する量とを含んでいる。
バイアル瓶7の残量を取得することは、抽出の前後で放射性薬剤27が実際に抽出された量を算出することができる。このような処理によれば、放射性薬剤27が適正な量抽出できたか否かを判定し、適正量抽出できたことが確認された後に放射性薬剤27を被投与者に投与して、放射性薬剤の投与の信頼性を高めることができる。また、一つのバイアル瓶7に複数人分の放射性薬剤27が収容されている場合、バイアル瓶7の残量を取得することは、バイアル瓶7の残量が一人若しくは複数人の被投与者への投与に最適な最適抽出量分あるか否かを判定することができ、一つのバイアル瓶7に収容された複数人分の放射性薬剤27を一人若しくは複数人の被投与者に対して連続的に分割投与することを可能とする。
残存量取得部100は、残存量を放射性薬剤27の液量として算出するものであってもよいし、または放射能量により取得するものであってもよい。残存量を液量として算出する場合、残存量取得部100は、抽出針16による放射性薬剤27の抽出前の容器内の放射性薬剤の量と液量として表される最適抽出量とによって残存量を算出することができる。より詳細には、例えば、残存量取得部100は、情報取得部68に入力された薬剤信号Spから薬剤情報に含まれている未使用時の容量及び設定タイミングを取得する。また、残存量取得部100は、投与量決定部69から今回決定された最適抽出量を取得し、未使用時の容量から最適抽出量を減算し、減算値を残存量とする。第二実施形態では、残存量取得部100が残存量を投与量決定部69に出力し、投与量決定部69が放射性薬剤27(バイアル瓶7)の製造番号や識別番号に紐付けて残存量を記録するものであってもよい。投与量決定部69は、バイアル瓶7から放射性薬剤27の抽出が行われる度にこのような処理を繰り返し行うことにより、分割投与に必要な残存量の算出を繰り返し行っている。
このような構成によれば、投与量決定部69は、薬剤信号Spに含まれる製造番号等により抽出の対象となる放射性薬剤27(バイアル瓶7)を識別し、このバイアル瓶7に残存する放射性薬剤27の残存量を投与動作の都度特定することができる。一つのバイアル瓶7から放射性薬剤27を二回以上抽出する場合、投与量決定部69は、残存量の履歴のうち、最新の残存量を取得する。
また、薬剤信号Spが放射性薬剤投与装置1の外部のデータベース等から送信されるものである場合、残存量取得部100は、例えば、情報取得部68に残存量を出力するようにしてもよい。このとき、情報取得部68は、薬剤信号Spの送信元に残存量を送信し、送信元のサーバがバイアル瓶7内の放射性薬剤27の量を最新の残存量で上書きするようにしてもよい。このような構成によれば、データベースから送信される薬剤信号Spに含まれるバイアル瓶7内の放射性薬剤27の量を常に現在バイアル瓶7内に残存している量とすることができる。
さらに抽出を行う場合、残存量取得部100は、情報取得部68から薬剤信号Spを取得し、薬剤信号Spに含まれる残存量から投与量決定部69が決定した最適抽出量を減算する。そして、減算値を最新の残存量として情報取得部68に出力する。
また、第二実施形態は、残存量取得部100が、抽出針16による放射性薬剤27の抽出後、バイアル瓶7内の放射性薬剤27の放射能量を計測して残存量(残存放射能量)を得るものであってもよい。このような場合、第二実施形態では、RI検出器85が計測した放射能量をRI信号Srとして残存量取得部100に送出するように構成する。残存量取得部100は、情報取得部68に入力された薬剤情報に含まれる未使用時の放射能量及び設定タイミング等の薬剤信号Sp、及びRI信号Srを受信し、薬剤信号SpとRI信号Srから現在バイアル瓶7に収容されている放射性薬剤27の放射能量を取得する。
投与量決定部69は、情報取得部68に入力された被投与者信号Ssから被投与者の身長、体重、年齢、性別等を入力する。そして、入力された情報から、被投与者に最適な抽出量を放射能量として算出する。
また、投与量決定部69は、情報取得部68に入力された薬剤信号Spから設定タイミングにおける放射能量を入力する。なお、薬剤信号Spに含まれる放射能量は、未使用の際の値である。投与量決定部69は、投与時刻から放射能量の減衰を考慮して先に算出した抽出量を補正して最適抽出量を算出する。投与量決定部69は、抽出針16が最適抽出量分の放射性薬剤27を抽出することに必要な回転量を示す制御信号Scをモータ15に出力する。
続いて、第二実施形態の動作の一例について、以下に説明する。
第一実施形態で説明した動作に従い、投与量決定部69により最適投与量が決定され、投与者からOKボタンが押下されると、モータ15は受信した制御信号Scに応じて回転して放射性薬剤27を抽出する。このとき、抽出針16は、図3に示すようにバイアル瓶7に刺入され、かつ、放射性薬剤27の液面より下に下降している。そして、図示しない制御部は流路切換機構14を回転させて、シリンジ38と抽出針16とを連通させ、抽出した放射性薬剤27をシリンジ38に貯留する。次いで、制御部によって抽出針16をバイアル瓶7内で、かつ放射性薬剤27の液面から離れた位置まで上昇させ、さらに所定の回転量の分だけモータ15を回転させて空気を吸引し、流路に残存した放射性薬剤27をシリンジ38に貯留する。
その後、制御部は流路切換機構14を回転させて、第一輸液チューブ31aとシリンジ38とを連通させ、シリンジ駆動機構35bに接続された図示しないモータを回転させることで、シリンジ駆動機構35bを駆動し、シリンジ38に貯留された放射性薬剤27を第一輸液チューブ31aに送出し、エアベンテッドフィルタ32を経由して被投与者に投与される。
放射性薬剤27の抽出後、残存量取得部100は、RI検出器85から遮蔽容器5上方に漏洩した放射能量を示すRI信号Srを入力する。そして、入力されたRI信号Srからバイアル瓶7内に残存する放射性薬剤27の放射能量を投与量決定部69に出力する。投与量決定部69は、放射性薬剤27の製造番号等と紐付けて残存放射能量を保存する。
また、残存量取得部100は、RI信号Srを、放射性薬剤27の抽出動作と独立に一定の間隔で受信し、RI信号Srが示す放射能量を投与量決定部69に一定の比較的短い時間間隔で出力するようにしてもよい。このようにすると、投与量決定部69は、最新の残存放射能量を取得することができる。
さらに、薬剤信号Spが放射性薬剤投与装置1の外部のデータベース等から送信されるものである場合、残存量取得部100は、残存放射能量をRI信号Srの受信時刻と共に情報取得部68に出力するようにしてもよい。情報取得部68は、薬剤信号Spの送信元に残存放射能量及び受信時刻を送信し、送信元のサーバがバイアル瓶7内の放射性薬剤27の量を残存放射能量で上書きすると共に受信時刻を記録するようにしてもよい。そして、制御部によってモータ15を回転させ、放射性薬剤27の液面より下まで抽出針16を下降させることで、次の投与に備える。
二回目以降の投与では、投与量決定部69が、残存量取得部100によって得られた残存量と最適抽出量とを比較する。そして、残存量が最適抽出量を満たす場合、最適抽出量を抽出可能であることを示す信号を出力する。また、残存量が最適抽出量に満たない場合、残存量が不足していることを示す信号を出力する。これらの信号の出力先は、ディスプレイ画面65を制御するドライバであってもよいし、他の図示しない警報機器であってもよい。信号をディスプレイ画面65のドライバに出力すると、ディスプレイ画面65に例えば「放射性薬剤の投与が可能です」若しくは「放射性薬剤の量が不足しています」等のメッセージを表示することができる。
そして、医療従事者からOKボタンが押下されると、抽出針16が放射性薬剤27を抽出し、上記の動作が繰り返される。
また、第二実施形態は、一つのバイアル瓶7に収容されている放射性薬剤27を分割して投与する場合、上記のように、投与量決定部69が投与の都度最適投与量を決定するものに限定されるものではない。例えば、第二実施形態は、医療従事者が複数人の被投与者の投与に係る情報を、医療従事者が操作部6を通じて投与量決定部69に入力したり、外部通信コネクタ63を介して、電子カルテ、HIS若しくはRISから取得したりする。このような場合、投与量決定部69は、複数人分の最適投与量の合計と、バイアル瓶7の容量または残存量取得部100によって得られた残存量とを比較する。そして、投与量決定部69は、容量または残存量が最適投与量の合計に満たない場合、このことを示す信号を例えばディスプレイ画面65を制御するドライバ等に出力するようにしてもよい。
このような構成によれば、第二実施形態の放射性薬剤投与装置1は、投与に先立って予め複数人の被投与者に対する分割投与が可能であるか、または他のバイアル瓶7を用意する必要があるかを医療従事者に知らせることができる。
また、第二実施形態では、バイアル瓶7内で抽出針16が放射性薬剤27の液面に対して上下動することで、流路に残存する放射性薬剤27を含めて投与する形態を説明したが、第二実施形態はこれに限定されるものではなく、予め流路のデッドボリュームに相当する分だけ最適抽出量より多く抽出するようにシリンジ駆動部35の駆動量を設定することもできる。この場合は、抽出針16は複数回の投与動作の間、バイアル瓶7の底面付近に静止した状態を維持しており、針の上下動によるバイアル瓶7のゴム栓の摩耗による影響を低減することができる。
第二実施形態によれば、複数回の抽出が連続して行われており、この間に抽出針16がバイアル瓶7等の容器から外部に出ることない。このため、連続して使用する放射性薬剤27に不純物が混入する、あるいは汚染されることがなく、被投与者ごとの最適抽出量を正確に抽出することが可能になる。
なお、第二実施形態は、RI検出器85により放射性薬剤27の残存量を放射能量として得ることに限定されるものではない。例えば、第二実施形態では、液量と同様に、前回の残存放射能量から最適抽出量を減算することによって最新の残存放射能量を得ることもできる。
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)液状の放射性薬剤を収容し、前記放射性薬剤に係る薬剤情報が少なくとも表面に記された容器がセットされるステージと、前記ステージにセットされた前記容器から前記放射性薬剤を抽出する抽出部を保持する保持部と、前記容器に記された前記薬剤情報を読取る読取部と、前記放射性薬剤が投与される被投与者に関する被投与者情報を取得する被投与者情報取得部と、前記薬剤情報及び前記被投与者情報に基づいて、前記抽出部が抽出すべき前記放射性薬剤の最適抽出量を決定する投与量決定部と、を備える、放射性薬剤投与装置。
(2)前記最適抽出量を表示するとともに、前記最適抽出量を抽出部に抽出させるか否かの指示を受けつける指示ボタンを表示させる表示部を更に備える、(1)の放射性薬剤投与装置。
(3)前記抽出部が抽出した前記放射性薬剤を被投与者に投与する投与部と、前記投与部が投与した前記放射性薬剤に係る投与情報を出力する出力部と、を更に備える、(1)または(2)の放射性薬剤投与装置。
(4)前記投与部は、前記最適抽出量の前記放射性薬剤を被投与者に投与する、(3)の放射性薬剤投与装置。
(5)前記薬剤情報、または前記薬剤情報から得られる情報の少なくとも一方は、予め設定された設定タイミングにおける前記放射性薬剤の放射能量を含む、(1)乃至(4)のいずれか一つの放射性薬剤投与装置。
(6)前記容器の少なくとも前記薬剤情報が記された表面の部分を映す鏡をさらに備え、前記読取部は、前記鏡に映った前記薬剤情報を読取る、(1)乃至(5)のいずれか一つの放射性薬剤投与装置。
(7)前記容器の前記薬剤情報が記された部分から前記鏡に向かう光及び前記鏡から前記読取部に向かう光の通路と異なる位置に設けられ、前記ステージに前記容器がセットされた場合に前記容器から放出される放射線を遮蔽する遮蔽壁部をさらに備える、(6)の放射性薬剤投与装置。
(8)前記ステージ及び前記保持部が収容される収容部を備え、当該収容部は、開口を有する本体と、前記開口の縁部に回動可能に軸支されて前記開口を開閉する扉部と、を含み、前記ステージは、前記扉部の前記開口に向かう面に設けられ、前記保持部は、前記本体の側にあって前記扉部が前記開口を閉じた場合に前記ステージの上方に位置する、(1)から(7)のいずれか一つの放射性薬剤投与装置。
(9)前記抽出部による前記放射性薬剤の抽出後の前記容器内に残存する前記放射性薬剤に係る液量または放射能量を得る残存量取得部をさらに備える、(1)乃至(8)のいずれか一つの放射性薬剤投与装置。
(10)前記残存量取得部は、前記抽出部による前記放射性薬剤の抽出前の前記容器内の前記放射性薬剤の液量と前記最適抽出量とによって前記残存量を算出する、(9)の放射性薬剤投与装置。
(11)前記残存量取得部は、前記抽出部による前記放射性薬剤の抽出後の前記容器内の前記放射性薬剤の放射能量を計測して前記残存量を得る、(9)の放射性薬剤投与装置。
(12)前記投与量決定部は、前記残存量取得部によって得られた前記残存量と前記最適抽出量とを比較して、前記残存量が前記最適抽出量を満たすこと、または前記残存量が前記最適抽出量に満たないことを示す信号を出力する、(9)または(11)の放射性薬剤投与装置。
(13)前記被投与者情報取得部は、ネットワークを介して前記被投与者情報を取得する、(1)から(12)のいずれか一つの放射性薬剤投与装置。
(14)前記被投与者情報取得部は、前記被投与者情報とともに前記放射性薬剤を用いた検査情報を被投与者ごとに取得し、前記投与量決定部は、読取部が読み取った薬剤情報に含まれる放射性薬剤と、前記検査情報に含まれる薬剤情報とが一致するか否かを判断する、(13)の放射性薬剤投与装置。
1・・・放射性薬剤投与装置
3・・・生食バッグ
5・・・遮蔽容器
6・・・操作部
7・・・バイアル瓶
8・・・主基板
9・・・副基板
10・・・筐体
10a・・・本体
10b・・・扉部
11・・・把持部
12・・・第一針ベース
14・・・流路切換機構
15・・・モータ
16・・・抽出針
21a、21b、21c、21d・・・遮蔽壁部
22・・・切欠き部
27・・・放射性薬剤
31a・・・第一輸液チューブ
31b・・・第二輸液チューブ
33・・・生食バッグ針
34・・・チェックバルブ
32・・・エアベンテッドフィルタ
35・・・懸架部
35a、35b・・・シリンジ駆動部
36・・・シリンジ本体
37・・・プランジャ部
38、39・・・シリンジ
40・・・プリンタ
50・・・表示体
51・・・容器蓋体
55・・・収容部
56・・・容器本体
57・・・容器側壁部
61・・・パネル
62・・・非常停止スイッチ
63・・・外部通信コネクタ
64・・・電源スイッチ
65・・・ディスプレイ画面
66・・・モード選択キー
66a、66b、66c・・・指定キー
67・・・テンキー
68・・・情報取得部
69・・・投与量決定部
70a・・・無停電電源装置
70b,90・・・制御部
71・・・栓
73・・・ステージ
75・・・カメラ
80・・・鏡
81・・・バーコードリーダー
85・・・RI検出器
100・・・残存量取得部
101・・・遮蔽部材
111・・・開口
111a・・・縁部
121・・・針クランプつまみ
140・・・流路切換機構保持部

Claims (18)

  1. 液状の放射性薬剤を収容し、前記放射性薬剤に係る薬剤情報が記された容器と、
    前記容器がセットされるステージと、
    前記ステージにセットされた前記容器から前記放射性薬剤を抽出する抽出部を保持する保持部と、
    前記容器に記された前記薬剤情報を読取る読取部と、
    前記放射性薬剤が投与される被投与者に関する被投与者情報を取得する被投与者情報取得部と、
    前記薬剤情報及び前記被投与者情報に基づいて、前記抽出部が抽出すべき前記放射性薬剤の最適抽出量を決定する投与量決定部と、
    を備え
    前記薬剤情報は、バーコードの形式で、前記容器の側面に記されており、
    前記読取部は、バーコードリーダーであり、
    前記ステージは、前記容器が当該ステージにセットされた状態で当該容器の下部を収容する凹部を有し、
    前記バーコードは、前記容器の前記側面において、前記容器の前記下部が前記ステージの前記凹部に収容された状態で、前記凹部の上方に露出する部位に配置されている、放射性薬剤投与装置。
  2. 前記ステージにセットされた前記容器の前記バーコードは、前記バーコードリーダーの読み取りの方向とは異なる位置に配置されている、請求項1に記載の放射性薬剤投与装置。
  3. 前記ステージにセットされた前記容器と前記バーコードリーダーとの間に、前記容器から放出される放射線を遮蔽する遮蔽部が配置されている、請求項1又は2に記載の放射性薬剤投与装置。
  4. 前記最適抽出量を表示するとともに、前記最適抽出量を抽出部に抽出させるか否かの指示を受けつける指示ボタンを表示させる表示部を更に備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の放射性薬剤投与装置。
  5. 前記抽出部が抽出した前記放射性薬剤を被投与者に投与する投与部と、
    前記投与部が投与した前記放射性薬剤に係る投与情報を出力する出力部と、
    を更に備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の放射性薬剤投与装置。
  6. 前記投与部は、前記最適抽出量の前記放射性薬剤を被投与者に投与する、請求項に記載の放射性薬剤投与装置。
  7. 前記薬剤情報、または前記薬剤情報から得られる情報の少なくとも一方は、予め設定された設定タイミングにおける前記放射性薬剤の放射能量を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の放射性薬剤投与装置。
  8. 前記容器の少なくとも前記薬剤情報が記された表面の部分を映す鏡をさらに備え、前記読取部は、前記鏡に映った前記薬剤情報を読取る、請求項1から7のいずれか一項に記載の放射性薬剤投与装置。
  9. 前記容器の前記薬剤情報が記された部分から前記鏡に向かう光及び前記鏡から前記読取部に向かう光の通路と異なる位置に設けられ、前記ステージに前記容器がセットされた場合に前記容器から放出される放射線を遮蔽する遮蔽壁部をさらに備える、請求項に記載の放射性薬剤投与装置。
  10. 前記ステージ及び前記保持部が収容される収容部を備え、当該収容部は、開口を有する本体と、前記開口の縁部に回動可能に軸支されて前記開口を開閉する扉部と、を含み、前記ステージは、前記扉部の前記開口に向かう面に設けられ、前記保持部は、前記本体の側にあって前記扉部が前記開口を閉じた場合に前記ステージの上方に位置する、請求項1からのいずれか一項に記載の放射性薬剤投与装置。
  11. 前記抽出部による前記放射性薬剤の抽出後の前記容器内に残存する前記放射性薬剤に係る液量または放射能量を得る残存量取得部をさらに備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の放射性薬剤投与装置。
  12. 前記残存量取得部は、前記抽出部による前記放射性薬剤の抽出前の前記容器内の前記放射性薬剤の液量と前記最適抽出量とによって前記放射性薬剤の残存量を算出する、請求項11に記載の放射性薬剤投与装置。
  13. 前記残存量取得部は、前記抽出部による前記放射性薬剤の抽出後の前記容器内の前記放射性薬剤の放射能量を計測して前記残存量を得る、請求項1に記載の放射性薬剤投与装置。
  14. 前記投与量決定部は、前記残存量取得部によって得られた前記残存量と前記最適抽出量とを比較して、前記残存量が前記最適抽出量を満たすこと、または前記残存量が前記最適抽出量に満たないことを示す信号を出力する、請求項1または1に記載の放射性薬剤投与装置。
  15. 前記被投与者情報取得部は、ネットワークを介して前記被投与者情報を取得する、請求項1から請求項1のいずれか一項に記載の放射性薬剤投与装置。
  16. 記投与量決定部は、前記読取部が読み取った薬剤情報に含まれる放射性薬剤の種類と、前記被投与者情報取得部が取得した前記被投与者情報に含まれる前記放射性薬剤の種類が一致するか否かを判断する、請求項1から5のいずれか一項に記載の放射性薬剤投与装置。
  17. 液状の放射性薬剤を収容し、前記放射性薬剤に係る薬剤情報が少なくとも表面に記された容器がセットされるステージと、
    前記ステージにセットされた前記容器から前記放射性薬剤を抽出する抽出部を保持する保持部と、
    前記容器に記された前記薬剤情報を読取る読取部と、
    前記放射性薬剤が投与される被投与者に関する被投与者情報を取得する被投与者情報取得部と、
    前記薬剤情報及び前記被投与者情報に基づいて、前記抽出部が抽出すべき前記放射性薬剤の最適抽出量を決定する投与量決定部と、
    前記容器の少なくとも前記薬剤情報が記された表面の部分を映す鏡と、
    前記容器の前記薬剤情報が記された部分から前記鏡に向かう光及び前記鏡から前記読取部に向かう光の通路と異なる位置に設けられ、前記ステージに前記容器がセットされた場合に前記容器から放出される放射線を遮蔽する遮蔽壁部と、
    を備え
    前記読取部は、前記鏡に映った前記薬剤情報を読取る、放射性薬剤投与装置。
  18. 液状の放射性薬剤を収容し、前記放射性薬剤に係る薬剤情報が少なくとも表面に記された容器がセットされるステージと、
    前記ステージにセットされた前記容器から前記放射性薬剤を抽出する抽出部を保持する保持部と、
    前記容器に記された前記薬剤情報を読取る読取部と、
    前記放射性薬剤が投与される被投与者に関する被投与者情報を取得する被投与者情報取得部と、
    前記薬剤情報及び前記被投与者情報に基づいて、前記抽出部が抽出すべき前記放射性薬剤の最適抽出量を決定する投与量決定部と、
    前記ステージ及び前記保持部が収容される収容部と、
    を備え
    前記収容部は、開口を有する本体と、前記開口の縁部に回動可能に軸支されて前記開口を開閉する扉部と、を含み、前記ステージは、前記扉部の前記開口に向かう面に設けられ、前記保持部は、前記本体の側にあって前記扉部が前記開口を閉じた場合に前記ステージの上方に位置する、放射性薬剤投与装置。
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